世田谷区子ども計画(第2期) 平成27〜36年度 平成27年3月 世田谷区 子ども計画の基本理念  子どもは、一人ひとりが今を生きる主体であるとともに、未来の希望です。 子どもは、一人の人間としていかなる差別を受けることなく その尊厳と権利が尊重され、心も身体も健康で過ごし、個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に応じた責任を果たすことが求められます。世田谷区は、子どもが健やかに成長・自立でき、また、安心して子どもを生み、育て、子育てに夢や喜びを感じることができる地域社会を区民と力をあわせ実現します。 はじめに 子どもの今が輝くように  世田谷区では、平成21年度以降、就学前の子どもが毎年1,000人近く増え続けています。全国的に少子化が進むなか、子どもが増えている数少ない自治体のひとつです。 生まれ、育っていく子どもは、未来の希望であるとともに、今の社会をつくっている大事な一員です。子どもたちが、子ども時代を思いっきり味わいながら過ごせ、安心して子育てができるまちをつくることが、未来につづく地域の土台となります。  3月3日、世田谷区では「今をきらめく宝」である子どもたちが「のびのびと安心して育つ環境」をつくるため、「区民と力をあわせて、子どもと子育てにあたたかい地域社会」を築くことを内外に宣言する「子ども・子育て応援都市宣言」を行いました。  すべての子どもが、地域で多様な体験を重ねながら心地よく過ごせる居場所を見つけられるよう、すべての子育て家庭が子育てに喜びや楽しさを感じられるよう、子ども、保護者、区民、事業者や子育て支援者と力を合わせ、支えあいながら、「子どもがいきいきわくわく育つまち」の実現に向け取り組んでまいります。  計画策定にあたり、お力添えを賜りました区議会および区民の皆さん、子どもに関わる支援者・団体等の関係者の皆さんに心より感謝申しあげますとともに、本計画の実現に向け、今後も皆さんの一層のご支援とご協力を賜りますことを重ねてお願い申しあげます。  平成27年3月 世田谷区長 ほさかのぶと 子ども・子育て応援都市宣言  子どもは、ひとりの人間としてかけがえのない存在です。  うれしいときには笑い、悲しいときには涙を流します。感情を素直にあらわすのは、子どもの成長のあかしです。子どもは、思いっきり遊び、失敗しながら学び、育ちます。子どもには、自分らしく、尊重されて育つ権利があります。  子どもは、地域の宝です。  大人は、子どもをしっかり見守り、励まし、支えます。地域は、子育て家庭が楽しく子育てできるように応援します。子どもは、成長に応じて社会に参加し、自分のできることと役割、みんなで支えあう大切さを学んでいきます。  子どもは、未来の希望です。今をきらめく宝です。  大人は、子どもにとっていちばんよいことを選び、のびのびと安心して育つ環境をつくります。  世田谷区は、区民と力をあわせて、子どもと子育てにあたたかい地域社会を築きます。ここに、「子ども・子育て応援都市」を宣言します。  平成27年3月3日 世田谷区 目 次 第1章 計画の策定にあたって  1 子ども・子育て家庭を取り巻く状況   (1)全国的な社会状況と国の動向   (2)世田谷区の社会状況と区の動向  2 子ども計画(第2期)策定の趣旨   (1)策定の趣旨   (2)計画の位置づけ   (3)計画の期間  3 子ども計画後期計画の評価   (1)子ども計画後期計画 指標の進捗評価   (2)目標事業量の達成状況   (3)世田谷区子ども・青少年問題協議会による評価・検証及び課題整理 第2章 計画の基本的考え方  1 子ども計画(第2期)で目指すべき姿  2 計画策定にあたっての視点 第3章 重点政策  1 妊娠期からの切れ目のない支援・虐待予防  2 子育て家庭を支える基盤の整備と質の向上  3 子どもの生きる力の育み 第4章 計画の内容   体系   年齢別子ども・若者施策  1 子育て家庭への支援   (1)身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実   (2)子育て力発揮への支援   (3)子どもと親のこころと体の健康づくり  2 保育・幼児教育の充実   (1)保育施設・多様な保育の整備・拡充   (2)保育・幼児教育の質の向上   (3)保育と幼児教育の一体的な提供  3 支援が必要な子ども・家庭のサポート   (1)養育困難家庭・要保護児童支援   (2)配慮が必要な子どもの支援   (3)ひとり親・生活困窮家庭等の子どもの支援   (4)悩みや困難を抱えた子どもの支援  4 質の高い学校教育の充実   (1)地域との連携・協働による教育   (2)「世田谷9年教育」で実現する質の高い教育の推進   (3)信頼と誇りのもてる学校づくり  5 子どもの成長と活動の支援   (1)成長と活動の場と機会の充実   (2)子どもの社会への参加・参画の機会の充実  6 子どもが育つ環境整備   (1)地域の子育て力の向上   (2)社会環境の整備   (3)子どもの権利擁護・意識の醸成 第5章 子ども・子育て支援事業計画  1 圏域の設定  2 推計人口  3 需要量見込み及び確保の内容と実施時期   (1)教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期   (2)子ども・子育て支援事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期 第6章 今後の若者施策の取組み  1 若者支援施策の推進   (1)若者の交流と活動の推進   (2)生きづらさを抱えた若者の支援   (3)若者の社会に向けた文化・情報の発信への支援   (4)子ども計画以外の計画に含まれる「若者支援施策」との連携 第7章 実現の方策  1 指標  2 推進体制 第8章 資料  1 計画策定にあたっての検討状況  2 用語解説  3 参考データ  4 世田谷区子ども条例 第1章 計画の策定にあたって 1 子ども・子育て家庭を取り巻く状況 (1)全国的な社会状況と国の動向  わが国は、高度経済成長期以降これまでに経験したことのない長期にわたるデフレ経済に直面しています。リーマンショック以来、再び大きな社会問題となっている保育待機児童の問題については、長引くデフレ経済を背景として、子どもの乳児期に子育てに専念したいという思いを持つ方も働かざるを得ない状況となったことも要因の一つとしてあげられます。こうした状況下で所得格差も広がり、子どもの貧困が社会的な問題として取り上げられるようになっています。  また、ICTの急速な高度化による情報化の進展や、外国人の増加などがもたらすグローバル化の進展も、子どもを取り巻く環境として大きな影響を与えている事象といえます。 とりわけ、人口構造の変化は著しく、少子高齢化の急激な進展に歯止めがかからず、わが国の65歳以上の人口は全人口の25.2%(平成26年1月時点)を占め、同割合が21%を超える「超高齢社会」と呼ばれる状況となっています。これと反比例するように、生産年齢人口(15歳から64歳)、年少人口(14歳以下)は減少の一途を辿っています。このことは、社会保障費の増大をもたらすとともに、それを支える世代の減少を表しており、社会保障制度そのものをゆるがす状況を示しています。さらには、死亡数が出生数を上回る状態が続く人口減少社会へと突入することとなってしまいました。  国は、平成6年の「エンゼルプラン」にはじまる少子化対策を打ち出しましたが、その後も少子化の現象は留まることはなく、平成15年には、「少子化社会対策基本法」とともに「次世代育成支援対策推進法」を制定し、少子化対策に一層取り組んでいく姿勢を明確に打ち出しました。  こうした状況の中で、ワーク・ライフ・バランスの概念が社会に浸透し、また、女性の力を最大限発揮することが、人材の確保にとどまらず、企業活動、行政、地域等の現場に多様な価値観や創意工夫をもたらし、家庭や地域の価値を大切にしつつ社会全体に活力を与えることにつながるといった意識が広まってきました。これにより、企業の育児休業制度の制度化や女性の管理職登用も進み、出産を期に離職をする女性の割合が徐々に減少の傾向を見せたことで、女性の就労率が高まるなど、生産年齢人口の減少がもたらす生産力の減少に対する対策として一定の効果が認められるところです。  しかし少子化が依然として進行していること、子ども・子育て支援が質・量ともに不足していること、子育ての孤立感と負担感が増加していること、都市部における待機児童問題等課題が山積していることから、平成24年8月に「子ども・子育て関連3法」が制定され、平成27年4月からはこれらの法に基づき、一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会を目指した「子ども・子育て支援新制度」が本格実施されます。新制度により、各自治体が主体となって、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供や、待機児童の解消、地域での子ども・子育て支援の充実に取り組んでいくこととなります。 (2)世田谷区の社会状況と区の動向  少子化という全国的な流れがある中で、世田谷区では子どもの数が増加し続けています。特に平成21年からは、0歳から5歳の子どもが毎年1,000人近く増え続けており、全国的にも数少ない自治体であるといえます。主な要因として出生率の回復があげられ、平成17年に0.80であった合計特殊出生率は、平成25年には1.04まで上昇しています。一方で、上記の女性の就労率の上昇もあわさって、保育需要は全国の自治体でみられる状況を凌ぐ勢いで増加しています。  また、子どもや子育て家庭は増加していますが、核家族化が進んでいる傾向は全国と同様です。地域社会との関わりも希薄化しており、子育てについて、身近に相談する人がいない、必要な情報が得られない、適切な情報・サービスを選択できない保護者が増加し、家庭の養育力の低下が懸念されています。こうした状況は、子育ての不安や悩みを一人で抱え込むことともなり、児童虐待やネグレクトを引き起こすことにもつながりかねません。  さらに、都市化の進展により、子どもが外で友達と自由に遊ぶ場や機会が減少しています。また、地域コミュニティの希薄化により、子どもの声が近隣問題になるなど地域で子どもを育てるという意識は薄れてきているのかもしれません。近年、子ども・若者のコミュニケーション能力が低下していると言われていますが、地域の中で他者との関わりを持ちながら様々な体験をすることが、子どもの成長を育むものであり、こうした体験が少ないことが要因のひとつと考えられています。また、情報化の進展により、子どもが情報機器を介して過ごす時間が増え、集団の中で対人関係を築く機会が減っていることも、要因のひとつと言われています。  世田谷区では、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、すべての世田谷区民が力を合わせ、子どもが健やかに育つことのできるまちをつくることを掲げ、平成13年12月に「世田谷区子ども条例」を制定しました。子ども条例で掲げる理念を実現するための推進計画として、区は、平成17年3月に「世田谷区子ども計画」を策定し、その後、社会状況の変化等に対応するため、中間年での見直しを行い、平成22年3月に「世田谷区子ども計画後期計画」を策定しました。  区では、後期計画に基づき、その基本方針である「子どもの視点」を重視しながら、保育待機児解消への取組みや子どもの成長の支援を進めるとともに、子育ての負担や不安の軽減等の虐待予防の取組みから、早期発見、支援を必要とする家庭への継続的なサポートなど段階に応じた適切な支援を進めてきました。  なかでも、保育環境の整備は、喫緊の課題であるとして認可保育所の整備を中心とした対策を講じてきたところですが、保育待機児童数は、平成21年度から平成26年度までの5年間で1.8倍になるなど大きな課題となっています。子育て家庭の家族形態、就労形態もますます多様化しており、保育だけでなく、様々な子育て支援についてもより多様な受け皿が求められています。  また、国における地方分権の動きが具現化していることに並行して、区も自治権の拡充に向けた取組みを進めています。特に児童相談所については、東京都と特別区での都区の事務配分を議論する「都区のあり方検討委員会」において、区に移譲することを検討する事務としての方向付けが示され、平成24年2月に「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」が設置され、具体的な検討を進めているところです。こうした自治権拡充の動きについても、住民に身近な事務は基礎自治体である世田谷区が行うという視点がこれまで以上に求められています。  こうした経緯を踏まえ、今後の持続可能な世田谷のまちのあり方を展望するとき、すべての区民の参加と協働による地域づくりが不可欠であり、とりわけ、地域づくりの中心には、今を生きる子どもの成長・発達と子育ての支援を捉えることが必要となっています。  このような地域づくりを実現していくためには、子ども・子育て支援施策の総合的な展開の基本となる行政計画の策定が必要であるとともに、地域住民の参加と協働によるまちづくりを推進していくことが欠かせません。そして、様々な施策・事業の成果をより実りのあるものとするために、保護者、区民、事業者、区が共通の目的意識をもって、子ども・子育て支援に取り組むことが重要となってきています。 グラフ 「年代別子ども人口と総人口の推移」 グラフ 「年次別出生数と合計特殊出生率の推移」 2 子ども計画(第2期)策定の趣旨 (1)策定の趣旨  世田谷区は、区を取り巻く社会状況の変化を踏まえ、今後20年間の公共的指針として世田谷区基本構想を平成25年9月に策定しました。さらに基本構想の理念を実現するために、今後10年間に区が重点的に取り組む施策の方向性を示す基本計画を平成26年4月からスタートさせています。基本計画では、基本構想の9つのビジョンのうちの一つである「子ども・若者が住みやすいまちをつくり、教育を充実する」というビジョンの実現に向けて、「子ども若者が住みたいまちづくり、教育の推進」を重点政策に掲げ、「子ども若者・教育」の分野別政策において施策の方向性を定めています。  また、子ども・子育て支援法は、「子ども・子育て支援新制度」の実施主体である基礎自治体に対して、保育・幼児教育の充実や地域子ども・子育て支援事業の充実を計画的に実施していくことを求めています。  「世田谷区子ども計画」が平成26年度に最終年度を迎えることから、基本計画等上位計画の方向性や国の定める「子ども・子育て支援新制度」の趣旨を踏まえ、近年の子ども・子育てを取り巻く社会状況の変化に対応すべく、子ども・若者にかかる新たな個別計画として「世田谷区子ども計画(第2期)」を策定します。 (2)計画の位置づけ  この計画は、「世田谷区子ども条例」の推進計画として策定します。また、子ども・子育て支援法で定める子ども・子育て支援事業計画及び次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援対策行動計画を内包します。  同時に、区の上位計画である「世田谷区基本構想」「世田谷区基本計画」や、関連計画である「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」「世田谷区教育ビジョン」「健康せたがやプラン」等との連携・整合性を図っていきます。  若者施策との関係  子ども条例では、18歳未満のすべての人を「子ども」としています。一方、区では、12歳から39歳までを若者と位置づけ、施策を進めています。  若者施策は、子どもの頃から継続して取り組んでいくべきものや、早期の支援により問題の深刻化を未然に防げるものなど、子ども期で展開する施策と密接に関わっています。このため、子ども計画策定にあたっては若者施策を見据えた検討を行うとともに、今後の若者施策についても示すこととしました。  国は、平成21年に子ども・若者育成支援推進法を定め、自治体に対して子ども・若者計画の策定に努めるよう求めているところです。 (3)計画の期間  「子ども計画(第2期)」の計画期間は、平成27年度から平成36年度までの10年間とし、内包する「子ども・子育て支援事業計画」は平成27年度から平成31年度までの5年間とします。  なお、計画策定後の国の子ども・子育て施策の動向や、社会経済情勢の変化に合わせ、必要な調整を図るものとします。 3 子ども計画後期計画の評価 (1)子ども計画後期計画 指標の進捗評価  子ども計画後期計画に基づく子ども・子育て施策の推進状況について、次世代育成支援対策推進法で定められた全国共通指標と、区独自指標に基づき評価を行いました。   ○1 全国共通指標  子育て中の女性の就労率は平成25年までの5年間で上昇し、保育入園申込者数は平成21年度から26年度の5年間で約1.6倍、待機児童数も約1.8倍になるなど、子育て環境が大きく変化しました。こういった状況を反映するように、子育てをしやすいと感じる層が減少し、子育てをしにくいと感じる層が増加しています。一方、育児休業取得率は父母ともに上昇し、父親の育児参加も含めた両立支援が推進されました。  子育てに対する不安感はほぼ横ばいで、不安感や負担感を軽減する施策が十分行き届いていないことが見てとれます。 表 「子育てに関して不安感や負担感を持つ保護者の割合」 「希望した時期に保育サービスを利用することができた利用者の割合」 「子育てが地域の人に(もしくは、社会で)支えられていると感じる割合」  @ 「保育サービス等の充実について子育てしやすい環境であると思う区民の割合」  A 「在宅子育て支援について子育てしやすい環境であると思う区民の割合」 「仕事と生活の両立がはかられていると感じる割合」 ○2 区独自指標  自己肯定感や自尊感情に関わる調査では、一般的に学年が上がるにつれ肯定的な回答が減り否定的な回答が増える傾向が見られますが、区の調査結果では設問により傾向にばらつきがありました。今後も、すべての年代の子どもに対し、自己肯定感を育む施策を行っていく必要があります。 表 「子ども自身が、自分が大切にされていると感じる割合」  @ 「自分自身が好きだと思うか」  A 「他の人から好かれていると思うか」 (2)目標事業量の達成状況  次世代育成支援対策推進法では行動計画の策定が義務づけられており、世田谷区では子ども計画後期計画で目標事業量を設定していました。達成状況は下表のとおりです。平成27年4月には、概ね目標事業量を達成する見込みです。  しかしながら、予想を上回る就学前の子どもの人口の増加と家族形態や就労状況の変容などを背景として、保育サービスをはじめとする子ども・子育て支援全般の需要が増加しており、供給が不足している状況にあります。 (3)世田谷区子ども・青少年問題協議会による評価・検証及び課題整理  平成23−24年度世田谷区子ども・青少年問題協議会では、「世田谷区子ども計画後期計画の評価・検証及び課題整理」を検討テーマに議論を重ね、平成25年4月、「次期子ども計画で取り組むべき施策について」として報告がまとめられました。 ○1 中間の提言等に基づき着手した取組みについて  子ども・青少年問題協議会が検討を進める中で、平成23年10月に「最終報告を待たずに、実現に向けてすぐに着手すべき項目」として中間提言を報告しました。この中間提言にあった項目及び協議会から報告等を受けた項目の中で、すぐに着手した取組みについては以下のとおりです。 ○子ども自身が相談しやすい仕組みづくり 提言 子ども自身が相談しやすく、他者の力を借りて自身で悩みなどを解決していく仕組みが必要である。 取組み 子どもの人権を擁護し救済を図るため、公正・中立で独立性と専門性のある第三者機関「せたがやホッと子どもサポート」を設置(平成25年4月)。平成25年7月より相談等を開始した。   ○妊娠期及び周産期の子育て支援策 提言 児童虐待予防には、妊娠期あるいは0歳児対象の支援策の充実が必要である。 取組み 1歳以上を対象としていた理由を問わない預かり事業(ほっとステイ)を、一部で生後4か月以上に対象拡大した。(平成24年4月より)0歳児を対象とした短期間の預かり事業(ショートステイ)を開始した。(平成24年10月より) ○震災時の子ども支援 提言 震災時の子ども支援について示していく必要がある。 取組み 「子どもに関わる事件・事故・災害等の情報」を電子メールで配信するシステムを構築。(平成23年6月より)保育園防災対策事業研修の対象施設を広げた。「保育園防災マニュアル」を策定した。(平成24年3月)   ○青少年施策を担当する行政組織の位置づけ 提言 総合的な青少年施策の実現に向け、行政組織の位置づけを提言。 取組み 専管所管である若者支援担当課を設置(平成25年4月)   ○2 最終報告における提言  平成25年4月の報告の中で「次期計画(平成27年度〜36年度)策定に向けた留意事項」として、次の6項目の提案が出されました。 ○保育環境の整備  日常的な寄り添いといった家庭的な関わりと環境の確保。安全・安心の保障のため、地域施設を有効活用した複数の人の目が行き届く環境での預かりの推奨や、保育所、児童福祉施設等との連携を図るといった施策の検討。在宅の子育て家庭や支援を必要とする保護者が、気軽に交流できる場の拡充。   ○事業を実施する際の留意点  事業実施にあたっての課題の対応・改善を速めるため、条件が整備された地区からモデル事業としてスタートして検証を行うなどの工夫が必要。前例の少ない新たな試みの際には、試行錯誤期間の設定、十分に地域の住民や町会・自治会、団体などと関係を深めながら、事業を進めていくサポートが重要。 ○地区の特性・資源活用に配慮した支援策の充実  子ども・子育て支援や若者に関わるサービスに参入するNPO法人や民間企業の事業者のもつ社会的な資源(機能・施設・人材など)の活用の検討。世田谷区の5地域27地区のそれぞれの特性に配慮したきめ細かな施策展開。 ○青年期(概ね18歳以上30歳未満)の計画  次代を担う若者が地域で住み続けられるまちであるための総合的な施策展開。計画の策定にあたっては、若者のおかれている現状をしっかりと認識し、当事者の参画に配慮して作成するとともに、実施状況の点検・評価などを行うべき。 ○寄附文化の醸成  地域全体で子どもと子育てを支援する事業においては、寄附の呼びかけをPRするなど、実績を積み重ね、定着させていくことが必要。若者の起業支援や若者の就労支援事業者に対し寄附を募るといった事業の検討。寄附だけに依存されないよう、段階的に自立を促すようなサポートの検討。 ○健康や生命の安全を脅かす災害・事故への対応  災害時の着実な対応や子どもと子育て家庭における放射能汚染への対応の検討。