資料4 別紙 世田谷区社会的養育推進計画 素案(概要版) 第1章 基本的考え方と全体像 計画の「理念」・「目指すべき姿」 区は、子ども・子育てにかかる施策を総合的に推進するとともに、家庭への養育支援から代替養育までを通した、社会的養育の体制整備に一貫して取り組み、平成28年改正児童福祉法の理念に則り、子どもの権利が保障され、最善の利益が優先された「みんなで子どもを守るまち・せたがや」の実現を目指します。 計画の位置づけ 区は令和2年4月に、特別区で初となる区立の児童相談所を開設し、家庭への養育支援から代替養育までを通した社会的養育の体制整備に一貫して取り組むとともに、子ども・子育てにかかる施策を総合的に推進する「世田谷区子ども計画(第2期)後期計画」に基づく新たな取り組みを開始しました。 「世田谷区子ども計画(第2期)後期計画」とは、区の子ども・子育てにかかる相談支援を網羅し、家庭への養育支援から代替養育までを通した区の社会的養育の全体像として位置づけられる計画です。 世田谷区社会的養育推進計画は、「家庭養育優先原則」を徹底し、子どもの最善の利益の実現に向けた体制整備を進めるため、当事者である子どもの権利擁護や、里親等への養育委託の推進等に向けた目標や具体的な内容等について定めるものです。 世田谷区社会的養育推進計画と他計画との関係性 世田谷区子ども計画(第2期)後期計画 区の子ども・子育てにかかる相談支援を網羅し、家庭への養育支援から代替養育までを通した区の社会的養育の全体像として位置づけられるもの 世田谷区児童相談所設置・運営計画 児童相談所の開設に伴うスタートの形及びその後の運営方針を示すもの 都道府県社会的養育推進計画 東京都は、令和2年3月に国の示す策定要領に沿い、令和2年度から令和11年度を計画期間とする社会的養育推進計画を策定 世田谷区をはじめ、児童相談所の設置市(児童相談所を開設した特別区を含む)においても本計画の策定可能 世田谷区社会的養育推進計画 当事者である子どもの権利擁護 里親等への養育委託の推進等に向けた目標や具体的な内容等 令和11年度までの9年間の目標 次のステップを示す区の方向性 児童相談所と子ども家庭支援センターの一元的な運営 地域との顔の見える関係性を最大限活用 計画期間 計画期間は、令和3年度から令和11年度までの9年間とし、令和6年度に進捗状況の検証、計画の見直し等を行います。 (令和6年度は、区の社会的養育の全体像として位置づけられる「世田谷区子ども計画(第2期)後期計画」の終期にあたるとともに、本計画の中間年にあたることから、当該年度において本計画に基づく取り組みの進捗状況の検証や、計画の見直し等を行います。) 第2章 世田谷区の状況 施設・里親のもとで生活する区の子どもたち 令和2年7月1日現在、118人の区の子どもたちが児童養護施設や里親のもとで生活しています(乳児院7人、児童養護施設(本園)52人、グループホーム35人、ファミリーホーム3人、養育家庭等21人) 「養育家庭等」には、養育家庭への委託児童18人の他、養子縁組里親への委託児童3人を計上しています。 児童相談所の児童虐待相談の対応件数 児童相談所での児童虐待相談の対応件数は、年々増加傾向が顕著となっています。 区児童相談所における令和2年4月から6月の児童虐待相談の対応件数は、279件となっています。 第3章 世田谷区における具体的な取り組み 現在の取り組みに加え、次のように家庭への養育支援から代替養育までを通した、社会的養育の体制整備に取り組みます。 現在の主な取り組み 予防型の児童相談行政の構築 子ども家庭支援センターと、強力な法的権限などの高度な専門性を有する児童相談所の両機関の職員がチームとなり、日常から担当区域の情報共有を行い、必要に応じて双方が持つ機能を組み合わせた支援を行っています。これにより、虐待等の要保護児童等の早期発見・早期対応の徹底と、子どもの安全と生命を確実に守る予防型の児童相談行政を展開しています。 