第2期世田谷区認知症とともに生きる希望計画 はじめに 世田谷区長 保坂展人 この度、「第2期世田谷区認知症とともに生きる希望計画」を策定しました。 令和2年に制定した「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」に基づく計画として、認知症の本人を含むすべての区民一人ひとりの希望と権利が尊重され、安心して暮らし続けられるまちを実現するために策定するものです。 高齢化の進展に伴い、令和7年(2025年)には65歳以上の5人に1人が認知症になることが見込まれ、認知症は誰にとっても身近なものになってきています。 こうした中、国は令和6年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行されました。認知症の人を含めた国民一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(共生社会)の実現を推進することを目的とした法律です。条文を読んでいくと、本区において認知症当事者の方も交えた話し合いの中から生まれた発想と重なる部分がたくさんあります。 国に先駆けて、区では、「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」に基づき、「認知症観の転換」や「認知症の本人による発信・社会参画」、「地域づくり」などの取組みを認知症のご本人をはじめとする多く関係者とともに進めてきました。 第2期計画では、第1期計画の内容を引き継ぎながら、より良い取組みを全区的に展開し、条例に込められた想いや基本理念の実現を目指してまいります。 第2期計画の策定にあたり、認知症のご本人をはじめ、ご家族やパートナーの皆様に検討に参画いただくとともに、世田谷区認知症施策評価委員会においては、計画策定にあたっての考え方等について精力的にご審議いただきました。また、区民の皆様をはじめ、多くの方々から貴重なご意見、ご提案をいただきました。 ご協力いただきました皆様方に、心より御礼申し上げます。 令和6年3月 目次 第1章 第2期計画の策定にあたって 1ページ 1 計画策定にあたって 2ページ 2 計画の目的 3ページ 3 計画の位置づけ 3ページ 4 計画期間 4ページ 第2章 計画の基本方針と進め方 5ページ 1 条例の基本理念 6ページ 2 施策展開の考え方 6ページ 3 第2期計画の目標(3年間のマイルストーン) 8ページ 第3章 認知症施策の主な取組み 9ページ 1 認知症施策の体系 10ページ 2 第2期計画における特徴的な取組み 11ページ 3 成果指標と行動量 12ページ 4 主な取組み 14ページ 第4章 計画の推進体制 25ページ 1 計画の推進体制 26ページ 2 計画の進行管理 27ページ 第5章 第1期計画の取組み状況と課題 28ページ 1 第1期計画の目標(3年間のマイルストーン)の達成度(再掲) 29ページ 2 目標の達成状況と課題 29ページ 第6章 資料編 31ページ 1 条例・施行規則 32ページ 2 計画策定の背景(国・都の動向、計画の策定経過) 40ページ 3 参考資料(各種調査結果、統計資料 等)47ページ 4 用語解説 57ページ 第1章 第2期計画の策定にあたって 1 計画策定にあたって                                                        国の推計によると、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる令和7年(2025年)には、認知症の人が700万人、65歳以上の高齢者に対する割合は、約5人に1人になると見込まれています。世田谷区においては、令和5年に65歳以上の認知症高齢者数が約3万2千人(国の推計値)に達し、認知症の人の増加への対応が喫緊の課題となっています。 このような状況の中、世田谷区では国に先駆けて、「認知症の本人を含む全ての区民が自分らしく生きる希望を持ち、本人の意思と権利が尊重され、安心して暮らし続けられる地域共生社会の実現」を目指して、令和2年10月に「世田谷区認知症とともに生きる希望条例(以下「条例」といいます。)」を施行しました。また、令和3年3月には、条例に基づく推進計画として「世田谷区認知症とともに生きる希望計画(以下「計画」といいます。)」を策定し、認知症施策を総合的に推進しています。 その後、国では、令和5年6月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下「認知症基本法」といいます。)」が成立しました。「認知症の人が尊厳を持ちながら希望を持って暮らせるよう、認知症施策を総合的に推進することや、認知症の人を含めた国民一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)の実現を推進すること」を目的に掲げ、認知症施策を国と地方が一体となって講じていくことを定めています。 この度、区は、本計画の第1期(令和3年度(2021年度)~令和5年度(2023年度)の3年間)の取組み状況を踏まえ、令和6年度からの第2期計画を策定しました。 第1期計画において展開してきた「認知症観の転換」や「認知症の本人による発信・社会参画」、「地域づくり」等の様々な取組みを、より一層推進するとともに、認知症基本法の成立を踏まえ、認知症の本人とその家族を含めた区民、地域団体、関係機関、事業者等との連携・協働を図りながら、条例に込められた想いや基本理念の実現に向けた取組みを推進していきます。 そして、子どもから大人までの全ての区民が、認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、認知症だけでなく、年齢、性別、性的指向、性自認、国籍、障害の有無などにかかわらず、1人ひとりがともに安心して自分らしく暮らすことができる地域共生社会の実現を目指していきます。          2 計画の目的 (1)計画の目的 条例に掲げる「一人ひとりの希望及び権利が尊重され、ともに安心して自分らしく暮らせるまち、せたがや」の実現を目指し、区としての中長期の構想のもと、認知症施策を総合的に推進するため、この計画を策定します。 (2)第2期計画で目指す将来像(ビジョン) 第2期計画では、共通の目標に向かってそれぞれの取組みを進めていけるよう、次の「目指す将来像(ビジョン)」を設定します。 「条例の基本理念が広く浸透し、地区のアクションが全区で展開するとともに、 認知症の本人が自らの思いを発信・社会参画しながら、 地域でともに希望を持って暮らせるまち」 3 計画の位置づけ                                             この計画は、認知症基本法や東京都高齢者保健福祉計画を踏まえ、世田谷区基本構想と世田谷区基本計画、世田谷区地域保健医療福祉総合計画のもと、世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、世田谷区障害施策推進計画、健康せたがやプラン等との調和・整合が保たれた計画とします。地区・地域における取組みについては、世田谷区地域行政推進計画との連携・整合を図ります。 また、認知症基本法第13条に基づく市町村認知症施策推進計画として位置付けます。 4 計画期間  令和6年度(2024年度)から令和8年度(2026年度)までの3年間の計画とします。 第2章 計画の基本方針と進め方 1 条例の基本理念      条例の基本理念(条例第3条) ・本人一人ひとりが自分らしく生きる希望を持ち、どの場所で暮らしていてもその意思と権利が尊重され、本人が自らの力を発揮しながら、安心して暮らし続けることができる地域を作る。 ・区民、地域団体、関係機関及び事業者が認知症に対し深い関心を持ち、自らのことと捉え、自主的かつ自発的な参加及び協働により地域との関わりを持つことで、認知症とともにより良く生きていくことができる地域共生社会の実現を図る。 2 施策展開の考え方 (1)施策展開の考え方 施策展開にあたっては、第1期計画に引き続き、以下の5点を基本方針として進めていきます。 ①本人の声を聴き、本人とともに 施策は、認知症の本人の声を聴きながら、本人とともに進めていきます。 ②4つの重点テーマを掲げ、区をあげて 施策の重点を明確にし、区全体で地域共生社会を実現していきます。 ③小さく始めて、改善しながら、大きく広げる 取組みは、小さな単位で丁寧に始め、実施しながら改善を図り、より良い取組みを全区に広げていきます。 ④多世代・多分野の人たちが参加し、つながりながらともにつくる 区内の多様な世代・分野の人たちが参加し、力をあわせて進めていきます。 ⑤中・長期的に世田谷の未来像をともに思い描きながら 中・長期を見据え、希望計画を段階的・持続発展的に進めていきます。 (2)計画の進め方 条例の基本理念を踏まえ、第1期計画の内容を引き継ぎながら、より良い取組みを全区的に広げていきます。 