これは、世田谷の子どもの権利をまもる せたがやホッと子どもサポート広報紙 せたホッとレター第13号です。 子どもの安全のためにできること。 子どもの権利について考えるとき、その大前提として、子どもの安全が確保されていなければなりません。子どもが学び、遊び、意見を表明し、成長・発達していくためには、まず子どもの置かれた環境が安全であることが基本的な条件です。子どもの権利条約第6条では、1項にすべての子どもが生命への固有の権利を有すること、2項に子どもの生存および発達を可能な限り最大限に確保することが規定されています。また、同第34条には性的搾取・虐待からの保護が、第35条には誘拐・売買・取引の防止が規定されており、子どもの権利条約も、子どもの安全を重視しています。しかし、現実に子どもの安全が確保されているかというと、必ずしもそうではありません。我が国でも、巷には児童ポルノが氾濫しています。出会い系サイトや、いわゆる女子高生リフレなどの蔓延は、子どもたちが以前より簡単に性的搾取を受けやすい社会を作り出しました。子どもの略取誘拐、児童虐待のニュースも頻繁に報じられています。小学生の女児が誘拐された事件が大きく報道されたことは記憶に新しいところですし、児童虐待のニュースはどれも胸が痛むものばかりです。このように、子どもを生命の危機にさらし、心身に深刻な悪影響を及ぼす事件は後を絶ちません。 せたホッと にも、上記のような相談が舞い込むことがあります。 せたホッと は、そのような相談に寄り添う一方で、子どもに対する啓発も重要だと考え、子どもたちに、身の回りの危険から自分を守る方法を身につけてもらうワークショップもしています。 今回の せたホッとレター では、子どもへの性被害に焦点を当て、その危険性を解説するとともに、子どもたちの安全確保を目的とした啓発活動として せたホッと が行っているワークショップについてもご紹介しています。2、3ページ 子どもを性被害から守るために知っておきたいこと 2ページ目 子どもを被害者にしないために知っておきたいこと 1 被害の実態 警察庁の平成30年の統計によると、13歳未満の子どもへの強制性交等、公然わいせつ・強制わいせつ等の風俗犯の認知件数は995件です。子どもの性被害は、加害者による口止めや、低年齢の場合に被害を自覚できない等の理由によって発覚しにくく、実際の被害と統計上の数字には大きな差があると言われています。性被害というと女の子のイメージがありますが、男の子の場合、女の子に比べると 変な人には気をつけなさい  ひとりで行動しない 等注意喚起される機会が少なく警戒心が低いことなどから、男の子の方が女の子よりも素直で狙いやすいと考える加害者もいます。警察庁の統計では男性に対する強制わいせつの被害は13歳未満に集中しています。加害者は、保護者の目が離れている子どもをターゲットとします。公園や大型ショッピングモールのトイレは子どもが一人でいることが多く、近くにおとながいても自然なため、盗撮や強制わいせつの犯行現場として狙われやすいようです。2 SNSに起因する被害  2018年にインターネットの交流サイトを通じて子どもが被害にあった件数は立件されたものだけでも1811件ありました。特にSNSの普及に伴い、児童ポルノに関わる犯罪に子どもが巻き込まれる機会が増えています。子どもへの性的な加害等を目的として、SNSなどで子どもに巧妙に近づき信頼を得ることをオンライン・グルーミングといいます。実際の相談の場合でも、加害者は同世代の子どものふりをして近づいたり、悩み相談にのるなど子どもの話に関心を示し、優しい言葉をかけて子どもの愛情や関心、信頼を得ています。最初は性的ではない要求から徐々に要求のハードルを上げるなど、巧妙な手口で写真を送らせ、最終的にはその写真を使って脅迫し、更なる写真を要求されるような場合もあります。子どもの場合、写真がどのように使われるのか想像するのが難しいことも手伝い、気軽に送ってしまうケースもあるようです。3ページ目子どもが被害にあったときに 1 性被害とトラウマ  被害にあった子どもは、信頼していた人に裏切られた恐怖や自責の念にかられることがあります。また、被害体験時にはただ不快な体験としてその意味がよく分からなかったとしても、後になって性的意味を理解するようになり、精神的影響が深刻化することもあります。また児童ポルノ被害に関しては、画像等が残ることへの恐怖や不安から、うつ状態や不安、無力感等の影響が複雑化、長期化しやすいといわれています。2 保護者に与える影響 性犯罪被害では保護者も強い衝撃を受けます。被害を知った保護者は衝撃が強すぎるあまり そんなはずはない と被害を否認したり、行動の軽率さを責めてしまったりすることもあります。また、 子どもを守れなかった と強い自責の念を感じる場合も多く、保護者にトラウマ反応が現れることもあります。このような状況の中で保護者や周りのおとながつい被害にあった子どものことを責めてしまう場合があるので注意が必要です。悪いのは子どもに悪意を持って近づくおとなです。防犯を伝えることは大切ですが、すでに自分を責めている子どもをさらに追い詰めてしまうことだけは無いようにしましょう。子どもにどう伝え、どう防ぐのか 防犯に絶対はありません。子どもの性被害は、駅や路上で狙いをつけた子をいきなり死角やトイレに連れ込んで加害をするケースがある一方で、事前に子どもと関係性を作り上げたうえで加害に及ぶケースも多くあります。子どもに身近な立場で、子どもからも保護者を含めた周りのおとなからも信頼されている人が加害者となる場合があることも、特徴のひとつとしてあげられます。日ごろから 水着で隠れるようなところは、誰であってもさわったりさわられたりすることはおかしい 等具体的に伝えるとともに、どんなおとなからであっても、してはいけないことに関しては おかしい  助けて と声を上げられるように、どう被害を伝えればよいのかも含め、普段から話し合っておくことが大切です。ご家庭等で話し合う時に利用できる絵本もいくつか出版されています。  せたホッと では啓発活動として、子どもの権利について学ぶとともに、人形劇を利用し、シチュエーション別に自分の 心とからだをまもる 方法等について子どもたちと一緒に考えるワークショップを実施しています。ご興味のあるかたは せたホッと 事務局までお問い合わせ下さい。4ページ目 子どもには守られる権利、大切にされる権利があります。おとなでも子どもでも、この権利を侵害してはいけません。これまで相談してうまくいかなかったことも、 せたホッと に話してみませんか。 自分のことでなくても大丈夫です。 秘密は必ず守ります。 相談にお金は、かかりません。相談を受けてからの流れ 学校での仲間はずれや、いじめ、先生のことや友だちのこと。家でのつらいこと、いやなこと、家族に話せないこと。バイト先での先輩や上司のことなどで、つらい、悲しい気持ちになったら、 せたホッと に相談しましょう。子どもの人権侵害についておとなも相談できます。あなたの気持ちや意見をじっくり聴いて一番よい方法を一緒に考えます。解決に向けて関係する人や機関に話を聞いたり、協力をお願いできます。あなたの考えや気持ちを代わりに伝えることもできます。関係する機関などに改善要請や意見表明をすることもできます。解決したあとも困ったことが出てきたら、また相談してください。相談が終わっても、必要があれば、見守り支援をします。相談電話はフリーダイヤル 0120-810-293 FAXは03-3439-6777 平日は午後1時から午後8時まで。土曜日は午前10時から午後6時まで。日曜、祝休日、年末年始はおやすみです。 せたホッと の住所は〒156-0051 世田谷区宮坂3‐15‐15 世田谷区立子ども子育て総合センター3階です。