世田谷区子ども条例 平成13年12月10日条例第64号 改正 平成24年12月10日条例第82号 平成26年3月7日条例第14号 令和2年3月4日条例第11号 世田谷区子ども条例 目次 前文 第1章総則(第1条―第8条) 第2章基本となる政策(第9条―第14条) 第3章子どもの人権擁護(第15条―第24条) 第4章推進計画と評価(第25条・第26条) 第5章推進体制など(第27条―第31条) 第6章雑則(第32条) 附則 子どもは、未来への「希望」です。 将来へ向けて社会を築いていく役割を持っています。 子どもは、それぞれ一人の人間として、いかなる差別もなくその尊厳と権利が尊重されます。 そして、心も身体も健康で過ごし、個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に応じた責任を果たしていくことが求められています。 平成6年、国は、「児童の権利に関する条約」を結びました。 そして、世田谷区も平成11年に「子どもを取り巻く環境整備プラン」を定め、子どもがすこやかに育つことのできる環境をつくるよう努めてきました。 子どもは、自分の考えで判断し、行動していくことができるよう、社会における役割や責任を自覚し、自ら学んでいく姿勢を持つことが大切です。 大人は、子どもが能力を発揮することができるよう、学ぶ機会を確保し、理解を示すとともに、愛情と厳しさをもって接することが必要です。 このことは、私たち世田谷区民が果たさなければならない役割であると考え、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、世田谷区は、すべての世田谷区民と力を合わせ、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくることを宣言して、この条例を定めます。 第1章総則 (条例制定の理由) 第1条この条例は、子どもがすこやかに育つことができるよう基本となることがらを定めるものです。 (言葉の意味) 第2条この条例で「子ども」とは、まだ18歳になっていないすべての人のことをいいます。 (条例の目標) 第3条この条例が目指す目標は、次のとおりとします。 (1)子ども一人ひとりが持っている力を思い切り輝かせるようにする。 (2)子どもがすこやかに育つことを手助けし、子どものすばらしさを発見し、理解して、子育ての喜びや育つ喜びを分かち合う。 (3)子どもが育っていく中で、子どもと一緒に地域の社会をつくる。 (保護者の務め) 第4条保護者は、子どもの養育と成長について責任があることを自覚し、ふれあいの機会を大切にして、子どもがすこやかに育つよう全力で努めなければなりません。 (学校の務め) 第5条 学校は、子どもが人間性を豊かにし、将来への可能性を開いていくため、地域の社会と一体となって、活動をしていくよう努めなければなりません。 (区民の務め) 第6条 区民は、地域の中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、積極的に役割を果たすよう努めなければなりません。 (事業者の務め) 第7条事業者は、その活動を行う中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、配慮するよう努めなければなりません。 (区の務め) 第8条区は、子どもについての政策を総合的に実施します。 2 区は、子どもについての政策を実施するときは、保護者、学校、区民、事業者などと連絡をとり、協力しながら行います。 第2章基本となる政策 (健康と環境づくり) 第9条区は、子どもの健康を保持し、増進していくとともに、子どもがすこやかに育つための安全で良好な環境をつくっていくよう努めていきます。 (場の確保など) 第10条区は、子どもが遊び、自分を表現し、安らぐための場を自分で見つけることができるよう必要な支援に努めていきます。 2 区は、子どもが個性をのばし、人間性を豊かにするための体験や活動について必要な支援に努めていきます。 (子どもの参加) 第11条区は、子どもが参加する会議をつくるなどしていろいろな意見をきき、子どもが自主的に地域の社会に参加することができる仕組みをつくるよう努めていきます。 (虐待の禁止など) 第12条だれであっても、子どもを虐待してはなりません。 2 区は、虐待を防止するため、地域の人たちと連絡をとり、協力しながら、子育てをしている家庭に対し、必要なことを行うよう努めていきます。 3 区は、虐待を早期に発見し、子どもの命と安全を守るため、児童相談所と子ども家庭支援センターの強力な連携のもと、子どもや子育てをしている家庭に対する適切な支援と的確な子どもの保護に努めていきます。 