世田谷区子ども計画(第2期)後期計画 案 令和2年2月世田谷区  子ども計画の基本理念 子どもは、一人ひとりが今を生きる主体であるとともに、未来の「希望」です。 子どもは、一人の人間としていかなる差別を受けることなく その尊厳と権利が尊重され、心も身体も健康で過ごし個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に 応じた責任を果たすことが求められます。  世田谷区は子どもが健やかに成長・自立でき、また、安心して子どもを生み、育て、子育てに夢や喜びを感じることができる地域社会を区民と力をあわせ実現します。    子ども・子育て応援都市宣言    子どもは、ひとりの人間としてかけがえのない存在です。  うれしいときには笑い、悲しいときには涙を流します。感情を素直にあらわすのは、子どもの成長のあかしです。子どもは、思いっきり遊び、失敗しながら学び、育ちます。子どもには、自分らしく、尊重されて育つ権利があります。  子どもは、地域の宝です。  大人は、子どもをしっかり見守り、励まし、支えます。地域は、子育て家庭が楽しく子育てできるように応援します。子どもは、成長に応じて社会に参加し、自分のできることと役割、みんなで支えあう大切さを学んでいきます。  子どもは、未来の希望です。今をきらめく宝です。  大人は、子どもにとっていちばんよいことを選び、のびのびと安心して育つ環境をつくります。  世田谷区は、区民と力をあわせて、子どもと子育てにあたたかい地域社会を築きます。ここに、「子ども・子育て応援都市」を宣言します。    平成27年3月3日世田谷区 第1章 計画の策定にあたって 1 子ども・子育て家庭を取り巻く状況 (1)全国的な社会状況と国の動向  わが国では、人口減少、少子高齢化の進展が止まらず、年少人口、生産年齢人口の減少と高齢人口の増加が続いています。出生数も減少の一途を辿っており、平成28年には100万人を切り、平成30年も91万8,400人と減少が続いています。  国は、平成6年の「エンゼルプラン」にはじまり、平成15年の「少子化社会対策基本法」の制定、平成16年、平成27年の「少子化社会対策大綱」の閣議決定等を経て、平成28年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しました。同プランでは、経済成長の隘路である少子高齢化に正面から立ち向かうこととし、希望出生率1.8の実現に向け、若者の雇用安定・待遇改善、多様な保育の充実、働き方改革の推進等の対応策を掲げ、10年間のロードマップを示しました。  さらに平成29年6月には「子育て安心プラン」を公表し、女性就業率80%にも対応できる約32万人分の保育の受け皿を整備することとし、同年12月には「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定し、幼児教育・保育の無償化、保育待機児童の解消、高等教育の無償化等の政策を盛り込み、子育て世代、子どもたちに政策資源を投入することで、社会保障制度を全世代型へと改革することとしました。  また、児童相談所への児童虐待相談件数が急増する中、重篤な児童虐待事件も後を絶たないなど依然として深刻な社会問題となっています。国は、平成28年に児童福祉法を改正し、子どもの権利の明確化を図るとともに、児童虐待の発生予防や発生時の迅速・的確な対応のため、児童相談所の体制強化、市町村への子育て世代包括支援センター、子ども家庭総合支援拠点の設置の努力義務化等を講じました。さらに平成30年7月には「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を、同年12月には「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を決定し、児童虐待防止対策の強化に向け、国・自治体・関係機関が一体となって必要な取組みを進めています。  くわえて、子どもの貧困の問題も大きな社会問題となっており、国は、平成26年1月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を施行、同年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」を制定し、子どもの貧困対策の総合的な推進を図ることとしています。さらに、この間の社会状況の変化を踏まえ、令和元年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が改正され、区市町村における計画策定の努力義務が課せられました。また、令和元年11月には、法改正を踏まえて新たな大綱を策定しました。 (2)世田谷区の社会状況と区の動向  人口減少、少子化という全国的な流れがある中、世田谷区では人口、子どもの数ともに増加し続けています。平成21年から平成27年まで、出生数の増加を主な要因として0歳から5歳の子どもが毎年1,000人近く増えるという状況が続いていました。平成28年以降は、0歳から5歳の子どもの数は横ばいで推移していますが、この間0歳から5歳の子どもの数が、その他の年齢別の階層に比べて相対的に多いという状況が続いていたことを受け、近年では、6歳から11歳の子どもの増加が顕著になっています。  区の人口移動を見てみると、10代から30代前半までの年齢層において、転入超過の状況となっています。20代前半では進学・就職・転職による単身世帯が中心で、居住期間が比較的短い傾向がありますが、20代後半から30代前半では、核家族世帯も含め、転入が転出を上回っており、子どもや子育て世帯の増加につながっていると考えることができます。  一方、核家族化の進展、地域社会との関わりの希薄化の進展は止まらず、子育てについて身近に相談できる人がいない、必要な情報が得られない、といった状況から、子育て家庭の孤立化、養育力の低下が引き続き懸念されています。  世田谷区では、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、すべての世田谷区民が力をあわせ、子どもが健やかに育つことのできるまちをつくることを掲げ、平成13年12月に「世田谷区子ども条例」を制定し、子ども条例で掲げる理念を実現するための推進計画として、平成17年3月に「世田谷区子ども計画」を策定しました。平成27年3月には「世田谷区子ども計画(第2期)」を策定し、「世田谷版ネウボラ」の実施・推進等により妊娠期からの切れ目のない支援を進めるとともに、喫緊の課題であった保育待機児童の解消に向けた保育施設整備や子育てを身近な地域で支えるための子育て支援の充実などに取り組んできました。また、区民とともに今を生きる子どもの育ちを支え、子育てを応援するまちづくりを推進していく基本姿勢を明確にするため、平成27年3月に「子ども・子育て応援都市宣言」を行いました。  子ども計画(第2期)の策定以降、子どもの貧困の社会問題化など、子ども・子育て家庭を取り巻く社会環境は大きく変容しています。こうした変化に的確に対応するためには、総合的に子ども・子育て支援に取り組む必要があるとともに、地域の中で支えあう持続可能なまちの実現が不可欠であり、子ども、保護者、区民、事業者の参加と協働の一層の推進が重要です。  児童虐待防止に向けては、発生予防から早期発見・早期対応、再発防止などの施策を展開してきましたが、児童虐待相談対応件数の増加が続く中、都区の二元的な運用体制の下で生じる、情報共有をはじめとした様々な問題が指摘され、その解消が喫緊の課題となっていました。  こうした背景の下、平成18年の都区合意事項からはじまった「都区のあり方検討委員会」において、児童相談所は、区に移管する方向で検討する事務の一つとされました。以来、特別区は、妊娠から出産、保育、幼児教育、学校教育まで責任を持つ区による一元的な児童相談行政の運営が必要であるとの認識から、その実現に向けて都との協議に臨んできました。その後、特別区長会の要望を受け、平成28年の児童福祉法の改正において、特別区が児童相談所を設置できることが明記され、ようやく設置が具体化されるに至りました。  区では、子どもが権利の主体であり、最善の利益が保障されることを理念として明確化した法改正の趣旨等を踏まえ、区民生活に密着した区が早期に児童相談所を開設することが子どもの最善の利益のために必要と判断し、令和2年4月に区立児童相談所を開設することとしました。児童相談所の開設を一つの契機として、これまで以上に予防型の子育て支援を進めるとともに、子どもや子育て家庭に最も身近な地域において、多様な地域資源が連携・協力しながら適切な見守りや相談支援ができるよう地域・地区における相談支援体制・ネットワークの強化を図る必要があります。   ■ 年代別子ども人口と総人口の推移グラフ ■   2 子ども計画(第2期)後期計画策定の趣旨 (1)策定の趣旨・計画期間  世田谷区では、子ども・若者にかかる個別計画として、平成27年度から令和6年度までの10年間を計画期間とする「子ども計画(第2期)」を策定しています。この計画に内包する「子ども・子育て支援事業計画」が令和元年度に最終年度を迎えたことから、令和2年度以降の5年間の事業計画を定める必要があります。  また、子ども計画(第2期)の策定以降、子どもの貧困の社会問題化、児童福祉法の改正により特別区が児童相談所を設置できるようになるなど、区の子ども・子育て家庭を取り巻く社会環境も大きな変容を遂げています。  こうした状況の変化に的確に対応し、区の子ども・子育てにかかる施策を総合的に推進する必要があることから、上記事業計画を内包し、令和2年度から令和6年度を計画期間とする「子ども計画(第2期)後期計画」を策定しました。   (2)計画の位置づけ  この計画は、「世田谷区子ども条例」の推進計画として策定しています。また、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画及び次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援対策行動計画を内包しています。さらに、子どもの貧困対策推進法に基づく子どもの貧困対策計画及び子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者計画を内包しています。  同時に、区の上位計画である「世田谷区基本構想」「世田谷区基本計画」や、関連計画である「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」「第2次世田谷区教育ビジョン」「健康せたがやプラン(第二次)」「せたがやノーマライゼーションプラン」等との連携・整合性を図っています。 3 子ども計画(第2期)の中間評価 (1)子ども計画(第2期)に基づく主な取組み  子ども計画(第2期)では、「妊娠期からの切れ目のない支援・虐待予防」、「子育て家庭を支える基盤の整備と質の向上」、「子どもの生きる力の育み」の3つを重点政策として掲げています。これらの重点政策に基づいて進めた主な取組みは、次のとおりです。 ◆ 妊娠期からの切れ目のない支援・虐待予防  ○世田谷版ネウボラの実施   妊娠期から子育て家庭を切れ目なく支えるため、平成28年7月より世田谷版ネウボラを開始し、ネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子育て応援相談員)による妊娠期面接の実施や子育て利用券の配付により、適切な支援や地域とつながる仕組みを構築しました。また、平成31年4月から母子保健法に基づく子育て世代包括支援センターの機能を整備し、妊産婦の孤立予防とともに、虐待の未然防止、早期支援のためにネウボラ・チームと地域子育て支援コーディネーターが緊密に連携し、区、医療、地域のネットワークによる相談支援を実施しています。 ○利用者支援事業の実施   利用者支援と地域連携を実施する基本型として、おでかけひろば等に「地域子育て支援コーディネーター」を配置するとともに、特定型として、各総合支所子ども家庭支援センターに保育等にかかる相談・情報提供を行う「子育て応援相談員」を配置、さらに母子保健型として、各総合支所健康づくり課に上記「母子保健コーディネーター」を配置し、各類型の利用者支援事業が連携しながら相談支援を実施しています。 ○産後ケア事業の拡充  平成27年度に産後ケアセンター桜新町の床数を11床に拡充、平成28年度には、医療機関との連携による産後ケア(デイケア3床)を開始、平成30年度には区立施設として15床に拡充するなど、産後の育児不安の軽減等を図る場を充実しました。 ○ひろば事業、ほっとステイの拡充、ワークスペースひろば型の実施  事業計画に基づきおでかけひろばを拡充し、身近な地域で子育て家庭がつどい、交流し、相談できる場の創出を進めるとともに、理由を問わない預かり事業であるほっとステイについて、ひろば内ほっとステイを含め18か所に拡充し、親がリフレッシュできる機会の充実を図りました。また、子どもとの時間を大切にしながらゆるやかな働き方を望むなど多様な働き方のニーズに応える受け皿確保のため、平成30年度より子どもの近くで働くことができるワークスペースひろば型事業を開始しました。 ○ファミリー・サポート・センター事業の実施  これまで世田谷区社会福祉協議会の独自事業として実施してきた「ふれあい子育て支援事業」を継続・発展させるかたちで平成27年7月よりファミリー・サポート・センター事業を開始し、研修の強化、巡回支援などによる質の向上や援助会員の確保、マッチングの強化などを図りました。 ○児童館の子育て支援の充実   平成27年度より各地域に1館子育て支援館を指定し、地域の児童館相互の情報交換や合同事業を行い、全児童館での相談・支援の充実を図るとともに、地域で活動する方々と連携し、子育て支援ネットワークづくりを進めました。また、地域の子育て団体と連携し、産前・産後のセルフケア事業を全25館で年2回ずつ実施するなど妊娠期からの子育て支援の充実を図りました。 ○児童虐待予防の強化  年々増加する児童虐待相談への対応のため、子ども家庭支援センターの体制強化を図るとともに、複雑化・多様化する子育て家庭の課題に適切に対応できるよう、重層的な研修等により子ども家庭支援センターのソーシャルワーク力の向上に努めています。また、平成31年4月から子ども家庭支援センターを子ども家庭総合支援拠点に位置づけさらなる体制強化を図り、早期発見、早期対応に努めています。  さらに、令和2年4月の児童相談所の開設に向け、子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用を柱として、地域の資源を最大限に活用した予防型の児童相談行政の構築に向けた取組みを進めています。 ◆ 子育て家庭を支える基盤の整備と質の向上 ○保育定員の拡充  事業計画に基づき、区民ニーズの高い認可保育園の新設を中心に保育定員の拡充を行い、平成31年4月の保育総定員は平成27年4月から4,985人増の19,660人に、保育待機児童数は同712人減の470人となりました。保育を希望する世帯が世田谷区で安心して子どもを預けることができる保育環境の整備をめざし、引き続き、事業計画に基づき保育定員の拡充を進めていきます。 ○保育の質の確保・向上に向けた取組み  急増する保育施設・事業の質の確保・向上を図るため、巡回指導相談を充実するとともに、区内5地域における保育施設ネットワークによる施設間での情報共有、支えあいの取組みや保育実践フォーラムを実施するなど保育の質の確保・向上に努めてきました。また、「保育の質ガイドライン」を活用し、事業者・保護者等保育に関わるすべての人に対する周知と共通理解の促進を図りました。さらに、保育人材ポータルサイトの開設や就職相談会の開催、保育士等宿舎借り上げ支援、区独自の処遇改善補助事業を実施するなど、保育士の確保・定着に向けた支援を進めました。 ○医療的ケアが必要な子どもを預かる体制の構築  平成29年3月より、児童発達支援事業と居宅訪問型保育事業を組みあわせて、長時間の預かりを可能とする事業を開始するとともに、平成30年4月より区立指定園1園で集団保育が可能な子ども1名の受け入れを開始し、その後実施園を3園に拡充するなど、医療的ケアが必要な子どもを預かる体制の構築・強化を図りました。  ◆ 子どもの生きる力の育み ○外遊びの推進  平成28年度に発足した区民、活動団体等による「そとあそびプロジェクトせたがや」と協働して、普及啓発やネットワークづくりに向けたイベント等を実施することで、外遊びの全区的なネットワークの構築及び強化を図りました。また、砧・多摩川遊び村やプレーリヤカーの充実により外遊び体験機会の拡充と外遊びに対する大人の理解促進を図りました。さらに、区民や外遊び活動団体等の地域の協力者とともに砧地域プレーパークの設置に向けた協働事業を進めました。 ○子どもの貧困対策の推進  子どもの状況に即した子どもの貧困対策の展開を図るため、「支援につながる」「学びや居場所の支援」「生活の支援」「仕事の支援」「住まいの支援」を5つの柱とする大枠の方向性を定め、地域での学習支援や食事の提供なども行う居場所づくりの充実を図るとともに、「せたがや子どもの未来応援気づきのシート」を作成・活用し、身近な機関での気づきを促し支援につなぐ取組みの強化を進めました。さらに、孤食や栄養の偏りなどの食の課題への対応とともに、家庭の養育環境のさらなる悪化を防止し、必要な支援につなぐため、子どもへの食の支援事業を令和元年7月より開始しました。 ○児童養護施設退所者等への支援の実施  子どもの貧困対策の一環として、生きづらさを抱えた若者への支援の観点から児童養護施設等を巣立った若者の進学や社会的自立を支援するため、平成28年度より「せたがや若者フェアスタート事業」を開始しました。児童相談所、児童養護施設等と連携しながら、満18歳となり児童養護施設(里親、自立援助ホームを含む)を退所した若者に対し、「給付型奨学金事業」「住宅支援」「居場所支援・地域交流支援」の3つを柱に支援を実施しています。  ○青少年交流センターの運営・拡充  池之上、野毛の青少年交流センターにおける事業の充実を通じて、若者の主体的な活動を通した自立促進や居場所づくりを進めました。また、若者や地域住民による運営準備委員会での意見を踏まえ平成31年に希望丘青少年交流センターを開設し、中高生世代を中心とした若者の活動支援の充実を図りました。 (2)子ども・子育て支援事業計画の達成状況  子ども・子育て支援法では子ども・子育て支援事業計画の策定が義務づけられており、世田谷区では子ども計画(第2期)に内包するかたちで、平成27年度から令和元年度の5年間を計画期間とする子ども・子育て支援事業計画を策定しました。その後、子どもの人口の増加を背景に、平成28年度に見直しを行い、子ども・子育て支援事業計画調整計画を策定しました。  子ども・子育て支援事業計画調整計画における確保の内容(目標事業量)、達成状況は次のとおりです。    1)教育・保育事業 ◆幼稚園、認定こども園教育標準時間利用(1号認定および2号認定で幼児期の学校教育の希望が強い3〜5歳) 令和元年度目標 特定教育・保育施設2,054人、新制度に移行しない幼稚園10,180人、区外‐区内利用1,212人、確保総計13,446人 平成30年度実績 特定教育・保育施設1,721人、新制度に移行しない幼稚園10,165人、区外‐区内利用1,212人、確保総計13,098人 ◆保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業 令和元年度目標 3号認定0歳。特定教育・保育施設1,599人、地域型保育事業219人、認可外保育施設658人、計2,476人 3号認定1〜2歳。特定教育・保育施設6,389人、地域型保育事業480人、認可外保育施設1,803人、計8,672人 2号認知3〜5歳。特定教育・保育施設10,436人 計10,436人 確保総計21,584人 平成30年度実績 3号認定0歳。特定教育・保育施設1,395人、地域型保育事業79人、認可外保育施設393人、計1,867人 3号認定1〜2歳。特定教育・保育施設5,843人、地域型保育事業228人、認可外保育施設1,272人、計7,343人 2号認知3〜5歳。特定教育・保育施設10,102人、地域型保育事業10人、認可外保育施設338人、計10,450人 確保総計19,660人 2)子ども・子育て支援事業 利用者支援事業 令和元年度目標 基本型・特定型11か所、母子保健型5か所。平成30年度実績 基本型・特定型11か所、母子保健型5か所。 延長保育 令和元年度目標4,030人。平成30年度実績4,604人 学童クラブ事業 令和元年度目標6,065人。平成30年度実績7,133人 ショートステイ事業 令和元年度目標2,555人日、平成30年度実績2,555人日 乳児期家庭訪問事業 令和元年度目標 対象人数8,314人、委託訪問指導員数39人、嘱託訪問員数5人。平成30年度実績 対象人数7,371人、委託訪問指導員数40人、嘱託訪問員数5人。 養育支援等ホームヘルパー訪問事業 令和元年度目標 154件、委託事業者数14。平成30年度実績 128件、委託事業者14 子育てひろば事業 令和元年度目標370,767人日、61か所。平成30年度実績320,434人日、58か所 一時預かり事業 幼稚園による一時預かり 令和元年度目標385,425人日。平成30年度実績385,895人日。 その他の一時預かり 令和元年度目標226,194人日。平成30年度実績187,446人日。 病児・病後児保育 令和元年度目標27,300人日。平成30年度実績23,700人日。 ファミリー・サポート・センター事業(就学児) 令和元年度目標4,707人日。平成30年度実績11,720人日 妊婦健診事業 都内契約医療機関いて実施 (3)子ども計画(第2期) 指標の進捗状況  子ども計画(第2期)では、計画全体の進捗を評価・検証するための指標を、子どもの視点と保護者の視点双方から設定しており、指標の進捗状況は下記のとおりです。   1)子どもの指標  「自分のことが好きだと思う子どもの割合」については、小学生では低学年、高学年ともに大きな変化はありませんでしたが、中学生については、「すごくそう思う」「まあそう思う」とも上昇しており、自己肯定感が高まっているといえます。  中学生の指標である「住んでいる地域のために、自分の力を役立てたいと思う子どもの割合」についても肯定的な回答が上昇しており、地域に貢献したいという意識が高まっているといえます。  今後も、すべての年代の子どもが、自己肯定感を育むことができる環境づくりを進めていく必要があります。   ◆自分のことが好きだと思う子どもの割合(中学生) 平成25年 すごくそう思う13.2%、まあそう思う26.2%、どちらでもない37.2%、あまりそう思わない12.7%、ほとんどそう思わない9.1%、無回答1.6% 平成30年 すごくそう思う18.4%、まあそう思う30.0%、どちらでもない33.0%、あまりそう思わない9.2%、ほとんどそう思わない8.2%、無回答1.2% ◆住んでいる地域のために、自分の力を役立てたいと思う子どもの割合(中学生) 平成25年 すごくそう思う15.5%、まあそう思う31.3%、どちらでもない33.0%、あまりそう思わない11.2%、ほとんどそう思わない7.5%、無回答1.5% 平成30年 すごくそう思う22.2%、まあそう思う32.5%、どちらでもない28.8%、あまりそう思わない10.4%、ほとんどそう思わない5.2%、無回答0.9% 世田谷区中高生アンケート(平成25年)中学生アンケート(平成30年)より作成 ◆自分のことが好きだと思う子どもの割合(小学校低学年) 平成25年 そう思う54.0%、どちらでもない27.6%、そう思わない14.9%、無回答3.6% 平成30年 そう思う54.1%、どちらでもない25.8%、そう思わない16.1%、無回答7.0%   ◆自分のことが好きだと思う子どもの割合(小学校高学年) 平成25年 そう思う54.6%、どちらでもない24.9%、そう思わない19.4%、無回答1.2% 平成30年 そう思う57.2%、どちらでもない26.2%、そう思わない14.6%、無回答2.1% 世田谷区小学生アンケート(平成25年、30年)より作成 2)保護者の指標  子育てについて楽しいと感じる保護者の割合、世田谷区を子育てしやすい環境だと感じる保護者の割合ともに大きな変化はありませんでした。いずれも、肯定的な回答が高い割合を占めていますが、子育てを辛いと感じる割合や子育てをしやすいと感じない割合が減少しなかったことにも目を向けて、引き続き子育てを楽しむことのできる環境づくりを進めていく必要があります。 ◆子育てを楽しいと感じる保護者の割合 【就学前児童の保護者】 平成25年 楽しく感じることの方が多い43.5%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い36.7%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい15.5%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い2.5%、辛いと感じることの方が多い0.8%、その他0.5%、無回答0.4% 平成30年 楽しく感じることの方が多い40.7%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い38.4%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい15.9%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い2.9%、辛いと感じることの方が多い0.8%、その他0.7%、無回答0.6% 【就学児童の保護者】 平成25年 楽しく感じることの方が多い39.8%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い35.3%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい19.1%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い3.7%、辛いと感じることの方が多い0.9%、その他0.8%、無回答0.5% 平成30年 楽しく感じることの方が多い39.5%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い38.1%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい17.4%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い2.3%、辛いと感じることの方が多い1.2%、その他0.7%、無回答0.8% ◆子育てしやすい環境だと感じる保護者の割合 【就学前児童の保護者】 平成25年 とても子育てしやすいと感じる12.3%、子育てしやすいと感じる60.9%、あまり子育てしやすいと感じない22.3%、まったく子育てしやすいと感じない2.9%、無回答1.6% 平成30年 とても子育てしやすいと感じる13.5%、子育てしやすいと感じる60.4%、あまり子育てしやすいと感じない22.0%、まったく子育てしやすいと感じない2.6%、無回答1.5% 【就学児童の保護者】 平成25年 とても子育てしやすいと感じる15.5%、子育てしやすいと感じる61.0%、あまり子育てしやすいと感じない16.4%、まったく子育てしやすいと感じない1.3%、無回答5.8% 平成30年 とても子育てしやすいと感じる14.4%、子育てしやすいと感じる63.8%、あまり子育てしやすいと感じない18.1%、まったく子育てしやすいと感じない2.1%、無回答1.6% 『世田谷区子ども・子育て支援事業計画』ニーズ調査(平成25年、30年)より作成 (4)世田谷区子ども・子育て会議による評価・検証及び課題抽出  本章(1)のとおり、平成27年度から子ども計画(第2期)に基づき、多様な取組みが進められている。  子ども計画(第2期)の策定にあたっては、軸となる基本的な考え方として以下の4つの視点をもって検討を行っており、子ども・子育て会議として、この4つの視点に据えた事項が進んだかという観点から評価・検証を行う。  ◆ 当事者の参加・参画の推進  若者自身による情報発信の取組みである「情熱せたがや、始めました。」の実施をはじめ、児童館の企画会議や青少年交流センターの月一会議、若者運営委員会など当事者の事業運営への参画について進展がみられた。  今後、一層子ども・若者の声・意見を事業運営に反映させていくため、関わる大人がきちんと声を聞く力を習得し、子どもが主体・子どもが中心という意識、対等なパートナーとして共に考える意識を持って事業運営にあたる必要がある。  ◆ 地域で包括的に支える仕組みの構築  保育定員の拡充や利用者支援事業、ひろば事業の拡充などにより地域で支えるための地域資源の充実が図られるとともに、世田谷版ネウボラの開始により妊娠期から地域につながる仕組みの構築が図られた。  一方、場や支援が増えているのに、問題解決に至らないものがあるならば原因や課題を検証する必要がある。例えばなぜ児童虐待は減らないのか。場が増えたからこそ早期に相談や支援につながっているという面もあるが、子ども家庭支援センターにおいて、1人のケースワーカーが多くのケースを担当している状況で、しっかりとしたケアにつなげることができているか、ケアの前の予防はできているかの検証を進め、より複雑化・多様化していく子育て家庭の課題に対応するためにも、教育・保育施設、児童館など日頃子どもや子育て家庭と関わる地区の資源の積極的な活用を検討する必要がある。活用の際には、これらの現場で関わる職員等が個々の子どもや家庭の状況や状態を把握するとともに、誰が専門性を持って伴走者となるのか、必要な場・支援につないでいくのかを明確にし、仕組みを構築していく必要がある。  また、リスクやニーズが顕在化しにくい在宅子育て家庭の支援の一層の充実が必要である。他方、ひろばなど地域の子育て支援の場において、支援の受け手が担い手となっていく地域子育ての好循環が生まれている。ひろばの利用者が子ども・子育て支援に携わってもよいと考える割合が高いという調査結果もあり、今後も地域で見守り支える環境づくりの一層の展開を図るとともに、計画の評価にあたって、地域の指標を設ける必要がある。  ◆ 若者期を見据えた子育ち支援  生きづらさを抱えた若者の支援にあたり、早期に支援につながることが社会的自立への効果が高いことから、メルクマールせたがやと学校・教育委員会との連携を強化し、早期からの支援につながる仕組みがつくられるなど進展がみられた。  一方、中高生や若者にも地域の中に第3の居場所が必要であるが、中高生や若者が児童館や青少年交流センターなどにあまりつながっていない現状がある。「居場所」にはサービスとサービスをつなぐ中間的な場としての役割があり、その場にはつなぐことのできる「人」の存在が大変重要となる。今後、つなぎ役となる人材の育成を進めるとともに、子ども期から地域の居場所につながる仕掛けが必要である。    ◆ 区が果たすべき責任と役割  平成27年度に子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育事業の類型とともに実施主体も多様化する中、世田谷区保育の質ガイドラインの活用などにより、保育の質の確保・向上に努めてきた。一方、認可保育園を希望しながらも利用できず認可外保育施設を利用している子どもも少なくない中、児童相談所設置自治体として認可外保育施設の指導監督権限が移管されることから、認可外保育施設の質の確保・向上に対してチェックし、指導する役割を果たすことが求められる。  また、平成29年度に子ども・子育て会議として提言をまとめた区立保育園のあり方や、平成30年度に議論を行った児童館のあり方検討の結果を踏まえ、公設公営の児童福祉施設として求められる役割をしっかりと果たすため、職員の専門性の確保とスキルのさらなる向上が必要である。  くわえて、児童相談所という強い法的権限を持つからこそ、これまで以上に虐待予防と回復の重層的な支援により地域で子どもをサポートしていくことが一層重要となる。一方で子どもの命を守るためのセーフティネットとして区の責任において毅然と対応するとともに、保護や措置された子どもの権利が守られる仕組みが必要である。    以上、4つの視点に即して評価と課題を記載したが、サービス等がいくら存在しても場や支援、サービスにつながらない状況があるのであれば、行政主体となっている可能性が高く、当事者主体の考え方に立ち、以下の点を強く意識する必要がある。  既存の施設や事業がニーズにあっていないことが要因であれば抜本的に見直しをすることも必要であるし、限られた財源や人材の中でいかに効果をあげるかという視点を意識する必要がある。また、つなぐシステムがないことが要因であればシステムを構築する必要がある。量的な確保だけでなく、今ある資源、場、人、今まで実践してきたことや培ってきた文化などをつなぎあわせ、コーディネートが難しい子ども・家庭、孤立しやすい子ども・家庭をしっかりとつなぐことを意識する必要がある。   第2章 計画の基本的考え方 1 目指すべき姿  子ども計画(第2期)で10年後に目指すべき姿として掲げた「子どもがいきいきわくわく育つまち」を引き続き掲げ、実現を目指します。  すべての子どもが、家庭や地域・他者との関わりや多様な体験の中で、本来持っている力を存分に発揮し、喜びをもって健やかに育っていくまちを目指します。  保護者と区民、事業者等は、すべての子どもの子ども時代が豊かなものとなるよう、見守り支えていきます。   2 後期計画の基本コンセプト   ◆基本コンセプト 子ども主体    目指すべき姿である「子どもがいきいきわくわく育つまち」は、子ども一人ひとりの視点に立った時、子どもが「楽しい」と思って「元気に」日々を過ごすことのできる状況であり、「子どもの権利」が守られる環境であることと表すことができます。  子どもが健やかに育ち、成長していくため、遊び、表現し、安らぐための場が身近にあり、人間性を豊かにするための多様な体験や様々なことにチャレンジできる機会が確保されなくてはなりません。  そして、すべての子どもが虐待やいじめ、また、障害の有無や家庭の経済状況などによって、守られるべき権利が侵害されることなく、安心して楽しく元気に過ごすことのできる環境が、子どもや子育て家庭に最も身近な地域の中で具体化される必要があり、そのためには、予防的な取組みを推進していくことが重要です。  本計画では、計画全体を貫く基本コンセプトとして、「子ども主体」を掲げ、「子ども主体」を実現していく手段として、次の3つの視点を持って計画の重点政策や施策・取組みを組み立てました。  区は、この基本コンセプトのもと、本計画を推進していきます。 【つなぐ・つながる】  この間、様々展開してきた支援やサービスが、必要とする子どもや子育て家庭に届かなかったり、利用されていなかったりするという課題が残るなか、子どもが関わる場において、適切な居場所や支援に「つないで」いく人、寄り添って伴走できる人の存在が重要です。誰が「つなぎ」役となるのか、つなぎ役にはどのような専門性が必要でどのように育てるのかを考えながら施策や取組みを組み立て、推進していきます。  また、それぞれの場・支援が「つながっている」ことが切れ目のない支援のためには必要であり、地域・地区の施設・機関・団体等の資源のネットワークを強化し、連携・協力して重層的な支援を行う必要があります。  子ども期からの地域での主体的な活動・関わりを通じた育ちを経て、地域に関わりと愛着をもつ子ども・若者を増やし、その子ども・若者がやがて地域の中で大人、親へと成長し、今度は親の立場で地域に支えられながら安心して子育てをし、その子どもがまた地域の中で育つ、という「つながり」を地域の中で生み出していく仕掛けに努めます。また、保護者の立場の中であっても、支援を受けながら親としての育ちを得て子育てを楽しみ、今度は支援の担い手にまわるという、地域内で支援が「つながって」継続できる仕組みづくりに努めます。 【参加と協働】  子どもが意見を表明する機会の充実を図るとともに声をあげやすい環境づくりに努め、子ども自身の主体的な「参加」や参画のもと、様々な施策・事業において子どもの声を尊重し、反映していく仕組みをつくります。  また、区民、保護者、子育て支援者、事業者などと「協働」して、地域の中で子どもが健やかに育ち、保護者が安心して子育てを楽しむことができる地域社会の形成に努めます。  さらに、子どもが関わるあらゆる場において子どもの権利が守られ、子どもを主体とした関わりができるよう、地域にとって協働相手となる区が果たすべき役割を明確に位置づけます。 【地域の子育て力】  子どもが「楽しい」と思って「元気に」日々を過ごすためには、子どもに最も身近な地域の中で、周りの大人や若者、さらには子どもに見守られ、励まされ、支えられながら、やりたいことに挑戦し、持っている力を発揮できる環境が必要です。こうした環境の創出には、地域の子どもや地域の子育てを気にかけ、応援する人を増やし、「地域の子育て力」を高めていくことが重要です。  