資料5 令和3年8月16日 子ども・若者部 児童相談所 児童相談所開設に伴う子どもの権利擁護に関する取組みの実施状況について 1 主旨 児童相談所開設から1年が経過し、児童相談所が一時保護所へ保護した子どもや、児童養護施設、里親などに措置した子どもの権利擁護に関する仕組みの実施状況について報告する。 2 一時保護、措置された子どもの権利擁護にかかる取組み内容 (1)一時保護所における取組み 1 一時保護所第三者委員の設置 弁護士等を一時保護所第三者委員として設置した。 委員は定期的に一時保護所へ訪 問し、子ども達の様子を確認するとともに、必要に応じて面談し、意見や要望を聞き取り、その内容は適切に児童相談所等へ伝達するとともに、対応経過と結果について確認している。 令和2年度活動概要 活動実績 10回(原則として委員2名が同日に活動している。) 活動内容 子どもから受けた相談件数 38件(延べ14人) 分類別件数 2 その他の取組み 入所者等からの苦情や要望の適切な解決を図るための体制を構築するとともに、一時保護所へ入所した際の初回面接時に、一時保護所のしおりを使って一人ひとりの子どもの権利が保障されることを一時保護所職員から説明しているほか、子どもが誰にも見られずに、自身の意見を、第三者委員、人権擁護機関へ相談をすることができる意見箱の設置、入所している子どもたちによる会議の開催(毎週)や職員による子どもの意見を聴く会の実施(毎月)など、一時保護所内における子どもの権利の保障に努めている。 (2)一時保護所の外部評価の実施 外部評価機関により、一時保護所において子どもの権利が守られている体制であるかを含めた評価を定期的に実施(3年に1回の実施を想定)する。 令和2年度に初回の評価を実施した。 令和2年度評価結果 別紙「世田谷区児童相談所一時保護所外部評価報告書」のとおり (3)措置された子どもにかかる取組み 1 児童福祉審議会措置部会 児童福祉審議会は児童相談所開設に伴い、児童福祉法、世田谷区児童福祉審議会条例を根拠に、区の児童福祉に関する調査審議を行う合議制の機関として設置するもの。 本審議会において設置された措置部会は、子どももしくはその保護者の意向が児童相談所の措置と一致しない場合などに、児童相談所から諮問を受け審議し、その結果を答申する機関であり、原則として毎月実施することとしている。 委員は6名で学識経験者や弁護士、医師など幅広い分野から出席いただき、専門性を活かした検討を実施している。 令和2年度活動概要 活動実績 開催10回(審議12件、報告8件) 審議事項 部会から意見具申や助言を受けるもの(子ども又はその保護者の意向が児童相談所の援助方針と一致しない事例、児童福祉法第28条に基づく施設入所等措置の申立又は同措置の更新の申立を行う事例等) 報告事項 児童虐待防止法基づく出頭要求等の実施状況や過去に部会から意見具申または助言を受けた事案に対する、その後の援助経過の報告など。 2 被措置児童等虐待対応 児童福祉法第33条の14の規定により、被措置児童等虐待に係る通告、届出がされた場合、速やかに、当該被措置児童等の状況の把握、虐待事実の確認等を行うこととされており、区としては施設等検査・指導担当所管において実施する。 また、同法第33条の16の規定により、毎年度、被措置児童等虐待の状況、被措置児童等虐待があった場合に講じた措置等を公表する。 令和2年度通告件数 1件 (対象者未詳の通告であったが調査を実施、結果として虐待にあたるような事実は 確認されなかったもの。) (4)せたホッとを活用した権利擁護 一時保護、措置された子どもが、児童相談所が行った措置に対する不服・不満がある場合や、施設入所者同士の人権侵害、入所施設等の処遇不満、改善要望などがあった場合は、児童相談所や当該施設等において対応することを基本とするほか、せたがやホッと子どもサポート(以下、「せたホッと」という。)へ相談等できるよう、「一時保護所のしおり」や「子どもの権利ノート」を用いて、せたホッとの制度や連絡方法を周知した。 子どもの権利ノート 措置された子どもに対して、施設や里親のもとで生活する際の権利が分かりやすく記載された「子どもの権利ノート」を児童相談所の児童福祉司が説明しながら配布している。 また、この権利ノートには施設外部の相談窓口の連絡先やせたホッと宛のはがきを同封することにより、子どもが権利侵害を感じた際に適切に相談できる仕組みとした。 3 今後検討する取組み (1)被措置児童の意見表明支援のための第三者委員制度の構築 令和元年の児童福祉法改正において、児童の意見表明権を保障する仕組みを検討しその結果について必要な措置を講ずるとされ、令和2年6月には「アドボカシーに関するガイドライン(案)」が示された。 これを踏まえて里親(養育家庭)や児童養護施設等で措置されている子どもや、自立に向けて準備をしている子どもなどに対する「子ども意見表明支援員」の設置も含めた、第三者による意見表明支援のための仕組みづくりに向けて、令和3年度中に外部の有識者も含めた検討体制を構築し、具体的な検討に着手する。 (2)児童相談所の第三者評価 令和元年の児童福祉法の改正において「都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行うこと等により、当該業務の質の向上に努めなければならない」とされ、本年3月に「児童相談所における第三者ガイドライン(案)」が示された。 ガイドライン(案)では第三者評価について、「子どもの権利擁護機関としての児童相談所が機能しているかを確認するために行うもの」「機能しているところ」や「改善すべきところ」を確認し、児童相談所の質の確保・向上を図ることを目的として行うもの」としており、今後、このガイドライン(案)の内容等を踏まえ、世田谷区としての児童相談所の第三者評価のあり方(評価者、評価項目、実施手法等)について検討を進めていく。