資料4 今後の保育施設整備の進め方等について 1 主旨 認可保育園等の保育施設整備により、令和元年度は前年度と比べ802人の保育定員の拡大に努め、これまでの施設整備の積み上げ等により、保育待機児童は解消した。 しかし、1歳児の入園申込者数は前年より増加するなど、いまだ希望する保育園に入園できない世帯も多く、認可保育園の利用希望者は依然として多い状況である。一方で、認可外保育施設も含めた既存施設の低年齢児クラスには空きがありながら利用されていない状況となっている。 さらに、世界的規模で社会経済に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症が与える状況も不透明であり、それらの課題を踏まえ、今年度の保育施設整備の緊急取り組みと今後の保育需要の見直しについて取りまとめたので報告する。 2 現状と課題 (1)第1期子ども・子育て支援事業計画(平成27〜31 年度)の達成結果 第1期子ども・子育て支援事業計画(調整計画を含む)では、総定員確保数21,584名に対し、達成率は約95%、20,462名分の確保に留まったものの、令和2年4月の保育待機児童数がゼロとなった。 (2)第2期子ども・子育て支援事業計画(令和2〜6年度)について 令和2年度からの第2期事業計画では、令和6年度までの5年間に保育総定員数23,212名分(2,956名分)まで拡大する計画としている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、4月に予定していた第1期の「令和2年度認可保育所整備・運営事業者募集」を中止するなど、令和3年4月開設に向けては、確保計画数1,150名分に対し、約49%となる約560名分に留まる見通しである。また、第2期の事業者募集の実施期間も延長を既に決定している。 (3)課題 1 新型コロナウイルス感染症の影響 計画より1年前倒しで令和2年4月時点の待機児童数がゼロとなったことや、感染症拡大による急速な経済環境の悪化等により、保育需要量見込みが不透明な中で、当面の新規施設整備への対応を判断する必要がある。 さらに、区の財政状況の悪化が見込まれ、全庁をあげて事業の緊急見直しを進めているところであるが、保育施設整備は財政負担が大きく、国や都の特定財源も新型コロナウイルス感染症の影響を受け今後の整備費補助等の状況は見通せていない。 2 令和元年度の入園選考の結果 他年齢と比較して、1歳児での入園希望者が増加している。これまでの新規整備による0歳児クラスの定員拡大に加え、0歳児の入園希望者が減少したことにより、4月1日時点の地域型保育事業を含めた認可保育所では、0歳児クラスで約120名、認証保育所では約130名の空きが生じており、既存施設の有効活用が急務である。 また、育児休業希望者の入園選考の見直しの効果等もあり、保育所の入園選考申し込みを行ったものの入園できなかった児童数は773人となり、昨年度から714人減と大きく減少した。しかしながら、引き続き認可保育園への入園を希望する児童が多数いることから適切な対策が必要である。 3 認証保育所 令和2年4月1日時点の欠員状況は、0〜2歳児の各年齢において100名を超えており、昨年度と比較しても合計で50名以上増えている。これは、認可保育園入園者の増加(保育料の差、園庭の有無、3歳児以降の受け皿の確保等)、企業主導型保育所との競合(保育料の差)等によるものと考えられる。 また、園児の欠員等に伴い区からの補助金が減少するとともに、認可保育園との競合により保育士の確保が困難となるなど、昨年度は事業譲渡が1園、閉園が1園と、事業の継続が困難となるケースが生じている。 参考認可及び認可外保育施設の空き状況の表(0〜2歳児)(令和2年4月1日)) 4 今後の保育需要の見直し 新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度設定した保育需要量見込みの不透明さが増す中で、子ども・子育て支援事業計画における保育需要量見込みと定員拡大量を見直していく必要がある。 3 今年度の緊急取り組み 新型コロナウイルス感染症の影響により新規の保育施設整備が厳しい状況にあること、一年前倒しで保育待機児童が解消されたこと等を踏まえ、今年度の緊急的な取り組みを以下のとおり進める。 (1)令和3年度および令和4年度以降開園の施設整備 1 令和3年度の開園 保育施設整備については、新型コロナウイルス感染症の影響による今後の保育需要や財源確保の見通し等が不透明であり、新規整備には一定の期間を必要とし今後の新規案件の審査では令和3年4月開園に間に合わないことから、今年度は新規の保育施設整備提案の受付を停止する。これにより、今年度の施設整備による定員拡大は、既に事業決定している約560名分を想定する。 2 令和4年度以降の開園 令和4年度の開園については、中止となった提案型第1期募集において事前相談を受け付けた3施設約180名分と提案型第2期以降の募集を想定し、事業者と調整中の案件約130名分の審査を行うとともに、既に事業決定している78名分(4月開園33名、7月開園45名)を想定する。 なお、現在進行中の公有地を活用した整備案件及び老朽化に伴う改築に関する案件について、引き続き実施に向け進捗管理を行う。 (2)保育待機児童ゼロの継続に向けた取組み 4月時点において、認可外保育施設を含めた既存施設の低年齢児クラスの空きが約700名分あるなど、一部の既存施設に空きがありながら利用されていない状況となっている。今後は、認証保育所への支援の強化を通じた欠員が生じている既存施設の利用向上策の検討や0歳児定員の1歳児定員への振り替えなど、認可外保育施設を含め既存施設が有効に利用されるよう対策を検討していく。 【認証保育所への支援】 園児の欠員状況や経営の改善を図るため、下記の方向で対応する。 1 在園児の確保   保護者の負担軽減補助制度の改善(認可や企業主導型の水準を踏まえ) 2 経営の改善  ・ 運営費の見直し(1歳児)    東京都の「認証保育所1歳児受入促進事業」を活用し、0歳児の定員を1歳児に振り替えた際の運営費の減少分を補填し、保育利用ニーズの高い1歳児の定員確保を図る。  ・ 認可化移行の促進 4 今後の保育需要の見直しについて 第2期の子ども・子育て支援事業計画で設定した「保育定員(2号、3 号認定)に関する各年次の達成目標と定員拡大量」については、新型コロナウイルス感染症対策の見通しが立った段階で見直しに着手し、令和4年度以降の定員拡大量の改定に向け検討に入る。また今後、法定計画である子ども・子育て支援事業計画の改定(調整計画)との整合性を図る。 保育定員(2号,3号認定)に関する各年次の達成目標と定員拡大量の表(令和2年4月1日時点)