そのために、地域の人が地域の子どもに関心とあたたかいまなざしを持って見守り、一緒に育てるといった意識・気運を醸成するとともに、地域の子どもや子育てを応援したいと思う人が思いきり役割を果たせるような仕掛けづくりに努めます。 第3章 重点政策  本計画の基本コンセプトである「子ども主体」を基に、「子どもがいきいきわくわく育つまち」の実現に向けて、子どもの育ちと妊娠期からの子育てを地域の中で地域とともに見守り・支える取組みを進めるとともに、保育や幼児教育、子育て支援の基盤の整備と質の向上を図るため、以下の4つの政策を重点的に進めます。   @子どもが地域の中で自ら生きる力を育むことを支えます   A妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます   B基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます  さらに、「C緊急対応の着実な運用により子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます」を重点政策の中の強力なセーフティネットとして位置づけ、児童相談所の運営を行う区として子どもの命と権利を確実に守るための取組みを進めます。上図に示しているとおり、着実な緊急対応の後には、地域での支援を受けながら地域での安定した生活に戻ることができるよう支えていきます。具体の取組みについては、次のとおりです。 1 子どもが地域の中で自ら生きる力を育むことを支えます。   子どもが地域の中で主体的に活動できる場や機会を充実させ、すべての子どもが自ら生きる力を育むことができる環境を整え、他者との関わりや多様な経験を重ね自己肯定感を高めながら、地域・社会を中心となって担っていく若者、大人、親へと成長していくための基礎となる育ちを地域とともに支えます。   ◆ 子どもの権利擁護・意識の醸成  子どもの権利条約や世田谷区子ども条例、子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」の周知等子どもの権利学習を推進し、子どもが持っている権利への子どもの理解を深めるとともに、保護者や子どもに関わる大人の理解を促進し、子どもの権利が守られる地域社会づくりを進めます。  また、子どもに関わる機関は、子どもが日頃過ごしたり、利用したりする施設等において、子どもが気軽に意見を表明できる環境を整えるとともに、関係機関の連携・協力体制を推進することにより、子どもの人権侵害の未然防止と早期対応に努めます。 【関連項目】 6−3−1 子どもの権利への意識の醸成、子どもの権利学習の推進 6−3−2 子どもの権利を守る仕組みの強化と体制の充実 ◆ 子ども・若者の地域・社会への参加・参画の推進  地域の中で主体的に活動する場や機会の充実を図るとともに、日常を過ごす場において、子どもが安心して思っていることを言える環境を整えます。  また、こうした場において子どもに関わる大人が、子どもが本来持っている権利をしっかりと認識し、子どもの声を受け止め、思いを尊重し、共に考え、解決や実現する経験を積み重ねることで、子ども・若者の地域・社会への参加・参画を推進します。 【関連項目】 5−2−1 子どもが主体的に活動できる場・機会の充実と支え手の確保・育成 5−2−2 子どもが意見を表明しやすい環境づくりと関わる大人の意識の醸成 第7章 若者計画3−1 地域での若者の参加・参画の推進 ◆ すべての子どもが地域で豊かな社会体験を重ね、力を発揮できる場や居心地のよい 安心して過ごせる場を身近にもてる環境整備  新BOP学童クラブにおいては、スペースの確保と環境整備、プログラムの充実及び職員のスキル向上等により、子どもの多様な遊びや安定した生活の場を提供します。また、小学生から中高生世代の子どもが放課後等の時間を地域で安心して過ごすことができ、成長段階やそれぞれの子どものニーズに応じて自ら選択できるような居場所づくりに努めます。  配慮が必要な子どもが日常過ごす場で安心して過ごせるよう、子どもに関わる大人の理解促進や支援者の対応スキルの向上を図り、合理的配慮を受けながら住み慣れた地域で自分らしく生活ができる環境整備を進めます。  子どもの現在及び将来が生まれ育った環境に左右されることがないよう、地域における学習支援事業等の充実や、生活困難を抱える子どもが地域の中で安心して過ごすことができ、様々な体験や他者との関わりの中で、生活・学習習慣や自主性、創造性、社会性を育み、自己肯定感を高めることができる多様な居場所の確保に努めます。 【関連項目】 5−1−1 成長に応じた放課後等の居場所の確保 3−2−2 日常を過ごす場や地域で安心して過ごせる支援の充実 第6章 子どもの貧困対策計画(1)教育の支援 第6章 子どもの貧困対策計画(2)生活の安定に資するための支援 ◆ 乳幼児期の教育・保育の充実  心身の発育・発達が著しく、生きる力の基礎を培う乳幼児期に多くの時間を過ごす教育・保育施設において、すべての子どもが質の高い教育・保育を受けることができるよう体制整備に努めます。幼稚園や認定こども園の教育・保育内容との適合性を図りつつ、「保育の質ガイドライン」を充実・発展させ、保育者自身が自らの教育・保育の実践内容の自己評価を行うなど、さらに教育・保育内容の質を高めていく仕組みについて検討を進めます。  また、就学前教育の推進拠点として乳幼児教育支援センター機能を整備し、乳幼児期の教育・保育にかかる調査研究や資質の向上のための研修等を実施するとともに、教育・保育の現場と保育士・幼稚園教諭養成校となっている大学、短大等、区が連携し、共同研究の実施、研究成果の見える化や実践事例の蓄積・共有などの仕組みづくりに取り組みます。また、公私立幼稚園・保育所等の交流・連携や幼保小の連携を促進し、乳幼児教育を充実する取組み・研究成果の普及・共有化を進め、世田谷区全体の乳幼児期の教育・保育の向上と義務教育への円滑な接続を目指します。 【関連項目】 2−2−2 乳幼児期の教育・保育の充実 ◆ 外遊びの推進及び環境整備  すべての子どもに自由で主体的で創造的な外遊びの機会を保障するため、砧地域のプレーパーク設置をはじめ、乳幼児期から身近な場所でいきいきと外遊びができる環境を整えます。  また、区民、地域、活動団体、関係機関等のネットワークの強化を図り、子どもや保護者、地域への効果的な外遊びの普及・啓発を協働して行うとともに、外遊び推進員を活用した様々な地区資源との関係づくりなどにより、外遊びを理解し協力する地域の大人を増やし、地域全体で子どもの外遊びを見守り支える環境をつくります。 【関連項目】 5−1−2 外遊びの機会と場の拡充 ◆ 地域で子どもを見守り、育ちを支える気運の醸成と地域人材の確保  地域で日頃子どもと関わる大人が、子どもの活動を見守りながら子どもが必要とするときに支えるななめの関係で子どもと関わることができるよう、信頼関係の構築に努めるとともに、保護者や地域との関係強化により、子どもや居場所への大人の理解促進を図ります。子どもの活動を支援し、活動の理解と周知を進めるなかで地域の協力を得ながら、大人が子どもを見守り成長を支える地域づくりを進めます。  また、子どもが乳幼児期から思春期を経て自立していくまでの過程で、子育て中の親とすでに子育てを終えた世代など幅広い世代や立場の違う者同士がともに支えあえる関係づくりを進めることにより、子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運を増し、地域で子どもの育ちを見守り応援する意識を醸成します。  さらに、地域で支援を受けていた子育て家庭・保護者・子どもが次の支援者として地域で子ども・子育て支援に携われるよう、共助の取組みや地域の子ども・子育て支援の推進を通じて地域人材の確保を図ります。 【関連項目】 6−1−1 子どもの育ちを見守り支える気運醸成と地域人材の確保 5−1−6 子どもの成長を支える職員等のスキルの向上と地域の子育て力の向上 2 妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます     妊娠、出産、子育てにかかる父母の不安感や負担感が増えてきており、こうした育児不安を抱え込むことは、虐待のリスクを高めることにもつながることから、妊娠期・子育て期を孤立感なく安心して生活できるよう、すべての子育て家庭が適切な地域の子育て支援につながる仕組みの充実を図ります。  また、子どもや保護者が身近な場で気軽に相談ができる体制を整えるとともに、最も身近な地区において多様な地域資源が連携・協力しながら適切な支援・見守りができるようネットワークの強化を図ります。  さらに、子ども家庭支援センターと児童相談所が、それぞれの持つ専門的な機能や権限を発揮し、それぞれの役割を果たしつつ、必要に応じて問題の解決まで協働で関わる「のりしろ型支援」の体制を構築し、気軽な相談から虐待等の要保護児童等の早期発見・早期対応に至るまでの切れ目のない児童相談行政の実現を図ります。 ◆ 身近な地区における見守りのネットワークの強化と相談支援体制の再構築  子ども家庭支援センターと児童相談所がそれぞれの役割を担いながら一体となって、支援の充実と適切な介入を行うため、ケース対応ルールの明確化を図るとともに、一貫したアセスメントに基づく支援を行います。また、研修体系を原則として一本化するなど、共通のソーシャルワークを学ぶ機会を設け、理念の共有と共通認識の醸成を図るとともに、事例検討研修等により対応力の向上に努めます。さらに、緊急時の早期対応を確実に行うことを最優先とし、虐待通告の受理から初期判断、主担当の決定、安全確認の実施とケース対応まで、役割分担を図りつつ、適切な支援を実施します。  子どもや子育て家庭の相談支援はこれまでも身近な場において気軽に相談できる環境づくりを進めており、引き続き、日頃利用する施設等で気軽に相談できるよう、場の充実や質の向上に努めます。  一方で、子どもや子育て家庭が抱える課題が多様化・複雑化していること、子どもの成長やライフステージの変化で支援や情報が途切れないような仕組みが必要なことから、多様な地域資源が連携・協力しながら適切な見守り・相談支援ができる相談支援体制とネットワークを地域・地区において構築する必要があります。  そのために、児童館の持つ地域関係者や活動団体、相談支援機関等との幅広いネットワークをさらに充実し、児童館を地区における子どもの情報集約や見守り、居場所づくり等の拠点とするとともに、子ども家庭支援センターとの連携強化を通じて、地域・地区における相談支援機能・情報連携機能の強化を図ります。  また、児童館が「遊び」「相談支援」「地域資源開発」「ネットワーク支援」の4つの機能を充実し、これらを一体のものとして機能させ、地区において子どもにかかる身近な相談や見守りの場として中核的な役割を果たすため、児童館の運営については引き続き区が担い、児童館職員の人材育成や支援力の向上等を図ります。  さらに、子どもにかかる身近な相談を受けるとともに見守り等の支援を行う場としての児童館を、区内28か所の各地区に整備していきます。 【関連項目】 1−2−1 児童館を拠点とした地区における見守りのネットワークの強化 1−2−2 児童館の機能強化 1−2−3 児童館の再整備 1−1−1 子育て中の親子の身近なつどい・気軽な相談の場の充実 3−1−4 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備 3−1−5 ニーズに応じた相談機能の充実 ◆ 妊娠期から地域につながる取組みの推進  妊娠期から就学期までの子育て家庭を切れ目なく支援するために、各総合支所に設置しているネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子ども家庭支援センター子育て応援相談員)と地域子育て支援コーディネーターが緊密に連携するとともに、地域や医療とのネットワークをより一層強化し、家族や社会の多様化を踏まえ、切れ目のない相談支援の充実を図ります。  また、転入家庭や外国にルーツのある家庭、ひとり親家庭、生活困難を抱える家庭など、情報が届きにくく、支援につながりにくい家庭に対しても必要な情報が確実に届くよう周知や把握方法の工夫に努めるとともに、すべての妊婦等や子育て家庭が必要なときに適切な地域の子育て支援を利用できるよう、妊娠期から地域とつながる仕組みの充実を図ります。  さらに、子育て世代以外の世代も含めて地域の人が子育てを応援する、地域の子どもを一緒に育てるといった意識・気運の醸成と子育て支援活動の活性化を図ることで、妊娠期から子育て家庭を地域全体であたたかく見守る社会の実現を目指します。 【関連項目】 1−3−1 相談支援の充実 1−3−2 支援につながる仕組みの充実 1−3−3 地域で子育てを支える環境づくり 第6章 子どもの貧困対策計画(5)支援につながる仕組みづくり ◆ 相談支援からつながる育児不安の軽減に向けた支援・サービスの充実  支援が必要な子育て家庭の課題は様々な要因が絡み合い困難化・複雑化しています。それらの課題に的確に対応し、適切なアセスメントにより個々の家庭の状態にあった支援につなぐため、子ども家庭総合支援拠点である子ども家庭支援センターの機能やソーシャルワーク力の向上、支援体制の充実を図ります。  また、育児不安や負担感を軽減し家庭の養育力を高め、虐待の予防を図るため、緊急保育枠や要支援ショートステイ及び赤ちゃんショートステイの拡充を図るほか、アウトリーチ型の訪問支援事業を必要な家庭が円滑に利用できるよう充実・工夫するなど、予防型の子育て支援事業を充実します。 【関連項目】 3−1−1 要保護児童・養育困難家庭の早期支援の充実 3−1−2  継続支援・生活支援のための子育て支援サービスの充実とケースマネジメントの強化 3 基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます     子育て家庭のニーズに沿った教育・保育の多様な受け皿の確保や子ども・子育て支援の充実に努めるとともに、すべての施設・事業の質の確保と向上を図ります。   ◆ 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育及び子ども・子育て支援事業の基盤の整備  早期の保育待機児童解消と引き続き保育待機児童を発生させないよう、保育の需給バランスの精密な把握・分析を行い、公有地や民有地の活用により、認可保育園の新設を中心とした施設整備等による保育定員の拡充を進めます。  また、働き方やライフスタイルが一層多様化する中、子育て家庭が子どもの特性やニーズに沿った施設・事業を選択できるよう、区立幼稚園の用途転換による認定こども園の整備を進めるとともに、認定こども園への移行を希望する私立幼稚園への支援や幼稚園における預かり保育の充実、延長保育や休日保育、病児保育等の拡充を進めます。  さらに、在宅子育て家庭等が地域で安心して子育てができるよう、身近な地域で相談・交流できる場と機会の拡充や一時預かり事業の充実等、子育て支援事業の充実を図ります。 【関連項目】 2−1−1 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育施設の整備 2−1−2 子育て家庭のニーズに沿った多様な保育の推進 1−5−2 親がリフレッシュできる場・機会の充実 第5章 子ども・子育て支援事業計画 ◆ 教育・保育の質の確保・向上  保育施設の急増に加え、児童相談所の開設に伴い認可保育園の認可・指導検査や認可外保育施設の指導監督などの権限が移管される中、すべての保育施設の質の確保・向上を図る必要があります。指導・監督や巡回支援を通じて、各施設・事業者が専門的な知識・技術を身につけるとともに、地域の保育施設間のネットワークの活動強化や外部評価ならびに多様な視点に基づく自己評価の実施などにより、質の向上を図ります。また、私立幼稚園の教育の質の向上に向け、学校評価等に取り組みます。  さらに、区立保育園が、地域における身近な公設の児童福祉施設として、「子どもの育ちのセーフティネット」としての役割を行政の責任のもと担い、すべての子どもの安全と育ちを保障するとともに、地域・地区の中心となって、すべての保育施設と連携・協力しながら、「保育の質ガイドライン」に基づき、地域全体の保育の質の維持・向上を図ります。 【関連項目】 2−2−1 教育・保育の質を支える仕組みの構築 2−2−6 「区立保育園の今後のあり方」に基づく取組み ◆ 子ども・子育てを支える施設・事業に携わる専門人材の確保・育成  保育施設の急増等に伴い、保育施設はもちろん幼稚園においても人材の確保に課題を抱えています。情報発信支援や就職支援等、人材確保に向けた支援を行うとともに、体系的な研修や公私立幼稚園・保育園等の合同研修などの実施により教育・保育に携わる人材の資質・能力の向上を図ります。  また、保育人材を養成する学校と保育現場が日常的に対話・連携できる関係づくりの仕組みを構築することで、保育士の離職率低下や保育の質の向上に向けたキャリア形成に向けて、養成校と現場が一体的に人材の養成・育成を図る環境を整えます。  あわせて、一時預かり事業や利用者支援事業、ひろば等、子どもや子育て家庭に関わる事業のスタッフのスキル向上に努めます。 【関連項目】 2−2−4 教育・保育に携わる人材の確保・育成 1−1−1 子育て中の親子の身近なつどい・気軽な相談の場の充実 4 緊急対応の着実な運用により子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます     子ども家庭支援センターと児童相談所の強力な連携のもと、必要に応じて問題の解決まで協働した支援を行うことにより児童虐待の再発・連鎖を断ち切る児童相談体制を構築します。また、家庭養育を優先した社会的養護の受け皿の拡充と支援に取り組むとともに、措置や一時保護された子どもの権利が守られるよう権利擁護の仕組みを構築します。 ◆ 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備  子ども家庭支援センターと児童相談所がそれぞれの役割を担いながら一体となって、支援の充実と適切な介入を行います。  虐待の予防から一時保護、里親委託や施設への入所措置、その先の家庭復帰など一連の業務を通じた子どもの最善の利益を最優先とする一貫した方針のもと、保護する子どもの年齢や性等の状況などに応じた適切な生活環境を整備し、子どもの生命と安全の確保のため保護を必要とするときに速やかに対応できる体制を構築します。  一時保護が必要な子どもについては、その年齢も乳幼児から思春期まで、また一時保護を要する背景も非行、虐待など様々であり、こうした一人ひとりの子どもの状況に応じた適切な援助を確保するとともに、子どもの意見を尊重しながらその後の家庭復帰に努めます。また、家庭復帰が望めないと判断される場合においては、すみやかに養子縁組につなげるなど、永続的な人間関係や生活の場の保障(パーマネンシー保障)の取組みを進めます。 【関連項目】 3−1−4 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備 ◆ 子どもの権利擁護の取組みの推進  子どもの安全と最善の利益を確保するうえで行われる親子分離を伴う一時保護や里親委託、施設入所措置等にあたっては、特に子どもへの十分な説明を徹底するとともに、意見を汲み取る方策を講じます。  また、子どもにとって安心できる家庭的な環境であるかについて第三者が定期的に評価・検証を行い、より良い生活環境の整備に努めるとともに、子どもが自ら意見を表明することが難しい場合には、第三者が子どもの意見を聴き取り、児童相談所に適切にその意見を代弁する仕組みを構築します。  さらに一時保護にあたっては、子どもの権利及び制限される内容並びに権利が侵害された時の解決方法等に関して年齢や理解に応じて説明を行うとともに、子どもが意見を表明できる仕組みを構築します。 【関連項目】 3−1−4 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備 6−3−2 子どもの権利を守る仕組みの強化と体制の充実 ◆ 家庭養育を優先した社会的養護の推進  里親制度を広く区民や地域の支援者に周知し、里親家庭に関わる人の理解と協力を促進するとともに、里親を必要とするすべての子どもが里親家庭で暮らすことができるよう、里親登録家庭数の増加に努めます。  さらに、保育や地域子育て支援等、区の地域資源を最大限活用し里親の負担軽減を図るとともに、相談しやすい体制を確保し里親の不安感を軽減することなどにより、里親家庭において子どもが安心して安全に暮らしていけるよう環境を整えます。  また、里親と子どもの多様なマッチングを可能とするため、養育が難しい子どもを養育できる専門性の高い里親や、一時保護委託や短期の養育委託が可能な里親の育成に重点を置いた支援を行います。 【関連項目】 3−1−5 家庭養育を優先した社会的養護の推進 ◆ 地域で安心して暮らすことができるための環境整備と支援の充実  一時保護や入所措置にあたっては、児童相談所や子ども家庭支援センター、里親や施設等が協働して、子どもや家庭等への支援方針を明確にし、子どもの最善の利益を最優先し子どもの意見を尊重しながら、家庭復帰に最大限努めます。家族再統合に向けた取組みとして、被虐待児童や虐待した親が自立することができるよう、生活能力向上のための支援を強化します。  また、家庭復帰する子どもや家庭は家庭復帰後も継続して支援や見守り等が必要なことから、復帰前から児童相談所、子ども家庭支援センター、区内関係機関が支援プランを共有し連携して支援を行います。  くわえて、学生ボランティア派遣事業など子どもへの支援や保育園、幼稚園、児童館、学校等による見守り・相談支援を行うとともに、緊急保育やショートステイ事業、養育支援等ホームヘルパー訪問事業等の子育て支援事業など再び地域で安心して暮らすことができるための支援を充実します。 【関連項目】 3−1−2 継続支援・生活支援のための子育て支援サービスの充実とケースマネジメントの強化 3−1−3 地域支援体制の構築   第4章 計画の内容 〇基本理念 子どもは、一人ひとりが今を生きる主体であるとともに、未来の「希望」です。 子どもは、一人の人間としていかなる差別を受けることなく その尊厳と権利が尊重され、心も身体も健康で過ごし個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に 応じた責任を果たすことが求められます。  世田谷区は子どもが健やかに成長・自立でき、また、安心して子どもを生み、育て、子育てに夢や喜びを感じることができる地域社会を区民と力をあわせ実現します。 〇目指すべき姿 子どもがいきいきわくわく育つまち 〇体系  大項目1 子育て家庭への支援  中項目1−1 身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実 小項目1−1−1 子育て中の親子の身近なつどい・気軽な相談の場の充実 小項目1−1−2 就学後の子どもを育てる保護者が気軽に相談できる場や機会の充実 中項目1−2 身近な地区における相談支援・見守りのネットワークの強化 小項目1−2−1 児童館を拠点とした地区における見守りのネットワークの強化 小項目1−2−2 児童館の機能強化 小項目1−2−3 児童館の再整備 中項目1−3 妊娠期から地域につながる取組みの推進〜世田谷版ネウボラの推進〜 小項目1−3−1 相談支援の充実 小項目1−3−2 支援につながる仕組みの充実 小項目1−3−3 地域で子育てを支える環境づくり 中項目1−4 子どもと親のこころと体の健康づくり 小項目1−4−1 子どもと親のこころと体の健康づくり 小項目1−4−2 思春期のこころと体の健康づくり 小項目1−4−3 食育の推進 小項目1−4−4 歯と口の健康づくり 中項目1−5 子育て力発揮への支援 小項目1−5−1 親の学びの支援 小項目1−5−2 親がリフレッシュできる場・機会の充実 大項目2 教育・保育の充実 中項目2−1 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育の受け皿確保 小項目2−1−1 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育施設の整備 小項目2−1−2 子育て家庭のニーズに沿った多様な保育の推進 小項目2−1−3 災害時や緊急時におけるセーフティネットの構築 中項目2−2 教育・保育のの質の向上 小項目2−2−1 教育・保育の質を支える仕組みの構築 小項目2−2−2 乳幼児期の教育・保育の充実 小項目2−2−3 幼保小連携の促進 小項目2−2−4 教育・保育に携わる人材の確保・育成 小項目2−2−5 保護者の教育・保育等の選択への支援 小項目2−2−6 「区立保育園の今後のあり方」に基づく取組み 大項目3 支援が必要な子ども・子育て家庭のサポート 中項目3−1 要保護児童・養育困難家庭への重層的支援 小項目3−1−1 要保護児童・養育困難家庭の早期支援の充実 小項目3−1−2 継続支援・生活支援のための子育て支援サービスの充実とケースマネージメントの強化 小項目3−1−3 地域支援体制の構築 小項目3−1−4 子どもの命と権利を守るセーフティーネットの整備 小項目3−1−5 家庭養育を優先した社会的養護の推進 中項目3−2 配慮が必要な子どもの支援 小項目3−2−1 配慮が必要な子どもの早期支援の充実 小項目3−2−2 日常を過ごす場や地域で安心して過ごせる支援の充実 小項目3−2−3 途切れのない支援の実施 小項目3−2−4 医療的ケアが必要な子どものへの支援小項目3−2−1 配慮が必要な子どもの早期支援の充実 中項目3−3 生活困窮を抱える子どもの支援〜子どもの貧困対策の推進〜 小項目3−3−1 教育支援 小項目3−3−2 生活の安定に資するための支援 小項目3−3−3 保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援 小項目3−3−4 経済的負担の軽減のための支援 小項目3−3−5 支援につながる仕組みづくり 中項目3−4 ひとり親家庭の子どもの支援 小項目3−4−1 子育てと仕事の両立を図るための子育て・生活支援等の充実 小項目3−4−2 子育てや就労等の横断的な情報提供・相談機能の充実 小項目3−4−3 子どもの生活安定に向けた支援の充実 小項目3−4−4 将来設計を見据えた多様な働き方のサポートの充実 中項目3−5 悩みや困難を抱えた子ども、家庭に課題を抱える子どもの支援 小項目3−5−1 ニーズに応じた相談機能の充実 小項目3−5−2 子どもの居場所の拠点整備 大項目4 質の高い学校教育の充実 中項目4−1 地域との連携・協働による教育  小項目4−1−1 地域が参画する学校づくり 小項目4−1−2 地域コミュニティの核となる学校づくり 小項目4−1−3 地域教育力の活用 中項目4−2 「せたがや11+」 幼、小・中連携で実現する質の高い教育の推進 小項目4−2−1 豊かな人間性の育成 小項目4−2−2 豊かな知力の育成 小項目4−2−3 健やかな身体・たくましい心の育成 小項目4−2−4 ことばの力の育成 小項目4−2−5 これからの社会を生きる力の育成 小項目4−2−6 よりよい学びを実現する教育環境の整備 小項目4−2−7 学校教育を支える安全の推進 中項目4−3 多様な個性がいかされる教育の推進 小項目4−3−1 才能や個性をはぐくむ体験型教育の推進 小項目4−3−2 特別支援教育の推進 小項目4−3−3 ニーズに応じた相談機能の充実 大項目5 子どもの成長と活動の支援 中項目5−1 子どもが安心して過ごせる居場所、成長できる場・機会の充実 小項目5−1−1 成長に応じた放課後等の居場所の確保 小項目5−1−2 外遊びの機会と場の拡充 小項目5−1−3 文化・芸術にふれられる機会の充実 小項目5−1−4 スポーツの機会と場の充実 小項目5−1−5 読書に親しむ環境づくり 小項目5−1−6 子どもの成長を支える職員等のスキルの向上と地域の子育て力の向上 中項目5−2 子どもの地域・社会への参加・参画の機会の充実 小項目5−2−1 子どもが主体的に活動できる場・機会の充実と支え手の確保・育成 小項目5−2−2 子どもが意見を表明しやすい環境づくりと関わる大人の意識の醸成 大項目6 子どもが育つ環境整備 中項目6−1 地域の子育て力の向上 小項目6−1−1 子どもの育ちを見守り支える機運醸成と地域人材の確保 小項目6−1−2 共助の取組や自主的な支援活動の推進とネットワーク形成の支援 中項目6−2 社会環境の整備 小項目6−2−1 子育てしやすいまちづくり 小項目6−2−2 子どもの安全・安心 小項目6−2−3 子どもを産み育てやすい環境の整備 中項目6−3 子どもの権利擁護・意識の醸成 小項目6−3−1 子どもの権利への意識の醸成、子どもの権利学習の推進 小項目6−3−2 子どもの権利を守る仕組みの強化と体制の充実   大項目1 子育て家庭への支援 中項目(1)身近なつどい・気軽な相談の場の充実 【現状と課題】 ・ひろば事業などの充実や保育施設の整備により、就学前の子どもを育てる保護者の身近なつどいの場や相談できる機会は増えてきていますが、核家族化の進行や地域社会との関わりの希薄化により子育て家庭が孤立しやすい状況は続いており、身近な地域の中でつどい、交流し、気軽に相談ができる場の一層の充実とこうした身近な相談の場における人材育成と質の向上が求められます。また、子どもの就学等、ライフステージの変化があっても切れ目なく支援につながる仕組みが必要です。 ・利用者支援事業の5地域での展開も進み、気軽に相談できる場を保護者が選択できるようになりましたが、地域で子育て家庭を支えるためには、保護者のニーズに合った多様な地域資源やその資源同士の連携・協力を支える仕組みが求められます。 ・小学校就学以降の子どもを育てる保護者は、子どもの友人関係など幼児期とは異なる悩みを抱えることが多く、個別に相談しやすい環境や親同士が顔をあわせて語りあう場が求められます。また、子どもが区外の学校に通う保護者は、地域とつながる機会が少なく、情報も得ることが難しい状況にあります。 【目標】 ・子育て中の保護者が、身近な場や手軽なツールにより必要な情報を得ることができ、自ら選択して必要なサービスや場を利用できている。 ・身近な場で保護者同士がつどい、交流し、支援者や地域の友人に気軽に悩みを相談できることで、地域の中で楽しみながら子育てをすることができている。 ・保護者からの相談や支援者の気づきをきっかけとして、適切な支援やサービス、場につながっている。 【施策展開】 @ 子育て中の親子の身近なつどい・気軽な相談の場の充実  子育て中の親子が、身近な場所で気軽に相談や交流ができ、ニーズに応じて適切なサービスにつながることができるなど安心して子育てができる環境を整えることにより、在宅子育て家庭を中心とした孤立化の予防や子育てに対する不安感の軽減を図るなど、子育てに喜びと楽しさを実感できるよう場と機会を充実します。 @ 子育て中の親子が気軽につどえる場づくり  子育て中の親子が、身近で気軽につどい交流することができる場を地域に偏りなく整備します。また、区立保育園においても、子どものケアワークや保育の専門性、そのノウハウを在宅子育て家庭も含めたすべての子育て家庭に提供できるよう地域子育て支援機能を充実します。 A 身近な場で親子を支える機能の充実  日頃の関わりのなかで気軽な相談ができ、適切な支援やサービスへの案内を受けられる場として、児童館やおでかけひろばなどの機能を充実します。また、児童館や利用者支援の拠点などを中心に、地域・地区ごとの子ども・子育て関係機関の連携を強化することにより、身近な資源をより有効に活用するとともに、必要に応じて新たな地域資源開発も行いながら、地域で支えていく仕組みを構築します。 B スタッフの人材育成  妊娠期から切れ目なく子育て家庭を支える拠点となるべく、おでかけひろばや子育てひろばのスタッフに対する研修等を充実し、子どもと関わる人材の育成と質の向上を図ります。 C 子育て情報の提供の充実  子育て中の保護者に必要な情報が行き届くよう子育て情報の提供方法を工夫するとともに、子ども家庭支援センターやネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子ども家庭支援センター子育て応援相談員)、地域子育て支援コーディネーターなどを中心に、利用者一人ひとりに合った子どもや子育て家庭への情報提供の充実に取り組みます。 A 就学後の子どもを育てる保護者が気軽に相談できる場や機会の充実  学童期、思春期の子どもを育てる保護者が、気軽に相談できる環境づくりに努めるとともに、同じような不安や悩みを抱えた同世代の子どもを育てる保護者同士が知りあい、交流できる場や機会を充実し、ネットワークづくりをサポートします。 @ 身近な場での相談の場の充実  身近な場所で相談できる環境づくりに努めるとともに、職員が保護者の不安解消を図るための働きかけや、地域資源へつなげるためのサポートをします。また、世田谷版ネウボラとの連携を図り、子どもの就学等ライフステージの変化があっても切れ目なく支援につながるための取組みを推進していきます。 A 保護者同士が交流できる機会の確保  子どもが利用する児童館等において就学前から相談できる関係づくりに努めるとともに、児童館子育て懇談会や家庭教育学級等を通じて、保護者同士が交流できる機会を創出し、保護者のネットワークづくりをサポートします。 (2)身近な地区における相談支援・見守りのネットワークの強化 【現状と課題】 ・子どもや子育て家庭の相談先は、行政の相談窓口のほか子どもや保護者が日常利用している施設や日頃関わりのある支援者であることが多いため、これらの施設の職員や支援者には子どもの変化への気づきや相談を受けるスキルの向上が求められます。しかし、相談者の悩みや課題は多様であり、支援者単独で支えることには限界があります。また、対象となる年齢が異なることも多く、子どもの成長やライフステージで支援が途切れてしまう場合があります。 ・身近な地区において、切れ目なく子ども・子育て家庭を支え、見守るためには、多様な地域資源同士のネットワークを強化し、個々の家庭の課題にあった支援や場につなげ、それぞれの支援者の持つ強み・専門性を発揮していくことが求められます。その実現のためには、地区において中核的な役割を果たす存在が必要です。 ・児童館の機能を持続可能なものとしていくためには、NPOや民間事業者、地域の団体や区民等、行政以外の力を取り込んでいくことも必要です。 ・児童館は、妊娠期から乳幼児、小学生、中高生まで幅広く利用できること、多様な地域の団体や住民とのネットワークをもつことから、子どもや子育て家庭に身近な地区の中で、気軽な相談や気づき、見守り等の支援の役割を担っています。今後はより機能の充実を図り、地区において中核的な役割を果たす必要があります。   【目標】 ・児童館が、幅広い利用者や地域でネットワークをもつことなどの特長を生かし、子どもや子育て家庭に身近な地区の中で、多様な地域資源と連携・協力し、相談支援や見守りのネットワークの中核的役割を果たすことにより、切れ目のない支援や見守りが強化され、子ども・子育て家庭が身近な地区の中で安心して生活ができている。 ・難しい課題を抱え、支援が必要な子どもや子育て家庭を地域の子ども家庭支援センターにつなぐなど深刻化を未然に防ぐ、見守り機能が発揮されている。 ・児童館や地域子育て支援コーディネーター、社会福祉協議会などの連携により、地区における地域資源の開発が進み、身近な場で子どもや子育て家庭がより適切な場や活動へとつながることができている。 ・地区において子どもの情報集約や見守り等の中核的な役割を果たす児童館が、各まちづくりセンター管轄に整備されている。   【施策展開】 @ 児童館を拠点とした地区における見守りのネットワークの強化  児童館の持つ、地域関係者や活動団体、相談支援機関等との幅広いネットワークをさらに強化、充実させ、児童館を地域における子どもの情報集約や相談支援、見守り、居場所づくり等の拠点としていきます。 @ 地区における見守り等のネットワークの推進  児童館での日常活動や地区でのイベント等を通じ、地域の子育て拠点や活動団体、会議体等との協働・連携、顔の見える関係づくりの強化を図るとともに、当該ネットワークの中で、互いの困りごとや情報の共有とその解決に向けて連携した取組みを進めます。 A 児童館における相談・見守り等支援スキームの構築  児童館が日常の館運営、地域との連携等を通じて行う、地域の子どもたちにかかる相談対応や見守り等の支援について、個別のケースマネジメントは子ども家庭支援センターが行い、その内容に従い、地区において他機関と連携しながら見守り等を行います。そのための流れやルール、他機関等との連携などの仕組みづくりを行います。 A 児童館の機能強化  児童館が「遊び」「相談支援」「地域資源開発」「ネットワーク支援」の4つの機能を充実し、これらを一体のものとして機能させ、地区において子どもにかかる身近な相談や見守りの場として中核的な役割を果たすため、児童館の運営については引き続き区が担い、児童館職員の人材育成や支援力の向上等を図ります。 @ 児童館における人材育成と支援力向上  研修等を通じて児童館の職員の気づきや見守り等のスキルやソーシャルワーク力の向上を図るとともに、地域資源の把握や開発に向けた支援、地域資源同士を結びつけるためのコーディネートを、福祉の相談窓口と連携しながら進めていきます。 A 地域子育て支援コーディネーターや社会福祉協議会との連携による地域資源開発  地域資源開発の役割を担っている地域子育て支援コーディネーターや社会福祉協議会地区担当者との連携を強化し、地区における子どもや子育てに必要な地域資源の開発を進めます。児童館は、地域懇談会等のネットワークの充実を図ることにより、地区の情報や課題の集約と共有を行うとともに、児童館施設の活用等により地区における地域資源開発の役割を担っていきます。 B 児童館の再整備  地域包括ケアの地区展開に応じ、子どもにかかる身近な相談を受けるとともに見守り等の支援を行う場としての児童館を、世田谷区公共施設等総合管理計画等による総合的な全区調整の中で、区内28か所の各地区に整備していきます。 @ 未整備地区における児童館の再整備  未整備地区については、児童館に必要な面積の確保や、整備費、維持管理経費などのコスト抑制の観点から、学校等との複合化を基本に、計画的に整備を進めます。  整備完了までの間は、地区ごとに対応する児童館を明確化し、すべての地区で子どもにかかる相談や見守り等の支援ができる体制・仕組みづくりを行います。 A 重複地区における児童館機能の再整備  1地区1児童館を基本としますが、子どもたちにとって身近で安全な遊び場として利用されており、また地域の方々との日常的な交流やおまつり等の行事を通じて長年地域で親しまれているなど、1館に集約することが適当ではない役割や取組みもあります。引き続き担う必要がある役割や取組みを継続していく方法について検討を進めていきます。 (3)妊娠期から地域につながる取組みの推進〜世田谷版ネウボラの推進〜 ※世田谷版ネウボラは、区・医療・地域が連携した妊娠期から就学前までの切れ目のない支援であり、その取組みは本計画全体に跨るものである。本項目では、特に、妊娠期から地域につながる取組みを掲げる。 【現状と課題】 ・従前より区は、母子健康手帳の交付から始まり、妊産婦健康診査、また、いずれも9割を超える実施率や受診率の赤ちゃん訪問(乳児期家庭訪問)や乳幼児健康診査など、妊娠・出産・子どもの成長の時間軸に沿った「体系的」なサービスの提供と、必要に応じ個別の母子の心身の状態を継続的に把握し「重層的」に支援するなど、母子保健事業の強みを活かしつつ、すべての母子の心身の健全な育成を促進してきました。 ・妊娠期や産後、乳幼児を育てる時期は、不安感や孤立感、負担感が高まることから、妊娠期から子育て家庭に寄り添い、切れ目なく支援する「世田谷版ネウボラ」を平成28年7月から開始し、相談支援体制の強化に取り組んできました。特に核家族化が進み、身近に子育ての経験者がいない家庭が増える中、妊娠中から支援につながり、産後の生活をイメージすることで、安心した子育てを行うためにも、さらに相談支援を充実するとともに、区・医療・地域がこれまで以上に連携し、適切な支援につなげていく必要があります。 ・平成30年度に区が実施したニーズ調査によると就学前の子どもを育てる母親の61.4%が就労しており、母親の就労率は増加しています。また、平成30年に出生した子どもの母親の年齢をみると、35歳以上で出産した母親の割合は46.4%と出産年齢は高齢化しています。そのほか、国際化の進展などさまざま変容する社会状況を踏まえ、ダブルケア(高齢者の介護と子育ての両方を行うこと)や不妊治療を経た妊娠・出産、多胎児、外国にルーツのある子育て家庭の増加など、妊婦や子育て家庭の様々な状況に配慮した支援の充実が求められています。 ・予期しない妊娠について適切な支援を受けられるよう、ためらわずに相談できる取組みが必要です。常に妊婦に寄り添う姿勢を示し、抱えている困惑や不安・屈辱・怒りの感情を受け止めた上での支援が必要です。 ・必要に応じて、子どもの養子縁組による永続的な人間関係や生活の場が保障(パーマネンシーの保障)される切れ目のない相談・支援のため、行政と医療機関の連携・協力体制の構築が求められています。 ・出産や子育てについて、地域の中で身近に妊婦や赤ちゃんと接する体験の機会が少なく、様々な情報が氾濫し正しい知識を得ることも難しく、妊娠期や子育てのイメージを持てずに妊娠・出産を迎えることが多くなっています。出産前後に育児不安や産後うつなどから育児に過度のストレスや不安を抱いたり、母親が孤立することがないよう適切な時期に必要な情報を届け予防する必要があります。また、育児にかかわることの喜びを家族全体が共有できるよう、父親、母親双方が適切な情報を入手できる環境を整え、ともに子育てをする意識を啓発していく必要があります。 ・新たに転入してきた世帯や日本の文化や言語の理解が難しい外国にルーツのある子育て家庭などは、地域とのつながりが持ちにくいことから、必要な情報を得にくく適切な支援につながっていない場合があります。こうした家庭を把握し、必要な情報を確実に届けることが必要です。 ・少子化や核家族化の進展により、家族として赤ちゃんと身近に接する機会が減っているなか、子どもから大人に成長する中学生等の思春期の時期に赤ちゃんとふれあう機会を提供し、その存在を実感し、理解する機会をつくる必要があります。 ・生まれてくる赤ちゃんが社会から祝福され、地域全体で子育てを応援し、支えあう風土・気運の醸成が求められています。 【目標】 ・相談支援や区、医療、地域のネットワークの充実により、家族や社会の多様化を踏まえたうえで、妊娠期から切れ目のない支援を受けることができるとともに、地域で子育てを支える多様な社会資源が生まれ、適切な地域の子育て支援につながることで、妊婦等や子育て家庭が安心して妊娠期から育児期を孤立感なく生活できている。 ・妊娠期面接等の機会に、実親による養育が困難な事案を把握した場合は、妊婦に寄り添い不安や心配の解消、問題の解決を図り、安全に、安心して子育てを含めて自分自身の生活ができるよう、支援ができている。また、子ども家庭支援センターと児童相談所の連携が図れており、子どもにとって人権が尊重され、子どもがより永続的に安定的な生活ができている。 ・情報が届きにくい家庭であっても必要な情報を得て、適切な支援につながることで安心して子育てができている。 ・地域全体で子育てを応援する気運が醸成され、子育て家庭が地域の中で子育てを楽しめている。 【施策展開】 @ 相談支援の充実  妊娠期から就学期までの子育て家庭を切れ目なく支援するために、各総合支所に設置しているネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子育て応援相談員)と利用者支援事業基本型の地域子育て支援コーディネーターが緊密に連携するとともに、地域や医療とのネットワークをより一層強化し、家族や社会の多様化を踏まえ、切れ目のない相談支援の充実を図ります。 @ 地域との連携強化による相談支援の充実  ネウボラ・チームと地域子育て支援コーディネーターが緊密に連携し、総合支所における専門的な相談支援と地域における身近な相談支援が役割分担を行いながら妊婦や子育て家庭を一緒に支えていきます。また、ネウボラ・チームが地域の子育て支援の情報を妊婦や子育て家庭に提供するとともに、おでかけひろば等地域の子育て支援の担い手との連携を強化し、地域で切れ目なく支える相談支援の充実を図ります。 A 医療との連携強化による相談支援の充実  これまで母子保健で培ってきた医療機関との連携をさらに強化するため、顔の見える関係づくりを進めていく対象を、産婦人科のみならず小児科や精神科等へ拡大することで、妊娠届以降の様々な健診の受診等で把握した情報の共有を通じ、適切な支援や早期の医療的支援を進めていきます。また、望まない妊娠等の予防や特定妊婦等の相談支援体制を推進します。 B 生まれてくる子どもの生活への視点の強化  予期しない妊娠にも対応できる窓口の周知の強化を図るとともに、特定妊婦等を早期に把握し、妊婦への寄り添い支援を充実します。そして、これから生まれてくる子どもの安全な生活の視点から適切な支援が選択できるよう、保健師等が様々な相談支援の機会を提供するとともに、子ども家庭支援センターと児童相談所との連携を強化します。 A 支援につながる仕組みの充実  親子ともに心とからだの変化が著しい妊娠期や子育て期を孤立感なく安心して生活できるように、母の精神面でのフォローが必要な場合等、支援の必要性が高い家庭については保健師等の専門職が継続的に関わるとともに、すべての妊婦等や子育て家庭が必要なときに適切な地域の子育て支援を利用できるよう妊娠期から地域とつながる仕組みの充実を図ります。 @ 母子保健に関する各取組みの連携強化による切れ目のない支援の充実  母子保健コーディネーターによる妊婦への継続支援や保健師による妊婦や母子等への個別支援を切れ目なく行っていくため、母子保健システムを活用して情報管理を徹底するとともに、母子保健事業間での必要な情報の連携・共有にむけ、より一層の取組みを進めます。また、システムを活用した児童相談所等と必要な情報共有にも取り組み、子育て家庭に寄り添い切れ目なく支援できる体制を構築します。 A 支援につながる仕組みの充実  転入家庭等情報が届きにくく、支援につながりにくい家庭への支援として、せたがや子育て利用券の対象範囲を拡充して地域とのつながりをより促進し、子育て等の孤立を予防します。妊娠中の不安軽減のため、ネウボラ・チームへの相談や、身近なおでかけひろば・児童館で赤ちゃん等や先輩保護者とふれあう機会を増やしていきます。また、各地区の児童館と福祉の相談窓口(主に社会福祉協議会)との連携を強化し、必要に応じて新たな地域資源開発を行い、就学期へのつなぎも見据えた切れ目のない支援の仕組みを充実します。 B 情報が届きにくい家庭への周知の充実  新たに転入してきた世帯や外国にルーツのある家庭、ひとり親家庭など、子育て支援の情報が届きにくい家庭へ、必要な情報が確実に届くよう周知や把握の方法を工夫し、支援につながる仕組みの充実を図ります。 C 産前・産後の負担感や不安感の軽減、孤立予防  産前・産後の負担感や不安感を軽減し、子育て等の孤立を予防するために、身近な地域で心やからだの知識や子育てに役立つ地域情報の提供を充実します。また、育児にかかわることの喜びを家族全体で共有できるよう、父親、母親双方への適切な情報提供を行い、ともに子育てをする意識啓発を図ります。さらに、産前・産後に一時的な生活支援を必要とする家庭への支援や産後ケア事業を通じた地域へのつなぎ等の充実を図ります。 B 地域で子育てを支える環境づくり  子育て世代以外の世代も含めて地域の人が子育てを応援する、地域の子どもを一緒に育てるといった意識・気運の醸成と子育て支援活動の活性化を図ることで、妊娠期から子育て家庭を地域全体であたたかく見守る社会の実現を目指します。 @ 地域で子育てを応援する気運醸成  「世田谷区×WEラブ赤ちゃんプロジェクト」の普及啓発などを通じて、地域全体で子育てを応援する気運の醸成を図るとともに、中学生等に赤ちゃんとふれあう機会を提供し、その存在を実感し、理解する機会をつくります。 A 地域の子育て支援活動の活性化及び協働の推進  地域で子育てを支える環境の充実を図るため、地域で子育て支援活動を行っている団体へせたがや子育て利用券事業への参加を促すなど、地域の子育て支援活動をより活性化するとともに、協働を推進します。 ■「世田谷版ネウボラ」  世田谷区では、妊娠期から就学前までの切れ目のない支援を行うため、すべての妊婦や乳幼児を育てる家庭に寄り添った顔の見える相談支援体制である「世田谷版ネウボラ」を平成28年7月から開始しました。 開始にあたっては、各総合支所に保健師・母子保健コーディネーター・子ども家庭支援センター子育て応援相談員による「ネウボラ・チーム」を設置しました。このネウボラ・チームが、すべての妊婦を対象に妊娠期面接を実施し、妊娠中の健康管理のことや、出産・育児などの不安や悩みについて相談を行うほか、地域の子育て支援・サービスにかかる情報提供などを行っています。この面接が、妊娠期から切れ目のない支援の入口となります。また、妊娠期面接後の相談についても随時対応しており、必要に応じて、保育や子育て支援・サービスの情報提供などを行っています。  初回の妊娠期面接では、「せたがや子育て利用券」(1万円分)を渡します。これは、乳房ケア、産後ケア、家事・育児援助、親子の集いの場、一時預かり、育児講座などの地域の民間支援団体等が行う子育て支援サービスを利用する際に使用できます。この利用券は、子育て家庭が地域とのつながりを持つきっかけとなり、妊娠期から地域の支援を受けながら孤立することなく安心して子育てを楽しむことができるよう配付しています。また、地域で子育て支援活動を行っている団体に利用券事業に参加してもらうことで、活動をより活性化するきっかけとし、地域で子育てを支える環境の充実につなげています。  地域では、親子が気軽に立ち寄ることができる「おでかけひろば」の中など、区内6か所に「地域子育て支援コーディネーター」が配置されており、研修を受けたスタッフが相談者に寄り添いながら、生活に密着した地域の民間情報や公的な支援情報などを提供しています。 このように、専門職が妊娠期からすべての家庭に切れ目なく関わるという、フィンランドの「ネウボラ」の考えを参考にして、地域において子育てを支える活動が盛んであるという世田谷区の特徴を活かした仕組みが「世田谷版ネウボラ」です。「医療」や「地域」と連携することで、ネットワークによって妊婦や乳幼児を育てる家庭を切れ目なく支える体制の構築を目指しています。 〜フィンランドの「ネウボラ」〜 「ネウボラ」とは、「相談・アドバイスの場所」を意味します。フィンランドでは、どの自治体にも「ネウボラ」という子育て支援施設があり、一人ひとりの妊婦にかかりつけの専門職(保健師や助産師)が付き、妊娠、出産から子どもの成長に応じた切れ目のない支援を、重度な困難を抱えた家庭だけでなく、すべての子育て家庭に提供しています。 (4)子どもと親のこころと体の健康づくり ※本項目では「健康せたがやプラン」において、区・医療・地域が連携した妊娠期から就学前までを切れ目なく支援する世田谷版ネウボラとともに、母子保健事業として、安全で安心して出産ができる地域の環境整備や親と子の健康づくりに関連した区民サービスの向上にかかる取組みを掲げる。 【現状と課題】 ・乳幼児健康診査は、健康状況の確認にくわえて、健やかに育ち、育てるための支援の入り口としても重要な意味を持っています。健診の場での個々の状況に応じた個別相談、歯科保健や栄養等についての相談・指導のほか、健診後の経過観察健診や精密検査、グループによる育児支援、より専門的な支援への引継ぎ等、継続的・重層的な取組みが必要です。また受診した方の満足度をあげ、さらに未受診者の把握から必要な支援につなげる仕組みについて、一層の検討が必要です。 ・妊娠期面接や赤ちゃん訪問(乳児期家庭訪問)など、妊娠期から周産期には母親だけでなく、父親や家族の支援が必要な時期です。各種健診や相談事業を通して育児不安の軽減を図り、地域の中での支援を受けられるよう、関係機関での連携を強化し、必要な情報を適切に提供していくことが求められています。 ・思春期のこころと体の健康づくりは大切ですが、困ったときに利用できる相談窓口の周知が十分ではありません。若い世代に対して、性感染症や望まない妊娠の予防に関する啓発の強化が求められています。 ・育児期は家族全体の生活習慣を見直す大きなきっかけとなります。妊娠・出産・子育て知識の普及・啓発だけでなく、望ましい生活習慣に向けた支援が求められます。 ・子どもの食事づくりが負担となったり、保護者自身の食生活がおろそかになるなどの状況のなか、子どもの成長に合わせて、離乳や必要な食事の内容、発育・発達にあった食事の形態も踏まえた食の支援が必要とされています。また、様々な食の情報が氾濫する中、正しい情報を見極めて、家族でおいしく、たのしく食べることを伝えていくことも大切です。 ・むし歯のある子どもは減っていますが、一人で多数のむし歯のある子どもが一定割合おり、歯に良い生活習慣の実践のための歯と口の健康づくりの支援が求められています。また、むし歯の多い子は、ネグレクトを含めた虐待の可能性など育児環境に問題があることも考えられ、育児環境の改善といった視点を持ちながら支援することも必要です。 【目標】 ・不妊・不育の悩みや予期せぬ妊娠、将来にわたる妊娠の準備に関する相談など、妊娠に関する様々な生活上の相談ができる。 ・子ども・保護者が、自分や家族の健康に関する相談を気軽にできる仕組みが整備され、適切な支援を受けられる。 ・若年層が、妊娠・性に関する悩みやこころの健康について、基本的な知識を得られ、悩みなどがある場合には安心して話せる相談窓口に容易につながることができる。 ・妊娠期から家族や子どもの成長・発育にあった生活習慣が理解され、食生活・口腔衛生習慣の習得のうえで実践されている。 ・乳幼児健康診査(歯科健診)等の事業を通じて、自ら援助を求めることができない状況にある子どもや保護者を把握し、関係所管が連携して継続的に個別支援や地域での見守り等を行い、児童虐待の発生予防・進行防止に取り組んでいる。 【施策展開】 @ 子どもと親のこころと体の健康づくり  妊娠・出産に関する正しい知識を持てるよう妊娠早期からの啓発の機会を設け、相談窓口の周知を図ります。また、親を含めた家族のすこやかな成長のために必要な支援を提供するとともに、親自身の育児への自信を深めるための支援を行います。 @ 妊娠・出産に関する相談窓口の設置  疾患や障害の有無にかかわらず、誰もが心身の状況に応じて、妊娠に関連する相談が受けられるような体制づくりと、各相談機関等との情報連携を充実します A 赤ちゃん訪問・各種健診事業の充実  適切な健診等の実施について必要な助成や支援を行い、赤ちゃん訪問や乳幼児健康診査など、これまでの母子保健事業をさらに充実し、乳幼児とその家族の健康増進に努めます。 B 育児講座などの情報提供と地域の連携ネットワークによる育児支援の充実  利用者支援事業の連携により、育児のつまずきポイントなど、先輩ママたちの経験を活かした具体的な情報を取り入れた情報提供や地域の居場所・支援者等とのつながりを活用して育児不安の軽減や、出産育児にまつわるこころの問題等に取り組みます。   A 思春期のこころと体の健康づくり  思春期世代のこころと体の変化について基礎的な知識を得て、自分の成長を受け入れ適切な行動を選択できるよう支援を広げます。また、思春期の不安や悩みに対応する相談窓口の整備と周知により、悩みを抱える思春期世代の本人やその家族への早期支援を行います。 @ 「こころと体を知る」機会の充実  若者自身が心身の成長等について基礎的な知識を得るための講座や、相談できる機会をつくり啓発を進めていきます。 A 思春期こころの健康相談の充実  保護者の相談を受け、受診の要否や家族対応についての専門的支援を行います。そのために、医師の確保等相談体制を整備します。   B 食育の推進  妊娠期から、家族及び子どもの発育・発達にあった食事について正しい知識を啓発し、食から家族の健康を考える力を育む実践につながる支援の充実を進めます。また、食事を通じて伝えられていた食文化や、あいさつなどの食の基本を知るための情報提供を行います。 @ 妊娠期から、家族・子どもの望ましい食習慣の定着に向けた情報発信  母子事業、健診事業を通じて、子どもだけでなく家族の健康づくりのための栄養・食生活の情報を提供し、食生活を組み立てる力をもてるよう支援します。 A 子どもの成長・発育にあった食生活の実践に向けた支援の充実  子どもの成長・発育過程で起こる食事形態や、食事量への保護者の不安や悩みに対応した、子どもの食べる機能を促す食事づくりに関し各々の生活に合わせた実践につながる支援を充実します。 B 地域ぐるみで食事を楽しむことができる機会の提供  異世代が交流して共に食べる機会(共食)を設け、食文化・食事のマナー、料理の組み合わせや栄養バランスなど、地域で食の大切さを伝えるとともに、家庭での食育につなげます。   C 歯と口の健康づくり  子どものむし歯や歯周疾患等歯科疾患の予防に努めるとともに、よく噛むことを奨励するなど健全な口腔機能の発達を促すことにより、歯と口の健康に関する正しい知識・生活習慣を習得できるよう支援し、生涯を通じた歯と口の健康を保持増進することを目指します。 @ 親と子の歯科疾患の予防と歯と口の健康意識の向上  歯と口の健康の保持増進のため、地域の関係団体と連携した各種健診や普及啓発等を行い、歯科疾患の予防や健康意識の向上を推進します。 A 歯と口の健康づくり及び望ましい生活習慣定着に向けた支援の充実  生涯にわたり歯と口の健康を維持するため、かかりつけ歯科医の定着促進や歯みがき準備教室の実施等により、歯と口の健康づくり及び望ましい生活習慣の定着に向けた支援を充実します。 B 乳幼児健康診査(歯科健診)などを通じた児童虐待防止の取組み  乳幼児健康診査(歯科健診)などを通じむし歯の多い子どもを把握し、関係所管が連携しネグレクトを含めた虐待の可能性などを判断しつつ、必要に応じ継続的な個別支援や地域での見守り等を通じ児童虐待の防止に取り組みます。 (5)子育て力発揮への支援 【現状と課題】 ・ICTが身近なものとなり子育てに関する情報を取得することは容易になりましたが、核家族化や地域の関わりの希薄化によりそばで教えてくれる人がいないため、必要な情報の取捨選択ができない、具体的に対応する方法が分からない、周囲に助けを求めることができないといった保護者も増えています。 ・子育ての情報などを学ぶ講座などは数多く実施されており、参加することができる状況にありますが、そうした場に参加しない方に必要な意識と情報を持ってもらうためのアプローチが課題となっています。 ・ともに育児を行うという父親の意識が希薄なため、また、社会においても父親の育児への参画への十分な理解が得られないなか、母親が育児や家事と仕事の両立を抱えこむ、いわゆる「ワンオペ育児」の状況となっている家庭も少なくありません。 ・子どもを育てる保護者は子どもの発達に多かれ少なかれ不安を抱えているものですが、不安を抱えていても、専門機関等へ相談に行くことに抵抗を感じ、一人で悩みを抱えている保護者がたくさんいます。 ・子育てによる不安や負担を軽減するためには、子育て中の生活を楽しむためのサポートが重要です。保護者が自分の時間を持つなど、一時預かりの拡充や急な預かりニーズへの対応が求められています。 ・保護者には、子どもと一緒であっても自分のために時間を使えているといった意識を持てる機会が必要です。すべての保護者は親である前にひとりの人間であり、自分のための時間をもつことは、子育てを楽しむうえでも大切なことです。しかし、そのことに罪悪感を抱いてしまい、十分に自分のための時間を確保できていない保護者がいます。   【目標】 ・子育ての情報や育児に関する知識などを自分のものとし、保護者が周囲の協力を得ながら自立して子どもを育てていく力が高まっている。 ・父親の子育てへの参画の意識、一緒に育てる意識が早い時期から醸成され、母親も父親もともに子育てを楽しむことができている。 ・子どもの発達に不安を抱える保護者が、身近な場所で気軽に参加でき、その子にあった関わり方に気づき、また同じような不安を抱えた親同士が知りあえる機会がある。 ・保護者が自分のために使うことができる時間を持ち、リフレッシュをしながら、子どもと向きあう時間を楽しむことができている。 ・地域社会の側にも、保護者が自分のための時間を持つことの必要性の理解が進み、子どもの預かり付きや赤ちゃんの泣き声に寛容な地域でのイベントが増えるなど、様々なかたちで保護者がリフレッシュできる場や機会が充実している。   【施策展開】 @ 親の学びの支援  子育てに関する情報があふれる中、講座や講演会、家庭教育学級、両親学級などの取組みを通じて、育児に関する正しい知識を得て、子どもにとって最善の対応方法を自ら選択し、解決する力を育むことにより、父親も母親もともに子育てを楽しむことができる環境を整えます。 @ 親としての学びや育ちの支援  子育てに関する正しい知識・情報を得て、地域の協力を得ながら、自ら選択し解決する力を育むことができるよう、親向けの講座や、親同士で学び語りあう機会を充実します。また、こうした場に参加しない保護者にも必要な意識や情報を持ってもらうため、身近な地域の場などにおける日常の関わりの中でも、重要な知識と情報の発信に努めます。また、怒鳴ったり声を荒げたりせずに子育てできるように、子どもの発達課題や親の役割、しつけに関する困難を抱えた場合の対処法及び怒りの処理方法を身につける講座等を充実します。 A 親同士や地域との連携の機会づくり  親が地域で同世代や多世代と交流できる機会を充実するとともに、年齢の近い子どもを育てる親同士が地域で情報交換しながら支えあい、ともに子育てを楽しみ育ちあえる機会を拡充します。 B 父母の協働による子育ての促進と父親の子育てに対する意識の醸成  父親も子育てを楽しむことができるよう、父親と母親がともに協力した子育てを実感できる機会をつくるなど、父親の子育てに対する意識の醸成を図ります。 C 発達支援親子グループ事業  子どもの発達に不安を抱える保護者に対し、子どもとの遊び方や子どもの特徴への理解を深め、養育力の向上を図ります。 A 親がリフレッシュできる場・機会の充実  子どもを一時的に預けることができる事業の充実や保護者が自分のために使うことのできる時間を持つ場や機会の充実を図ることにより、リフレッシュしながら子どもと向き合う時間を楽しむことができる環境を整えます。 @ 一時預かり事業の拡充  おでかけひろば内での一時預かりを含めたほっとステイの拡充やファミリー・サポート・センター事業の実施など、理由を問わずに一時的に子どもを預けることのできる場や機会を充実します。 A ショートステイの充実  出産、就労、レスパイト等を理由とした預かり事業であるショートステイの拡充を図ります。 B 保護者が自分のために時間を使える機会の確保  保護者が自分のために使うことができる時間を持ち、リフレッシュをしながら、子どもと向き合う時間を楽しむことができるよう、保護者がリフレッシュすることのできる場・機会を充実します。また、子どもとの時間を大切にしながらもゆるやかな働き方で仕事をするといった多様な働き方へのニーズに応える場の確保に努めます。こうした場や機会の確保にあたっては、子どもにとっても充実した時間が過ごせるような環境整備に努めます。   2 教育・保育の充実   (1)子育て家庭のニーズに沿った教育・保育の受け皿確保 【現状と課題】 ・保育定員の拡充を続けている一方、就学前人口は横ばいであるものの入園申込者数は増加傾向、特に1歳児の入園申込みの増が顕著となっており、令和2年4月時点の保育待機児童の発生が見込まれています。 ・地域によっては、定員に空きが生じているという保育状況の中、地域・地区ごとに保育需要の精査、分析を行ったうえで、適切な場所へ適切な量の保育の受け皿が確保できるよう、保育施設整備が求められます。 ・社会経済等の動向により保育需要が変動することを踏まえ、柔軟に保育需要に対応することができる保育基盤の構築が必要です。 ・幼稚園での教育を希望する共働き家庭も多く、幼稚園における預かり保育の一層の充実が求められているとともに、保育の需給バランスを見極めながら、認定こども園の拡充についても検討を進める必要があります。 ・働き方が一層多様化する中、保護者の保育ニーズも多様化しており、延長保育、休日・夜間帯の保育、一時預かり事業、子どもの近くで働くことができる取組み、病児保育事業等多様な保育の受け皿の拡充が求められます。 ・公設の児童福祉施設であることに鑑み、区立保育園が緊急保育等により緊急性の高い福祉的課題に対応する必要があります。また、緊急時の代替保育、災害時の臨時的な預かりなど、区立保育園が公的責任において、保育のセーフティネットとして機能する必要があります。 【目標】 ・各地域各地区における実態を把握・分析したうえで、保育の質が確保された保育施設・事業の整備を進め、保育待機児童解消が図られている。さらに、現在の保育定員の弾力化運用を解消し、人口動態、生活スタイル等の要因により変動する保育需要に対応することができるよう、柔軟性の高い保育基盤が構築されている。 ・幼児期の学校教育の利用を希望する保育の必要性がある家庭のニーズに対応できるよう運営事業者の意向・方針等を踏まえた上で、幼稚園の預かり保育や認定こども園の充実を図り、仕事と子育ての両立ができる環境が整っている。 ・質の確保された多様な教育・保育の提供体制が整うことで、個々の家庭がニーズにあった選択をすることができている。 ・すべての子どもの安全と健やかな育ちを保障するため、区立保育園が地域における身近な公設の児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティネットとしての役割を果たしている。 ・区立保育園において、災害時の応急保育や他の保育施設で保育が困難になった際の支援の体制が構築され、災害時や緊急時におけるセーフティネットが機能している。   【施策展開】 @ 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育施設の整備  令和2年4月時点で保育待機児童の発生が見込まれることから、早期の保育待機児童解消と引き続き保育待機児童を発生させないよう、子育て家庭のニーズを踏まえた教育・保育施設・事業の整備等による保育定員の拡充を推進し、社会経済等の動向により変動する保育需要に対応できるよう柔軟性の高い保育基盤を構築します。 @ 施設整備等による保育定員の拡充  保育待機児童を発生させないよう、保育の需給バランスの精緻な把握・分析を行い、公有地や民有地を活用して、私立認可保育園の新設を中心とした施設整備による保育定員の拡充を行います。  令和3年4月の保育待機児童の解消と変動する保育需要に対応するための柔軟性の高い保育基盤の構築をめざして、特に令和2年度から令和4年度までの3年度間は、新たな賃借料補助制度を適用するなど、集中的に施設整備を推進します。また、本計画の期間中において、既存の認可外保育施設に対し、認可保育施設等への移行を支援します。 A 幼児期の学校教育の利用を希望する保育の必要性がある保護者のニーズへの対応  幼児期の学校教育の利用を希望する保育の必要性がある保護者のニーズに対応するため、区立幼稚園の用途転換による認定こども園の整備を進めるとともに、幼稚園での預かり保育の実施や認定こども園への移行を希望する私立幼稚園に対する支援を行います。  また、社会経済の変動や幼児教育・保育の無償化の影響等による保育需要の動向、それに対する保育の受け皿の状況を注視しながら、認定こども園の保護者ニーズや教育・保育における意義、効果などの把握・分析等を行い、認定こども園の新設や私立認可保育園から認定こども園への移行のあり方を検討します。 A 子育て家庭のニーズに沿った多様な保育の推進  働き方やライフスタイルが一層多様化する中、子どもの特性や子育て家庭のニーズに沿った教育・保育が選択できるとともに、子どもが安全で居心地がよく充実した時間が過ごせる場となるよう環境整備に努めます。 @ 夜間帯の保育の検討、休日保育の拡充  保護者の多様化する働き方に対応できるよう、保育所等での通常の開所時間を越えて保育を行う事業の検討結果を反映した取組みや日曜日・祝日に保育を行う休日保育を拡充します。 A 一時預かり事業の拡充  保育所やその他の場所において、一時的に子どもを預かる事業を拡充します。  B 幼稚園における預かり保育の拡充  幼稚園の利用を希望する保育の必要性のある家庭が仕事と子育ての両立を図ることができるよう、幼稚園における預かり保育の充実を図ります。 C 病児・病後児保育事業の拡充  病気やケガ等で集団保育が困難な時期に専門施設において保育を行う病児・病後児保育事業を拡充します。 B 災害時や緊急時におけるセーフティネットの構築  緊急保育や代替保育、地震や風水害等の自然災害により一時的に保育が必要となった子どもへの臨時的な預かり等、すべての子どもの安全と健やかな育ちを保障するという区が果たすべき公的責任において、区立保育園が「保育のセーフティネット」としての役割を担っていきます。 @ 災害時の応急保育の体制整備  区立保育園防災マニュアルを防災研修で検証し、令和元年の台風第19号の経験を踏まえ、予め災害の発生を予測できる「警戒期」の対応を詳細化するなど、より実用的な内容に改訂します。また、私立保育園にマニュアルや研修ツールを提供します。地域保育ネット、まちづくりセンターや総合支所、地域との連携を強化し災害時の応急保育に向けた体制を整備していきます。 A 緊急事態への対応及び支援  他の保育施設で保育が困難になった際の支援体制を確保します。また、令和元年のゴールデンウィーク10連休のような休日保育に対するニーズが高まることが予想される際には、休日保育実施施設の拡充など、柔軟に対応していきます。 B 緊急保育の拡充  支援を必要とする家庭の対応を行うため、保育待機児童の緊急受入枠(弾力化枠)の解除を行った区立保育園については、緊急保育の定員を拡充します。また、緊急保育における保育時間を延長します。   (2)教育・保育の質の向上 【現状と課題】 ・保育施設の急増に加え、児童相談所の開設に伴い保育園の認可権限や認可外保育施設の指導・監督権限が移管される中、認可外保育施設も含めたすべての保育施設の質の確保を図る必要があります。さらに、地域保育ネットワークの取組みを強化し、保育の質ガイドラインに基づく保育の質の向上に努める必要があります。 ・心身の発育・発達が著しく、生きる力の基礎となる忍耐力、意欲、協調性といった非認知的能力を培う乳幼児期に多くの時間を過ごす教育・保育施設において、すべての子どもが質の高い教育・保育を受けることができるよう一層の質の向上に向けた仕組みが必要です。 ・子どもたちの成人後の生活を左右するという研究結果が出され、近年、重要視されている非認知的能力等を育成するため、乳幼児が文化・芸術とふれあうことできる環境づくりや、芸術・創作活動などを通した乳幼児期における教育の実践が求められています。 ・幼稚園・保育園等と小学校では生活や教育方法が異なるため、子どもが円滑にその変化に対応できるような仕組みが求められます。 ・今後も保育士の不足が見込まれるとともに、幼稚園教諭との両資格所有者が多い中、幼稚園においても人材不足の課題を抱えています。また、離職率を下げ、専門性を積み上げていくためにも、資格者の「養成」と「育成」を一貫して考える仕組みの構築や幼稚園教諭や保育士の専門性、資質の向上に向けた取組みを推進する必要があります。 ・保護者のニーズや教育・保育の多様化が進んでいることに加え、幼児教育・保育の無償化の開始などにより制度が複雑化する中、保護者がニーズにあった事業を適切に選択できるような情報提供が求められます。 【目標】 ・指導監督の強化や第三者評価の拡充等により、すべての保育施設において「子どもの命」が守られた環境が整えられていることを前提としたうえで、巡回支援等の充実や保育の質ガイドラインの活用、学校関係者評価の実施などにより「子どもの育ち」が守られた質の高い教育・保育がすべての教育・保育施設において提供されている。 ・区立保育園が地域・地区の中心となり、すべての保育施設と連携・協力しながら保育の質の維持・向上に努めることで、すべての保育施設で質の高い保育が提供されている。 ・幼稚園・保育所等において、子どもたちの非認知的能力の育成等に向けて、芸術や創作活動などを通した取組みが実践されている。 ・アプローチ・スタートカリキュラム(※)や乳幼児教育アドバイザー派遣の活用により幼保小連携が図られ、子どもが施設の変化に円滑に対応し、安心して小学校生活を送れている。 ※ アプローチカリキュラムとは、幼稚園・保育所等から小学校へと変わる環境に対し、子どもたちが適応していける力を身に付け、小学校への期待や希望が持てるように教育・保育活動を充実させることを目的として作成するカリキュラムスタートカリキュラム。小学校へ入学した子どもが、幼稚園・保育所等での遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、新しい学校生活で主体的に自己を発揮していくことを目的として作成するカリキュラム。 ・人材確保支援や体系的な研修実施、公私立幼稚園・保育園等の合同研修等を進めるとともに、教育・保育現場と区、そして保育士、幼稚園教諭養成学校が連携した共同研究及び研究成果の共有化・見える化を図り、実習等における連携の仕組みを構築することなどにより、乳幼児期の教育・保育の充実、人材の確保・育成が図られている。 ・身近な場や気軽なツールにおいて教育・保育、子育て支援の相談・情報収集ができ、自ら適切な選択ができている。 【施策展開】 @ 教育・保育の質を支える仕組みの構築  指導・監督や巡回支援を通じて、各保育施設において専門的な知識・技術を身につけるとともに、地域の保育施設間のネットワークを強化することにより、質の向上を図ります。また、私立幼稚園の教育の質の向上に向け、学校評価等に取り組みます。 @ 巡回支援の拡充  区内保育施設に保育士、看護師などの専門職が訪問し、保育内容や子どもの健康状態などを確認し助言等を行うことにより、保育の質の確保・向上を図ります。