また、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、子どもや子育てに係る関係機関、自主活動をしている団体などと連絡をとり、協力しながら、虐待の防止に努めていきます。 一部改正〔令和2年条例11号〕 (いじめへの対応) 第13条だれであっても、いじめをしてはなりません。 2 区は、いじめを防止するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、いじめがあったときに、すみやかに解決するため、保護者や地域の人たちと連絡をとり、協力するなど必要な仕組みをつくるよう努めていきます。 (子育てへの支援) 第14条区は、地域の中での助け合いや連絡を強め、子育てをしている人たちのために必要なことを行うよう努めていきます。 第3章 子どもの人権擁護 追加〔平成24年条例82号〕 (世田谷区子どもの人権擁護委員の設置) 第15条区は、子どもの人権を擁護し、子どもの権利の侵害をすみやかに取り除くことを目的として、区長と教育委員会の附属機関として世田谷区子どもの人権擁護委員(以下「擁護委員」といいます。)を設置します。 2 擁護委員は、3人以内とします。 3 擁護委員は、人格が優れ、子どもの人権について見識のある人のうちから区長と教育委員会が委嘱します。 4 擁護委員の任期は3年とします。ただし、再任することができるものとします。 5 区長と教育委員会は、擁護委員が心身の故障によりその仕事ができないと判断したときや、擁護委員としてふさわしくない行いがあると判断したときは、その職を解くことができます。 追加〔平成24年条例82号〕、一部改正〔令和2年条例11号〕 (擁護委員の仕事) 第16条擁護委員は、次の仕事を行います。 (1) 子どもの権利の侵害についての相談に応じ、必要な助言や支援をすること。 (2) 子どもの権利の侵害についての調査をすること。 (3) 子どもの権利の侵害を取り除くための調整や要請をすること。 (4) 子どもの権利の侵害を防ぐための意見を述べること。 (5) 子どもの権利の侵害を取り除くための要請、子どもの権利の侵害を防ぐための意見などの内容を公表すること。 (6) 子どもの権利の侵害を防ぐための見守りなどの支援をすること。 (7) 活動の報告をし、その内容を公表すること。 (8) 子どもの人権の擁護についての必要な理解を広めること。 追加〔平成24年条例82号〕 (擁護委員の務めなど) 第17条擁護委員は、子どもの人権を擁護し、子どもの権利の侵害を取り除くため、区長、教育委員会、保護者、区民、事業者など(以下「関係機関など」といいます。)と連絡をとり、協力しながら、公正かつ中立に仕事をしなければなりません。 2 擁護委員は、その地位を政党や政治的目的のために利用してはなりません。 3 擁護委員は、仕事をする上で知った他人の秘密をもらしてはなりません。擁護委員を辞めた後も同様とします。 追加〔平成24年条例82号〕 (擁護委員への協力) 第18条区は、擁護委員の設置の目的をふまえ、その仕事に協力しなければなりません。 2 保護者、区民、事業者などは、擁護委員の仕事に協力するよう努めなければなりません。 追加〔平成24年条例82号〕 (相談と申立て) 第19条子ども(次に定めるものとします。)は、擁護委員に、自分の権利への侵害について相談することやその侵害を取り除くための申立てをすることができます。 また、だれであっても、擁護委員に、次に定めるものの権利の侵害について相談することやその侵害を取り除くための申立てをすることができます。 (1) 区内に住所を有する子ども (2) 区内にある事業所で働いている子ども (3) 区内にある学校、児童福祉施設などに、通学、通所や入所している子ども (4) 子どもに準ずるものとして規則で定めるもの 追加〔平成24年条例82号〕 (調査と調整) 第20条擁護委員は、子どもの権利の侵害を取り除くための申立てに基づき、また、必要に応じて、子どもの権利の侵害についての調査をするものとします。 ただし、擁護委員が特別の事情があると認めるときを除き、規則で定める場合においては、調査をしないことができます。 2 擁護委員は、関係機関などに対し調査のために必要な書類を提出するよう求めることや、その職員などに対し調査のために質問することができるものとします。 3 擁護委員は、調査の結果、必要と認めるときは、子どもと関係機関などとの仲介をするなど、子どもの権利の侵害を取り除くための調整をすることができます。 追加〔平成24年条例82号〕 (要請と意見など) 第21条擁護委員は、調査や調整の結果、子どもの権利の侵害を取り除くため必要と認めるときは、関係機関などに対してそのための要請をすることができます。 