また、中長期を見据え、計画を段階的・持続発展的に進めます。 3 第2期計画の目標(3年間のマイルストーン)   認知症施策を総合的に評価する目標として、次の3つを設定します。 ?条例に掲げる新しい認知症のイメージを持っている人を増やす ②認知症になってからも希望を持って暮らせると思う人を増やす ③本人が参画するアクションチームを全28地区に増やす 第3章 認知症施策の主な取組み 1 認知症施策の体系       ・第2期計画においても、第1期計画に掲げた5つの「取組み方針」に基づく4つの「重点テーマ」を継続します。 ・方針1「本人発信・社会参加の推進」を5つの「取組み方針」の要として、他の施策と連動しながら、取組みを進めます。 取組みの方針 方針1 本人発信・社会参加の推進 テーマ 本人の発信・参加 、ともにつくる 主な取組み 1本人が自ら発信・社会参加する機会の拡充 2本人同士の出会いとピアサポートの体制づくり 3本人が意欲的に働き、活躍できる場づくり 4認知症バリアフリーの推進 方針2 条例の考え方・理解を深める取組み テーマ 認知症観の転換 主な取組み 1多様な媒体や機会を活かした区民への情報発信 2教育分野との連携 3認知症あんしんガイドブックの普及 方針3 備えの推進「私の希望ファイル」 テーマ みんなが備える「私の希望ファイル」 主な取組み 1「私の希望ファイル」の取組みの推進 2健康の保持増進とこれからの「備え」の推進 3本人の希望に寄り添う専門職の質の向上 方針4地域づくりの推進 テーマ 希望と人権を大切に、暮らしやすい地域をともにつくる 主な取組み 1地域のネットワークを活かした地域づくりの推進 2区民等が交流する場における地域情報の共有 3パートナーの意識醸成とアクションチームの発展 4安全・安心な外出を守る取組みの推進 方針5暮らしと支えあいの継続の推進 テーマ  方針4と同じ 主な取組み 1意思決定支援・権利擁護の推進 2本人や家族への相談支援体制の強化 3診断後支援の充実 4セーフティーネットの充実 5医療機関との連携 2 第2期計画における特徴的な取組み    1 本人発信・社会参画の機会の拡充 本人が自らの思いや体験、希望をオープンにして発信したり、自分の可能性や個性を発揮して地域社会に参画し、活躍できる場や機会を一層広げる取組みを行います。 また、講演会やアクション講座等での本人発信等を通じて、区民の認知症観の転換を図り、条例の基本理念を広めていきます。 2 本人が参画したアクションの充実 各地区で始まっているアクションに、より多くの本人が参画し、より良い取組みについて全区で情報共有しながら、全28地区で活動を広げていきます。 また、地域づくりの推進役等との連携・協働により、区全体でアクションチームの取組みを発展させていきます。 3 診断後支援・相談体制の強化 認知症診断後の本人や家族等に対し、あんしんすこやかセンター等で相談者に寄り添う対応の充実を図り、気軽に相談できる環境を整えます。 また、地域活動や社会資源等のインフォーマルな情報も案内できる相談支援体制の強化や気軽に集える場づくりに取り組みます。 4 専門職や医療機関との連携による認知症ケアの充実 ケアプラン作成等の際に、本人の尊厳と権利を最大限に尊重した意思決定支援が行えるよう、ケアマネジャー等の専門職と、かかりつけ医や認知症サポート医等の医療機関との連携を強化し、条例の考え方を踏まえた認知症ケアの充実を図ります。 3 成果指標と行動量  成果指標 第2期計画の目標(マイルストーン)の成果指標として、次の3つを設定します。 1、条例に掲げる新しい認知症のイメージを持っている人を増やす。現状値38.2%、目標値51.4%。 2、認知症になってからも希望を持って暮らせると思う人を増やす。現状値24%、目標値35.4% 3、本人が参画するアクションチームを全28地区に増やす。現状値14地区、目標値全28地区。 行動量 第2期計画を推進するため、重点的な取組みの行動量として、次の8つを設定します。 1アクション講座(世田谷版認知症サポーター養成講座)の受講人数(累計) 現状値(令和5年度見込み)6,730人、令和6年度9,910人(+3,180人)、令和7年度13,270人(+3,360人)、令和8年度16,810人(+3,540人) 2教育分野(小中学校等)でのアクション講座の実施回数(年度実績) 現状値(令和5年度見込み)17回、令和6年度21回、令和7年度27回、令和8年度37回 3本人交流会やアクション講座、会議等に本人が参画した回数(年度実績) 現状値(令和5年度見込み)21回、令和6年度、増加、令和7年度、 増加、令和8年度、増加 4地域づくりの推進役の育成人数(累計)(世田谷版キャラバン・メイト+認知症地域支援推進員) 現状値(令和5年度見込み)142人、令和6年度、170人、令和7年度198人、令和8年度、226人 5ケアマネジャー等専門職への研修 現状値(令和5年度見込み)実施、令和6年度、充実、令和7年度、充実、令和8年度、充実 6認知症サポート医等医療機関と連携した対応 現状値(令和5年度見込み)検討、令和6年度、検討・実施、令和7年度、充実、令和8年度、充実 7介護予防講座の受講人数(年度実績)(介護予防筋力アップ教室、まるごと介護予防講座等) 現状値(令和5年度見込み)484人、令和6年度、増加、令和7年度、増加、令和8年度、増加 8認知症バリアフリーについて検討する機会 現状値(令和5年度見込み)検討、令和6年度、検討、令和7年度、実施、令和8年度、充実 4 主な取組み  方針1  本人発信・社会参加の推進 重点テーマ  本人の発信・参加、ともにつくる  第1期計画の課題と新たな視点  ・本人が参画できる場や思いを発信できる機会を、より身近な地域で増やしていく必要があります。 ・診断後の支援には、本人同士のつながりが重要であることから、関係機関等とも連携し、出会いの場をつくる必要があります。 取組みの方向性 本人が自ら思いを発信できる場や社会で活躍できる場を広げるとともに、本人同士が出会える機会の創出及びピアサポートの場づくりを進めます。 主な取組み ?本人が自ら発信・社会参加する機会の拡充 本人がこれまで続けてきた活動の継続や新たなチャレンジができる環境づくりを、パートナーとともに進め、本人の社会参加の機会を増やします。 また、地区のアクションやアクション講座、講演会、研修、区の認知症施策を検討する場等において、本人が自らの思いや体験を発信できる機会を広げます。 ②本人同士の出会いとピアサポートの体制づくり 本人同士が出会い、つながる機会(本人交流会・認知症カフェ等)や本人と一緒に楽しく参加できる活動を地域の中で増やします。 また、若年性認知症の人を含む本人が、診断後のできるだけ早い時期に仲間と出会い、経験者としての体験や気づき、希望を持って暮らしていくための知恵や情報を分かち合えるピアサポートの体制づくりを行います。 ③ 本人が意欲的に働き、活躍できる場づくり 若年性認知症を含む本人が意欲的に働くことができるよう、これまでの経験や知識・技能を活かせる就労機会をつくり、また、軽作業・ボランティア活動等を行うデイサービスプログラム(社会参加型プログラム)を実施する等、企業及び通所介護事業所等に対して情報提供や働きかけを行い、社会生活において本人が生きがいや役割を実感できる活躍の場づくりに取り組みます。 ④ 認知症バリアフリーの推進 本人を含む全ての人にとって暮らしやすい地域を目指して、公共サインや道路、商業施設等での、認知症とともに暮らしていくうえで障壁(認知症バリア)となるものを本人とともに見つけ、関係機関や企業等との連携により、その解消に向けた話し合いの機会を作ります。 方針2  条例の考え方・理解を深める取組み 重点テーマ 認知症観の転換 第1期計画の課題と新たな視点 ・条例の考え方への理解・共感を得るため、より効果的な広報を工夫する必要があります。 ・情報を発信するだけでなく、地域の情報を収集し、区民と共有する仕組みを検討する必要があります。 取組みの方向性 多様な機会や媒体を活用し、誰もが認知症を「自分ごと」と捉え、希望のある新しい認知症観へと転換できるよう、条例の考え方の理解を深める取組みを推進します。また、地域情報を収集・共有できるよう、あんしんすこやかセンター等との連携を深めます。 主な取組み ① 多様な媒体や機会を活かした区民への情報発信 広報紙やチラシ・ポスター・パンフレット等の多様な媒体やホームページ・SNSの活用、新聞・テレビ・ラジオ等の多様なメディアの協力を得る等、条例や地域での取組みに関する情報を継続的に発信するとともに、アクション講座や条例の普及を目的とした講演会等の機会を捉えて、条例の基本理念を効果的に伝えます。 ② 教育分野との連携   校長会や日常的な関わり等の機会を通じて、区立小・中学校、高校、大学等にアクション講座を知ってもらい、開催してもらえるように連携していきます。