令和3年度第1回 世田谷区子ども・子育て会議 情報提供案件等についての委員からのご意見・ご質問 (1)東京都こども基本条例について 意見及び質問 大変すばらしい都条例が施行され、喜ばしい。 特に第十条(こどもの意見表明と施策への反映)、第十一条(こどもの参加の促進)、第十二条(こどもの権利の広報。・啓発)の具体的な施策展開が、条例の実効性を担保するためには大変重要であると思う。 また前文では、新型コロナがもたらしたこどもへの影響を評価し、いかなる状況下においてもこどもの幸福を追求するために都がなすべき責務を明らかにすることを定めている。 これらの点は、都だけでなく、区においても同様の責務として取り組んでいただきたいことである。 例えば、年齢に応じて子どもの権利について段階的に学ぶプログラムを学校教育の場に取り入れ、子ども本人および学校教職員・保護者に、繰り返し浸透させるような取り組みを推進していただきたい。 また、世田谷区子ども条例においても、子どもの権利条約を明記するための改正議論を早急かつ丁寧に進めていただきたい。 (2)世田谷区新ボップ事業のあり方検討委員会の報告について 意見及び質問 報告書中、2014年の「子ども・子育て支援新制度及び新ボップ事業に関する検討委員会」の報告内の意見として(1)学校との連携(2)家庭との連携(3)地域との連携(4)子どもたちの意見の尊重が挙げられ、新ボップの意義についてもまとめられており、現在の新ボップが更なる課題を抱えているとはいえ、現段階でも引き続き残されている課題だと思う。 再度、新ボップのあり方を検討するならば、まず2014年委員会の意見まとめをふまえた現段階での新ボップの評価・ふりかえり(各連携や子ども意見の尊重がどのくらい進んだか、あるいは進まない部分があるとしたらその理由が何か、等)を土台にする必要があると感じるが、今回のあり方検討委員会において2014年委員会の意見まとめがどのように引き継がれているのか、あるいは引き継がれていないのかが読み取りにくかった。 この点をもう少し詳しく教えてほしい。 事務局 2014年の新ボップ事業に関する検討委員会は、2015年を初年度とする「子ども・子育て支援新制度」の開始に合わせ、学童クラブが「地域子ども・子育て支援事業」に位置づけられ、地域でのより一層の子育て支援が求められることになるため、「第2期子ども計画」の策定にあたり、新ボップ事業を検証し、放課後の子どもの成長と活動の支援の充実のため、新ボップ事業の運営について検討を実施しました。 昨年度実施した「新ボップ事業のあり方検討委員会」においては、2014年度の検討内容を振り返りながら、新ボップにおける児童数の増加等の新たな課題を踏まえて検討をスタートしております。 今回は、望ましい子どもの放課後の過ごし方について、子どもを中心におき、放課後に過ごせる場所が複数あり、その時々に合わせて、子ども自身が自主的に選択できるようになることを将来像としてまとめております。 そのためには、学校、家庭、地域と連携して、子どもたちの過ごす環境を整えることが重要となります。 まずは、職員が子どもと向き合う時間をつくるため、新ボップの規模の適正化に取り組み、今回いただいたご意見について、ひとつ一つ検討してまいります。 意見及び質問 子どもたちの意見の尊重は、新ボップの役割の主旨からも最重点ポイントだと思うが、今回のあり方検討委員会では、主に保護者ニーズに視点が置かれ、同等以上に扱われるべき子どもの意見に触れた部分がほぼなかった。 もし主体者としての子どもの意見をまだ集めていないようであれば、今後の「新ボップ事業のあり方検討会」において必ず実施していただきたい。 その場合当然ながら、アンケート調査や職員等によるヒアリングのみによらず、チャイルドファシリテーター等を入れ、子どもの地域での自立過程における新ボップのより良いあり方について、子どもたちに適切な情報提供をしたうえで意見を丁寧に聞けるよう、方法のご検討をお願いしたい。 意見及び質問 民間事業者活用については、単純に場を委託することよりは、「地域資源を掘り起こし、地域連携を充実させるためのコーディネート機能」を持つために民間事業者の力を活用してはどうかと考えている。 