世田谷区 ヤングケアラーに関する実態調査【概要版】 調査の概要 ○調査目的 ヤングケアラーとは、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされている。ヤングケアラーは、勉強や遊びに対する時間がとれず、本来守られるべき子どもの権利が侵害されている可能性がある。 区では、子どもが適切な養育を受け、健やかな成長と教育の機会を得られるようにするとともに、子どもが介護・世話をしている家族等を必要な支援につなげるための施策立案に必要な基礎資料を得ることを目的に、本調査を実施した。また、本調査を通じて、子どもたちに子どもの権利やヤングケアラーに関する啓発を行い、気づきを促すことも目的としている。 ○調査構成   ① 小学生の生活についてのアンケート調査   ② 中学生の生活についてのアンケート調査(ヤングケアラーに関する実態調査)   ③ 高校生世代の生活についてのアンケート調査(ヤングケアラーに関する実態調査) ○調査期間   令和4年5月27日(金)~6月19日(日) ○調査設計 ①小学生調査 調査対象 区立小学校在籍児童4~6年生全員 対象人数 19,039人 対象学校 61校 調査方法 各学校を通じて、児童・生徒に調査依頼文を配布。      児童・生徒は区から貸与されているタブレット等で、依頼文中の二次元コードを読み込み、Web上のフォームから回答。 回収率  28.5%(5,430人) ②中学生調査 調査対象 区立中学校在籍生徒1~3年生全員 対象人数 11,750人 対象学校 29校 調査方法 各学校を通じて、児童・生徒に調査依頼文を配布。      児童・生徒は区から貸与されているタブレット等で、依頼文中の二次元コードを読み込み、Web上のフォームから回答。 回収率  22.3%(2,626人) ③高校生世代調査 調査対象 区内に住民登録のある高校生世代の区民(平成16年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれた者) 対象人数 20,232人 対象学校 ー 調査方法 郵送により調査依頼文を送付。調査対象者は自身のスマートフォン、タブレット等で依頼文中の二次元コードを読み込み、Web上のフォームから回答。 回収率  12.8%(2,581人) 【小学生】自分がお世話をしている家族について 自分がお世話をしている家族が「いる」と回答した人は、17.7%。 世話を必要としている家族は「きょうだい」が最も高く、次いで「お母さん」、「お父さん」となっている。その他の自由記述:ペット、いとこ、曾祖母、友達の弟等 世話の理由が「わからない」の割合が高く、おばあさんでは「高齢」、きょうだいでは「幼い」が最も高くなっている。 世話の内容は全体的に「家事」が高く、きょうだいでは「見守り」が最も高くなっている。 【中学生】自分がお世話をしている家族について 自分がお世話をしている家族が「いる」と回答した人は、7.7%。 世話を必要としている家族は「きょうだい」が最も高く、次いで「お母さん」、「お父さん」となっている。その他の自由記述:いとこ、ペット等 世話の理由は、お母さん、お父さんでは「その他」が最も高く、おばあさん、おじいさんでは「高齢」、きょうだいでは「幼い」が最も高くなっている。 世話の内容は、お母さん、お父さんでは「家事」が最も高く、おばあさん、おじいさん、きょうだいでは「見守り」が最も高くなっている。 【高校生世代】自分がお世話をしている家族について 自分がお世話をしている家族が「いる」と回答した人は、4.9%。 世話を必要としている家族は「きょうだい」が最も高く、次いで「母親」、「父親」となっている。その他の自由記述:ペット等 世話の理由は、母親では「その他」、父親では「わからない」が最も高く、祖母、祖父では「高齢」、きょうだいでは「幼い」が最も高くなっている。 世話の内容は、母親、父親、きょうだいでは「家事」が最も高く、祖母、祖父では「見守り」が最も高くなっている。 【小学生】世話をしている頻度、生活への影響について 世話をしている頻度:お母さん、お父さん、きょうだいでは「ほとんど毎日する」が最も高く、おばあさん、その他のあなたのほごしゃでは「毎日ではないが、よくする」、おじいさんでは「ときどきする」が最も高くなっている。 世話をすることによる生活への影響(複数回答):「とくにない」が77.6%と最も高くなっている。それ以外では、「ねむる時間が足りない」、「宿題など勉強する時間がない」、「友だちと遊べないことがある」が、ほかと比べて高くなっている。 【中学生】世話をしている頻度、世話に費やす時間、生活への影響について 世話をしている頻度:お母さん、お父さん、おばあさん、きょうだいで、「ほぼ毎日」が最も高くなっている。 平日1日あたりの世話に費やす時間:全体的に「1時間~2時間未満」が高くなっている。 休日1日あたりの世話に費やす時間:全体的に「1時間~2時間未満」が高くなっている。 世話をすることによる生活への影響(複数回答):「特にない」が64.2%と最も高く、次いで「勉強する時間がない」、「友達と遊べないことがある」、「すいみんが十分に取れない」となっている。 