被災地での被災地以外の大学やNPOなどと地域の協働による復興支援の取組みは、地域の子ども・子育て支援の参考事例であり、策定の視点に取り入れるべき。 第2章 計画の基本的考え方 1 子ども計画(第2期)で目指すべき姿  子どもがいきいきわくわく育つまち  すべての子どもが、家庭や地域・他者との関わりや多様な体験の中で、本来もっている力を存分に発揮し、喜びをもって健やかに育っていくまちを目指します。  保護者と区民、事業者等は、すべての子どもの子ども時代が豊かなものとなるよう、見守り支えていきます。 2 計画策定にあたっての視点  出生数の増加などにより平成21年から平成27年の6年間で約5,800人増となった就学前人口は、今後もほぼ横ばいで推移すると予測されています。また、子どもを育てながら就労する保護者も増加するなど、働き方やライフスタイルが多様化しており、子ども・子育てを支える基盤の量的な拡充が求められます。  一方、核家族化やひとり親世帯、外国人の保護者・子どもの増加、地域のつながりの希薄化により保護者が孤立しがちであることから、出産や子育てに感じる不安感、負担感の軽減が課題とされています。  これまでも、子ども・子育てにかかる支援は、区民、事業者、支援活動団体など様々な主体により実施され、子ども・保護者を支えてきましたが、多様なニーズの高まりから、今後、その実施主体は一層多元化が進むことが予想されます。  こうした社会状況を踏まえ、次ページ以降に示す計画体系、施策・取組みの策定にあたっては、地域の様々な資源が提供する支援が最大限生かされるよう、次の4つの視点をもって検討を行うこととしました。   ○当事者の参加・参画の推進  子ども自身や保護者が、当事者として事業運営や事業の実施主体とどのように関わっていくか。その仕組みをどのように構築し、支えていくか。 ○地域で包括的に支える仕組みの構築  身近な地域で安心して子どもを生み育てられるよう、また、すべての子どもの育ちが子ども自身にとっても保護者にとっても喜びとなるよう、どのように区民・地域の子育て力を高め、地域の資源を生かしながら切れ目なく支えていくか。 ○若者期を見据えた子育ち支援  やがて社会を担うとともに子どもを育てる立場ともなっていく子どもに対し、どのような体験が望まれ、どのような支えや見守りが必要か。若者が直面する課題を見据えたとき、その手前でどのような施策が求められるか。 ○区が果たすべき責任と役割  サービスが量的拡大し実施主体も多元化する中で、世田谷区が目指すサービスの質やサービス利用者である子どもの人権や安全・安心をどのように確保していくか。また、区が主体となって運営する事業が果たす役割をどのように位置づけるか。   第3章 重点政策 1 妊娠期からの切れ目のない支援・虐待予防  妊娠、出産、子育てにかかる父母の不安感や負担感が増してきており、こうした育児不安を抱え込むことは、虐待のリスクを高めることにもつながることから、妊産婦や子育て家庭に寄り添いながら切れ目なく支える仕組みを身近な場から充実します。 ○喜びと楽しさを感じられる子育てを、身近な場から支えていきます  妊娠中や産後、乳幼児を育てる時期は、様々な不安を抱える時期です。これまで、それらの不安の軽減や親としての学び・成長を家庭や地域が支えてきました。しかしながら、核家族化や地域社会との関わりの希薄化の進展により、サポートが受けられず、悩みをひとりで抱え込み、子育てに孤立感と負担感を覚えるケースが増えています。こうした悩みを抱える保護者同士が気軽につどい、交流し、情報交換などができる場を充実することや、自分の時間を持ちリフレッシュする機会をつくることで、育児不安の軽減を図り、子育てに喜びと楽しさを実感できる環境を整えます。  また、日常的に利用できる身近な場所において、気軽に相談ができ、必要に応じて適切な支援につながることができるよう、利用者支援事業を展開するなど敷居の低い相談体制を整えます。  関連項目  1-(1)-1 子育て中の親子の身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実  1-(1)-2 就学後の子どもをもつ親が気軽につどえる場や機会の充実  1-(2)-2 親がリフレッシュできる場・機会の充実 グラフ 「妊娠中・産後の精神的状態別子育てについての感じ方」 ○子育て家庭に潜在しているニーズの把握に努めるとともに、ニーズや状況の変化に合わせ、切れ目なく支えていきます  子育て家庭の孤立化の予防や不安感、負担感の軽減を図るために、相談体制を整えることは重要ですが、課題を抱えていても、それを認識していない場合など、相談・支援につながることが難しい家庭もあります。こうした家庭が課題を抱えたまま、リスクを高めてしまうことがないよう支えていける体制を整える必要があります。  乳幼児健診や乳児期家庭訪問などの機会や、児童館、ひろばや保育所、幼稚園、学校など、日頃利用する場において、関わる支援者の気づきの感度を高め、リスクの高い子育て家庭を早期に適切な支援につなげ、地域社会で子育てを支援する体制づくりを進めます。  また、時間の経過や子どもの成長、親の環境の変化により、必要とされる支援も変化していきます。個々の家庭の置かれた状況を継続的に把握し、寄り添った支援を展開するため(仮)子育て支援コーディネーターの配置など体制の強化を検討し、整備していきます。  関連項目   3-(1)-1 養育困難家庭・要保護児童の早期支援の充実   3-(1)-2 継続支援・生活支援の仕組みの充実   1-(3)-1 子どもと親のこころと体の健康づくり ○地域包括ケアシステムの推進により複合的課題を抱えた子育て家庭を包括的・継続的に支援していきます  区では、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしつづけられることを目的とした地域包括ケアシステムの推進を目指しています。  子どもの出生時の母親の年齢が35歳以上である割合は年々高まっており、平成25年には42.6%となっています(39ページのグラフ参照)。こうした状況から、子育てをしながら親の介護をするなど、複合的な悩み・課題を抱える家庭がますます増えていくことが予想されます。  区では、これまで高齢者を対象としていたあんしんすこやかセンターの相談を、子育て家庭や障害者(児)などにも拡大することにより、子育てと介護、障害のある方の子育てなど、複合的課題を抱えた子育て家庭の相談も可能な窓口を27地区に整備していきます。また、出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター及び社会福祉協議会を一体整備し、三者が連携して身近な地域で潜在化している問題の早期発見や相談支援体制の強化、地域生活を支える地域資源の開発等に取り組みます。  複合的課題を抱えた子育て家庭に対しては、利用者支援事業により構築していく子ども・子育てネットワークと連携しながら、子ども家庭支援センターを中心に包括的・継続的なケアマネジメントを行っていきます。 2 子育て家庭を支える基盤の整備と質の向上  喫緊の課題である保育待機児解消に向けた保育基盤整備を中心として、すべての子育て家庭を支える基盤の整備・拡充を進めるとともに、保育・幼児教育の質の確保と向上を図ります。 ○子育て家庭のニーズに沿った保育・幼児教育及び、子ども・子育て支援事業の基盤を整備します  就学前人口の増加や共働き家庭の増加等を背景に、増え続ける認可保育園の入園申込者数や、子育て家庭の潜在的なニーズに対応するため、区有地や国・都有地などの公有地のほか、区独自の賃借料補助等により民有地の活用を促進し、認可保育所を中心に計画的に保育・幼児教育施設や事業の整備を行い、保育待機児の解消を図ります。  また、多様化する働き方やライフスタイルの変化など個々の子育て家庭のニーズに沿った保育が受けられるよう、病児・病後児保育事業の拡充など、体制の整備を進めます。  さらに、相談・交流の場と機会の提供や一時預かり事業の充実を図るなど、在宅子育て家庭を支援する事業について、子ども・子育て支援事業計画に基づき計画的に整備を進めていきます。  関連項目 2-(1)-1 子育て家庭のニーズに沿った保育・幼児教育の整備 2-(1)-2 子育て家庭のニーズに沿った多様な保育の提供 1-(1)-1 子育て中の親子の身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実 第5章  子ども・子育て支援事業計画 ○区が定める基準等に基づき、保育の質の確保に向けた取組みを進めるとともに、子どもや保護者が当事者として、事業運営や事業の実施主体と関わっていく仕組みをつくります  保育ニーズの高まりに応えるため、認可保育所の整備を中心に、小規模保育事業などの新たな保育事業の整備を進めます。これにより、実施主体はこれまで以上に多元化することが予想されます。  そうしたなかで、保育の質を確保し、さらなる向上を図るため、指導・監督や巡回指導相談を通じて、各保育施設において専門的な知識・技術を身につけるとともに、第三者評価の実施や地域の保育施設間のネットワークを強化していきます。  また、区が目指す「子どもを中心とした保育」を実践するための『世田谷区保育の質ガイドライン』を活用し、事業者・保護者・区民と共通理解を深め、ともに保育の質の向上に取り組むとともに、子どもや保護者が事業運営に関わっていく取組みを推進します。  関連項目 2-(2)-1 保育の質を支える仕組みの構築 2-(2)-2 区立施設が果たしていく役割の強化 ○保護者の施設・事業を評価・選択をする力を支援します  保育・幼児教育については、子育て家庭のニーズの多様化に応えるため、多様な形態で運営されていますが、そのためにそれぞれの施設・事業の特徴などを理解することが難しくなってきています。  保護者が働き方や就労時間など自身の家庭の状況にあった施設・事業を選択することができるよう、身近な場所で十分な情報が得られ、必要に応じて気軽に相談ができるような体制を整えます。  また、手軽に情報が得られるとともに、正しく情報を読み取れるよう、情報提供の工夫を図ります。  関連項目 2-(2)-3 保護者の保育・幼児教育等の選択への支援 ○子ども・子育てを支える人材を確保し育成します  保育をはじめとする子ども・子育て支援の基盤の整備に伴い、保育士等の確保は大きな課題となっています。現在保育・幼児教育などに携わっていない有資格者に対する研修など復職に向けた支援や、保育・幼児教育施設の就職支援を通じて、幼稚園教諭や保育士など保育・幼児教育の担い手の確保に努めます。また、研修や他の施設・事業との交流・情報交換の機会の提供などを通じて、保育・幼児教育に携わる人材の資質・能力の向上を図ります。  また、保護者が気軽につどえる場や相談できる場などにおけるスタッフのスキル向上や地域で子どもの育ちを見守り支える地域人材の子育て力の向上に向けた支援を行います。  関連項目 2-(2)-4 保育・幼児教育に携わる人材の確保・育成 2-(3)-2 保育と教育の一体的な提供に向けた職員の育成 1-(1)-1 子育て中の親子の身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実 ほか 3 子どもの生きる力の育み  子どもが地域の中で主体的に活動できる場や機会を充実させ、すべての子どもが生きる力を育むことのできる環境を整え、地域・社会を担っていく若者、大人、親へと成長していくための基礎となる育ちを地域とともに支えます。 ○地域で豊かな社会体験を重ねられる場と機会を充実していきます  地域の中で、子どもが安心して過ごすことができる場所や、本来もっている力を存分に発揮し活躍できる場と機会を拡充するとともに、地域での活動に参加することを通じて、多世代と交流する機会を充実します。  地域社会の担い手の一員としての活動や多世代交流の体験を通じて、社会性、主体性、協調性などの生きる力を育むことを地域とともに支えます。また、子どもの頃から地域で活動することや、地域との関わりをもつことで、地域に対する愛着を培い、地域社会で若者、大人、親へと成長し、地域の子どもの活動を支える立場として関わりを継続・循環していくことができる環境を整えます。  関連項目 5-(1)-2 地域での多世代での活動と交流の場と機会の充実 5-(2)-1 参加から参画へ、地域での場と機会の提供 ○すべての子どもが、居心地のよい場・力を発揮できる場を身近な地域にもてるよう環境を整えます  悩みや困難を抱えた子どもやその保護者が抱えている問題は、複雑化かつ多様化しています。こうした問題に対応するため、総合的な支援や専門的な相談など、それぞれの家庭の状況やニーズに応じた支え方ができる体制を充実し、問題を早期に発見するとともに、適切な支援につなげていきます。また、ここにいてもいいのだと思える安心して過ごせる居場所が求められており、身近な居場所を整備し、そうした場所で同年代や多世代での交流が図れるよう、支援・運営を行う地域での活動を支えます。  配慮が必要な子どもが日常過ごす場や地域の中で安心して過ごすことができ、自分らしい生き方が実現できるよう、地域における障害理解の促進と子どもに関わる支援者のスキルアップを図るとともに、活動や参加の場を確保していきます。  子どもの将来が生まれ育った家庭の状況に左右されることがないよう、ひとり親家庭や生活困窮家庭等の子どもの学習の機会を提供するとともに、多様な大人や年長者との交流の機会を提供することを通じて、子どもが社会の中で生きる力を育み、自立へと向かう支援を行います。  関連項目 3-(4)-1 ニーズに応じた相談機能の充実 3-(4)-2 子どもの居場所の拠点整備 3-(2)-2 日常を過ごす場や地域で安心して過ごせる支援の充実 3-(3)-1 ひとり親家庭、生活困窮家庭等の子どもの自立に向けた支援の充実 ○外遊びを推奨し、外遊びの環境を整備します  子どもは季節を感じながら屋外で仲間たちと思いきり遊び、たくさんの体験を通して豊かに成長していきます。  しかし近年は都市化、核家族化、パソコンや携帯電話の普及などの影響で、子どもの遊びは屋外遊びから屋内遊びへ、遊びの種類の減少と単純化、集団遊びの減少など大きく変化してきています。その影響で子どもの身体機能は体力・運動能力が低下し、社会性・忍耐力・想像力・好奇心の不足が問題になっています。  今後、すべての子どもたちが身近な場所でいきいきと外遊びができる環境を拡充し、外遊び体験を推奨していきます。そのために各地域にプレーパークを整備し、外遊びの拠点機能を持たせながら、子どもやその保護者が気軽につどい、遊ぶきっかけをつくる活動を支援していきます。  また、外遊びを支える人材を育成するとともに、外遊びの機会拡充を区と区民がともにつくっていく体制を整えます。  関連項目 5-(1)-3 外遊びの機会と場の拡充 ○子どもの育ちを見守り支える地域コミュニティの形成を支えます  都市化の進展や地域コミュニティの希薄化により、地域で子どもを育てるという意識は以前と比較し薄れていると言われています。子どもが地域の中で安全にかつ安心して過ごしたり、活動したりするためには、その育ちや活動を見守り支える地域の大人の存在が欠かせません。  子どもたちが成長し自立していく過程で、子育て中の親と子育てを終えた世代など幅広い世代や立場の違う者同士がともに支えあう関係づくりを進めていくことにより、子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運を増し、地域で子どもの育ちを見守るという意識を醸成していきます。  関連項目 6-(1)-1 子どもの育ちを見守り支える地域コミュニティの形成 ○児童館が地域で果たす役割を充実していきます  従来、子どもの健やかな成長については、まず、「家庭」が中心となって育ちを支え、さらに、地域や多世代との関わりの中で育まれてきました。しかし、近年の核家族化や都市化の進展に伴う多様化された社会の中では、家庭をはじめ、地域と子どもとの関係づくりなど、必要な支援や機会の提供が困難となる場面が増加してきています。  また、子どもたちは、出生から、保育園・幼稚園、小学校、中学校、高等学校といった年齢やライフステージによる区分の中で、それぞれの時期に的確な関わりや支援、見守りを必要としています。  子どもたちが成長し、自立していく過程では、家庭や地域がともに子どもたちに目を向け、ともに支える地域のコミュニティの形成が必要です。  児童館は、乳幼児期から、小・中・高校生まで、子どもの成長に継続的に関わる施設であり、多様化した子どもの成長支援を地域とともに進めることが大切です。これらの取組みを進めるために必要な児童館職員の人材確保、育成を図りながら、特に、様々な不安を抱える親に対する見守りや寄り添いなどの子育て支援と、心身ともに大きな成長過程をむかえる中高生世代に対して、地域で活動できる様々な経験をもとに、地域の担い手となっていける取組みを一層充実していきます。  関連項目  1-(1)-1 子育て中の親子の身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実  1-(2)-1 親の学びの支援  5-(1)-1 成長に応じた放課後の居場所の確保  5-(1)-2 地域での多世代での活動と交流の場と機会の充実  今後の児童館のあり方について、本計画の策定にあわせ、有識者や地域の関係者等と検討する「世田谷区立児童館のあり方検討委員会」を設置し、検討を行いました。 検討委員会からは、子育て支援、中高生支援をはじめとした子どもの成長支援を、これまで以上に地域とともに進めていくことや、地域への情報発信について、以下のような提言をいただきました。また、これまで児童館が担ってきた役割を継承しながら、機能の拡充を進めるために必要な児童館職員の人材確保、育成の必要性についての提案もいただきました。このことを受け、さらなる検討を行い、児童館の運営や事業実施に反映していきます。 児童館での具体的な取組みについて(「世田谷区立児童館のあり方検討委員会報告書」より) ・中高生世代への支援と担い手育成 ひとつひとつの児童館における児童館単位の中高生支援から、中高生支援館を中心にした総合支所単位の地域で進める中高生支援を、学校や関係機関と連携しながら進めていく。 ・子育て支援  児童館単位のネットワークを総合支所単位の地域に広げることで子育て支援活動を活発にし、より専門的な相談や専門機関との連携機能を持つ児童館を、各地域に設置することについて検討する必要がある。 ・地域との連携  地域の大人が児童館との関わりの中で充実感を得て、利用者から協力者(サポーター)へと役割を持つ大人を増やすことにより、児童館事業の充実につなげていく。 ・児童館からの情報発信  児童館が子どもの「遊び」の場だけでなく、子どもを軸にした地域コミュニティの側面もあることとあわせ、地域に広く広報していく。 第4章 計画の内容 ○体系  大項目1 子育て家庭への支援  中項目1 身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実 中項目2 子育て力発揮への支援 中項目3 子どもと親のこころと体の健康づくり 大項目2 保育・幼児教育の充実 中項目1 保育施設・多様な保育の整備・拡充 中項目2 保育・幼児教育の質の向上 中項目3 保育と幼児教育の一体的な提供 大項目3 支援が必要な子ども・家庭のサポート 中項目1 養育困難家庭・要保護児童支援 中項目2 配慮が必要な子どもの支援 中項目3 ひとり親・生活困窮家庭等の子どもの支援 中項目4 悩みや困難を抱えた子どもの支援 大項目4 質の高い学校教育の充実 中項目1 地域との連携・協働による教育  中項目2 「世田谷9年教育」で実現する質の高い教育の推進 中項目3 信頼と誇りのもてる学校づくり 大項目5 子どもの成長と活動の支援 中項目1 成長と活動の場と機会の充実 中項目2 子どもの社会への参加・参画の機会の充実 大項目6 子どもが育つ環境整備 中項目1 地域の子育て力の向上 中項目2 社会環境の整備 中項目3 子どもの権利擁護・意識の醸成 図表:年齢別子ども・若者施策 1 子育て家庭への支援 (1)身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実  現状と課題 ・ 核家族化の進行、地域社会との関わりの希薄化により、子育て家庭の孤立化が問題となっています。他者との交流が少ないため、課題を抱えていても当事者が認識していない場合があり、周囲の気づきや状況に応じた適切な支援の場へのつなぎが課題です。 ・ 在宅子育て家庭にとって、身近なつどい・交流の場であるひろばは、保護者の負担を軽減し、子育て家庭の孤立化の予防となることからニーズも高く、今後はおでかけひろばの拡充や児童館子育てひろばの機能の充実が求められています。 ・ 小学校就学以降の子どもをもつ親が、身近で気軽に交流できる場や機会が不足しています。また、子どもの区外進学などによって親が地域とつながる機会が減少しており、親同士の交流や気軽に相談できる場所が求められています。  目標 ・ 情報交換や交流の機会、気軽に相談ができる場が身近で得られている。 ・ 身近な場での交流や相談をきっかけに、適切なサービスや支援につながることができている。 ・ 子育て中の親が、身近な場で知りたいことを知ることができ、必要なサービスを自ら選択して使うことができている。 ・ 在宅子育て家庭を中心として、孤立化の予防や交流が図られ、子育てに喜びと楽しさを実感している。  施策展開 ○1 子育て中の親子の身近なつどいの場・気軽な相談窓口の充実  子育て中の親子が、身近な場所で気軽に相談や交流ができ、ニーズに応じて適切なサービスにつながることができるなど安心して子育てができる環境を整えることにより、在宅子育て家庭を中心とした孤立化の予防や子育てに対する不安感の軽減を図るなど、子育てに喜びと楽しさを実感できるよう場と機会を充実します。 1 子育て中の親子が気軽につどえる場の拡充  子育て中の親子が、身近で気軽につどい交流することができる場を拡充します。 2 身近な場で親子を支える機能の充実  日頃の関わりのなかで気軽な相談ができ、適切な支援やサービスへの案内を受けられる場として、児童館やおでかけひろばなどの機能を充実します。また、児童館の子育て支援館や利用者支援の拠点などを中心に、地域ごとの子ども・子育て関係機関の連携を強化することにより、身近な資源をより有効に活用するとともに、必要に応じて新たな地域資源開発も行いながら、地域で支えていく仕組みを構築します。 3 スタッフの人材育成  おでかけひろばや子育てひろばのスタッフに対する研修等を充実し、子どもと関わる人材の育成を図ります。 4 子育て情報の提供の充実  子育て中の保護者に必要な情報が行き届くよう子育て情報の提供方法を工夫するとともに、子ども家庭支援センターや、利用者支援事業を担う拠点などを中心に、利用者一人ひとりに合った子ども・子育てサービスの利用案内を行うコーディネート機能を強化します。 ○2 就学後の子どもをもつ親が気軽につどえる場や機会の充実  学童期、思春期の子どもをもつ親が、気軽に悩みを打ち明けたり、同世代の子を持ち、同じような不安や悩みを抱えた親同士が知りあい、交流できる場や機会を充実します。 1 身近な場での相談の場の充実  身近な場所で相談できる場を充実し、保護者の不安解消を図ります。 2 親も含めた多世代交流の機会の充実  若者が活動できる身近な居場所づくりを通じ、地域での多世代交流の機会の充実を図ります。 (2)子育て力発揮への支援 現状と課題 ・ これまで、親族や地域に支えられながら家庭が中心となって行われてきた子どものしつけなどが、核家族化や地域社会との関わりの希薄化に伴い、親だけが抱え込む、または保育・幼児教育機関、学校等に任せるという状況がみられます。 ・ 各学校のPTAが中心となって家庭教育学級を開催するなど、家庭の教育力の向上に向けた取組みが進められていますが、子どもとともに親が学び成長するためには、家庭教育の情報提供や相談機能、親同士や地域との連携の機会のさらなる充実が求められています。 ・ 子育てによる不安や負担を軽減するためには、子育て中の生活を楽しむためのサポートが重要です。保護者が自分の時間を持てる仕組みをつくるため、一時預かりの拡充や急な預かりニーズへの対応が求められています。 ・ 保護者は子どもの発達に多かれ少なかれ不安を抱えているものですが、不安を抱えていても、専門機関等へ相談に行くことに抵抗を感じ、一人で悩みを抱えている保護者がたくさんいます。  目標 ・ 親が子どもとともに成長し、子どもを育てる力が高まっている。 ・ 親が子育てに対する意識を向上させ、自ら解決できる力が育まれている。 ・ 親が自分の時間を持つことで、リフレッシュする機会がある。 ・ 父親の子育て参加の意識が醸成され、母親だけではなく、父親も子育てを楽しめる。 ・ 子どもの発達に不安を抱える保護者が、身近な場所で気軽に参加でき、その子にあった関わり方に気づき、また同じような不安を抱えた親同士が知りあえる機会がある。 グラフ 「子どもが成長する上で、大切だと思っていること」 グラフ 「子育てする上で足りないと感じていること」  施策展開 ○1 親の学びの支援  親が子育てに対する意識を向上させ、自ら解決できる力を育むことができるよう講座や講演会、家庭教育学級などの取組みを通じて、親自身が学び育つための学習の場や情報の提供を図ります。 1 親としての学びや育ちの支援  親の子育てに対する不安や負担感を軽減し、自ら解決できるよう親向けの講座や、親同士で学び語りあう機会を充実するとともに、参加の機会を得にくい保護者や孤立しがちな保護者に対しては、地域人材を活用したサポート環境づくりを進めます。 2 親同士や地域との連携の機会づくり  親が地域で多世代と交流できる機会を充実するとともに、親同士が地域で情報交換しながら助けあい、ともに子育てを楽しみ育ちあえる機会を拡充します。 3 発達支援親子グループ事業  子どもの発達に不安を抱える保護者に対し、子どもとの遊び方や子どもの特徴への理解を深め、養育力の向上を図ります。 ○2 親がリフレッシュできる場・機会の充実  妊娠期からの仲間づくりや父親の子育て参加の意識づくり、親がリフレッシュできる場や機会をつくることで、仲間や自分の時間を持ち、親が子育て期を楽しめる環境をつくります。 1 一時預かり事業の拡充  おでかけひろば内での一時預かりを含めたほっとステイの拡充やファミリー・サポート・センター事業の実施など、理由を問わずに一時的に子どもを預けることのできる場を充実します。 2 ショートステイ、トワイライトステイ事業機能の充実  出産、就労、レスパイト等を理由とした預かり事業であるショートステイやトワイライトステイ事業の利用を促進します。 3 父親の子育てへの参加の促進と意識の醸成  父親も子育てを楽しむことができるよう、父親の子育てへの参加の機会をつくり、子育てに対する意識の醸成を図ります。 4 妊娠期、産前・産後の不安軽減、孤立感の解消  育児に関する負担感や不安感が最も強くなる産前と産後の時期に、必要な知識を提供し、不安の軽減を図るためのケアやサポートを行います。 (3)子どもと親のこころと体の健康づくり 現状と課題 ・ 出産や子育てについて、正しい知識を得る機会がないまま成長することが多くなっています。子育てのイメージを持たずに妊娠・出産を迎えたり、出産後に育児不安や産後うつなどから不適切な育児に陥ることがないよう予防する必要があります。 ・ 乳幼児健康診査では、健康状況の確認に加えて、健やかに育ち、育てるための支援が重要になっています。個々の状況に応じた個別相談、歯科保健や栄養等についての指導・相談を行い、健診後の経過観察健診や精密検査につなげるほか、個別支援だけではなくグループによる育児支援も連動させた継続的・重層的な支援も必要です。また受診した方の満足度をあげ、さらに未受診者の把握から必要な支援につなげる仕組みについて検討が必要です。 ・ 思春期のこころと体の健康づくりは大切ですが、困ったときに利用できる相談窓口の周知が十分ではありません。若い世代に対して、性感染症予防や望まない妊娠の予防に関する啓発の強化が求められています。 ・ 育児期は家族全体の生活習慣を見直す大きなきっかけとなります。妊娠・出産・子育て知識の普及・啓発だけでなく、望ましい生活習慣の獲得に向けた支援が求められます。 ・ 食の情報が氾濫する中、正しい選択ができずに、子どもの状況にあった食事づくりが困難となっている場合があります。 ・ むし歯のある子どもは減っていますが、一人で多数のむし歯のある子どもが一定割合おり、健康状況の二極化が進んでいます。歯に良い生活習慣の実践のための歯と口の健康づくりの支援が求められています。  目標 ・ 妊娠に関する相談ができる。 ・ 若年層が、妊娠・性に関する悩みやこころの健康について、基本的な知識を得られ、悩みなどがある場合には安心して話せる相談窓口に容易につながることができる。 ・ 妊娠期から家族や子どもの成長・発育にあった生活習慣が理解され、食生活・口腔衛生習慣の習得の上で実践されている。 ・ 子ども・保護者が、自分や家族の健康に関する相談を気軽にできる仕組みが整備され、適切な支援を受けられる。 ・ 妊娠期からの多様な支援とネットワーク構築により、切れ目のない支援が受けられ、安心して妊娠期から育児期を孤立感なく生活できている。  施策展開 ○1 子どもと親のこころと体の健康づくり  若年層から、妊娠・出産に関する正しい知識を持てるよう啓発の機会を設け、相談窓口の周知を図ります。また、母子を基本として、家族のすこやかな成長を図り、その状態に応じた適切な支援を提供するとともに、親自身の育児への自信を深めるための支援を行います。 1 女性のからだの相談窓口の設置  不妊・不育症など妊娠に関わる相談や、年齢による女性のからだの変化や心身の不調について相談できる窓口の整備を図ります。 2 妊娠期からの支援の充実  妊娠が分かったときから、必要な情報へのアクセスを容易にするとともに、母親学級等の開催により地域での交流を促進します。また、妊娠届時のアンケート実施をはじめとした、妊娠期や出産時の不安へのアプローチの充実を図ります。さらに、妊婦健診費用助成については、より利用しやすい制度となるよう見直します。 3 乳児期家庭訪問の充実(産後の支援継続)  子育てスタート期の家庭への全数訪問により、母子の心身の健康状態を把握し適切な支援へとつないでいきます。 4 乳幼児健診の充実  乳幼児健診対象数の増加や個別相談の複雑化に対応し、継続的な支援につなげていくために必要な体制の再構築を検討します。また、社会性等の発達や母子関係のつまずきを確認しやすい1歳6か月児健診後のフォローグループを実施し、子どもの成長支援・保護者の相談を行います。 5 育児講座などの情報提供と地域の連携ネットワークによる育児支援の充実  健康や育児に関する情報の提供と共有、交流も含めた支援により、育児ストレスの軽減を図ります。同時に、支援者側の連携を深め、人材育成を図ります。 6 育児不安や困難に対する支援の充実  母親の育児不安や家族関係のストレスについて話すことができるグループミーティングの機会を提供し、個別支援との連携によって育児不安の軽減や虐待予防を図るとともに、育児支援サービスを導入します。 グラフ 「出生時の母の年代別割合の推移」 グラフ 「第1子出生時の母の平均年齢の推移」 ○2 思春期のこころと体の健康づくり  思春期世代のこころと体の変化について基礎的な知識を得て、自分の成長を受け入れ適切な行動を選択できるよう支援を広げます。また、思春期の不安や悩みに対応する相談窓口の整備と周知により、悩みを抱える思春期世代の本人やその家族への早期支援を行います。 1 「こころと体を知る」出前講座の充実  若者の心身の成長に合わせ、基礎的知識の普及のために行う出前講座を充実させ、知らないためにおこる不安や悩みの軽減を図ります。また、命の育みや感染症予防、薬物使用に関する予防的取組みを充実していきます。 2 思春期こころの健康相談の充実  保護者の相談を受け、受診の要否や家族対応についての専門的支援を行います。そのために、医師の確保等相談体制を整備します。 3 思春期のからだの相談窓口の周知  思春期のからだの変化や心身の不調、あるいは性感染症予防や避妊について相談できる窓口の設置を図り、紹介・周知を通して、早期からの支援につなげるとともに、若年層への計画的な啓発を進めていきます。 4 他機関との連携による相談支援の充実  思春期世代の本人が相談できる相談窓口との連携の充実により適切な支援につなげます。 ○3 食育の推進  妊娠期から、家族及び子どもの発育・発達にあった食事づくりを学び、考えられる力を育むとともに、食事を通じて伝えられていた食文化や、あいさつなどの食の基本を知るための支援を行います。 1 妊娠期から、家族・子どもの望ましい食習慣の定着に向けた情報発信  母子事業、健診事業を通じて、子どもだけでなく家族の健康づくりのための栄養・食生活の情報を提供し、食生活を組み立てる力をもてるよう支援します。 2 家族や、子どもの成長・発育にあった食生活の実践に向けた支援の継続  子どもの成長にあった食事づくりや、食事形態についての不安や悩みについて、個々の生活スタイルに合った実践可能な支援を実施します。 3 地域ぐるみで食事を楽しむことができる機会の提供  異世代が交流して共に食べる機会(共食)を設け、食文化・食事のマナー、料理の組み合わせや栄養バランスなど、地域で食の大切さを伝えるとともに、家庭での食育につなげます。 ○4 歯と口の健康づくり  子どものむし歯や口の外傷など歯科疾患の予防に努め、健全な口腔機能の発達を促すため、歯と口の健康に良い生活習慣を習得できるよう支援します。 1 親と子の歯と口の健康意識の向上と生活習慣の定着支援の充実  むし歯などの歯科疾患を予防し、健全な口腔機能を獲得維持できるよう、親と子の望ましい生活習慣獲得への普及啓発・健康づくりの対策を進めていきます。 2 歯と口の健康への環境づくりの整備  誰もが歯と口の健康づくりに取り組めるよう、かかりつけ歯科医の定着促進など地域の支援体制の整備を図ります。 2 保育・幼児教育の充実 (1)保育施設・多様な保育の整備・拡充    現状と課題 ・ 共働き家庭等の増加により、保育の需要が増大しており、保育待機児の解消が急務となっています。 ・ 親の働き方がますます多様化する中で、働き方や就労時間などその家庭にあった多様な形態での保育・幼児教育の提供が求められています。  目標 ・ 保育施設・事業の整備を促進し、保育待機児が解消されている。 ・ 質の確保された多様な保育・幼児教育の提供体制が整い、各家庭にあった選択をすることができる。 用語について 本計画において、保育は、保育所等において就学前までの子どもを対象に養護と教育を一体的に行うもの、幼児教育は、満3歳児から就学前までの子どもを対象に幼稚園が行う教育や預かり保育などの子育て支援と定義する。幼保連携型認定こども園は、これらの保育・幼児教育をともに実施するものとなる。(なお、第5章 子ども・子育て支援事業計画の用語は国に倣うため、この限りでない)  施策展開 ○1 子育て家庭のニーズに沿った保育・幼児教育の整備  子育て家庭の潜在的なニーズも汲み上げながら、保育・幼児教育施設や事業の整備を行い、保育待機児の解消を図ります。 1 保育施設の整備  喫緊の課題である保育待機児の解消に向け、区有地や国・都有地などの公有地のほか、区独自の賃借料補助等により民有地の活用を促進し、区民ニーズの高い認可保育所の新設を中心に、計画的に保育・幼児教育施設や事業の整備を進めます。また、既存の認可外施設に対し、新制度の給付施設への移行を支援します。 2 認定こども園の整備  多様化する保護者のニーズに柔軟かつ適切に対応していくため、就学前における保育・幼児教育及び保護者に対する子育て支援を総合的に提供することを目的に、区立幼稚園の用途転換を中心に認定こども園の整備を促進するとともに、移行を希望する既存施設の支援や、普及に向けた周知を図ります。 グラフ 「 認可保育園申込者数(4月入園)の推移」 「保育サービス定員数の推移」 グラフ 「年齢別待機児童数の推移」 ○2 子育て家庭のニーズに沿った多様な保育の提供  多様化する働き方やライフスタイルの変化など個々の子育て家庭のニーズに沿った質の確保された保育が受けられるよう体制を整備します。 1 時間外保育事業の拡充  多様化する保護者のニーズに対応できるよう、保育所等での通常の開所時間を超えて保育を行う事業を拡充します。 2 一時預かり事業の拡充  保育所やその他の場所において、一時的に子どもを預かる事業を拡充します。 3 幼稚園における預かり保育等の拡充  幼稚園型の一時預かり事業を創設するなど、現在実施している幼稚園における預かり保育の拡充に向けた取組みを行います。 4 病児・病後児保育事業の拡充  病気やケガ等で集団保育が困難な時期に専門施設において保育を行う病児・病後児保育事業を拡充します。 (2)保育・幼児教育の質の向上  現状と課題 ・ 保育需要の急激な高まりに対応するための保育施設整備が進められる中、子どもや保護者が安心して保育・幼児教育を利用できるように、これまでの保育・幼児教育の質を確保するとともに、さらなる向上が求められています。 ・ 保育・幼児教育を保護者が選択するにあたり、施設やサービスの情報提供とともに、情報の読み解き方を伝えるなどの支援が求められています。 ・ 全国的な保育需要の増加に伴い、保育士が不足しています。他職種と比較し、平均勤務年数が短いこと、保育士、幼稚園教諭の相談の受け皿の不足なども課題です。 ・ 学校教諭、幼稚園教諭、保育士の交流や情報交換の場は少なく、いわゆる「小1プロブレム」や保育・幼児教育と学校との継続した連携の困難さなどが課題です。  目標 ・ 区が定める基準等に基づく質の高い保育・幼児教育が提供されている。 ・ 区立施設で、保育・幼児教育の質の向上を図る先導的な取組みが行われている。 ・ 区立施設が中心となって、地域の保育ネットワークが充実・強化され、保育・幼児教育の質の向上に向けた連携・協力が図られている。 ・ 保護者が施設やサービスについて、十分な情報が得られ、その情報を読み解く力をもって適切なサービスを選択できる。 ・ 職員の処遇改善や、職員間の交流・情報共有の機会の充実が図られ、不安や悩みが軽減され、モチベーションを保って質の高い保育・幼児教育を提供している。 ・ 学校教諭、幼稚園教諭、保育士などが、互いに交流し、それぞれの保育・幼児教育を知る情報交換の機会をもつことで、幼保小の連携が図られ、子ども、保護者が安心して新たな施設の利用開始を迎えている。  施策展開 ○1 保育の質を支える仕組みの構築  指導・監督や巡回指導相談を通じて、各保育施設において専門的な知識・技術を身につけるともに、地域の保育施設間のネットワークを強化することにより、質の向上を図ります。 1 巡回指導相談の拡充  区内保育施設に保育士、看護師などの専門職が訪問し、保育内容や子どもの健康状態などを確認し助言等を行うことにより、保育の質の確保・向上を図ります。 2 指導・監督体制の強化  地域型保育事業の認可権、認可保育所等の指導・検査業務の一部が区へ移管されることに伴い、東京都と連携し、指導・監督業務を強化します。 3 保育施設間ネットワークの強化  区内5地域で設置されている、様々な保育施設が支えあい、保育の質の向上に向けた取組みを行う保育関係者のネットワークの支援・強化を図ります。 4 保育の質ガイドラインの活用  子どもを中心とした保育を実践するために作成した「世田谷区保育の質ガイドライン」の周知・活用を図ることにより、事業者・保護者・区民と共通理解を深め、ともに保育の質の向上に取り組んでいきます。 ○2 区立施設が果たしていく役割の強化  多元化する様々な実施主体が多様な形態の施設を運営することとなる中で、当面日頃から多くの事業者と関わりが強い区立施設が核となり連携を図ることで、質の確保を図ります。 1 認可外保育施設・地域型保育事業への支援  小規模保育などの地域型保育事業や認可外保育施設に対する支援や連携を通じて質の確保を図ります。 2 拠点園の整備  老朽化した区立保育園の再整備に伴い、各地域に子育て支援の拠点的機能を持つ区立保育園を整備していきます。 3 災害時の保育施設支援  認可保育施設・認可外保育施設を問わず、園児の安全確保と保育の継続に向けて支援していきます。 4 区立幼稚園の用途転換を見据えた取組み  区立幼稚園の用途転換に際し、区の幼児教育の役割を果たしていく観点から、幼保一体化の推進をはじめ、「小1プロブレム」に対応した幼保小の連携及び小学校への円滑な接続、幼児教育の充実を図るための研修や研究を行っていきます。また、配慮を必要とする子どもに対する支援や身近な子育て支援などを行っていきます。 ○3 保護者の保育・幼児教育等の選択への支援  多様な形態で運営される保育・幼児教育等について、保護者が十分な情報を持って、家庭の状況やニーズにあった施設・サービスを選択できるよう支援します。 1 身近な場での相談・情報提供  妊婦や親子が気軽に行ける身近な場所で、保育・幼児教育等の情報が得られ、必要に応じて相談が受けられるよう、利用者支援事業の実施を含め体制を整備していきます。 2 情報を得るツールの工夫  手軽に保育・幼児教育等の情報が得られるよう「子育て応援アプリ」の活用を図ります。また、新制度実施に伴い都により公開される施設・事業の情報とあわせ、区ホームページ等によりチェックすべきポイントを伝えるなど、情報の読み解き方について周知していきます。 ○4 保育・幼児教育に携わる人材の確保・育成  幼稚園教諭や保育士など保育・幼児教育の担い手を確保するとともに、研修などを通じて携わる人材の資質・能力の向上を図ります。 1 保育人材確保支援  待機児解消に向けた保育施設の新設により、全国的に保育士不足が予測されるなか、保育施設の新設とあわせ、保育人材情報等のポータルサイトの設立や、地方も含めた就職相談会の実施、保育士の宿舎借り上げ支援など、保育運営事業者の人材確保の支援を行います。 2 在宅有資格者向け研修の実施  現在、資格を持ちながらも、保育・幼児教育に携わっていない有資格者に対して、研修などを実施し、現場から離れていることからの不安などを解消することにより、担い手の確保を図ります。 3 ハローワーク等と連携した保育・幼児教育施設就職支援  保育・幼児教育に携わることを希望する者と、担い手を確保したい事業者をマッチングする支援を行います。 4 保育・幼児教育に関わる人材の育成  幼稚園教諭や保育士の資質・能力の向上を図るため、研修を実施するとともに、私立幼稚園が実施する研修等に対する支援を行います。また、新教育センターの整備にあたり、幼稚園教諭・保育士などの研修とともに幼児教育の研究を行う幼児教育センター機能について検討を進めます。 5 幼稚園教諭や保育士の不安軽減  幼稚園教諭や保育士が抱える不安や悩みの軽減を図るため、合同研修や交流・情報共有の機会をつくります。 ○5 幼保小連携の促進  区立小学校と公私立幼稚園、保育園等との連携を推進し、保育・幼児教育を踏まえた小学校教育の充実、小学校教育を視野に入れた保育・幼児教育の充実を図り、幼稚園、保育園等と小学校の円滑な接続を図ります。 1 保育・幼児教育と区立小学校の交流の機会の創出  児童が円滑に小学校へ移行できるよう、幼稚園や保育園等と小学校との連絡会や交流を実施し、互いの教育や保育の知識を深めながら、小学校教員も含めた合同研修のあり方等の検討を進めます。 2 区立小学校と幼稚園、保育園等との連携の支援  「就学前教育と小学校の接続のための資料集」の活用等を通し、現在実施している小学校との連携を踏まえながら、区立小学校と公私立幼稚園、保育園などとの連携及び円滑な接続をより一層推進していきます。 ○私立幼稚園における幼児教育環境の充実と保護者や地域への子育て支援 ・私立幼稚園における幼児教育環境の充実  私立幼稚園で過ごすすべての子どもの豊かな学びと健やかな成長を支援するため、引き続き幼児教育環境の充実を図ります。また、小学校教育を視野に入れた幼児教育内容の充実を図るとともに、小学校への円滑な接続に向け幼小連携を図ります。 ・私立幼稚園による保護者や地域への子育て支援  世田谷区の多くの私立幼稚園では、在園児に対する教育だけでなく、地域や幼稚園の特色を生かし、保護者や地域の子育て世帯を対象とした育児相談や、園庭解放、体験保育など地域の子育てを支援するさまざまな取組みを行っています。また、保護者のニーズに応じた預かり保育を実施し、子育て支援の一翼を担っています。なお、私立幼稚園が行うさまざまな行事は、保護者と力を合わせて実施されています。 (3)保育と幼児教育の一体的な提供  現状と課題 ・ 国では、認定こども園の普及・促進を目指しています。一方で、保育待機児の課題を抱える世田谷区では、待機児解消に向けて保育定員の拡充が欠かせない状況です。 ・ 保育と幼児教育に携わる職員の研修をはじめとする交流の場が少ないため、一体的な提供に向けて、研修体系を見直すとともに、交流の機会を充実する必要があります。 ・ 認定こども園の運営にあたっては、保護者の就労状況等が異なるため、保護者同士がお互いの状況をよく理解したうえで、施設運営に関わることが必要です。  目標 ・ 認定こども園の制度について、保育・幼児教育事業者への周知が図られ、移行等希望園に対する適切なバックアップが行われている。 ・ 保育士と幼稚園教諭の合同研修や交流の場・機会が充実しており、お互いの保育・幼児教育の内容を把握することで、ソフト面における一体的な提供が図られている。 ・ 既存の区内幼稚園、保育所等に従事する職員が幼稚園教諭資格と保育士資格の両資格を取得している。  施策展開 ○1 認定こども園の普及・促進に向けた取組み  国が促進する認定こども園の周知や、移行に向けた支援をすることにより、認定こども園の普及・促進に向けた取組みを進めます。 