資料5−3 世田谷区立教育総合センター運営計画 (素案) 第1章 教育総合センター運営計画について 1 はじめに グローバル化やICT化、経済的格差の拡大など急速な社会の変化は、子どもたちを取り巻く環境を大きく変化させています。また、いじめ、虐待、不登校など困難さを抱える子どもたちも増加してきています。 こうした状況の中、新しい学習指導要領に基づく教育が、令和2年度より小学校で、令和3年度より中学校でスタートします。これを受け、世田谷区教育委員会では、「子どもたちを主体とし体験や協働を重視した課題解決型の教育(探究的な遊び・学び)」へと教育の質的な転換に取り組んでいきます。また、平成30年度より新たな幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が施行し、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」等が示されました。幼稚園・保育所等では、公立私立を問わず、幼稚園教育要領等を踏まえ、教育・保育活動の質の向上を図っていくことなどが求められています。 さらに、新型コロナウイルス感染症に伴う長期間の学校休業の経験から、オンラインによる授業や学校と家庭のネットワーク化の必要性が改めて認識され、児童生徒に1人1台の端末を配置し、学習に活用していく時代へと切り替わろうとしています。 大きな変化を迎える中で、最も重要なのは、世田谷の教育の質の転換を担う教員や、乳幼児期の教育・保育を担う幼稚園教諭や保育士の人材育成だと考えます。 また、複雑化する教育課題を学校だけで解決することは困難であり、学校現場を様々な視点から支えていく体制の構築も重要です。外部の専門家のアドバイスやサポートを受け、また、学校が広く社会とつながり、大学や企業、地域の力などを最大限活用していくことが不可欠です。 教育総合センターでは、未来の世田谷の教育を担う人材を育てるとともに、学校教育や乳幼児期の教育・保育の現場を様々な角度からサポートする専門機関として、取組みを進めていきます。 2 運営計画策定の趣旨等 (1)運営計画策定の趣旨 教育総合センターは、第2次世田谷区教育ビジョン(平成26年度〜令和5年度)の第2期行動計画(平成30年度〜令和3年度)の最終年度の終盤である令和3年12月の開設を予定しており、第2次世田谷区教育ビジョンの調整計画(令和4年度・令和5年度)の計画期間にかけて事業を展開していくこととなります。 そこで、令和2年度の段階で、開設の令和3年度から調整計画の計画期間(令和4年度・令和5年度)の3年間の重点事業等について運営計画として計画を策定し、調整計画の策定後は、調整計画にその内容を引き継ぐものです。 (2)運営計画の計画期間 令和3年度(教育総合センター開設の準備期間を含む)〜令和5年度 (調整計画の策定時点で、必要に応じて修正を加えたうえで、教育総合センター運営計画の内容は、調整計画に引き継ぐことを予定しています。) 第2章 教育総合センターの運営方針 1 教育の質の転換 世田谷の教育を就学前から小・中学校を通じて、「体験や協働を重視した課題解決型の教育(探究的な遊び・学び)」に転換します。また、学びに向かう力や豊かな感性等をはぐくみます。 地域で働く人や大学の専門家などによる体験的・実践的で子どもたちが自分の将来を具体的に描ける教育を展開します。 2 誰一人置き去りにしない教育の推進 子どもたちの個性や特性を尊重し、一人ひとりに寄り添い、個別最適化された多様な学びの選択肢を提供します。 障害や性、文化などの多様性への理解を深める心を育み、地域や世界の中で共生する力を育てます。 3 学びを支える環境の整備 未来の社会を生きる子どもたちの創造力を培うため、ICT環境の整備や専門人材の配置など、学びを支える環境を整備します。 子どもたちの学習環境を充実させるとともに、教員の資質向上を支援し、質の高い教育を提供する環境を整備します。 第3章 教育総合センターの運営体制 教育総合センターには、教育委員会事務局の組織のうち、「1 学校支援・教員等支援」「2 子ども支援・教育相談・個別支援」「3 乳幼児期の教育・保育の支援」「4 地域・社会との連携」を推進する組織を配置します。 このように、事業範囲が多岐に渡っており、新たな教育課題への取組みの方向性や効果的な施策の検討には専門的な識見や広い視点に立った意見などをより適切に取り入れる必要があります。