ぜひ検討してほしい。 意見及び質問 あり方検討委員会のまとめ1 規模の適正化に関する検討 2 運営体制の見直しについて、これらの検討・見直しにあたっては、その前提として、現在の(主に保護者から見た)新ボップ学童クラブのニーズについて分解整理が必要ではないかと思った。 ボップでは不足し、学童クラブがケアできる要素としては、出欠管理、おやつ、17時(または16時半)以降の安心安全な居場所機能、長期休み中のお昼ごはんの場(ボップでも一部対応)、などが考えられ、これらひとつひとつについて再検討をしていくなかで、新ボップのなかの学童クラブ機能について再定義できる可能性もあると思う。 新ボップに課題はたくさんあるものの、当初より込められた理念には未だに必要性が感じられる。高学年にとってのボップも、(コロナ前の時点で)現実には利用率は低いものの、忙しい高学年児童にとって、すき間時間を使って遊べる貴重な場になり得ることには変わらないと思う。学校施設、でも学校とは違う、だからこそ実現しやすいインクルーシブな場としても期待がある。 したがって、今後の議論のなかでも、理念の部分と現実的な検討を両輪でまわしていただけたらと思う。 そのなかで、定員については仮に設ける場合も、最も必要性の高いと思われる1年生については、全入を維持していただけるよう要望する。 意見及び質問 あり方検討委員会のまとめ3 子どもの自立支援について、むすびに「保護者への子どもの自立の必要性について啓発していく必要がある。」とあるが、個人的実感としては、書面や口頭で伝えることによる啓発のみではなかなか保護者の課題認知に至らないのではないか、または保護者が必要性を実感しても具体的にどうしたら良いのかわからないのではないか、と感じられ、啓発のみでは不十分だろうと思う。 子どもの自立支援は、新ボップおよび保護者・学校・地域とのかかわりが重要な要素だが、ここの点において、拠点となる学校単位での地域連携の主体的模索と、それを担うプレーヤー発掘のきっかけづくりの「しかけ」までの部分を、3.でご提案したような民間を活用したコーディネート機能を用いるなどして、行政に積極的に関わっていただく必要があるだろうと思う。検討をお願いしたい。 意見及び質問 学童クラブの大規模化については、子どもの成長発達を職員がどのように支えるのかの観点から危惧するところ。 100名を超さない、また小集団化できるような生活環境を作る施策が必要だと思う。 意見及び質問 学童クラブが大規模化した場合は、出欠確認や保護者との連絡の取り方でICT化していくことが必要と感じている。 急いで実施しないと職員のミスも発生するのではないかと危惧している。 またアレルギー対応を含むおやつ提供についても、子どもの安全にかかわるところであり、危惧される。 職員の配置基準もあるかと思うが、世田谷ならでは手厚い体制が必要と思う。 意見及び質問 資料として拝見した「望ましい放課後の子どもの過ごし方の将来像」は、実現されれば、とても期待が持てるものと感じた。 なぜなら、保護者へ子どもの自立の必要性について啓発していく必要が大いにあると感じており、子どもが自主的に選択して放課後を過ごせる場所が複数あることは、非常に大切だと思うからである。 周りにいる保護者の傾向として、安全面や子どもの将来への心配さあまりに、民間学童や習い事で子どものスケジュールを埋めてしまう方も少なくない。 一保護者として、その心配はとても理解できるものである。 ただ、民間学童や習い事というのは、やはり大半は営利目的で運営されている。 そして、保護者も金銭を支払うことへの対価として、自分の子どもが「有意義な」時間を過ごすことや、目に見える形で「何かを身につけること」を求めるものだと思う。 そのような場所では、子どもが自発的に何かをしたり、時には大人から見れば「意味のない」ことをすることは難しくなると感じる。特に4年生以降、学童の代わりに塾や習い事へ通うという子どもも多い。 既存の児童館やプレーパークのような場所以外にも、商店街、あるいは、公表施設の中に新たな放課後の居場所を設ける、あるいは既存にある場所の認知度を上げる。 