1 認定こども園への移行支援  既存の保育・幼児教育施設から認定こども園への移行を希望する園に対して支援を行います。 2 区立幼稚園の用途転換  区立幼稚園用途転換による認定こども園の整備を進めます。 3 認定こども園制度の周知  園長会や研修会などを通じて、認定こども園制度の周知を図ります。 ○2 保育と幼児教育の一体的な提供に向けた職員の育成  保育及び幼児教育に携わる職員の研修の場や交流の場を確保・提供することにより、質の高い職員を育成します。また、区立幼稚園の認定こども園への転換等に的確に対応できる保育士、幼稚園教諭などの担い手の育成を図ります。 1 幼保一体化に的確に対応できる職員の育成  幼児教育センター機能を整備し研修等の実施を通じて、幼保一体化に的確に対応できる職員を育成します。 2 幼稚園教諭資格と保育士資格の両資格取得に向けた支援  既存の保育・幼児教育に従事する職員に対して、幼稚園教諭資格と保育士資格の両資格の取得を促進するための支援を行います。 3 幼稚園と保育園等の交流の機会の創出  合同研修会や情報交換会などを通じた交流や情報共有を行うことを通じて、互いの保育・幼児教育を知り、既存の施設・事業形態でも実質的な保育と幼児教育の一体的な提供が図れるよう、保育・幼児教育に携わる人材の育成を図ります。 3 支援が必要な子ども・家庭のサポート (1)養育困難家庭・要保護児童支援  現状と課題 ・ 核家族化や地域コミュニティの希薄化により子育て家庭が孤立し、子育てに対する不安感・負担感が高まっている現状に対して、地域社会で子育てを支援する必要があります。 ・ 支援が必要な家庭の課題が困難化・複雑化しており、早期からの適切かつ継続した支援を行う必要があります。そのためには、子ども家庭支援センターのソーシャルワーク機能の向上とケースワーカーの専門性・経験の蓄積が欠かせない状況です。 ・ 要保護児童支援協議会によるネットワークを強化し、行政、関係機関、NPO等による妊娠・出産から乳児期、青少年期までの切れ目のない支援が必要です。  目標 ・ 地域社会で子育てを支援する体制づくりを進め、子育て支援拠点施設の整備・充実、子どもを育むNPOの活動提供が図られている。 ・ 子ども家庭支援センターのソーシャルワーク機能が向上するとともに、関係機関のネットワークが充実し、支援が必要な子ども・家庭が適切な支援につながっている。 ・ 子ども家庭支援センターのケースワーカーが、困難化・複雑化した課題に対応できる児童福祉司と同等の知識・経験を有している。 ・ 要保護児童支援協議会の関係機関の役割が明確化され、地域における支援体制をより強固にした地域全体で子どもや子育て家庭への切れ目のない支援が図られている。 ・ 児童相談所が移管され、児童相談が一元的・総合的に行われている。 グラフ 「要保護児童 新規・年度末継続相談件数」 グラフ 「平成25年度 要保護児童相談の児童年齢別内訳(虐待・養護相談)」  施策展開 ○1 養育困難家庭・要保護児童の早期支援の充実  地域社会で子育てを支援する体制づくりを進め、子育て家庭の孤立化の予防や不安感、負担感の軽減を図るとともに、支援者の気づきの感度を高め、リスクの高い子育て家庭を早期に適切な支援につなげていきます。 1 早期発見・早期対応の仕組みの充実  乳児期家庭訪問、乳幼児健診などの機会や、日頃利用する地域の中の施設等において、リスクを早期に発見し、支援の手からこぼれ落ちることのないよう、継続した支援につなげていきます。 2 産後ケア事業の展開  宿泊ケアやデイケアを通して産後の育児不安や体調不良等の解消に取り組む産後ケア事業について、ニーズにあった効果的な展開を図ります。 3 地域の子育て団体との連携  アウトリーチ型を含む支援を実施する地域の子育て団体との連絡、調整を図り、連携、協働した支援を展開します。 4 利用者支援事業との連携  利用者支援事業において地域ごとに構築するネットワークや、ネットワークを構成する支援拠点や支援者を通し、子育て家庭の孤立化予防や不安軽減の取組みを充実するとともに、支援者の気づきの感度を高め早期発見・早期支援を進めます。 ○2 継続支援・生活支援の仕組みの充実  支援が必要な家庭の課題が困難化、複雑化していることに対応するため、ソーシャルワーク機能の向上に向けて一人ひとりの支援力を高め、チームアプローチを適切に行います。また、事業手法の検証・検討を通じて、子ども・家庭にとって望ましい生活が実現できるまで継続して地域で支援する体制を整備していきます。 1 適切な養育困難ヘルパー派遣の実施  適切なアセスメントにより虐待の予防及び防止を図ります。 2 親支援講座の充実  子育てへの不安、負担感を肯定的に受け止め、無理のない子育てを行うための講座等について、プログラムの見直しを図り、効果的な支援を進めます。 3 学生ボランティア派遣事業の充実  虐待を受けた子どもへの学習、遊び、話し相手等を行う学生ボランティア派遣事業について、ニーズを踏まえ必要な支援が図れるよう進めていきます。 4 子ども家庭支援センターの人材育成とソーシャルワーク機能の向上  困難化・複雑化する課題を抱える家庭に対して適切な支援を行うため、研修プログラムの構築・実施を通じて、職員の知識、気づきの感度、援助技術を高めます。また、児童相談所の移管も視野に入れ、専門機関を活用した人材育成の実施などにより、子ども家庭支援センターのソーシャルワーク機能の向上を図ります。 5 継続的な支援を展開するための体制の整備  時間の経過や子どもの成長、親の環境の変化により、必要とされる支援も変化するため、継続的に寄り添った支援を展開するための体制や仕組みを整備していきます。 図:虐待防止に向けた区の取組み  予防(一次予防)から早期発見・早期対応(二次予防)、再発防止(三次予防)に向けた仕組みを構築し、児童虐待のないまち世田谷を目指していきます。 ○3 地域支援体制の構築  虐待を受けている子どもをはじめとする要保護児童等の適切な問題解決に向けて、行政、関係機関、NPO等の機能や特性の相互理解を深め、役割を明確化するなどネットワークの強化を図るとともに、すべての子どもが、安心できる家庭など自分の居場所を見つけ成長していけるよう、地域全体で子どもや子育て家庭への切れ目のない支援を図ります。 1 要保護児童支援地域協議会を活用した支援  関係機関とのネットワーク強化を図り、行政、関係機関、NPO等が連携して子育て家庭への支援を展開します。 2 周産期部会、学齢期部会を活用した支援  医療機関、学校と課題解決に向けた検討を進め、効果的な支援を展開します。 3 地域関係機関への人材育成と人材活用  保育園、幼稚園、地域子育て団体、主任児童委員など地域で子どもと関わる機関・人材に対する研修等を通じて育成を図り、地域の中での支援を進めます。 4 普及啓発事業の充実  子どもの虐待防止推進フォーラムや養育家庭体験発表会等を実施し普及・啓発に取り組むとともに、その他のイベント等の機会を活用した周知を図ります。 5 児童相談の一元的・総合的な展開に向けた検討  児童相談所の移管を視野に入れ、要保護児童等への一元的・総合的な支援を行うための体系・システムの構築に向けた検討を進めます。 (2)配慮が必要な子どもの支援  現状と課題 ・ 配慮が必要な子どもを早期に必要な支援につなげるため、各子育てステーションに発達相談室を設けたほか、相談しやすく専門性の高い支援として発達支援親子グループ事業を実施するなど、保護者の気づきを促し、養育力の向上を図る取組みを実施してきました。今後もこうした取組みを充実させていく必要があります。 ・ 総合福祉センターと発達障害相談・療育センターにおいて、子どもに関わる支援機関に対する研修や巡回訪問による技術支援、地域社会に対する理解啓発の取組みを進めています。今後も地域で支えるための取組みを強化していく必要があります。 ・ 支援情報がライフステージで途切れることなく引き継がれるよう、「スマイルブック」などを活用した支援情報の引継ぎや関係機関のネットワークづくりを推進していますが、福祉と教育が一層連携し、進学や転校・転園の際も支援情報が引き継がれることが求められています。 ・ 子どもの社会的な自立や発達を促すため、障害児通所支援の拡充等を図っています。配慮が必要な子どもが地域で安心して過ごせるように、療育・日中活動の場や放課後の居場所を確保することが必要です。 ・ 配慮が必要な子どもを育てる家族は特に孤立しやすく、困難な状況に置かれやすいため、相談支援体制等の構築が求められます。  目標 ・ 乳幼児期の保護者の心情に配慮した支援に取り組んでいる。 ・ 専門職員から子どもに関わる支援者への技術的な支援等が行われ、支援者の理解の促進や対応スキルの向上が図られている。 ・ 福祉と教育や関係機関、家庭が連携し、ライフステージを通して支援情報が途切れることなく引き継がれている。 ・ 配慮が必要な子どもが安心して過ごすための合理的配慮が行われている居場所や適切な教育を受けられる場が、身近な地域で提供され、子どもの社会的な自立や発達を促す体制が整備されている。 ・ 配慮が必要な子どもを育てる家族が身近に相談できる場やリフレッシュ、レスパイトの機会があり、孤立することなく支援につながっている。  施策展開 ○1 配慮が必要な子どもの早期支援の充実  障害等により配慮が必要な状態にある子どもが早期に必要な支援につながることは、子どもの発達を促し生活上の困難を軽減するだけでなく、虐待やいじめなど二次的な障害を防ぐためにも重要です。  育児への不安や難しさを抱える保護者の心情に配慮し、ゆるやかで保護者が相談しやすい環境を提供するとともに、関係各機関が連携し、支援が必要な親子が早期に支援へつながるよう支援体制を充実します。 1 乳幼児健診との連携による早期発見・早期支援  発育発達の目安となる月齢で行う乳幼児健診では、必要に応じて専門的相談の紹介や育児グループの利用案内をするなど継続的な支援につないでいます。特に、社会性等の発達や母子関係のつまずきを早期に発見する時期となる、1歳6か月児健診後にフォローグループを実施し、子どもの成長支援・保護者の相談を行います。 2 4歳6か月児発達相談案内  子どもの発達に不安を抱える保護者が早期に必要な支援へつながることができるよう、相談案内のリーフレットを送付し情報の提供を図ります。 3 発達支援親子グループ事業(再掲)  子どもの発達に不安を抱える保護者に対し、子どもとの遊び方や子どもの特徴への理解を深め、養育力の向上を図ります。 4 自らの特性に対する気づきの促進  生きづらさを抱えた若者に対し、自らの特性への気づきを促すプログラムを実施します。 ○2 日常を過ごす場や地域で安心して過ごせる支援の充実  障害のある子どもが過ごす場所における合理的配慮の提供、及びその基礎となる環境の整備に向けた取組みを進めるとともに、安心して過ごすことができる療育や日中活動の場の確保に取り組みます。 1 地域に対する理解の促進  身近な地域においてミニ講演会を行うなど、地域社会に対する障害理解を促進します。 2 子どもに関わる支援者のスキルアップ  専門支援機関による研修や巡回指導を通じて子どもに関わる支援者のスキルアップを図ります。 3 保育所や幼稚園等での支援体制の充実  障害の有無に関わらず、子どもが保育・幼児教育等を利用できるよう必要な支援を行うとともに、合理的配慮の提供に向けて取り組みます。 4 特別支援教育の充実  配慮が必要な子どもへの合理的配慮の提供や基礎的環境の整備に向けて取り組みます。 5 放課後の居場所の確保  配慮が必要な子どもの放課後の日中活動の場の充実を図ります。 6 在宅療養児の支援の充実  疾病や障害により、在宅での療養を余儀なくされている子どもと家族への支援を充実します。 7 家族支援の充実  配慮が必要な子どもを育てる家族が抱える不安や悩みを受け止め、課題解決に必要な情報提供等寄り添った相談支援に取り組みます。  また、家族を対象としたリフレッシュやレスパイトのための事業の実施とともに、障害児と暮らす家族の就労を支える仕組みの検討に取り組みます。 ○3 途切れのない支援の実施  ライフステージを通して途切れのない支援が行えるよう、支援情報の引継ぎ支援を行います。また、教育上の配慮が必要な子どもについては、保護者同意のもとに作成する「就学支援シート」による支援を行います。 1 スマイルブックの活用  「スマイルブック」等を活用し、ライフステージを通した支援情報の引継ぎを支援します。 2 就学支援シート等の活用  教育上の配慮が必要な子どもについて、「就学支援シート」等を活用して、支援を行います。 (3)ひとり親・生活困窮家庭等の子どもの支援  現状と課題 ・ 子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備していくことは重要です。子ども貧困対策は、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目指し、第一に子どもに視点を置いて、切れ目のない支援が必要とされています。 国の調査では子どものいる現役世帯のうちひとり親家庭を含む大人が一人の世帯の貧困率が54.6パーセントとなっていることから、特に、ひとり親家庭の子どもや生活困窮状況にある生活保護世帯の子どもへの優先的な支援を講じるよう求められています。 ・ ひとり親家庭や生活困窮家庭等の子どもは、塾に行きたくても経済的な理由で行くことができない、聞きたくても近くに聞く人がいないなど、学習環境の課題を抱えています。また自立に向け、就労をイメージできる機会の提供が望まれます。 ・ ひとり親家庭の貧困の世代間連鎖を断ち切るためには、子どもへの支援と同時に親への支援を講じる必要があります。ひとり親家庭は、子育てと生計を維持することに日々追われ、地域社会とのつながりが希薄であり、孤立化しやすい状況にあります。また、相談時間の確保や自ら情報収集する余裕もないなど、ひとり親家庭の困難さに寄り添った相談支援や情報提供が求められています。 ・ ひとり親家庭が安定した生活を営むためには、就労支援の充実とともに、求職活動中の子どもの預かりなど就労に向けた環境が整備されている必要があります。 ・ 離婚件数の増加に伴い、ステップファミリー(継父母と生活する家庭)も増加しており、家族形成にストレスを伴うことも多く、児童虐待やDVにつながる要因をはらんでいます。  目標 ・ ひとり親家庭や生活困窮家庭等の子どもの学習環境や居場所が充実し、自立に向けたステップアップが図られている。 ・ 個々の状況に応じた十分な情報が得られ、その人に寄り添った相談支援とともに、ひとり親家庭の自立が促進されている。 ・ ひとり親家庭の地域での暮らしを支える環境やシステムが整っている。 ・ 就労支援の充実とともに、ひとり親の就労に向けた活動を支える環境が整備されている。  施策展開 ○1 ひとり親家庭、生活困窮家庭等の子どもの自立に向けた支援の充実  子どもの将来が生まれ育った家庭の状況に左右されることがないよう、ひとり親家庭や生活困窮家庭等の子どもへの学習支援事業や多様な大人や年長者との交流の機会を提供し、子どもの自立への支援を行います。 1 学習支援事業の実施  ひとり親家庭等の子どもを対象に、大学生等ボランティアによる学習支援事業や居場所の整備を通して学びの場と機会を提供します。 2 就学のための経済的負担の軽減  子どもの就学が生まれ育った家庭の状況に左右されることがないよう、就学資金の貸付等を通じて就学にかかる経済的負担の軽減を図ります。 ○2 情報提供・相談機能の充実  ひとり親のその人らしい自立を支援するために、個々の状況を適切に捉え、必要な時期に必要な社会資源や支援制度等が活用できるよう情報提供を充実し、ひとり親家庭の困難さに寄り添った総合的・包括的な相談支援を行います。 1 多様な媒体を活用した情報提供  紙媒体やホームページに加え、メールマガジン配信やスマートフォンアプリ等、多様な媒体を活用した情報提供を行います。 2 多様な相談への対応強化  保育園・幼稚園・児童館等ひとり親家庭に関わる身近な施設での相談支援の充実を図りつつ、子ども家庭支援センターにおいて総合的・包括的な相談支援を行います。 3 支援策の検討と人材育成  自立に必要な支援等のプログラムの開発や支援システム(ネットワーク)の開発の検討を行うとともに、母子自立支援員等ひとり親家庭に関わる支援者の研修を体系化し充実を図ります。 ○3 ひとり親家庭の自立に向けた就労支援の充実  ひとり親家庭の経済的自立を支援するため、関係機関との連携強化を図り、個々の状況に応じた自立支援プログラム等を活用し、有効な就労支援を行います。 1 自立支援プログラム等の活用  ひとり親のその人らしい就労に向け、各種支援事業を組み合わせた自立支援プログラム等を活用した就労支援を行います。 2 就労支援講座等の実施  関係機関と連携を図り、ひとり親家庭向けの就労支援講座等を実施し、有効な就労支援を行います。 ○4 ひとり親家庭の子育てと仕事の両立を図るための子育て・生活支援等の充実  ひとり親は、子育てと生計を立てるという役割を一人で担っています。ひとり親家庭が地域の中で安心して生活するための支援を行います。 1 生活支援の実施  ホームヘルパー派遣や保育サービス等の充実により生活を支援します。 2 住宅支援の実施  住宅に困窮するひとり親家庭に、公的住宅に関する適切な情報提供を行うとともに、民間賃貸住宅の入居や継続居住のための支援サービスを案内します。 3 母子生活支援施設の機能強化  母子生活支援施設の保育等の生活支援の機能強化を図るとともに、社会的養護の機能を担う施設として母子関係の調整や子どもの家庭復帰を支援する場としての活用を検討するなど、母子家庭の自立に向けた支援を行います。 4 ひとり親家庭の孤立防止  ステップファミリーの課題を含め、ひとり親のその人らしい自立に向けて必要な講座の検討やひとり親家庭の交流を促進します。 5 経済的な支援  手当や資金貸付等により、ひとり親家庭の経済基盤の安定を支援します。 (4)悩みや困難を抱えた子どもの支援  現状と課題 ・ 不登校、いじめ、虐待・ネグレクト、性や思春期のこころの問題、発達発育など、子どもとその保護者が抱える問題が複雑・多様化しています。問題の早期発見や未然防止、発生後の対応等、相談機能の重要性が高まっています。 ・ ひきこもり、虐待、障害など、ハンディキャップを抱えた青少年や社会的にマイノリティとされる子どもやその家庭が、地域の一員として安心して日常生活を過ごせる環境が求められています。 ・ 様々な要因により支援の手が届かないと長期のひきこもりに移行するリスクが高くなるため、これを防ぐ対応が求められています。  目標 ・ 子どもとその保護者に関する相談機能が充実している。 ・ 悩みや困難を抱えた青少年の支援を行う人や機関のネットワークが有効に機能し、それらの支援を受けながら、段階を経て、社会に参加・参画し、自立に向かう環境が整備されている。 グラフ 「今困っていること、悩んでいること(小学生、中高生)」 グラフ 「困ったときや悩んだときにまず相談する人(小学生)」  施策展開 ○1 ニーズに応じた相談機能の充実  不登校、虐待・ネグレクト、性や思春期のこころの問題、発達障害など、子どもとその保護者が抱える複雑・多様化する問題に対応するため、総合的な支援や専門的な相談など、ニーズに応じた相談機能を充実し、問題を早期に発見し、適切な支援を図ります。 1 相談機能の充実  複雑化・多様化する悩みや問題を抱える子どもやその保護者のニーズに対応できるよう、相談機能を充実します。 2 不登校等への取組みの充実  スクールカウンセラーによる学校での相談機能に加え、教育相談室による学校支援、不登校相談窓口、メンタルフレンド派遣、不登校保護者のつどい、ほっとスクール運営等により、不登校やいじめ問題等に関わる取組みを充実します。また、第3のほっとスクールの設置に向けて検討と開設準備を進めます。 3 青少年支援機関と相談機能を持つその他関係機関との連携  若者総合支援センター等の青少年支援機関と相談機能を持つその他関係機関との連携を強化し、子どもや保護者に寄り添った継続的な支援を図ります。 ○2 子どもの居場所の拠点整備  様々な要因により支援の手が届かない子どもが長期のひきこもりに移行するリスクなどを低減するため、悩みや困難を抱えた子どもや生きづらさを抱えた若者とその保護者への支援を行う人や機関への支援を行うとともに、多世代交流を視野にいれた身近な居場所整備、運営を行う地域活動への支援を行います。 1 身近な居場所整備への支援  身近な居場所整備運営を行う地域活動を支援し、段階を経て、社会に参加・参画し、自立に向かう環境を整えます。 2 悩みや困難を抱えた子ども・若者支援者、支援機関への支援  悩みや困難を抱えた子どもや生きづらさを抱えた若者の支援を行う人や機関同士のネットワークづくりの支援を進めます。 4 質の高い学校教育の充実 (1)地域との連携・協働による教育  現状と課題 ・ 「地域運営学校」の全校指定を機に、学校と地域の連携を一層充実させ、地域とともに子どもを育てる教育をさらに推進する必要があります。 ・ 区立学校は、地域防災や地域行事など、学校・家庭・地域の連携・協働による取組みを一層充実するなど、地域コミュニティの核としての学校づくりが求められています。 ・ 区内大学と教育委員会の連携事業を充実させ、大学等の研究機能を一層活用した地域課題解決型の教育事業の充実が必要です。 目標 ・ 「地域運営学校」の充実と学校を支援するボランティア組織体制づくりにより、学校支援が図られている。 ・ 区立学校が核となって、様々な活動・取組みを通して、学校・家庭・地域の連携が進み、地域コミュニティが活性化している。 ・ 区内大学と教育委員会が連携して社会貢献やボランティア活動を推進するための仕組みが整備されている。  施策展開 ○1 地域が参画する学校づくり  学校運営委員、学校協議会などの相互関係を整理して、機能的な組織とするため、学校を支えるボランティア組織へ再編する等、地域で学校を支える体制づくりを進めます。また、学校・家庭・地域が連携し、学校内外の安全対策、事故防止などを強化します。 1 地域運営学校の充実、学校を支援する効率的な体制の検討  学校協議会を機能的・実践的にしていくため、世田谷らしい地域特性を生かした、学校を支えるボランティア組織へ再編し、地域で学校を支える体制づくりを進めます。 2 地域と連携した児童・生徒の安全対策の推進  子どもたちが事件や事故に巻き込まれないよう、学校・家庭・地域が連携し、学校内や通学路の安全対策、事故防止などを強化します。 ○2 地域コミュニティの核となる学校づくり  遊び場開放事業、新BOP事業、地域の文化・スポーツ団体への学校施設の活用を拡大するとともに、学校と地域の連携による防災訓練や学校施設を利用した地域行事など、地域と連携した活動や取組みを行います。 