このため、一定の重要項目については、教育委員や学識経験者、学校代表者など様々な視点からの意見を踏まえて検討を行うための会議体として、教育長を委員長とした『教育総合センター運営協議会』を設置します。 また、組織間の連携が重要になることから、教育総合センター内での定期的な連絡調整の場を設けるほか、福祉施策や子ども・若者施策を担う関連所管と連絡調整を行うための場を設けていきます。 あわせて、区長部局や大学・民間事業者などとの連携を通じて、教育総合センターの機能を深めていきます。 (1)組織イメージ図 (2)教育総合センター運営協議会の図 (3)区長部局や大学・民間事業者との連携による教育総合センターの機能の充実 1 研修担当課、保育課等との連携 区の職員の研修を所管する研修担当課及び公立・私立の保育士の人材育成等を所管する保育課等と連携し、それぞれが実施する研修への教員の参加や合同研修の実施、人的交流などにより、障害福祉や児童虐待防止などの分野についても教員の学ぶ機会や人的ネットワークを拡げていくととともに、研修手法や講師情報の共有などを通じてより充実した研修につなげます。そのため、研修担当課を教育総合センター内に配置するなど、連携体制を深めていきます。 2 大学・民間事業者、政策研究担当課との連携 世田谷の教育を充実するための研究活動につなげるとともに、教員の知見を拡げるため、大学の専門家や民間事業者と連携した研究活動などに取り組みます。また、区における政策等の研究を所管し、課題の研究や分析等に実績のある政策研究担当課を教育総合センター内に配置し、教育分野での課題研究にその研究ノウハウの活用を図るとともに、情報収集面などでの連携を図ります。 第4章 教育総合センターの新たな機能(4つの取組み) 教育総合センターは、現在の教育センターの機能を継承しつつ、新しい時代に必要とされる新しい教育へ転換していくため、「学校支援・教員等支援」「子ども支援・教育相談・個別支援」「乳幼児期の教育・保育の支援」「地域・社会との連携」の4つの取組みを進め、学校、幼稚園・保育所等、また、教職員、保育士、保護者の方々の相談に対応していきます。 1 学校支援・教員等支援 子どもの主体的な学びの実現や ICTの進化に対応するため、最新の授業スタイルや授業手法、教材など教員のニーズに合わせた情報を収集し、提供することで、新たな教育を担う教員の活動を支える施設へと転換していきます。 また、悩みを抱える教員を支える体制も構築していきます。 2 子ども支援・教育相談・個別支援 多様化している保護者や子どもの様々な悩みや相談に対応する「総合教育相談窓口」を設けるとともに、不登校・いじめ・特別支援教育などに対応する専門チームを設置するなど、子どもや保護者を支える中心拠点としての役割を担います。 3 乳幼児期の教育・保育の支援 乳幼児期の教育の重要性を踏まえ、幼稚園・保育所等との連携を深め、乳幼児期から小学校教育までを見通した新たなスタンダードカリキュラムを開発し、非認知的能力など子どもたちが これからの社会を生き抜く基礎をはぐ くみます。 4 地域・社会との連携 地域や大学・企業と連携し、大学や 企業との共同事業を進めるとともに、 地域と学校との連携を支援します。 第5章 教育総合センターの重点取組事業(令和3年度〜令和5年度) 教育総合センターでは、第2次世田谷区教育ビジョン・第2期行動計画に基づく事業の重点化として、令和3年度から令和5年度まで次に掲げる事業に重点的に取り組みます(一部事業については、令和元年度・令和2年度より先行実施)。 教育総合センターの取り組む重点事業 教育総合センターの機能 1 学校支援・教員等支援 1の1 教育の質の転換を担う人材の育成 1の2 教員等の教材研究や学級経営の支援 1の3 各学校・園での人材育成の支援 2 子ども支援・教育相談・個別支援 2の1 総合教育相談窓口の開設 2の2 専門チームによる支援体制の構築 2の3 学びや支援に必要な環境整備の推進 3 乳幼児期の教育・保育の支援 3の1 乳幼児期の教育・保育の推進 3の2 乳幼児の資質・能力を育む環境づくり 3の3 家庭教育の支援 4 地域・社会との連携 4の1 学校が必要とする地域人材の確保支援 4の2 大学や企業等との協同事業の展開 4の3 地域・社会とつながる施設運営 1 学校支援・教員等支援 現状と課題 新学習指導要領等では従来の「講義を中心とした教育」から「子どもたちを主体とし体験や協働を重視した課題解決型の教育(探究的な学習)」へと教育の質的な転換が求められており、新たな教育を担う教員の人材育成が急務となっています。 