世田谷の子どもの権利をまもる「せたがやホッと子どもサポート」広報紙せたホッとレター第11号 発行:2019年3月 6 年目の成果 「せたホッと」の活動が開始してから、今年で6年目となります。この間、相談活動やさまざまな場面での広報・啓発活動を通じ、子どもたちをはじめ、多くの方々や関係機関から「せたホッと」の活動を理解していただき、子どもの人権擁護機関として信頼が高まってきています。この6 年で、「せたホッと」が感じた成果を紹介します。その1 子どもにとって身近で安心できる相談窓口 「せたホッと」に寄せられる相談の6割以上が子ども本人からの相談です。これは、「せたホッと」の活動を紹介したカードやリーフレットの配布、児童館まつりや区民まつりへの参加といった顔の見える関係づくりなどを継続して行ったことで、「せたホッと」が子どもたちにとって身近な相談機関として広まってきています。実際に、児童館まつりに参加した子どもからの相談もありました。また、相談ではないものの「どんなことをしているのか気になった」や「『せたホッと』に来てみたかった」といった声もあり、子どもたちにとって身近な相談場所になってきています。関係機関との連携 相談や広報・啓発活動などを通じ、「せたホッと」の活動に対する認知の広がりに伴い、近年では、関係機関からの紹介により相談につながることも増えています。また、支援の場面においても、子どもの権利救済に向けた支援方針を関係機関と一緒に考え、一丸となって取り組むことが多くなり、関係機関との連携がより深まっ てきています。相談者に対してさまざまな関係機関が協力し、役割分担をすることによって、多角的なサポートができています。活動の広がり この他にも、「いじめ予防授業」や「家庭教育学級」などの「出前講座」を実施しており、関係機関のみなさまだけでなく、保護者の方や地域の方々にも「せたホッと」の活動を広めています。 広報・啓発活動、出前講座の実施、研修会等への講師派遣〜せたホッとでは、学校などでの出前講座や、関係機関や子どもに関わる団体等が実施する研修会に講師派遣を行っています。平成30年度に参加した研修等を紹介します。≪いじめ予防授業≫いじめ予防授業とは、いじめが発生する前に、あるいはいじめの被害がひどくなる前に予防することがいじめをなくすための最善の策という考えのもと、いじめについて子どもたちと一緒に考える授業です。弁護士の平尾潔委員が実施しています。今年度も区立・私立の小学校を訪問し実施しました。問い1. いじめがあったとき、いじめられる人にも問題があると思いますか?問い2. いじめに加わっていない、いじめを見ているだけの人がいます。その人はいじめに関係があるでしょうか?いじめ予防授業では、これらの質問の答えを子どもたちと一緒に考えていく中で、いじめを受けた子どもの辛さや、すべての子どもに幸せな人生を生きる権利があることをお伝えしています。また、あわせて保護者向けの講演を実施する場合もあります。≪「せたホッと」ってどんなところ?〜子どもの権利に寄り添う活動〜≫昨年11月に青少年委員会の砧地域合同研修会に参加し、「『せたホッと』ってどんなところ?〜子どもの権利に寄り添う活動〜」をテーマに、講演を行いました。研修の内容は、青少年委員会の方と検討し、「せたホッと」とはどのような相談機関なのか、相談はどのようなものが多いのかなどを説明しました。あわせて相談から見えてくる子どものつらさと家庭的な背景とのつながりや、子どもとのコミュニケーションについて参加者の方々にも一緒に考えてもらいました。「せたホッと」では、これまでも家庭教育学級などさまざまな場面で講演を行っています。研修の内容も相談に応じますのでお気軽にご連絡ください。 事例紹介 実際に関係機関と連携を行った事例を紹介します。※プライバシー保護のため、内容等は一部変更してあります。他の相談機関から、「いじめなら『せたホッと』に相談してみたら」と言われて、相談してみました。悪口を言われたり、蹴られたりされる。クラス内では、授業中に立ち歩いている子や遊んでいる子もいて、先生も大変そう。どうしたらいいですか。他の相談機関から、「いじめなら『せたホッと』に相談してみたら」と言われて、相談してみました。悪口を言われたり、蹴られたりされる。クラス内では、授業中に立ち歩いている子や遊んでいる子もいて、先生も大変そう。どうしたらいいですか。