子どもや若者がアクション講座を通じて、令和5年度に作成したアクションガイド(アクション講座のテキスト)の小学生編を活用しながら、認知症の本人の声を聴き、交流等の体験をすることで、認知症の人の気持ちを知り、自分たちにできることを考えるきっかけづくりを行っていきます。 ③ 認知症あんしんガイドブックの普及 令和5年度に改訂した認知症あんしんガイドブック(認知症ケアパス付き)を、区民や医療・介護・福祉等の関係機関、権利擁護の相談窓口等に幅広く周知し、区民へ配布することで、利用できるサービスや地域資源情報等を適切に案内するとともに、これからの暮らしについて、自分らしく希望を持って生きていくきっかけをつくります。 方針3 備えの推進「私の希望ファイル」 重点テーマ みんなが備える「私の希望ファイル」 第1期計画の課題と新たな視点 ・認知症になる前からできる健康づくりや、これからの「備え」を推進していく必要があります。 ・「私の希望ファイル」の考え方を整理するとともに、本人が安心して希望を表出できる環境整備や効果的な取組みの発信・共有を、引き続き進めていく必要があります。 取組みの方向性 認知症になってからも、安心して自分らしく暮らし続けていくための「備え」の大切さについて発信するとともに、他の取組みと連動しながら、本人が希望を表出し、その希望をともに実現していく取組みを進めます。 主な取組み ① 「私の希望ファイル」の取組みの推進 本人が思いや希望を表出し、ともに実現できる環境を整え、様々なツールや取組みを活かし、認知症になる前から、家族や日常的に関わりのある関係者等へ伝えていけるようアクション講座等の際に、本人の希望について考える機会をつくります。 ② 健康の保持増進とこれからの「備え」の推進 認知症及び軽度認知障害(МCI)に早期に気づき、発症や進行を遅らせ、心身の健康を維持しながら社会生活を継続できるよう、もの忘れチェックリストの利用促進や関係機関との連携を強化するとともに、介護予防の取組み等の機会を活用して必要な情報提供を行います。 また、認知症になってからも、自分らしく、希望を持って暮らしていくための「備え」について、講座等の機会や広報物等を通じて発信します。 ③ 本人の希望に寄り添う専門職の質の向上 本人がこれからの暮らしや大切にしていることを安心して表出できるよう、実際のケアに関わる専門職向けの研修や広報を行い、日頃から本人の希望を丁寧に聴き、寄り添う意識を高める等、専門職の理解を深め、対応力の向上を図ります。 コラム~「私の希望ファイル」とは~ 一人ひとりが、これからの備えとして大切にしたいことや大切にしたい暮らしについて考え、身近にいる大切な人たちに伝えていくプロセスを「私の希望ファイル」といいます。 「希望のリーフ」や「在宅療養・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)ガイドブック」、「私のノート」等、その人に合った媒体を活用して、その人らしい生活が続けられるよう、本人や家族等、地域の人たち、みんなで取り組みます。 方針4 地域づくりの推進 重点テーマ 希望と人権を大切に、暮らしやすい地域をともにつくる 第1期計画の課題と新たな視点 各地区でのアクションを引き続き展開していくとともに、本人が参画し、ともに活動するアクションを広げていく必要があります。 取組みの方向性 区民・地域団体・関係機関・事業者等が本人とともに協働するアクションを全区で展開しながら、認知症であってもなくても、誰もが希望を持って暮らせる地域を作ります。 主な取組み ① 地域のネットワークを活かした地域づくりの推進 地域のネットワークや地域包括ケアの地区展開による地域活動、多世代・多分野交流等の取組みを活かし、地域の多様な人々がつながりながら、本人が参画するアクションを展開することで、認知症観の転換を図り、認知症とともに生きる地域共生の基盤となる地域づくりを進めます。 また、認知症カフェや家族会同士の情報交換や交流の機会を設ける等、各団体の活動継続に向けた支援に取り組みます。 ② 区民等が交流する場における地域情報の共有 地域の活動や居場所等に関する情報を収集してまとめ、区民・地域団体・関係機関・事業者等による話し合いや、あんしんすこやかセンター等が行うアクション講座等、様々な人が交流する場で共有できる機会を拡充します。 ③ パートナーの意識醸成とアクションチームの発展 本人とともに、より良い暮らしと地域をつくるパートナーを増やしていくため、アクション講座やアクションチームの活動等を通じて、認知症観の転換を図り、パートナーとしての意識醸成を図ります。 また、世田谷版キャラバン・メイトや認知症地域支援推進員等の地域づくりの推進役が区民等と協働しながら活動できる環境を整備し、アクションチームの取組みを発展させていきます。 ④ 安全・安心な外出を守る取組みの推進 誰もが安心して外出できるよう、行き先や自宅への帰り道がわからなくなった場合を想定した事前の備えに関する情報発信及び住民同士で支え合う意識醸成を図るとともに、行方不明発生時における警察署や関係機関等との連携体制の強化に取り組みます。 コラム~「アクションチーム」とは~ 地域に根差した活動を創意工夫しながら、職種や立場を超えて継続的に展開していく集まりをいいます。 メンバーは、本人やパートナーをはじめ、地域住民、地域活動団体、地域で働く方々、学生、図書館、コミュニティカフェ、その他地域にある集いの場の関係者等、様々な人たちが関わります。 「アクションチーム」の活動事例(太子堂地区) 認知症のご本人からの「高尾山が好きだったけれど、今は認知症になったから無理だなと思って・・・でも、登山靴は捨てられずとってあるんだ」という声を受け、あんしんすこやかセンターや地域の方が協力して登山部を結成。ご本人をリーダーに高尾山に登りました。毎月のミーティングの機会を大切に、ご本人の希望を中心にチームで語り合いながら、思いを形にできるよう活動しています。 また、アルツハイマー月間(9月)には「認知症を知ろう!太子堂で元気に暮らそう!認知症とともに生きるオレンジの日」という学び・体験・相談ができるイベントを開催しています。アクションチームでアイデア出しから企画、当日運営まで行い、地域のみなさんの認知症への理解が深まるように取り組んでいます。 方針5 暮らしと支えあいの継続の推進 重点テーマ 希望と人権を大切に、暮らしやすい地域をともにつくる 第1期計画の課題と新たな視点 ・もの忘れ相談等、本人が抱いている不安や希望に寄り添う専門職の育成及び医療を含めた相談支援体制を強化する必要があります。 ・本人の安全・安心な外出を守るセーフティーネットの体制づくりを、更に進めていく必要があります。 取組みの方向性 もの忘れ相談や診断直後のケア、意思決定支援・権利擁護等、本人及び家族等への関わりや相談支援体制を強化し、併せてセーフティーネットの充実を図ります。 主な取組み ① 意思決定支援・権利擁護の推進 認知症初期集中支援チーム事業や専門職によるケアプランの作成等の際、本人の尊厳と権利(人権)を最大限に尊重し、希望を聴きながら意思決定支援を行っていけるよう、支援者の意識醸成を図ります。 ② 本人や家族への相談支援体制の強化 もの忘れ相談等の身近な相談窓口である、あんしんすこやかセンターの認知度向上のため、情報発信を強化します。また、あんしんすこやかセンターの職員研修等を通じ、本人・家族等への継続的な支援の充実を図るとともに、地域のつながりや活動の場などの相談者に応じたインフォーマルな情報提供も行い、総合的な相談支援体制を強化します。 ③ 診断後支援の充実 診断後に襲ってくる不安や、適切な支援を受けられず空白の期間を過ごすことによる、心と身体の不調や状態の悪化を防ぐため、本人や家族と接する医療関係者やケアマネジャー等への条例の基本理念の普及や認知症観の転換を図るとともに、認知症あんしんガイドブック(認知症ケアパス付き)を活用しながら、本人・家族等への相談支援体制の一層の充実に取り組みます。 ④ セーフティーネットの充実 認知症や認知症が疑われる方等の生命・財産を守るため、安全・安心な外出を守る地域づくりや行方不明時の捜索ネットワークの強化、虐待対策や各種制度を円滑に利用できない方への支援の強化、消費者被害防止に向けた情報発信及び連携、成年後見制度の利用促進等を進めます。 ⑤ 医療機関との連携 医療機関及び地区医師会、地区歯科医師会、地区薬剤師会等の関係団体と連携し、認知症関連事業への協力や適宜相談に応じた助言と支援、地域活動への参加等を通じて、本人及び家族等を支える地域医療の充実を図ります。 第4章 計画の推進体制 1 計画の推進体制  (1)区の組織 計画に掲げる施策の検討・実施・見直し等にあたっては、高齢福祉部介護予防・地域支援課及び世田谷区認知症在宅生活サポートセンターが共同事務局として、各取組みの内容に応じて、本人や家族、医療・介護・福祉関係者、地域づくりの推進役等と連携・協働しながら実行していくほか、庁内の関係部署とも連携を深める等、柔軟な推進体制により、区全体で取組みを発展させていきます。 