また、経験豊富な教員であっても、ICTの進化など社会の急激な変化の中でこれまでの経験では対応できない課題も出現しています。オンラインによる学習の実現等の社会の変化や教育の質の転換を踏まえた効果的、効率的な研究支援、研修体系の構築を行うなど、学びの再構築に向けて専門性の高い研究を進め、実践に結び付けていかなければなりません。 さらに、研究成果の普及が十分に行われていないため、学校や教職員間で共有し活用され難い状況にあり、そのためにも研究データの集積・活用する仕組みや教職員が研究に向かう余裕を生み出す校務改善が求められています。 また、学校現場では、校長・副校長が教員の人材育成の中心を担っていますが、校長・副校長の個人の力量に委ねられている面が多く、学校現場での教員の育成を組織的に支援する体制づくりが必要です。 取組みの方向 教育総合センターでは、「講義型の教育」から「探究的な学習」へと転換していくための人材づくりとして、先進自治体への教員派遣や探究的な学びを普及するための研修プログラムの開発などに取り組みます。 また、最新のICT環境の整備、研究支援や教員支援・教員の相談に対応するスタッフの配置、研究データを共有するシステムの構築、学校を巡回し校長・副校長の教員育成をサポートするチームの設置などを通じて、次世代の世田谷の教育を担う人材を効果的に育成していきます。 1の1 教育の質の転換を担う人材の育成 先駆的な教育を実践する秋田県大館市などの先進自治体への教員派遣や先進自治体からの講師の招請などにより世田谷型の「探究的な学習」への転換の中核を担う人材を育成します。また、中核人材を中心に、教育研究アドバイザーに助言をいただきながら、子どもたちを主体とし、体験や協働を重視した課題解決型の学びを実現することのできる世田谷型の「探究的な学習」を普及させるための研修プログラムを開発・提供し、全校への普及を図り、教員の資質向上を目指します。 さらに、ギガスクール構想により整備されるICT環境やICT機器を使いこなし、効果的な授業を行う教員を育成するため、ICT支援員による支援体制の強化や授業事例のデータベース化に取り組むとともに、教員研修を強化します。 年次計画の表 1の2 教員等の教材研究や学級経営の支援 最新のICT環境を整備し、先進的な指導案や教材などを動画やデータなどとして集積し、ネットワークシステムを通じて全ての教員等が日々の授業や研究活動などに活用できるようにします。 また、教員等の相談窓口を教育総合センターに設け、授業改善やICT機器の活用、学級経営に悩む教員等の相談に寄り添い、アドバイスを行う体制を構築します。 年次計画の表 1の3 各学校・園での人材育成の支援 教育委員会事務局の専門チームが各学校・幼稚園を巡回し、教員の授業の様子を観察し、校長・副校長等による適切な人材育成が行われるよう必要なアドバイスを行う体制を構築します。 また、各学校・園において特色のある研究活動や授業改善に取り組めるよう、研究校・園に指定し、独自の研究活動費の助成や指導主事等による研究活動の支援を行います。 年次計画の表 2 子ども支援・教育相談・個別支援 現状と課題 教育委員会では、学校包括支援員の全小中学校への配置や、発達障害等の児童・生徒を支援する特別支援教室を全小学校と世田谷中学校を除く中学校で実施(令和3年度より全校実施)するなど、人的支援や環境整備の充実等に取り組んできました。 一方、配慮を必要とする児童・生徒の数は増加し、学校や教員だけで対応する事が難しい事案も増えており、特別支援教育や不登校、いじめ防止対策を更に充実させていくためには、専門スタッフによる支援体制を構築する必要があります。 いじめや不登校、特別支援教育などの子どもの教育に関する相談は、現在、複数の窓口で対応していることから、相談窓口がわかりにくく、改善の必要があります。 また、区は、令和2年4月に児童相談所を開設しており、学校教育と児童相談所等の福祉部門との連携強化が求められています。 