資料4−2 令和2年10月 区立保育園における「子どもの心身に有害な影響を与える行為」 に関する検証報告書 令和3年3月 世田谷区 区立保育園における保育のあり方検討会 はじめに 令和2年10月8日、区立保育園において、保育士による不適切な保育が行われているとの通報が保育課宛にあり、それを受けての区による特別指導検査の結果、「9つの不適切な行為が行われ、子どもの心身に有害な影響を与えているため改善が必要である」との指導がありました。 これまで、世田谷区では、区の保育の指針となる「世田谷区保育の質ガイドライン」を定め、子どもの権利・人権を大事にしながら、区内保育施設における保育の質の維持・向上に努めてきました。 しかしながら区立保育園において、このような事案が発生したことにより、不適切な行為を受けたお子さまと保護者の方に深いご心痛を与えることとなってしまったばかりでなく、区内保育施設に子どもを預けている保護者の方々に対しても、安心・安全と保育の質に対する不安を生じさせる結果となってしまいました。 区では、この事案を大変重く受け止め、外部有識者をメンバーとする「区立保育園における保育のあり方検討会」を立ち上げました。 本報告書は、検討会がこの事案について、事実関係の確認や発生原因の分析及び検証を行い、再発防止策を検討するとともに、今後取り組むべき課題に対し提言を行うため、とりまとめたものです。 第1章 検討会について 1 検討の目的 本検討は、令和2年10月に判明した世田谷区立保育園で起こった職員による子どもの心身に有害な影響を与える行為について、外部有識者による検討委員から構成される検討会が事実関係の把握や発生原因の分析等を行うことにより、同様の事例が再び発生することを防ぐための必要な再発防止策を検討し、提言を行うものである。 なお、本検討は、特定の個人または団体の責任の追及、関係者の処罰等を目的とするものではない。 2 検討会の設置 (1)設置根拠 「世田谷区区立保育園における保育のあり方検討会設置要領」に基づき、区立保育園における保育のあり方検討会(以下、「検討会」という)を設置する。 (2)委員構成 委員は、保育、福祉等についての専門的な知識または経験を有する次の4名をもって構成する。 委員長 森田 明美 東洋大学教授 加藤 吉和 鎌倉女子大学学術研究所、子ども発達臨床研究施設研究員 田谷 幸子 帝京平成大学講師 菊池 和子 社会福祉法人福音寮 保育スーパーバイザー (3)検証方法 本事案の検証に当たっては、区保育課から事案に関する情報の提供を求め、その情報を基に職員の不適切な保育に関する事実経過と発生用意の検証及び今後の予防と再発防止策を検討する。 (4)検討会の開催状況 12月18日 金曜日 第1回検討会 委員委嘱 検討会の目的について 事案の概要、状況等について 事案についての質疑応答 1月22日 金曜日 第2回検討会 第1回検討会で出た検討事項の確認 当該保育士、当該保育園(組織)についての検証と改善点について 2月19日 金曜日 第3回検討会 第2回検討会で出た検証結果と改善点に基づき、具体的な改善策と提言について 3月17日 水曜日 第4回検討会 全体のとりまとめと提言についてのまとめ (報告書素案の内容確認・修正) 第2章 事案の概要・経緯 1 事案の概要について 令和2年10月8日木曜日に区へ、匿名で区立保育園において保育士が不適切な保育を行っているとの通報があった。 区は、この通報を受け、10月8日から保育課が園職員に聞き取り調査を行い、10月16日金曜日には、区保育認定・調整課が子ども・子育て支援法に基づく特別指導検査を行った。 10月28日水曜日、29日木曜日には、臨時保護者会を行い、保育課の調査から確認された当該保育士による4つの行為について保護者に謝罪と経緯説明を行った。 また、11月25日水曜日には特別指導検査の結果通知を受け、当該保育士による9つの行為が子どもの心身に有害な影響を与える行為のため、改善を図るようにとの文書指導があった。 それを受けて、12月8日火曜日、12月9日水曜日に再度、臨時保護者会を行い、保護者に指導検査の結果報告と謝罪を行った。 この間、10月16日には保育課育成支援班の保育士2人が訪問して開園時間から閉園時間までの保育を検証した。 また10月19日から11月27日まで週に3〜4回、該当保育園での保育が適切に行われているか保育に加わり、検討をした(その後も現在に至るまで定期的に継続中)。 当該保育園では保育課の支援を受けながら、すべての保育を早急に見直し、12月25日金曜日には、改善状況報告書を区保育認定・調整課へ提出するとともに、改善を図り、「子どもを中心とした保育」に取り組んでいる。 また、区立保育園全体としても園長会を中心にして、今後、区立保育園で二度とこのような事案をおこさないために、再発防止策を検討し、可能なものは既に対策を実施している。 2 保育課の調査で確認し、10月28・29日の臨時保護者会で保護者に伝えた当該保育士による4つの行為について 1 子どもとのアイコンタクトをしたとしつつも、敷布団を保育士の膝の高さから園児の身体に落とした。 2 夏場のシャワー時、嫌がる園児に水をかけた。 