資料2 児童相談所の運営状況等について (社会的養育推進計画の策定について) 1 主旨 区は、令和2年4月に児童相談所を開設し、児童福祉法施行令第45条の2の規定に基づく児童相談所設置市(区)としての業務を順次開始した。現在の運営状況とともに、今年度の策定を目指す社会的養育推進計画の策定スケジュール等を取りまとめたので、報告する。 2 運営状況 (1)業務の開始 1 児童虐待通告の受理業務 令和2年4月1日(水曜日)午前0時より、児童虐待相談の通告受理業務を開始した(委託事業者による通告の受電業務及び児童相談所職員による輪番体制を開始)。 2 警察からの児童情報の照会業務 令和2年4月1日(水曜日)午前0時より、一時保護所における警察からの児童情報の照会への対応業務を開始した。 3 緊急一時保護の受け入れの開始 令和2年4月1日(水曜日)午前0時より、一時保護所における警察からの児童の一時保護の受け入れを開始した。 4 児童相談所における児童相談・援助業務の開始 令和2年4月1日(水曜日)午前8時30分より、児童相談所における児童相談・援助業務を開始した。 (2)都からの相談ケースの引継ぎ状況 1 引き継いだ相談ケース(ケース記録の台帳件数) 令和2年4月1日現在係属中のケース 712件(うち被虐待相談 260件) 2 引き継いだ時点における一時保護・施設入所措置等の状況 ・一時保護中の児童11人 ・里親(養育委託)21人 児童養護施設・乳児院等115人 障害児施設13人 (3)現在の運営状況(令和2年5月15日現在) 1 一時保護中の児童 15人(うち区の一時保護所での保護 11人) 2 入所措置等 里親(養育委託)21人、児童養護施設・乳児院等104人、障害児施設13人 3 被虐待相談受理件数(児童相談所) 合計189件 ※5月15日現在 内訳 ・「189」(児童相談所虐待対応ダイヤル) 29件 ・世田谷区児童虐待通告ダイヤル(0120-52-8343) 37件 ・その他(書類通告等) 123件 4 職員体制 合計146人 内訳 ・児童相談所78人  児童福祉司36人、児童心理司16人、保健師2人、警察官OB2人、  弁護士2人、医師2人 など ・一時保護所 68人  保育士・児童指導32人、心理1人、看護師2人 など 参考 配置計画140人からの増減理由 東京都からの運営支援のための職員派遣3人(児童福祉司2人、児童心理司1名)、特別区からの研修派遣受入れ3人(児童福祉司1人、保育士・児童指導2人)の追加等による。 (4)今後のスケジュール(予定) 令和2年 11月 福祉保健常任委員会(上半期の児童相談所の運営状況の報告) 令和3年 5月 福祉保健常任委員会(令和2年度の児童相談所の運営状況の報告) 3 学校休業、外出自粛要請等を踏まえた児童の生活状況等の確認について (1)確認の実施機関(合計535施設) ・区立の幼稚園、小・中学校 98校(園) ・保育施設(認可保育園、認可外保育施設) 252園(施設) ・その他の要保護児童支援協議会の構成機関である私立・国立学校、子育て支援事業者等 185校(事業者) (2)経過 ・新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく緊急事態宣言が行われたこと等を踏まえ、厚生労働省より、「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた支援対象児童等への対応について」(令和2年4月10日付け事務連絡)が発出された。 ・当該事務連絡に基づき、子ども・若者部は、改めて支援対象児童等の状況確認を各機関に依頼し、各機関においてこの確認を実施している(実施期間:令和2年4月24日(金曜日)から、各機関の休業期間中において定期的に実施)。 (3)実施概要 ・各機関は、所属する児童を対象に、電話等により定期的に児童の健康状況や生活状況等を確認するなど、状況把握のための取り組みを行う。 ・各機関は、新たに養育困難家庭や児童虐待のおそれがある家庭等を把握した場合は、世田谷区児童虐待通告ダイヤル(0120-52-8343)へ連絡する。 ・なお、子ども・若者部は、確認の実施にあたり、特に留意して健康状況や生活状況の確認を行う必要のある児童(要保護児童支援協議会の支援対象児童)が在籍する機関には、改めて当該児童の名簿を送付し、より丁寧に、注意深く確認を行うよう依頼している。 4 社会的養育推進計画の策定について (1)計画の概要 ・各都道府県は、「家庭養育優先原則」を徹底し、子どもの最善の利益の実現に向けた社会的養育※の体制整備の基本的考え方と全体像を「都道府県社会的養育推進計画」として策定することとされている。 ・平成30年7月に、その策定要領が国より示されており、基本的には各都道府県において策定するとされているが、ただし、当区をはじめ、児童相談所の設置市(児童相談所を開設した特別区含む)においても本計画を策定できることとされている。 ※社会的養育…在宅での養育支援から代替養育、養子縁組までを含む、全ての子どもの育ちを保障するための支援 参考都道府県社会的養育推進計画の記載事項(平成30 年7 月厚生労働省子ども家庭局長通知抜粋) (1)都道府県における社会的養育の体制整備の基本的考え方及び全体像 (2)当事者である子どもの権利擁護の取組(意見聴取・アドボカシー) (3)市区町村の子ども家庭支援体制の構築等に向けた都道府県の取組 (4)各年度における代替養育を必要とする子ども数の見込み (5)里親等への委託の推進に向けた取組 (6)パーマネンシー保障としての特別養子縁組等の推進のための支援体制の構築に向けた取組 (7)施設の小規模かつ地域分散化、高機能化及び多機能化・機能転換に向けた取組 (8)一時保護改革に向けた取組 (9)社会的養護自立支援の推進に向けた取組 (10)児童相談所の強化等に向けた取組 (11)留意事項 (2)策定の目的とこれまでの経緯 ・区は、児童相談所開設に伴い、家庭への養育支援から代替養育までを通した社会的養育の体制整備に一貫して取り組むこととなる。また、社会的養育を着実に推進していくためには、その体制整備に向けた区の基本的考え方と、目標とする全体像を具体的に示す必要がある。 ・こうしたことから、区は、「世田谷区児童相談所設置・運営計画」(令和元年7 月最終更新)において、これらを明らかにした「世田谷区社会的養育推進計画(令和3年度〜11年度)」を策定することを定めた。 (3)都の社会的養育推進計画との関係 ・都は、令和2年3月に、国の示す策定要領に沿い、令和2年度から令和11年度を計画期間とする社会的養育推進計画を策定した【別紙】。 ・一方、区においても、令和3年度から令和11年度を計画期間として、地域との顔の見える関係を最大限に活用し、家庭養育を優先した社会的養護の受け皿の拡充を図るなど、区ならではの社会的養育推進計画の策定を目指すものである。 ・区の計画策定にあたっては、都の計画の着実な取り組みを前提とし、区の子どもたちが適切な養育を受けられる機会の拡充を目指すこととし、都の計画推進とも整合を図りながら定めるものとする。 (4)検討体制 策定にあたっては、児童福祉審議会に臨時の部会(社会的養育推進計画の策定に向けた部会)を設置し検討を行う。 1 児童福祉審議会の概要と計画策定の諮問について ・児童相談所設置市事務として、児童福祉審議会(以下、「審議会」という。)に関する事務が移管されたことに伴い、区は令和2年4月に同審議会を設置した。 ・審議会は、児童福祉法の定めにより、区長の諮問に答え、関係機関に意見具申等を行うこととされており、里親の認定に関することや、被措置児童等虐待に関することなどともに、「児童、妊産婦及び知的障害者の福祉に関する事項を調査審議することができる」とされている。 ・区の計画策定にあたっては、専門的かつ広範的な見地からその内容を検討する必要があり、計画で定める事項に精通した委員により構成される審議会による議論が不可欠であることから、策定について児童福祉法第8条第2項の規定に基づき諮問を行い検討することとした。 2 臨時の部会(社会的養育推進計画の策定に向けた部会)の部会員の構成 児童福祉審議会委員より学識経験者3名、施設関係者2名、弁護士1名、区民委員3名を部会員とする。 部会構成員     石渡 和実 学識経験者 東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 教授 部会長 松原 康雄 学識経験者 前明治学院大学 学長     鈴木 秀洋 学識経験者 日本大学危機管理学部 准教授     松田 雄年 施設関係者 児童養護施設 東京家庭学校 校長     小林 由香里 施設関係者 愛恵会乳児院 専門職リーダー(主任)     池田 清貴 弁護士 弁護士     明石 眞弓 区民委員 世田谷区民生委員児童委員協議会 主任児童委員部会長     齋藤 幸代 区民委員 区民公募     川島 優子 区民委員 区民公募 3 開催回数 年6回程度 4 その他 検討にあたっては、区内の児童養護施設や里親などの関係者をはじめ、代替養育の経験者などの当事者からも意見聴取を行うなど、子どもの権利擁護のさらなる推進に向けて、幅広く意見を酌み取りながら策定作業を進めるものとする。 (5)日程(予定) 令和2年 5月 児童福祉審議会本委員会 (諮問事項:世田谷区社会的養育推進計画の策定に係る諮問について) 6月 第1回部会開催 9月 福祉保健常任委員会(計画素案の報告) 9月 パブリックコメント 令和3年 1月 児童福祉審議会本委員会 (答申事項:世田谷区社会的養育推進計画の策定に係る答申について) 2月 福祉保健常任委員会(最終案の報告) 4月 世田谷区社会的養育推進計画 施行