取組みの方向 複雑化・多様化する教育課題に対し、子どもたちの個性や特性を尊重し、一人ひとりに寄り添い適切な支援を行うため、これまで個々に対応してきた、いじめや不登校、特別支援教育などの相談を「総合教育相談窓口」として一本化的し、わかりやすく利用しやすい相談体制を構築します。 また、専門性の高い課題や緊急対策にあたる専門チーム(教育支援グループ)に加えて、就学後も専門的な視点で継続的に見守り、子どもや学校を支援する専門チーム(特別支援教育巡回グループ・不登校対策支援グループ)を新設し、それぞれが連携して、学校や児童・生徒、保護者に対する総合的な支援を提供する体制を構築します。子どもの状況により、子ども家庭支援センターや児童相談所等の福祉部門と連携し、適切な対応を進めていきます。 さらに、個々の子どもの教育的ニーズを把握し、個性に応じた教育機会を確保するなど、障害や性、文化など多様性への理解を深める取組みや配慮を要する子どもたちの自立に向けた支援を行います。 2の1 総合教育談窓口の開設 複雑化・多様化する教育課題に対し、子どもたちの個性や特性を尊重し、一人ひとりに寄り添い適切な支援を行うため、これまで個々に対応してきた、就学相談、いじめや不登校、特別支援教育などの相談窓口を統合した総合教育相談窓口を開設し、保護者や子どもたちにわかりやすく利用しやすい相談体制を構築します。 また、配慮を必要とする子どもに関する情報を関係職員が共有し、より適切な対応や支援へとつなげていくための情報共有システムの運用を開始します。 年次計画の表 2の2 専門チームによる支援体制の構築 これまでのスクールカウンセラーの配置を充実するとともに、ほっとスクール運営における民間事業者との連携やスクールソーシャルワーカーとの連携を強化します。 また、専門チーム(不登校対策支援グループ、特別支援教育巡回グループ、教育支援グループ)が各学校を巡回し、配慮を必要とする子どもたち一人ひとりのニーズに合わせた学びや支援が行われるよう必要なアドバイス等を行うとともに、必要に応じて各分野の専門職種によるケース会議を開催し、連携することで、子どもたち一人ひとりのニーズに合わせた学びや支援へとつなげていきます。 さらに、専門チームにより、いじめや不登校の早期発見や未然防止、発生後の適切な対処を支援します。 年次計画の表 2の3 学びや支援に必要な環境整備の推進 配慮を必要とする子どもたち一人ひとりのニーズに合わせた学びや支援に向け、ICT機器の効果的な活用への支援や施設整備などに計画的に取り組みます。 年次計画の表 3 乳幼児期の教育・保育の支援 現状と課題 人間がもつ創造性や感性、自己肯定感、粘り強くやり抜く力等の非認知的能力がこれからの社会を生き抜くために必要な力として重要視されています。これらの非認知的能力が最も伸びる時期は乳幼児期だとされています。この時期に、子どもたちが、遊びや生活の中での様々な体験を通して、これらの能力・資質を育み、これからの社会を生き抜く力の基礎を身に付けることができるよう、乳幼児期の教育・保育の充実を図っていくことが求められています。 区では、平成29年7月に「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」を策定し、幼稚園と保育所等の枠組みを超えた教育・保育の質の向上や乳幼児期における教育・保育と義務教育の円滑な接続、家庭教育の支援など、乳幼児期の教育・保育の充実に向けた基本的な視点を示しました。 また、「せたがや11プラス」では、学び舎の新たな枠組みとして、令和2年度より8つの区立幼稚園を加えて、幼稚園・小中学校が一体となった運営体制づくりに取り組んでいます。今後、世田谷区としての乳幼児教育・保育の充実を図っていくために、「せたがや11プラス」や「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」の理念を推進して、保育所等も含めた乳幼児教育・保育に携わる関係者全体の連携体制の構築が課題となってきます。 さらに、核家族化の進展による地域や家庭の養育力の低下が指摘されており、乳幼児が、家庭内でライフスキル(生きていくうえでの技術・能力)を身につけるための家庭教育の支援が求められています。 