3 保育士が園児の頭に手を置いたり、軽くポンと押し、「なになにしないと、 なになにだよな」と言った。 4 午睡時に、おまじないで園児の頭に消しゴム等を置き、寝かせた。 通報を受けた10月8日から14日までに保育課が行った当該保育士をはじめ、同園の職員へのヒアリングから確認できた4つの行為を臨時保護者会及び11月1日区議会保健福祉常任委員会で報告した。 3 子ども・子育て支援法に基づく区(保育認定・調整課)による特別指導検査で指摘をうけた9つの行為について 1 午睡の際、寝入りばなの子どもに、二つ折りにした敷布団を、上半身に落とす行為をした。 2 食事の片付けの時、行動がゆっくりの子に「まだ終わってなかったのか」と言いながら、頭の上に音がするくらい両手を振り下ろしてあてた。 3 次の通り、乱暴な言葉を使用した。 食事の準備の時、座っていない子どもに「何回も言ってんだろ」と言った。 着替えをしていたが手間どっていた子に「何でこんなことも分かんねえんだ」と言った。 4 食事の際、泣いてしまった子どもを隣室に1人にした。 5 食事の際、飲み込めなくても口から出してはいけないと強く指導をした。 6 おやつを食べなかった子どもの指導で、泣いていた子どもを年齢より下のクラスに連れて行った。 7 トイレにトイレットペーパーでいたずらを2日続けた子どもに対し、オムツを使用していないのに「トイレが使えないやつはオムツで寝かせるぞ」と言った。 8 午睡の際、おでこに消しゴムを置いて動けないようにして寝かせる行為をした。 9 午睡の際、幼児クラスで視界をふさぐように子どもの顔にバスタオルをかぶせた。 通報を受けて事実確認のために実施した保育課の調査のほか、子ども子育て支援法に基づく特別指導検査で、同園の職員へのヒアリングを改めて行うとともに、会計年度任用職員を含めた全職員へのアンケートも実施し、この回答から得られた情報により、9つの行為について改善を要する事項として指摘した。 また、正確を期すため、当該保育士の主観を除くとともに、できる限りヒアリングやアンケートの回答者一人ひとりの表現をそのまま用いて指摘事項としてまとめたことから、上記2の表現と変わっている。 内容については、12月1日区議会福祉保健常任委員会及び12月8、9日の当該園保護者会にて説明済。 4 子ども・子育て支援法に基づく区(保育認定・調整課)による特別指導検査で指摘をうけた9つの行為についての区(保育課)の見解 12月18日に行われた第1回検討会において、各委員から、不適切な保育=虐待という認識を持っているので、今後の議論を進めるためにも、次回までに区として9つの行為をどう捉えるか明確にするようにとの意見が出された。 それを踏まえ、令和3年1月4日に児童相談所に相談に赴き、また区として、虐待の定義と今回の9つの行為を改めて検証した結果、「9つ全ての行為が児童虐待にあたる」と判断し、その旨を令和3年1月22日に行われた第2回検討会で報告し、それ以降の検討会での議論を進めた。 参考 世田谷区保育部の体制と指導検査について (1) 保育部の体制と役割(令和2年度) 保育課 特定教育・保育施設(区立保育園含む)及び特定地域型保育事業の運営及び調整等に関すること 保育認定・調整課 認可外保育施設の運営及び調整等、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の利用調整等、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の指導検査に関すること 保育計画・整備支援担当課 保育に係る計画の策定及び推進等、私立の特定教育・保育施設、特定地域型保育事業等の整備及び認可等に関すること (2)区立保育園の指導検査 令和2年に区児童相談所が設置される以前は、認可権限が東京都にあり東京都が児童福祉法第46条に基づく指導検査を行っていた。 区児童相談所を設置後、児童福祉法第46条に規定された指導検査のうち、児童相談所設置区が設置する保育所に対する検査は、設置区が処理する事務から除かれているが、設置区が設置する保育所については、自らの内部管理権限に基づき行うものであると整理された。令和2年4月以降、保育認定・調整課は、子ども・子育て支援法に基づき区立保育園の指導検査を行っている。 5 一連の主な経緯とこの間の対応策及び改善策について 令和2年9月25日 金曜日 当該保育園の保護者から区民の声に「子どもが特定の保育士のことを怖がっているので、指導をしてほしい」との意見が寄せられる。 該当保育園に事実確認の電話を入れ事実確認。以下の指示をする。 1 再度の状況確認 2 子ども中心の保育がなされているか確認 3 各職員へ自身の言動についての注意喚起を促す 10月8日 木曜日 外部から匿名で「区立保育園で不適切な保育が行われている」との通報 保育課による当該保育園職員への調査開始 通報日の午後、該当保育園長に事実確認 1 日常の職員の子どもへの対応 2 具体的な園長の対応 保育について子ども中心の保育、気持ちに寄り添う保育を行うよう注意喚起 10月9日〜14日 保育課による当該保育園職員への調査実施 保育課による全職員へのヒアリング 10月13日〜16日 当該保育士は午睡時の保育には関与しない 10月16日 金曜日 保育認定・調整課による特別指導検査実施 保育課ケース会議にて当該保育士による4つの不適切な行為を確認 保育課から当該保育園に巡回支援相談員を派遣。 