2 擁護委員は、子どもの権利の侵害を防ぐため必要と認めるときは、関係機関などに対してそのための意見を述べることができます。 3 要請や意見を受けた区長や教育委員会は、その要請や意見を尊重し、適切に対応しなければなりません。 4 要請や意見を受けた区長と教育委員会以外の関係機関などは、その要請や意見を尊重し、対応に努めなければなりません。 5 擁護委員は、区長や教育委員会に対して要請をしたときや意見を述べたときは、その対応についての報告を求めることができます。 6 擁護委員は、必要と認めるときは、要請、意見、対応についての報告の内容を公表することができます。この場合においては、個人情報の保護について十分に配慮しなければなりません。 7 擁護委員は、その協議により要請をし、意見を述べ、また、この要請や意見の内容を公表するものとします。 追加〔平成24年条例82号〕 (見守りなどの支援) 第22条擁護委員は、子どもの権利の侵害を取り除くための要請などをした後も、必要に応じて、関係機関などと協力しながら、その子どもの見守りなどの支援をすることができます。 追加〔平成24年条例82号〕 (活動の報告と公表) 第23条擁護委員は、毎年、区長と教育委員会に活動の報告をし、その内容を公表するものとします。 追加〔平成24年条例82号〕 (擁護委員の庶務など) 第24条擁護委員の庶務は、子ども・若者部で行います。 2 擁護委員の仕事を補佐するため、相談・調査専門員を置きます。 3 擁護委員に準じて、第17条の規定は、相談・調査専門員に適用します。 追加〔平成24年条例82号〕、一部改正〔平成26年条例14号・令和2年11号〕 第4章 推進計画と評価 一部改正〔平成24年条例82号〕 (推進計画) 第25条区長は、子どもについての政策を進めていくための基本となる計画(以下「推進計画」といいます。)をつくります。 2 区長は、推進計画をつくるときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。 3 区長は、推進計画をつくったときは、すみやかに公表します。 一部改正〔平成24年条例82号〕 (評価) 第26条区長は、子どもについての政策を有効に進めていくため、推進計画に沿って行った結果について評価をします。 2 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をするときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。 3 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をしたときは、すみやかにその評価の内容を公表します。 一部改正〔平成24年条例82号〕 第5章 推進体制など 一部改正〔平成24年条例82号〕 (推進体制) 第27条区長は、子どもについての政策を計画的に進めていくため、推進体制を整備します。 一部改正〔平成24年条例82号〕 (国、東京都などとの協力) 第28条区は、子どもがすこやかに育つための環境をつくっていくため、国、東京都などに協力を求めていきます。 一部改正〔平成24年条例82号〕 (雇い主の協力) 第29条雇い主は、職場が従業員の子育てに配慮したものであるよう努めていくものとします。 2 雇い主は、子どもがすこやかに育つことに関わる活動や子育てを支える活動へ従業員が参加することについて配慮するよう努めていくものとします。 一部改正〔平成24年条例82号〕 (地域の中での助け合い) 第30条区は、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくっていくため、地域の中での助け合いに必要なことを行うとともに、自発的な活動がなされるよう必要な取組を行います。 一部改正〔平成24年条例82号〕 (啓発) 第31条区は、この条例の意味や内容について、すべての区民に理解してもらうよう努めなければなりません。 一部改正〔平成24年条例82号〕 第6章雑則 一部改正〔平成24年条例82号〕 (委任) 第32条この条例を施行するために必要なことは、区長が定めます。 一部改正〔平成24年条例82号〕 附則 この条例は、平成14年4月1日から施行します。 附則(平成24年12月10日条例第82号抄) 1 この条例中第1条の規定は、平成25年4月1日から施行します。ただし、同条中世田谷区子ども条例第2章の次に1章を加える改正規定(第19条から第23条までに係る部分に限ります。)は、規則で定める日から施行します。(平成25年5月規則第64号で、同25年7月1日から施行) 附則(平成26年3月7日条例第14号) この条例は、平成26年4月1日から施行します。 附則(令和2年3月4日条例第11号) この条例は、令和2年4月1日から施行します。