また、日々の保育の交流の中で、保育施設からの相談を受けられるよう、各地区の区立保育園を「サポーター園」と指定し、支援体制の強化を図ります。 A 指導・監督体制の強化  児童相談所の開設に伴い、認可保育所・地域型保育事業の認可、指導検査及び認可外保育施設の指導監督等の業務を適切に実施できるよう体制強化を図ります。 B 区立保育園を中心とした保育施設間ネットワークの強化  区立保育園が中心となり、区内5地域で設置されている、様々な保育施設が支えあい、保育の質の向上に向けた取組みを行う保育関係者のネットワークの支援・強化を図ります。認可外保育施設へも参加を呼びかけ、区内のすべての保育施設の質の向上に取り組みます。 C 認可外保育施設における質の確保  指導監督基準を満たしていない認可外保育施設が指導監督基準を満たすことができるよう指導・支援し、さらには、既存施設を活用し、認証保育所や認可保育所への移行を支援します。 D 学校評価等の実施  私立幼稚園において、義務付けられている自己評価を実施するとともに、努力義務とされている学校関係者評価について取り組んでいきます。 E 外部評価の実施と公表  東京都福祉サービス第3者評価ガイドブックに基づいた受審を推奨し、外部評価の実施と公表に取り組んでいきます。 F 保育の質ガイドラインの活用  子どもを中心とした保育を実践するために作成した「世田谷区保育の質ガイドライン」の周知・活用を図ることにより、事業者・保護者・区民と共通理解を深め、ともに保育の質の向上に取り組んでいきます。 A 乳幼児期の教育・保育の充実  就学前教育の推進拠点として乳幼児教育支援センター機能を整備し、調査研究や研修等に取り組むとともに、教育・保育の現場と保育士・幼稚園教諭養成校となっている大学、短大等、世田谷区が連携し、共同研究の実施、研究成果の見える化・蓄積し、乳幼児期の教育の場で実践する仕組みを構築します。また、乳幼児教育を充実する取組み・研究の成果について普及・共有化に取り組むことにより、世田谷区全体の乳幼児期の教育・保育の向上を図ります。 @ 現場・学識経験者・区の連携による共同研究及び研究成果の見える化、保育の質ガイドラインの実践事例の蓄積  保育事業が多様化し実施主体も多元化する中で教育・保育について、一人ひとりの子どもを丁寧に理解しようとする実践を、学識経験者を交えながら、研究(仮説・検証・議論・評価等)を行い、成果の見える化を行います。実践事例は『保育の質ガイドライン』と照らしあわせ解説し、蓄積・共有しながら、世田谷の教育・保育の質の向上を図ります。 A 乳幼児教育支援センター機能の整備  乳幼児期の教育・保育にかかる調査研究や、その成果の普及・共有化に向けた取組み、教職員・保育者等の指導力と専門性の維持・向上のための研修、情報提供、幼稚園・保育所等の円滑な運営のための助言・支援、家庭や地域の理解促進などを行う就学前教育の推進拠点として、教育総合センター内に乳幼児教育支援センター機能を整備します。 B 子どもたちが文化・芸術とふれあうための環境づくり  事業者や大学等と連携した乳幼児期における文化・芸術体験の取組みや、芸術等を通した教育環境づくり、子どもたちの創造的活動の指導・支援に向けた仕組みの整備などにより、乳幼児が文化・芸術とふれあい、創造性を育むことのできる環境づくりを支援します。 B 幼保小連携の促進  質の高い乳幼児期の教育・保育と義務教育の実現に向けて、公私立幼稚園、保育所等との区立小学校との連携を推進し、乳幼児期の教育・保育と小学校教育の円滑な接続を図ります。 @ 幼稚園、保育所等と小学校との連携・交流のための環境づくり  幼稚園・保育所等と小学校の合同研修、公私立幼稚園・保育所等の合同研修などの検討・実施や、公私立幼稚園・保育所の代表等で構成する幼児教育・保育情報連絡会における情報共有・意見交換などにより、相互理解、交流・連携のための環境づくりを図ります。 A 乳幼児期の教育・保育と小学校教育の円滑な接続に向けた支援  乳幼児期における教育・保育と小学校教育の円滑な接続に向けてアプローチ・スタートカリキュラムの普及・促進を図るとともに、アプローチ・スタートカリキュラムの効果的な実施や各幼稚園・保育所等の運営上の相談等について助言・支援するため乳幼児教育アドバイザーを派遣します。 C 教育・保育に携わる人材の確保・育成  保育定員の拡大を進めていくことから、引き続き人材確保・定着支援を喫緊の課題として捉え、幼稚園教諭や保育士など教育・保育の担い手を確保するとともに、研修・研究などを通じて携わる人材の資質・能力の向上を図ります。 @ 人材確保支援  待機児童解消に向けた保育施設の新設により、全国的に保育士不足が深刻さを増すなか、保育施設の新設とあわせ、保育人材情報等のポータルサイトの運営や、地方も含めた就職相談会の実施、保育士が安心して働くことのできる保育環境の整備に資する処遇改善支援など、保育運営事業者の人材確保の支援を行います。また、幼稚園における幼稚園教諭の確保について、私立幼稚園の現状、課題、意向などの把握に努め、必要な支援を検討していきます。 A 在宅有資格者向け研修の実施  現在、資格を持ちながらも、教育・保育に携わっていない有資格者に対して、研修などを実施し、現場から離れていることからの不安などを解消することにより、担い手の確保を図ります。 B ハローワーク等と連携した教育・保育施設就職支援  教育・保育に携わることを希望する者と、担い手を確保したい事業者をマッチングする支援を行います。 C 教育・保育に携わる人材の育成  幼稚園教諭や保育士の資質・能力の向上を図るため、研修を実施するとともに、公益財団法人世田谷区私立幼稚園協会主催で開催している教諭の研修会等に対する支援を行います。また、乳幼児期の教育・保育にかかる調査研究や、資質の向上ための研修などを行う就学前教育の推進拠点として、教育総合センター内に乳幼児教育支援センター機能を整備します。また、医療的ケア、衛生管理や栄養指導等、直接的に保育に係る以外の専門的な研修については、福祉人材育成・研修センターと連携して、専門職の質の向上を図ります。 D 保育に携わる人材の確保・育成に向けた現場・養成校・区の連携強化  保育実習とは別に、気軽に現場を体験できる「きてみて保育」の実施や保育人材を養成する学校と保育現場が日常的に対話・連携できる関係づくりの仕組みを構築することで、保育士の離職率低下や保育の質の向上に向けたキャリア形成に向けて、養成校と現場が一体的に人材の養成・育成を図る環境を整えます。 E 幼稚園教諭や保育士の不安・負担軽減  幼稚園教諭や保育士が抱える不安や悩みの軽減を図るため、合同研修や交流・情報共有の機会をつくるとともに、ICTの活用などにより負担軽減を図ります。 D 保護者の教育・保育等の選択への支援  乳幼児期の教育・保育を行う施設等の運営形態の多様化に加え、施設の増加に伴い、その選択肢が広がる中で、保護者が身近な場や気軽なツールで情報を得て、家庭の状況やニーズにあった施設・事業を選択できるよう支援します。 @ 身近な場での相談・情報提供  利用者支援事業やひろば事業など妊婦や親子が気軽に行ける身近な場所で、教育・保育等の情報が得られ、必要に応じて相談が受けられるよう体制整備に努めます。 A 情報を得るツールの工夫  手軽に教育・保育等の情報が得られるよう子育て応援アプリや冊子等の活用を図ります。また、幼児教育・保育の無償化にかかる情報も含め、施設・事業の情報とあわせチェックすべきポイントなど情報の読み解き方について、区ホームページへの掲載や説明会の実施などを通じて周知していきます。  さらに、外国にルーツのある家庭が情報を得て、必要に応じて相談を受けることができるよう情報の多言語化等丁寧な支援に努めます。   E 「区立保育園の今後のあり方」に基づく取組み  区立保育園は、保育所保育指針に基づき養護と教育を一体的に行いつつ、地域における身近な公設の児童福祉施設(保育所)として、「子どもの育ちのセーフティネット」としての役割を行政の責任のもと担い、すべての子どもの安全と育ちを保障していきます。 @ 保育の質の維持・向上  区立保育園が地域・地区の中心となり、すべての保育施設と連携・協力しながら、「保育の質ガイドライン」に基づき、地域全体の保育の質の維持・向上を図ります。また、 各地域の拠点園が、地域における保育施設間の交流、先進事例や課題解決方法の共有等の中心的役割を担います。 A より質の高い教育・保育の提供  地域・地区における教育と保育の連携を進め、より質の高い教育・保育が提供できるよう、柔軟さを持ちながら先進的に取り組んでいきます。 B 支援が必要な家庭の早期発見及び対応  児童虐待の予防や早期発見・対応のため専門性や対応力をさらに高め、関係機関と協働・連携しながら、早期の対応と継続的な見守り・支援を行っていきます。年間を通じた継続的な事例研究や研修を実施し、職員のソーシャルワーク機能をより高め、支援が必要な子どもや家庭の早期発見、関係機関への連携へつなげるなど、専門性を生かした支援を行っていきます。 C 配慮を必要とする子どもやその保護者への支援  障害や疾病等により、特別な配慮や医療的ケアを必要とする子どもの受入れを関係機関と協力して進め、そのノウハウを区内の保育施設と共有し、広めることで、保護者の就労を支える体制づくりを進めていきます。 D 地域子育て支援機能の充実  地域・地区の実情や子育てに関するニーズの把握に努め、子育てに関する高い専門性やノウハウを在宅子育て家庭も含めた子育て家庭全体に提供することで、地域で安心して子育てしやすい環境づくりを進めていきます。  各地域の拠点園におでかけひろばを設置し、地域とつながりながら区立保育園が持つ豊富な人材・経験・専門性を十分に生かした支援を行うとともに、各地区においても、既存の子育て支援事業の見直し及び拡充を図っていきます。 E 災害時や緊急時におけるセーフティネット  特別な事情により保育を必要とする場合の緊急保育の拡充や災害時の応急保育、他の保育施設で保育が困難になった際の支援体制づくりを行っていきます。 コラム、世田谷区立希望丘保育園における取組み 地域の身近な「子どもの育ちのセーフティネット」として、すべての子どもの安全と育ちを保障するために ●「砧地域拠点園」としての役割を担う 〜世田谷区立希望丘保育園〜  平成31年2月に策定した「区立保育園の今後のあり方」では、区立保育園は、『地域における身近な公設の児童福祉施設として「子どもの育ちのセーフティネット」の役割を行政の責任のもと担い、すべての子どもの安全と育ちを保障するとともに、地域・地区の中心となり、すべての保育施設と連携・協力しながら、地域全体の保育の質の維持・向上のために取り組んでいく』と、その役割を示しました。  区立希望丘保育園は、平成31年1月に希望丘複合施設内の新園舎に移転し、近隣にある区立船橋西保育園を統合したうえで、平成31年4月から、区立保育園の役割を実践し、けん引していく砧地域の拠点園としてスタートしました。 @ 砧地域保育ネットワークの活動  砧地域の「地域保育ネット(保育施設間のネットワーク)」の事務局の役割を担い、すべての保育施設(認可・認可外を問わず)や地域の民生児童委員、子育て支援コーディネーターにも参加を呼びかけ、「顔が見える、いつでも相談しあえる関係づくり」をキーワードに、子どもを中心とした保育を目指し、連携・協力しながら、保育の質の維持・向上に取り組んでいます。 A より質の高い教育・保育の実施  地域・地区における教育と保育の連携を進め、より質の高い教育・保育が提供できるよう、先進的に取り組んでいます。  B 医療的ケアを必要とするお子さんやその保護者への支援  障害や疾病等により、医療的ケアが必要でかつ集団保育が可能な子どもの受入れを開始しました。また、区立保育園に勤務するすべての看護師を対象とした専門性の高い研修や園内研修を開催し、職員の支援技術の向上に努めています。 C 「おでかけひろば にじ」の開設  子育て中の親子が気軽に立ち寄り、交流できる場として「おでかけひろば にじ」を併設して  います。子育て相談や子育て情報の提供を通して、  子育てに対する不安の解消や負担感の軽減、地域  の子育て支援機能の充実を図っています。   3 支援が必要な子ども・子育て家庭のサポート (1)要保護児童・養育困難家庭への重層的支援 【現状と課題】 ・平成28年改正の児童福祉法では、すべての子どもが、「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」ことを明文化しました。要保護児童や養育困難家庭が適切な支援を受けられず、子どもの成長や発達が阻害されてしまうことは、子どもにとっての著しい権利侵害となります。孤立したままで適切な支援につながることが困難な子育て家庭に、身近な地域が早期に気づき、子どもの発達と権利を守るために、必要な支援につなげて、子どもや子育て家庭を温かく見守り支える社会づくりが必要です。 ・増加する児童虐待相談への対応のため、子ども家庭支援センターの支援力の向上に努めてきましたが、支援が必要な子育て家庭の課題はますます複雑化・多様化しており、子ども家庭支援センターと児童相談所がそれぞれの役割を担いながら一体となって、支援の充実と適切な介入を行っていく必要があります。特に、DVと児童虐待や世代間の連鎖とその背景にある生活困難などの複合的な課題については、それぞれの機関が緊密に連携し、取り組むことが必要です。こうしたことから、地域のすべての子どもと子育て家庭の相談に対応する子ども家庭総合支援拠点である子ども家庭支援センターの機能やソーシャルワーク力の強化が求められています。 ・支援が必要な子どもや家庭を早期に発見して見守り支えていくためには、要保護児童支援協議会(児童福祉法第25条の2に基づく要保護児童対策地域協議会)の仕組みを活用して、身近な地域で子どもに関わる関係機関や支援者同士が顔の見える関係をつくることが大切です。また、要保護児童支援協議会の調整担当である子ども家庭支援センターは、児童相談所と一体となり、子どもを守る地域ネットワークを活用して、行政、関係機関、NPO等多様な機関が連携・協力して支援を行うための核となる必要があります。 ・子ども家庭支援センターは、要保護児童支援協議会の地域ネットワークと様々な支援を活用して、一時保護等から家庭復帰した子どもとその家庭が住みなれた地域で生活していけるように児童相談所と連携して支えていく必要があります。 ・適切なアセスメントとソーシャルワーク、地域の子育て資源を活用した支援によっても子どもの権利が守られないと判断したときには、適切な介入により子どもの命と権利を守る必要があります。 ・児童相談所は、子どもの生命と安全を確保するために、適切に子どもの一時保護を行うとともに、子どもの意見を尊重しながらその後の家庭復帰に努めていく必要があります。 ・予期しない妊娠に対する適切な支援と同時に、生まれてくる子どものパーマネンシーも保障される切れ目のない相談・支援のため、行政と医療機関の連携・協力体制の構築が求められています。 ・家庭復帰が望めないと判断される場合は、養子縁組により永続的な人間関係や生活の場の保障(パーマネンシー保障)に取り組むことが求められています。 ・子どもの健やかな成長のために代替養育を必要とする場合においては、家庭養育優先の原則に基づき、里親やファミリーホームへの養育委託に努めるとともに、その受け皿を確保するため、里親制度等の社会的養護への理解促進に向けた普及啓発の強化や、里親支援の拡充に努める必要があります。   【目標】 ・児童虐待の予防や回復に向けた子育て支援の充実と、子どもや子育て家庭が日頃利用する場などにおいて見守り支えることができる体制及び関係機関のネットワークの強化により、支援が必要な子どもや子育て家庭が早期に発見され、適切な場・支援につながり、子どもの権利が守られている。 ・子ども家庭支援センターや児童相談所など、児童相談行政に関わる職員の専門性の確保と経験の蓄積が図られている。 ・子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用を柱として、地域や地区において多様な地域資源が連携・協力しながら適切な見守り・相談支援ができる相談支援体制・ネットワークが構築され、子どもが大切にされて、みんなで子どもを守るまちの実現が図られている。 ・子どもの人権に配慮した一時保護がなされるとともに、保護児童や措置児童の意見表明・権利擁護の仕組みが構築されている。 ・妊娠期面接等により、実親による養育が困難な事案があった場合は、パーマネンシー保障の観点から児童相談所での特別養子縁組の相談につなぎ、児童相談所は実親の養育の意思を確認のうえ、出産後できるだけ早期に乳児の特別養子縁組を希望する里親への委託につなげる連携ができている。 ・区民、地域への里親等の普及啓発・理解促進及び里親の開拓から委託後までの支援体制の構築等により、里親委託が必要な子どもがすべて、里親家庭で暮らすことができるよう里親登録数が十分であるなど、里親をはじめとする社会的養護が推進されている。 ・区民の里親制度等の理解が進み、里親家庭が暮らしやすい地域環境ができている。 ・一人ひとりの子どもの最善の利益の実現のため、多様な社会的養護の受け皿が整い、いずれにおいても子どもにとって安心できる家庭的な環境が保たれている。 【施策展開】 @ 要保護児童・養育困難家庭の早期支援の充実  子どもを地域の宝として尊重し、子どもの権利を守るため、地域社会全体で子育てを支援する体制づくりを進めます。子育て家庭の孤立は、児童虐待の深刻化につながります。子育て家庭の孤立化を予防し、不安感、負担感の軽減を図るとともに、支援者の気づきの感度を高め、リスクの高い子育て家庭を早期に適切な支援につなげて、児童虐待の防止と連鎖を断ち切る取組みを進めます。 @ 早期発見・早期対応の仕組みの充実  妊娠期面接、乳児期家庭訪問、乳幼児健診などの機会や、幼稚園、保育園、学校、児童館をはじめとする日頃利用する地域の中の施設等において、リスクを早期に発見し、支援の手からこぼれ落ちることのないよう、継続した支援につなげていきます。 A 地区における見守りのネットワークから早期支援につなげる仕組みづくり  児童館を中核とした多様な地域資源が連携した地区における見守りのネットワークを構築し、地域の相談支援の中核である子ども家庭支援センターやネウボラ・チーム、利用者支援事業など地域の相談機関との連携を強化することにより、子どもと子育て家庭に身近な地域・地区における見守りや相談支援から、支援が必要な子どもや家庭を早期に発見し必要な支援につなげる仕組みの充実を図ります。 B 産後ケア事業の展開  宿泊ケアやデイケアを通して産後の育児不安や体調不良等の解消に取り組む産後ケア事業は、子ども家庭支援センターやネウボラ・チームと連携して産後の母を早期に支援することで、児童虐待の未然予防や深刻化予防を図ります。また、産後ケア事業を利用した産後4か月以降の母子に対して、引き続き相談や支援ができる仕組みを充実します。 A 継続支援・生活支援のための子育て支援サービスの充実とケースマネジメントの強化  支援が必要な家庭の課題は様々な要因が絡み合い困難化、複雑化しています。それらの課題に的確に対応するため、児童相談行政に関わる職員一人ひとりのソーシャルワーク力を高め、チームアプローチを適切に行います。また、事業手法の検証・検討を通じて、子ども・家庭にとって望ましい生活が実現できるまで継続して地域で支援する体制を整備していきます。 @ 子育て支援事業の適切な活用による支援  適切なアセスメントにより個々の家庭の状態にあった子育て支援事業の活用を通じて、虐待の予防及び防止を図ります。 A 親支援講座の充実  怒鳴らない、叩かない子育てを実現するためのスキルを習得して、児童虐待の連鎖を予防するためのペアレント・トレーニングや、子育てへの不安、負担感を肯定的に受け止め、無理のない子育てを行うための講座等について、プログラムの見直しを図り、効果的な支援を進めます。 B 学生ボランティア派遣事業の充実  虐待を受けた子どもが大人との信頼関係を築くことができるように、ボランティアの学生等を派遣して学習、遊び、話し相手等を行う学生ボランティア派遣事業について、子どものニーズを踏まえ必要な支援が図れるよう進めていきます。 C 子ども家庭支援センターや児童相談所等の児童相談行政に関わる職員の専門性の確保及びソーシャルワーク機能の向上  様々な要因が絡み合い、困難化・複雑化する課題を抱える家庭を的確にアセスメントして適切な支援を行うため、職員の知識や気づきの感度、援助技術を高める体系的な研修プログラムを構築・実施します。また、専門性の確保に向け、専門機関を活用した研修や子ども家庭支援センターと児童相談所の共同研修等の実施を通じた人材育成により、児童相談行政に関わる職員の認識の共有やソーシャルワーク機能の向上等を図ります。  さらに、身近な地区において行政として果たさなければならない機能の強化を図る児童館や区立保育園において、共同研修等を実施し、職員の相談支援の技術向上を図るとともに、ジョブローテーションによる経験の蓄積も視野に入れた育成プランを策定するなど児童相談行政の第一線で活躍する人材の育成に努めます。 D 継続的な支援を展開するための体制の整備  子ども家庭支援センターは、地域の関係機関の連携の要となり、子どもや子育て家庭に継続的に寄り添って支援していくことが求められます。子どもの養育環境や親の環境の変化、子どもの成長、時間の経過等をアセスメントして継続的に支援することが、児童虐待の発生や重篤化、再発予防につながることから、適切な人員体制、バックアップ体制を整えるなど、子ども家庭支援センターの支援体制の充実に努めます。 B 地域支援体制の構築  虐待を受けている子どもや非行問題のある子どもなどの要保護児童等の適切な問題解決に向けて、行政、関係機関、NPO等の機能や特性の相互理解を深め、役割を明確化するなどネットワークの強化を図るとともに、すべての子どもが、安心できる自分の居場所を見つけ成長していけるよう、地域全体で子どもや子育て家庭への切れ目のない支援を図ります。 @ 要保護児童支援地域協議会を活用した支援  要保護児童支援協議会の目的である、支援対象児童の早期発見、適切なアセスメントによる課題や支援方針の共有、関係機関の役割分担の共通理解等を着実に実施するため、要保護児童支援協議会の調整担当である子ども家庭支援センターを要としたより実践的な地域協議会を充実します。また、子ども家庭支援センターが、身近な地区において相談や見守りの場として中核的な役割を果たす児童館と連携して地域・地区における子どもの状況把握や見守りを行い、必要な支援からこぼれ落ちることがないよう、関係機関や支援者の顔の見えるネットワークづくりができる環境を整備します。  児童相談所と子ども家庭支援センターが連携して、関係機関とのネットワーク強化を図り、行政、関係機関、NPO等が連携して被虐待児童や非行問題が見られる子どもとその家庭への支援を展開します。また、児童虐待とDVの複合的な課題に対応するために、配偶者暴力相談支援センター機能との連携を強化します。 A すべての子どもの状況確認  必要な子育て支援につながらず孤立してしまうことで児童虐待が深刻化することを予防するため、未就園や長期欠席等で長期間子どもの状況が把握できない状態を解消し、必要な支援につながっていない子どもや家庭を適切に支援につないでいきます。また、福祉と教育の連携により、不就学児等の状況確認を行っていきます。 B 地域関係機関への人材育成と人材活用  保育園、幼稚園、児童館、地域子育て団体、主任児童委員など地域で子どもと関わる機関・人材に対する研修等を通じて育成を図り、地域の中での支援を進めます。 C 子どもの虐待防止に向けた普及啓発  広く誰でも参加できる開かれた協議会を実施し、児童虐待の理解促進と普及啓発を行います。 D 地域で安心して暮らすことができるための環境整備  子どもの最善の利益を最優先し子どもの意見を尊重しながら家族復帰に最大限努め、地域で安心して暮らすための在宅支援の充実を図り、関係機関や地域資源が連携して支援や見守りを行うことで、保護者が健康状態を取り戻し、子どもを養育できる環境を整えます。 C 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備  子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用を柱として、地域や地区において多様な地域資源が連携・協力しながら適切な見守り・相談支援ができる相談支援体制とネットワークを構築するとともに、子どもの意見表明・権利擁護の仕組みをつくり、みんなで子どもを守るまちの実現を図ります。   ■ 児童相談所の基本的な機能 ■  児童相談所の主な業務は、児童福祉法第12条等で次のとおり規定されています。 @ 児童に関する各般の問題について、家庭その他からの相談に応ずること 養護相談  虐待、養育困難などに関する相談。 障害相談  発達障害、知的障害、肢体不自由などに関する相談。 非行相談  ぐ犯行為、触法行為に関する相談。 育成相談  不登校、性格行動、しつけなどに関する相談。 その他の相談  里親希望、夫婦関係など上記の4つの相談に属さない相談。 いじめ相談  上記の5つの相談の一環として行われる「いじめ」に関する相談。 A 必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的、精神保健上の判定を行うこと B 調査又は判定に基づき必要な指導を行うこと C 児童の一時保護を行うこと D 施設入所等の措置を行うこと  また、災害時においては、災害発生後、区の各所管及び関係機関とも連携を図りながら、避難所などにおいて震災によって要保護となった子どもの発見、把握を行います。このような子どもがいた場合、一時保護所など安全な場所で生活できるように保護するほか、孤児となり親族等の監護を行う方がいない場合は、里親・ファミリーホームや児童養護施設、乳児院等で安心した生活が送れるような措置を行います。また、児童相談所の精神科医師や児童心理司が中心となり、災害に直面した子どもの心のケアを行うなどの支援に取り組みます。 @ 児童相談所の体制整備  児童相談所は、児童福祉司等の職員の配置基準の見直しへの対応とともに、児童虐待通告の著しい増加への対応や、子どもの人権に配慮した一時保護所の運営などが大きな課題となっており、職員配置等にあたり独自の工夫が求められています。  区の児童相談所では、児童福祉司、児童心理司ともに令和元年6月の児童福祉法改正における基準を上回る職員を配置するとともに、国が示す児童相談所の体制強化策を踏まえ、警察官OBや弁護士、小児科医・精神科医師を配置して支援を行います。  また、区の一時保護所では、家庭的な雰囲気のもとで、子どもの権利が守られた生活ができるよう、子どもを少人数のグループに分けた運営とし、それぞれ職員ローテションを成立させるために、グループごとに必要となる専属職員を配置して運営します。 A 子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用  子ども家庭支援センターは、一般の子育て家庭等の総合相談から子ども虐待事例の在宅支援及び虐待発生予防を主に担う一方、児童相談所は一時保護や施設入所、里親委託にかかる措置など、子どもの命を守るための法的権限行使を視野に入れたケース対応のほか、性的虐待など高度な専門性を必要とする相談や虐待対応を主に担っていきます。  子ども家庭支援センターと児童相談所は、必要に応じて問題の解決まで協働で関わる「のりしろ型」支援の体制を構築し、支援の充実と適切な介入を行うため、ケース対応ルールの明確化を図るとともに、一貫したアセスメントに基づく支援を行います。また、共通のソーシャルワークを学ぶ機会を設け、理念の共有と共通認識の醸成を図ります。くわえて、子ども家庭支援センターと児童相談所の連携にあたっては、児童関連システムの活用についてルールを定めて、業務間の連携を図ります。 ■ 「のりしろ型」支援の実現の方策 ■  ○子ども家庭支援センターと児童相談所の両機関の職員がチームとなり、日常から担当区域の情報共有を行います(子ども家庭支援センターの職員体制にあわせ、児童相談所職員の担当区域を定めるなど、顔の見えるチーム体制を構築します)。 ○原則として、子ども家庭支援センターと児童相談所は合同で支援会議を実施し、支援プランの策定(アセスメント)を行います。このように、両機関が協働しながら、問題の解決を目指し、児童相談所による個別ケースへのかかわりを強化するとともに、同一基準・同一判断による一貫したアセスメントに基づき、必要に応じて双方が持つ機能を組み合わせた支援を行います。 B 子どもの人権に配慮した一時保護の実施  子どもの最善の利益を確保するために、保護する子どもの年齢や性等の状況などに応じた適切な生活環境を提供するとともに、保護された子どもへの担当の児童福祉司による十分な説明や、子どもの意見を酌み取る方策、第三者による子どもの意見聴取を実施し意見表明の仕組みを構築します。 C 子どものパーマネンシー保障の仕組みの構築  子どもの生命と安全を確保するために、適切に子どもの一時保護を行い子どもの意見を尊重しながらその後の家庭復帰に努めます。また、家庭復帰が望めないと判断される場合においては、すみやかに養子縁組につなげるなど、永続的な人間関係や生活の場の保障(パーマネンシー保障)の取組みを進めます。   D 家庭養育を優先した社会的養護の推進  里親を中心に家庭養育を優先した社会的養護の受け皿の拡充を図るとともに、里親と子どもの多様なマッチングを可能とするため、養育が難しい子どもを養育できる専門性の高い里親や、一時保護委託や短期の養育委託が可能な里親の育成に重点を置いた支援を行います。 @ 里親の新規開拓及び理解促進のための普及啓発事業の充実  里親を必要とするすべての子どもが里親家庭で暮らすために里親登録家庭数を増やすとともに、里親制度を広く区民に周知し、里親制度の理解を促進します。 A 里親支援体制の構築  里親家庭において子どもが安心して安全に暮らしていけるよう、里親の支援体制を構築します。また、子育て支援や保育等の活用により、里親の負担軽減を図ります。 B 専門性の高い里親の育成  既登録の里親家庭が、養育が難しく一定の専門的ケアを必要とする子どもも養育できるよう、より専門性の高い里親へのステップアップを促進します。 (2)配慮が必要な子どもの支援 【現状と課題】 ・配慮が必要な子どもが早期に支援につながることができるよう、身近で敷居の低い相談窓口を設けるとともに、必要に応じて専門的な支援につなげていけるよう、身近な相談機関と専門支援機関との連携体制を構築していく必要があります。  ・配慮が必要な子どもを育てる家族は特に孤立しやすく、困難な状況に置かれやすいため、相談支援体制等の充実が求められます。 ・保育園、幼稚園、学校、新BOPなど日頃子どもが過ごす場で安心して過ごせるよう、子どもに直接関わる身近な支援者や大人が特性を理解し、専門機関と連携しながら支援を行う必要があります。 ・特別支援教育の充実を図ってきましたが、発達障害をはじめ、配慮が必要な児童・生徒の増加等に伴い、支援ニーズは依然として高い状況にあります。また、個々の状態に応じた特別支援教育を充実するためには、特別支援学校、通常学級、通級による指導、特別支援学級等、連続性のある多様な学びの場が求められます。 ・支援情報が進学や転校・転園などライフステージの変化で途切れることなく引き継がれる必要があり、「スマイルブック」などを活用した支援情報の引継ぎがより効果的となるよう教育と福祉、関係機関同士の一層の連携が必要です。 ・医療的ケアが必要な子どもとその家族の支援にあたっては、保健・医療・福祉・教育が連携する仕組みをつくり、成長段階に応じた支援が必要です。 【目標】 ・必要なときに必要な支援につながることができ、関わる支援者の連携・協力のもと、当事者・家族が感じる生活上の困難に寄り添った支援が図られている。 ・配慮が必要な子どもを育てる家族が身近に相談できる場やリフレッシュ、レスパイトの機会があり、孤立することなく支援につながっている。 ・施設等への巡回支援や専門職員から支援者への技術的な支援、研修、講演等を通じて、子どもに関わる支援者・大人への理解促進、対応スキルの向上が図られ、適切な合理的配慮を受けながら住み慣れた地域で自分らしい生活を安心して継続できている。 ・特別支援教育の人的支援体制が充実されるとともに、特別支援学級等の整備が進められ、連続性のある多様な学びの場の強化が図られている。 ・福祉と教育や関係機関、家庭が連携し、乳幼児期から成人期に至るまですべてのライフステージを通して支援情報が途切れることなく支援につながっている。 ・医療的ケアが必要な子どもとその家族について、保健、医療、福祉、保育、教育等の関係機関による協議会を設置し、区立保育園での預かり、区立小中学校への看護師配置、障害児相談支援事業所の拡充など支援の充実が図られている。 【施策展開】 @ 配慮が必要な子どもの早期支援の充実  障害等により配慮が必要な状態にある子どもが早期に必要な支援につながることは、子どもの発達を促し生活上の困難を軽減するだけでなく、虐待やいじめなど二次的な障害を防ぐためにも重要です。  育児への不安や難しさを抱える保護者の心情に配慮し、ゆるやかで保護者が相談しやすい環境を提供するとともに、各関係機関が連携し、支援が必要な親子が早期に支援へつながるよう支援体制を充実します。 @ 乳幼児健診との連携による早期発見・早期支援  発育発達の目安となる月齢で行う乳幼児健診では、必要に応じて専門的相談の紹介や育児グループの利用案内をするなど継続的な支援につないでいます。特に、社会性等の発達や母子関係のつまずきを早期に発見する時期となる、1歳6か月児健診後にフォローグループを実施し、子どもの成長支援・保護者の相談を行います。 A 4歳6か月児発達相談案内  子どもの発達に不安を抱える保護者が早期に必要な支援へつながることができるよう、相談案内のリーフレットを送付し情報の提供を図ります。 B 発達支援親子グループ事業(再掲)  子どもの発達に不安を抱える保護者に対し、子どもとの遊び方や子どもの特徴への理解を深め、養育力の向上を図ります。 C 自らの特性への理解を促す取組みの拡充  生きづらさを抱えた若者に対し、自らの特性への理解を促すプログラムを実施します。 A 日常を過ごす場や地域で安心して過ごせる支援の充実  障害のある子どもが過ごす場所における合理的配慮の提供、及びその基礎となる環境の整備に向けた取組みを進めるとともに、安心して過ごすことができる療育や日中活動の場の確保に取り組みます。 @ 地域に対する理解の促進  身近な地域においてミニ講演会を行うなど、地域社会に対する障害理解を促進します。 A 子どもに関わる支援者のスキルアップ  専門支援機関による研修や巡回指導を通して子どもに関わる支援者のスキルアップを図ります。 B 保育所や幼稚園等での支援体制の充実  障害の有無に関わらず、子どもが保育所や幼稚園等を利用できるよう必要な支援を行うとともに、合理的配慮の提供に向けて取り組みます。 C 特別支援教育の充実  特別支援教育の人的支援体制を充実するとともに、特別支援学級等の整備や教職員の専門性の向上に取り組みます。 D 放課後の居場所の確保  配慮が必要な子どもの放課後の日中活動の場の充実を図ります。 B 途切れのない支援の実施  ライフステージを通して途切れのない支援が行えるよう、支援情報の引継ぎ支援を行うとともに、教育上の配慮が必要な子どもについては、保護者同意のもとに作成する「就学支援シート」による支援を行うなど、福祉と教育や関係機関、家庭が連携した支援を進めます。 @ スマイルブックの活用  「スマイルブック」等を活用し、ライフステージを通した支援情報の引継ぎを支援します。 A 就学支援シート等の活用  教育上の配慮が必要な子どもについて、「就学支援シート」等を活用して、支援を行います。 C 医療的ケアが必要な子どもへの支援  医療的ケアが必要な子ども及びその家族が地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、保健、医療、福祉、保育、教育その他の各関連分野が連携し、支援体制の充実を図ります。 @ 協議会・ネットワークを活用した施策の充実  医療的ケアが必要な子ども及びその家庭が地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、各関連分野が連携して施策を充実します。 A 障害児相談支援事業の充実  医療的ケアが必要な障害児の在宅移行に伴う障害福祉サービス利用に対応するため、その入り口である相談支援従事者の育成支援を進めます。 B 医療的ケアが必要な子どもを受け入れる障害児通所施設への助成  重症心身障害児通所施設及び医療的ケアが必要な子どもを受け入れている障害児通所施設への補助を実施します。 C 区立保育園(指定園)での預かりの充実  医療的ケアが必要な子どもとその家族の地域生活支援の向上を図るため、各地域の指定園において、医療的ケアが必要でかつ集団保育が可能な子どもの受入れを進めます。また、専門性の高い研修を通じて、職員の支援技術の向上に努め、保護者の就労を支える体制づくりを進めます。 D 区立小・中学校での支援の充実  区立小・中学校に在籍している医療的ケアが必要な子どもを対象に、学校生活における様々な場面での医療的ケアの実施や、自立に向けた能力の伸長、通学に関する支援等の充実を図ります。   (3)生活困難を抱える子どもの支援〜子どもの貧困対策の推進〜 本項目については、子どもの貧困対策の推進に関する法律に定める「子どもの貧困対策計画」として第6章に掲げる。   (4)ひとり親家庭の子どもの支援 【現状と課題】 ・ひとり親家庭は、子育てと生計を維持することに日々追われ、地域社会とのつながりが希薄となり、健康面において、抑うつ傾向のある割合が高いこともあり、孤立化しやすい状況にあります。 ・ひとり親家庭の親には、ひとり親家庭の支援をまとめたリーフレットやメールマガジンの配布など情報提供を行っていますが、支援・サービスを利用していない傾向にあり、相談時間の確保や自ら情報収集する余裕が持てないなど、ひとり親家庭の困難さに寄り添った相談支援や情報提供が求められます。 ・ひとり親家庭では、子どもとの時間の確保や、成長段階や思春期における異性の子どもとの関わりなどの課題を抱えることも多く、支援につながることが求められます。 ・継父母と生活する家庭(ステップファミリー)は、家族形成にストレスを伴うことも多く、児童虐待やDVにつながる要因をはらんでいます。 ・子どもにとって親の離婚・死亡などの喪失体験や親のDVなどの面前での体験は、特にひとり親になった初期において大きなダメージであり、親も含め支援が必要となります。 ・離婚等によりひとり親となっても、養育費をもらっていない家庭が多く存在するなか、それ以前の子どもの生活水準を落とさないようにするために、また子どもの将来への影響を最小限にするためには、養育費の取り決めを進めるための、また、取り決めを確実に履行してもらうための相談支援等が必要となります。 ・離婚等によりひとり親になった直後は、生活の大きな変化を伴い、様々な不安を抱える時期であり、特に支援を充実させていく必要があります。 ・ひとりで子育てをしているなかで、子どもがひとりでいる時間が長くなるなか、子どものことを心配している親が多いという状況にあります。 ・ひとり親家庭の子どもは、塾に行きたくても経済的な理由で行くことができない、聞きたくても近くに聞く人がいないなど、学習環境の課題を抱えています。また自立に向け、就労等をイメージできる機会の提供が望まれます。 ・ひとり親家庭という環境においても、経済的な状況等に左右されず、子どもが進路を選択できる環境づくりを行う必要があります。 ・ひとり親家庭が安定した生活を営むためには、就労支援の充実とともに、求職活動中の子どもの預かりなど就労に向けた環境が整備されている必要があります。 【目標】 ・地域とのつながりや支援機関への相談をとおして、利用意向に沿った支援・サービスを利用し、安心して生活できている。 ・地域の社会資源の活用や母子生活支援施設の機能強化により、ひとり親家庭の地域での暮らしを支える環境やシステムが整っている。 ・母子家庭も父子家庭も個々の状況に応じた十分な情報が得られ、その人に寄り添った相談支援とともに、ひとり親家庭が生活基盤を築き、自立が促進されている。 ・子育てや生活上の不安などについて、安心して相談ができるつながりを持ち、前向きに子育てができている。 ・離婚前の家庭相談からひとり親になった直後の早期支援を進めるための情報が入手しやすくなっている。 ・ひとり親家庭の子どもの学習環境や居場所が充実し、自立に向けたステップアップが図られている。 ・子どもが、学習の支援や安心して過ごすことのできる居場所での支援を通して、自己肯定感を高め、将来の進学や進路に希望をもっている。 ・就労支援の充実とともに、ひとり親の子どもの成長に必要な長期的なライフプランに向けた活動を支える環境が整備されている。 ・高等技能の技術取得やキャリアアップの機会を持ち、経済的な安定や将来への不安が軽減されている。   【施策展開】 @ 子育てと仕事の両立を図るための子育て・生活支援等の充実  ひとり親は、子育てと生計を立てるという役割を一人で担っています。ひとり親家庭が地域の中で安心して生活するための支援を行います。 @ 生活支援の実施  ホームヘルパー派遣や保育・子育て支援の充実により生活を支援します。 A 住宅支援の実施  住宅の確保が難しいひとり親家庭に、公的住宅等に関する適切な情報提供を行うとともに、部屋探しのサポートや家賃低廉化補助事業等により民間賃貸住宅への入居支援を行います。 B 母子生活支援施設の多機能化と質の維持・向上  社会的養護の機能を担う施設として、また施設に入所せず地域の中で子育てをしているひとり親家庭への支援等、開かれた施設として、母子生活支援施設の多機能化の検討を図るとともに、母子家庭の自立に向けた支援を行います。さらにDVや様々なストレスを抱えた入所母子に対して、質の高い支援を行っていくため、施設職員の人材確保・育成に向けた支援を行っていきます。 C ひとり親家庭の孤立防止  ひとり親家庭のその人らしい自立に向けて必要な講座の検討やひとり親家庭の交流を促進します。 D 経済的な支援  手当や資金貸付等により、ひとり親家庭の経済基盤の安定を支援します。 A 子育てや就労等の横断的な情報提供・相談機能の充実  ひとり親のその人らしい自立を支援するために、個々の状況を適切に捉え、必要な時期に必要な社会資源や支援制度等が活用できるよう情報提供を充実し、ひとり親家庭の困難さに寄り添った総合的・包括的な相談支援を行います。 @ 多様な媒体を活用した情報提供  紙媒体やホームページに加え、メールマガジン配信やスマートフォンアプリ等、多様な媒体を活用し、当事者の視点に立ち、必要としている情報の提供を分かりやすく行います。 A 多様な相談への対応強化  保育園・幼稚園・児童館等ひとり親家庭に関わる身近な施設での相談支援の充実を図りつつ、子ども家庭支援センターにおいて母子相談員が中心となり、健康づくり課の保健師や他の専門職等と連携し、抑うつ傾向等、健康面の課題にも配慮し、総合的・包括的な相談支援を行います。また、相談先の周知を強化するとともに、相談支援体制の充実により、相談時間の確保が難しい父子家庭・母子家庭が相談につながりやすい環境づくりに努めます。 B 支援策の検討と人材育成  自立に必要な支援等のプログラムの活用を進めるとともに、ひとり親家庭等の相談支援に関わる職員及び支援者を対象とした体系的な研修を実施し、相談技術の向上を図り、当事者を主体とした相談支援体制の強化に努めます。また、ひとり親家庭を中心とした相談支援に関わる機関における連携の強化を図ります。 C 養育費の安定的な確保とひとり親家庭の生活に関する相談支援の充実  養育費の安定的な確保に向けた相談支援を継続するとともに、ひとり親家庭の生活基盤が安定するよう、養育費の相談と合わせて就労や家計管理、ライフプラン等の相談の機会をつくり、支援の充実を図ります。   B 子どもの生活安定に向けた支援の充実  子どもの将来が生まれ育った家庭の状況に左右されることがないよう、ひとり親家庭の子どもへの学習支援事業や多様な大人や年長者との交流の機会を提供し、子どもの自立への支援を行います。 @ 学習支援事業の実施  ひとり親家庭等の子どもを対象に、大学生等ボランティアによる学習支援事業や居場所を継続して実施するとともに、個に応じた基礎・基本の定着等に向けた学びの場と機会を提供と充実を図ります。 A 就学のための経済的負担の軽減  子どもの就学が生まれ育った家庭の状況に左右されることがないよう、支援に関する情報を発信し就学資金の貸付等を通じて就学にかかる経済的負担の軽減を図ります。 C 将来設計を見据えた多様な働き方サポートの充実  ひとり親家庭の経済的自立を支援するため、関係機関との連携強化を図り、個々の状況に応じた自立支援プログラム等を活用し、有効な就労支援を行います。 @ 自立支援プログラム等の活用  ひとり親のより良い条件での就職や転職に向けた可能性を広げ、その人らしい就労に向け、各種支援事業を組み合わせた自立支援プログラム等を活用した就労支援を行います。 A 就労支援講座等の実施  関係機関と連携を図り、ひとり親家庭向けの就労支援講座等を実施し、有効な就労支援を行います。 (5)悩みや困難を抱える子ども、家庭に課題を抱える子どもの支援 【現状と課題】 ・いじめ、不登校、ひきこもり、性的指向や性自認を理由とした悩み、思春期のこころの問題、発達・発育など、子どもやその保護者が抱える悩みや課題が多様化・複雑化しています。問題の早期発見や未然防止、発生後の適切な対応のためには、相談機能のさらなる充実が必要です。 ・様々な要因により支援の手が届かないと長期のひきこもりに移行するリスクが高くなるため、早期に支援につながることが求められます。 ・悩みや困難を抱える子どもや、家庭に課題を抱える子どもが、地域の一員として安心して日常生活を過ごせる場・環境が求められます。 ・悩みや困難を抱える子どもや家庭に課題を抱える子どもが、安心できる、ホッとできる居場所が地域の中に求められます。 【目標】 ・子どもとその保護者に関する相談体制・相談機能の充実が図られるとともに、必要に応じた教育と福祉の連携などにより、適切な場や支援につながっている。 ・不登校の予防から事後対応まで一貫した支援を行う体制を整備するなど不登校対策の充実が図られるとともに、長期ひきこもり等へ移行しないよう若者支援と教育委員会、学校との連携により早期の支援につながっている。 ・安心でき、主体性を損なうことなく「いる」ことができ、地域の人など多様な人が集う居場所において、支援者が日常の関わりのなかで信頼関係を構築し、本音・悩みを引き出し支援につなぐことができている。 【施策展開】 @ ニーズに応じた相談機能の充実  いじめ、不登校、ひきこもり、性的指向や性自認を理由とした悩み、思春期のこころの問題、発達・発育など子どもやその保護者が抱える多様化・複雑化する悩みや課題に対応するため、気軽な相談から専門的な相談まで、ニーズに応じた相談機能を充実し、子どもや家族だけで課題を抱え込まないよう問題の早期発見と適切な支援を図ります。 @ 相談機能の充実  多様化・複雑化する悩みや問題を抱える子どもやその保護者のニーズに対応できるよう、多様な相談の場を充実するとともに、相談先の普及・啓発に努めます。また、子ども家庭支援センターと身近な地区において中核的な相談機能を果たす児童館や区立保育園において、当事者を主体とし寄り添った支援を行うことができるよう共同研修等を実施し、職員等の相談支援の技術向上を図ります。 A 不登校等への取組みの充実  不登校の予防から事後対応まで一貫した支援を行う体制の整備やほっとスクールにおける支援の拡充により、不登校等への取組みのさらなる充実を図ります。 B 青少年支援機関と相談機能を持つその他関係機関との連携  若者総合支援センター等の青少年支援機関と相談機能を持つその他関係機関との連携を強化し、子どもや保護者に寄り添った重層的、継続的な支援を図ります。 C 多様な文化や性への理解促進に向けた取組み  多様な文化を理解し合える交流イベント等を開催し、区民一人ひとりが互いの文化について相互理解を深め、人権を尊重し合いながら共に暮らしていける多文化共生の意識づくりを推進します。  性的マイノリティへの理解を促進するため、区の広報や講座・セミナーを通じた啓発を進めます。また、世田谷区パートナーシップの宣誓の取組みを行うとともに、性的マイノリティが相談できる窓口の充実や、安心して利用できる居場所をつくり、情報収集や当事者同士の交流を支援します。 D ヤングケアラー・若者ケアラーへの支援  ケアを担う子ども・若者が、孤立することなく必要な支援とつながることができるよう、本人はもとより、身近な存在である大人が現状と課題を学び、気づきを促せるよう周知・啓発に努めます。 A 子どもの居場所の拠点整備  様々な要因により支援の手が届かない子どもが長期のひきこもりに移行するリスクなどを低減するため、悩みや困難、生きづらさを抱えた子ども・若者とその保護者への支援を行う人や機関への支援を行うとともに、多世代交流を視野にいれた身近な居場所の充実や、居場所の運営を行う地域活動への支援を行います。 @ 悩みや困難を抱えた子ども・若者支援者・支援機関への支援  悩みや困難、生きづらさを抱えた子ども・若者の支援を行う人や機関同士のネットワークづくりの支援を進めます。 A 身近な居場所事業の充実  大学と連携して運営する居場所では、専門的支援員が、他機関との連携強化や、伴走者として大学生スタッフへのサポート体制を充実させることにより、若者が意欲を高め、学びながら活動を広げていき、社会や地域の担い手へと成長するよう支援していきます。また身近な居場所で相談できる環境づくりを進めます。 B 身近な居場所整備への支援  身近な居場所整備運営を行う地域活動を支援し、段階を経て、社会に参加・参画し、自立に向かう環境を整えます。 4 質の高い学校教育の充実 ※本節では「第2期世田谷区教育ビジョン・第2期行動計画」に基づき推進していく取組みを掲げる。 (1)地域との連携・協働による教育 【現状と課題】 ・「学校運営委員会」、「学校支援地域本部」、「学校協議会」の学校を地域で支える3つの仕組みについて、課題抽出及び課題検討の場を設置し、3つの仕組みが有機的に機能するような仕組みを検討することが必要です。 ・区立学校は、地域防災や地域行事など、学校・家庭・地域の連携・協働による取組みを一層充実するなど、地域コミュニティの核としての学校づくりが求められています。 ・区内大学と教育委員会の連携事業を充実させ、大学等の研究機能を一層活用した地域課題解決型の教育事業の充実が必要です。 【目標】 ・「学校運営委員会」、「学校支援地域本部」、「学校協議会」の学校を地域で支える3つの仕組みが、継続的に安定的に、学校運営や教育活動を支えていく仕組みとして確立している。 ・区立学校が核となって、様々な活動・取組みを通して、学校・家庭・地域の連携が進み、地域コミュニティが活性化している。 ・区内大学と教育委員会が連携して社会貢献やボランティア活動を推進するための仕組みや、教育総合センターにおいて、教育活動に必要な地域人材について確保できる仕組みが確立されている。   【施策展開】 @ 地域が参画する学校づくり  「学校運営委員会」、「学校支援地域本部」、「学校協議会」の学校を地域で支える3つの仕組みが、継続的に安定的に、学校運営や教育活動をささえていく仕組みとして、各小・中学校のスタンダードとして確立していきます。また、学校評価システムを推進し、学校・家庭・地域の連携・協力による学校づくりを進めます。 @ 地域運営学校の充実、学校を支援する効率的な体制の検討  学校と地域の連携を一層充実させるとともに、学校支援地域本部の実施校を区立小・中学校全校に拡大し、地域で継続的に安定的に学校を支える体制づくりを進めます。 A 学校評価システムの推進  学校としての組織的・継続的な改善を図り、学校・家庭・地域の連携・協力による学校づくりを進めるとともに、学校評価システムを一層充実させ、学校改善を図っていきます。 A 地域コミュニティの核となる学校づくり  学校において地域の事情に応じた学校施設の地域利用を推進し、学校を拠点とした多様な地域活動を支援していきます。また、魅力ある学校づくりをめざすとともに、広く区民等へ情報発信を行い、区立学校の理解促進を図ります。 @ 学校施設の活用  地域の事情に応じた学校施設の地域活動の利用の拡充を図るとともに、学校を拠点とした多様な地域活動を支援し、地域コミュニティの活性化を図っていきます。 A PTA活動への支援  PTA活動が一層活性化するように、幼・小・中学校(園)のPTA連合体との連携や研修の実施、交流事業等の支援を充実していきます。 B 総合型地域スポーツ・文化クラブによるスポーツ・文化活動の促進  学校を拠点とした総合型地域スポーツ・文化クラブの設立及び支援を行うことにより、地域の自主的な活動を促進し、地域スポーツや文化活動の発展及び地域の活性化を図っていきます。 C 区立学校の魅力アップ  区立学校ならではの特色ある取組みについて情報発信を図り、地域とともに子どもを育てる教育を推進していきます。 B 地域教育力の活用  区内大学等と教育委員会が連携して社会貢献や、ボランティア活動を推進するための仕組みや、教育総合センターにおいて、教育活動に必要な地域人材について確保できる仕組みを確立し、多様な教育活動の充実を図ります。 @ 大学等との連携の充実  区内大学等との連携・協力による多様な地域課題に対応した社会貢献事業やボランティア育成事業を実施し、区民の生涯学習機会の充実を図ります。 A 地域人材の活用  地域の教育資源である地域の人材を活用するための仕組みづくりを行い、教育活動の充実を図っていきます。   (2)「せたがや11+」 幼、小・中連携で実現する質の高い教育の推進 【現状と課題】 ・地域の区立幼稚園(保育園)、小・中学校が一体となって、質の高い教育(せたがや11+)を推進することが必要です。 ・「豊かな人間性」「豊かな知力」「健やかな身体・たくましい心」をバランスよくはぐくむことが求められています。 ・幼稚園・保育園等と小学校では生活や教育方法が異なるため、子どもが円滑にその変化に対応できるような仕組みが求められます。(再掲) ・引き続き教科「日本語」の推進を図るとともに、急速に進展する国際化を踏まえ、児童・生徒の英語による実践的なコミュニケーション能力を育成することが必要です。 ・国際理解や環境に関する教育、防災・安全教育など、これからの社会を生き抜くために必要な資質や能力をはぐくむことが必要です。 ・区立小・中学校の児童・生徒数は、地域や学校区単位によって偏在化がみられ、今後も引き続き学校の適正規模化の取組みを検討していく必要があります。 ・学校施設については、安全・安心や環境配慮、教育の充実や地域貢献等学校に求められる様々なニーズに対応するべく効率的、効果的に施設整備を進めていく必要があります。 ・学校における危機管理能力の向上や児童・生徒への防災・安全教育の充実が求められています。 【目標】 ・「豊かな人間性」「豊かな知力」「健やかな身体・たくましい心」の育成が図られている。 ・質の高い教育の実現をめざし、改訂した「世田谷区教育要領」に基づく教育活動及び児童・生徒の基礎的・基本的な力をはぐくむ取組みを推進している。 ・アプローチ・スタートカリキュラムや、乳幼児教育アドバイザー派遣の活用により幼保小連携が図られ、子どもが施設の変化に円滑に対応し、安心して小学校生活を送れている。(再掲) ・新学習指導要領の趣旨を踏まえ、教科「日本語」を実施するとともに、コミュニケーション能力を高める英語教育の充実に取り組んでいる。 ・変化の激しいこれからの社会を生きる力の育成が図られている。 ・児童・生徒のより良い教育環境の実現をめざし、計画的に学校の施設整備を進めている。 ・学校がさらなる安全を確保できるよう、危機管理能力を一層向上させている。 【施策展開】 @ 豊かな人間性の育成  「特別の教科 道徳」を中心に様々な教育活動や取組みを通して、児童・生徒が「豊かな人間性」をはぐくむ取組みを推進します。 @ 人権教育の推進  児童・生徒が、何ものにも代えがたい「人権」や「生命」を尊び、重んじる精神を実感し、情操と感性を高め、多様性を認め合い、人権を尊重する姿勢をはぐくむため、人権教育を推進します。 A 道徳教育の充実  児童・生徒が人として生きるうえで大切な人間性・道徳性をはぐくむとともに、社会の構成員としての自覚や社会生活を送るうえで必要な規範意識や生活習慣を身につけることができるよう道徳教育の充実を図ります。 B 児童・生徒が体験・体感する機会の拡充  自然への畏敬や生命の大切さ等、共生する心や情操等をはぐくくむことができるよう、児童・生徒が体験・体感する機会の拡充に取り組みます。 A 豊かな知力の育成  改訂した「世田谷区教育要領」に基づく教育活動及び児童・生徒の基礎的・基本的な力をはぐくむ取組みを推進するとともに、児童・生徒への確かな学力の定着、理数教育(STEAM教育)の一層の充実、児童・生徒の読書力等の育成を図っていきます。 @ 世田谷区教育要領に基づいた教育の推進  「世田谷区教育要領」に基づき、質の高い教育の実現をめざします。 A 理数教育の充実  児童・生徒の自然科学・科学技術や芸術、数学への興味や関心を高め、STEAM教育【Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)】を推進します。 B 乳幼児期の教育・保育と小学校教育の円滑な接続への支援  乳幼児期における教育・保育と小学校教育の円滑な接続に向けてアプローチ・スタートカリキュラムの普及・促進を図ります。 C 読書力の育成・学校図書館機能の充実  児童・生徒の読書活動を充実し読書力をはぐくむことができるよう、学校図書館司書の配置により運営体制を改善し、学校図書館の機能を充実します。 D 個に応じた学習支援  個人の学習習得状況や身につけている素養等を見極め、個に応じた、きめ細かい学習支援を充実させることで、児童・生徒への確かな学力の定着を図ります。 E 乳幼児期の教育・保育と小学校教育の円滑な接続に向けた支援(再掲)  乳幼児期における教育・保育と小学校教育の円滑な接続に向けてアプローチ・スタートカリキュラムの普及・促進を図るとともに、アプローチ・スタートカリキュラムの効果的な実施や各幼稚園・保育所等の運営上の相談等について助言・支援するため乳幼児教育アドバイザーを派遣します。 B 健やかな身体・たくましい心の育成  区立小・中学校、幼稚園に、総合的な体力向上・健康推進の取組みを定着させ、食育の一層の推進を図り、心と体の健康づくりに向けた取組み、部活動の充実に向けた取組みを進めます。 @ 子どもたちの体力の向上  区立幼稚園、小・中学校や教育委員会が関係諸機関と連携し、幼児・児童・生徒の体力向上、健康推進をさらに推進します。また、区立小・中学校において、科学的な分析に基づくプログラムの導入に取り組みます。 A 食育の推進  幼稚園・学校における食に関する指導の充実や給食を含む教育活動を通した食育の一層の推進を図ります。 B 心と体の健康づくり  児童・生徒が、「運動」、「食事」、「睡眠」などバランスのとれた生活を送り、健やかな心と体をはぐくむことができるように支援します。 C 中学校の部活動の充実  スポーツや文化・芸術に親しむことを通じて、生徒の学習意欲の向上、責任感・連帯感の育成、体力の向上を図る重要な教育活動の一環として、部活動の充実を図ります。 C ことばの力の育成  新学習指導要領の趣旨を踏まえ、世田谷区教育要領に基づいた、教科「日本語」を実施するとともに、急速に進展する国際化を踏まえ、外国語活動や外国語の授業等の一層の質の向上を図り、子どもたちが、英語に親しみながら、英語による実践的なコミュニケーション能力を身に付けられるよう、英語教育の充実に取組みます。 @ 教科「日本語」の充実  児童・生徒が、深く考え、自分を表現する力やコミュニケーション力をもち、日本文化を理解し大切にして、継承・発展させることのできるよう教科「日本語」の充実を図ります。 A 英語教育の充実  急速に進展する国際化を踏まえ、児童・生徒が英語に親しみながら、実践的なコミュニケーション能力をはぐくむことができるよう、「Touch the World」による英語体験やICT教材の活用、ALTの配置拡大などを通して、英語教育の充実を図ります。 D これからの社会を生きる力の育成  SDGs・ESDをはじめ、国際理解教育、防災・安全教育などの教育課題に関する教育を推進し、これからの社会を生きる力をはぐくみます。 @ SDGs・ESDに関する教育の推進  児童・生徒一人ひとりが、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、様々な課題と日常生活との関わりについて理解を深め、自分の行動を自主的・主体的に考え、取り組む態度をはぐくみ、持続可能な社会の形成者として成長できるための教育を推進します。 A 国際理解教育の推進  国際化の進展に対応し、児童・生徒の国際理解を深め、世界の人々とともに生きていくことのできる資質・能力の基礎をはぐくむことができるよう、国際理解教育の推進を図ります。 B 防災・安全教育の推進  地震や風水害などの災害や緊急事態に際して、児童・生徒が自ら判断し、行動できる力を養うことができるよう、防災訓練や防災教育を推進するとともに、教育活動において安全指導に取り組みます。 C 社会とかかわる体験活動の充実  児童・生徒が、社会性や社会の構成員としての自覚、他の人を思いやる心をはぐくむことができるよう社会とかかわる体験活動やキャリア教育を推進します。 D ICTを活用した授業の推進・家庭学習の支援  生涯にわたって必要となるICT活用能力の育成を図るとともに、情報モラル教育を充実します。また、ICTを活用した家庭学習を支援します。 E 主権者教育の推進  児童・生徒が政治や選挙への関心を高め、政治的な教養をはぐくみ、国家や社会の形成者として主体的に参画しようとする意識の醸成を図ります。 E よりよい学びを実現する教育環境の整備  児童・生徒のより良い教育環境の実現をめざし、学校の大規模化、小規模化への対応について、児童・生徒数の推移等の状況を見極めながら、検討するとともに、「世田谷区公共施設等総合管理計画」を踏まえ、計画的に学校の施設整備を進めます。 @ 学校の適正規模化・適正配置  学校の適正規模化への対応について、児童・生徒数の推移等の状況を見極めながら検討を進め、児童・生徒のより良い教育環境の実現を図ります。 A 地域に貢献する学校改築の推進  「世田谷区公共施設等総合管理計画」を踏まえ、学校施設の改築を計画的に行い、改築にあわせて、学校がより地域に開かれ地域に信頼される施設となるように整備します。 B 安全・安心の学校施設の改修・整備  既存校舎を計画的に改修し、適切に維持、保全することにより、長寿命化を図るとともに、ユニバーサルデザインに基づき安全で安心できる教育環境を整備します。 C 環境に配慮した学校づくり  学校施設の改築及び大規模改修時に省エネルギー機器等の導入や再生可能エネルギーの活用等により環境に配慮した施設整備への取組みを進めていきます。 D 学校給食施設の整備  老朽化した給食施設を改築・改修等を行うことにより、安全・安心な給食提供を継続します。 F 学校教育を支える安全の推進  防災・安全教育の取組みを推進し、感染症対策、アレルギー対策など多様化・複雑化する状況に適切に対応するため、学校の危機管理能力の向上を図るとともに、学校・家庭・地域が連携して、学校敷地内やその近辺、また通学路の安全対策、事故防止などを強化する取組みを充実します。 @ 学校教育を支える安全の推進  防災等の安全対策や、感染症対策、アレルギーへの対応を徹底するとともに、学校の危機管理能力の向上を図り、防災・安全教育の取組みを推進します。 A 地域と連携した幼児・児童・生徒の安全対策の推進  幼児・児童・生徒が事件や事故に巻き込まれないよう、幼稚園・学校・家庭・地域の連携をさらに深め、敷地内やその近辺、また通学路等の安全確保・事故防止などにも努めます。 (3)多様な個性がいかされる教育の推進 【現状と課題】 ・子どもたちが、豊かな体験・体感を通して、将来の夢や希望を持ち、たくましく生き抜く力を培いながら、個性を生かし、創造性をはぐくみ、能力を伸ばすための環境整備をより充実していくことが必要です。 ・障害のある児童・生徒一人ひとりの状態に応じた特別支援教育を充実するためには、区立小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある学びの場を整備していくことが重要です。 ・児童・生徒や保護者が抱える課題が多様化、複雑化する中、とりわけ福祉的な課題を抱える児童・生徒、家庭への対応がさらに求められており、学校を支援する体制を強化し、校内委員会の充実など学校教育相談の充実を図る必要があります。 ・教育環境におけるいじめや不登校の早期発見や未然防止、発生後の適切な対処に向けて、いじめ防止等の取組みを一層強化することが求められています。 【目標】 ・子どもたちが、普段の生活ではふれることのできない体験を通じて、自らの興味・関心を広げ、深め、自分自身の特性や才能を伸ばす機会としている。 ・多様な人的支援の下で特別支援教育体制を推進している。 ・学校内外の教育相談において、相談員等の体制の強化や資質向上を図り、複雑化・多様化し増加する相談に適切に対応している。 ・「いじめ防止基本方針」等を踏まえ、いじめ防止等の総合的推進に取り組んでいる。 【施策展開】 @ 才能や個性をはぐくむ体験型教育の推進  子どもたちが、普段の生活ではふれることのできない体験を通じて、自らの興味・関心を広げ、深め、自分自身の特性や才能を伸ばす機会としているとともに、将来の夢や希望をもち、たくましく生き抜く力を育て、小学校の校庭等を身近な遊び場として地域の方々に見守られながら外遊びができるよう、取組みを進めます。 @ 新・才能の芽を育てる体験学習の充実  子どもたちが自らの興味・関心を広げ、深め、自分自身の特性や才能を伸ばす機会をつくること、また、子どもたちが将来の夢や希望をもち、たくましく生き抜く力を育てていくことを目的に「新・才能の芽を育てる体験学習」の取組みを推進します。 A 外遊びの推奨及び小学校の遊び場開放の充実  区立小学校の校庭を開放し、地域と連携を図りながら子どもの安全な遊び場を確保するとともに、子どもが屋外の身近な場所で思いきり遊ぶことで豊かに成長していけるよう、外遊びの推奨を図ります。 A 特別支援教育の推進  多様な人的支援の下で特別支援教育体制を推進し、特別支援学級の計画的整備・充実を進め、配慮を要する児童・生徒の学習意欲や学力の向上を図り、障害者に対する理解や配慮を促進します。 @ 特別支援教育体制の充実  配慮を要する児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズに対応するため、多様な人的支援体制を強化するとともに、学校(園)を支援する専門チームの設置や情報共有・連携強化に向けたシステムづくりに向けた検討を進めます。 A 特別支援学級等の整備・充実  特別支援学級等に入級(室)する児童・生徒の増加等に対応するとともに、障害の種別や学級形態、地域的なバランス、既設の学級規模などに配慮しながら、学校の増改築等にあわせた計画的な学級整備に取り組みます。 B 特別支援教育を推進する教材・教具の充実  タブレット型情報端末等の教材・教具の効果的な活用により、配慮の要する子どもたちの学習意欲や学力向上等を引き出し、特別支援教育の更なる充実を図ります。 C 障害者理解教育の推進  区立小・中学校の特別支援学級と通常の学級、都立の特別支援学校と区立小・中学校との交流及び共同学習等を通じて、障害に対する理解や配慮を促進します。 B ニーズに応じた相談機能の充実  いじめ等の早期発見や未然防止及び深刻化防止のための手法のさらなる定着を図り、いじめ等へ適時適切に対応するとともに、学校内外の教育相談において、相談員等の体制の強化や資質向上を図り、複雑化・多様化し増加する相談に適切に対応するほか、世田谷区ならではの不登校対策を推進します。 @ 不登校等への取組みの充実  不登校の予防から初期対応、個別支援、事後対応まで一貫した支援を行う体制の整備、不登校児童・生徒の自立に向けた支援の強化など、不登校等への取組みの更なる充実を図ります。 A 相談機能の拡充  学校内外の教育相談体制の強化や質の向上に取り組み、相談機能の更なる充実を図ります。 B いじめ防止等の総合的な推進  世田谷区「いじめ防止基本方針」を踏まえた「いじめ防止の手引き」を各小・中学校へ周知徹底し、教育環境におけるいじめの早期発見や未然防止、発生後の適切な対処を図ります。 5 子どもの成長と活動の支援 (1)子どもが安心して過ごせる居場所、成長できる場・機会の充実 【現状と課題】 ・家庭のライフスタイルの多様化や児童数の増加による新BOPの大規模化・狭隘化、人材の確保・育成などの課題がある中、放課後に家庭で保護・育成を受けることができない子どもが安心して過ごすことのできる場の確保が必要です。 ・自立性の高まる小学校高学年から中学生、高校生への成長過程において、成長段階に応じた子どものニーズに沿った安心して過ごすことのできる居場所が求められます。 ・居場所には、主体的に活動したい子どもから、なんとなくいることのできる場を求める子ども、多忙な時間の合間に少し寄りたい子どもまで、子どもたちが自分がいてよい場所だと感じ、自ら選ぶことのできる場が多様にあることが求められます。 ・外遊びや自然とふれあう機会が減少していることに加え、外遊びができる身近な場を知らない子どもが増えています。また、保護者が外遊びや自然とのふれあいの重要性を認識していない、優先度が低いなどにより、子どもが選択できない状況も伺えます。 ・子どもの頃から文化・芸術に気軽にふれられる機会の充実が求められており、特に、乳幼児期の子どもや子育て世代に向けた取組みの強化が求められています。 ・子どもの体力は、体力水準の高かった昭和60年と比較して低い水準にあり、特にスポーツをする子どもとしない子どもの体力の差が大きく、二極化が進んでいます。 ・子どもの読書の促進において、はじめて絵本に出会う乳幼児期、読書量の減少する傾向のある中高生等、年代に応じた施策を検討する必要があります。 ・地域の居場所において、大人がななめの関係で子どもと関わり、子どもが必要とするときに相談などにつながることができる関係性の構築が求められます。 ・地域で子どもを見守り支える大人の存在は不可欠であり、地域人材の確保が必要です。 【目標】 ・新BOP学童クラブにおいては、人材や空間の確保、プログラムの充実により子どもが放課後を過ごす場として良好な環境づくりが図られるとともに、地域や民間事業者が実施主体となった多様な場が確保され、子どもが選択できる多様な場が整っている。 ・成長段階や個々の子どものニーズの多様性に応じた居場所があり、子どもが地域の居場所のそれぞれの雰囲気を知り、希望にあった場を自ら選択して利用することができている。 ・身近で外遊びができる場の拡充・周知がなされ、子どもの外遊びが保護者や地域に応援されながら見守られている。 ・乳幼児期から遊びの中で、気軽に文化・芸術にふれることができ、様々な経験を積み重ね、興味・関心を広げていけるような機会の充実が図られている。 ・幼児期から体を動かす喜びを体験できる機会が充実し、子どもがスポーツに親しんでいる。 ・乳幼児期から小学生、中高生、そして大人へと読書や学びの習慣が続くよう、子どもの成長段階に応じた切れ目のない読書支援が行われている。 ・児童館を中心に居場所を通じた保護者・地域との関係強化により、子どもの居場所への大人の理解・協力の気運が育まれ、子どもが地域と関わりながら過ごしている。 【施策展開】 @ 成長に応じた放課後等の居場所の確保  子どもが放課後等の時間を安心して健やかに過ごせるよう、小学生から中高生世代までの成長段階やそれぞれの子どものニーズに応じた場の確保に努めます。また、これらの場において、地域と連携・協力して大人の目が入った見守りを展開することで、子どものゆるやかな成長や自立に向けた支援を行います。 @ 新BOP学童クラブの運営とあり方の検討  放課後等に保護者不在等の理由で、家庭で保護・育成を受けることができない小学校低学年児童を対象として、新BOP学童クラブを運営し、子どもの多様な遊びや安定した生活の場を提供できるよう、スペースの確保や環境整備を行い、プログラムを充実しながら子どもの成長を支援していきます。  また、家庭のライフスタイルの多様化や児童数の増加による新BOPの大規模化・狭隘化、人材の確保などの課題を踏まえ、子どもの成長に応じた支援やあり方について検討を進めます。 A 子どもの社会性、自主性、創造性を育む安心な居場所の確保  子どもたちが自ら放課後の居場所を選び、考えて遊び、学び、過ごす中で、社会性、自主性、創造性を育めるよう、子どもの成長に合った居場所づくりや、大人の目が入った見守りを、地域、区民及び区が協働・連携して展開します。 B 中高生世代が気軽に利用できる居場所の確保  子どもたちが地域の居場所を知り、自身のニーズに合った居場所を自ら選択できるよう、地域の中で中高生世代を中心とした子どもが過ごす場所や機会の充実を図るとともに、周知を進めます。 C 地域の居場所につながる仕組みづくり  子どもへの居場所の周知の強化を図るとともに、児童館を中心に居場所を通じた保護者・地域への関係強化により、子どもの居場所への大人の理解・協力の気運を高め、保護者や地域の大人を通じて、子どもが地域の居場所につながりやすい環境を整えます。 A 外遊びの機会と場の拡充  子どもたちが身近な場所で外遊びができる環境や、自然とふれあえる場と機会を拡充します。また、地域の中で、外遊びを支える人材を育成するとともに、外遊びの普及と理解促進を図り、子どもやその保護者が気軽につどい、遊ぶきっかけをつくる活動を支援します。 @ 身近で自然とふれあえる場や外遊びの環境整備  子どもが生きる力を高めていけるよう、身近な場所に、誰でも利用可能なオープンスペースである公園緑地を配置することにより、自然とふれあえる場や外遊びの環境を整えます。 A 外遊びの拠点の整備  プレーパークを地域の外遊びの拠点として、外遊びの機会を拡充していきます。プレーパークのない砧地域に設置し新たな外遊びの拠点としていきます。 B 身近で自由に外遊びができる機会と場の充実  子どもたちが身近な場所で自由に外遊びができる機会として、プレーリヤカー、プレーカー、きぬたまあそび村等を充実していきます。 