1 安心・安全な保育が行えているか、子どもの様子や職員の見守りとサポート 2 今後の保育の改善に向けた指導や助言(現在も継続中) 保育課の係長を派遣 当該保育園の問題点についての職員会議に参加、手法や視点について助言。 10月 巡回支援相談員派遣 9回 10月19日 月曜日 当該保育士は保育に関与せず事務作業を指示 保育課の係長が派遣や電話にて園運営の指導・助言(現在も継続中) 10月20日 火曜日〜 当該保育士を保育園から保育課勤務とする 巡回支援相談員や保育課係長における 1 研修(こどもの人権について等) 2 ヒアリング(今までの保育やチームワークの振り返り等)を実施 現在も継続中 10月28日 水曜日〜29日 木曜日 臨時保護者会の実施 保育課長、教育保育施設係長が出席 10月29日 木曜日 保育課による当該保育園に園内研修実施「施設内で起きるマルトリートメントを防ぐために」 11月 巡回支援相談員派遣 13回 11月〜 区立保育園全園へ保育課巡回支援相談を再実施 巡回支援相談員による相談や支援 1 子ども中心の保育、子どもの人権に向けた取り組みの確認 2 職員育成の対応について等の聞き取り 11月2日〜16日 当該保育園保護者への個人面談及びアンケート調査を実施 11月4日 水曜日 緊急園長会の開催 区立保育園園長会による「子どもの人権PT」立ち上げ 緊急園長会にて課長より報告 各保育園で子ども中心の保育がなされているか振り返りを行い、話し合いを実施することを指示 11月11日 水曜日 福祉保健常任委員会へ「区立保育園における不適切な保育」報告 11月13日 金曜日 保育課による区立保育園研修実施 「乳幼児期の子どもの権利と保育」 11月17日 火曜日 全園が課長に報告書を提出する 「子ども中心の保育について」 (その後の検討も各園にて継続中) 11月24日 火曜日 区立保育園園長会による「子どもの人権PT」設置。 1 区立保育園全園における子どもの人権を守るための保育検討。 改善策を令和3年3月に作成し4月から実施 2 園長会から依頼したミドル研修生による保育実践検討会を設置。 (今後の保育について検討し、令和3年3月のまとめに繋げた) 11月25日 水曜日 保育認定・調整課が「特別指導検査の実施結果」を区(保育課)へ通知 保育課が特別指導検査の実施結果を収受。 改善を要する事項が認められたため、速やかな改善と改善状況報告の提出を指示(締め切り12月25日)。 11月26日 木曜日 保育課による区立保育園全体研修実施「子どもを尊重する保育」 (講演内容をDVDにして区立園全職員で視聴する) 12月 巡回支援相談員派遣 3回 12月1日 火曜日 福祉保健常任委員会へ「区立保育園における不適切な保育に関する特別指導検査の結果及び「区立保育園における保育のあり方検討会」の設置について」報告 12月8日 火曜日、9日 水曜日 第2回保護者会の実施 特別指導検査の結果報告と謝罪、今後の改善策と対応について説明を行う。 12月25日 金曜日 特別指導検査にかかる改善状況報告書を提出。 当該保育園において改善状況報告書に基づく改善策を開始。 保育課に月ごとに改善経過、進捗状況についての提出を指示 12月下旬 子どもの人権について各園での取り組み報告の提出 保育課にて保育園職員によるDVD視聴の感想文、及び各園の取り組みの報告を確認 令和3年1月〜3月 「区立保育園のあり方検討会」検討状況の各区立保育園へのフィードバック 1、2、3月の定例園長会にて「区立保育園のあり方検討会」の報告、全園長との情報共有 1月 巡回支援相談員派遣 4回 2月 巡回支援相談員派遣 4回 2月12日 金曜日 福祉保健常任委員会へ「区立保育園で行われた不適切な保育への対応及び検証状況について」報告 保育課による区立保育園研修実施 乳幼児期の子どもの権利から考える「公立保育所の価値」 3月 巡回支援相談員派遣 3回 3月23日 火曜日 保育園引継ぎ 園長引継ぎ時に、巡回支援相談員同席 第3章 検証を通じて明らかになった課題と提言 本検討会は、各種資料の精査及び保育課による関係者ヒアリングを基に、当該保育士の不適切な保育に関する事実経過と発生要因及びそこから明らかになった課題を分析するとともに、このような事態を招いた背景等についても検証を行った。 以下にこれらの検証結果を示すとともに、世田谷区が二度とこのような問題を起こさないよう徹底的に改善を図り、今後よりよい保育を実現することを願い提言を行う。 1 本事案の検証とその結果に基づく提言 事案発生の分析により、当該保育士の行為及び当該保育園全体として考えたときに、保育実践の基本である「子どもを中心とした保育」が行われていなかったことから、本事案が発生してしまったことは明らかである。 調査に基づく検証から4つの対象(当該保育士、当該保育園、区立保育園全体、区の対応)についての課題が明らかとなったので、検証結果と併せて、改善に向けての再発防止策を提言として述べる。 