本人から話を聞くなかで、「せたホッと」から学校に本人のつらい状況を伝えてほしいということになり、学校を訪問しました。管理職や担任の先生から状況を聞き、クラスの様子も観察しました。クラスが落ち着かず困っている子どももいたことから、先生方と対応を協議し、学生ボランティアや支援要員に入ってもらい、学校とともにクラスでの見守りと問題状況の改善に取り組んでいくことになりました。また、「いじめ予防授業」の提案も行い、実施しました。子どもたちからは、「いじめは悪いことだとわかった」や「陰口は言わないようにしたい」といった声が聞けました。そうした取り組みを通じて、クラスでは徐々に落ち着きが見られ、悪口や暴力も減っていきました。部屋の片付けをしなかったり、疲れてソファーで寝てしまったりすると、父親から怒られ、叩かれる。あざを友達に見られたくないので学校を休むこともある。学校を休むと、母親からも叩かれ、「早く学校に行けよ!」と言われる。家出するにはどうしたらいいですか。本人のつらい気持ちに寄り添い、「あなたは悪くない」と伝えました。また、今の状況を確認したところ「部屋にこもれば大丈夫」ということでした。そこで、「せたホッと」だけでなく子ども家庭支援センターの人とも一緒に考えたいことと、会って話したいことを伝えました。しかし、「話したいけど、会いにいけない」ということだったので、後日、学校で本人と会って話をしました。本人は自分が悪いという思いもあったので、「どんな理由があっても、叩くのも暴言もいけないんだよ」と伝えると、「少し気持ちが前を向けた」と言っていました。その後、子ども家庭支援センター、学校、「せたホッと」の役割を整理し、互いに連携して本人や家庭を支援していくことにしました。本人からは「相談したことで、両親の暴言も減り、叩かれなくなって、家にいやすくなった」という報告がありました。 関係機関からの声 「いじめ予防授業」では、講師の方が児童の「本音」を聞き、それに対して「あるべき姿」「とるべき行動」を示してくださいます。特に、「理由があればいじめられても仕方がない」という児童の考えを砕くとともに、傍観者にならないことの重要性を再徹底させる上で、重要な機会となっています。(区立小学校校長)子ども家庭支援センターは、文字どおり、子どもとその家庭を支援するところですが、時に、家庭との相談関係が築けない場合があります。そんな時、「せたホッと」に子どもが直接相談し、長い間、お世話になりました。今後も、子どもの話を聞いてくれる機関であってほしいです。(子ども家庭支援センター職員) 出前講座や研修会に参加した方から、「子ども、親どちらも相談できることを周知してほしい」や「問題の解決が難しくなってしまってから相談する機関というイメージが強い」といった意見をいただきます。「せたホッと」は子どもの権利侵害に関する相談であれば、いつでもどなたからでもお話を伺います。今後も「せたホッと」は、「安心して相談できる機関」、「顔の見える相談機関」として、広報・啓発活動を充実し、子どもの権利擁護の実現に向けた活動を続けていきます。 子どもには守られる権利、大切にされる権利があります。おとなでも子どもでも、この権利を侵害してはいけません。これまで相談してうまくいかなかったことも、 せたホッと に話してみませんか。 自分のことでなくても大丈夫です。 秘密は必ず守ります。 お金は、かかりません。相談を受けてからの流れ 学校での仲間はずれや、いじめ、先生のことや友だちのこと。家でのつらいこと、いやなこと、家族に話せないこと。バイト先での先輩や上司のことなどで、つらい、悲しい気持ちになったら、せたホッとに相談しましょう。子どもの人権侵害についておとなも相談できます。あなたの気持ちや意見をじっくり聴いて一番よい方法を一緒に考えます。解決に向けて関係する人や機関に話を聞いたり、協力をお願いできます。あなたの考えや気持ちを代わりに伝えることもできます。関係する機関などに改善要請や意見表明をすることもできます。解決したあとも困ったことが出てきたら、また相談してください。相談が終わっても、必要があれば、見守り支援をします。相談電話はフリーダイヤル 0120-810−293 FAXは03-3439-6777 平日は午後1時から午後8時まで。土曜日は午前10時から午後6時まで。日曜、祝休日、年末年始はおやすみです。せたホッとの住所は〒156−0051 世田谷区宮坂3‐15‐15 世田谷区立子ども子育て総合センター3階です。