1 学校施設の活用  「学校の施設の地域利用に係る指針」に基づいて、区長部局と教育委員会が連携し、総合型地域スポーツクラブなどの学校を拠点とした地域活動などを支援し、学校施設利用の拡充を図ります。 2 地域活動の促進  学校と地域の連携による防災訓練や学校施設を利用した地域行事の実施など、保護者や地域の人々と連携しながら地域コミュニティの活性化を図ります。 ○3 地域教育力の活用  区内大学と教育委員会の連携による小・中学校への学生派遣事業、リカレント学習連携講座の開催等の連携事業を充実させるとともに、大学等の研究教育機関を一層活用した地域課題解決型の社会教育事業を充実します。 1 大学等との連携の充実  区内大学との連携・協力による多様な地域課題に対応した社会貢献、ボランティア育成事業を検討、実施します。 (2)「世田谷9年教育」で実現する質の高い教育の推進    現状と課題 ・ 地域の区立小・中学校が一体となって、「世田谷区教育要領」に基づく教育活動を展開し、質の高い9年間の義務教育(「世田谷9年教育」)を推進することが必要です。 ・ 知・徳・体をバランスよくはぐくむことが求められています。 ・ 国際理解や環境に関する教育、防災・安全教育など、これからの社会を生き抜くために必要な資質や能力をはぐくむことが必要です。 ・ 配慮が必要な子どもたち一人ひとりの能力や可能性が最大限に伸長されるように、特別支援教育の一層の充実を図る必要があります。 ・ 子どもの生命や心身に重大な危険が生じる事案が発生していることから、いじめの未然防止の取組み強化が求められています。  目標 ・ 「世田谷9年教育」が区立学校全校に定着し、教育の質の向上が図られている。 ・ 「豊かな人間性」「豊かな知力」「健やかな身体・たくましい心」の育成が図られている。 ・ 変化の激しいこれからの社会を生きる力の育成が図られている。 ・ 一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育が充実している。 ・ 「いじめ防止基本方針」等を踏まえ、いじめ防止等の総合的推進に取り組んでいる。  施策展開 ○1 豊かな人間性の育成  「豊かな心」、「豊かな感性」、「社会の一員としての自覚」など、人間性・道徳性をはぐくみ、よりよい生活習慣を身に付けるための取組みなどを推進します。 1 人権教育と「生命の大切さ」を学ぶ教育の推進  児童・生徒が、何ものにも代えがたい「人権」や「生命」を尊び、重んじる精神を実感し、情操を高めながら、豊かな感性をはぐくむ教育を推進します。 2 「人格の完成をめざして」の取組みの充実  児童・生徒が、人として生きるうえで大切な道徳性をはぐくみ、市民としてのよりよい生活習慣を身に付けられるよう取組みを充実します。 3 道徳教育の充実  児童・生徒が人として生きるうえで大切な人間性・道徳性をはぐくむことができるよう、すべての教科等を通して、道徳教育の充実を図ります。 4 いじめ防止等の総合的な推進  教育環境におけるいじめの早期発見や未然防止、発生後の対応等、いじめ防止等に関する総合的推進に取り組みます。 5 子どもたちが体験・体感する機会の拡充  動植物とのふれあいや自然体験学習など、「実物」に触れ、感じ、体験する機会を拡充します。 ○2 豊かな知力の育成  児童・生徒の基礎・基本などをはぐくむ取組みを推進するとともに、理数・英語教育の充実、 ICT機器を活用した授業の推進、学校図書館の機能充実などに取り組みます。 1 世田谷区教育要領に基づいた教育の推進  「世田谷区教育要領」に基づき質の高い教育の実現をめざし、児童・生徒の基礎・基本などをはぐくむ取組みを推進します。 2 理数・英語教育の充実  数学や自然現象・科学技術への関心や興味を高め、数学・科学的素養の伸長を図る理数教育の充実や、英語によるコミュニケーション能力を伸ばす英語教育の充実を図ります。 3 ICTを活用した授業の推進  教員のICT活用能力の向上、児童・生徒の情報活用能力の習得、ICT機器を活用する事業を推進するとともに、情報モラル教育の充実を図ります。 4 読書力の育成・学校図書館機能の充実  学校図書館の機能の充実に取り組み、児童・生徒が知的好奇心を伸ばし、豊かな人間性と知力をはぐくめるよう読書活動の充実を図ります。 ○3 健やかな身体・たくましい心の育成  区立小・中学校における体育・保健体育の授業やスポーツに親しむきっかけづくりの場を充実するとともに、食育や心と体の健康づくりを推進し、児童・生徒の体力向上・健康推進を図ります。 1 体力の向上  「世田谷区教育要領」に基づき小・中学校、幼稚園の運動・遊びや体育・保健体育の授業における体力向上をめざします。また、地域や区内大学との連携を推進し体力向上に向けた新たな取組みを検討・実施します。 2 食育の推進  学校における食に関する指導の充実や異世代が交流して共に食べる機会(共食)を通じて食育を推進します。 3 心と体の健康づくり  学校における健康教育を充実するとともに、学校や家庭、地域などが連携して子どもたちの心と体の健康づくりを推進します。 4 中学校の部活動の充実  スポーツや文化・芸術に親しむことを通じて、生徒が学習意欲や責任感・連帯感をはぐくみ、体力の向上を図れるよう重要な教育活動の一環として部活動の充実を図ります。 ○4 これからの社会を生きる力の育成  日本文化を理解し大切にする子どもの育成をねらいとする教科「日本語」をはじめ、国際理解や環境に関する教育、防災・安全教育などを推進し、持続可能な社会の形成者としての成長をはぐくみます。 1 教科「日本語」の充実  これまでの教科「日本語」の取組みの検証や、今後の指導内容・指導形態の検討を進めるなど、世田谷区独自の教科「日本語」として、より一層質の高い授業の実現に取り組みます。 2 環境・エネルギー教育の推進  児童・生徒一人ひとりが環境やエネルギーなど世界規模の課題について、自分たちの課題として考え、取り組む態度をはぐくみ、持続可能な社会の形成者として成長できるよう、環境・エネルギー教育を推進します。 3 国際理解教育の推進  世界の人々とともに生きていくことのできる資質・能力の基礎を習得できるよう、国際理解教育の取組みの推進を図ります。 4 防災・安全教育の推進  子どもたちが自ら判断し行動できる力を養う防災教育や、小・中学校や地域と連携した防災訓練、地震・火災・風水害等の災害に備えた防災教育を推進します。 5 社会と関わる体験活動の充実  社会活動やボランティアを通じて社会性や他の人を思いやる心などをはぐくめるよう体験活動を充実します。 ○5 特別支援教育の充実  障害の種別や地域バランス等に配慮しながら、特別支援学級の計画的な整備・充実とともに特別支援教育体制の充実を図ります。 1 特別支援教育体制の充実  通常の学級に在籍する配慮が必要な子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに対応するため、児童・生徒に対する学習活動や学級活動への支援や通常の学級における特別支援教育にかかる指導体制の充実を図ります。 2 特別支援学級の整備・充実  障害の種別や地域バランス等に配慮しながら、学校の増・改築等にあわせて計画的な学級整備に取り組むとともに、特別支援学級の指導体制等の充実を図ります。 3 インクルーシブ教育システムの検討  国や都の動向を踏まえ、今後の世田谷区における特別支援教育のあり方について検討し、検討結果を踏まえた取組みを着実に進めます。 (3)信頼と誇りのもてる学校づくり  現状と課題 ・ 質の高い教育を推進するため教職員の指導力向上が不可欠ですが、研修に参加する時間がなかったり、小・中学校、幼稚園の教員の共同による研修・研究や情報交換・交流を行う機会や場が少ない等の課題があります。 ・ 現在の教育センターは、施設面でのキャパシティ不足や多様な研修・研究を支える設備や機能面が不十分であり、さらに、施設も老朽化しています。幼稚園を含め100校を超える区立学校を擁する自治体において十分な機能を発揮できる新たな教育センターの整備に向けた取組みが求められています。 ・ 区立小・中学校93校の学校経営、29の学び舎(近隣の区立小・中学校のグループ)の運営・取組みの姿勢や内容に差があります。 ・ いじめや不登校、虐待・ネグレクト、性や思春期のこころの問題、発達発育など、児童・生徒とその保護者が抱える問題が複雑・多様化しています。 ・ 地域による区立小・中学校の児童・生徒数の偏在化の進行が見込まれるため、適正規模化・適正配置への取組みを推進する必要があります。 ・ 学校施設については、校舎の老朽化への対応や安全安心、環境への配慮、地域との連携にも対応できる教育環境の整備が求められています。  目標 ・ 新たな教育センターにより、教職員の研修・研究のセンター的機能に加え、教育相談機能や学校支援機能などが充実している。 ・ 地域とともに子どもを育てる学校運営が充実している。 ・ 学校経営や「学び舎」運営のモデルとなる「世田谷マネジメントスタンダード」が策定されている。 ・ 教育相談・不登校対策が充実している。 ・ 子どもたちにとってより良い教育環境が整備・充実されている。 グラフ 「世田谷区の子どもを家庭、学校、地域が一緒になって育てていくために必要な支援」  施策展開 ○1 教員の資質向上のための支援  区立小・中学校、幼稚園の教育活動や学校運営の質を高めるため、教員の資質・能力の向上に取り組むとともに、教職員の研修・研究のセンター的機能や教育相談機能、学校支援機能など、新たな教育センター機能のあり方や整備の方向性を検討します。 1 教員の研修・研究機能の充実  区立小・中学校の教員や幼児教育の担い手の資質向上に向けた研修・研究に取り組むとともに、研修・研究環境の整備・充実に取り組みます。 2 新教育センターの検討  教職員の研修・研究の充実及び子ども、保護者、学校への支援の充実に向け、新たな教育センター機能の検討・整備に取り組むとともに、幼児教育センターの整備に向けた検討と取組みの一部実施を行います。 ○2 信頼される学校経営の推進  「世田谷9年教育」の定着など、質の高い学校教育を推進するため、学校経営や学び舎運営のモデルとなる「世田谷マネジメントスタンダード」の整備・確立をめざします。また、食物アレルギーの対応や通学路の安全対策など様々な状況に即応した学校の危機管理能力の向上を図ります。 1 「世田谷マネジメントスタンダード」の整備・確立  「世田谷9年教育」の定着など、質の高い学校教育を推進するため、学校経営や学び舎運営のモデルとなる「世田谷マネジメントスタンダード」の整備・確立をめざします。 2 学び舎による学校運営の充実  近隣の区立小・中学校で構成する「学び舎」としての教育目標や行動計画などを設定し、行動計画等の検証を行いながら小・中学校の教員が協働して学校運営や教育活動の充実を図ります。 3 学び舎にかかる通学区域の検討  学び舎による学校運営の充実を図るため、学び舎にかかる通学区域の検討を行います。 4 学校情報の発信  学校からの積極的な情報発信を進め、学校や、保護者・地域への「世田谷9年教育」の取組みの周知を図ります。 5 学校教育を支える安全の推進  各学校で学校安全計画を毎年度策定し、計画に基づき安全指導等を実施します。また、感染症対策・アレルギー対策など、多様化・複雑化するニーズに適切に対応するため、学校・家庭・地域の連携を深めながら、学校の危機管理能力の向上を図ります。 6 学校評価システムの推進  学校としての組織的・継続的な改善を図り、学校・家庭・地域の連携・協力による学校づくりを進めるため、学校関係者評価と学校の自己評価とによる学校評価システムの改善・充実を図ります。 7 教員が子どもと関わる時間の拡充  教員の負担軽減を図ることにより、教員が児童・生徒と向きあう時間を拡充するとともに、自らの研究・研修に充てる時間をつくり、教員と児童・生徒との信頼関係や、教員の資質・能力の向上を図ります。 ○3 ニーズに応じた相談機能の充実  不登校、虐待・ネグレクト、性や思春期のこころの問題、発達障害など、児童・生徒とその保護者が抱える複雑・多様化する問題に対応するため、総合的な支援や専門的な相談など、ニーズに応じた教育相談機能・不登校対策を充実します。 1 不登校等への取組みの充実(再掲)  スクールカウンセラーによる学校での相談機能に加え、教育相談室による学校支援、不登校相談窓口、メンタルフレンド派遣、不登校保護者のつどい、ほっとスクール運営等により、不登校やいじめ問題等に関わる取組みを充実します。また、第3のほっとスクールの設置に向けて検討と開設準備を進めます。 2 相談機能の拡充  複雑化・多様化する児童・生徒や保護者からの相談に対応するため、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、心理教育相談員やスクールカウンセラーと連携した 学校内外の教育相談体制を強化し、児童・生徒とその保護者の主体的な問題解決を支援します。また、関係諸機関との連携、ネットワーク強化を推進します。 ○4 安全安心と学びを充実する教育環境の整備  子どもたちにとってより良い教育環境の実現をめざし、区立小・中学校の適正規模化・適正配置を推進します。  学校施設については、安全・安心な学校づくりに努め、環境へも配慮しながら学校と地域との連携等新たなニーズにも対応できるよう行います。 1 学校の適正規模化の推進  大規模化、小規模化、校舎の老朽化の3つの課題に総合的かつ速やかに対応していくため、「世田谷区立小・中学校の適正規模化・適正配置に関する具体的な方策(第2ステップ・平成25年度〜平成31年度)」を着実に推進します。 2 次代に繋ぐ学校施設の整備  「公共施設整備方針」、「新たな学校施設整備基本方針(第2次)」に基づき、計画的に学校の施設整備を進めます。 5 子どもの成長と活動の支援 (1)成長と活動の場と機会の充実  現状と課題 ・ 子どもが希望する活動ができる場所や活動の支え手などの受け皿が不足しています。 ・ 子どもが地域の様々な大人と出会う機会や異年齢との交流が減少しています。特に区外に通学する子ども・中高生は、地域と交流する機会や場が少なくなっており、地域への親しみが育まれにくくなっています。 ・ 中高生が主体となって過ごせる場や、地域での活躍の機会の拡充が求められています。 ・ 遊び方の変化や、自由に外遊びができる場所が減少していることから、子どもがいきいきと外遊びをすることや自然と触れあえる機会が減少しています。  目標 ・ 子どもの希望にあった多様な活動の場や、地域で多世代が交流し活動する機会が充実している。 ・ 中高生が地域で過ごせる場や機会が拡充され、中高生が主体となった活動が活性化している。 ・ 活動の支え手となる地域の人材の育成・確保が図られ、子どもの成長を地域の大人が見守り支えている。 ・ 身近で外遊びできる場が拡充され、遊び場のリーダーが子どもの外遊びを支えている。 ・ 放課後の子どもたちが安全で健やかに過ごせる多様な居場所がある。  施策展開 ○1 成長に応じた放課後の居場所の確保  小学校に通う子どもが、放課後の時間を安心して健やかに過ごせる居場所を確保します。また、大人の目が入った見守りを地域とともに展開し、児童のゆるやかな成長や自立に向けた支援を行います。 1 新BOP学童クラブの運営  放課後に家庭で保護・育成を受けることができない小学校低学年児童を対象として実施する新BOP学童クラブについて、子どもの多様な遊び場や安定した生活の場を提供できるよう、スペースを確保しながら子どもの成長を支援していきます。また、卒所後も児童の成長や自立に応じたゆるやかな支援を行います。 2 子どもの社会性、自主性、創造性を育む安心な居場所の確保  自立性の高まる小学校高学年児童が自ら選択する放課後の居場所において、自ら考えて遊び、学び、過ごす中で社会性、自主性、創造性を育めるよう、児童の成長に合い、かつ、大人の目が入った見守りを、地域・区民と区が協働・連携して展開します。 ○2 地域における多世代での活動・交流の場と機会の充実  中高生世代を中心とした子どもが過ごす場所や機会を地域の中で拡充し、地域での活動に参加し多世代と交流する機会を増やすことにより、社会性を育むとともに主体性をもって参画する意識の醸成を図ります。 1 中高生世代が気軽に利用できる居場所の確保  中高生世代がゆったりと過ごし仲間と語りあうことができ、また、違う学校の様々な年齢の子どもと交流できる場を確保していきます。 2 中高生世代が主体となって行う活動の支援  中高生世代が自ら主体的に活動できる機会をつくり、その活動を支援します。 3 青少年交流センターの整備  中学校の跡地を活用して、青少年交流センターの整備を進めます。 4 自己形成・自己実現のための場や機会の支援  体験プログラムや講座の実施を通し、子どもの自己形成・自己実現のための場や機会を支援します。 ○3 外遊びの機会と場の拡充  子どもたちが身近な場所で外遊びができる環境や、自然と触れあえる場を拡充します。また、外遊びを支える人材を育成するとともに、子どもやその保護者が気軽につどい、遊ぶきっかけをつくる活動を支援します。 1 身近で自然と触れあえる場や外遊びの環境整備  子どもが生きる力を高めていけるよう、身近な場所に、誰でも利用可能なオープンスペースである公園緑地を配置することにより、自然と触れあえる場や外遊びの環境を整えます。 2 外遊びの拠点の整備  プレーパークを地域の外遊びの拠点として、外遊びの機会を拡充していきます。プレーパークのない砧地域に設置を検討していきます。 3 身近で自由に外遊びができる機会と場の充実  区と区民が連携し、子どもたちが身近な場所で自由に外遊びができる機会として、プレーリヤカー、プレーカー、きぬたまあそび村等を充実していきます。 4 外遊びを見守り・支える人材の育成  外遊びの場において、子どもの遊びを引き出し、遊びを見守り支える人材の育成を図ります。 5 外遊びの啓発・推奨  子どもや保護者に対して、子どもの成長や生きる力を育むうえで重要な役割を果たす外遊びの大切さを啓発・推奨していきます。 ○4 子どもの活動を支える地域の子育て力の向上  活動の支え手となる地域の人材の育成・確保を図り、子どもの成長と活動を大人が見守り支える地域づくりを推進します。 1 子どもの成長と活動を地域の大人が見守り支える仕組みづくり  子どもの活動を支援し、地域の中で大人が子どもを見守り成長を支える地域づくりを進めます。 2 子どもの成長と活動を見守り支える地域人材の育成  研修や活動を通して、地域で相互に学びあい育ちあう地域活動の担い手を育成することにより、地域の子育て力を高めていきます。 3 子どもの活動を支援する地域人材のネットワークづくり  子どもの活動を支援する地域の大人たちが、情報交換を行い様々な課題を共有することで、適切な支援を実施し解決に至るよう、ネットワークづくりを支援します。 グラフ 「あったらいいなと思う場所(小学生)」 (2)子どもの社会への参加・参画の機会の充実  現状と課題 ・ 子どもの社会性や自主性を育むために、子どもが自分の意見を表明する場や参加・参画する機会を充実する必要があります。 ・ 参加・参画の機会や活動の場の情報が子どもに届いていなかったり、子ども自身の参加意欲の醸成が十分でないことが、活動の活性化や拡大への課題となっています。 ・ 地域での体験を重ね成長した子どもが次の世代の担い手となるなど、地域での活動が世代交代しながら継続・循環していく仕組みづくりが求められています。  目標 ・ 子どもの意見表明の場や、子どもが主体的に関わり運営する企画が増えるなど、参加・参画の機会が拡充されている。 ・ 子ども自身の参加・参画への意識が醸成され、活動の活性化が図られている。 ・ 多くの子どもが大人とともに地域社会の担い手の一員として地域での活動に参画しており、その体験を通じて地域の担い手へと、また、年少者の活動を支え、つなげ、大人との間に立つ立場へと育ち、地域での子どもの参加・参画が世代交代しながら継続している。 グラフ 「中高生世代の日頃の思い」  施策展開 ○1 参加から参画へ、地域での場と機会の提供  地域の中で、子どもが主体的に関わり運営、企画する活動の場や機会を拡充することにより、地域活動に参画する子どもが増え、地域に愛着を持ち、主体性を持って地域活動に取り組む意識が醸成され、今の、そして次代の地域社会の担い手への成長につなげていきます。 1 地域での参画の場と機会の充実  身近な地域において子どもが主体的に関わり運営・企画する活動の場や機会を充実します。 2 活動や活動する子どものつながり、ひろがりを支える仕組みづくり  地域を越えて実施する子どもの参画事業を充実することにより、主体的に地域での活動を実施している子ども同士が知りあい、交流する機会をつくり、人と活動がつながり、広がっていく仕組みをつくります。 3 地域に関わりたい子どもが活動の場につながる仕組みづくり  地域に関わり、主体的な活動を行いたい子どもが活動の場につながることのできる仕組みを構築することにより、地域活動への意識を持つ子どもがその機会・きっかけを失うことのないよう周知、仕掛けづくりを進めます。 ○2 子どもの意見表明の推進  子どもの意見表明の場を設定し、子どもが地域に関心を持ち、地域や社会、区に対して意見表明が行える環境を整えます。また、子どもが運営等に関わる機会を設け、多世代の人と意見を交わしながら運営に携わる経験を通じて、参加・参画意識の醸成と活動の活性化を図ります。 1 子どもの意見表明の場の設定  子どもが意見表明できる継続的な場を提供するとともに、子どもの意見をしっかりと大人が受け止めていく環境づくりに努めます。 2 子どもの意見表明の場の周知及び参加者の拡大  参加・参画する子どもが増えていくよう、子どもが意見表明できる場があることや、活動・取組みの内容についての周知を進めます。 6 子どもが育つ環境整備 (1)地域の子育て力の向上    現状と課題 ・ 核家族化により、子育て家庭には地域での身近な支えが必要とされている一方、地域のつながりの希薄化や、子ども・子育てに対する周囲の理解不足などから、孤立し課題を抱え込む家庭があります。 ・ 子育て支援活動を継続して行うためのノウハウや人材の確保・育成が十分でないため、活動の継続が困難となる組織・団体があります。 ・ 子ども・子育てに対するニーズの多様化もあり、多彩な子育て活動団体が存在していますが、個々の活動での対応には限界があり、情報共有をしながら活動を補完しあえるネットワークの形成が求められています。  目標 ・ 子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運が増し、地域で子どもの育ちを見守るという意識が醸成されている。 ・ 保護者・区民・学校・事業者・区の協働により、地域コミュニティが子どもを中心として活性化し、社会全体で子どもの育ちを支えている。 ・ 地域の子育て活動がより活性化し、子どもや子育て家庭が地域の資源を有効に活用している。 