C 外遊びを支える人材の育成  外遊び推進員が、地域の中で外遊びを見守り、子どもたちの外遊びの機会を作り出したい人たちと場をつなげ、地域の外遊びと機会を拡充していきます。 D 外遊びの啓発・推奨と地域で見守り・支える気運醸成  外遊びの全区的ネットワーク、地域ネットワークの強化を進め、協働して、子どもの成長や生きる力を育むうえで重要な役割を果たす外遊びの大切さを、体験を通して子どもや保護者に向け、理解促進を図ります。また、地域の大人の外遊びへの理解を深め、地域で外遊びを見守り・支える気運の醸成を図ります。 B 文化・芸術にふれられる機会の充実  乳幼児期から文化・芸術にふれることは、想像力と創造性を育み、多様な価値観を受け入れ、人と人との絆を結ぶ社会の基盤を形成していくことが期待されます。また、感受性を豊かにしていくことや、社会の多様性への対応力を育むことにもつながります。乳幼児期から遊びの中で、文化・芸術に気軽にふれられる機会を充実します。 @ 文化・芸術に親しむ機会の提供・創出  子どもたちが文化・芸術に親しむ機会として、美術の鑑賞教室や演劇によるワークショップ等小中学生を対象とした従来の取組みに加え、乳幼児期から遊びの中で、気軽に文化・芸術にふれることができ、様々な経験を積み重ね、興味・関心を広げていけるような機会の充実を図ります。また、家庭環境に関わらずすべての子どもが文化・芸術に親しむことができるよう、教育・保育施設や学校、文化施設において、文化・芸術を体験・創造する機会を充実します。 A 文化・芸術活動の支援  子どもの興味に応じて、自由に文化・芸術活動を行うことができるよう支援します。あわせて、子どもだけでなく保護者にも文化・芸術活動に関心をもってもらうことにより、子どもたちの文化・芸術活動への参加につなげていくよう、学校やその他関係機関と連携した取組みを推進していきます。 B 多文化共生の意識づくりの推進  東京2020大会を契機に、多くの外国人観光客や日本人観光客が世田谷を訪れることが見込まれます。アメリカ合衆国のホストタウン・共生社会ホストタウンであることから、スポーツ・文化交流を図ることで、異文化を知り、国際理解を深め、多様性を受け入れるきっかけとなるような取組みを進めます。 C スポーツの機会と場の充実  子どもの頃から運動習慣を身に付け、生涯スポーツの基盤とするため、幼児期から体を動かす喜びを体験できる機会の充実や親子で参加できるスポーツ情報の発信、学校におけるスポーツ活動の支援を行います。あわせて、スポーツをしない子どもがスポーツに興味を持つきっかけとなるよう、スポーツを観る機会やアスリートと交流する機会の充実などを図ります。 @ スポーツをする機会や環境の充実  子どもが、スポーツをする機会や環境を充実することにより、子どもの体力向上を図るとともに、大人になっても引き続きスポーツに親しむ生涯スポーツ社会の実現を推進します。 A 子どもたちの体力の向上(再掲)  区立幼稚園、小・中学校や教育委員会が関係諸機関と連携し、幼児・児童・生徒の体力向上、健康推進をさらに推進します。また、区立小・中学校において、科学的な分析に基づくプログラムの導入に取り組みます。 D 読書に親しむ環境づくり  乳幼児から小学生、中高生、そして大人へと読書や学びの習慣が続くよう、子どもの成長段階に応じた切れ目のない読書支援を行います。また、図書館と地域や民間団体等との連携を進め、子どもの読書を支援する取組みを推進します。さらに、図書館において、図書資料などの充実を図るとともに、子どもの読書活動に関わる人材の育成に努めます。 @ 子どもが本に出会う機会づくり  はじめて絵本に出会う乳幼児、読書量の減少する傾向のある中高生等、年代に応じた施策の検討を進めます。また、家庭読書の契機となるような新たな取組みを充実させるとともに、子ども関連施設での取組みを支援することで、子どもの読書を促進することをめざします。 A 図書資料等の充実  子どもの読書活動を支援する取組みや地域などへの支援を行うため、児童資料、中高生向き資料の充実や、配慮が必要な子どものための資料の充実等を図ります。また、多言語に親しむ事業の実施等により、子どもへの多文化理解に向けた取組みを展開します。 B 子どもの読書活動に関わる人材の育成  子どもの読書活動や読み聞かせなどに関心のある区民と協力して事業を進めるため、各種講座を継続して実施するとともに、講座修了者へのフォローアップや中学・高校の図書委員などとの交流会を実施します。 E 子どもの成長を支える職員等のスキルの向上と地域の子育て力の向上  地域の場において、日頃子どもと関わる職員・スタッフがななめの関係で子どもと関わり、子どもが必要とするときに支える関係性を構築するとともに、保護者や地域との関係強化により、子どもや居場所への大人の理解促進を図ります。 @ 子どもの成長と活動を地域の大人が見守り支える仕組みづくりと地域人材の確保  子どもの活動を支援し、活動の理解と周知を進めるなかで地域の協力を得ながら、大人が子どもを見守り成長を支える地域づくりを進めます。 A 子どもの活動を支援する地域人材のネットワークづくり  子どもの活動を支援する地域の大人たちが、情報交換を行い様々な課題を共有することで、適切な支援を実施し解決に至るよう、ネットワークづくりを支援します。 B 子どもの成長を支える施設の職員や地域人材の支援力の向上  日頃子どもと関わる職員・スタッフの支援力の向上を図り、活動を通して子どもが必要とするときに支えることができる関係性を構築するとともに、地域で相互に学びあい育ちあう地域活動の担い手を育成することにより、地域の子育て力を高めて子どもと地域が関わる仕組みを継続していきます。 (2)子どもの地域・社会への参加・参画の機会の充実 【現状と課題】 ・子どもが社会性や協調性を育むことのできる地域活動への参加や多世代交流の機会が減少しており、特に区外に通学する子どもは地域と交流する機会が少ない状況にあります。 ・子どもが主体性や創造性を育むため、地域の中で主体的に関わることのできる活動の場や機会の充実が求められます。 ・地域での体験を重ね成長した子どもが次の活動の支え手となるなど、地域での活動が循環しながら継続する仕組みが求められます。 ・子どもが日常を過ごす地域の場において、子どもが意見を表明しやすい環境をつくる必要があります。また、地域の場で子どもに関わる大人は、対等なパートナーとして子どもの意見を受け止め、子どもの参加・参画のもとその後の活動や議論などに生かすことができるような意識醸成が求められます。   【目標】 ・地域で多世代が交流し活動する場・機会が充実され、それらの場・活動の情報がしっかりと子どもに行き届くことで、地域への参加が促進されている。 ・児童館や青少年交流センター等の日頃の利用から子どもの関心を引き出し、主体的に取り組む活動につなげることなどにより、子どもの社会参加意識が育まれている。 ・異年齢が交流する主体的な活動への参画・体験を経て、年少者の活動の支え手としての役割を担うことで、地域活動が子どもを主体に円滑に継続できている。 ・日常を過ごす場において、子どもが意見を表明しやすい環境が整い、子どもに関わる大人が、子どもが本来持っている権利をしっかりと認識するとともに、子どもの声を尊重する意識を持った関わりができている。受け止めてくれているとの想いを持つことで、子どもの意見表明、参加・参画への意識が高まっている。 ・施設等で子どもに関わる大人の「子どもの意見・権利」に対する意識醸成が進むことにより、さらに保護者や地域の大人が子どもの意見を受け止める風土が広がっている。 【施策展開】 @ 子どもが主体的に活動できる場・機会の充実と支え手の確保・育成  地域の中で、子どもが主体的に関わり運営、企画する活動の場や機会を拡充することにより、地域活動に参画する子どもが増え、地域に愛着を持ち、主体性を持って地域活動に取り組む意識が醸成され、今の、そして次代の地域社会の担い手への成長につなげていきます。 @ 地域での主体的な参画の場と機会の充実と参画の促進  日常の活動から子どもたちの関心や興味を引き出し、主体的に取り組む機会を充実し、参画につなげていきます。 A 活動や活動する子どものつながり、ひろがりを支える仕組みづくり  異年齢交流の中で、主体的に活動体験を重ね成長した子ども・若者が、年少者の活動の支え手としての役割を担い、子ども・若者を主体とした地域活動が継続して円滑に行われる仕組みをつくります。 B 社会への関心を深め、主体的に活動する教育の推進  子どもの発達段階に合わせ、多文化理解や共生社会、SDGsなどの様々な社会的課題を学び、主体性のある個人としてはぐくむ教育を推進します。 C 新・才能の芽を育てる体験学習の充実(再掲)  子どもたちが自らの興味・関心を広げ、深め、自分自身の特性や才能を伸ばす機会をつくること、また、子どもたちが将来の夢や希望をもち、たくましく生き抜く力を育てていくことを目的に「新・才能の芽を育てる体験学習」の取組みを推進します。 A 子どもが意見を表明しやすい環境づくりと関わる大人の意識の醸成  子どもが日常を過ごす身近な場などにおいて、意見を表明しやすい環境を整えるとともに、子どもに関わる大人が子どもの意見・声を受け止め、尊重する意識を育みます。 @ 日常を過ごす場等における子どもが意見を表明しやすい環境づくり  子どもが日頃過ごしたり、利用したりする施設等において、子どもが安心して思っていることを言うことができる環境を整えます。また、思いを受け止めてくれた、意見を尊重してくれた、一緒に考えてくれた、といった体験を通じて、子どもがより気軽に意見を表明できる好循環を創出します。 A 子どもに関わる大人の子どもの意見・権利への意識の醸成  子どもに関わる大人が、子どもたちの意見をしっかり受け止め、尊重できるよう施設の職員や事業のスタッフ等の子どもの意見や子どもの権利についての意識の向上に努めます。また、子どもの権利を尊重した関わりを継続することにより、子どもを取り巻く環境にある地域の大人の、子どもの意見・権利への意識の醸成につなげていきます。 6 子どもが育つ環境整備 (1)地域の子育て力の向上 【現状と課題】 ・核家族化により、子育て家庭には地域での身近な支えが必要とされている一方、地域のつながりの希薄化や、子ども・子育てに対する周囲の理解不足などから、孤立し課題を抱え込む家庭があります。 ・ひろばなど地域の子育て支援の場において、支援の受け手が担い手となっていく地域子育ての好循環が生まれています。一方、子どもや子育て家庭のために力を発揮したいと考える人が活動のきっかけをつかめなかったり、活動を継続して行うためのノウハウや人材の確保が十分でないため、活動の継続が困難となる団体があります。 ・子ども・子育てに対するニーズの多様化もあり、多彩な子育て活動団体が存在していますが、個々の活動での対応には限界があり、情報を共有しながら活動を補完しあえるネットワークの形成が求められています。 ・子どもにあった保育・幼児教育に対するニーズに応える取組みの一つとして、保護者が主体となる自主保育などの活動も行われており、こうした共助の活動が継続するよう支えていく必要があります。   【目標】 ・子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運が増し、地域で子どもの育ちを見守るという意識が醸成されている。 ・地域の中で子育ての支援を受けていた子育て家庭・保護者が次の世代の支援者として地域で活動している。 ・多くの人が子育てに関わることができる場や機会を充実させることで、地域全体で子どもの育ちや子育て家庭を見守り支える環境が整っている。 ・地域の子ども・子育て支援活動がより活性化し、子どもや子育て家庭が地域の資源を有効に活用して地域で安心して過ごせている。   【施策展開】 @ 子どもの育ちを見守り支える気運醸成と地域人材の確保  子どもたちが乳幼児期から思春期を経て自立していくまでの過程で、子育て中の親とすでに子育てを終えた世代など幅広い世代や立場の違う者同士がともに支えあえる関係づくりを進めていくことにより、子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運を増し、地域で子どもの育ちを見守り応援する意識を醸成していきます。 @ 子どもの育ちを地域で見守り支える取組みの推進  地域で子どもが豊かに育っていけるよう、地域で子どもの育ちを見守り支える活動・取組みを推進します。 A 支えあいのきっかけづくり  地域の子ども・子育て支援活動が、地域の誰にとっても身近なものとなるよう活動内容の発信に努めるとともに、子ども・子育て家庭と地域の交流の機会を充実します。 B 寄附文化の醸成など、社会で子どもの成長を支える仕組みの充実  子どもの成長や、子育て活動を地域社会全体で支援するため、寄附などの共助の取組みを広げ、浸透・定着させていきます。 C 地域人材の確保に向けた取組みの推進  地域の中で子育ての支援を受けていた子育て家庭・保護者が次の支援者として地域で活動していけるよう、共助の取組みを推進し、地域での子ども・子育てを支える取組みの強化を通じて、地域人材の確保を図ります。 A 共助の取組みや自主的な支援活動の推進とネットワーク形成の支援  区民及び地域コミュニティが相互に助けあい、区民の子育てや子どもの自立を支援する活動が充実・拡大することにより、地域の子育て力をより高めていきます。また、子ども・子育て支援活動の支え手が交流し、情報交換する機会を設けることにより、活動の活性化を図り地域の子育て力の向上を支えます。 @ 自主的な活動の支援  自主的な活動を開始しようとしている団体や、すでに活動中の団体の事業に対し助成をすることで活動を支援していきます。 A 共助の取組みの推進  保護者が主体となる保育をはじめ様々な形態の子育て支援が行われており、こうした共助の活動・取組みが継続できるよう支援に努めます。 B 子育て活動のネットワーク形成と活性化  区内で子ども・子育て支援活動を行っている団体等に交流と学習の機会を提供することで、団体同士のネットワークの構築を促し、地域に活動を発信し、地域の子育て力の向上を図ります。 (2)社会環境の整備 【現状と課題】 ・子どもや子育て家庭が安心して気軽に外出するためには、まちのバリアフリー化や歩きやすい道路整備などとともに、授乳スペースなどの設備の充実と周知も求められています。 ・子どもの安全・安心が脅かされる事故や事件が増加しており、子どもの安全・安心が守られる環境づくりが求められています。 ・令和元年10月から開始した幼児教育・保育の無償化などにより子育て家庭の経済的な負担軽減を図っていますが、妊娠から出産、子育てにかかる経済的負担や仕事と子育ての両立への不安などにより、子どもを育てたいと考えながらもためらう方もいるなど、子育てを後押しする環境が十分ではありません 【目標】 ・バリアフリー整備や授乳スペースの充実など、ユニバーサルデザインの視点に基づき、妊産婦から子育て家庭まで安心して出かけられる環境が整備されている。 ・子どもの安全・安心が確保されている。 ・子どもを生み育てたい希望を後押しする環境が整備されている。   【施策展開】 @ 子育てしやすいまちづくり  子どもや子育て家庭が安心して気持ちよく過ごせる環境を整えることにより、暮らしやすく子育てしやすいまちづくりを進めます。 @ 子育て家庭が外出しやすくなる施設・整備の充実と周知  子育て家庭が外出しやすくなるよう、授乳やおむつ換えができる場所の情報等を外出時に利用しやすい方法で提供していきます。 A 子育て家庭が暮らしやすい住環境の整備  子育てしやすい住環境を備えた民間住宅の整備誘導や、公的住宅に子育て世帯を対象とした住戸を設けることにより、子育て家庭が暮らしやすい住環境を整えます。 B まちのバリアフリー整備の推進  バリアフリー化を推進するとともに、ユニバーサルデザインによる整備を推進するため、普及啓発や公共的施設の指導・誘導を行います。交通不便地域の解消や南北交通の強化を図るため、バス事業者と連携し、バス交通サービスを充実します。また、公共交通施設について、誰もが利用しやすい公共交通環境の整備を進めます。 C 子どもが安心して歩ける道路整備  歩道と車道の分離の促進とともに、歩道の電線地中化の促進による歩道の有効幅員の確保等を通じて、子どもが安心して歩ける歩行者空間の確保のための歩道整備を推進します。また、交差点の安全対策として、カーブミラーの設置や交差点のカラー舗装化を進めます。 A 子どもの安全・安心  子どもが犯罪や事故に巻き込まれないよう、「安全の強化」を図り、子どもの健やかな成長を目指します。また、妊産婦や子育て家庭に対して防災意識が高まるよう普及啓発を行うなど災害への対応強化に努めます。 @ 地域の見守りによる犯罪防止  子どもが犯罪や事故に巻き込まれないよう、地域の見守り活動を支援します。 A 子どもの危険対応能力の向上支援  子ども自身に事故や犯罪から身を守るための教育を実施し、危険に対する対応能力の向上を図ります。 B 交通安全の啓発  子どもの安全・安心を確保するため、子どもや子育て家庭を中心に交通安全の啓発を進めます。 C 危険回避や災害への備えにかかる情報提供・意識啓発  子どもを育てる親に対し危険や災害への備えに関する情報を提供し、子どもの安全等に関する意識の向上を図ります。また、令和元年度に実施した保育所等のお散歩経路の危険箇所点検実施を機に、関係機関や保育所等との情報共有を図り、引き続き連携して安全対策に取り組みます。 D 妊産婦や乳幼児に配慮した避難所の環境整備  女性の視点から防災対策を見直す取組みを進め、指定避難所における妊産婦や乳幼児に配慮した環境整備に努めるとともに、指定避難所で過ごしづらくなった妊産婦や乳児が安心して過ごせる場を提供するため、福祉避難所(母子)の設置に向けた取組みを進めます。 B 子どもを生み育てやすい環境の整備  妊娠や子育てに関わる経済的負担の軽減を図るとともに、家族、地域、事業者(産業)が連携して、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取組みを進め、男女がともに地域でいきいきと働きながら子育てを担いあう環境づくりを推進することにより、子どもを生み育てやすい環境を整えます。 @ 妊娠に関わる助成制度の再構築・充実  特定不妊治療及び妊婦健康診査の費用助成では、過不足なく検査・相談を提供できるよう制度を充実させ、妊娠に関わる経済的負担の軽減を図ります。 A 子育てにかかる経済的負担の軽減  医療費助成や幼児教育・保育の無償化にかかる給付の円滑な実施など、子育てにかかる経済的負担の軽減を図ります。 B ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた事業者への働きかけ  男女がともに家庭と仕事の両立が図れるよう、公平な処遇・男女共同参画に向け先進事業者の表彰や取組みの紹介等による啓発・周知を行うほか、事業者や労働者を対象としたワーク・ライフ・バランスを推進します。 (3)子どもの権利擁護・意識の醸成 【現状と課題】 ・世田谷区では、子ども条例を制定し、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会の実現に向けて、区民とともに取り組んでいます。しかしながら、子どもが本来持っている権利について、子どもや大人に十分に理解されていないこともあり、子どもの権利を知り、権利を守る意識の醸成に向けた取組みが課題となっています。 ・子ども・子育てに関わる事業は、保護者やサービス提供者など大人のニーズ・考えにより構築され、評価されがちです。子どもと関わる大人が、子どもの立場で子どもの権利を理解して接することが重要です。 ・いじめや虐待が重大化することを防ぐために、気軽に相談できる窓口の周知や関係機関同士の連携の強化が必要です。   【目標】 ・子どもも大人も子どもの権利を知り、子どもの権利を守る規範意識が醸成されている。 ・子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(略称:せたホッと)が広く認知され、子どもや保護者が気軽に利用できる場となっている。 ・大人も子どもの権利を理解し、子どもの視点にたった事業や施策の構築・評価が行われている。 ・子どもの権利の侵害があった時には、子どもの人権擁護機関が関係機関と協力・協働し、その救済に向けて取り組んでいる。 【施策展開】 @ 子どもの権利への意識の醸成、子どもの権利学習の推進  子どもの権利条約や世田谷区子ども条例、子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」の周知等、子どもの権利学習を推進し、子ども自身が持っている権利への理解を深めるとともに、保護者や子どもに関わる大人への子どもの権利の理解促進を行い、子どもの権利が守られる社会を実現していきます。また、体罰や暴力が子どもに及ぼす悪影響への社会の理解が深まるよう様々な機会を活用して普及啓発を行います。 @ 子どもの権利への意識の醸成  子どもが自身の権利への理解を深めることができるよう子ども条例の周知を行うとともに、子どもの権利学習を推進します。また、大人への周知を積極的に図ることにより、子どもの人権に対する大人の意識を醸成します。 A 人権教育の推進(再掲)  児童・生徒が、何ものにも代えがたい「人権」や「生命」を尊び、重んじる精神を実感し、情操と感性を高め、多様性を認め合い、人権を尊重する姿勢をはぐくむため、人権教育を推進します。 B 子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」の活動の周知・啓発  気軽に相談できる窓口として、子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(略称:せたホッと)の活動を子どもや保護者、子どもに関わる大人を中心に周知するとともに、いじめや虐待など子どもの人権侵害を未然に防ぐための啓発を進めます。 A 子どもの権利を守る仕組みの強化と体制の充実  子どもに関わる機関は、子どもが日頃過ごしたり、利用したりする施設等において、子どもの視点に立って子どもが意見を表明し、安心して過ごすことができる環境を整えるとともに、関係機関の連携・協力体制を推進することにより、子どもの人権侵害の未然防止と早期対応の実現を図ります。 @ 関係機関との連携・協力体制の推進  子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(せたホッと)と学校、子ども家庭支援センター及び児童相談所等の関係機関が日頃より緊密に連携することにより、子どもの人権侵害を未然に防ぐとともに、必要な時には迅速に対応していきます。 A 子どもが利用する施設や日常過ごす場で子どもの権利を守る体制の整備  子どもが利用する施設や事業、サービスまたは日常を過ごす場で、人権侵害が起こることのないよう、子どもの視点に立った事業の評価を行うとともに、基準等に基づきチェックを行うことにより、子どもの人権が守られる環境を整えます。 第5章 子ども・子育て支援事業計画    子ども・子育て支援法では、教育・保育事業、地域子ども・子育て支援事業の実施主体である地方自治体の責務として、それぞれの事業の需要量見込みと確保の内容、実施時期を定めた「子ども・子育て支援事業計画」を策定することとしており、令和2年度から令和6年度を計画期間とする第2期事業計画を策定することが定められています。また、事業計画の策定にあたっては、国の「教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども・子育て支援給付並びに地域子ども・子育て支援事業及び仕事・子育て両立支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(以下、「基本指針」という。)を踏まえることとされています。  世田谷区では、平成30年9月にニーズ調査を実施し、調査結果を踏まえるとともに、世田谷区子ども・子育て会議に意見聴取を行ったうえで、事業計画を策定しました。   1 圏域の設定   子ども・子育て支援事業計画は、圏域を設定したうえで、圏域ごとに需要量見込みを算出し、確保の内容を記載することとなっています。  圏域は、第1期の事業計画と同様、下記のとおり設定しています。 教育・保育事業 0〜2歳および3〜5歳、保育の必要性あり 5地域 3〜5歳、保育の必要性なし 区全域 子ども・子育て支援事業 区全域 ※ 世田谷区では月48時間以上の就労などを要件として保育の必要性があると認定しています。 2 推計人口   教育・保育事業、子ども・子育て支援事業の需要量見込みの算出にあたって、基本となる世田谷区の子どもの推計人口については、区が実施した人口推計を使用しており以下のとおりです。 令和2年度 0歳7,455人、1歳7,552人、2歳7,485人、3歳7,418人、4歳7,518人、5歳7,480人、6〜11歳44,450人 令和6年度 0歳7,646人、1歳7,661人、2歳7,481人、3歳7,368人、4歳7,272人、5歳7,310人、6〜11歳46,821人 3 需要量見込み及び確保の内容と実施時期  需要量見込みは、子ども・子育て支援法に基づく法定計画として国の手引きに準拠し、ニーズ調査結果を基礎として算出しているため、「現在は利用していないが、必要となったら利用したい」といった潜在需要を含んでいます。原則として、ニーズ調査から算出する利用意向率(対象者のうち、当該事業を利用したいと考えている人の割合)に各年度の推計人口を乗じて算出しています。  確保の内容は、年度末(または翌年度4月1日時点)までに、どのくらいの数(定員や施設数等)を確保するかという、年度ごとの目標となる数値で、計画期間である令和2年度から令和6年度の各年度について記載しています。そのうえで、教育・保育事業については、平成30年度の欄には平成31年4月1日時点の実績を、令和元年度の欄には令和2年4月1日時点の実績見込みを記載しています。また、子ども・子育て支援事業については、原則として平成30年度の欄には平成30年度末の実績を、令和元年度の欄には令和元年度末の実績見込みを記載しています。   (1)教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期  幼稚園及び認定こども園の教育標準時間利用(以下、「幼稚園等」という。)によって確保する対象としては、1号認定の方及び2号認定のうち幼児期の学校教育の希望が強い方となります。1号認定とは、3歳から5歳で保育の必要性がなく、学校教育を希望する子どもがあたります。2号認定とは、3歳から5歳で保育の必要性がある子どもがあたりますが、幼児期の学校教育の希望が強い方は、保育所を利用するのではなく幼稚園等を利用するであろうという考え方から対象としています。  令和6年度の幼稚園等の需要量見込みについては、1号認定7,960人、2号認定のうち幼児期の学校教育の希望が強い方2,885人の計10,845人となっています。3歳から5歳人口がわずかに減少するという推計人口の影響によりやや減少していますが、第1期の事業計画期間と比較すると、2号認定のうち幼児期の学校教育の希望が強い方の増加が特徴的です。  確保の内容については、令和元年度の実績見込みである特定教育・保育施設1,781人と新制度に移行しない幼稚園10,165人を合わせた11,946人に、区内に住居のある方で区外の施設を利用する方、区外に住居のある方で区内の施設を利用している方の数を加減した12,582人を維持することとしています。  幼稚園等の利用を希望する保育の必要性のある家庭が増えていることから、幼稚園の預かり保育の充実を進めます。  保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業等によって確保する対象としては、原則として、2号認定のうち、前記の幼児期の学校教育の希望が強い方を除いた方と3号認定の方になります。3号認定とは、0歳から2歳で保育の必要性がある子どもがあたります。  保育所等の需要量見込みについては、ニーズ調査結果のほか、在籍児童数や非内定児童数等の実態を勘案して算出しています。また、2号認定については、地域・年齢ごとの進級率等を勘案して需要量見込みを算出したところ、幼稚園等の需要量見込みとの合計が推計人口を超えたため、推計人口以内となるように算出しています。  3号認定の確保の内容については、需要量見込みを満たす計画としますが、2号認定については、現時点で幼稚園等で実施する預かり保育などの定員枠が、その需要をすべて満たすほどに確保できていないため、幼児期の学校教育の希望が強い方を含めた保育の受け皿の確保に向けて、上記進級率等を勘案し、5か年で2,888人分の保育総定員の拡大を図ります。  また、下表のとおり、令和3年4月時点で定員の弾力化枠を活用しながら保育待機児童の解消、令和3、4年度で保育需要の増加への対応及び定員の弾力化運用の解消をめざし、当初3か年で計画期間内の大部分の定員拡大を重点的に進めることを基本とした計画とし、計画期間の5か年を通じ多様な保育需要に対応できる柔軟性の高い保育基盤の構築をめざします。 【保育定員(2、3号認定)に関する各年次の達成目標と定員拡大量】 確保総計 令和元年度20,324人、令和2年度21,406人、令和3年度22,240人、令和4年度23,122人、令和5年度23,122人、令和6年度23,212人、定員拡大量2,888人 教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期(全地域) 平成30年度実績 1号認定11,917人、2号認定で学校教育の希望が強い596人に対し、13,098人分を確保。 それ以外の2号認定、9,443人に対し、10,450人分を確保。 3号認定0歳、3,260人に対し、1,867人分を確保。 3号認定1〜2歳、7,133人に対し、7,343人分を確保。 令和2年度見込み 1号認定8,129人、2号認定で学校教育の希望が強い2,946人に対し、12,582人分を確保。 それ以外の2号認定、11,341人に対し、11,223人分を確保。 3号認定0歳、2,165人に対し、2,182人分を確保。 3号認定1〜2歳、8,611人に対し、8,001人分を確保。 令和6年度見込み 1号認定7,960人、2号認定で学校教育の希望が強い2,885人に対し、12,582人分を確保。 それ以外の2号認定、11,105人に対し、12,078人分を確保。 3号認定0歳、2,381人に対し、2,425人分を確保。 3号認定1〜2歳、8,700人に対し、8,709人分を確保。 教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期(地域別) 世田谷地域 令和2年度 1号認定1,921人、2号認定で学校教育の希望が強い827人。 それ以外の2号認定、3,231人に対し、3,042人分を確保。 3号認定0歳、696人に対し、691人分を確保。 3号認定1〜2歳、2,488人に対し、2,366人分を確保。 令和6年度 1号認定1,898人、2号認定で学校教育の希望が強い815人。 それ以外の2号認定、3,221人に対し、3,450人分を確保。 3号認定0歳、805人に対し、778人分を確保。 3号認定1〜2歳、2,578人に対し、2,582人分を確保。 北沢地域 令和2年度 1号認定991人、2号認定で学校教育の希望が強い357人。 それ以外の2号認定、1,792人に対し、1,625人分を確保。 3号認定0歳、339人に対し、326人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,353人に対し、1,178人分を確保。 令和6年度 1号認定1,046人、2号認定で学校教育の希望が強い376人。 それ以外の2号認定、1,882人に対し、2,024人分を確保。 3号認定0歳、399人に対し、419人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,467人に対し、1,457人分を確保。 玉川地域 令和2年度 1号認定2,264人、2号認定で学校教育の希望が強い822人。 それ以外の2号認定、2,836人に対し、2,831人分を確保。 3号認定0歳、520人に対し、509人分を確保。 3号認定1〜2歳、2,133人に対し、1,925人分を確保。 令和6年度 1号認定2,264人、2号認定で学校教育の希望が強い820人。 それ以外の2号認定、2,612人に対し、2,831人分を確保。 3号認定0歳、516人に対し、530人分を確保。 3号認定1〜2歳、2,003人に対し、2,003人分を確保。 砧地域 令和2年度 1号認定1,933人、2号認定で学校教育の希望が強い590人。 それ以外の2号認定、2,080人に対し、2,183人分を確保。 3号認定0歳、326人に対し、375人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,558人に対し、1,401人分を確保。 令和6年度 1号認定1,800人、2号認定で学校教育の希望が強い548人。 それ以外の2号認定、1,929人に対し、2,183人分を確保。 3号認定0歳、324人に対し、387人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,482人に対し、1,452人分を確保。 烏山地域 令和2年度 1号認定1,020人、2号認定で学校教育の希望が強い350人。 それ以外の2号認定、1,402人に対し、1,542人分を確保。 3号認定0歳、284人に対し、281人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,079人に対し、1,131人分を確保。 令和6年度 1号認定952人、2号認定で学校教育の希望が強い326人。 それ以外の2号認定、1,461人に対し、1,590人分を確保。 3号認定0歳、337人に対し、311人分を確保。 3号認定1〜2歳、1,170人に対し、1,215人分を確保。 (2)子ども・子育て支援事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期 @ 利用者支援に関する事業 1)事業概要  子ども及びその保護者等、または妊娠している方が、教育・保育施設や地域の子育て支援事業等を円滑に利用できるよう、身近な場所で情報提供及び相談・助言等を行うとともに、関係機関との連絡調整等の地域連携を実施する事業です。 2)確保の内容  基本型については、身近なつどいの場であるおでかけひろばのうち、各地域1か所(5か所)に地域子育て支援コーディネーターを配置し、センター機能を担う1か所を加えた計6か所で実施しています。  特定型については、各総合支所子ども家庭支援課(5か所)に子育て応援相談員を配置して実施しています。  母子保健型については、平成28年7月から各総合支所健康づくり課(5か所)に母子保健コーディネーターを配置して実施しています。  当面の間は、現行の体制で利用者支援事業を実施していくこととします。 平成30年度実績(現行の体制) 基本型(主にひろば等で情報提供、助言・相談等に加え、地域連携もあわせて行う事業類型)および特定型(主に市区町村の窓口等で保育等に関する情報提供及び相談・助言を行う事業類型) 需要量11か所に対し、11か所を確保。 母子保健型(保健師等の専門職が、妊娠期から子育て期にわたるまでの母子保健や育児に関する妊産婦等からの相談に応じ、継続的な支援を行う事業類型) 需要量5か所に対し、5か所を確保。 A 延長保育(時間外保育事業) 1)事業概要  保育所等において、通常の開所時間(11時間)を超えて保育を行う事業です。 2)確保の内容  需要量見込みを上回る確保の内容を設定することで、希望する保護者が延長保育を利用できるようにしています。保育所等の新規整備に伴って延長保育の定員を設定することにより、定員を拡充していきます。 平成30年度実績 需要量3,906人に対し、4,604人分を確保。 令和2年度見込み 需要量4,788人に対し、5,196人分を確保。 令和6年度見込み 需要量4,770人に対し、5,816人分を確保。 B 一時預かり事業 1)事業概要  家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児について、保育所その他の場所において、一時的に預かる事業です。子育て中の親のリフレッシュ等育児負担の軽減を図るため、理由を問わずに子どもを短時間預かるほっとステイや、幼稚園の預かり保育事業を含めて、一時預かり事業としています。  一時預かり事業については、幼稚園等に通園する児童を対象とした「幼稚園による一時預かり」と「その他の一時預かり」に分けて需要量見込み及び確保の内容を記載することとなっています。 2)確保の内容  @ 幼稚園による一時預かり  幼稚園による一時預かりについては、令和6年度の年間延べ542,568人という需要量見込みに対し、令和元年度の実績見込みとの差を5年間で解消します。私立幼稚園独自の預かり保育事業や一時預かり事業(幼稚園型)、区独自の預かり事業等の拡充により確保します。 