地域づくりの推進においては、区民、地域団体、関係機関、事業者のほか、区内28地区のまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会地区事務局及び児童館(四者連携)、5地域の総合支所及び本庁の三層構造による推進体制を基本とし、庁内全体で連携・協力して取り組みます。 (2)認知症施策評価委員会 条例第18条に基づく区長の附属機関である、世田谷区認知症施策評価委員会において、認知症施策の総合的かつ計画的な推進に向けた調査・審議を行い、評価結果を区の施策に反映させていきます。 2 計画の進行管理    (1) 施策の評価・検証 計画に基づく各施策の進捗については、世田谷区認知症施策評価委員会等に定期的に報告し、目標達成状況の確認及び評価・検証をしながら、計画の進行管理を行います。 併せて、区の他計画における取組みの進行管理、評価等との整合を図ります。 (2)評価・検証の結果等の公表 施策の取組み状況や評価・検証の結果等は、区のホームページ等で定期的に公表します。 第5章 第1期計画の取組み状況と課題 1 第1期計画の目標(3年間のマイルストーン)の達成度(再掲)  プロジェクト名 情報発信・共有PJ 内容 認知症になってからも自分らしく希望を持って暮らすことができると思う人の割合 現状値(令和6年2月現在) 2割 第1期計画の目標値 6割 プロジェクト名 本人発信・参画PJ 内容 認知症に関わる会議、検討会及び講演会、イベント、シンポジウム、交流会等に本人が参画している割合 現状値(令和6年2月現在) 10割 第1期計画の目標値 9割 プロジェクト名 「私の希望ファイル」PJ 内容 「私の希望ファイル」について話し合うアクションチームの実施、「私の希望ファイル」の更新、充実 現状値(令和6年2月現在) 検討中 第1期計画の目標値 全地区で始動 プロジェクト名 地域づくりPJ 内容➀ 地域づくりについて話し合うアクションチームの実施 現状値(令和6年2月現在) 全地区で着手 第1期計画の目標値 全地区で始動 内容② 世田谷版認知症サポーターの累計数(従来のサポーターを含む) 現状値 42,578人※令和5年12月現在 目標値 53,040人 2 目標の達成状況と課題  (1)情報発信・共有プロジェクト 世田谷区民意識調査2023によると、「認知症になってからも自分らしく希望を持って暮らすことができると思う人の割合」は24%に留まっており、目標の達成に至っていないことから、引き続き、条例の基本理念を多世代に向けて効果的・継続的に発信し、認知症観の転換を進めていく必要があります。 また、情報を発信するだけでなく、地域の情報を収集し、区民と共有する仕組みを検討する必要があります。 (2)本人発信・参画プロジェクト これまでに、認知症施策評価委員会や認知症講演会、条例イベント、本人交流会、アクション講座等、様々な機会に本人が参画しており、その割合は10割に達しており、目標を達成できています。引き続き、本人が気軽に参画し、自らの思いや体験を発信する機会の確保に努めるとともに、一人でも多くの本人に参画してもらえるよう、事業の実施方法等を工夫していく必要があります。 また、本人同士のつながりが重要であることから、関係機関等とも連携し、出会いの場をつくる必要があります。 (3)「私の希望ファイル」プロジェクト 「私の希望ファイル」の在り方や様々なツールの活用方法、本人が安心して希望を表出できる機会の確保について、検討を重ねてきました。引き続き、「私の希望ファイル」の検討を進めるとともに、区民が取り組みやすい仕組みづくりや周知を行っていく必要があります。 また、認知症になる前からできる健康づくりや、これからの「備え」を推進していく必要があります。 (4)地域づくりプロジェクト 各地区の四者連携会議等において、アクションチームの結成・始動に向けた話し合いが行われ、実際に本人とともにアクションが始まっている地区も生まれてきています。令和5年度末時点で、全ての地区において活動に向けた着手が始まっており、四者連携に留まらず既に住民主体で行われている活動を拡充したアクションが、継続して展開できるよう、引き続き支援していく必要があります。 世田谷版認知症サポーターの累計数については、条例の趣旨に沿ったアクション講座(世田谷版認知症サポーター養成講座)用テキスト「みんなでアクションガイド」が令和3年度末に完成したため、目標よりも養成人数が少なくなりました。 引き続き、様々な機会を捉えてアクション講座を開催していくとともに、本人も参画したアクションを広げていく必要があります。 第6章 資料編 1 条例・施行規則  (1) 世田谷区認知症とともに生きる希望条例 目次 前文 第1章 総則(第1条-第8条) 第2章 基本的施策(第9条-第15条) 第3章 認知症施策の推進に関する体制(第16条-第18条) 第4章 雑則(第19条・第20条) 附則 世田谷区では、世田谷区基本構想で掲げる個人の尊厳を尊重し、認知症とともに自分らしく暮らすことができる地域共生社会を実現するため、福祉の相談窓口におけるもの忘れ相談事業、認知症初期集中支援チーム事業など、先駆的な認知症施策を実施してきました。令和2年4月には、世田谷区立保健医療福祉総合プラザを開設し、その中の世田谷区認知症在宅生活サポートセンターを拠点として認知症施策を総合的に推進しています。 今日、認知症に対する見方が大きく変わってきています。認知症になると「何もわからなくなってしまう」という考え方が一般的でしたが、認知症になってからも、暮らしていくうえで全ての記憶を失うわけではなく、本人の意思や感情は豊かに備わっていることが明らかになってきており、尊厳と希望を持って「自分らしく生きる」ことが可能です。 世田谷区は、自分らしく地域でともに生きていくことができる環境を整え、区に住んできた人を含め、子どもから大人までの全ての区民が、現在及び将来にわたって認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、「一人ひとりの希望及び権利が尊重され、ともに安心して自分らしく暮らせるまち、せたがや」を目指して、この条例を制定します。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、認知症とともに生きる人(以下「本人」という。)の権利が尊重され、本人を含む全ての区民が認知症とともに生きる希望を持って暮らすことができるように推進する認知症に係る施策(以下「認知症施策」という。)について、基本となる理念を定め、区の責務、本人を含む区民の参加並びに地域団体、関係機関及び事業者の役割に関する事項を明らかにすることにより、全ての区民が認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、もって一人ひとりがともに安心して自分らしく暮らすことができる地域共生社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 ⑴認知症 アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態をいう。 ⑵区民 区内に居所、勤務先又は通学先がある者をいう。 ⑶地域団体 主に区民で構成される営利を目的としない団体で、区内において活動を行うものをいう。 ⑷関係機関 医療、介護その他の福祉サービス若しくは生活関連サービスを提供する事業所、教育若しくは法律に関する事業を行う事業所、図書館等の公共の施設又は研究機関その他の認知症に関する事業を行う機関で、区内において活動を行うものをいう。 ⑸事業者 区内において事業活動を行う個人、法人又は団体(関係機関として活動を行うものを含む。)をいう。 ⑹私の希望ファイル 区民が、認知症になってからも自分らしく暮らし続けるための備えとして、認知症になる前及びなった後においての生活に係る自らの思い、希望又は意思を繰り返し書き記す過程及びその文書又は記録をいう。 ⑺軽度認知障害 正常と認知症との中間の状態をいう。 ⑻あんしんすこやかセンター 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の46第1項に規定する地域包括支援センターであり、区内に存するものをいう。 (基本理念) 第3条 認知症施策を推進するための基本理念(以下「基本理念」という。)は、次のとおりとする。 ⑴本人一人ひとりが自分らしく生きる希望を持ち、どの場所で暮らしていてもその意思と権利が尊重され、本人が自らの力を発揮しながら、安心して暮らし続けることができる地域を作る。 ⑵区民、地域団体、関係機関及び事業者(以下「区民等」という。)が認知症に対し深い関心を持ち、自らのことと捉え、自主的かつ自発的な参加及び協働により地域との関わりを持つことで、認知症とともにより良く生きていくことができる地域共生社会の実現を図る。 (区の責務) 第4条 区は、基本理念にのっとり、認知症施策を総合的に推進する責務を有する。 