検証1 当該保育士について 保育課の調査を基に、当該保育士がこれまでどのような指導を受け、保育を行ってきたか、また当該保育園での保育状況や他職員との関係について分析・検証した。 (1)調査の中から見えてきたこと(背景と当該保育士の特徴など) 子どもへの関わり方 子どもとよく遊ぶ保育士であるが、自分の好きなことを優先する傾向 にあり、子どもの気持ちに寄り添うという意識に薄い部分があった。 子どもに対して悪ふざけの対応をして、子どももそれを楽しんでいると思っていたが、その行為が子どもの権利・人権を侵害しているという意識がなかった。 仕事への関わり方 保育の場面で行事などをリードしていく力はあり、それに自信を持っていたためか、一方で当該保育園や過去に在籍していた園では園長や他の職員から指導を受けた時に、自分の主張を通そうとする姿が見られた。 当該保育園内での人間関係がうまくいっておらず、日頃よりコミュニケーション不足があった。 (2)検証結果(課題) ア 保育士として必要な能力・適正について、これまでの園長の評価や指導の中で、見極めと適切な指導が不十分であった。 イ 「子どもの権利・人権」に対する意識が薄かったため、行為を行った際にも、子どもに有害な影響を与える行為であるとの認識に乏しく、9つの行為につながっていったものと思われる。 ウ 入庁してから、これまで様々な指導を受けてきたが、子どもへの対応や職員関係について根本的な改善が図られてこなかった。 エ 他の職員との話し合いや相談などが少なく、職場内で孤立しがちだった。 (3)検証結果を踏まえた提言 1 保育士としての能力と適性の確認とそれに基づく指導方法の確立 子どもの命を預かるという職務の重大性と、採用されすぐに保育実践にあたることを考えると、採用後半年〜1年の期間で保育士としての能力と適性についての評価を園長・副園長が行ったうえで、能力の向上につながる適切な指導と育成を行っていく必要がある。 評価の仕方については、一般事務職とは職務内容が異なるため、保育士に係る独自の基準を作成して、専門職である保育士一人ひとりの課題と取り組みに対する評価を見える化することによって、「子どもの権利・人権」を守る保育が行われていることが客観的に確認できるようにすることが必要である。 また、採用1年目以降も、5年、10年といった節目ごとに保育士としての能力の向上と適性の確認を行いながら、保育の質を高めていく必要がある。 そのために例えば、公開保育や外部講師によるスーパービジョンを取り入れ、客観的な視点から保育内容の確認を行い、継続した職員指導と育成を行っていくことが求められる。 2 「子どもの権利・人権」を守る保育の実践 園長・副園長は、職場内において、カリキュラム反省などの会議の場や園内研修等を通じて、「子どもの権利・人権」について日頃から話し合いや保育の振り返りを行う場を作り、全職員が同じ認識で保育を行っているかの確認を繰り返し、徹底して行うことが重要である。 それを踏まえながら、保育所保育指針や世田谷区保育の質ガイドラインに沿った「子ども中心の保育」を実践できているかを点検・改善をしていく必要がある。 また、保護者にもその重要性を伝え、保護者も子どもの権利・人権とはどういうことなのかをきちんと理解したうえで、適切な養育者となれるように、支援していくことが重要である。 3 園長職による適切な職員評価と問題改善への支援(人事評価への要望) 園長は、日ごろの保育から、1で提案した保育士としての独自の評価基準に基づき、職員の評価を行う中で、保育士として改善すべき課題・問題(例:子ども中心の保育が行われていない)があると判断した場合は、副園長や主任と協力しながら、保育士にその課題・問題を自覚させた上で、一緒に課題解決に向けた取り組みについて考え、支援しながら解決に導き、保育士としての能力向上につなげていくことが必要である。 4 保育士としての能力・適性を考慮した人事(人事異動への要望) 職員採用後に行われる園長等による職員指導の中で、保育士としての適性(子どもの命を預かることについて)に欠けている(例:虐待や小児性愛など、子どもの命の危険につながるような内容)と判断された場合の人事異動等の対応についても、検討すべきである(例:保育士分野以外への人事異動等)。ただし、人事については、保育士の人権にも配慮する必要がある。 また、人事評価の見える化を図り、引き継ぎだけではなく、その保育士の経歴、過去にどういう指摘、評価があったかを追えるような作りにするとともに、本人にも開示していくことが必要である。 検証 2 当該保育園の対応について 本事案が発生する前後の当該保育園の対応を検証したところ、以下の点に課題があり、当該保育士の行為を防ぐことができなかった。 (当該園でのこれまでの対応の経緯) 令和2年9月9日 水曜日 職員から園長に当該保育士の不適切な行為についての相談 9月24日 木曜日 園長が当該保育士に対して、不適切な行為についての指導を実施 9月25日 金曜日 区民の声に、当該保育園の保護者と名乗る方から(匿名のため、詳細は分からず)、「子どもが特定の保育士のことを怖がっているので、指導をしてほしい」との声を受け、対応 9月29日 火曜日 当該保育園にて、区民の声を受け、園長が各クラス担当保育士へ、保育の振り返りを行うとともに子ども・保護者への対応等について確認した結果を全体職員会議で報告するように指示 10月7日 水曜日 全体職員会議を行い、各クラスの状況を確認するとともに、園全体で、「子どもの人権を尊重し、子どもが嫌ということはやってはならない」ということを再確認 10月8日 木曜日 保育課から、当該保育園で不適切な保育が行われているとの通報があった連絡を受け、対応開始 10月8日以降の対応は7ページ参照 (1)調査の中から見えてきたこと(背景と当該保育園における対応など) 問題への対応の仕方 園長が9月9日に当該保育士の行為について職員から相談を受けていたにも関わらず、実際に指導を行ったのは9月24日だった。 同僚職員も当該保育士の行為を見聞きしていたが、意見が言えなかったり、そのままにしたりすることがあった。 職場内運営の方法 職員間のコミュニケーション不足があり、職場内のトラブル解決が図られず、そのままになっていた。 職員会議等の場で当該保育士が発言すると、他の職員が何も言えなくなるような場面があった。 人事異動の際に園長同士の引継ぎが上手く行われておらず、職員間で情報が十分に伝わっていなかった。 (2)検証結果(課題) ア 園長・副園長が当該保育士の問題行為を迅速に把握し、適切に指導・改善へと導く育成力が十分に発揮できなかった。 また、改善するための具体的な策が未整備だったため、園内で問題・課題が発生した場合のチェック機能が働いていなかった。 イ 職場全体で見た時に「子どもの権利・人権」に関する意識が薄く、当該保育士の行為を職場全体で防ぐまでには至らなかった。 ウ 園長・副園長を中心とした組織マネジメントが十分ではなく、職場内で自由に保育についての話ができるような風通しの良い職場になっていなかった。 エ 統一的な引継ぎ事項が決まっていなかったため、引継ぎ内容が各園長にまかされ、園における課題の共有と指導の継続ができていなかった。 (3)検証結果を踏まえた提言 1 園長・副園長の保育実践と指導力の強化(職員指導育成力の向上) 子ども達にとって最善の保育を行っていくためには、園長・副園長が子どもの中心の保育を自ら実践し、職員をリードしながら指導していくことが求められる。 そのためには園長・副園長が保育実践の中身を正しく把握し、職員を導いていくための指導方法について、研修等を活用しながら育成力を身に着け、園長・副園長としての自覚を持って保育及び職員指導にあたることが必要である。 区側においても、園長・副園長の能力・適性を適切に評価、指導しながら、園長・副園長として力を最大限発揮できるように支援していくことが求められる。 2 問題・課題が発生した場合の対応方法の検討 今回の事案のような問題・課題が発生した場合の対応方法について、決まった対応方法がないままに各園で対応をしていたため、判断基準の曖昧さがあり、保育課などへの相談がなかった。 問題・課題が発生した場合の早期発見のための仕組み作りと発生対応フローチャートを作成し、もし問題が発生して、それを発見した場合には、1週間以内に速やかな対応を行い、1か月を目途に改善を図る必要がある。 3 問題を未然に防ぎ、早期発見につなげるチェックシートの作成、活用 日頃から、保育士一人ひとりが「子どもの権利・人権」を守った保育を行っているかについて、自身の保育の振り返りができるように、チェックシートを作成し、定期的にチェックすることで、自己確認と予防及び見直しへとつなげ、それを園長が把握して、問題・課題を早期発見し、適切な指導を行っていくことが必要である。 4 園長・副園長の組織マネジメント力の強化 園長・副園長は職員と協力しながら、普段から職員同士が互いの保育について自由に意見を言い合ったり、保育についての相談や振り返りなどの話をすることができる風通しのよい職場作りを行い、問題・課題が生じても組織全体で課題を共有したうえで、解決に取り組めるような組織マネジメント力を今後、より強化していく必要がある。 5 園長の人事異動にあたっての引継ぎ方法の見直し 園長が異動する場合の園長同士の引継ぎ(運営関係、職員育成、保護者対応、園児等)が確実に行われるために、引継ぎについてもマニュアルを作成するなどして、職員体制が変わった後も、組織として「子どもを中心とした保育」の継続的な運営が行えるように随時、見直しを図ることが求められる。 検証 3の1 世田谷区(区立保育園全般)の対応について 当該保育士や当該保育園の検証を踏まえ、区立保育園全体の組織体系や区立保育園の勤務体制や職員育成についても検証を行い、そこからも本事案の課題が出てきた。 (1)調査の中から見えてきたこと(園長会の組織、区の人事異動制度) 園長会の組織運営 当該保育園長は、地域園長会や近隣の園に、当該保育士の行為について、相談や話はしておらず、園長会でも事態の把握はできていなかった。 職員の人事異動 職員の異動は約4年周期で行われており、異動先も全く異なる地域になることもある。 (2)検証結果(課題) ア 各地域園長会の機能が情報伝達等が中心となってしまい、各園の問題・課題を相談したり、情報共有を図る部分については機能していなかった。 