平成30年度実績 需要量376,415人日に対し、385,895人日分を確保。 令和2年度見込み 需要量554,088人日に対し、438,119人日分を確保 令和6年度見込み 需要量542,569人日に対し、542,568人日分を確保。 A)その他の一時預かり  その他の一時預かりについては、ほっとステイや保育所等の一時保育とファミリー・サポート・センター事業をあわせて確保することとしています。  需要量見込みに対して、保育所等における一時保育の拡充とファミリー・サポート・センター事業の充実を中心に、令和6年度までに確保します。 平成30年度実績 需要量208,325人日に対し、一時預かり157,440人日、ファミサポ30,006人日、計187,446人日分を確保。 令和2年度見込み 需要量265,169人日に対し、一時預かり182,960人日、ファミサポ34,726人日、計217,686人日分を確保 令和6年度見込み 需要量266,810人日に対し、一時預かり231,800人日、ファミサポ44,166人日、計275,966人日分を確保。 C ファミリー・サポート・センター事業〔就学児〕(子育て援助活動支援事業) 1)事業概要  子育てのサポートを受けたい方(利用会員)と援助協力が可能な方(援助会員)の、相互援助を行う仕組みに関する連絡・調整を実施する事業です。 2)確保の内容   援助会員の実活動者数の伸びや、援助会員一人あたりの年間実績等を勘案し、確保の内容を算出しています。   なお、ニーズ調査に基づき算出した需要量見込みについては、潜在ニーズが過大に現れていると考えられ、この間の利用申込みの状況とは大きく乖離しています。利用実態を踏まえると、令和6年度の確保の内容延べ16,442人をもって、実際のニーズに応えられる内容と捉えています。 平成30年度実績 需要量45,297人日に対し、11,720人日分を確保。 令和2年度見込み 需要量43,735人日に対し、13,294人日分を確保。 令和6年度見込み 需要量45,769人日に対し、16,442人日分を確保。 D 学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業) 1)事業概要  保護者が就労等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、放課後や長期休暇中に適切な遊び及び生活の場を提供し、健全な育成を図る事業です。区では、小学校内での放課後の自由な遊び場であるBOP事業と一体的に運営を行っています。 2)確保の内容  低学年(1〜3年生)については、定員を設けることなく条件を満たしている児童の受け入れを行っており、今後も各年度の需要量見込みに対応していきます。  高学年(4年生以上)については、BOP、児童館で、児童の成長にあわせ継続してゆるやかな見守りを実施するとともに、プレーパーク等を含めた地域の居場所において、大人の目が入った見守りを展開することを通じて対応をしています。また、配慮が必要な児童に対しては、学童クラブ事業を6年生まで実施します。 平成30年度実績 需要量 低学年5,991人に対し、7,133人分を確保。高学年2,331人。 令和2年度見込み 需要量 低学年7,097人に対し、7,097人分を確保。高学年1,586人。 令和6年度見込み 需要量 低学年7,281人に対し、7,281人分を確保。高学年1,699人。 E ショートステイ事業(子育て短期支援事業) 1)事業概要  保護者の疾病等により、一時的に子どもを養育することが困難となった場合に、児童養護施設等で短期間保護する事業です。現在、1歳から12歳の子どもを対象とした「子どものショートステイ」を1か所で、0歳児を対象とした「赤ちゃんショートステイ」を1か所で実施しています。 2)確保の内容  ショートステイ事業は、育児不安等を解消し児童虐待予防のための支援をする機能も担っており、時期を逃さず適切に利用へつなげる必要があるため、需要量見込みを上回る確保の内容を設定します。 平成30年度実績 需要量870人日に対し、2,555人日分を確保。 令和2年度見込み 需要量1,241人日に対し、3,477人日分を確保。 令和6年度見込み 需要量2,236人日に対し、4,495人日分を確保。 F 養育支援訪問事業 1)事業概要  世田谷区では、養育支援等ホームヘルパー訪問事業として実施しており、子どもの養育が困難と認められる世帯に対し、一定期間ホームヘルパーを派遣することにより、虐待予防及び当該世帯の自立を支援する事業です。また、産前・産後の体調不良や育児能力の低下等により一時的に生活支援を必要とする家庭がその時期を乗り切り、養育困難家庭に陥らないようにするため、令和元年度よりさんさんプラスサポートを実施しています。 2)確保の内容  需要量見込みを満たす確保を図るため、委託事業者数を増やしていく確保の内容としています。 平成30年度実績 需要量151件に対し、128件、14委託事業者数を確保。 令和2年度見込み 需要量261件に対し、261件、28委託事業者数を確保。 令和6年度見込み 需要量306件に対し、306件、29委託事業者数を確保。 G ひろば事業(地域子育て支援拠点事業) 1)事業概要  子育て中の親子が気軽に立ち寄り、交流できる場で、子育て相談や子育て情報の提供を通して、子育てに対する不安の解消や負担感の軽減、地域の子育て支援機能の充実を図る事業です。区では、児童館や子育てステーション、おでかけひろばなどで事業を実施しています。 2)確保の内容  平成30年度の58か所の年間延べ利用実績や今後整備することとなるおでかけひろば1か所あたりの規模を勘案し、令和6年度の需要量見込み延べ456,509人を満たすためには、令和元年度の実績見込み数からあと15施設が必要であることから、令和6年度までに80か所を確保します。 平成30年度実績 需要量365,846人日、60か所に対し、320,434人日、48か所を確保。 令和2年度見込み 需要量450,580人日、78か所に対し、398,210人日、68か所分を確保。 令和6年度見込み 需要量456,509人日、80か所に対し、458,210人日、80か所分を確保。 H 病児・病後児保育事業 1)事業概要  保育所等に通っている乳幼児が病気やケガ等で集団保育が困難な時期に、専門施設において一時的に保育を行う事業です。 2)確保の内容  需要量見込みの伸びを勘案し、実施施設や定員の拡充により確保します。 平成30年度実績 需要量26,729人日に対し、23,700人日分を確保。 令和2年度見込み 需要量20,128人日に対し、24,000人日分を確保。 令和6年度見込み 需要量28,022人日に対し、28,500人日分を確保。 I 乳児期家庭訪問事業(乳児家庭全戸訪問事業) 1)事業概要  生後4か月に至るまでの乳児がいる家庭へ、保健師または乳児期家庭訪問指導員(助産師等)が家庭訪問を行い、乳児の発育・発達状況や育児環境の把握を行うとともに、地域の保健サービス等の情報提供を行う事業です。 2)確保の内容  訪問率100%を目指し、令和元年度の実績見込み数である委託訪問指導員、嘱託訪問員あわせて46人の体制を維持する確保の内容とします。 平成30年度実績 需要量7,371人に対し、7,371人、委託訪問指導員40人、嘱託訪問員5人を確保 令和2年度見込み 需要量7,317人に対し、7,317人、委託訪問指導員41人、嘱託訪問員5人を確保 令和6年度見込み 需要量7,505人に対し、7,505人、委託訪問指導員41人、嘱託訪問員5人を確保 J 妊婦健診事業 1)事業概要  妊婦に対して実施する妊婦健康診査の14回分の費用の一部を負担する事業です。 2)確保の内容  確保の内容については、需要量見込みに対応できる実施医療機関を記載することとなっており、これまでの都内契約医療機関で実施する体制を維持することで対応を図ります。 需要量見込み 平成30年度実績7,824人、令和2年度見込み7,767人、令和6年度見込み7,965人 第6章 子どもの貧困対策計画 1 子どもの貧困対策計画の策定にあたって (1)子どもの貧困対策に関する動き 1)全国の子どもの貧困の現状  貧困は、人間が生きるのに必要最低限の生活水準が満たされていない状態である「絶対的貧困」と、ある社会の中でほとんどの人が当たり前のもの、普通のこととしている生活ができない状態である「相対的貧困」という概念があります。  先進国の貧困は相対的貧困で捉えられ、厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は13.9%であり、日本では約7人に1人の子どもが、相対的貧困にあるといわれています。また、厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、ひとり親世帯の就労率は母子世帯81.8%、父子世帯85.4%と、就労率が高いにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率は50.8%となっています。  子どもの貧困は、単にお金がないというだけでなく、生きる・育つ・守られる・参加するという「子どもの権利」が保障されないリスクを高めます。また、子どもの貧困は、外からは見えにくく、様々な要因が複雑に重なり、子どもとその家庭だけでは解決できないという課題もあります。 2)子どもの貧困対策に関する国の動き  国は、平成26年1月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を施行、同年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」を制定し、子どもの貧困対策を総合的に推進してきました。  さらに、この間の社会状況の変化を踏まえ、令和元年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が改正され、目的に、子どもの「将来」だけでなく「現在」に向けた対策であること、子どもの貧困の解消に向けて、子どもの権利条約を尊重することが明記されました。また、基本理念として、子どもの年齢等に応じてその意見が尊重され、その最善の利益が優先考慮され、健やかに育成されること、貧困の背景に様々な社会的要因があることを踏まえること、各施策を子どもの状況に応じ包括的かつ早期に講ずることが明記されました。同時に、区市町村における計画策定が努力義務となりました。  令和元年11月には、子どもの貧困対策法の改正を踏まえ、5年ぶりに見直された新たな「子供の貧困対策に関する大綱」が策定されました。改定された大綱では、分野横断別の基本方針として、親の妊娠・出産期から子どもの社会的自立までの切れ目のない支援体制の構築や、支援が届いていない又は届きにくい子ども・家庭に配慮して対策を推進すること等が明記され、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援という4分野において、子どもの貧困対策に取り組むこととされています。 3)子どもの貧困対策に関する区の動き  区では、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」、「子供の貧困対策に関する大綱」及び「子ども計画(第2期)」を踏まえ、平成27年11月に、貧困の未然防止、連鎖の防止の観点から、区の子どもの状況に則した子どもの貧困対策の展開を図るため、「支援につながる」「学びや居場所の支援」「生活の支援」「仕事の支援」「住まいの支援」を5つの柱とする大枠の方向性を定めました。  平成28年度には、子どもへの支援だけでなく、親への支援も視野に入れた横断的な検討を行うため、「子どもの貧困対策推進連絡会」を設置し、庁内横断的に子どもの貧困対策を推進しています。  この間、大枠の方向性に基づき、児童養護施設退所者等への支援や子どもの学びや居場所への支援など各支援策の充実及び強化に加え、「せたがや子どもの未来応援気づきのシート」を作成・活用し、身近な機関での気づきを促し支援につなぐ取組みの強化を進めました。また、子ども食堂など地域による取組みも進む中、孤食や栄養の偏りなどの食の課題への対応とともに、家庭の養育環境のさらなる悪化を防止し、必要な支援につなぐため、子どもへの食の支援事業を令和元年7月より開始しました。  子どもの貧困対策計画の策定にあたっては、改正法及び新たな大綱に基づき「教育の支援」「生活の安定に資するための支援」「保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援」「経済的負担の軽減のための支援」に、「支援につながる仕組みづくり」を加えた5つの柱とすべく検討を行いました。    (2)子どもの貧困対策計画策定の趣旨 1)策定の趣旨  区は、国の施策と連動しながら、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境に左右されることがないよう、すべての子どもが健やかに育成される環境を整備していくと同時に、子どもの貧困の解消と貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目指し、子どものことを第一に考えた適切な支援に、包括的かつ早期に取り組んできました。  子どもの貧困対策の推進にあたっては、親の妊娠・出産期や子どもの乳幼児期における早期の課題把握から、子どもの学校教育段階、さらに子どもが卒業、就職して、社会的自立が確立されるまで、切れ目のない支援を行うことが重要です。また、子どもの貧困の背景には様々な社会的要因があることを踏まえ、子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、関係機関をはじめ地域が一体となり推進する必要があります。  このことから、これまでの取組みをさらに充実・発展させていくことも踏まえ、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に基づく子どもの貧困対策計画を策定しました。   2)計画の位置づけ  この計画は、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に定める子どもの貧困対策計画として、「子ども計画(第2期)後期計画」に内包するかたちで位置づけます。   3)計画の期間  本計画は、「子ども計画(第2期)後期計画」にあわせ、令和2年度から令和6年度の5年間とします。 2 世田谷区の子どもを取り巻く現状 (1)支援制度利用者の状況 1)18歳未満生活保護受給者数の推移  区の生活保護受給者数、保護率は令和元年で10,362人、11.1%であり、過去5年間の推移をみると、区全体では横ばい傾向にありますが、18歳未満では微減傾向にあります。 2)児童扶養手当受給者数の推移  区の児童扶養手当受給者数(全額もしくは一部支給されている養育者の数)は平成31年は2,895人で過去5年間の推移をみると、微減傾向にあります。 3)就学援助認定者数の推移  就学援助の対象者は、生活保護を受給している児童・生徒(要保護者)またはそれに準ずる程度に困窮していると区が認定した方(準要保護者)になります。  区の就学援助認定者における要保護及び準要保護児童・生徒数、就学援助率は平成30年でそれぞれ256人、4,650人、10.4%であり、過去5年間の推移をみると、微減傾向にあります。   (2)子どもの生活実態調査  親への支援策はあるが子どもへの直接的な支援策が少ない、支援が必要な家庭に情報が十分に届いていない等の課題に対応するために、これまで区は子どもの貧困対策に取り組んできました。この間の課題認識に基づき、子どもの貧困対策計画の策定にあたり、子どもの生活実態を把握するために、平成30年6月〜9月までの間に、子どもや保護者を対象にしたアンケート調査、及び支援者に対するヒアリング調査を実施しました。また、同アンケート調査の結果から、子どもを取り巻く課題についてより詳細に把握するため、令和元年度に、詳細分析を実施しました。 1)子ども・保護者アンケート調査 ◆調査概要 @ 調査対象  小学校5年生、中学校2年生のすべての子ども本人とその保護者(子どもは、公立、私立、国立等の学校種別にかかわらず、平成30年5月6日時点で区内に住民登録のある者) A 調査対象数 13,446世帯(小学5年生:6,930人、中学2年生:6,516人) B 調査方法  各世帯に子ども用及び保護者用のアンケートを郵送配布し、子ども、保護者それぞれ自記式にて任意回答の上、郵送で回収 C 有効回答数(率) 子ども 5,763票(42.9%)、保護者 5,770票(42.9%) D 調査期間 平成30年6月27日〜7月27日 ◆調査結果  学年、世帯タイプ、生活困難度に関するクロス集計による分析により、主に以下のことが明らかになりました。 ・ 生活困難を抱える小中学生が1割を超え存在し、生活困難層の約8割はふたり親世帯である。 ・ 経済的な理由で公共料金の支払いをできなかった世帯が存在し、困窮層ではその割合は2〜3割である。 ・ 困窮層の保護者の約7割が経済的な理由で必要な食料を買えなかった経験があり、給食以外に毎日野菜を食べる割合は困窮層にて低くなる。 ・ 困窮層では、経済的な理由で学習塾に通わせる、習い事に通わせるといった定期的な教育費の支出ができない保護者の割合が高くなる。 ・ 生活困難度が高いほど、学校の授業がわからないと回答する子どもの割合が高くなる。 ・ 平日の放課後に一人で過ごしている子どもの割合は、困窮層、ひとり親(2世代)世帯にて高く、平日の放課後や休日の居場所の利用意向も、生活困難層においてより顕著である。 ・ 抑うつ傾向のある子どもの割合や、「むし歯がある」と回答した子どもの割合は、一般層よりも生活困難層にて高い。 ・ 困窮層の保護者の2割弱が、自身が子ども時代に親から暴力を振るわれた経験があり、1割弱が育児放棄をされた経験がある。 ・ 実際に支援・サービスを利用した経験を持つ保護者よりも、支援・サービスの利用意向があったが支援・サービスを利用しなかった保護者の方が多い傾向にあり、その割合は困窮層にて高い。 ■世田谷区における生活困難の状況■ 小学5年生、困窮層2.5%、周辺層9.2%、一般層88.3% 中学2年生、困窮層3.8%、周辺層10.1%、一般層86.1% 2)支援者に対するヒアリング調査 ◆調査概要 @ 調査対象 子ども家庭支援センター、保育所、幼稚園、児童館、小・中学校、高校、子ども食堂、社会福祉協議会等、子どもに関わる機関の職員 A 調査規模 47機関(82人) B 調査期間 平成30年6月7日〜9月5日 ◆調査結果 ヒアリングにより、以下のことが明らかになりました。 ・ 経済的に困窮し、様々な困難を抱える子どもや保護者が存在する。 ・ たとえ経済的に困窮していたとしても、子どもや保護者がそのことを周囲に悟られないようにしたり、支援者によっては、プライバシー保護の観点から家庭の経済状況を把握することが難しいという職務上の限界があるため、経済的に困窮する子どもや保護者の姿が見えにくくなり、貧困が潜在化している。   3)子ども・保護者アンケート調査 詳細分析 ◆主な分析項目  貧困・暴力の連鎖の実態、子どもの居場所、不登校傾向やいじめられた経験のある子どもたち、母親と子どもの抑うつ傾向、子育て支援・サービスの利用状況、無料学習支援の利用意向、自由記述から見る保護者・子どものニーズ ◆分析結果   学年、世帯タイプ、生活困難度別以外のクロス集計や自由回答の言語解析により、主に以下のことが明らかになりました。 ・ 困窮層の3割強、周辺層の約2割が、母親本人が15歳時点に苦しい生活をしており、現在も困窮しているという、貧困の連鎖がある。 ・ 一方で、困窮層の7割弱、周辺層の約8割は、母親本人が15歳時点では普通以上の生活をしていたが、現在困窮している状況にある。 ・ 貧困の連鎖よりも暴力の連鎖のほうが、子どもへの体罰や育児放棄への影響が大きい。 ・ 親や学校の先生への相談の頻度が高くなるほど、いじめられた経験のある子どもが孤独感を抱く可能性は低くなる。 ・ 生活困難層では、母親の抑うつ傾向よりも生活困難度のほうが、子どもの抑うつ傾向への影響が大きい。 ・ 生活が困窮することやひとり親世帯であることが、無料学習支援の利用意向を強める可能性がある一方で、利用意向を弱める可能性もある。    子どもの生活実態調査【子ども・保護者に対するアンケート調査】の結果は、貧困を測定する指標である「生活困難度」に基づき、分析しています。   3 子どもの貧困対策計画の方向性 (1)主な課題  これまでの取組みとそこから見えてきた課題認識及び子どもの生活実態調査結果から、主な課題として以下のことが見えてきました。 ・ 1割を超える子どもが経済的な理由による生活困難を抱えており、生活困難層の約8割はふたり親世帯であるため、ひとり親世帯のみならずふたり親世帯も含む支援が必要である。 ・ 生活困難を抱える子どもは、子どもの食や体験、学習、人間関係や居場所、自己肯定感、健康面等での影響を受けており、それらに対応するための支援・サービスが量的に不足するとともに、内容の充実が求められる。 ・ 生活困難を抱える保護者は、不安定な就労状況にある傾向が見られることや、保護者自身が子ども期に暴力や育児放棄といった困難に直面していた割合が高いため、子どもだけでなく保護者への支援も求められる。 ・ 貧困が潜在化し、見えにくくなっており、生活困難を抱える家庭ほど、公的機関への相談や支援・サービスの利用意向があるにもかかわらず利用につながっていないため、支援・サービスを充実するのみならず、子どもや保護者を支援につなげることが不可欠である。    (2)計画の方向性  上記の課題を受け、子どもの貧困対策計画として、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、また、保護者の子ども期からの貧困の連鎖を断ち切ると同時に、新たな貧困の連鎖を生まないよう、すべての子どもが健やかに育成される環境を整備していくと同時に、ひとり親世帯のみならず、ふたり親世帯も含む生活困難を抱える子どもや保護者に対する支援を全庁的に推進していきます。  区が推進する多くの施策は子どもの貧困対策に何らかの形で寄与するという考えのもと、子どもへの支援・サービスの量及び質の充実、保護者への支援の充実、当事者の視点に立った情報提供と相談体制等の推進や、支援者の気づきの感度の向上と連携強化による支援につながる仕組みの強化に取り組みます。 4 子どもの貧困対策計画の内容  国の動きを踏まえ、子どもの貧困対策計画は、保護者の健康状態の悪化により家庭が貧困の状況に置かれたり、家族のケアをになう子どもがいたり、子どもや保護者に障害があったり、外国にルーツがあり日本の文化や言語の理解が難しいなど、生活困難を抱える家庭が多様であることを考慮し、「教育の支援」「生活の安定に資するための支援」「保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援」「経済的負担の軽減のための支援」「支援につながる仕組みづくり」の5つの柱により施策を展開します。  なお、5つの柱のうち、「教育の支援」(B地域における学習支援事業等の充実)、「生活の安定に資するための支援」(@子どもの居場所づくりの充実)、「支援につながる仕組みづくり」は、子ども計画(第2期)後期計画の重点政策として掲げています。   (1)教育の支援 【目標】 ・ 学校や地域における学習支援、教育にかかる費用の負担軽減の支援等により、生活困難を抱える子どもの学力・進路保障に向けた環境をはじめすべての子どもが等しく学び、夢や希望を持つことができる環境が整っている。 ・ 教育と福祉の連携により、学校での気づきを契機に生活困難を抱える子どもを早期に発見し、支援につなげる体制の強化が図られている。 【施策展開】 @ 質の高い乳幼児期の教育・保育を通じた支援  生活困難を抱える子どもの健やかな育ちや家庭の子育て環境の安定のために、質の高い乳幼児期の教育・保育を提供するとともに、関係機関と協働・連携しながら、貧困に起因する課題への早期の対応と継続的な見守り・支援を行っていきます。 A 学校における学力向上に向けた取組みの推進  「土曜講習会」やe-ラーニング等、個に応じた基礎・基本の定着等に向けた学習支援や地域の人材活用等を通じて、家庭環境に左右されることなく、すべての子どもが学力向上を図ることができる取組みを推進します。  B 地域における学習支援事業等の充実  生活保護・生活困窮世帯、ひとり親世帯等の子どもを対象に学習支援事業を継続して実施するとともに、子どもの学力や進路保障に向け、新たな学習支援の実施や高校中退防止に向けた支援のあり方を検討するなど、充実を図ります。 C 家庭の教育費の負担軽減のための支援の充実  就学援助制度や塾等に対する費用の支援等の周知の強化により、利用促進を図るとともに、家庭の教育費の負担軽減に向けた支援の充実を図ります。  D 学校での気づきを契機とした早期把握・支援につなぐための体制強化  子どもの家庭環境等を踏まえた指導の充実や、スクールソーシャルワーカーをはじめ学校内外の教育相談体制の充実や質の向上に取り組むことで、学校での気づきを契機に、生活困難を抱える子どもを早期に把握し、支援につなげる体制を強化します。   (2)生活の安定に資するための支援 【目標】 ・ 親の妊娠・出産期から子どもが若者となり卒業、就職して、社会的自立が確立されるまでを見据え、生活困難を抱える子どもや保護者の生活の安定が図られている。 ・ 貧困により孤立しがちな子ども・若者がいる中、生活困難を抱える子ども・若者が自身の権利を認識し、本来持っている力を発揮するために、安心して過ごせる居場所の充実、児童養護施設等を巣立った若者への支援の充実が図られている。 ・ 親の妊娠・出産期から家庭を支え、生活の安定に向けた支援の充実が図られている。   【施策展開】 @ 子どもの居場所づくりの充実  子どもが自ら選択して利用できるように多様な居場所を提供するとともに、生活困難を抱える子どもに対し、食の提供をはじめとする生活支援や学習支援の機能をもつ居場所の充実を図ります。 A 児童養護施設等を巣立った若者への支援の充実  満 18 歳となり児童養護施設等(里親、自立援助ホームを含む)を退所した若者に対し、給付型奨学金の提供、住宅支援、居場所支援・地域交流支援を継続するとともに、大学等へ進学、就職する若者及び大学等の退学や離職をした若者への支援の拡充を図ります。 B 住宅支援の推進  住宅に困っている子育て世帯に、公的住宅等に関する適切な情報提供を行うとともに、ひとり親世帯が制度対象の民間賃貸住宅に転居する場合に家賃負担を減額する制度等をはじめとする住宅支援を進めます。  C 妊娠・出産期から生活の安定に向けた支援の充実  妊娠期面接をはじめとする母子保健事業や女性相談事業等を通じて、特定妊婦(若年妊娠、DV被害、未婚や周囲が気づかない状況での妊娠・出産等)の生活困難を抱える可能性の高い女性や保護者を早期に把握し、適切な支援につなぎます。また、母子生活支援施設の多機能化等を通じ、保護者の生活の安定に向けた支援の充実を図ります。 D 食育の推進に関する支援  個々のさまざまな生活状況を踏まえ、生活の基礎である「食」の大切さを伝え、成長・発育に合った食事の摂り方、食べ方について母子健診や、食生活相談を通じた支援を行います。また、健康増進法に基づき、区内児童福祉施設での栄養管理・食育の推進についての助言を実施します。   (3)保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援 【目標】 ・ 生活困難を抱える保護者が所得を増やし、子育てと仕事を安定して両立ができるように、求職時等の子どもの預かりの充実が図られている。 ・ 保護者が自立に向けて生活の見通しをもてるように、個々の状況に応じた就労支援の充実が図られているとともに、保護者が子育てと仕事を両立ができる環境が整っている。   【施策展開】 @ 求職時等の子どもの預かりの充実  生活困難を抱える保護者が求職時等に子どもを預けることができるように、一時預かり事業の拡充や保育所等の一時保育の充実を図ります。 A 個々の状況に応じた就労支援の促進  保護者自身が生活の見通しを立て、働き方について考える機会を提供するとともに、関係機関との連携のもと、様々な就労支援プログラム等を活用し、生活困難を抱える家庭の個々の状況に応じた就労支援を促進します。 B 子育てと仕事の両立ができる環境づくりに向けた事業者への働きかけ  子育てと仕事の両立や多様な働き方の推進に向け、職場環境整備事業の活用や制度の周知等を通じて、事業者へ働きかけ、職場環境の整備への支援を図ります。 (4)経済的負担の軽減のための支援 【目標】 ・ 経済的安定を図る施策の充実やその周知の強化により、家庭の経済状況に関わらず、子どもや保護者が安心して生活を送ることができる環境が整っている。 【施策展開】 @ 子育てにかかる経済的負担の軽減  妊娠期から高校卒業時までの子どもの健康や教育等にかかる費用の負担軽減を実施するとともに、必要な家庭に支援の情報を確実に届け、支援・サービスを利用できるように、その周知の強化を図ります。 A 養育費の安定的な確保のための支援  離婚後のひとり親家庭の生活の安定に向け、養育費の支払いが適切に行われるようにするための支援を充実します。 (5)支援につながる仕組みづくり 【目標】 ・ 生活困難を抱える子どもや保護者が、確実に必要な支援につながるための仕組みづくりの強化が図れている。 ・ アウトリーチ支援や当事者の視点に立った情報提供、相談体制等により、生活困難を抱える子どもや保護者が、必要な情報を得て、適切な支援につながることができている。 ・ 地域の子どもや子育て家庭に関わる支援者が、子どもの貧困や支援・サービスへの理解により、気づきの感度を高めるとともに連携を強化し、生活困難を抱える子どもや保護者を必要な支援につなぐことができる人材が育成されている。 【施策展開】 @  当事者の視点に立った支援・サービスの周知や相談体制等の推進  子どもや保護者に障害があったり、外国にルーツがあり日本の文化や言語の理解が難しいなど、生活困難を抱える家庭が多様であることを考慮し、当事者の視点に立ち、わかりやすい情報を提供したり、子どもや保護者がためらわずに相談や支援・サービスの利用申請をできるように、食を通じたアウトリーチ支援をはじめとする支援につながる仕組みづくりを進めます。 A 支援者の気づきの感度の向上と連携強化  子どもや家庭に関わる関係機関・関係者が、子どもの貧困への理解を深め、早い段階から子どもの貧困に気づき、当事者の視点に立って子どもや家庭を支援につなぐための取組みを充実します。また、子どもの貧困対策の推進に向けた意識啓発や子どもの貧困対策に関わる活動の活性化を促すための取組みを進めます。 (6)計画に基づく主な事業  子どもの貧困対策に資する事業の一部を紹介します。なお、これらの事業の中には子どもの貧困対策を主目的としていないものも含まれます。 5 子どもの貧困対策計画の推進  子どもの貧困対策計画を横断的に推進するために、子どもの貧困対策推進連絡会を中心に、関係所管が連携・協力し、施策や個別事業の適切な調整を図り、全庁的に子どもの貧困対策に取り組みます。その推進にあたっては、子どもの主体的な参加のもと、子どもの生活実態調査や個別事業等を通じて、子どもの声を尊重するともに、保護者や地域と協働していきます。  また、全体の進捗管理や評価・検証は、「子ども計画(第2期)後期計画」全体の推進体制において行います。 第7章 若者計画 1 若者計画の策定にあたって (1)若者を取り巻く状況  国は、平成15年に青少年育成推進本部を立ち上げ、幅広い分野が青少年施策を総合的かつ効果的に推進するため「青少年育成施策大綱」を決定し、平成21年には「子ども・若者育成支援推進法」を制定し平成22年に施行、同年に「子ども・若者育成支援推進大綱(子ども・若者ビジョン)」を策定しました。平成28年には、顕在化してきた子ども・若者の課題の複合性、複雑性等も踏まえ新たな大綱を定め、子ども・若者が健やかに成長し、自立・活躍できる社会を目指した取組みを進めています。  区においては、ひきこもり、不登校等、若者の抱える問題の複雑・多様化に対し、従来の縦割的な対応での限界も背景に、平成25年度に専管組織を立ち上げ、「基本計画(平成26年度〜令和5年度)において@若者の交流と活動の推進、A若者の社会的自立の促進、B生きづらさを抱えた若者の支援、を柱に施策を進めてきました。  これまでの若者施策を評価・検証するため平成30年度に区が実施した「世田谷区若者施策に関する調査」からは、多くの若者は、家庭や学校・職場以外で地域や社会において多世代とつながる機会を持てておらず、家や学校・職場以外で安心して過ごせる場を持っている若者は半数以下ということが分かっています。さらに、ヒアリング調査において「学校では、集団から外れないよう気を遣いながら過ごしている」といった声が複数から聴かれたように、同調傾向がある社会集団の中で、本来の自分を出せず息苦しさを感じている若者の存在も明らかになっています。一方で、SNS等インターネットを介した情報の取得や発信、コミュニケーションがスタンダードとなる中、ネット上の交流の場が居場所ともなっている若者がいることも分かりました。  また、多くの若者が地域や社会への参加意欲がありながら、日常が多忙であることなどから現実には参加できていないという実情があります。  一方、この5年間で、就職氷河期世代が40代以上にシフトしてきていることや、高齢の親の元で家族以外と交流することなくひきこもっている中高年の問題が社会的に注目されるなど、若者世代のうちに適切な支援へとつながることができないまま40代以上になった長期ひきこもりの方やその家族への支援が課題となっています。  平成30年度、内閣府は、これまで39歳までを対象としていたひきこもり調査について、40歳から59歳までを対象として実施し、ひきこもりと思われる方はこの世代の率にして1.45%、全国で61.3万人との推計を出しました。東京都では、これらの課題に対応するため、概ね34歳までを対象としていたひきこもり訪問相談事業について、令和元年6月より年齢制限の上限を撤廃したところです。  メルクマールせたがやの5年間の支援実績からは、ひきこもり期間が長期化するほど、自立に向けた動き出しまでの時間が必要であることが裏付けられたことから、若者施策としては、できるだけ早期に当事者や家族とつながり、関係機関と連携しながら適切な支援を行うことが重要となります。早期に支援につながるためには、支援機関や支援内容が広く認知されている必要がありますが、区が実施した調査では、メルクマールせたがやをはじめとする支援機関の認知度の低さが浮き彫りとなりました。認知度の向上や支援につながりやすい仕組みづくりが求められています。    (2)若者計画策定の趣旨 1)策定の趣旨  世田谷区では、平成25年度より専管組織を立ち上げ若者施策に取り組んでいます。  若者施策は子ども期で展開する施策と密接に関わっていることから、子ども計画(第2期)では、若者期を見据えた子育て支援を検討の視点に掲げて策定するとともに、今後の若者施策の取組みについて1つの章に掲げ、施策を展開してきました。  就職氷河期という社会経済情勢を背景に社会問題化したニート、ひきこもりの問題への対応を進めてきましたが、現在、問題の長期化から8050問題への対応が大きな課題となるなど、若者世代での取組みや支援の重要性、それらの施策に社会から期待されるものが大きくなるなど、当事者や周囲の意識等も変容しています。  このことから、改めて子ども・若者育成支援推進法に基づく「若者計画」として位置づけ、令和2年から令和6年を計画期間とし現在の状況に対応した計画を策定することとしました。   2)計画の位置づけ  この計画は、子ども・若者育成支援推進法に定める「子ども・若者計画」のうち、若者の育成支援に関わる計画として位置づけています。なお子どもに関わる計画は、「子ども計画(第2期)後期計画」に内包されています。   3)計画の期間  本計画は、平成27年度から令和6年度を計画期間として策定した「子ども計画(第2期)」の第6章について、計画策定後の若者を取り巻く社会情勢の変化や、国・都の動向を勘案し、必要な調整を図り、新たに令和2年度から令和6年度を計画期間とした「若者計画」として策定しました。 (3)若者施策の取組みの中間評価 1)子ども計画(第2期)第6章に基づく主な成果  子ども計画(第2期)第6章に基づき進めてきた主な取組みは、以下のとおりです   ◆若者の交流と活動の推進  平成31年2月、希望丘中学校の跡地を活用した複合施設内に、希望丘青少年交流センター(愛称アップス)を開設しました。開設にあたっては、当事者である若者や地域から意見を聞く機会を定期的に設け、施設整備や運営ルール等に反映しました。  青少年交流センターと児童館では、若者の主体的な参加・参画を促す取組みとともに、地域での多世代交流の機会と活動の場を拡げる取組みを進めました。   ◆生きづらさを抱えた若者の支援  メルクマールせたがやとせたがや若者サポートステーションが連携し、生きづらさを抱えた若者の社会的自立に向けた支援を行いました。