グラフ 「区民参加の取組み」  施策展開 ○1 子どもの育ちを見守り支える地域コミュニティの形成  子どもたちが乳幼児期から思春期を経て自立していくまでの過程で、子育て中の親とすでに子育てを終えた世代など幅広い世代や立場の違う者同士がともに支えあう関係づくりを進めていくことにより、子ども・子育てに対する地域の理解や協力の気運を増し、地域で子どもの育ちを見守るという意識を醸成していきます。 1 子どもの育ちを地域で支えあう取組みの充実  地域で子どもが豊かに育っていけるよう、地域の特色を生かした自主的な活動を支援します。また、地域の子育て支援事業者などと連携しながら地域資源の開発・活用を行うとともに、支援を受けている保護者が支援を提供する立場となって、地域内での支援が循環しながら継続できるような仕組みづくりに努めます。 2 支えあいのきっかけづくり  地域の子ども・子育て支援活動が、地域の誰にとっても身近なものとなるよう活動内容の発信に努めるとともに、子ども・子育て家庭と地域の交流の機会を充実します。 3 寄附文化の醸成など、社会で子どもの成長を支える仕組みの充実  子どもの成長や、子育て活動を地域社会全体で支援するため、寄附などの共助の取組みを広げ、浸透・定着させていきます。 ○2 子育て活動の支援とネットワーク形成の支援  区民及び地域コミュニティが相互に助けあい、区民の子育てや子どもの自立を支援する活動が充実・拡大することにより、地域の子育て力をより高めていきます。また、子ども・子育て支援活動の支え手が交流し、情報交換する機会を設けることにより、活動の活性化を図り地域の子育て力の向上を支えます。 1 支え手の発掘・育成の支援  活動の支え手の発掘・育成を行うことにより、活動の継続と発展を支援します。 2 活動の支援  自主的な活動を開始しようとしている団体や、すでに活動中の団体の事業に対し助成をすることで活動を支援していきます。 3 子育て活動のネットワーク形成と活性化  区内で子ども・子育て支援活動を行っている団体等に交流と学習の機会を提供することで、団体同士のネットワークの構築を促し、地域に活動を発信し、地域の子育て力の向上を図ります。 (2)社会環境の整備  現状と課題 ・ 子どもや子育て家庭が安心して気軽に出かけられるためには、まちのバリアフリー化や歩きやすい道路整備などとともに、授乳スペースなどの設備の充実と周知も求められています。 ・ 子どもの安全・安心が脅かされる事故や事件が増加しており、子どもの安全・安心が守られる環境づくりが求められています。 ・ 子どもが生きる力を育むためにも、身近で自由に外遊びできる場や、自然と触れあえる環境が求められています。 ・ 子育て中の女性の就労率が上昇しており、保育・幼児教育の環境整備とともに、ワーク・ライフ・バランスの推進を図ることにより、働きながらの子育てを支援していく必要があります。 ・ 妊娠から出産、子育てにかかる経済的負担への不安から、子どもを育てたいと考えながらもためらう方もいるなど、子育てを後押しする環境が十分ではありません。 ・ 子どもが、文化・芸術を身近に親しむ機会が必要とされています。 ・ 子どもの体力は、体力水準の高かった昭和60年と比較して低い水準にあり、特にスポーツをする子どもとしない子どもの体力の差が大きく、二極化が進んでいます。  目標 ・ バリアフリー整備や授乳スペースの充実など、妊産婦から子育て家庭まで安心して出かけられる環境が整備されている。 ・ 子どもの安全・安心が確保されている。 ・ 外遊びの場や、自然と触れあえる環境が身近にある。 ・ ワーク・ライフ・バランスが推進され、働きながらの子育てで感じる負担が軽減されている。 ・ 子どもを生み育てたい希望を後押しする環境が整備されている。 ・ 子どもが、文化・芸術に親しむ機会が充実している。 ・ 子どもが、スポーツをする機会や環境が充実している。  施策展開 ○1 子育てしやすいまちづくり  子どもや子育て家庭が安心して気持ちよく過ごせる環境を整えることにより、暮らしやすく子育てしやすいまちづくりを進めます。 1 子育て家庭が暮らしやすい住環境の整備  住まいなどのハード面、地域の子育てへの理解などのソフト面の両面から、子育て家庭が暮らしやすい住環境を整えます。 2 まちのバリアフリー整備の推進  バリアフリー化を推進するとともに、ユニバーサルデザインによる整備を推進するため、普及啓発や公共的施設の指導・誘導を行います。交通不便地域の解消や南北交通の強化を図るため、バス事業者と連携し、バス交通サービスを充実します。また、公共交通施設について、誰もが利用しやすい公共交通環境の整備を進めます。 3 子育て家庭が外出しやすくなる施設・整備の充実と周知  子育て家庭が外出しやすくなるよう、授乳スペースやおむつ替えスペースなどの情報を外出時に利用しやすい方法で提供していきます。 4 子どもが安心して歩ける道路整備  歩道と車道の分離の促進とともに、電線地中化の促進による歩道の有効幅員の確保等を通じて、子どもが安心して歩ける歩行者空間の確保のための歩道整備を推進します。また、交差点の安全対策として、カーブミラーの設置や交差点のカラー舗装化を進めます。 5 身近な自然と触れあえる場や外遊びの環境整備(再掲)  子どもが生きる力を高めていけるよう、身近な場所に、誰でも利用可能なオープンスペースである公園緑地を配置することにより、自然と触れあえる場や外遊びの環境を整えます。 ○2 子どもの安全・安心  子どもが犯罪や事故に巻き込まれないよう、「安全の強化」を図り、子どもの健やかな成長を目指します。 1 地域の見守りによる犯罪防止  子どもが犯罪や事故に巻き込まれないよう、地域でパトロールや見守り活動を実施します。 2 子どもの危険回避対応能力の向上支援  子ども自身に事故や犯罪から身を守るための教育を実施し、危険に対する対応能力の向上を図ります。 3 交通安全の啓発  子どもの安全・安心を確保するため、交通安全の啓発を進めます。 4 危険回避の情報提供・意識啓発  子どもを持つ親に対し危険に関する情報を提供し、子どもの安全に関する意識の向上を図ります。 ○3 ワーク・ライフ・バランスの推進  家族、地域、事業者(産業)が連携して、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取組みを進めることで、男女がともに地域でいきいきと働きながら子育てを担いあう環境づくりを推進します。 1 事業者への働きかけ  男女がともに家庭と仕事の両立が図れるよう、公平な処遇・男女共同参画に向け先進事業者の表彰や取組みの紹介等による啓発・周知を行うほか、事業者や労働者を対象としたワーク・ライフ・バランスを推進します。 2 働きながら子育てしやすい環境の整備  子育てと仕事の両立や多様な働き方の推進など事業主が行う職場環境整備について、制度の周知などにより支援を図ります。 3 仕事と生活の調和の理解・促進  男女が育児や家事等の役割を担う、豊かな家庭づくりに向けた学習機会の提供及び啓発を進めます。 グラフ 「仕事と生活の調和を図る上で、重要だと考えること(全体/男女別)」 ○4 子どもを生み育てやすい環境の整備  妊娠や子育てに関わる経済的負担の軽減を図ることにより、子どもを生み育てやすい環境を整えます。 1 妊娠に関わる助成の実施  特定不妊治療については、国や都の制度の見直し等も踏まえつつ、区独自の支援制度の検討を行います。妊婦健康診査の費用助成についても区の制度の再構築を行い、妊娠に関わる経済的負担の軽減を実施します。 2 子育てにかかる経済的負担の軽減  医療費や保育料など、子育てにかかる経済的負担について、低所得者に配慮しながら、負担の軽減を実施します。 ○5 文化・芸術・スポーツと親しむ環境づくり  子ども期より文化・芸術・スポーツや読書に親しむ環境を整えることにより、豊かで健やかな生活の基礎を育みます。 1 文化・芸術と身近に親しむ機会の充実  子どもが、想像する力、表現する力、コミュニケーションする力、現代社会の多様性に対応する力をより高めていけるよう、文化・芸術に親しむ機会を充実するとともに、子どもの文化・芸術活動を支援します。 2 スポーツをする機会や環境の充実  子どもが、スポーツをする機会や環境を充実することにより、子どもの体力向上を図るとともに、大人になっても引き続きスポーツに親しむ生涯スポーツ社会の実現を推進します。 3 家庭や地域、学校における読書活動の充実  すべての子どもが、それぞれの発達段階に応じて身近な場所で読書に親しむことができ、読書習慣を身に付けることができる環境づくりを進めます。 (3)子どもの権利擁護・意識の醸成  現状と課題 ・ 世田谷区では、子ども条例を制定し、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会の実現に向けて、区民とともに取り組んでいます。しかしながら、条例が十分に知られていないことや、内容が把握されていないこともあり、子どもの権利擁護意識の向上へのさらなる取組みが課題となっています。 ・ 子ども・子育てに関わる事業は、保護者やサービス提供者など大人のニーズ・考えにより構築され、評価されがちです。子どもと関わる大人が、子どもの立場で子どもの権利を理解して接することが重要です。 ・ いじめや虐待が重大化することを防ぐために、気軽に相談できる窓口の周知や関係機関同士の連携の強化が必要です。  目標 ・ 子どもの権利を守る規範意識が醸成されている。 ・ 大人も子どもの権利を理解し、子どもの視点に立った事業や施策の構築・評価が行われている。 ・ 子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(略称:せたホッと)が広く認知され、子どもや保護者が気軽に利用できる場となっている。 グラフ 「子ども条例の認知度(中高生世代)」 「「せたホッと」の認知度(中高生世代)」  施策展開 ○1 子どもの権利への意識の醸成  子どもだけでなく、保護者や子どもに関わる大人が子どもの権利に対する理解を深めることにより、子どもの権利が守られる社会を実現していきます。 1 世田谷区子ども条例の周知  子ども条例の内容を子どもに分かりやすく伝えるとともに、大人への周知を積極的に図ることにより、子どもの権利に対する意識を醸成します。 2 「人権教育」と「生命の大切さ」を学ぶ教育の推進(再掲)  児童・生徒が、何ものにも代えがたい「人権」や「生命」を尊び、重んじる精神を実感し、情操を高めながら、豊かな感性をはぐくむ教育を推進します。 3 子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」の活動の周知・啓発  気軽に相談できる窓口として、子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(略称:せたホッと)の活動を区民に周知するとともに、いじめや虐待など子どもの人権侵害を未然に防ぐための啓発を進めます。 ○2 子どもの権利を守る体制の充実  子どもの視点に立って子どもが過ごす環境を整えるとともに、関係機関の連携・協力体制を構築することにより、子どもの権利侵害の未然防止と早期対応の実現を図ります。 1 関係機関との連携・協力体制の構築  「せたホッと」と学校、子ども家庭支援センター等の関係機関が日頃より緊密に連携することにより、子どもの権利侵害を未然に防ぐとともに、いざという時には迅速に対処できる体制を構築します。 2 子どもが利用する施設や日常過ごす場で子どもの権利を守る体制の整備  子どもが利用する施設や事業、サービス、または日常を過ごす場で、権利侵害が起こることのないよう、子どもの視点に立った事業の評価を行うとともに、基準などに基づきチェックを行うことにより、子どもの権利を守る環境を整えます。 第5章 子ども・子育て支援事業計画  子ども・子育て支援法では、教育・保育事業、地域子ども・子育て支援事業の実施主体である地方自治体の責務として、それぞれの事業の需要量見込みと確保の内容、実施時期を定めた「子ども・子育て支援事業計画」を策定することが定められています。  世田谷区では、平成25年8月にニーズ調査を実施し、国の手引きに基づき調査結果を分析するとともに、現実的な事業量と乖離がある事業については、世田谷区地域保健福祉審議会子ども・子育て部会に意見聴取を行いながら補正の考え方をまとめ、事業計画を作成しました。 1 圏域の設定  子ども・子育て支援事業計画は、圏域を設定したうえで、圏域ごとに需要量見込みを算出し、確保の内容を記載することとなっています。  世田谷区では、教育・保育事業について、行政区域である5つの総合支所のエリアを圏域とします。そのうえで、保育の必要性があると認定された2号認定(3歳から5歳)、3号認定(0歳から2歳)に対応する確保の内容について、5地域ごとに記載する一方、3歳から5歳の学校教育の需要である1号認定については、地域を越えての利用が多くみられる現状を鑑み、世田谷区全域を1つの圏域として確保の内容を記載します。  子ども・子育て支援事業については、世田谷区全域を1つの圏域とします。 2 推計人口  教育・保育事業、子ども・子育て支援事業の需要量見込みの算出にあたって、基本となる世田谷区の子どもの推計人口については、区が平成26年2月に公表した推計人口を使用しており、平成31年度の0〜5歳人口は42,775人を見込んでいます。すでに平成27年1月時点の人口と乖離が生じており、今後の人口動態を踏まえ、中間年を目安として見直しを行うことを予定しています。 グラフ 「世田谷区子どもの人口推計」 3 需要量見込み及び確保の内容と実施時期 (1)教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期 ○1  幼稚園、認定こども園教育標準時間利用による確保の内容と実施時期  幼稚園及び認定こども園の教育標準時間利用によって確保をする対象としては、基本的に1号認定者となります。1号認定とは、3歳から5歳で保育の必要性がなく、学校教育のみを希望する子どもがあたります。この1号認定者に加え、2号認定者の一部についても対象としています。2号認定とは、3歳から5歳で保育の必要性がある子どもがあたりますが、その中でも幼児期の学校教育の希望が強い方も同施設を利用するという考え方から対象となっています。  平成31年度の幼稚園、認定こども園教育標準時間利用の需要量見込みについては、1号認定11,574人、2号認定のうち、幼児期の学校教育の希望が強い方573人の計12,147人となっています。この需要量見込みに対して、平成25年度実績の区内幼稚園等による確保の内容が12,234人となっています。また、世田谷区に住居のある方で区外の幼稚園等を利用している方が2,311人、世田谷区以外に住居のある方で区内の幼稚園等を利用している方が1,099人おり、この数を加減した13,446人が確保されています。需要量見込みを上回る確保がされていることから、平成31年度までの確保の内容を同数の13,446人としています。 ○2 保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業による確保の内容と実施時期  保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業等によって確保をする対象としては、2号認定者のうち、上記の幼児期の学校教育の希望が強い方を除いた方と3号認定者になります。3号認定とは、0歳から2歳で保育の必要性がある子どもがあたります。さらに3号認定については、0歳と1、2歳に区分して需要量見込み及び確保の内容と実施時期を定めることとなっています。  平成31年度の保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業等については、2号認定の需要量見込み9,262人に対して、9,773人の確保を目指します。3号認定については、0歳の需要量見込み2,911人に対して、2,256人を、1、2歳の需要量見込み6,556人に対して7,882人の確保を目指します。  0歳については、需要量見込みを下回る確保の内容とした一方で、1、2歳については需要量見込みを大きく上回る確保の内容としています。これは、保育所等の整備にあたって、0歳だけの保育所や0歳の定員を下回る1歳の定員の保育所を整備することが現実的でないことから、このような確保の内容となっています。  世田谷区では0歳保育の需要量見込みに対して数値の補正を行いませんでしたが、1歳で保育所等に入れるのであれば、1歳以降から保育を希望する方も多いことがニーズ調査から分かっています。1、2歳の確保内容に余剰が生じることで、こうした方のニーズにも応えられるとの考えから確保の内容を定めています。 ○地域型保育事業 家庭的保育  定員5名以下の少人数で家庭的な雰囲気のもとで保育を行う。 小規模保育  少人数(定員6〜19名)を対象に、家庭的保育に近い雰囲気のもとで保育を行う。 事業所内保育  会社等の事業所の保育施設などで、従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育する。居宅訪問型保育   障害・疾病等により集団保育が著しく困難であると認められる乳幼児や、保育施設の急な撤退・定員減少等に伴い、保育が受けられなくなった乳幼児等に対する保育を行う。 (2)子ども・子育て支援事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期 ○1 利用者支援に関する事業  子どもまたはその保護者の身近な場所で、教育・保育施設や地域の子育て支援事業等の情報提供及び相談・助言等を行うとともに、関係機関との連絡調整等を実施する事業です。当面の間、各地域2ヶ所にセンター機能を担う1ヶ所を加えた11ヶ所を需要量見込みに設定し、平成30年度までに11ヶ所の確保を目指します。 ○2 時間外保育事業  保育所等において、通常の開所時間を超えて保育を行う事業です。平成31年度の需要量見込み3,674人に対して、保育所等の新規整備を集中的に行い、平成29年度までに3,700人の確保を目指します。 ○3 放課後児童健全育成事業(学童クラブ)  保護者が就労等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、放課後や長期休暇中に適切な遊び及び生活の場を提供し、健全な育成を図る事業です。世田谷区では、小学校内で放課後の自由な遊び場であるBOP事業と一体的に運営を行っています。  低学年では、条件を満たしている児童の受け入れが可能であり、量の見込みに対し確保していきます。また、子どもの多様な遊び場や安定した生活の場を提供できるよう、スペースを確保しながら子どもの成長を支援していきます。  高学年については、BOP、児童館で、児童の成長に合わせ継続してゆるやかな見守りを実施するとともに、プレーパーク等を含めた地域の居場所において、大人の目が入った見守りを展開していきます。配慮が必要な児童に対しては、放課後児童健全育成事業を6年生まで実施します。 ○4 子育て短期支援事業(ショートステイ事業)  保護者の疾病等により、一時的に児童を養育することが困難となった場合に、児童養護施設等で短期間保護する事業です。現在、1歳から12歳の子どもを対象とした「子どものショートステイ」と0歳児を対象とした「赤ちゃんショートステイ」を実施しています。すでに、平成31年度の需要量見込み819人日/年に対応できる確保がされており、現行の体制を維持します ○5 乳児家庭全戸訪問事業(乳児期家庭訪問事業)  生後4か月に至るまでの乳児がいる家庭へ、保健師又は乳児期家庭訪問指導員(助産師等)が家庭訪問を行い、乳児の発育・発達状況や育児環境の把握を行うとともに、地域の保健サービス等の情報提供を行う事業です。需要量見込みに対応できる委託訪問指導員、嘱託訪問員の現行体制を維持し、職員の資質向上のための研修を充実させます。 ○6 養育支援訪問事業  世田谷区では、養育困難家庭等ホームヘルパー派遣事業を中心として実施しており、子どもの養育が困難と認められる世帯に対し、一定期間ホームヘルパーを派遣することにより、虐待予防及び当該世帯の自立を支援しています。需要量見込みに対応できる委託事業者の体制を確保します。 ○7 地域子育て支援拠点事業  世田谷区ではひろば事業として実施しています。子育て中の親子が気軽に立ち寄り、交流できるひろばで、子育て相談や子育て情報の提供を通して、子育てに対する不安の解消や負担感の軽減、地域の子育て支援機能の充実を図る事業です。平成31年度の需要量見込み52ヶ所に対して、平成31年度までに52ヶ所の確保を目指します。 ○8 一時預かり事業  家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児について、保育所その他の場所において、一時的に預かる事業です。子育て中の親のリフレッシュ等育児負担の軽減を図るため、理由を問わずに子どもを短時間預かる事業や、幼稚園の預かり保育事業を含めて、一時預かり事業としています。 1 幼稚園による一時預かり  幼稚園による一時預かりについては、現在幼稚園で預かり保育事業として実施しています。新制度の実施に伴い幼稚園型の一時預かり事業が創設される予定です。平成31年度の需要量見込み365,020人日/年に対して、これまでの幼稚園の預かり保育事業と幼稚園型一時預かり事業をあわせて、平成31年度までに365,020人日/年の確保を目指します。 2 その他の一時預かり  その他の一時預かりについては、幼稚園による一時預かりを除く上記の一時預かり事業と子育て援助活動支援事業(世田谷区ファミリー・サポート・センター事業)をあわせて確保することとしています。  子育て援助活動支援事業は、児童の預かり等の援助を受けたい方(依頼会員)と援助を行いたい方(提供会員)との相互援助活動に関する連絡・調整を実施する事業です。  平成31年度の需要量見込み191,243人に対して、保育所等における一時保育の拡充と世田谷区ファミリー・サポート・センター事業の実施を中心に、平成31年度までに213,025人日/年の確保を目指します。 ○9 病児・病後児保育事業  保育所等に通っている乳幼児が病気やケガ等で集団保育が困難な時期に、専門施設において一時的に保育を行う事業です。平成31年度の需要量見込み24,035人日/年に対して、平成31年度までに24,100人日/年の確保を目指します。 ○10 子育て援助活動支援事業(就学児)  就学前児童に対する子育て援助活動支援事業についてはGの一時預かり事業とあわせて記載することとなっています。ここでは、就学児童に対する子育て援助活動支援事業について記載します。平成31年度の需要量見込み45,920人日/年に対して、世田谷区ファミリー・サポート・センター事業の実施により、平成31年度までに4,707人日/年の確保を目指します。 ○11 妊婦健診事業  妊婦に対し都内契約医療機関で全妊娠期間に実施する妊婦健康診査の14回分の費用の一部を負担する事業です。また、里帰り等により都内契約医療機関以外(都内助産所含む)で妊婦健康診査を受診した場合にはその費用の一部を助成しています。量の見込みに対応できる確保がされており、現行の体制を維持します。 表 「教育・保育事業の需要量見込み及び確保の内容と実施時期(地域別)」 第6章 今後の若者施策の取組み  区の基本計画では、「若者が力を発揮する地域づくり」を政策の一つとして位置づけ、若者が多様な交流のなかで成長し、活躍する場を地域との関わりのなかでつくり、若者を核とした地域の活性化を目指すとともに、対人関係をうまく築けない若者などへの支援に取り組んでいます。  区では、これまでにも就労支援、健康づくり等、各分野別に若者を応援する施策を展開してきました。今後は、これらの施策とあわせ、包括的に若者の悩みを受けとめ必要なサービスへ案内するといった、区のこれまでの施策同士をつなぐ、また、従来の施策では救うことのできない、施策の狭間で苦しんでいる若者に光をあてる支援施策が求められています。  さらに、地域の再生・活性化に向けて、また、子どもから高齢者までの世代を超えた交流のためには、若者が地域で活発に活動する機会の提供、場の充実は今後、欠くことのできない重要な施策の一つです。  「子ども計画」では18歳までを計画の対象としていますが、ひきこもり、自殺、不登校等に起因する問題は18歳以降も引き続くケースが多く、30歳代までの若者も視野にいれた「切れ目のない支援」がまさに今求められており、こうした趣旨から、幼年期からの「子ども施策」とあわせ以下のとおり若者支援施策を示すこととしました。 1 若者支援施策の推進 (1)若者の交流と活動の推進  現状と課題 ・ 若者が活発に地域で活動し、経験を積み重ねながら成長して地域の担い手になることが、世代を超えた交流の活性化を生み出すことにつながっていきます。しかし、現在は参加の機会や情報を得る機会が少なく、地域に関心を示さない若者や社会から孤立して悩んでいる若者も少なくありません。 ・ 中高生世代が、同世代だけでなく多様な地域住民と主体的に関わりを持ちながら、自主的に活動できる場所、地域の担い手となる若者の育成が求められています。  目標 ・ 若者が地域や社会とつながることができる場や機会が充実している。 ・ 若者の持つ構想力や行動力、活動力が活性化し、それが地域活動団体、NPO等の協力・連携により地域の活性化にもつながっている。  施策展開 ○1 社会教育施設や学校跡地、公共施設を活用した新たな若者の活動支援施設の整備・運営  新たな若者の活動支援施設の運営及び整備を推進し、若者自らの主体的な活動を通して自立と成長を促すとともに、世代を超えた出会いや交流の機会を積極的に創出し、若者の社会への参加・参画意識を醸成する。 1 青少年交流センターの運営  様々なものづくり体験事業、若者支援に関わる指導スタッフの育成等、今後展開する青少年交流センターの事業運営を通して、青少年の自立と成長を促すとともに、青少年自らの主体的な活動の機会を拡充します。 2 (仮称)希望丘青少年交流センターの整備  中学校の跡地を活用して、青少年交流センターの整備を進めます。  施設の整備にあたっては、当事者である高校生・大学生の意見を設計に反映させる仕組みを整え取り組みます。 3 既存公共施設の活用の検討  図書館や庁舎等、既存公共施設の一角を活用した、地域に身近な若者の居場所、活動場所の創出について検討を進めます。 ○2 児童館の中高生世代の活動支援機能の拡充  中高生世代が地域で過ごせる場や機会を拡充し、中高生が主体となった活動の活性化を図ります。 1 中高生世代が主体となって行う活動の支援  中高生世代が自ら参加・参画して行う活動の支援を進めます。 2 中高生世代の居場所の確保  中高生世代がゆったりと過ごし、仲間と語りあえる場や機会の確保に努めます。 ○3 地域の担い手づくりに向けた地域活動団体との連携  地域の担い手づくりに向けた様々な取組みを行うことを通じて、同世代だけでなく多様な地域住民と若者が主体的に関わりをもちながら連携し、地域の活性化を目指します。 1 自らの主体的な活動から、地域社会の担い手への成長の支援  児童館を中心に地区の大人たちと若者たちとをつなぎ、ともに地域の中で活動を行うことを通じて、子どもたちが地域社会の担い手へ成長するための支援を進めます。 2 児童館と青少年交流センターの連携  児童館と青少年交流センターで活動する子ども同士の交流の機会を創出します。 3 若者に関わる大人の活動の推進  若者の主体的な活動を、地域の大人が支える地域づくりを進めます。 4 自己形成・自己実現のための場や機会の支援  体験プログラムや講座の実施を通し、子どもの自己形成・自己実現のための場や機会を支援します。 (2)生きづらさを抱えた若者の支援  現状と課題 ・ 長い間の孤立した生活から社会性やコミュニケーション力などに問題が生じて、生きづらさを抱えたまま自立ができない若者や、親の収入に依存した生活を送る若者の状況は社会的損失でもあり、将来の社会的支援の増大につながることも危惧されます。 ・ 特に発達障害の若者やその傾向がある若者については、小・中学生のころからのいじめや不登校・ひきこもり、精神疾患等の二次障害により、社会に居場所のないケースが見られることから、家庭・学校・地域の連携した予防的支援やセーフティネットの構築が必要になっています。 ・ 就労意欲があるにもかかわらず就労に結びつかない、また、自らの適性にマッチした仕事に就くことができない若者が増えています。学校や社会での居場所を見つけられないひきこもり、ニートといわれる継続した就労が困難な若者の支援の必要性が高まっています。  目標 ・ 安心して利用でき、対人関係や社会生活に対する自信を取り戻せるような「居場所」がある。 ・ 相談支援機能が強化され、就労、福祉、医療等の関係機関と連携し、重層的に支援が行える仕組みが構築されている。 ・ 若者に対して、将来の職業イメージの醸成、進路を自ら定め、能力を生かせるよう支援するとともに、就職活動の実践能力を高め、就労に結びつける仕組みが機能している。  施策展開 ○1 世田谷若者総合支援センターの運営  ひきこもり等の生きづらさを抱えた中高生世代から30歳代までの若者及びその家族を対象とした相談支援とともに、対人関係や社会生活に対する自信を取り戻すきっかけとなる「居場所」の整備、就労、福祉、医療等の関係機関と連携した重層的な支援を行う機関を整備することにより、若者の社会的自立に向けた支援を行います。 1 メルクマールせたがやと若者サポートステーションの円滑な連携  世田谷若者総合支援センターを構成する両機関が円滑に連携するための仕組みを構築し、様々な仕事体験ができる支援プログラムの充実をはじめ、就労までを見据えた若者の自立に向けた継続的な支援を展開します。 2 若者の福祉的就労支援に向けた仕組みの検討  若者の就労支援の充実に向け、就労意欲喚起を図ることを目的とした福祉的就労支援の仕組みの構築に向け、検討を進めます。 3 子ども・若者支援協議会の運営  平成27年2月に設置した子ども・若者支援協議会により、相談機関、就労、福祉、医療、学校等の関係機関が連携し、重層的な支援が行える仕組みづくりを進めます。 4 若者総合支援センターとその他の若者関連の相談機能との連携  若者総合支援センターと青少年交流センター、児童館等、その他の若者にかかる相談を受ける機関をはじめ、複合的な課題を抱える家庭の相談窓口となるあんしんすこやかセンターなど、各種関係機関との連携を強化し、生きづらさを抱えた若者やその保護者に寄り添った継続的・重層的な支援を展開します。  また、生きづらさを抱えた若者像を明確にし、障害がある子ども・若者はもちろん、特に診断等は受けていないが障害が疑われる子ども・若者の支援等、ひきこもり支援のみならず、現場から多様なケースを吸い上げ、様々なニーズを整理し、支援に谷間をつくらないような支援の仕組み構築に向け、検討を進めます。 ○2 子どもの居場所の拠点整備  小中学生の頃からの社会への不適応が原因で、ひきこもり、精神疾患等の障害を抱える若者が安心して利用でき、対人関係や社会生活に対する自信を取り戻せるような「居場所」の整備を行います。また、居場所を通じた家庭、学校地域との多世代交流を行うことにより、若者の社会的自立に向けた支援を行います。 1 悩みや困難を抱えた子ども・若者の支援者・支援機関への支援  悩みや困難を抱えた子どもや生きづらさを抱えた若者の支援を行う人や機関同士のネットワークづくりの支援を進めます。 2 身近な居場所整備運営者への支援  身近な居場所整備運営を行う地域活動を支援します。 3 区内大学との相互協力による新たな施策の展開  区内大学と区が相互協力し、精神面の不安等で大学に通えない学生に対して、区の相談・就労支援機関等で支援を図る一方、区が実施する青少年の居場所事業の運営について、大学が支援協力を図る仕組みを構築していきます。 (3)若者の社会に向けた文化・情報の発信への支援  現状と課題 ・ 世田谷の持つ魅力ある文化・伝統を継承・発展させていくためには、若者たちの感性、協力が不可欠であり、そうした若者を支援していくことも重要です。 ・ 区の若者支援の施策とあわせ、若者自身の主体的な活動を区民が見守り、支援する取組みが必要です。 ・ 若者が地域活動団体と連携し、例えば、その地域の文化創造の拠点をつくりあげる、文化を継承する取組みを行うといったことは、若者の地域活動や多世代交流をより活発化し、そのことが地域の活性化につながることにもなります。  目標 ・ 世田谷の持つ文化の発展、イメージ向上に向けた若者の主体的な取組みを支援する仕組みが構築されている。 ・ 若者支援に取り組んでいる区民、地域活動団体を支援する仕組みが構築されている。  施策展開 ○1 若者、区民、地域活動団体等が取り組む主体的な活動への支援  若者支援に取り組んでいる若者、区民、地域活動団体を支援する仕組みを構築することにより、若者の地域活動や多世代交流をより活発化し、地域の活性化につなげることを目指します。 1 地域活性化につながる若者の主体的な取組みへの支援  地域で身近な居場所運営等、若者、区民、地域活動団体等が取り組む主体的な活動への支援を、基金の活用や若者のアイデアの実現を支える方々への協力依頼等を通じ行います。 2 身近な居場所整備運営者への支援(再掲)  身近な居場所整備運営を行う地域活動を支援します。 3 若者の情報等発信の活性化への支援  若者にとって日常の身近なツールとして活用されているインターネット、冊子・チラシ等の紙媒体等、様々なツールを活用し、若者の求める情報、発信したい情報の伝達、活動成果を「表現」する機会を活性化する取組みについて検討を進めます。 (4)子ども計画以外の計画に含まれる「若者支援施策」との連携  現状と課題 ・ 区ではこれまで、「健康せたがやプラン」では、思春期のこころの健康づくり、自殺予防、自殺未遂者支援事業、「産業ビジョン」では、若者の就労支援、「せたがやノーマライゼーションプラン」では、成人期の発達障害者支援事業(UNI)等、各計画に基づき必要な若者支援施策に取り組んできました。今後は、これまでの施策、新たに取り組む施策同士の連携を強化し、包括的に若者の自立を支援する仕組みが必要です。  目標 ・ 区の展開する若者支援施策の取組みについて、全容が把握できる仕組みが整っている。 ・ 若者支援施策に取り組む各分野の連携が円滑に行われる仕組みが整備されている。  施策展開 ○1 「世田谷若者総合支援センター」の開設に伴う、各分野で行われる「若者支援施策」との円滑な連携手法の整理と、「若者支援ネットワーク」の構築  若者支援施策に取り組む各分野の連携を円滑に行い、区の展開する若者支援施策の取組みの全容が把握できる仕組みを整備し、包括的に若者の自立を支援します。 1 若者支援ネットワークの構築  若者支援に取り組む各機関等との連携、区の取組みの全容が把握できる仕組みを構築します。 第7章 実現の方策  本計画の実現にあたっては、個別事業の進捗とともに、計画全体についての進捗も公開し、区民や学識経験者等が参加する会議で評価・検証を行うこととします。  子ども・子育て施策の取組みについては、新たに条例で設置した世田谷区子ども・子育て会議で進捗管理や評価・検証を行うこととします。また、若者施策の取組みについては、実施状況等を世田谷区子ども・青少年協議会に報告し、評価・検証を行うこととします。 1 指標  計画全体の進捗を評価・検証するための指標を、子どもの視点と保護者の視点双方から設定します。評価・検証は、5年ごとに実施する調査に毎回同一の設問を設け、結果を比較することにより行います。 (1)子どもの指標  ○1 自分のことが好きだと思う子どもの割合  平成25年 小学校低学年 54.0%、小学校高学年 54.5%、中高生世代 39.6% ○2 住んでいる地域のために、自分の力を役立てたいと思う子どもの割合  平成25年 中高生世代 45.3%   (2)保護者の指標  ○1 子育てを楽しいと感じる保護者の割合  平成25年 就学前児童の保護者 80.2%、就学児童の保護者 75.1% ○2 子育てしやすい環境だと感じる保護者の割合  平成25年 就学前児童の保護者 73.2%、就学児童の保護者 76.5% 2 推進体制  評価・検証・推進における組織 (1)子ども計画の評価・検証・推進  子ども計画の評価・検証・推進にあたっては、次の機関で審議を行います。   ○1 世田谷区子ども・子育て会議  子ども・子育て支援法に基づき、区の子ども・子育てに関する施策の総合的かつ計画的な推進に関し必要な事項及び当該施策の実施状況を調査審議すること等を目的として設置された区長の附属機関で、学識経験者、保育・幼児教育・子育て支援事業関係者及び区民等の委員で構成されています。 ○2 世田谷区子ども・青少年協議会  地方青少年問題協議会法に基づき、青少年に関する総合的施策の樹立につき必要な重要事項を調査審議すること等を目的として設置された区長の附属機関で、区議会議員、学識経験者、青少年関連事業関係者及び区民等の委員で構成されています。  世田谷区子ども・青少年協議会には、小委員会の関連機関として中高生を中心とする会議体「ユースミーティング世田谷」が設置され、区の施策に対する提言等が行われています。 (2)地域福祉の複合的な課題の検討体制  区では、地域包括ケアシステムの対象を高齢者だけでなく、子育て家庭や障害者(児)に拡大していくとともに、地域福祉の複合的な課題に対しては、地区、地域、全区の3層構造の地域ケア会議を設定し、課題の整理・分析・検討を地区・地域から積み重ねることにより政策形成に結び付けていきます。 第8章 資料 1 計画策定にあたっての検討状況 (1)世田谷区地域保健福祉審議会子ども・子育て部会による検討  子ども・子育て支援法に規定する「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたり、学識経験者、区民等にご意見を伺うため、世田谷区地域保健福祉審議会の専門部会として「子ども・子育て部会」を設置し、「子ども・子育て支援事業計画」及び同計画を内包する「子ども計画(第2期)」について検討いただきました。 第1回 平成25年7月18日  部会の運営について。子ども・子育て支援新制度・事業計画について。子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査について。 第2回 平成25年11月18日  子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査結果について。子ども・子育て支援事業計画の記載事項等について。 第3回 平成26年2月7日  子ども・子育て支援事業計画需要量見込みの算出結果について。子ども・子育て支援法に基づき区が条例で定める基準について。 第4回 平成26年4月10日  子ども・子育て支援事業計画需要量見込みについて(補正)。子ども・子育て支援新制度の実施に向けて区が条例で定める基準について。 第5回 平成26年6月27日  子ども計画(第2期)中間まとめについて。子ども・子育て支援事業計画案について。子ども・子育て支援新制度の実施に向けて区が定める条例について。 第6回 平成26年7月30日  子ども計画(第2期)素案について。子ども・子育て支援新制度に関する基準等を定める条例(素案)について。 第7回 平成26年10月29日  子ども計画(第2期)答申(案)について。新制度の給付施設・事業にかかる保育料(案)について。子ども・子育て支援新制度の施行に伴う利用調整について。 第8回 平成26年12月25日  子ども計画(第2期)案について。子ども・子育て応援都市宣言について。給付対象施設の確認行為に伴う利用定員の設定について。 (2)世田谷区子ども計画研究会による検討  児童福祉分野等の学識経験者や子ども・子育て施策に関わる専門家の知見を子ども計画の策定に反映させるため、世田谷区子ども計画研究会を設置し、子ども計画(第2期)について検討いただきました。 第1回 平成25年5月31日  現行子ども計画、区の子ども施策、区の現況について。子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査票について。 第2回 平成25年6月20日  子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査票について。 第3回 平成25年9月19日  子ども計画アンケート調査について(保育サービス利用者調査、ひとり親家庭調査、中高生対象調査)。 第4回 平成25年10月11日  子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査結果について。子ども・子育て支援事業計画の記載事項等について。子ども計画策定に向けた議論について。 第5回 平成26年1月22日  子ども・子育て支援新制度に向けて区が定める条例の概要について。子ども・子育て支援事業計画需要量見込み算定結果について。子ども計画アンケート調査結果について。 第6回 平成26年3月19日  子ども計画策定に向けた議論について。子ども・子育て支援新制度実施に向けて区が条例で定める基準について。 第7回 平成26年5月21日  子ども計画策定に向けた議論(骨子、基本的な考え方、計画体系)。放課後児童クラブについて。 第8回 平成26年6月19日  子ども計画策定に向けた議論(基本目標等、中間まとめに向けた議論)。子ども・子育て支援事業計画案について。 第9回 平成26年7月23日  子ども計画(第2期)素案について。子ども・子育て支援新制度に関する基準等を定める条例(素案)について。 第10回 平成26年9月4日  子ども計画(第2期)案の策定に向けた議論について。子ども計画シンポジウムについて。 第11回 平成26年10月24日  子ども計画(第2期)答申(案)について。 第12回 平成26年12月12日  子ども計画(第2期)案について。子ども・子育て応援都市宣言について。 (3)世田谷区子ども・青少年協議会による検討  平成23−24年度世田谷区子ども・青少年問題協議会では、「世田谷区子ども計画後期計画の評価・検証及び課題整理」をテーマに議論を重ね、平成25年4月、「次期子ども計画で取り組むべき施策について」として報告がまとめられました。(「第1章3子ども計画後期計画の評価」参照)  平成25−26年度世田谷区子ども・青少年協議会では、「若者の参加・参画を推進するための地域拠点づくり」をテーマに議論を重ね、平成27年3月を目処に報告をまとめる予定となっており、検討内容について、主に「第6章今後の若者施策の取組み」の中で反映しています。 平成23-24年度期 「次期子ども計画で取り組むべき施策について」 子ども・青少年問題協議会 6回 同小委員会 16回 平成25-26年度期 「若者の参加・参画を推進するための地域拠点づくりについて」 子ども・青少年協議会 5回※ 同小委員会 8回※ ※開催回数については、平成26年12月時点の回数 (4)区民・事業者・子育て支援者との意見交換 ○1 区民版子ども・子育て会議での意見交換  子ども計画の策定にあたり、子育て活動の支援団体が中心となって地域で子育て支援を行っている区民や活動団体、子育て中の区民に呼びかけて開催しているものです。毎回テーマを設定し、ワークショップ形式での意見交換を行い、いただいた意見を子ども計画策定の参考としました。   第1回 平成26年4月3日 子育て支援の新しいかたち〜行政にできること、NPO・地域にできること〜 第2回 平成26年6月13日 子育て支援の新しいかたち〜行政にできること、NPO・地域にできること〜 第3回 平成26年8月8日 身近な場所で親子の支援をしていく仕組みづくり 第4回 平成26年8月25日 子どもの生きる力の育み〜外遊びについて語ろう! 第5回 平成26年9月25日 子育て家庭を支える基盤の整備と質の向上〜世田谷の“保育”を考えよう! 第6回 平成26年10月30日 切れ目のない支援〜若者編〜 第7回 平成26年12月10日 みんなでつくってみよう!〜世田谷の子ども・子育て資源マップづくり ○2 パブリックコメント等区民からのご意見・ご提案  「世田谷区子ども計画(第2期)(素案)」について、区のおしらせや区ホームページを通じてのパブリックコメントを実施しました。また、パブリックコメント実施期間にあわせて、子ども計画シンポジウムや事業者・子育て支援者・子育て支援団体との意見交換や素案送付などを実施し、様々なご意見・ご提案をいただきました。  パブリックコメントについては、平成26年9月22日から10月14日までの期間で実施し、149人の方より252件のご意見・ご提案をいただきました。 1 一般 平成26年9月22日 区のおしらせ特集号 9月22日〜10月14日 区ホームページ 10月4日 子ども計画シンポジウム 2 事業者・子育て支援者・子育て活動団体 平成26年9月7日 子ども子育てつなぐプロジェクト参加団体 つなぐプロジェクト 9月 9日 母子生活支援施設長 母子生活支援施設情報交換会 9月12日 保育ママ、保育室、認証保育所 郵送 9月16日 立認可保育園長 郵送 9月16日 民生委員児童委員会長協議会各地区会長 民生委員児童委員会長協議会 9月16日 主任児童委員 郵送 9月19日 私立幼稚園協会 私立幼稚園協会理事会      私立幼稚園長 郵送 9月19日 青少年地区委員会委員・青少年補導連絡会委員 郵送 10月22日 青少年地区委員会会長 青少年補導連絡会会長 青少年地区委員会・青少年補導連絡会合同会長会 3 行政機関 平成26年9月4日 児童館長 児童館長会 9月8日 新BOP 郵送 9月12日 区立幼稚園長 区立幼稚園長・副園長合同会議 9月16日 区立認可保育園長 区立認可保育園長会 9月17日 区立小学校・中学校長 郵送 (5)アンケート調査  世田谷区子ども計画(第2期)の策定にあたり、平成25年8月から12月までの間に、「子ども・子育て支援事業計画」ニーズ調査をはじめ、あわせて5つのアンケート調査を実施しています。