「子ども達が自主的に選択した場所で放課後を過ごすことの大切さ」を啓発する。 というようなことはぜひ進めていただきたいと願う。 意見及び質問 保護者アンケートの回答で一つ気になったのは、「放課後の過ごし方に求める条件」(資料10ページ)の中で、「地域の大人と関われること」や「異年齢で関われること」の優先度が低かったことである(それに対して安全や学習の優先度が高い)。 以前とくらべ、共働きの家庭が増えている中、子ども達は地域の大人と関わる機会が非常に減っている。 親か学校の「先生」、あるいは習い事の「先生」以外に大人との接触がない子どもも多い。 しかしながら、「先生」以外にも、地域の(心ある)大人に見守られて育つということは、本来であれば、保護者にとってもありがたいことだと思う。 そして、地域の学校にもよいことであると思う。 以前、公園で遊んでいる子どもの声や子どもたちのマナーについて、直接子どもを注意するのではなく、近くの学校に連絡が入ったといった事例があった。 このようなことは、もしかしたら、地域の方々が、近隣に住む子どもたちを知っていたら、また違ったかもしれない、と感じる。 自分にはあることなのだが、ちょっとやんちゃな子でも、保護者の方を知っていると、ほほえましく見守れたり、ちょっとしたことなら注意できたりするからである。 学校への苦情が減れば、先生方の負担も減る。 そういう意味でも、学校と地域、子どもと地域が関われる機会というのは、貴重なのではないかと感じている。 新ボップの場で、地域の大人と関われるような機会を設けるのか、あるいは、新ボップとは別に、子どもの居場所として地域の大人ともっと関われる場を作っていくのか、そのあたりは、また検討が必要かと思う。 いずれにしても、保護者自身が「サービス機関に子どもを預ける」という感覚ではなく、「地域のいろいろな方と一緒に子どもを育ててもらう」という感覚が醸成できるような啓発も必要なのではないかと感じた。 今後の新ボップの事業のあり方については、保護者のニーズに応えるだけではなく、保護者の不安や心配に寄り添いながらも、子どもの育ちにとって大切なことは何か、そのために何が必要か、ということを伝えていくことも大切だと思う。 (3)東京都出産応援事業の実施について 意見及び質問 なし (4)世田谷区特定不妊治療費助成制度の継続について 意見及び質問 なし (5)多胎児を育てる家庭への支援事業の充実について 意見及び質問 おでかけひろばの利用に「ふたごを連れていっていいのか悩んだ」という、ふたご子育てのお母さんの声をよく聞く。 ふたご(多子)を育てる親の負担は心理的、肉体的に際立って高く、身辺にちょっとした変化があるだけで、外出を断念するケース等が多くなっている。 (例えば産後ケアセンターの利用当日に、付き添いの親族が来られず、予約を棄権したという例もある) そうした実態を直にみてきたひろばから、今回の支援の充実のなかで、さらに一歩進めてほしい支援の一つを提言する。 それは、タクシー利用の助成などの外出支援と、ヘルパー利用やファミサポ利用などへの支援を合体して、お出かけの際に支援者が付き添うことを可能にするハイブリッド支援である。 タクシーの乗り降り、そこからサポートがあることは、ふたご子育てに、様々な支援が届く第一歩と感じて、提案する。 こうした支援を背景に、 ふたご子育て家族の、産前産後からのピアな交流の仕組みづくり ふたご子育てへの支援者の教育・育成 などを、行政と支援者の協働ですすめる喫緊の課題にとりかかることが可能になると感じている。 意見及び質問 ふたご子育ての支援利用に、年齢制限があるが、3歳まで利用できるように延長策を検討願いたい。 意見及び質問 多胎児に限らずだが、世田谷版ネウボラ、妊娠期からの支援を引き続き充実させてほしい。 特に、妊娠期のうちにパートナーとともに実際的な知識を得て共有し、地域の親ネットワークにそれぞれがリーチしやすい環境があれば、子育てのスタート時のなにもかもがわからない不安な時期に、頼る先が得られることと思う。 