資料5 令和3年1月12日 障害福祉部障害保健福祉課 「世田谷区医療的ケア児の笑顔を支える基金」の創設について 1 主旨 平成30年度実施の厚生労働省調査によると、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(以下「医療的ケア児」という。)は、全国に約2万人おり、10年前の約2倍となっている。 人工呼吸器の管理が必要な医療的ケア児の約3分の2は新生児病棟から呼吸管理を続けながら在宅に移行しているが、高齢者や他の障害サービスと比較して、支援制度が脆弱なため、ほとんどが家族の献身的努力により成り立っている状況にある。 区として、医療的ケア児に対する支援の充実に向けては、国や都への要望のほか、事業者支援や担い手育成などの取り組みも進めてきている一方で、区民の医療的ケア児への理解を促進し、民間事業者や活動団体による取り組みを地域で支える仕組みを構築していくことも求められており、昨年度からふるさと納税を活用した支援に取り組んでいるところである。 今後、地域が主体となった医療的ケア児とその家族に対する支援に向け、財源を確保し安定的・継続的な取り組みを図っていくため、「世田谷区医療的ケア児の笑顔を支える基金」を創設する。 2 基金創設の背景 厚生労働省調査によると、医療的ケア児は、全国に約2万人おり、10年前の約2倍となっている。 医療的ケア児の多くは、様々な合併症もあり感染症に弱く、成人になるまで生きられない子もいる。 また、高齢者や他の障害サービスと比較して、支援制度が脆弱なため、ほとんどが家族の献身的努力により成り立っている状況にある。 24時間常時ケアが必要な医療的ケア児の場合、保護者がすべてのケアを行うことは難しく、医療や保健、福祉、教育等の関係機関の連携、地域全体で支える仕組みづくりが必要だが、医療的ケアに関する社会的理解は十分進んでいない。 こうしたことを背景に、現在、区がふるさと納税を活用して取り組む医療的ケア児等支援事業にいただいた寄付金等を財源としながら、民間事業者や活動団体による医療的ケア児等支援の取り組みを支える仕組みを構築し、今後も安定的・継続的に取り組む必要がある。 3 基金の使途 医療的ケア児等及びその保護者等を対象として、民間事業者や活動団体が行う福祉事業や公益を目的とした事業等であって、区が適当と認めたものを基金活用事業として助成を行う。 助成内容等の詳細は別に定め、助成対象事業については、年1回程度の審査会により選定を行う。 1 医療的ケア児等ときょうだいを対象とした取組みに対する支援 例 医療的ケア児ときょうだいを対象としたキャンプ等のイベント実施 2 医療的ケア児等世帯の災害支援体制づくりの取組みに対する支援 例 災害に備えて障害児通所施設が医療的ケア児等世帯の安否確認体制をつくり、バッテリーや衛生用品等を備蓄 3 医療的ケア児等を支援する事業等の開設等に対する支援 例 医療的ケア児を受け入れる障害児通所施設の開設時に、施設用の医療機器や送迎車両を購入 4 基金の財源 医療的ケア児等の支援のために、ふるさと納税サイトで集まった寄附金及び区に直接寄せられた寄附金を原資とする。 5 基金の周知 本基金について広く周知を行うことで寄附文化の醸成を図り、寄附金を募る。 周知については、インターネットを効果的に活用したPRを行っていく。 6 本基金創設に伴う条例制定等について 本基金の創設にあたり、令和3年第1回区議会定例会に、「世田谷区医療的ケア児の笑顔を支える基金条例(案)」を提案する。 (条例素案は別紙のとおり) 7 今後のスケジュール(予定) 令和3年2月福祉保健常任委員会(条例案について) 令和3年第1回区議会定例会に条例案を提案 3月中間議決、条例公布 4月1日条例施行 (別紙) 世田谷区医療的ケア児の笑顔を支える基金条例(素案) (設置の目的) 第1条 人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(以下「医療的ケア児」という。)等及びその保護者等の支援に関する事業等を推進し、医療的ケア児等の笑顔を支えるため、世田谷区医療的ケア児の笑顔を支える基金(以下「基金」という。)を設置する。 (積立て) 第2条 基金として積み立てる額は、予算の範囲内で区長が定める。 (管理) 第3条 基金に属する現金は、金融機関への預金その他最も確実かつ有利な方法により保管しなければならない。 2 基金に属する現金は、必要に応じ、最も確実かつ有利な有価証券に換えることができる。 (運用益金の処理) 第4条 基金の運用から生ずる収益は、世田谷区一般会計歳入歳出予算に計上して、基金に編入するものとする。 (繰替運用) 第5条 区長は、財政上必要があると認めるときは、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定めて、基金に属する現金を歳計現金に繰り替えて運用することができる。 (一部処分) 第6条 基金は、第1条に規定する目的に必要な場合、その一部を処分することができる。 (委任) 第7条 この条例に定めるもののほか、基金の管理に関し必要な事項は、区長が別に定める。 附則 この条例は、令和3年4月1日から施行する。