調査の概要は以下のとおりです。 「子ども・子育て支援事業計画」ニーズ調査 調査対象 世田谷区に居住する0から9歳の児童の保護者各年齢1,000人ずつ計10,000人。 調査方法 郵便配送、郵便回収。 実施時期 平成25年8月12日〜9月2日。 有効回答率 就学前児童61.4%、就学児童46.4% 「保育サービス利用者アンケート」 調査対象 保育サービス利用者3,130人(保育ママ、家庭的保育事業は利用者全員。その他の保育施設は年齢別施設別無作為抽出)。 調査方法 施設から対象者へ直接手渡し、郵送回収。 実施時期 平成25年11月14日〜2月2日 有効回答率 65.9% 「ひとり親家庭アンケート」 調査対象 4,699人(児童育成手当受給世帯のうち、申請理由が、離婚、死亡、生死不明、遺棄、未婚、保護命令である世帯を抽出)。 調査方法 郵送配布、郵送回収。 実施時期 平成25年11月7日〜11月25日 有効回答率 38.1% 「小学生対象アンケート」 調査対象 2,933人(区立小学校の児童、1学年約500人。低学年5校、高学年5校計10校で実施。) 調査方法 学校を通じて配布・回収。 実施時期 平成25年11月25日〜12月13日 有効回答率 97.9% 「中高生世代対象アンケート」 調査対象 6,000人(12〜17歳の子ども各年齢1,000人を無作為抽出) 調査方法 郵送配布、郵送回収。 実施時期 平成25年11月7日〜1月25日 有効回答率 24.0% 2 用語解説 ・ICT  Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報コミュニケーション技術。 ・アウトリーチ  支援ニーズがあるが、保健・医療・福祉施設等の拠点におけるサービスでは利用するのが困難な人に対して、状況に応じて専門スタッフが訪問して施設内と同等の必要なサービスを提供するしくみ。 ・アセスメント  個人の状態像を理解し、必要な支援を考えたり、将来の行動を予測したり、支援の成果を調べること。 ・あんしんすこやかセンター  世田谷区における地域包括支援センターの名称。 ・生きづらさを抱えた若者  学校生活や就労時の体験、対人関係でのつまずきなどを起因として、社会生活や他者との関わりがうまくいかず、目指す生き方に向かって進めない、または、目指す方向がわからないために悩んでいる若者。 ・インクルーシブ教育システム  障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもを受け入れ、ともに育ち学びあう教育。 エンゼルプラン  少子化対策推進のため、国が1994年に策定した10年間のプラン。「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」 ・おでかけひろば  子育て世帯の育児のストレスや不安感の軽減を目的とし、親子が自由につどい、親同士の交流や子育て相談ができる場。 ・合理的配慮  障害者が日常生活や社会生活を送る上で状況に応じて行われる配慮。筆談や読み上げによる意志の疎通、車いすでの移動の手助け、学校・公共施設等のバリアフリー化など、過度の負担にならない範囲で提供されるべきもの。 ・子育てステーション  利便性の高い駅前に設置する「あそび」「そうだん」「あずかり」「ほいく」の4つの機能を集中させた多機能型の子育て支援拠点施設。 ・子育てひろば  子育て世帯の育児のストレスや不安感の軽減を目的とし、親子が自由につどい、親同士の交流や子育て相談ができる場。児童館で実施している。 ・子ども家庭支援センター  地域における子どもと家庭の福祉向上を図るため、関係機関と連携しながら相談業務、子ども在宅サービスの提供、養育困難家庭・児童虐待対応、地域活動支援等の事業を実施する。 ・子ども・子育て関連3法  幼児期の学校教育や保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するため定められた以下の3つの法。「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部を改正する法律」「関連法律の整備等に関する法律」 ・子ども・子育て支援新制度  幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めることを目的とし、平成27年4月に本格実施される制度。 ・子どもの権利  日本国憲法第11条の基本的人権の保障などを踏まえ、実定法としては児童福祉法で国民の責務と児童福祉の理念等が明記されている。  また、平成元年には、国連で「児童の権利に関する条約」が採択され、安心して生きる権利、自分らしく守られる権利、豊かで健やかに育つ権利、意見を表明し参加する権利などを守るよう定められた。わが国は平成6年に条約を批准した。 ・支援が必要な子ども  障害や生活困窮、被虐待など様々な要因により、支援を要する状況にある子ども。 ・就労  本計画において、就労には就業の意も含むものとする。 ・新BOP学童クラブ  保護者が働いていたり病気などのため、放課後に家庭で保護・育成にあたることのできない世帯の小学校低学年の児童に、健全な遊びや安全な生活の場を提供する事業。配慮が必要な子どもは、安全確保及び対応が可能な範囲で6年生まで受け入れる。 ・新BOP事業  区立小学校施設を活用し、安全・安心な遊び場を確保し、遊びを通して社会性、創造性を培い、児童の健全育成を図るBOP(ボップ=Base Of Playing:遊びの基地)事業に、学童クラブ事業を統合し、一体的に運営する事業。 ・スマイルブック  発達が心配な子を持つ保護者が、子どもの特徴・関わり方・支援方法などを記載する冊子。 ・ソーシャルワーク  生活していく上での問題を、社会資源を用いて解決したり緩和したりすることで質の高い生活を支援する社会福祉援助技術のひとつ。 ・地域運営学校  保護者や地域の方が一定の権限と責任を持って学校運営に参画する仕組み。平成25年度には区立全小・中学校を地域運営学校に指定。 ・地域包括ケアシステム  地域住民に対し、保健サービス、医療サービス及び在宅ケア、リハビリテーション等の福祉サービスを、関係者が連携協力して、一体的に提供する仕組み。 ・配慮が必要な子ども  心身の成長・発達等に起因する問題により、生活をしていく上で何らかの合理的配慮を要する状態にある子ども。 ・ほっとスクール  心理的理由で登校できないでいる児童・生徒のための「心の居場所」として、自主性を養い、社会性を育みながら学校復帰に向けて気持ちを整えていくための支援を行う施設。 ・メンタルフレンド  学校生活への不適応により家に閉じこもるあるいは閉じこもりがちな児童・生徒の家庭に派遣され、兄や姉のように接し、自主性の伸長や社会性の発達を促す役割をする、主に心理学を専攻する大学生あるいは大学院生(登録制)。 ・養育困難家庭  日常生活における児童の養育に支障が生じている家庭。 ・要保護児童  保護者に監護されることが不適切であると認められる児童。保護者のない児童。 ・リカレント学習連携講座  区内大学と連携し、区民向けに行われている各種の公開講座。 ・レスパイト  乳幼児や、障害児(者)、高齢者などをケアしている家族などが、一時的にケアから解放され、休息をとれるようにする支援。 3 参考データ (1)子育て家庭への支援 グラフ:子育てについての心配ごとや悩みごと グラフ:両親・祖父母の近居・同居の状況 グラフ:子育てについての心配ごとや悩みごとの相談先 グラフ:朝食・夕食を食べる頻度 グラフ:母子関連健康診査受診率及び乳児期家庭訪問率の推移 (2)保育・幼児教育の充実 グラフ:年齢別乳幼児の養育状況(平成26年度) グラフ:乳幼児の養育状況の推移 グラフ:施設種類別保育施設の定員の推移(各年4月1日現在) 表:保育施設・事業を希望する上で重視する条件(対象児童の実年齢以上のときの希望) グラフ:望ましいと考える集団での教育・保育開始年齢 グラフ:実際の入園時の子どもの年齢 グラフ:保育施設と保護者との関わりや保護者もともに保育を担うという考え方・体制について グラフ:保育施設の情報入手経路 グラフ:子どもを幼稚園に入園させた理由 (3)支援が必要な子ども・家庭のサポート グラフ:児童相談所における虐待相談対応件数(東京都全体及び世田谷児童相談所) グラフ:ひとり親の就労状況 グラフ:ひとり親の雇用形態 グラフ:一世帯当たり平均所得金額及び世帯人員一人当たり平均所得金額(平成24年) グラフ:ひとり親の悩みごと(ひとり親になった当時と現在の比較) グラフ:子どもの貧困率(全国) グラフ:就学援助費認定者の割合の推移(世田谷区) グラフ:特別支援学級に在籍する児童、生徒数(世田谷区立小学校及び中学校) グラフ:児童、生徒一万人あたりの不登校者数(世田谷区立小学校及び中学校) (4)質の高い学校教育の充実 グラフ:世田谷区立小学校児童数・中学校生徒数の推移と推計値 グラフ:国立・区立・私立別小学校児童・中学校生徒数の割合(平成26年5月1日現在) (5)子どもの成長と活動の支援(第6章今後の若者施策の取組みを含む) グラフ:小学生の地域の行事(お祭りなど)への参加頻度 グラフ:中高生世代のボランティア活動経験の有無 グラフ:中高生世代のボランティア活動への参加意向 グラフ:新BOPの年間参加延べ人数と1日平均参加人数別の施設数の推移 グラフ:学童クラブ・BOPを利用したい理由 グラフ:児童館の世代別入館者数の推移 グラフ:児童館を利用したい理由 (6)子どもが育つ環境整備 グラフ:災害時に手助けをしてくれる近所の知人・友人の有無 グラフ:子育て支援の実施主体別利用したい子育て支援 グラフ:出産前後1年間の母親の離職の経験 グラフ:出産前後1年間に仕事をやめた理由 グラフ:ユニバーサルデザインによるハードのまちづくりで最も重要だと思うこと 4 世田谷区子ども条例 前文  子どもは、未来への「希望」です。将来へ向けて社会を築いていく役割を持っています。  子どもは、それぞれ一人の人間として、いかなる差別もなくその尊厳と権利が尊重されます。そして、心も身体も健康で過ごし、個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に応じた責任を果たしていくことが求められています。  平成6年、国は、「児童の権利に関する条約」を結びました。そして、世田谷区も平成11年に「子どもを取り巻く環境整備プラン」を定め、子どもがすこやかに育つことのできる環境をつくるよう努めてきました。  子どもは、自分の考えで判断し、行動していくことができるよう、社会における役割や責任を自覚し、自ら学んでいく姿勢を持つことが大切です。大人は、子どもが能力を発揮することができるよう、学ぶ機会を確保し、理解を示すとともに、愛情と厳しさをもって接することが必要です。  このことは、私たち世田谷区民が果たさなければならない役割であると考え、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、世田谷区は、すべての世田谷区民と力を合わせ、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくることを宣言して、この条例を定めます。 第1章 総則 (条例制定の理由) 第1条 この条例は、子どもがすこやかに育つことができるよう基本となることがらを定めるものです。 (言葉の意味) 第2条 この条例で「子ども」とは、まだ18歳になっていないすべての人のことをいいます。 (条例の目標) 第3条 この条例が目指す目標は、次のとおりとします。 (1)子ども一人ひとりが持っている力を思い切り輝かせるようにする。 (2)子どもがすこやかに育つことを手助けし、子どものすばらしさを発見し、理解して、子育ての喜びや育つ喜びを分かち合う。 (3)子どもが育っていく中で、子どもと一緒に地域の社会をつくる。 (保護者の務め) 第4条 保護者は、子どもの養育と成長について責任があることを自覚し、ふれあいの機会を大切にして、子どもがすこやかに育つよう全力で努めなければなりません。 (学校の務め) 第5条 学校は、子どもが人間性を豊かにし、将来への可能性を開いていくため、地域の社会と一体となって、活動をしていくよう努めなければなりません。 (区民の務め) 第6条 区民は、地域の中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、積極的に役割を果たすよう努めなければなりません。 (事業者の務め) 第7条 事業者は、その活動を行う中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、配慮するよう努めなければなりません。 (区の務め) 第8条 区は、子どもについての政策を総合的に実施します。 2 区は、子どもについての政策を実施するときは、保護者、学校、区民、事業者などと連絡をとり、協力しながら行います。 第2章 基本となる政策 (健康と環境づくり) 第9条 区は、子どもの健康を保持し、増進していくとともに、子どもがすこやかに育つための安全で良好な環境をつくっていくよう努めていきます。 (場の確保など) 第10条 区は、子どもが遊び、自分を表現し、安らぐための場を自分で見つけることができるよう必要な支援に努めていきます。 2 区は、子どもが個性をのばし、人間性を豊かにするための体験や活動について必要な支援に努めていきます。 (子どもの参加) 第11条 区は、子どもが参加する会議をつくるなどしていろいろな意見をきき、子どもが自主的に地域の社会に参加することができる仕組みをつくるよう努めていきます。 (虐待の禁止など) 第12条 だれであっても、子どもを虐待してはなりません。 2 区は、虐待を防止するため、地域の人たちと連絡をとり、協力しながら、子育てをしている家庭に対し、必要なことを行うよう努めていきます。 3 区は、虐待を早期に発見し、子どもを保護するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、児童相談所や自主活動をしている団体と連絡をとり、協力しながら、虐待の防止のための仕組みをつくるよう努めていきます。 (いじめへの対応) 第13条 だれであっても、いじめをしてはなりません。 2 区は、いじめを防止するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、いじめがあったときに、すみやかに解決するため、保護者や地域の人たちと連絡をとり、協力するなど必要な仕組みをつくるよう努めていきます。 (子育てへの支援) 第14条 区は、地域の中での助け合いや連絡を強め、子育てをしている人たちのために必要なことを行うよう努めていきます。 第3章 子どもの人権擁護 (世田谷区子どもの人権擁護委員の設置) 第15条 区は、子どもの人権を擁護し、子どもの権利の侵害をすみやかに取り除くことを目的として、区長と教育委員会の附属機関として世田谷区子どもの人権擁護委員(以下「擁護委員」といいます。)を設置します。 2 擁護委員は、3人以内とします。 3 擁護委員は、人格が優れ、子どもの人権について見識のある人のうちから区長と教育委員会が委嘱します。 4 擁護委員の任期は3年とします。ただし、再任することができるものとします。 5 区長と教育委員会は、擁護委員が心身の故障によりその仕事ができないと判断したときや、擁護委員としてふさわしくない行いがあると判断したときは、その職を解くことができます。 6 擁護委員に対する報酬は、世田谷区非常勤職員の報酬および費用弁償に関する条例(昭和31年10月世田谷区条例第28号)の規定により区長が定める額を支給します。 (擁護委員の仕事) 第16条 擁護委員は、次の仕事を行います。 (1)子どもの権利の侵害についての相談に応じ、必要な助言や支援をすること。 (2)子どもの権利の侵害についての調査をすること。 (3)子どもの権利の侵害を取り除くための調整や要請をすること。 (4)子どもの権利の侵害を防ぐための意見を述べること。 (5)子どもの権利の侵害を取り除くための要請、子どもの権利の侵害を防ぐための意見などの内容を公表すること。 (6)子どもの権利の侵害を防ぐための見守りなどの支援をすること。 (7)活動の報告をし、その内容を公表すること。 (8)子どもの人権の擁護についての必要な理解を広めること。 (擁護委員の務めなど) 第17条 擁護委員は、子どもの人権を擁護し、子どもの権利の侵害を取り除くため、区長、教育委員会、保護者、区民、事業者など(以下「関係機関など」といいます。)と連絡をとり、協力しながら、公正かつ中立に仕事をしなければなりません。 2 擁護委員は、その地位を政党や政治的目的のために利用してはなりません。 3 擁護委員は、仕事をする上で知った他人の秘密をもらしてはなりません。擁護委員を辞めた後も同様とします。 (擁護委員への協力) 第18条 区は、擁護委員の設置の目的をふまえ、その仕事に協力しなければなりません。 2 保護者、区民、事業者などは、擁護委員の仕事に協力するよう努めなければなりません。 (相談と申立て) 第19条 子ども(次に定めるものとします。)は、擁護委員に、自分の権利への侵害について相談することやその侵害を取り除くための申立てをすることができます。また、だれであっても、擁護委員に、次に定めるものの権利の侵害について相談することやその侵害(しんがい)を取り除くための申立てをすることができます。 (1)区内に住所を有する子ども (2)区内にある事業所で働いている子ども (3)区内にある学校、児童福祉施設などに、通学、通所や入所している子ども (4)子どもに準ずるものとして規則で定めるもの (調査と調整) 第20条 擁護委員は、子どもの権利の侵害を取り除くための申立てに基づき、また、必要に応じて、子どもの権利の侵害についての調査をするものとします。ただし、擁護委員が特別の事情があると認めるときを除き、規則で定める場合においては、調査をしないことができます。 2 擁護委員は、関係機関などに対し調査のために必要な書類を提出するよう求めることや、その職員などに対し調査のために質問することができるものとします。 3 擁護委員は、調査の結果、必要と認めるときは、子どもと関係機関などとの仲介をするなど、子どもの権利の侵害を取り除くための調整をすることができます。 (要請と意見など) 第21条 擁護委員は、調査や調整の結果、子どもの権利の侵害を取り除くため必要と認めるときは、関係機関などに対してそのための要請をすることができます。 2 擁護委員は、子どもの権利の侵害を防ぐため必要と認めるときは、関係機関などに対してそのための意見を述べることができます。 3 要請や意見を受けた区長や教育委員会は、その要請や意見を尊重し、適切に対応しなければなりません。 4 要請や意見を受けた区長と教育委員会以外の関係機関などは、その要請や意見を尊重し、対応に努めなければなりません。 5 擁護委員は、区長や教育委員会に対して要請をしたときや意見を述べたときは、その対応についての報告を求めることができます。 6 擁護委員は、必要と認めるときは、要請、意見、対応についての報告の内容を公表することができます。この場合においては、個人情報の保護について十分に配慮しなければなりません。 7 擁護委員は、その協議により要請をし、意見を述べ、また、この要請や意見の内容を公表するものとします。 (見守りなどの支援) 第22条 擁護委員は、子どもの権利の侵害を取り除くための要請などをした後も、必要に応じて、関係機関などと協力しながら、その子どもの見守りなどの支援をすることができます。 (活動の報告と公表) 第23条 擁護委員は、毎年、区長と教育委員会に活動の報告をし、その内容を公表するものとします。 (擁護委員の庶務など) 第24条 擁護委員の庶務は、子ども・若者部で行います。 2 擁護委員の仕事を補佐するため、相談・調査専門員を置きます。 3 擁護委員に準じて、第15条第6項と第17条の規定は、相談・調査専門員に適用します。 第4章 推進計画と評価 (推進計画) 第25条 区長は、子どもについての政策を進めていくための基本となる計画(以下「推進計画」といいます。)をつくります。 2 区長は、推進計画をつくるときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。 3 区長は、推進計画をつくったときは、すみやかに公表します。 (評価) 第26条 区長は、子どもについての政策を有効に進めていくため、推進計画に沿って行った結果について評価をします。 2 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をするときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。 3 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をしたときは、すみやかにその評価の内容を公表します。 第5章 推進体制など (推進体制) 第27条 区長は、子どもについての政策を計画的に進めていくため、推進体制を整備します。 (国、東京都などとの協力) 第28条 区は、子どもがすこやかに育つための環境をつくっていくため、国、東京都などに協力を求めていきます。 (雇い主の協力) 第29条 雇い主は、職場が従業員の子育てに配慮したものであるよう努めていくものとします。 2 雇い主は、子どもがすこやかに育つことに関わる活動や子育てを支える活動へ従業員が参加することについて配慮するよう努めていくものとします。 (地域の中での助け合い) 第30条 区は、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくっていくため、地域の中での助け合いに必要なことを行うとともに、自発的な活動がなされるよう必要な取組を行います。 (啓発) 第31条 区は、この条例の意味や内容について、すべての区民に理解してもらうよう努めなければなりません。 第6章 雑則 (委任) 第32条 この条例を施行するために必要なことは、区長が定めます。 世田谷区子ども計画(第2期) (平成27年度〜平成36年度) 平成27年3月発行 世田谷区子ども・若者部 郵便番号154-8504 東京都世田谷区世田谷4-21-27 電話03-5432-2528 FAX 03-5432-3016 広報印刷物登録番号1236