イ 異動年数が短いことと、異動先が別の地域になることもあるため、乳幼児期の子どもの育ちをトータルで見ていくことと、地域との関係を継続的に構築していくことが難しいのではないか。 (3)検証結果を踏まえた提言 1 地域園長会を含めた園長会の役割と機能の見直しと強化 地域の中でも地区で2〜3園の姉妹園を作り、園長及び保育士等の連携・交流を図りながら、地区・地域内で責任を持って保育を行う必要がある。 地域園長会が園長のスーパーバイズを行う場として機能するよう、スーパーバイザーとしての役割を果たすような仕組み作りを行う必要がある。 2 人事異動の年数と異動場所についての見直しの必要性 現在は、原則4年間で園長も含めた職員の人事異動が行われているとのことだが、保育の場合、子ども一人ひとりの愛着の発達とアイデンティティの形成を考えていくと、もっと長く一人の職員が子どもの成長に関わることで、長期に安定した保育を展開することができるのと考える。 例えば、0歳児が入園して卒園するまでの6年間は必要なのではないか。 また、地域の身近な公設の児童福祉施設として、区立保育園が地域子育て支援の役割を果たしていくことが今後、益々重要になっていくことを考えると、特に園長は、様々な地域の関係機関や住民との継続した関係性を築くことが重要となっており、もっと長い期間の在籍が必要と考える。 さらに人事異動により、全く経験のない地域に異動してしまうと、地域の状況が分からず、地域の子ども、家庭を支えていくことができなくなるため、例えば、地域の5ブロックの中で異動を行い、地域の保育士として、地域に根差した区立保育園を作っていくことも必要ではないか。 3 地域の連携の中心となる区立保育園のあり方の検討 区立保育園は、「世田谷区保育の質ガイドライン」にうたわれている「子どもを中心とした保育」を実践するとともに、各地域に設置される区立拠点園を中心として、保育施設と連携・協力を図りながら、地域の保育施設に「子どもを中心とした保育」を浸透させていく役割がある。 その決意をしっかりと持ち、地域に積極的に出て、その役割を果たすことが求められる。 4 地域で楽しく子育てができるための区立保育園の今後の役割 世田谷区では子育て世帯のうち、約3ぶんの1が在宅家庭での子育てである。 よって在宅子育てをそれぞれの地域で支えていくことが重要である。 区立保育園でなければできない関係機関と連携した在宅子育て支援の役割を今まで以上に担い、地域の親や子どもに役立つ施設となっていく必要がある。 また、これまでの地域交流事業のような従来の支援に加えて、保育園から地域に出ていくアウトリーチ型の支援を検討し、行っていく必要がある。 検証 3の2 世田谷区(区保育課等)の対応について 区で行っている保育施設への巡回支援相談や区立保育園に関する区の人事制度について調査を行ったところ、改善すべき様々な課題があることが明らかになった。 (1)調査の中から見えてきたこと(背景と区の対応方法や制度など) 保育課の対応 保育課やその他、相談窓口に当該保育士の行為についての事前の相談がなかった。 巡回支援相談で当該園の記録の中に当該保育士についての記述があったが、今回の行為を未然に防ぐことができなかった。 区職員採用試験の状況 職員採用試験は、福祉職としての採用(保育園、児童館、児童相談所一時保護所)となり、1次試験は筆記、2次試験は面接で合否を区が決定する。 (2)検証結果(課題) ア 保育課、園長会、地域園長会、各園が連動した支援体制が不十分であったため、各園ごとの問題・課題の掌握までには至らなかった。 イ 巡回支援相談において、記録は様式として残していたが、保育課内部の情報共有にとどまっており、園との共有や助言、改善までは行われていなかった。 ウ 現在の職員採用試験の内容では、採用前に保育士としての適性・能力を正しく把握することが難しいのではないか。 (3)検証結果を踏まえた提言 1 保育課、園長会、地域園長会、各園の支援体制の構築 保育課、園長会、地域園長会、各園が連動した支援体制を構築し、各園での問題・課題を吸い上げ、支援が必要な案件については、迅速に支援することが必要である。 2 巡回支援相談の見直し(地域ブロック制の提案) 保育課で行っている巡回支援相談は、区内保育施設数の多さもあり、年に1回が基本となっているため、各園での課題・問題についてきめ細やかに対応することが難しい状況にある。 これは一つの提案となるが、今後は、地域、地区ごとの指導という視点を取り入れ、区立保育園地域園長会と協力しながら、5地域をさらに地区を中心としたブロックごと(2〜4園程度)に分け、その中で、日常的な保育の相談・課題等への対応については、ブロック園同士で行っていき、地域の園長会幹事は受け持ち地域についてブロック園の状況を情報共有しながら、定期的に区へ状況報告を行うようにする。 保育課は区全体のセンター的な役割を担い、各地域の問題・課題を吸いあげ、指導改善が必要な事項について早期に介入してくようにすればよいのではないかと考える。 また、これまで課内の情報共有にとどまっていた、巡回支援相談記録を各保育施設と共有するとともに改善結果まで園と確認し、引き継げるように様式を改善することが必要である。 