令和3年11月12日 子ども・若者部 教育委員会事務局 新ボップ事業の喫緊の課題解決に向けた取り組みについて(案) 1 主旨 令和2年度の「新ボップ事業のあり方検討委員会報告書」において、運営体制、実施時間延長、定員、子どもの自立への支援に課題があり、解決への取組み方針案として民間の放課後児童健全育成事業 ※1一部活用等の見直し、学校内での活動場所の更なる確保、放課後を安心して過ごせる規模への適正化、新ボップ学童クラブ以外の多様な居場所等の検討の必要性が示された。(別紙1) この報告書をうけ庁内検討を進め、新ボップ事業の活動場所の狭隘化、新ボップ学童クラブの大規模化及び子どもと保護者の多様化するニーズへの対応を喫緊の解決すべき課題とした。 そこで、放課後児童健全育成事業を必要とする子どもが利用待機とならないことを前提に、新ボップ事業の運営を基本としながら、学校施設の更なる有効活用を進め、区がこれまで担ってきたセーフティネットの役割を果たしつつ、学校外に民間の放課後児童健全育成事業を誘導・確保する。 そのことにより、子どもの遊びや生活の場の確保と安心して過ごせる規模への適正化を図り、併せて、民間事業者のノウハウや柔軟性も活用しながら、多様化する保護者ニーズに対応に取り組む。 ※1 放課後児童健全育成事業とは、児童福祉法第6条の3第2項及び放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、家庭、地域等との連携の下、発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等を図り、その健全な育成を図るものである。 現在、区内には民間のものが2か所ある。 2 現状と課題 (1)狭隘化(新ボップ学童クラブが専用区画の面積として必要な、児童1人につきおおむね1.65u以上とする条例設備基準の確保が困難な状況にあること)について これまで、学校内の特別教室や多目的室等の活用を図ってきたが、小学校児童数の急増により活用できる特別教室等が縮減し、一部の学童クラブで狭隘化が生じている。 当面、登録児童数の増加が見込まれ、現在の運営方法では、さらに狭隘化する学童クラブが生じる恐れがある。 また、ボップを利用する児童が多い新ボップにおいては、密集した状況が生じている。 (2)大規模化(登録児童数の増加により子どもの集団が大規模であること)について 新ボップ学童クラブ登録児童数の急増(5年間で1,868人増)により、登録児童数が120人を超える新ボップ学童クラブが増加している。 大規模化により、職員が、個々の子どもや子どもの集団との信頼関係を築ける人数を超え、子どもの安全の確保のほか、一人ひとりの子どもの情緒面への配慮など、放課後児童健全育成事業に求められるサービスの質の低下が懸念される。 (3)子どもと保護者の多様化するニーズへの対応 新ボップ学童クラブの実施時間延長モデル事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により一旦休止としている。 一定のニーズがあることも確認された一方で、新ボップ事業のあり方検討委員会報告書では、安定的な運営に向けての課題も示された。 3 新たな施策の方向性 (1)狭隘化について 狭隘化する新ボップ学童クラブに対応するため、学校教育に支障のない範囲で、新たに放課後の 普通教室(2教室)を新ボップ学童クラブの専用区画として活用し、運営状況に応じて必要な人員体制を構築する。 まず、狭隘化・大規模化する5校程度の新ボップ学童クラブから対応する。 (2)大規模化について 現状の学校内新ボップ学童クラブだけの取組みでは、大規模化の解消は困難であることから、民間の放課後児童健全育成事業を誘導・確保し、子ども・保護者のニーズに基づく選択による利用者の分散化を進め、新ボップ学童クラブの規模の適正化を図る。 規模の適正化により、職員が、一人ひとりの児童と向き合い、個々の子どもの自立を支援していく。 また、関係所管と連携し、配慮を要する児童(医療的ケアが必要な児童)へ対応する。 (3)子どもと保護者の多様化するニーズへの対応について 民間の放課後児童健全育成事業を活用し、適切な利用料による時間延長ニーズに対応する。 その他、民間事業者の創意工夫やノウハウの活用により、子どもと保護者の要望へ対応して新ボップ学童クラブのサービス内容以外の独自サービス提供を可能とする。 4 民間事業者の活用についての具体的な方策案 令和4年度から、新ボップ学童クラブ以外の新たな放課後の居場所の創設のため、民間の放課後児童健全育成事業を誘導・確保する (目標数:おおむね2支援の単位で15か所程度)。 誘導・確保の方策として、公募により民間事業者を選定し、区と民間事業者との間に放課後児童健全育成事業運営事項等の協定を締結したうえで、開設準備経費及び運営経費を補助する。 なお、運営時間を平日午後7時以降までの開所等の条件を満たすものとする。 (1)民間の放課後児童健全育成事業の誘導・確保について 1 誘導・確保の考え方 新ボップ学童クラブ登録児童数の推移見込みにより、登録児童数200人程度、またはそれを超える大規模化した新ボップ学童クラブ周辺 (徒歩15分程度、おおむね1.2q)を優先的に対象とし、順次、登録者数120人を超える新ボップ学童クラブ周辺に対象を広げる。 今後、確保状況や新たな生活様式による子育て世代の働き方及び人口動態の変化を見据え、子ども・子育て支援事業計画見直しの中で、放課後児童健全育成事業の需要量見込みと確保の内容を定めていく。 民間の放課後児童健全育成事業の誘導・確保の取り組みによる新ボップ学童クラブ登録児童数の推移見込みについては、表のとおり。 推移見込みの表 3 誘導・確保する民間の放課後児童健全育成事業の事業開始時期 年度途中で環境が変わることは子ども達の生活リズムに与える影響が大きいため、原則として毎年度4月に事業開始するものとする。 初年度は、児童と保護者が新しい環境に慣れる機会を設け、新ボップ学童クラブ以外の放課後の居場所に円滑に移行できるよう、プレ運営を実施する。 4 誘導・確保する民間の放課後児童健全育成事業の利用料 新ボップ学童クラブと同等サービス利用範囲についての利用料は、新ボップ学童クラブと同額 (現行:月額5,000円)とし、利用料免除の要件を備えた世帯(住民税非課税世帯等)の利用料の減免についても同様とする(減免分については償還払い)。 なお、午後7時まで利用した場合の延長利用料(月額1,000円)及びその免除については利用料と同様とする。 (2)公募の参加対象の民間事業者について 現に区内及び他区等で放課後児童健全育成事業の運営実績のある民間事業者を対象とする。 (3)民間の放課後児童健全育成事業の質の担保に向けた区の役割について 区が民間の放課後児童健全育成事業者への指導や研修等を行うとともに、児童館の有する地域ネットワークにより新ボップや子ども家庭支援センター等と連携して、子どもの見守り等の支援によるセーフティネット機能や質の担保が確保されるよう区が役割を担う。 (4)民間の放課後児童健全育成事業及び利用者への支援策 公募により選定した新設する民間の放課後児童健全育成事業所及び利用者への支援として、補助を行う。 また、利用料減免要件を備えた利用者への利用料補助を行う。 併せて区内既存の民間の放課後児童健全育成事業所についても活用を図るため、公募を行い令和5年度開設に向け検討をする。