家庭と同様の環境における代替養育の推進 民間事業者を活用し、里親登録家庭の普及・促進に向けた戦略的な情報発信やリクルート活動を展開するとともに、児童相談所・児童養護施設・地域関係機関により構成する支援体制を組み、里親家庭が地域で孤立することなく児童を養育していけるよう、関係期間がチームとなった支援を展開しています。 子どもの権利擁護 子どもの意見が尊重され、権利が守られた適切な養育環境を提供することを基本的な考え方とし、施設への入所措置などを行うにあたっては、子どもへの十分な説明に努めるとともに、子どもから意見を聴取し、援助方針決定に反映させるよう努めています。 今後の主な取り組み 予防型の児童相談行政の推進 児童相談所業務の第三者評価の導入を進めるとともに、児童相談行政の専門性の維持・向上が継続的な課題であることを踏まえ、業務へのAI(人口知能)の導入の可能性について検討を進めます。 家族再統合に向けた取り組みの推進 児童虐待問題の根本の解決と再発生予防のためには、虐待を行う親が抱える問題にもアプローチする必要があるとの視点から、家庭内で児童虐待や夫婦間暴力(DV)を行った養育者に対するアプローチとして、養育者支援に取り組むこととし、その実施に向けた検討を進めます。 特別養子縁組の促進に向けた取り組み 民間事業者の活用を視野に、特別養子縁組の推進体制の構築に取り組みます。 代替養育のもとで育つ子どもたちの自立支援 施設等で生活する子どもたちが社会に出るにあたり、個々の子どもにあわせた支援や見守りを行うための地域の人材確保・育成などに取り組むなど、多様な支援メニューの整備に引き続き取り組みます。 一時保護児童への支援体制の強化 第三者委員等の意見や外部評価の結果などを踏まえながら、常に一時保護所の適正な運営が図られていることを確認し、適切な運営に努めていきます。 第4章 里親等委託・施設養育の推計と目標 区は、平成28年の改正児童福祉法で示された家庭養育優先の理念に則り、里親を中心とした社会的養護の受け皿の拡充に取り組みます。 区は、家庭養育の推進に向けて、「新しい社会的養育ビジョン」で示された里親等委託率の数値目標(就学前の子どもについては75パーセント以上、学童期以降は50パーセント以上)の令和6年度の達成を目指します。 「新しい社会的養育ビジョン」とは、平成28年の児童福祉法改正の理念を具体化するために、国による「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」が平成29年8月にまとめた報告書 目指すべき里親等委託数 令和6年度に里親等委託率(就学前の子どもについては、75パーセント以上、学童期以降は50パーセント以上)を達成するとした場合、目指すべき里親委託数は次のとおりとなります。 目指すべき里親等委託数の表 里親等登録数の目標整備量 過去の実績を踏まえると、里親等委託すべき児童数の約1.49倍の登録家庭が必要になると見込まれています。 令和6年度に向け、各年度に均等に整備目標を課すものとして、里親家庭の登録数の拡充等に取り組みます。 里親等登録数の目標整備量の表 取り組みの評価・検証 子どもの最善の利益の観点から、子どもにとって最適な環境での養育を最優先に考えて里親等委託を行った場合、(目標達成に向け、機械的に里親等委託を進めるものではなく、個々の子どもに対する具体的な措置は、児童相談所における「家庭養育優先原則」を十分踏まえたアセスメントの結果に基づいて、子どもの最善の利益の観点から行うものとし、子どもにとって最適な環境での養育を最優先に考えることを前提とします。)実績と目標数値が乖離することが予想されるとともに、里親等委託率だけでは区の取り組みの適切な評価にはならないと考えられます。 ついては、各年次における取り組みの評価・検証にあたっては、里親委託率に加え、子どもの最善の利益の観点から、十分なアセスメントが行われていること、また、里親委託が適している児童が適切に里親等委託されていることについてもあわせて評価・検証を行います。