3 職員研修体系の見直しの必要性 採用時から、「子どもを中心とした保育」について学び、早い時期から子どもの人権を守る保育が根付き、実践することができるように、新規採用職員に対して保育の質の向上に関する研修の追加とOJTを活用した継続的な指導育成を行っていく必要がある。 園長・副園長職に対しても、「子どもを中心とした保育」を行うために、管理職として求められる役割、組織マネジメント、人材育成に係る研修を追加し、園長・副園長を側面から支援していくことが重要である。 また、各園で行っている保育実践の確認と質の維持・向上のために外部講師によるスーパービジョンや公開保育を取り入れ、客観的な視点から保育の評価を行っていくことも提案する。 4 職員採用試験への要望 職員採用試験の段階から、受験者が子どものケア者として適切な力を持っているかを区でしっかりと見極めるための仕組み作りを行う必要がある。 同時に受験者に対しては、子どもの命を預かる仕事につくということ、区立保育園の職員として自園だけでなく、地域の中心となって保育の質の維持・向上に努める責務があるということを確認したうえで、採用を決定する必要がある。 2 今回の事案が発生した問題の背景について 今回の事案が発生した主な要因は上記1のとおりであるが、その背景として最も重要であり、それ故に改善を図っていく必要があるのが、当該園における「子どもの権利・人権」に対する認識不足であったと言える。 当該園では、年度始めに「子どもの権利・人権」についての話し合いと確認がなされておらず、園内研修として学ぶ場を設けていなかった。 そのため、「子どもの権利・人権」に対する認識が甘く、当該保育士はもちろんのこと、当該保育士の不適切な行為に対して、同僚職員も事の重大さを十分認識できていなかった。 これらのことが積み重なり、 1 当該保育士が不適切な保育を行うに至ってしまい、当該保育士の不適切な保育に対しても、職場全体として改善に取り組むことができなかった。 2 園長・副園長が不適切な保育があったことへの報告に対して、迅速かつ適切な対応が行えなかった。 3 保育課への報告・相談がなかった。 ということにつながっている。 当該園では、保育マニュアルの改訂、子どもの権利・人権に関するチェックシートの作成と活用、人権に関する園内研修の継続実施など、既に改善に取り組んでいるが、区立保育園全体でも再度見直しを図り、「保育所保育指針」、「世田谷区保育の質ガイドライン」に根ざした「子どもの権利・人権」を守る保育を行っていくと同時に、改めての言にはなるが、保護者へも「子どもの権利・人権」について広く周知し、その思いを保護者と保育士で共有しながら、協力して子どもの権利・人権を守った保育・子育てをしていくことが重要であると考える。 第4章 よりよい世田谷区の保育実現に向けてのまとめ 今回の検証においては、大きく分けて4つの視点から検証し、課題を整理した。 1 当該保育士について 保育士としての能力・適性の確認と指導 子どもの権利・人権についての意識 周囲との人間関係 2 当該保育園について 園長・副園長の指導・育成と組織マネジメント 職場全体における子どもの権利・人権についての意識 人事異動の際の園長の引継ぎ方法 3 区(区立保育園全体)について 園長会・地域園長会の役割と機能 人事異動の年数と異動場所 4 区(保育課等)について 保育課、園長会、各園の連携した支援体制 巡回支援相談の方法 職員採用試験について 再発防止の観点から、それらに対する提言として、主に 1 保育士としての能力と適性の確認とそれに基づく指導方法の確立 2 園長職の職員指導育成力の向上と組織マネジメント力の強化 3 「子どもの権利・人権」を守る保育の実践 4 保育課、園長会、地域園長会、各園の連携支援体制の構築 5 職員採用試験や人事考課制度(人事評価、人事異動)への要望 等を挙げた。 本検討会は、議論を進める中で、世田谷区では「世田谷区保育の質ガイドライン」を定め、保育の質の向上に関する様々な取り組みが行ってきたにも関わらず、何故、保育の質ガイドラインに定める「子どもを中心とした保育」の実践が行われていなかったのか、不適切な保育の修正がなぜ内部の保育士同士や職場内での指摘として行えなかったのかを議論の中心として検証を進め、様々な再発防止策を提言として述べた。 区立保育園に対して、以下のことを期待したい。 第1に今回の事件は全区立保育園の課題としてとらえ、当該報告書を全区立保育園の全職員において確認する。 第2に、本事案を契機に取り組むこととなる再発防止策については、全ての職員が理解し、日々再発防止のために協力・連携して子どもが日々楽しく一人ひとりの育つ力を最大限発揮し、安心・安全な環境で適切な保育が行われる中で育つことを目指す「子どもを中心とした保育」を実践する。 第3に、万が一、問題が発生した場合には、早期発見、早期対応と迅速な解決につなぐことができるように日頃からの保育の振り返りと見直しを行うとともに、地域の保育施設と連携し、保育の質の向上に努めることや地域子育て支援を積極的に行い、地域を支える区立保育園の役割をしっかりと果たしていく。 