2区は、認知症施策の実施に当たり、常に本人の視点に立ち、本人及びその家族の意見を聴かなければならない。 3区は、本人が希望を持って暮らしていくことができるよう、地域で支援する体制を区民等と築くとともに、国及び他の地方公共団体と連携してこれに取り組むものとする。 (区民の参加) 第5条 区民は、認知症とともに生きることに希望を持ちながら、より良く暮らしていくための備えとして、認知症に関する知識を深め、自らの健康づくりに役立てるため、区、地域団体等の取組に積極的に参加するよう努めるものとする。 2区民は、認知症になってからも自分らしくより良く暮らしていくための備えとして、私の希望ファイルに係る取組等を行うよう努めるものとする。 3区民は、パートナー(本人を理解し、本人とともに歩み、支え合う者をいう。以下同じ。)であるという意識を持つよう努めるものとする。 4本人は、区民等の認知症に対する理解を深めることができるよう、自らの意思により、自らの体験、考え、意見等をその家族、本人と日常生活において密接な関係を有する者(以下「家族等」という。)その他区民等に発信するよう努めるものとする。 (地域団体の役割) 第6条地域団体は、本人及び家族等が住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らし続けることができるよう、住民相互の支え合い及び見守り活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。 2地域団体は、本人及び家族等が体験したことの情報を自ら発信することができる場及び地域との交流の場を設けることに積極的に取り組むよう努めるものとする。 (関係機関の役割) 第7条関係機関は、本人が自宅、病院、施設等どの場所で暮らしていても、その希望及び権利が尊重され、その状態に応じて適時に、かつ、適切なサービスを受けることができるよう、相互間の連携に努めるものとする。 2関係機関は、本人及び家族等が前項のサービスについて理解することができるよう、必要な情報を提供するよう努めるものとする。 (事業者の役割) 第8条事業者は、その従業者が認知症とともに生きていくことができる地域共生社会に関する正しい知識及び理解を深めるために必要な教育、研修等を受ける機会を設けるよう努めるとともに、本人に配慮したサービスの提供及び地域との協働に努めるものとする。 第2章基本的施策 (区民等の理解の推進) 第9条区は、区民等が認知症及び地域共生社会に関する正しい知識及び理解を深めることができるよう、学習の機会の提供を積極的に推進するものとする。 2 区は、認知症についての広報活動及び区民等が行う認知症に関する活動に係る情報を共有する機会の充実を図るために必要な施策を実施するものとする。 (認知症への備え等の推進) 第10条 区は、区民が認知症になってからも孤立せず、社会参加並びに健康の保持及び増進の機会及び権利が守られるよう、必要な施策を実施するものとする。 (意思決定の支援等) 第11条 区は、本人の意思決定を支援するための方法について継続的に検討するとともに、私の希望ファイルに係る取組等を積極的に支援する。 2 区は、区民等が本人の意思決定を支援するために必要な知識等を得るための学習の機会を設けることその他必要な施策を実施するものとする。 (権利擁護) 第12条 区は、本人の権利利益を保護するため、本人に係る権利の擁護に関する区民等の意識の向上及び行動の啓発を図るとともに、成年後見制度の利用の促進その他の必要な施策を実施するものとする。 (相談体制の充実及びその支援) 第13条 区は、本人及び家族等からの相談に適時に、かつ、適切に対応することができるよう、関係機関と連携し、必要な相談体制の充実を図るものとする。 2 区は、私の希望ファイルの内容の実現に積極的に取り組む地域団体、関係機関及び事業者を支援するものとする。 (医療及び介護等の支援) 第14条 区は、本人及び家族等が住み慣れた地域で適時に、かつ、適切な生活の支援、医療及び介護その他必要な支援を受けることができるよう、次に掲げる事項に係る施策を実施するものとする。 ⑴認知症(軽度認知障害を含む。)の早期対応及び早期支援 ⑵本人同士の支え合い及び社会参加活動の推進並びに容態に応じた支援 ⑶家族等への支援 ⑷生活の支援と医療及び介護との連携並びに協働体制の充実 ⑸認知症に関する医療及び介護その他の福祉サービスの提供に携わる専門的知識を有する人材及び支援団体の育成及び資質の向上のための研修 (地域づくりの推進) 第15条 区は、本人及び家族等が住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らし続けることができるよう、地域団体、関係機関及び事業者と連携し、見守り活動及び緊急時における支援を行うための体制の整備を推進するものとする。 2区は、多世代の区民が地域の中で協働しながら自主的かつ自発的に行う認知症に対する理解を深めるための活動を支援するものとする。 3区は、本人がより良く暮らしていくための地域づくりに向けた取組が推進されるよう、地域団体、関係機関及び事業者と連携し、本人及び家族等が体験したこと等についての情報を自ら発信する機会の確保その他必要な施策を実施するものとする。 4区は、本人及び家族等が地域での活動に参加しやすくなり、安心して暮らすことができるよう、地域団体、関係機関及び事業者と連携し、パートナー並びに本人及び家族等に関わるボランティア活動を行う者を育成すること、地域との交流の場を設けることその他必要な施策を実施するものとする。 第3章 認知症施策の推進に関する体制 (認知症施策の総合的推進) 第16条 区長は、認知症施策を総合的に推進するために、世田谷区認知症とともに生きる希望計画(以下「認知症計画」という。)を定めるものとする。 2区長は、認知症計画を定めるに当たっては、あらかじめ第18条に規定する評価委員会の意見並びに本人及びその家族の意見を聴かなければならない。 (世田谷区認知症在宅生活サポートセンター) 第17条 認知症計画に基づく主な施策は、世田谷区立保健医療福祉総合プラザ条例(平成30年10月世田谷区条例第61号)第1条の規定に基づき設置する世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内の世田谷区認知症在宅生活サポートセンター(以下「サポートセンター」という。)を拠点として行う。 2区長は、サポートセンターにおいて認知症施策に係る事業を行うに当たっては、福祉の相談窓口であるあんしんすこやかセンター、まちづくりセンター及び社会福祉協議会と連携して、これを行うものとする。 3サポートセンターで行う事業に関し必要な事項は、規則で定める。 (世田谷区認知症施策評価委員会) 第18条 認知症施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため、区長の附属機関として、世田谷区認知症施策評価委員会(以下「評価委員会」という。)を置く。 2評価委員会は、第16条第2項の規定による区長の諮問に応じ、認知症計画について調査審議し、区長に対して意見を述べるものとする。 3評価委員会は、本人及び認知症施策に関し深い理解、識見等を有する者のうちから区長が委嘱する委員30名以内をもって組織する。 4前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 5評価委員会は、審議のため必要があると認めたときは、関係職員その他の関係人の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者から必要な資料の提出を求めることができる。 6評価委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。 第4章 雑則 (財政上の措置) 第19条 区は、認知症施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。 (委任) 第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附 則 この条例は、令和2年10月1日から施行する。   (2)世田谷区認知症とともに生きる希望条例施行規則 (趣旨) 第1条 この規則は、世田谷区認知症とともに生きる希望条例(令和2年9月世田谷区条例第45号。以下「条例」という。)の施行について必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この規則において使用する用語の意義は、条例において使用する用語の例による。 (私の希望ファイル) 第3条 私の希望ファイルに書き記す生活に係る自らの思い、希望又は意思の内容は、認知症になる前の経験、認知症になった後の支援等に関することとする。 (サポートセンターで行う事業の内容) 第4条 サポートセンターで行う事業の内容は、次のとおりとする。 ⑴認知症に関する医療及び介護その他の福祉サービスの提供に携わる専門職(以下「専門職」という。)が本人の居宅を訪問し、本人の在宅生活の支援を行うこと。 ⑵家族等への支援を行うこと。 ⑶認知症に関する知識の普及及び啓発並びに情報発信を行うこと。 ⑷専門職の技術の向上を図るための指導及び助言並びに地域団体、関係機関及び事業者間の連携の強化を図ること。 ⑸専門職並びに本人及び家族等に関わるボランティア活動を行う者を育成すること。 ⑹前各号に掲げるもののほか、区長がサポートセンターで行うことが適当であると認めること。 (サポートセンターで行う事業の実施日時) 第5条 サポートセンターで行う事業は、次に掲げる日以外の日の午前8時30分から午後5時までの間にこれを行うものとする。ただし、講演会等を実施する場合その他区長が必要と認めた場合においては、この限りでない。 ⑴日曜日及び土曜日 ⑵国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日 ⑶12月29日から翌年の1月3日までの日(前号に掲げる日を除く。) (評価委員会の委員) 第6条 評価委員会の委員は、次に掲げる者のうちから、区長が委嘱する。 ⑴本人 4名以内 ⑵認知症施策に関し深い理解、識見等を有する者 26名以内 (評価委員会の委員長及び副委員長) 第7条 評価委員会に委員長及び副委員長を置く。 2委員長は、委員の互選によりこれを定める。 3副委員長は、委員のうちから委員長がこれを指名する。 4委員長は、評価委員会を代表し、会務を総理する。 5副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。 6委員長及び副委員長が共に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が委員長の職務を代理する。 (評価委員会の会議) 第8条 評価委員会は、委員長がこれを招集する。 2評価委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。 3評価委員会の議事は、会議に出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。 (評価委員会の部会) 第9条 評価委員会は、認知症計画に係る調査審議を効率的に行うため又は認知症に関する専門的事項を調査審議するため、必要に応じて部会を置くことができる。 2部会は、委員長が指名する委員をもって組織する。 3前2項に定めるもののほか、部会の組織及び運営に関し必要な事項は、区長が別に定める。 (委員の守秘義務) 第10条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。 (評価委員会の庶務) 第11条 評価委員会の庶務は、高齢福祉部介護予防・地域支援課において処理する。 (委任) 第12条 この規則の施行について必要な事項は、区長が別に定める。 附 則 この規則は、令和2年10月1日から施行する。 2 計画策定の背景(国・都の動向、計画の策定経過) (1)国の動向 国内の認知症の人は年々増加傾向にあり、厚生労働省の研究によると、令和7年(2025年)には約700万人になると推計されています。 このような状況の中、令和5年6月、認知症基本法が成立し、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することとしました。(令和6年1月施行) 認知症基本法では、「認知症の人に関する国民の理解の増進」のほか「認知症バリアフリーの推進」、「社会参加の機会確保」、「意思決定支援及び権利利益の保護」、「保健医療及び福祉サービスの提供体制の整備」、「相談体制の整備」等を基本的施策として掲げるとともに、国民に対し、「共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう努める」ことが明記されました。 国は今後、内閣総理大臣を本部長とする認知症施策推進本部を設置し、認知症施策推進基本計画を策定するとともに、都道府県・区市町村に対しても、認知症の人及び家族等の意見を聴き、それぞれ計画を策定することを努力義務としています。 (2)都の動向 東京都における高齢化率は総人口がピークを迎える令和7年(2025年)には23.0%、約1,417万人にも上り、そのうち65歳以上の認知症高齢者は約55万人、また、見守りや支援が必要な人は約41万人と推計されています。 このような状況の中、都は、令和3年3月に策定した「未来の東京」戦略に基づき、認知症に向き合い、「共生」と「予防」両面の対策を進めることとし、家族も含め、尊厳と希望を持ちながら、認知症と共生していくことができる環境を整えるとともに、認知症予防に向けた研究を進めています。 「共生」を推進するための事業として、「認知症の容態に応じた適時・適切な支援の提供」のほか、「認知症の人と家族を支える人材の育成」、「認知症の人と家族を支える地域づくり」を柱に、区市町村における認知症普及啓発の取組みを支援しています。 また、認知症の進行を遅らせる支援として、介護予防・フレイル予防や介護サービス事業所等への日本版BPSDケアプログラムの普及を行っているほか、AIを活用した認知症研究事業等を実施しています。   (3)区のこれまでの認知症施策の取組み 世田谷区では、高齢化の進展に伴い、増加する認知症高齢者への施策の充実に向け、平成21年度に地域福祉部を設置、介護予防・地域支援課において、認知症施策の担当所管を新設しました。認知症高齢者や家族の相談・支援体制を構築するため、区内28か所の身近な地区に設置しているあんしんすこやかセンターに、「もの忘れ相談窓口」を開設し、認知症に関する相談・支援機能を強化するとともに、認知症に関する地域の区民や支援機関をつなぐまとめ役(コーディネーター)として「認知症専門相談員」を1名ずつ配置しました。  平成24年度に、地区医師会の協力のもと医師と個別に相談できる「もの忘れチェック相談会」事業を開始、平成25~26年度の2か年をモデル事業として、看護師や医師等の専門職が定期訪問し支援する「認知症初期集中支援チーム事業」に取り組み、平成27年度から本格実施する等、認知症の在宅支援の充実に取り組んできました。 平成25年11月、認知症になってからも住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる地域社会の実現に向け、「世田谷区認知症在宅生活サポートセンター構想」を策定しました。この構想の中で、認知症の早期対応体制の確立や、医療と福祉の連携推進、医療・介護の専門職の実務的な支援能力の向上、家族支援の充実等、区における認知症在宅支援施策の構築を進めていくための専門的かつ中核的な役割を果たす拠点として、令和2年4月に世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内に「世田谷区認知症在宅生活サポートセンター」を設置しました。 その後、「認知症の本人を含む全ての区民が自分らしく生きる希望を持ち、本人の意思と権利が尊重され、安心して暮らし続けられる地域共生社会の実現」を目指して、同年10月、「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」を施行し、条例の推進計画として、翌令和3年3月、「(第1期)世田谷区認知症とともに生きる希望計画」を策定しました。令和3年度以降は、条例・計画に基づき、認知症観の転換や本人発信・参画、地域づくり(アクション)等、認知症施策を総合的に推進しています。 (4)計画策定に向けた検討経過 世田谷区認知症施策評価委員会・次期希望計画策定検討部会による検討経過 令和5年3月15日 令和4年度第3回世田谷区認知症施策評価委員会(本人1名参加) ・次期計画の策定に伴う部会の設置について 5月23日 第1回次期希望計画策定検討部会(本人1名参加) ・次期計画策定にあたっての考え方 骨子(案)について 6月26日 令和5年度第1回世田谷区認知症施策評価委員会(本人2名参加) ・次期計画の策定について(諮問) ・次期計画策定にあたっての考え方について(答申の中間まとめ) 9月14日~9月21日 次期希望計画策定検討部会による「次期計画策定にあたっての考え方について(答申案)」の内容確認(書面) 10月6日~10月12日 世田谷区認知症施策評価委員会による「次期計画策定にあたっての考え方について(答申案)」の内容確認(書面) 10月23日 令和5年度第2回世田谷区認知症施策評価委員会(本人2名参加) ・次期計画策定にあたっての考え方について(答申案) 令和6年2月26日 令和5年度第3回世田谷区認知症施策評価委員会(本人2名参加) ・第2期世田谷区認知症とともに生きる希望計画(案)について(報告) (5)第2期計画(素案)への区民意見募集の実施結果 募集期間 令和5年9月15日(金)~10月6日(金) 提出人数 18名 提出方法内訳 ホームページ12名 イベント4名 持参2名 件数46件 内訳 計画全体に関する意見 3件 本人発信・社会参加の推進 2件 条例の考え方・理解を深める取組み 11件 備えの推進「私の希望ファイル」 6件 地域づくりの推進 12件 暮らしと支えあいの継続 7件 その他 5件 3 参考資料(各種調査結果、統計資料 等) (1)各種調査結果 ①世田谷区民意識調査結果(令和5年度) Ⅰ.