取組みの方向 区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点である乳幼児教育支援センターでは、乳児期から子どもの「生きる力」の基礎を身に付けることを目的として、乳幼児期の教育・保育の充実に取り組みます。そして、この取組を効果的に進めていくために、幼・保・小の連携及び公私立の枠を越えた幼稚園・保育所等の連携体制の構築を図っていきます。そのうえで、幼稚園教育要領・保育所保育指針や「せたがや11プラス」、「世田谷区幼児教育・保育推進ピジョン」などの考え方を踏まえ、1 幼稚園、保育所等に向けた効果的な乳幼児教育・保育カリキュラムの提供、2 義務教育と乳幼児期の教育・保育との円滑な接続、3 幼稚園教諭・保育士等の人材育成や運営の支援などに取り組みます。 また、子どもたちが、乳幼児期から非認知的能力を育むことを目的として、遊びや生活の中で、様々なことを体験・体感することができる教育・保育の機会や環境の創出に取り組んで行きます。 さらに、乳幼児が、家庭内で、言葉や基本的な生活習慣・能力、コミュニケーションなど必要なライフスキルを身につけるための家庭教育を支援するために情報発信や相談対応などに取り組みます。 3の1 乳幼児期の教育・保育の推進 遊びや生活の中での体験的な学びを重視し、乳幼児期からの非認知的能力の育成に向けて、幼・保・小の連携の促進と質の高い教育・保育の実践を図るため、乳児期から小学校教育への接続期までを見通した新たな時代の世田谷型「乳幼児教育・保育スタンダードカリキュラム」を開発し、公立私立を問わない形で乳幼児期の教育・保育の現場への共有化の促進を図ります。また、学び舎グループの仕組みなども活用しながら、幼稚園・保育所等の連携体制の構築や、乳幼児期の教育・保育から学校教育への円滑な接続に取り組みます。さらに、各種研修の実施や専門人材の派遣等により乳幼児期の教育・保育を担う幼稚園教諭や保育士の人材育成を図るとともに、幼稚園教諭・保育士に共通した研修体系づくりや、専門人材の派遣などを通じて、乳幼児教育・保育の質の向上に取り組みます。 年次計画の表 世田谷型「乳幼児教育・保育スタンダードカリキュラム」とは。 幼・保・小の連携の促進と質の高い乳幼児期の教育・保育の実践を図ることで、非認知的能力など子どもたちがこれからの社会を生き抜く力の基礎をはぐくむことを目的として作成するカリキュラムです。当該カリキュラムにおいては、乳児期から小学校教育への接続期までの各時期の幼稚園・保育所等の活動を見通し、実践に向けた指針や例などを示します。 また、これまで、乳幼児期の教育・保育と義務教育への円滑な接続に向けて実践してきた「世田谷版アプローチ・スタートカリキュラム」を改編・統合していきます。そのうえで、幼稚園・保育所等における「遊び」や「体験」を通した学びを小学校以降の「教科」を中心とした学びに、より円滑につなげて、学習に生かすことができるようにします。 3の2 乳幼児の資質・能力を育む環境づくり 乳幼児期からの子どもたちが、自然体験や外遊び、芸術・文化、ICTなど様々なことを体験的に学ぶことを通して、非認知的能力などこれからの社会を生き抜く力を育むことのできる環境づくりを図っていきます。そのために、民間団体等と連携・協働した外遊びイベントや、幼児教育環境支援専門員(アトリエリスタ)の幼稚園・保育所等への派遣等による子どもたちが文化・芸術にふれあうことのできる環境づくり、ICT教材の乳幼児期の教育・保育への有効活用のための研究、試行などの取組みを進めます。また、取組みの成果について、公私立の枠を超え、幼稚園・保育所等で共有化を図っていきます。 年次計画の表 3の3 家庭教育の支援 家庭の教育力向上等に向けて、乳幼児期からの教育・保育に関する情報発信、講演会・講座、ワークショップの実施・支援等を行い、乳幼児期からの教育・保育に関する理解促進と保護者の子育て等に関する不安の軽減を図ります。 年次計画の表 4 地域・社会との連携 現状と課題 教育委員会では、「地域とともに子どもを育てる教育」を推進し、学校協議会や地域運営学校(コミュニティ・スクール)を小・中学校で全校展開するとともに、学校支援地域本部を全校へ拡充するなど、学校を地域で支えるしくみづくりを進めています。 地域と学校が認識を共有し、よりよい学校に向けて連携することが求められていますが、全ての学校において地域との連携が十分に機能しているとは言えません。