また、区においても、本事案を教訓として、世田谷区全保育施設がこれまで長年かけて培ってきた子どもの権利の視点を具体化している「世田谷区保育の質ガイドライン」に定められている「子どもを中心とした保育」の実現のために、保育士や保育現場でさらによりよい保育実践のための支援が行われることを切に願う。 (参考 1)世田谷区区立保育園における保育のあり方検討会設置要領 令和2年12月4日 2世保育第1631号 (目的及び設置) 第1条 世田谷区区立保育園で起こった職員による子どもの心身に有害な影響を与える行為(以下、「不適切な保育」という。)について、事実関係の把握や発生原因の分析等を行うことにより、同様の事例が再び発生することを防ぐために必要な再発防止策を検討し、提言を行うため、区立保育園における保育のあり方検討会(以下「検討会」という。)を設置する。 (所掌事項) 第2条 検討会での所掌事項は、次のとおりとする。 (1)職員の不適切な保育に関する事実経過と発生要因の検証に関すること (2)前号の検証を受けて、今後の予防と再発防止策に関する提言 (3)前2号に掲げるもののほか、第1条に規定する設置目的を達成するために必要と認められること。 (組織) 第3条 検討会は、次に掲げる5名以内の委員をもって組織する。 1 委員は、保育、福祉等についての専門的な知識又は経験を有する者とする。 2 検討会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。 3 委員長は、検討会を代表し、会務を総理する。 4 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する。 (任期) 第4条 委員の任期は、令和3年3月末までとする。 (会議) 第5条 検討会は委員長が招集する。 2 検討会は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させて意見若しくは説明を聴き、又はその者から必要な資料の提出を求めることができる。 (委員長の専決処理) 第6条 委員長は、特に緊急を要し検討会を招集するいとまがないと認めるときは、検討会の所掌事項を処理することができる。この場合においては、速やかに検討会に報告し、その承認を得なければならない。 2 委員長は、検討会の所掌事項についてあらかじめ検討会の指示を受けた時は、これを処理することができる。 (議事録の作成及び公開) 第7条 検討会の議事録を作成し、原則として公開するものとする。 ただし、委員長は、会議の審議内容に個人情報が含まれる場合又は公開することにより公正かつ円滑な会議運営が損なわれる恐れがある場合は、議事録の全部又は一部を非公開とすることができる。 (秘密の保持) 第8条 委員は、職務上知りえた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 (作業部会) 第9条 検討会は、必要があると認めた事項を調査及び検討するための部会を置くことができる。 2 部会は、委員長が指名する委員及び委員以外の区職員で組織する。 3 部会は委員長が指名する部会長を置く。 4 部会長は、委員長の要請に基づき部会を招集し、主宰する。 (庶務) 第10条 検討会の庶務は、保育部保育課において処理する。 (委任) 第11条 この要領に定めるもののほか、検討会の運営に関する事項その他必要な事項は、委員長が別に定める。 附 則 (施行期日) この要領は、令和2年12月18日から施行する。 (参考 2)子ども子育て支援法に基づく特別指導検査で指摘を受けた9つの行為の分類について 特別指導検査で指摘を受けた行為と児童虐待の定義に基づく行為の分類 1 午睡の際、寝入りばなの子どもに、二つ折りにした敷布団を、上半身に落とす行為をした。身体的虐待 2 食事の片付けの時、行動がゆっくりの子に「まだ終わってなかったのか」と言いながら、頭の上に音がするくらい両手を振り下ろしてあてた。 身体的虐待 3 次の通り、乱暴な言葉を使用した。 食事の準備の時、座っていない子どもに「何回も言ってんだろ」と言った。 着替えをしていたが手間どっていた子に「何でこんなことも分かんねえんだ」と言った。 心理的虐待 4 食事の際、泣いてしまった子どもを隣室に1人にした。ネグレクト 5 食事の際、飲み込めなくても口から出してはいけないと強く指導をした。心理的虐待 6 おやつを食べなかった子どもの指導で、泣いていた子どもを年齢より下のクラスに連れて行った。心理的虐待 7 トイレにトイレットペーパーでいたずらを2日続けた子どもに対し、オムツを使用していないのに「トイレが使えないやつはオムツで寝かせるぞ」と言った。心理的虐待 8 午睡の際、おでこに消しゴムを置いて動けないようにして寝かせる行為をした。心理的虐待 9 午睡の際、幼児クラスで視界をふさぐように子どもの顔にバスタオルをかぶせた。身体的虐待 児童虐待の防止等に関する法律第二条に定める「児童虐待の定義」に規定される4つの累計(1 身体的虐待 2 性的虐待 3 ネグレクト 4 心理的虐待)から、9つの行為を分類した。 「区立保育園における保育のあり方検討会」 事務局 世田谷区保育部保育課 世田谷区世田谷4−21−27 電話 03−5432−2448