「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の認知度 「知らない」方は9割近く 「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の認知度を聞いたところ、「知らない」(88.6%)が9割近くと最も高く、以下、「条例の名称は聞いたことがあるが、内容はよく知らない」(8.6%)、「内容について知っている」(1.9%)と続いています。 Ⅱ.認知症についての印象 「認知症は、誰もがなり得るものである」と考えている方が8割半ば 認知症についての印象・考えを聞いたところ、「認知症は、誰もがなり得るものである」(85.7%)が8割半ばで最も高く、以下、「認知症に関する知識や情報について知りたいと思う」(43.2%)、「認知症になってからも、自分なりにできることがある」(38.2%)、「認知症になってからも、地域の中で自分らしく希望をもって暮らし続けることができる」(24.0%)、「認知症になると、地域の中で自分らしく希望をもって暮らし続けることができなくなる」(21.7%)などと続いています。 ②世田谷区高齢者ニーズ調査結果(令和4年度) Ⅰ.認知症に関する相談窓口の認知度 問 認知症に関する相談窓口を知っていますか。 認知症に関する相談窓口について知っているかをたずねたところ、全体では「いいえ」が67.3%となっています。 性別でみると、「いいえ」の割合は、女性よりも男性の方が7.5 ポイント高くなっています。 Ⅱ.「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の認知度 問 「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」を知っていますか。 「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」の認知度について、「知らない」が72.9%と最も高く、次いで「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」が16.3%、「内容について知っている」が1.7%となっている。 性別にみると、「知らない」は、女性よりも男性の方が7.8 ポイント高くなっています。 Ⅲ.認知症についての印象 問 認知症についてどのような印象・考えをお持ちですか。 認知症の印象・考えについて、「認知症は、誰もがなり得るものである」が78.4%と最も高く、次いで「認知症になってからも、自分なりにできることがある」が45.0%、「認知症に関する知識や情報について知りたいと思う」が35.9%となっています。 性別でみると、「認知症に関する知識や情報について知りたいと思う」は、男性よりも女性の方が10.8 ポイント高くなっています。 (2)統計資料 ①高齢者人口の推移と将来人口推計 国は、全国的に総人口が減少していくなか、高齢者の占める割合は今後も増加していくと推計しています。 世田谷区の総人口は、これまで増加傾向にありましたが、令和4年に減少に転じました。今後は一時的には回復するものの、これまでのような右肩上がりの人口増加は見込めないと推計されています。また、高齢者人口と高齢化率は、微増傾向で推移しており、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年(2025年)においても現在の水準が維持されることが見込まれています。 その先の、団塊ジュニア世代が高齢者になる令和22年(2040年)を見据えると、高齢者人口が引き続き増加する一方で64歳未満の人口が減少し、高齢化率の増加が見込まれています。平成27年に20.0%(75歳以上9.9%)、令和5年に20.4%(同11.2%)であった高齢化率が令和22年(2040年)には26.0%(同12.9%)まで増加することが推計されています。 ②要介護認定の状況 介護保険の要介護(要支援)認定者は、増加し続けており、令和4年度には41,100人を超えています。80歳を超えると要介護認定者数が増加し、認定率も高くなります。 介護保険の要介護認定調査において、令和4年度の認知症の日常生活自立度の判定がⅡ以上の方の人数は、平成27年度から約3,300人増加しています。近年は、コロナ禍で鈍化しているものの、要介護認定者の増加に伴い、出現数も増加しています。 ③高齢者世帯の状況 高齢者の世帯状況をみると、ひとり暮らしの人が34.0%、高齢者のみ世帯の人が38.0%を占めており、合わせて72%の方が高齢者だけで暮らしています。 ④認知症高齢者の将来人口推計 区内の65歳以上の高齢者人口は年間約2,000人ずつ増加していくことが見込まれ、 それに伴い、認知症高齢者数も年々増加傾向にあります。 ⑤若年性認知症の認定者数と要支援・要介護度別内訳 若年性認知症の認定者数(各年度4月1日時点)  令和3年度65人 令和4年度63人 令和5年度60人 要支援・要介護度別内訳 令和3年度、要支援1、2人、要支援2、0人、要介護1、18人、要介護2、11人、要介護3、14人、要介護4、6人、要介護5、14人、合計65人 令和4年度、要支援1、1人、要支援2、1人、要介護1、15人、要介護2、8人、要介護3、12人、要介護4、14人、要介護5、12人、合計63人 令和5年度、要支援1、1人、要支援2、1人、要介護1、12人、要介護2、10人、要介護3、12人、要介護4、12人、要介護5、12人、合計60人 4 用語解説   【あ行】 アクション                                                                        認知症の人とともに住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らし続けるために、認知症に関する理解を深め、健康づくりや住民同士の支え合い活動、見守り活動等を行うこと。 アクション講座(世田谷版認知症サポーター養成講座)                                                   従来の「認知症サポーター養成講座」を、条例の考え方を踏まえて、講義内容やテキストを刷新した世田谷区独自の講座。本人も講座に参加しながら、自身の体験や思いを共有したり、本人からのメッセージ動画を視聴する等、参加者みんなが認知症を“自分ごと”として捉え、認知症についての理解を深めるほか、本人とともに取り組むアクションについて一緒に考える。 アクションチーム                                                                  認知症の人や区民、専門職、企業等、地域の様々な人が参加し、地域に根差した活動を創意工夫しながら、職種や立場を超えて継続的に展開していく集まり。世田谷区におけるチームオレンジの名称。 あんしんすこやかセンター                                                          世田谷区における地域包括支援センターの名称。介護保険法に規定する地域包括支援センター。 インフォーマル                                                                    家族や近隣住民、地域団体、NPO、ボランティア等が行う活動や支援で、公的なサービス以外のもの。 【か行】 ケアプラン                                                                       介護を必要とする利用者やその家族の状況や希望を踏まえ、利用者に対する支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書。 ケアマネジャー                                                                    介護支援専門員の別称。介護を必要とする利用者に対して、個々のニーズに応じた介護サービスを提供するために、アセスメント(課題分析)を行い、どのような介護サービスが必要であるかを判断し、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成する職業。 