地域の人的・物的資源の活用に関しても、学校と地域を結びつけるコーディネーターの役割や地域人材の確保に課題のある学校もあります。 また、教育総合センターの整備においては、これまで、「若林小学校跡地活用検討ミーティング」や「遊びから学ぼうワークショップ」を開催し、区民や幼稚園・保育所等、外遊び団体等から意見をいただいており、区民の利用に即した整備が求められています。 取組みの方向 地域人材を集約・活用する仕組みを構築し、学校運営やキャリア教育等の教育活動を支える人的支援を行います。 また、大学や民間企業等との連携により教育課題の解決に向けた共同研究や事業などを推進し、多様な教育活動や体験の機会の充実を図り、キャリア形成の実現につなげます。 また、区民等から聴取した意見も参考にしながら、教育総合センター自体が地域に開かれた施設となるよう、区民の生涯学習を支援し、活動や発表の場として、施設を活用した多様な教育活動に取り組むとともに、研修などのない時間帯について、区民へ活動や発表の場として、施設の一部を提供します。 4の1 学校が必要とする地域人材の確保支援 学校業務をサポートするスタッフなど学校等が必要とする様々な分野の人材確保を支援します。また、外部人材の開拓、拡充などを支援します。 年次計画の表 4の2 大学や企業等との協同事業の展開 様々な分野での専門的なノウハウを持つ大学や民間企業等との教育課題への対応などでの連携を強化するとともに、地域活動団体等の活動支援を行い、学校教育等のより一層の充実と活性化を図ります。また、教育総合センター事業等へ大学・企業・区民等の参加・参画を促し、地域全体で教育活動を支えるとともに、キャリア形成の実現に繋げます。 年次計画の表 4の3 地域・社会とつながる施設運営 教育総合センターの施設を活用し、科学実験やプログラミング教育など、子どもたちが、通常の授業にはない「遊び」や「学び」の活動を通して、探究的な思考を育むスティーム(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マセマティクス)事業を実施します。 また、区民の生涯学習の活動や発表の場として、施設の一部を提供するほか、広場や交流エリアにおいては、近隣の園庭のない保育所等へ活動の場として提供するとともに、乳幼児連れの親子がものづくりやアート体験に触れ、乳幼児期の非認知的能力の育成に繋がる取組みを提供します。 また、広場については、平成30年度、令和元年度に実施した「遊びから学ぼうワークショップ」での区民や保育士等からの意見も踏まえ、住民参加による広場づくりを進めていきます。 年次計画の表 第6章 施設概要 1.開館日・開設時間 教育総合センターは、教職員・保育士研修施設、教育研究施設、教育相談施設、ほっとスクールの複合施設であるが、区民の交流や生涯学習等の活動の場として使用できるように、施設の一部を開放します。教育総合センターの開館日および開館時間は以下の通りです。 開館日・開館時間 区民へ開放する場所:交流エリア、広場 月曜日〜土曜日 午前9時から午後5時まで (日曜日、祝日、年末年始および施設の一斉点検日は休館) 施設の貸出 研修利用のない以下の時間帯に区民へ施設の一部を貸し出します。 貸出を行う施設:大研修室、研修室 月曜日〜金曜日 午後6時から午後9時まで 土曜日 午前9時から午前12時まで、午後1時から午後5時まで 2.教育総合センターの施設 (1)研究・研修エリア(1階、2階) 小中学校の教員や幼稚園教諭・保育士等を対象とした研修を行います。約250名収容の大研修室のほか、小規模の研修室を設置します。 また、研修利用のない時間帯に区民へ施設を貸し出します。 (2)教育相談エリア(2階) 学校生活や子どもの特性など教育に関する総合相談を提供します。 (3)ほっとスクール(2階) ほっとスクール城山を教育総合センター内に移転します。 (4)交流エリア(1階) 区民へ開放し、様々な人が気軽に訪れ、世田谷の教育に関する情報に触れることができます。また、乳幼児期の教育・保育に関するイベントやミニ講座などを開催します。 (5)広場(屋外) 区民へ開放し、就学前の子どもが外遊びを通じて様々な体験ができる屋外の広場です。 教育総合センター事業運営イメージ図 第7章 全体スケジュールの表 (移行計画含む)