また、子ども・若者支援協議会により、複合的課題をもつ方を重層的に支えるネットワークの構築を進めました。  メルクマールせたがやでは、相談を経ることなく利用できる居場所「メルサポ」をせたがや若者サポートステーションと定期的に運営したり、訪問による相談、希望丘青少年交流センターでの出張相談を行うなど、生きづらさを抱えた若者やその家族が相談につながりやすい仕組みの充実に努めました。また、早期に支援につながるよう、平成28年度よりティーンズサポート事業を開始し、10代からの相談の増加につながりました。   ◆若者の社会に向けた文化・情報の発信  若者がSNSによって、まちの魅力を発信するメディア「情熱せたがや、始めました。」を平成29年度から開始しました。若者の言葉による地域情報の発信が、若者の地域活動への参加を促しています。   ◆子ども計画以外の計画に含まれる「若者支援施策」との連携  就労、福祉、保健、医療、教育等の各分野が関わる「子ども・若者支援協議会」により、若者支援に取り組む各機関等との連携及び、区の若者支援施策に関する取組みの情報と課題の共有の場づくりを行っています。   2)子ども・青少年協議会による評価・検証及び提言 ◆若者の交流と活動の推進 【評価・検証】 ・児童館、青少年交流センター、プレーパークなどが、家でも学校でも職場でもない「第三の居場所」となっており、またそれらの場は、若者の意見を吸い上げる仕組みづくりをスタッフが行うなど、若者が主体的な活動にシフトしていく役割を果たしている。 ・希望丘青少年交流センターは、中高生世代以上の若者の利用を想定していたが、利用登録の約半数が小学生であったことから、子どもにとっても年上の世代と交流できる場として機能していることがわかった。今後、さらに複合施設内の施設や地域との連携を強化し、多世代交流を推進していくことで若者の交流と活動の範囲を広げることが必要である。 ・居場所での交流や主体的な活動により、自己肯定感や自己有用感が育まれていることが調査からも確認できた。 ・これらの居場所を、子ども期から利用することにより構築された信頼関係が、思春期の若者のサポートにつながっている一方、居場所の存在を知らず、利用していない若者も多い。気軽に利用してもらえるよう、早期からのアプローチや居場所に対する理解の促進が求められる。 ・地域での世代を超えた出会いやつながりから、若者が主体的に地域の活動に参画できるようするためには、地域の大人の知恵を借りることも有効である。   【提言】 @「世田谷区の若者にはみな「第三の居場所」がある」 A「地域に「大人・若者のたまり場(情報や活動、交流の拠点)」(=地域コンソーシアム)がある」 B「リアルもネットも若者がつながる場に」 ◆生きづらさを抱えた若者の支援 【評価・検証】 ・生きづらさを抱えた若者の相談・支援機関メルクマールせたがやは、事業開始から5年が経過し、関係機関から紹介を受け相談につながるケースや、他機関と連携し伴走しながら支援を行っているケースが増えており、子ども・若者支援協議会をはじめとする関係機関の連携、支援の重層化の進展がみられる。 ・一方で、区内で4,400人いると推計される15歳から39歳までのひきこもりのうち、これまでにメルクマールせたがやにつながったのは約1割に留まるなど、支援機関の利用率や認知度が低いことから、認知度の向上について、手法の検討含めさらなる取組みが必要である。 【提言】 @「生きづらさを抱えた若者が、「居場所」を中核とした専門機関と地域との連携により総合的に支えられている」 A「教育機関との連携により、生きづらさを抱えた若者が早期につながり切れ目がなく支えられている」 ◆若者の社会に向けた文化・情報の発信 【評価・検証】 ・大学生を中心とした若者による情報発信の取組み「情熱せたがや、始めました。」の活動は、若者目線のメディアとしての役割だけでなく、参加している若者にとっての居場所にもなっている。一方、区が取り組んでいる若者施策は、全体を通して認知度が低いという実態が見えた。 【提言】 @「地域の大人、行政職員が若者施策の情報を共有しながら若者を支えている」 A「若者と地域の大人、行政職員が協働しながら若者の文化・情報の発信を支えている」   2 若者計画の内容 (1)若者の交流と活動の推進 【現状と課題】 ・若者の活発な地域参加と社会の担い手への成長には、若者の主体的な活動を通して自立と成長を促し、世代を超えた交流の機会を創出し、社会への参加・参画意識を高める場の充実が不可欠です。 ・3か所の青少年交流センターが各々の特色を活かしつつ、交流センター同士が交流を深め、課題解決、情報共有を図り、連携を強化することにより、交流センターの質の向上を図り、若者の交流と活動を広げる機会の充実が求められます。 ・平成31年2月に希望丘青少年交流センターが開設し、区内に青少年交流センターが3か所となりましたが、子ども・中高生世代の利用に比べて、大学生世代以上の若者の利用が少ない状況にあります。大学生世代以上の地域・社会への参加・参画意識を高めるには、子ども・中高生世代が利用する児童館と連携し、児童館から青少年交流センターへとスムーズに利用を移行できる仕組みづくりが必要です。 ・大学と連携した居場所事業は、あいりす・たからばこの2か所で運営していますが、利用者にとっての居場所、学生スタッフにとっての自立と成長の場として貴重な場であり、さらなる充実が求められます。 【目標】 ・若者が地域や社会とつながることができる場や機会が充実している。 ・中高生世代のみならず、大学生世代以上の若者が地域・社会への参加・参画意識を高めることができる場や機会が充実している。 ・若者が地域とつながり、同世代や異なる世代の人々と関わることにより次代の担い手づくりが推進されている。 ・若者支援事業全般で連携することにより、すべての若者が地域や社会とつながり、成長と自立を促すことができている。 【施策展開】 @ 若者の交流と活動の場の充実  若者自らの主体的な活動を通して自立と成長を促し、若者たちが地域や社会とつながり、世代を超えた出会いや交流の機会を創出することにより、若者の社会への参加・参画意識を高め、交流と活動を広げる機会を充実します。 @ 青少年交流センターの運営  青少年交流センターでは、主に中高生世代以上を対象に、様々な社会体験、ものづくり体験事業や若者を中心としたイベントを実施することにより、若者の自立に向けた主体性を育みます。青少年交流センターの運営には、職員のみならず大学生世代以上のインターン等も関わることにより、職員のサポート役と利用者である若者の身近な相談相手役を担っていきます。  また、就職への一歩が踏み出せない等、生きづらさを抱えた若者に対して、メルクマールせたがややせたがや若者サポートステーション等と連携し、就労に向けた土台づくりのプログラムを実施します。  地域活動団体等との連携をとおして若者の参加・参画意識を高め、次世代の担い手としての意識を醸成します。さらに、各々の特色を活かしつつ青少年交流センター同士の連携を強化し、質の向上を図ることにより、若者の交流と活動の場を充実します。 A ユースワークスキルの向上  若者の交流と活動の場である青少年交流センター等の若者支援施設には、若者に寄り添い、適切な対応ができ、若者の成長を手助けするスタッフ(ユースワーカー)の存在が必要不可欠です。人材研修や事例検討等を通じて、ユースワークスキルの向上を図り、若者の健全な成長と自立を促す役割を担えるユースワーカーを育成していきます。 B 身近な居場所事業の充実  専門的支援を行う支援事業者が他機関との連携強化や、伴走者として大学生スタッフへのサポート体制の充実を図ることで、若者が意欲を高め、学びながら活動を広げていき社会・地域の担い手へと成長する体制を整えます。 C 中高生世代が主体となって行う活動の支援  中高生世代が自ら参加・参画して行う活動の支援を進めます。 D 中高生世代が気軽に利用できる居場所の確保  子どもたちが地域の居場所を知り、自身のニーズに合った居場所を自ら選択できるよう、地域の中で中高生世代を中心とした子どもが過ごす場所や機会の充実を図るとともに、周知を進めます。 A 青少年交流センターと児童館の連携  青少年交流センターと児童館が連携することにより、子どもから若者への成長に合わせた若者支援の体制を構築し、若者たちによる今の、そして次代の担い手づくりを推進します。 @ ユースリーダー事業の推進  青少年交流センターと児童館で活動する中高生世代同士の交流の機会を創出し、様々な事業を通じて地域で活躍できるようになる「循環の仕組み」の構築を進めます。 A 青少年交流センターと児童館職員間の交流の推進  青少年交流センターと児童館の職員による合同研修や相互の企画交流参加等の連携充実を図ることにより、若者支援体制の構築に取り組みます。  B ニーズに応じた施設の利用に向けた職員間の情報共有と仕組みづくり  児童館や青少年交流センターを利用する子ども・若者は、どちらか一方を利用していたり併用していたりする状況ですが、子ども・若者が、第三の居場所としてニーズに合った通いやすい居場所を選択できるよう、それぞれの施設間で、必要に応じ、情報共有や利用促進を図っていきます。  また、中高生世代の児童館利用者で青少年交流センターへ利用施設を移行することを希望する若者に対しては、スムーズな移行を支え、それぞれの年代に合ったニーズに寄り添い、若者の「やりたい」を叶え、自己実現の機会を重ねることにより、社会的自立につながり、次代の担い手として活躍できる仕組みづくりに取り組みます。   (2)生きづらさを抱えた若者の支援 【現状と課題】 ・児童館、青少年交流センター、区内大学と連携した中高生の居場所など、多くの様々な背景を持つ若者の居場所が、若者の日常をケアする場となっている一方、専門機関につなぐにあたっては、伝え方に配慮を要するなどの難しさがあります。 ・平成30年度に区が実施した若者施策に関する調査において、専門機関の認知度を尋ねたところ、5割以上に認知されていた機関はなく、「メルクマールせたがや」は1割以下であるなど、認知度の向上についてさらなる取組みが求められます。 ・区内で4,400人いると推計される15歳から39歳までのひきこもりのうち、これまでにメルクマールせたがやにつながったのは約1割に留まっています。専門機関に相談する際の迷いや不安等を軽減するなど、専門機関の敷居を下げる工夫が必要です。 ・学校や教育機関と連携したティーンズサポート事業など、10代支援の取組みにより10代の新規相談が増えていますが、ひきこもり期間が長期になるほど、動き出すのに時間がかかる傾向があることから、早期に支援につながるための取組みをさらに進める必要があります。 ・生きづらさを抱えた若者の相談・支援機関「メルクマールせたがや」は、関係機関から紹介を受け相談につながったり、他機関と連携し伴走しながら支援を行っているケースが増えていますが、複合的で複雑化した課題を抱える若者の自立を支えるため、なお一層の連携強化が求められます。 ・内閣府の調査より40歳から64歳でひきこもりの状態にある方は、区内に4,800  人いると推計されます。また、令和元年度に区が民生・児童委員に行ったアンケート調査では、ひきこもりに該当すると思われる方のうち、40代から50代が6割を占めました。家族からの発信がないと把握が難しい現状や、長期ひきこもりによる社会的孤立の深まり、問題の深刻化が課題となっています。 【目標】 ・若者がみな、生きづらさを抱えた時に相談できる人や機関を知っている。 ・不安を感じた際に、ためらうことなく、身近で気軽に相談ができる場がある。 ・安心して利用でき、対人関係や社会生活に対する自信を取り戻せるような「居場所」がある。 ・自らに合った進路の選択ができるよう、多様な体験の機会が用意されている。 ・全庁的な相談・支援体制が構築され、様々な専門機関や地域資源と連携しながら切れ目なく対応することにより、ひきこもり等生きづらさを抱えた方が、年齢を問わず本人のニーズを尊重した適切な支援を受けながら希望する自立を果たしている。   【施策展開】 @ 支援につながりやすい仕組みづくり  相談支援機関の情報が若者に届くよう情報提供の手法を工夫するとともに、若者が日常的に過ごす場や若者の身近にいる人が必要に応じて専門機関へのつなぎ役を果たせるよう、広く周知・啓発に取り組みます。また、居場所やセミナーなど支援への動機づけとなる多様な入口を設けたり、身近な場で相談を受けられる環境を整えるなど、相談支援に対する心理的・物理的なハードルを下げる取組みを進めます。 @ 若者総合支援センターの運営  メルクマールせたがやとせたがや若者サポートステーションの一体的運営により、生きづらさや悩みを抱える若者の社会参加や就労を、切れ目なく伴走しながら支えます。 A 相談しやすい環境整備  来所が困難な方や、相談にためらいを感じている方が、世田谷若者総合支援センターの支援とつながりやすくなるための仕組みづくりを進めます。また、生きづらさを抱えた方が年齢にかかわらず適切な支援とつながれるよう、ニーズに合わせた相談ができる場のわかりやすい周知に努めるとともに、相談の場におけるアセスメント機能の充実を図ることにより包括的なサポート体制の整備を進めます。 B 早期に支援につながる仕組みの充実  早期に支援につながった方ほど社会参加に向けた動き出しもスムーズであることから、学校や居場所など若者の日常に近い場と連携した早期支援の取組みを充実します。  C ピアサポートによる支援の充実   家族会や当事者会など、ピアサポートによる交流・エンパワーメントの場に対し、専門スタッフの派遣や学習会開催の支援、サポートスキル向上への支援等による充実を図るとともに活動の周知を進め、敷居の低い場から相談・支援のネットワークにつながりやすい環境を整える。 D 支援情報の周知・啓発  支援につながるためのきっかけや後押しとなるよう、当事者だけでなく、当事者の身近にいる方など広く周知・啓発を行います。 A 多機関で連携した支援  生きづらさの背景要因は多様かつ複雑であることから、その人その家族に適した支援を提供できるよう、多機関、多職種の連携を進め、切れ目なく重層的に支えていきます。 @ メルクマールせたがやとせたがや若者サポートステーションの円滑な連携  世田谷若者総合支援センターを構成する両機関が円滑に連携し、合同プログラムや、共同で開設する居場所事業等の取組みによる利用者や職員の交流の取組みも活かしながら、就労までを見据えた若者の自立に向けた継続的な支援を展開します。 A 子ども・若者支援協議会の運営  子ども・若者支援協議会での、就労、医療、保健福祉、教育、生活困窮等関係機関による課題共有とともに、「不登校・ひきこもり」「ひきこもり・就労支援」「思春期青年期精神保健」の各部会ごとに実務担当者が事例や課題の検討をとおし関係性を構築していくことにより、重層的な支援を行える体制の強化を進めます。 B 若者総合支援センターと若者に身近な場との連携  青少年交流センターや大学と連携した居場所、児童館などの身近な居場所は、若者の日常を見守り、必要に応じ寄り添いながらケアすることができる場でもあります。若者総合支援センターと若者に身近な場との連携を進めることにより、生きづらさを抱える若者の状況に応じて、見守りから専門的な支援まで切れ目なく伴走し支えていきます。  C 年齢により途切れることのない連携  様々な専門機関や地域資源を理解しコーディネートできる人材を育成し、連携を強化することにより、ひきこもり等生きづらさを抱えた方やその家族を、年齢で途切れることなく寄り添いながら支えていく相談支援体制を充実します。   (3)若者が地域で力を発揮できる環境づくり 【現状と課題】 ・社会参加への意欲はあっても、実際の参加につながっていない若者が多い状況です。 ・生きづらさを抱えている若者や、障害や疾病等により特別な配慮が必要な若者、外国にルーツがある若者、家族のケアを担っている若者(ヤングケアラー・若者ケアラー)、社会的養護のもとにある若者など、社会参加にあたり困難を抱えている若者も力を発揮できる仕組みが求められます。 ・若者集団による活動が継続していくためには、世代交代やファシリテート役(リーダー)の育成、モチベーションの維持などの課題があります。 ・若者がやりたいことを実現していく過程で、若者だけで解決することが困難な課題にあたることがあり、地域の中で十分に力を発揮できない状況があります。 【目標】 ・若者のニーズや声を受け止め、実現に向けサポートする仕組みがある。 ・多様な若者が、社会の一員として様々な世代とともに地域の中で力を発揮している。 ・若者支援に関わる区民、地域活動団体のネットワークが公的ネットワークと連携し、若者の活動を支えている。 【施策展開】 @ 地域での若者の参加・参画の推進  若者が参加・参画を進めるためには、すべての若者が安心して意見を言える場があり、表明した意見を受け止め、ともに考える大人がいることが望まれます。そのような環境を整えるとともに、若者の提案や企画を実現するための新たな仕組みについて、検討を進めます。 @ 安心して意見を言える場の拡充  周囲に合わせるような気遣いをすることなく安心して話を聞いてもらえる場、考えや意見を言える場を誰もがもてるよう、環境の整備を目指します。 A 多様な大人との交流  若者が多様な大人と接することにより、様々な可能性や選択肢を知るとともに、提案や企画の実現の方策や伴走者を得られる機会をつくります。また、多様な大人が若者のニーズや力を知ることで、若者の参加・参画を広く受け入れる土壌を育みます。 B 若者の意見を受け止める大人  若者が発言をしやすい環境を拡充していくため、若者の人権を理解し、若者の意見を聞き、受け止める大人を増やす取組みを進めます。 C 若者の提案を実現するための仕組みづくり  若者の提案や企画を実現するための新たな仕組みについて、検討を進めます。 D 若者の参加・参画にかかるプロセス・成果の周知  若者が参加・参画したプロセスや成果の発信・周知により、同世代の若者の活動への興味を引き出すとともに、若者の活動に関心を持ち関わる大人を増やすことを目指します。 A 若者の活動を支えるネットワークの強化  子ども・若者支援協議会をはじめとする公的なネットワークとともに、地域で若者支援に関わる区民や活動団体のネットワークの構築を促進し、双方が連携しながら若者の成長と活動を支えていきます。 @ 若者支援ネットワークの構築  若者に関わる相談・支援を行う各機関の双方向の連携を進めます。また、地域で若者を応援する活動を行っている団体や個人の把握に努め、連携の機会を設けます。 A 公的ネットワークと地域のネットワークの連携  公的機関と地域の活動、それぞれの持つメリットを活かして若者の活動を支えていくため、交流や連携の機会を設けます。   (4)若者の社会に向けた文化・情報の発信への支援 【現状と課題】 ・地域活動団体の取材等を通じた連携や情報発信による若者の参加・参画の機会を広げる取組みを進めていますが、メンバーが活動しやすい環境を整え、情報発信数や地域との協働による参加・参画の機会の拡充により認知度をあげる取組みが必要です。 ・若者によるSNSを活用した情報発信「情熱せたがや、始めました。」を通して、若者視点で若者世代に世田谷の文化・情報や魅力を発信していますが、活動メンバーが卒業し世代交代するなかで、今まで培ってきたノウハウや課題の引継ぎを円滑に行える組織体制づくりが必要です。 【目標】 ・若者に伴走する大人によるサポートがしっかりとされていることにより、若者が主体的な活動、参加・参画できる環境が整っている。 ・メンバーの世代交代を経てなお活動継続できる組織が構築されており、参加・参画の循環が行われ、引き続き世田谷区の文化・情報や魅力が発信できている。 【施策展開】 @ 若者の主体的な活動、参加・参画の機会を広げるための支援  若者が活動しやすい環境を整備し、連携協力を推進していくことで、若者の主体的な行動を促し、若者の意見表明、参加・参画の仕組みを構築し、地域活性化や多世代交流の意識を高めることを目指します。 @ SNSを活用した情報発信による若者の主体的な活動、参加・参画への支援  「情熱せたがや、始めました。」事業に若者が参加・参画することにより、若者の求める情報、発信したい情報を若者自身の目線で分かりやすく伝達し、若者の活動成果を表現する機会の活性化を図ります。また、この取組みを支援する事業者が若者の伴走者として、情報発信のサポート業務、参加・参画の仕組み構築を担うことにより、若者の活動範囲の幅を広げます。さらに、メンバーのみならず、情報を受け取った若者が地域活動に参加し情報の発信側も受け手側も主体的に活動が行えるよう支援していきます。 A 取材等を通じた地域との協働による参加・参画への支援  若者が情報を発信するにあたり、地域の方や団体への取材の機会を増やすことにより、メンバーの地域活動や地域課題への参加・参画の意識を高めていきます。 A 安定・継続した情報発信の仕組みづくり  「情熱せたがや、始めました。」メンバーが卒業し、世代交代を経てなお活動継続できる組織を構築し、今まで培ってきたノウハウ等の引継ぎ、参加・参画の循環が行われることにより、安定・継続して若者自身により世田谷区の文化・情報や魅力を発信していくことを目指します。 @ 安定・継続した活動ができる組織の構築  メンバーが世代交代しても安定・継続した情報発信ができるように、全体会議での情報共有、研修会や勉強会を定期的に実施することにより、メンバー全員が同水準の活動が行えるよう支援していきます。 A メンバー確保のためのPR  安定・継続して情報発信を行っていくためには、メンバーの確保が重要です。そのため情報発信事業に理解のある大学と連携を強化したりSNS媒体を増やすなど、効果的なPRを行いメンバーの確保に努めます。 第8章 計画の推進 1 推進にあたって  子ども計画(第2期)に基づき、平成27年度からの4年間で、保育総定員の約5,000人の拡充、世田谷版ネウボラや利用者支援事業の導入など増大する行政需要に応えるための施策展開を進めてきました。本計画期間においても、児童相談所の開設やこれを契機とした地域・地区における相談支援体制の構築、子どもの貧困対策など今後も新たな施策・事業に取り組んでいく必要があります。  子ども・子育て家庭への支援については、児童虐待予防の取組み等、効率性で効果を測ることが適さない取組みが多いことも事実ですが、増大する行政需要に的確に応えていくためには、既存の施策・事業について適切に評価を行い、限られた財源や人員の中でより効果的な施策展開に努める必要があります。  計画の実現・推進にあたっては、基本コンセプトで掲げる「子ども主体」、そして当事者主体という視点にたって、これまで実施・拡充を進めてきた施策・事業について、事業開始時からのニーズの変化や事業効果の把握に努め、子ども・当事者主体の事業内容となっているか、事業手法や事業量が適切かを検証しながら事業展開・事業構築を図ります。  また、「子ども主体」を実現していく手段として設定した視点にたって、既存の支援、資源、サービス、場、人に適切に「つなぐ」仕組みを構築するとともに、ライフステージや子ども・子育て家庭の状況の変化によって情報・支援が途切れることのないよう関わる部署・機関・団体等が子どもを主体としてつながり、連携・協力し、効果的な支援の実施に努めます。  くわえて、持続可能な子どもと子育てにあたたかい地域社会の形成を目指し、子ども・子育てを地域全体で応援する意識・気運の醸成と「地域の子育て力」の向上に努め、多様な場面において「参加と協働」を推進するとともに、地域資源や民間活力の活用の可能性を含めた検討を行いながら、事業展開・事業構築を図ります。 2 推進体制  本計画の実現にあたっては、個別事業の進捗とともに、計画全体についての進捗も公開し、区民や学識経験者等が参加する会議で評価・検証を行います。  子ども・子育て施策の取組みについては、世田谷区子ども・子育て会議で進捗管理や評価・検証を行います。また、若者施策の取組みについては、実施状況等を世田谷区子ども・青少年協議会に報告し、評価・検証を行います。   (1)世田谷区子ども・子育て会議    子ども・子育て支援法に基づき、区の子ども・子育てに関する施策の総合的かつ計画的な推進に関し必要な事項及び当該施策の実施状況を調査審議すること等を目的として設置された区長の附属機関で、学識経験者、保育・幼児教育・子育て支援事業関係者及び区民等の委員で構成されています。 (2)世田谷区子ども・青少年協議会    地方青少年問題協議会法に基づき、青少年に関する総合的施策の樹立につき必要な重要事項を調査審議すること等を目的として設置された区長の附属機関で、区議会議員、学識経験者、青少年関連事業関係者及び区民等の委員で構成されています。 3 指標  子ども計画(第2期)策定時に計画全体の進捗の評価・検証を行うことを目的として、子どもの視点と保護者の視点双方から設定した下記(1)(2)の指標で評価を行います。  また、地域の子育て力の向上を測る視点から下記(3)の指標を追加しています。   (1) 子どもの指標 @ 自分のことが好きだと思う子どもの割合 現状の数値(平成30年) 中学生 すごくそう思う18.4%、まあそう思う30.0%、どちらでもない33.0%、あまりそう思わない9.2%、ほとんどそう思わない8.2%、無回答1.2% 小学校低学年 そう思う54.1%、どちらでもない25.8%、そう思わない16.1%、無回答7.0% 小学校高学年 そう思う57.2%、どちらでもない26.2%、そう思わない14.6%、無回答2.1% A 住んでいる地域のために、自分の力を役立てたいと思う子どもの割合 現状の数値(平成30年) 中学生 すごくそう思う22.2%、まあそう思う32.5%、どちらでもない28.8%、あまりそう思わない10.4%、ほとんどそう思わない5.2%、無回答0.9% (2)保護者の指標 @ 子育てを楽しいと感じる保護者の割合 現状の数値(平成30年) 就学前児童の保護者 楽しく感じることの方が多い40.7%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い38.4%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい15.9%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い2.9%、辛いと感じることの方が多い0.8%、その他0.7%、無回答0.6% 就学児童の保護者 楽しく感じることの方が多い39.5%、どちらかというと、楽しいと感じることのほうが多い38.1%、楽しいと感じることと、辛いと感じることが同じくらい17.4%、どちらかというと、辛いと感じることの方が多い2.3%、辛いと感じることの方が多い1.2%、その他0.7%、無回答0.8% A 子育てしやすい環境だと感じる保護者の割合 現状の数値(平成30年) 就学前児童の保護者 とても子育てしやすいと感じる13.5%、子育てしやすいと感じる60.4%、あまり子育てしやすいと感じない22.0%、まったく子育てしやすいと感じない2.6%、無回答1.5% 就学児童の保護者 とても子育てしやすいと感じる14.4%、子育てしやすいと感じる63.8%、あまり子育てしやすいと感じない18.1%、まったく子育てしやすいと感じない2.1%、無回答1.6% (3)地域の指標  @ 地域の子ども・子育て支援に携わってもよいと考える保護者の割合 現状の数値(平成30年) 就学前児童の保護者 すでに携わっている1.5%、ぜひ携わりたい16.7%、携わってよい50.9%、携わりたくない5.4%、わからない24.3%、無回答1.2% 就学児童の保護者 すでに携わっている3.2%、ぜひ携わりたい13.6%、携わってよい49.2%、携わりたくない6.9%、わからない26.2%、無回答0.9% 第9章 資料 1 計画策定にあたっての検討状況 (1)世田谷区子ども・子育て会議による検討  子ども・子育て支援法に規定する「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたり、学識経験者、区民等にご意見を伺うため、区長の附属機関として「世田谷区子ども・子育て会議」を設置し、「子ども・子育て支援事業計画」及び同計画を内包する「子ども計画(第2期)後期計画」について検討いただきました。   平成30年度 第1回(6月1日開催) ・部会の設置について ・子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査について ・子ども計画(第2期)後期計画検討に向けた意見交換 第2回 (8月28日開催) ・子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査について 第3回 (10月23日開催) ・ひとり親家庭調査、中学生世代調査、小学生調査について 第4回( 1月22日開催) ・子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査の集計結果について ・子ども計画(第2期)後期計画の基本的考え方について 令和元年度 第1回( 5月31日開催) ・ひとり親家庭調査、中学生世代調査、小学生調査の集計結果について ・子ども・子育て支援事業計画の需要量見込みおよび確保の内容(案)について ・子ども計画(第2期)後期計画の重点政策について 第2回( 7月17日開催) ・子ども計画(第2期)後期計画の素案について 第3回( 10月30日開催) ・子ども計画(第2期)後期計画案(たたき台)について 第4回( 12月13日開催) ・子ども計画(第2期)後期計画案について (2)世田谷区子ども計画(第2期)後期計画検討部会による検討  児童福祉分野等の学識経験者や子ども・子育て施策に関わる専門家の知見を子ども計画の策定に反映させるため、「世田谷区子ども計画(第2期)後期計画検討部会」を設置し、子ども計画(第2期)後期計画について検討いただきました。 平成30年度 第1回( 7月31日開催) ・子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査項目について 第2回( 9月21日開催) ・ひとり親家庭調査、中学生世代調査、小学生調査項目について 第3回( 12月7日開催) ・子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査単純集計結果について ・子ども計画(第2期)後期計画の基本的考え方について 第4回( 3月26日開催) ・子ども・子育て支援事業計画の需要量見込み(案)について ・ひとり親家庭調査、中学生世代調査、小学生調査結果報告 ・子ども計画(第2期)後期計画の重点政策にかかる意見交換 令和元年度 第1回( 5月17日開催) ・子ども・子育て支援事業計画の需要量見込み(補正)について ・子ども計画(第2期)後期計画の重点政策にかかる意見交換 第2回( 7月5日開催) ・子ども計画(第2期)後期計画の素案について 第3回( 11月13日開催) ・子ども計画(第2期)後期計画案について (3)世田谷区子ども・青少年協議会による検討  平成29−30年度期世田谷区子ども・青少年協議会では、「若者施策の評価検証と体系化について」をテーマに議論を行いました。これまでの若者施策全体を振り返り、アンケート調査やヒアリング調査を実施したうえで評価・検証を行い、その結果をもとに今後区が取り組むべきことを提言としてまとめた報告をいただきました。  令和元〜2年度世田谷区子ども・青少年協議会では、「若者の力が活きる地域」をテーマに議論を重ねており、本計画で掲げる若者の意見表明や参加・参画を推進するための検討を進めているところです。 平成29〜30年度 子ども・青少年協議会6回、同小委員会12回 若者施策の評価検証と体系化について〜区民の参加と協働を目指して 令和元〜2年度 子ども・青少年協議会 2回、同小委員会3回(令和元年12月末時点) 若者の力が活きる地域〜意見表明・参加・参画を中心に (4)区民・事業者・子育て支援者との意見交換 @ 区民版子ども・子育て会議における意見交換  子ども計画(第2期)の策定にあたり、子育て活動の支援団体が中心となって地域で子育て支援を行っている区民や活動団体、子育て中の区民に呼びかけて平成26年度より開催しているものです。毎回テーマを設定し、ワークショップ形式での意見交換を行っており、後期計画策定に際しても幅広くご意見をいただき、計画策定の参考としました。 平成30年度 第1回 (7月6日開催) 世田谷の子ども・子育て支援政策、何が進んで、何が積み残っているの?!〜32年度からの5年間の計画づくりを見据えて〜 第2回( 10月12日開催) 「子どもの時間」を考えよう 第3回 (11月2日開催) 災害時の乳幼児家庭の支援 第4回( 3月1日開催) 子ども・子育て家庭のアドボケイト〜当事者の声を“聴く”〜 令和元年度 第1回( 4月25日開催) さあ、計画づくりがはじまるよ〜!!! 第2回( 9月5日開催) 世田谷の子ども・子育ての計画をチェック! 第3回( 10月24日開催) せたがやの「そとあそび」環境を考えよう! 第4回( 12月4日開催) 子ども・子育て家庭の災害時の支援 A ティーンエイジ会議で出された意見 「子ども計画(第2期)後期計画」策定に向けて、当事者である子ども・若者の声を聞くために、以下のとおり「ティーンエイジ会議」を実施しました。 令和元年8月7日(水)11時〜15時、 希望丘青少年交流センター3階 多目的ホールにて開催 対象者  区内在住・在勤・在学の中高大学生世代の子ども・若者(25名参加) 内容 ワークショップ @世田谷好きメーター  A世田谷がこうなったらいいな 主な意見 ・身近な大人に理解してほしい。子ども・若者の声を聴いてほしい。 ・安心して居ることのできる居場所、しゃべったり勉強できたりする居場所、夜までいられる居場所がほしい。そうした居場所を大人が理解してほしい。 B パブリックコメント等区民からのご意見・ご提案  「世田谷区子ども計画(第2期)後期計画(素案)」について、区のおしらせや区ホームページを通じてのパブリックコメントを、令和元年9月15日から10月7日までの期間で実施しました。また、素案をテーマにした区民版子ども・子育て会議の開催や、事業者・子育て支援者・子育て支援団体への素案送付を通して、様々なご意見・ご提案をいただきました。  パブリックコメントと区民版子ども・子育て会議等を合わせて、81人の方より144件のご意見・ご提案をいただきました。 @ 一般 令和元年9月5日 区民版子ども・子育て会議 9月15日 区のおしらせ特集号 9月15日〜10月7日 区ホームページ A 事業者・子育て支援者・子育て活動団体 9月5日 子ども・子育て会議委員、 郵送 9月5日 保育ママ、保育室、認証保育所、 郵送 9月6日 おでかけひろば、ほっとステイ 、郵送 9月9日 私立認可保育園長 、郵送 9月9日 地域型保育事業 、郵送 9月10〜13日 青少年地区委員会委員、青少年補導連絡会委員、 郵送 9月13日 地域保健福祉審議会委員、 郵送 9月17日 子ども・青少年協議会委員、 郵送 9月17日 私立幼稚園協会、私立幼稚園長 私立幼稚園協会理事会および郵送 9月17日 民生委員児童委員、会長協議会各地区会長 民生委員児童委員会長協議会 9月19日 主任児童委員、 郵送 9月25日 ネウボラ推進協議会委員、 ネウボラ推進協議会 B 行政機関 9月5日 児童館長 、児童館長会 9月17日 区立認可保育園長、 区立認可保育園長会 9月20日 新BOP 、郵送 9月20日 区立幼稚園長、 郵送 9月20日 区立小学校・中学校長、 郵送 (5)アンケート調査  世田谷区子ども計画(第2期)後期計画の策定にあたり、平成30年6月から平成31年1月までの間に、「子ども・子育て支援事業計画」ニーズ調査をはじめ、あわせて6つのアンケート調査を実施しています。調査の概要は以下のとおりです。 「子ども・子育て支援事業計画」ニーズ調査 調査対象 世田谷区に居住する0〜9歳の児童の保護者各年齢1,000人ずつ計10,000人 郵送配布、郵送回収。 平成30年 9月26日〜10月17日実施。 回答率、就学前児童52.1%、就学児童55.3% ひとり親家庭アンケート 調査対象 児童育成手当受給世帯のうち、申請理由が離婚、死亡、生死不明、遺棄、未婚の世帯4,202人 郵送配布、郵送回収。 平成30年11月21日〜12月12日実施 回答率 34.3% 小学生アンケート 調査 調査対象 実施時期に児童館、新BOPを利用した小学生。 児童館、新BOPを通じて配布・回収。 平成30年12月14日〜平成31年1月11日実施、 回答数  児童館 473人、学童クラブ1,133人、BOP680人。 中学生世代アンケート 調査対象 12〜14歳の子ども各年齢1,000人ずつ計3,000人。 郵送配布、郵送回収。 平成30年11月21日〜12月12日実施。 回答率 36.4%。 子どもの生活実態調査 調査対象 小学校5年生、中学校2年生のすべての子ども本人とその保護者13,446世帯。 郵送配布、郵送回収。 平成30年6月27日〜7月27日実施。 回答率 42.9%。 若者施策に関する調査 調査対象 15〜29歳の若者計6,000人。 郵送配布、郵送回収またはインターネットによる回答。 平成30年6月25日〜7月13日辞しs 回答率 18.9%。