【高校生世代】世話をしている頻度、世話に費やす時間、生活への影響について 世話をしている頻度:母親、父親、祖母、きょうだいで、「ほぼ毎日」が最も高くなっている。 平日1日あたりの世話に費やす時間:全体的に「1時間~2時間未満」が高くなっている。 休日1日あたりの世話に費やす時間:全体的に「1時間~2時間未満」が高くなっており、世話をしている時間は平日より長い傾向にある。 世話をすることによる生活への影響(複数回答):「特にない」が65.9%と最も高く、次いで「勉強する時間がない」、「友達と遊べないことがある」となっている。 【小学生】世話について感じていること、支援してほしいこと、希望する相談方法について 世話をすることについて感じていること(複数回答):「楽しい」が最も高く、次いで「やりがいを感じている」、「つかれる」、「とくに何も感じていない」となっている。 学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援(複数回答):「とくにない」が約6割と最も高く、次いで「自由に使える時間がほしい」、「自分が自由にすごせる場所がほしい」、「勉強を教えてほしい」となっている。 希望する相談方法(複数回答):「自分のことについて話を聞いてほしい」、「家族のお世話について相談にのってほしい」と回答した人に、希望する相談方法を聞いたところ、「会って話す」が64.6%と最も高く、次いで「電子メール」が20.2%、「電話」が19.2%となっている。 【中学生】世話について感じていること、支援してほしいこと、希望する相談方法について 世話をすることについて感じていること(複数回答):「楽しい」が最も高く、次いで「やりがいを感じている」、「特に何も感じていない」となっている。 学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援(複数回答):「特にない」が5割半ばと最も高く、次いで「学校の勉強や受験勉強など学習のサポートをしてほしい」、「自由に使える時間がほしい」となっている。 希望する相談方法(複数回答):「自分のいまの状況について話を聞いてほしい」、「家族のお世話について相談にのってほしい」と回答した人に、希望する相談方法を聞いたところ、「直接会って」が52.2%と最も高く、次いで「電子メール」が39.1%、「SNS」が21.7%となっている。 【高校生世代】世話について感じていること、支援してほしいこと、希望する相談方法について 世話をすることについて感じていること(複数回答):「特に何も感じていない」が最も高く、次いで「楽しい」、「やりがいを感じている」となっている。 学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援(複数回答):「特にない」が約5割と最も高く、次いで「自由に使える時間がほしい」、「自分が自由に過ごせる場所がほしい」、「進路や就職など将来の相談にのってほしい」、「家庭への金銭面での支援をしてほしい」となっている。 希望する相談方法(複数回答):「自分のいまの状況について話を聞いてほしい」、「家族のお世話について相談にのってほしい」と回答した人に、希望する相談方法を聞いたところ、「直接会って」が50.0%と最も高く、次いで「SNS」が43.8%、「電話」が25.0%となっている。 【小学生】世話についての相談経験、相談相手、相談しない理由について 世話について相談した経験の有無:世話について相談した経験のない人は67.3%と6割半ばを超えている。 世話についての相談相手(複数回答):相談経験のある人の相談相手は、「家族や親せき」が約8割と最も高く、次いで「友だち」、「学校の先生(ほけん室の先生以外)」、「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー」となっている。 世話について相談したことがない理由(複数回答): 相談経験のない人の理由としては、「だれかに相談するほどこまっていないから」が最も高く、次いで「自分のことをかわいそうと思われたり、変に思われたりしたくないから」 、「相談しても何も変わらないと思うから」となっている。 【中学生】世話についての相談経験、相談相手、相談しない理由について 世話について相談した経験の有無:世話について相談した経験のない人は72.6%と7割を超えている。 世話についての相談相手(複数回答):相談経験のある人の相談相手は「家族」が約6割と最も高く、次いで「友達」、「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー」となっている。 世話について相談したことがない理由(複数回答):相談経験のない人の理由としては、「だれかに相談するほどのなやみではない、または、なやみはないから」が最も高く、次いで「家族以外の人に相談するようななやみではないから」となっている。 【高校生世代】世話についての相談経験、相談相手、相談しない理由について 世話について相談した経験の有無:世話について相談した経験のない人は66.7%と6割半ばを超えている。 世話についての相談相手(複数回答):相談経験のある人の相談相手は「友達」が約6割と最も高く、次いで「家族」、「学校の先生(保健室の先生以外)」、「親戚」、「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー」となっている。 