資料3―1 子ども・子育て支援事業計画の中間年の見直しにあたっての考え方 (子ども・子育て支援事業計画見直し部会での検討内容) 1 世田谷区の現状 (1)推計児童数 1 0〜5歳人口の平成29年推計値(計画策定時)は、令和6年度まで45,000人前後を横ばいで推移すると推計していたが、令和2年は43,995人(推計値44,908人より約1,000人減)、令和3年42,738人(推計値44,721人より約2,000人減)となった。 令和3年の人口推計補正値では、直近のトレンドを反映し、令和4年度以降、毎年約1,000人の減少を予想している。 その後は、出生率の回復により、0~5歳人口も回復すると予想している。 2 6〜11歳人口の平成29年推計値(計画策定時)は、令和4年度まで毎年約1,000人増加し、それ以降も、増加で推移すると推計していたが、令和2年は44,215人(推計値44,450人より約200人減)、令和3年44,903人(推計値45,486人より約600人減)となり、増加幅が小さくなった。 令和3年の人口推計補正値では、令和4年度以降、おおむね横ばいと予想している。 その後は、出生率の影響を受け、減少に転じると予想している。 3 区の出生数及び合計特殊出生率ともに増加傾向にあったが、平成29年から減少傾向にあり、令和2年の出生数は6,684人、合計特殊出生率は0.99(国1.34、東京都1.13)となった。 なお、国や東京都も同様の傾向となっている。 推計児童数のかい離は、出生数の減少やコロナ禍における転出超過の傾向が影響していると想定される。 (2)教育・保育事業 1 認可保育園への4月入園の申込者数は、令和2年度6,643人から令和3年度は6,015人と減少に転じた。 平成23年度4,407人から令和3年6,015人と10年間で約1.4倍と増加している。 また、保育施設の定員数は、平成23年度11,265人から令和3年度20,673人となり、10年間で約1.8倍を拡充した。 この取組みにより、令和2年度、令和3年度と保育待機児童0となった。 2 令和2年度に保育待機児童が解消した一方で、認可保育園の空き数が増加しており、特に令和3年は0歳児の空きが増大したため、一部の私立保育園等の運営に影響を及ぼす状況となった(令和3年9月時点で0歳児の途中入園が進んだため、空きはほぼ解消された)。 3 令和3年度の0〜5歳児の養育状況は、3〜5歳児の9割程度が保育所や幼稚園を利用している。 一方、0〜2歳児は家庭養育の割合が高く、特に0歳児の75.1%が家庭で養育されている。 4 平成30年度以降の0〜5歳児の養育状況の推移では、1歳児及び2歳児は家庭での養育から保育所等の利用に移る傾向があるが、0歳児の養育状況の変化はみられない。 また、3歳児は家庭での養育や幼稚園から保育所等の利用に移る傾向があり、4歳児及び5歳児は幼稚園から保育所等の利用に移る傾向がある。 (3)地域子ども・子育て支援事業 1 利用者支援事業は、区内16か所で実施している(ひろば型6か所、子育て応援相談員5か所13名、母子保健コーディネーター 5か所19名)。 2 一時預かり事業は、幼稚園に通園する児童を対象とした一時預かり、保育園等での「緊急保育」や「一時保育」、理由を問わない「ほっとステイ」を実施している。 3 私立保育園での「一時保育」の利用は、1歳児や2歳児が多い傾向があり、夏休み等の長期休暇中は3〜5歳児が増える傾向がある。 利用事由別では、「就労」が全体の7割程度を占めており、それ以外の事由は「通院」「技能習得」「通学」「看護」となっている。 4 理由を問わない一時預かりである「ほっとステイ」の利用は、0歳児〜2歳児が多い傾向があり、夏休み等の長期休暇中は3~5歳児が増える傾向がある。 理由事由別では、低年齢児ほど「保護者のリフレッシュ」での利用が多く、子どもの年齢が高いほど、「就労」が多い傾向がある。 5 学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業)は、令和2年度の確保計画数及び需要量見込み数を実績が上回っている状況にある。 また、養育支援訪問事業も、令和2年度の確保計画数及び需要量見込み数を実績が上回っている状況にある。 6 ひろば事業(地域子育て支援拠点事業)は、平成27年度は44か所あったが、令和2年度には67か所あり、約1.5倍整備された。 2 現状の課題と見直しにあたっての視点 (1)総論 1 世田谷区の0〜5歳人口が激減している要因を分析するために、ニーズ調査だけでは拾えないニーズをしっかりと把握し、支援事業計画を見直す必要がある。 2 0歳児は、在宅で子育てしている家庭が多いという現状を踏まえ、子ども・子育て支援事業の整備量の見直し検討とあわせて、制度の運用面での検討を行う必要がある。 3 子どもの数が減ったことにより、支援を減らすことを検討している自治体もある。 子どもの数の現状だけをみて支援や施設を減らすのではなく、子ども計画に掲げる「子ども主体」、当事者主体の視点で、検討する必要がある。 4 妊娠期から支援につながる仕組みや保育所等の地域の子育て施設の充実が図られた一方、コロナ禍で親族等の支援を受けにくい状況や気軽に子育て施設や相談の場に足を運びにくい状況も重なり、子育て家庭は、これまで以上に孤立した状況に置かれている。 子育て家庭を孤立させることなく、これまで以上に、妊娠期から安心して子育てできる環境を充実させる必要がある。 (2)教育・保育事業 1 保育待機児童数が0となっているが、依然として希望する保育施設に入園することができない方や、半径2キロメートル以内の保育施設に空きがありながら入園できていない方なども一定数存在する。 このような方の状況を分析し、どのような希望があるのか丁寧なニーズ把握が必要である。 また、コロナ禍において、集団保育での感染を恐れる気持ちと働きたい気持ちの葛藤を抱えている保護者も多い点も、考慮する必要がある。 2 以前から課題にあがっている世田谷区における認定こども園の扱いについて、議論する必要がある。 (3)子ども・子育て支援事業 1 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、育児休暇を取得する家庭が多いため、その育児休暇中の家庭が一時保育やおでかけひろばを利用する事例が多く、これまで以上に、在宅子育て支援の重要性が増している。 2 出産後の相談を受ける中で、0歳児の一時保育のニーズが高いと感じているが、その受け入れ先が不足していて、予約が取れず、利用できない現状があり、より充実させる必要がある。 また、ファミリー・サポート・センター事業では、生後43日からの預かりが可能だが、マッチングの難しさがあるうえ、密室での1対1の保育となり安全面においても課題がある。 ただし、生後間もない子どもの預かりについては、ファミリー・サポート・センター事業に代わる支援がない現状もある。 3 一時預かりやファミリー・サポート・センター事業などの利用料の減免制度がないため、金銭的な負担が大きいことから利用しない家庭もある。 さらに、一時預かりを行うための人材の確保も課題である。 4 一時保育等の在宅子育て家庭のニーズは潜在化していて、正確なニーズを把握しにくいという課題があるため、利用者等へのヒアリングや個別アンケート等を実施する必要がある。 (4)潜在化している課題 1障害のある子どもや発達に課題がある子ども、外国につながりのある子ども等、ニーズ調査では把握しにくい課題も、把握する必要がある。