資料12 世田谷区社会的養育推進計画の策定について 令和3年6月1日 子ども・若者部 児童相談所 1 主旨 区は、家庭への養育支援から代替養育までを通した社会的養育の体制整備に一貫して取り組むとともに、社会的養育を着実に推進していくために、その体制整備に向けた区の基本的考え方と目標とする全体像を具体的に示す「世田谷区社会的養育推進計画」を策定した。 このたび、令和2年9月の素案の作成以降、パブリックコメント等による区民の意見募集や社会的養護の当事者へのヒアリングを経て計画策定したので、区民意見等とあわせて報告する。 2 策定の経緯 計画策定にあたっては、専門的かつ広範的な見地からその内容を検討する必要が あり、計画で定める事項に精通した委員により構成される児童福祉審議会(児童福祉審議会は、児童福祉法の定めにより、区長の諮問に答え、関係機関に意見具申等を行うこととされており、里親の認定に関することや、被措置児童等虐待に関することなどとともに、「児童、妊産婦及び知的障害者の福祉に関する事項を調査審議することができる」とされている。)による議論が不可欠となることから、区は、審議会に対し、計画の策定について児童福祉法第8条第2項の規定に基づく諮問を行った。 審議会では、臨時部会(社会的養育推進計画の策定に向けた部会)を設置し、全6回の会議を経て、令和3年1月に区へ計画案を答申した。 参考 臨時部会(社会的養育推進計画の策定に向けた部会)構成員 氏名 分野 現職等 石渡 和実 学識経験者 東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科教授 部会長 松原 康雄 学識経験者 明治学院大学名誉教授 鈴木 秀洋 学識経験者 日本大学危機管理学部准教授 松田 雄年 施設関係者 児童養護施設 東京家庭学校校長 小林 由香里 施設関係者 愛恵会乳児院専門職リーダー(主任) 池田 清貴 弁護士 明石 眞弓 区民委員 世田谷区民生委員児童委員協議会 主任児童委員部会長 齋藤 幸代 区民委員 区民公募 川島 優子 区民委員 区民公募 3 計画の内容 別紙1 世田谷区社会的養育推進計画及び別紙2 同概要版のとおり。 4 素案からの変更点 (1)全般的事項 各資料の数値を令和2年10月時点に修正している。 児童福祉審議会委員等によるコラムを追加している。 (2)区民意見の反映 別紙3 「区民意見募集(パブリックコメント)により寄せられた意見について」のとおり。 (3)当事者意見の反映 別紙4 「当事者ヒアリングについて」のとおり。 (4)その他、児童福祉審議会における議論等を踏まえた修正 1 予防型の児童相談行政の構築(別紙1 41ページ) 学校などの子どもにかかわる機関の職員に対し、課題を抱える子どもの背景や、代替養育の下で育つ子どもへの理解を深める機会を設けるとともに、職員の人事交流なども視野に入れた関係機関との連携強化に取り組む。 2 家庭と同様の環境における代替養育の推進(別紙1 48ページ) 里親の研修で理念教育の講義やグループワークを充実させることで、里親自身がしっかりとした理念と使命を持って、子どもを養育し、子どもから揺るぎない信頼を得られる大人となりうるよう里親の育成に取り組む。 3 代替養育のもとで育つ子どもたちの自立支援(別紙1 55ページ) 区と施設、里親、地域、関係機関は、入所期間中の支援から自立後の見守りまで協力・連携して取り組み、児童虐待の連鎖を断ち切る社会を実現することを目標に、一連の取り組みを進める。 フレンドホーム制度の一層の活用を図るなど、施設で暮らす子どもが施設では得にくい家庭での生活を疑似体験するなどの取り組みを進める。 また、児童相談所は、子どもの希望に沿って里親委託へ切り替えるなど積極的に援助方針の見直しを図る。 また、地域資源を活用するなどにより、施設入所中の児童が家庭を知る機会の創出に取り組む。 特別な事情がある場合を除き、施設・里親への措置にあたっては、区内への措置を優先することを原則とし、区内の施設・里親とこれらの方針を共有し、地域と一体となった養育環境の整備に協力して取り組む。 4 一時保護児童への支援体制の強化(別紙1 59ページ) 一時保護にあたっては、引き続き、里親への一時保護委託を優先する。 乳幼児の一時保護においては、区内に乳児院がないことを踏まえ、より積極的に里親への一時保護委託を活用するものとし、今後の需要量の動向なども踏まえながら、経験豊かな里親の育成に努める。 一時保護所での保護や、施設・里親、都内自治体と連携した保護に加え、民間や地域を活用しての一時保護の受け皿の拡充に取り組む。 5 子どもの権利擁護(別紙1 62ページ) 人権教育と併せ、子ども自身が子どもの権利を学び、さらに意見表明の必要性や意義、仕組みを理解し、自らの考えでこれらを利用できるよう、関係機関等と連携した制度周知に取り組む。 取り組みの一環として、子どもの人権擁護機関「せたホッと」や、児童相談所の通告ダイヤルの利用方法について、学校を通じての周知・啓発に引き続き取り組む。