父母学級を拡張させ、魅力的な妊娠期プログラムを各地域と連携して実施するなど、いろいろやり方が考えられるのではないかと思う。ぜひ検討してほしい。 意見及び質問 世田谷版ネウボラの一旦のゴールは、小学校入学ではなく、「子どもの地域のなかでの自立」ではないかと考えている。 すなわち、周囲を頼りながら、自分のことを自分で決めていけるようになるまで、切れ目なく支援をしていっていただけたらと思う。 (6)生活困窮世帯の子どもへの生活応援給付事業の実績等について 意見及び質問 なし (7)外遊び活動団体を利用する保護者の負担軽減給付金の支給について 意見及び質問 プレーパークを行政と生活者と研究者などによる協働プロジェクトとして創設し、全国に波及させてきた世田谷区にふさわしい支援が実現したと感じる。 さらなる取組として、この支給が、3歳から、200日以上の活動に対して支給されるが、こうした線引きをはずし、1歳、2歳の子育て家族による週に数日レベルの自発的・自主的な活動への支援について提案したい。 産前から1歳、2歳の子育てのスタート期は、地域コミュニティに帰属感が持ちにくく、孤立しがちである。 深刻な子育て課題が増加傾向にある今日、閉じこもり育児を防ぐため、また、子育て家族が自らを追い詰めることのないよう、外遊びへ誘いだすことは、子育て家族支援に、とても有効な予防策だろう。 人と切れ目なくつながり、地面と切れ目なくつながる子育てをネウボラの柱としてほしいと感じている。地域の活性化にもつながると思う。 (8)世田谷区社会的養育推進計画の策定について 意見及び質問 小規模かつ地域分散化の促進ができるよう、区の支援により、グループホームの建設ができる土地の斡旋や土地を所有する支援者の開拓を行っていただくことが重要かと思う。 今年度より4名の国型グループホームの設置が可能となったが、その分グループホームの個所数が増えるので、家庭的環境を目標とする場合は、サテライト型グループホームが多く設置できることが必要かと思う。 子どもの権利擁護の観点から一時保護所の機能充実は必須と思う。 十分余裕ある一時保護体制を築くために、特に、病院等により治療を伴うレスパイトができるようにならないものかと進言する。 フェアスタート事業について、施設を退所した若者の支援から、退所者支援団体に対して一定の補助がでないものかと思う。家賃補助、宿直補助等である。 児童養護施設には、他区等からの入所児童がいる。 それにより児童相談所も世田谷区児相だけではなくなるので、この「社会的養育推進計画」が児相ごと(区ごと)に異なってはならないものと考えている。 子どもの最善の利益が子どもの住んでいた地域で異なることのないようお願いしたい。 その他案件について 議事(4)区立保育園で行われた不適切な保育(虐待行為)に関する外部有識者による検討委員会および今後の区の取り組みについて(報告) 意見及び質問 保護者が園内にも入れない、学校も参観が制限されているなど、コロナの関係で子どもの施設は今密室化していて、かつ先生方も不安やストレスが増え、子どもにとってのリスクが高まっている。 先生への研修にとどまらず、公開・透明化・コミュニケーションが求められていると思う。 全保護者に対して、子どもの様子を気にかけ、様子を聞くこと、気になることがあれば迷わず確認すべきことを、区として周知し、先生が忙しい、園には言いにくい場合は区に窓口を設け、苦情や疑問を積極的に受け付ける必要があると感じる。 (不登校に関して、先日全保護者に、対応方法などについて区から配布があったのは大変良かったと思う。) さらに、韓国では保育所に監視カメラの設置を義務化する、イギリスでは多くの学校にいじめ防止などのために監視カメラがある、と聞き、そうした取り組みを区として考えられないか、あるいはコロナによる密室化に対して、ズームなどでのオンライン参観を推進するなど、検討できないかと思う。 現在、民間の保育園は第三者サービス評価を入れることになっている。 法人によっては毎年受けているところもあるかと思う。 やはり外の目を入れた方が良いと思うので、第三者の評価機関が毎年評価にはいるような仕組みを作ったらどうか。