軽度認知障害(MCI)                                                             記憶力や注意力等の認知機能に低下が見られるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態。 【さ行】      成年後見制度                                                                     認知症や知的障害、精神障害等によって判断能力が十分でなくなり、自分一人では、契約や財産の管理等をすることが難しい方が、自分らしく安心して暮らせるように、その方の権利を守り、 法的に支援する制度。 世田谷版キャラバン・メイト                                                          条例の基本理念の普及や計画に基づく地域づくりを推進し、アクション講座を企画・開催する講師役。 【た行】 地区                                                                            世田谷区における行政区域の最小単位。世田谷区では、全28の地区にまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会地区事務局を設置。 地区医師会                                                                      各区市町村において、医学及び医術の発達、並びに公衆衛生の向上を図り、その地域の医療・保健・福祉の増進に寄与する団体。世田谷区では、一般社団法人世田谷区医師会と一般社団法人玉川医師会の2団体。 地区歯科医師会                                                                   各市区町村において、口と歯の健康づくり等を通じ、地域住民の安全で安心な生活、健康増進に寄与する団体。世田谷区では、公益社団法人東京都世田谷区歯科医師会、公益社団法人社団法人東京都玉川歯科医師会の2団体。 地区薬剤師会                                                                   各市区町村において、薬学及び薬業の進歩発展等を通じ、地域住民の健康な生活の確保・向上に寄与する団体。世田谷区では、一般社団法人世田谷薬剤師会、一般社団法人玉川砧薬剤師会の2団体。 【な行】  認知症あんしんガイドブック(認知症ケアパス付き)                                           認知症の初期からその後の状態の変化に応じて、地域でどのような支援(サービス)があるかをまとめた冊子。 認知症カフェ                                                                     認知症の人やその家族等が、身近な地域の中で気軽に立ち寄ることができ、地域の人や専門家と出会え、相互に情報共有や関わりを持てる場。区では、各地域団体や関係機関等が自主的に設置している。 認知症観                                                                        認知症について一人ひとりが抱くイメージ。 認知症在宅生活サポートセンター                                                    令和2年4月に区立保健医療福祉総合プラザ(松原6-37-10)内に設置。世田谷区における認知症ケアモデルの構築を進めていくため、 認知症の早期対応体制の確立や、医療と福祉の連携推進、医療・介護の専門職の実務的な支援能力の向上、家族支援の充実等の専門的かつ中核的な全区の拠点としての役割を担う。また、条例・計画の推進における区(高齢福祉部介護予防・地域支援課)との共同事務局としても機能している。 認知症サポート医                                                                 認知症の人の診療に習熟し、かかりつけ医への助言その他の支援を行い、専門医療機関やあんしんすこやかセンター等との連携の推進役となる医師。 認知症初期集中支援チーム事業                                                       認知症(疑い含む)の高齢者や家族等を対象に、看護師、医師等の専門職からなる「認知症初期集中支援チーム」が定期的に(原則6ヶ月程度)家庭訪問し、集中的に支援を行うことにより、認知症に関する正しい情報提供のほか、認知症の進行や介護に関する心理的負担の軽減、医療・介護サービスの円滑な導入等を図り、支援体制を作ることを目指す、介護保険法地域支援事業に基づく事業。 対象者毎にアセスメント内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容や支援頻度等の検討を行うために、専門医を含めた「チーム員会議」を実施。 認知症専門相談員                                                                各あんしんすこやかセンターに1名ずつ配置。もの忘れ相談窓口業務を中心に、認知症やもの忘れに関する相談対応や支援を行う。利用者に親しみを持っていただくため、 「認知症すこやかパートナー」と呼称している。 認知症地域支援推進員                                                            各自治体が進める認知症施策の推進役、また、地域における認知症の人の医療・介護等の支援ネットワーク構築の要役。 認知症バリアフリー                                                                認知症になってからも、できる限り住み慣れた地域で安心して普通に暮らし続けていくために、生活のあらゆる場面での障壁(認知症バリア)を減らしていく取組み。 【は行】 パートナー                                                                        認知症の人を理解し、認知症の人とともに歩み支え合う人。 ピアサポート                                                                      同じ課題や環境を体験する人がその体験から来る感情を共有することで、専門職による支援では得がたい安心感や自己肯定感を得られること。同じような立場や境遇、経験等の当事者同士による支え合い活動。 フレイル                                                                          健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態。 【ま行】 マイルストーン                                                                    プロジェクトや業務進捗における中間目標。本計画においては、条例の基本理念を実現するための計画期間内の目標(成果指標)として使用。 もの忘れ相談                                                                    あんしんすこやかセンターで受ける認知症やもの忘れに関する相談全般。 【や行】 四者連携                                                                        区内全28地区のまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会地区事務局及び児童館が、地区の課題解決に向けてそれぞれの強みを発揮し、連携すること。 【わ行】 私の希望ファイル                                                                  一人ひとりが、これからの備えとして大切にしたいことや大切にしたい暮らしについて考え、身近にいる大切な人たちに伝えていくプロセス。 第2期世田谷区認知症とともに生きる希望計画 【令和6年度(2024年度)~令和8年度(2026年度)】 令和6年3月発行 世田谷区高齢福祉部介護予防・地域支援課 〒154-8504 世田谷区世田谷4‐21‐27 TEL:03-5432-2954   FAX:03-5432-3085 世田谷区広報印刷物登録番号 No.2229