1.はじめに ・世田谷区では、教育ビジョンや子ども計画などに基づき、就学前の子どもの教育・保育の充実 に取り組んできた。このような中で、平成24年8月に、「子ども・子育て関連3法」が成立し、 幼児教育・保育を含む子ども・子育て支援新制度は、平成27年度からの実施に向け、具体的な 準備が進められている。また、一方、国においては、平成25年6月に第2期教育振興基本計画 の策定や平成26年7月に、教育再生実行会議が3〜5歳児の幼児教育の無償化や5歳児の義務 教育化について政府に提言したところである。 ・このように、幼児教育・保育を含めた子ども・子育て支援は、大きな転換期を迎えており、そ の充実に向けて、国の取り組みとともに、区においては、新たな基本構想を踏まえた、基本計画、 第2次教育ビジョン、第2期子ども計画の検討を進めているところであり、就学前教育(幼児教 育)のさらなる充実、保育サービス待機児対応、配慮を必要とする子どもへの支援、地域の子ど も・子育て支援の充実に向けて、さらに検討を進めるものである。 2.計画の策定にあたって ・区立幼稚園のあり方については、平成25年3月に、「区立幼稚園のあり方に関する基本方針 及び用途転換の方向性」を取りまとめたところである。この基本方針のもと、用途転換の方向性 において示した、用途、運営形態、整備手法、移行年次の基本と用途転換のイメージの内容に、 国の第2期教育振興基本計画と「子ども・子育て関連3法」の子ども・子育て支援の具体的制度 内容を踏まえるとともに、これに基づき実施する、幼児教育・保育のニーズ調査に基づく「区市 町村子ども・子育て支援事業計画」の検討内容等との整合を図りながら、区立幼稚園9園各々の 用途転換等計画として取りまとめていくこととする。 ・なお、各施設の定員等詳細については、区立幼稚園9園の用途転換等計画に基づき、以降順次 作成する各園毎の「用途転換移行計画」において示していく。 3.用途転換等計画 (1)幼児教育の充実について @幼稚園・保育園等と小学校との連携の推進について 幼稚園や保育園等と小学校の連絡会を実施するとともに、小・中学校教員の幼稚園・保育園等 での実習研修を実施する。 A幼児教育センターの設置検討について 新たな教育センター機能の検討と合わせ、幼児教育の研修・研究や相談対応等を担う「幼児教 育センター」の設置に向けて、その機能のあり方等についての検討を進め、早期の実現を図る。 (2)用途転換施設等について @認定こども園 ・認定こども園については、幼保連携型認定こども園への移行を基本とする。 ・各園ごとの幼児教育、保育の定員数は、幼稚園の充足率の状況を基本に、保育サービス待機児 の状況等も踏まえ検討することとし、区立幼稚園の4・5歳の定員についても考慮し検討する。 なお、各園ごとの定員の詳細については、「用途転換移行計画」の中で示していく。 ・また、認定こども園では、認定こども園に通っていない子どもの家庭を含め、「子育て相談」、 「親子の集いの場」などの地域の子ども・子育て支援の充実に取り組む。 A教育関連施設 ・大規模化する小学校においては、新BOPの施設の面積が課題になっているところもあり、施 設の改築による複合化により整備を進める。 Bその他 区立幼稚園を用途転換するまでの間、幼稚園での預かり保育を段階的に実施する。 (3)運営形態等について ・区立幼稚園の用途転換後の運営形態については、「用途転換に向けての基本方針」を踏まえ、 民営化を基本とするが、区の幼児教育の役割として、幼保一体化の推進をはじめ、幼保小の連携 の推進、配慮を必要とする子どもへの対応などから、公私の役割分担や地域特性に配慮しながら、 以下のとおりとする。 ・民営化する施設については、これまで区立幼稚園が取り組んできた教育実践と幼児教育の研究 や配慮を必要とする子どもたちへのきめ細かな対応などの取り組み等を今後の用途転換に活か す観点から、改正認定こども園法で位置づけられた「公私連携幼保連携型認定こども園」への移 行を基本に検討する。また、就学前教育の充実の観点から、小1プロブレムへの対応など幼保小 の連携をさらに推進するため、教育委員会と「公私連携幼保連携型認定こども園」の連携を図る。 ・なお、民営化にあたっては、区立施設の職員の処遇等も併せて検討する。 (4)配慮を必要とする子どもへの支援 ・今後用途転換する区立認定こども園においては、これまで培われてきた、配慮を必要とする 子どもたちへのきめ細かな対応などの支援のノウハウや教育内容等を活かすとともに、専門家 による巡回指導等を継続する。 ・運営形態が公私連携幼保連携型の認定こども園においては、あらかじめ、区市町村長が、「公 私連携法人」と締結しなければならない協定の中で、配慮を必要とする子どもへの支援につい ても明記する。 ・教育関連施設等に転換する施設への対応はもとより、私立幼稚園に対する支援策を強化する。 (5)整備手法について @既存の施設の活用について ・整備手法については、一部改修を基本とする。用途転換時に築年数が50年を超える施設に ついては、改築を想定する。認定こども園への用途転換にあたっては、原則調理室の整備が必 要となるが、調理室が増築により整備可能な場合は増築により対応し、増築ができない場合は、 施設の一部改修による教室の転用により整備する。充足率や施設転用のコスト面等から教室の 転用が困難で、かつ増築も困難な場合は、改築までの当面の間を区立幼稚園として継続する。 ・今後、新たな認定こども園の国の基準や東京都の設置条例等を踏まえ、これらに適合するよ う検討を進めていく。学校改築時における複合化や、国において示された「待機児童解消対策 としての国有地活用について」で情報提供される国有地の活用についても検討を行う。 A施設整備の考え方について ・認定こども園への移行に際しては、これまでの教育・保育の継承、充実や施設整備のコスト 等の観点から、国の子ども・子育て支援新制度の内容を踏まえ、運営方法、教育課程と保育の 一元化、組織形態・人員配置など具体的な検討に着手する。 ・また、区立認定こども園については、区立保育園との運営の一体化を視野に入れ、施設の規 模や定員などの基本的事項については、保育園再整備方針との整合や新制度下での設置認可の 条件である需給関係に十分配慮する。 (6)用途転換移行年次について ・用途転換を実施する区立幼稚園の在園児童に配慮する。平成28年度当初は、幼稚園型認定 こども園として用途転換をし、新たな幼保連携型認定こども園に配置が義務付けれている保育 教諭等の人事制度の検討状況を見定めることや区立認定こども園カリキュラムの策定及び検証 等をしながら、段階的に幼保連携型認定こども園への用途転換を進める。 ・また、区立認定こども園への移行にあたっては、園児募集停止を伴わないことを基本とする。 <各園の用途及び運営形態、整備手法、移行年次について> ・多聞幼稚園 区立認定こども園 改修(一部増築) 平成28年度予定 ・松丘幼稚園 区立認定こども園 改築 平成30年度以降 ・桜丘幼稚園 私立認定こども園 改築 平成33年度以降 ・三島幼稚園 区立認定こども園 改修または改築 平成34年度以降 ・中町幼稚園 私立認定こども園 改築 平成35年度以降 ・塚戸幼稚園 私立認定こども園 改築 平成31年度以降 ・砧幼稚園 区立認定こども園 改築 平成32年度以降 ・給田幼稚園 区立認定こども園 改修(一部増築) 平成31年度以降 ・八幡山幼稚園 私立認定こども園 改築 平成31年度以降 ※上記予定移行年次は、現時点の最短での整備が可能な年次を記載。 ※区立認定こども園へ移行する場合については、近隣保育需要を勘案したうえで、既存保育施 設の活用や学校改築のスケジュール、国有地の活用年次の状況等を踏まえ、整備手法や移行年 次を調整する。なお、今後の保育サービス待機児の状況によっては、単独の私立認可保育園整 備について検討する。 4.今後の進め方について ・今回取りまとめた用途転換等計画を踏まえ、子ども・子育て支援新制度における国の政省令 や通知、東京都の認定こども園に関する設置基準、新たな幼保連携型認定こども園に配置が義 務付けられている保育教諭等の人事制度の検討状況等を踏まえながら、区立幼稚園9園の用途 転換等移行計画を順次、策定することとする。