世話について相談したことがない理由(複数回答):相談経験のない人の理由としては、「誰かに相談するほどの悩みではない、または、悩みはないから」が最も高く、次いで「家族以外の人に相談するような悩みではないから」となっている。 【中学生・高校生世代】ヤングケアラーという言葉の認知度について 「ヤングケアラー」という言葉の認知度:中学生は約5割が、高校生世代では6割半ばが「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがあると回答している。 「ヤングケアラー」という言葉をどこで知ったか(複数回答):中学生、高校生世代ともに、「テレビや新聞、ラジオ」が最も高く、次いで「SNSやインターネット」、「学校」となっている。 追加分析1【小学生】世話を必要としている家族の傾向(世話をすることによる生活への影響) ✔ 世話を必要としている家族が複数人の場合、ほかと比べて「ねむる時間が足りない」の割合が高くなっている。 ✔ 世話を必要としている家族が祖父母のみの場合、ほかと比べて「友だちと遊べないことがある」の割合が高くなっている。  追加分析1【中学生】世話を必要としている家族の傾向(世話をすることによる生活への影響) ✔ 世話を必要としている家族がきょうだいのみ(上記以外)の場合、ほかと比べて「友達と遊べないことがある」、「勉強する時間がない」、「すいみんが十分に取れない」の割合が高くなっている。 ✔ 世話を必要としている家族が複数人の場合、ほかと比べて「部活動や習い事が思うようにできない」の割合が高くなっている。 追加分析1【高校生世代】世話を必要としている家族の傾向(世話をすることによる生活への影響) ✔ 世話を必要としている家族が複数人の場合、ほかと比べて、「部活動や習い事が思うようにできない」、「勉強する時間がない」の割合が高くなっている。 追加分析2【小学生】世話をしている頻度の傾向(世話をすることについて感じていること) ✔ 世話をほとんど毎日する場合、ほかと比べて全体的に回答割合が高く、特に「やりがいを感じている」、「楽しい」の割合が高くなっている。 ✔ 世話の頻度が低くなるにつれ、「とくに何も感じていない」の割合が高くなっている。 追加分析2【中学生】世話をしている頻度の傾向(世話をすることについて感じていること) ✔ 世話の頻度が高くなるにつれ、「体力的につらい」の割合が高くなっている。 ✔ 世話の頻度が1か月に数日の場合、ほかと比べて「特に何も感じていない」の割合が高くなっている。 追加分析2【高校生世代】世話をしている頻度の傾向(世話をすることについて感じていること) ✔ 世話をほぼ毎日する場合、ほかと比べて「体力的につらい」の割合が高くなっている。 ✔ 世話を週に3~5日する場合、ほかと比べて「精神的につらい」の割合が高くなっている。 追加分析3【中学生】世話に費やす時間の傾向(世話をすることについて感じていること) ✔ 世話に費やす時間が長くなるにつれ、「精神的につらい」の割合が高くなっている。 ✔ 世話に費やす時間が3~7時間未満の場合、ほかと比べて「体力的につらい」、「時間のよゆうがない」の割合が高くなっている。 追加分析3【高校生世代】世話に費やす時間の傾向(世話をすることについて感じていること) ✔ 世話に費やす時間が3~7時間未満の場合、3時間未満と比べて「やりがいを感じている」、「体力的につらい」の割合が高くなっている。 追加分析4【小学生】世話をすることについて感じていることの傾向(学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援) ✔ もっとあそんだり勉強したりする時間がほしいと感じている場合、ほかと比べて「自分のことについて話を聞いてほしい」、「自由に使える時間がほしい」、「自分が自由にすごせる場所がほしい」、「勉強を教えてほしい」の割合が高くなっている。 追加分析4【中学生】世話をすることについて感じていることの傾向(学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援) ✔ やりがいを感じている、楽しい、じゅうじつしていると感じている場合、「特にない」の割合が最も高くなっている。 ✔ 体力的につらい、精神的につらい、時間のよゆうがないと感じている場合、「自由に使える時間がほしい」、「自分が自由に過ごせる場所がほしい」、「学校の勉強や受験勉強など学習のサポートをしてほしい」の割合が高くなっている。 追加分析4【高校生世代】世話をすることについて感じていることの傾向(学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援) ✔ 精神的につらいと感じている場合、ほかと比べて「自分のいまの状況について話を聞いてほしい」、「家族のお世話について相談にのってほしい」、「自分が行っているお世話を代わってくれる人やサービスがほしい」、「家庭へ金銭面での支援をしてほしい」の割合が高くなっている。 ✔ 時間の余裕がないと感じている場合、ほかと比べて「自由に使える時間がほしい」、「自分が自由に過ごせる場所がほしい」の割合が高くなっている。