令和2年9月4日 世田谷区認知症施策評価委員会 午後6時56分開会 ○佐久間委員 皆様、こんばんは。定刻の前ですけれども、皆様お集まりになりましたので、世田谷区認知症施策評価委員会を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。私は事務局の世田谷区高齢福祉部介護予防・地域支援課長の佐久間でございます。議事に入るまで進行させていただきます。よろしくお願いいたします。  初めに、本日は新型コロナウイルス感染防止の観点から、マスクの着用及び入室時にアルコールの消毒の御協力を賜り、誠にありがとうございました。また、会場につきましては、換気としまして、扉を開放したまま会議を進めさせていただきます。また、可能な範囲で短時間となるように努めてまいりますので、御承知いただきますようにお願いいたします。  まず、開会に先立ちまして、世田谷区高齢福祉部長の長岡より御挨拶を申し上げます。 ○長岡委員 皆様、こんばんは。高齢福祉部長の長岡でございます。委員の皆様方におかれましては、猛暑の中、また、コロナ禍の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日午後、世田谷区立保健医療福祉総合プラザで認知症在宅生活サポートセンターの開設記念講演会を開催させていただきました。当初は4月に開催予定でしたが、御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止により4月は講演会やイベント関係がほとんど延期ということで、今回、やっと開くことができました。たくさんの方においでいただきまして、ありがとうございます。  認知症在宅生活サポートセンターにつきましては、予定どおり、今年の4月に世田谷区立保健医療福祉総合プラザの中に、開設することができました。これも皆様方の御尽力のおかげであると心より感謝申し上げます。  今日は、認知症在宅生活サポートセンターの現在の運営状況についても御報告をさせていただきます。  また、世田谷区認知症とともに生きる希望条例につきましても、この間、報告させていただいておりますけれども、現在、この条例につきましては、令和2年第3回区議会定例会で、この後、提案をさせていただいて、議決をいただければ、10月1日を施行予定としています。こちらの条例につきましても、この後、御報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  委員の皆様方におかれましては、日頃よりの研究、活動に基づく見地から、認知症の人やその家族が安心して自分らしく暮らしていただけるよう、認知症施策の充実に向けて、本日も御意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○佐久間委員 次に、本日の欠席者の御連絡でございます。上野委員、山口委員、日吉委員、佐藤ひとみ委員の4名の委員につきましては、御欠席の連絡をいただいております。  ここからは大熊委員長に進行をお願いいたします。 ○大熊委員長 それでは、始めたいと思います。  まず、事務局から資料の御確認をお願いいたします。 ≪資料確認≫   ○大熊委員長   では最初に、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターの開設について、事務局から説明してください。 ○佐久間委員 こちらについては特に資料はありませんので、私から御説明をさせていただきます。  世田谷区認知症在宅生活サポートセンターにつきましては、本委員会で開設準備の進捗状況を随時報告してまいりましたが、本日、改めまして御報告をさせていただきます。  認知症在宅生活サポートセンターは、平成25年度に策定いたしました認知症在宅生活サポートセンター構想に基づき、平成29年度に委託業者を公募し、選定いたしました。平成30年度から、区と認知症在宅生活サポートセンター委託業者による並行運営を行いながら、開設準備を進めてまいりました。平成30年度には全ての事業を区と委託業者の職員とともに従事し、区がこれまで培ってきた経験やノウハウを丁寧に引き継ぎ、認知症在宅生活サポートセンター職員と関係機関との橋渡しを行いながら運営してきたところでございます。  令和元年度からは、運営を順次委託業者へ移してまいりまして、認知症の本人交流会事業など、新規事業の立ち上げや、ホームページ開設及び本日お配りしております機関誌の発行準備なども行い、令和元年度末には、センターが担う5つの機能全てを担ってもらうこととし、令和2年4月1日に世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内に認知症在宅生活サポートセンターを開設したものでございます。  当初は、4月の開設に合わせまして、施設の落成式や内覧会などを行う予定でしたが、先ほども部長が申したとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止により、落成式は中止とさせていただいたところでございます。また、国の緊急事態宣言を受けまして、訪問や講演会などの認知症在宅生活サポートセンターの事業も、相談事業以外は延期としておりました。その後は、国の緊急事態宣言の解除を受けまして、6月より事業を順次再開しております。  本日お配りしておりますリーフレットにもあるとおり、9月は世界アルツハイマー月間でもございまして、本日、認知症在宅生活サポートセンターにおきまして、認知症在宅生活サポートセンターの医師であります遠矢先生に認知症の講演会をしていただき、同時に、認知症カフェや認知症の図書を紹介するコーナーなどをあしらえたイベントを開催いたしました。後ほど認知症在宅生活サポートセンターより詳しく御報告があると思います。  なお、認知症在宅生活サポートセンターのスタッフは、保健師、看護師、作業療法士など専門職のほか、医師、事務職などの常勤、非常勤を含めまして、13名の職員が従事する体制を取っております。本日、皆様のお手元に機関誌を配付しております。創刊号では、スタッフの紹介をしておりますので、御覧いただければと思います。  認知症在宅生活サポートセンターの開設についての説明は以上でございます。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  機関誌創刊号の表紙が認知症在宅生活サポートセンターホームページのトップページと同じデザインとなっていまして、とてもしゃれたつくりになっております。「世田谷区認知症在宅生活サポートセンター」で引くと、すぐに出てまいります。  1号の後ろのほうにスタッフが8人ほど載っていますが、これがなかなかしゃれた、普通の自己紹介じゃなくて、若い人たちはすてきだなと思いましたけれども、名前を読み込んだ紹介になっています。この8人が、今、佐久間委員が御説明したように、13人に増えて、職種も非常にバラエティーに富んでいるということでございまして、その管理者の永野富美子さんから御紹介をお願いいたします。 ○永野オブザーバー 皆様、こんばんは。世田谷区認知症在宅生活サポートセンターの永野でございます。今日はよろしくお願いいたします。  佐久間委員や大熊委員長から御紹介いただきましたように、今年の4月、世田谷区立保健医療福祉総合プラザに認知症在宅生活サポートセンターを開設することができました。ただ、4月3日に予定しておりました開設記念講演会などは、新型コロナウイルス感染症の関係で延期となりまして、本日開催させていただきましたけれども、4月、5月は相談対応のみで、訪問活動や講演会などのいろいろな事業は延期しておりました。6月から徐々に動き始めまして、認知症初期集中支援チーム事業や、もの忘れチェック相談会、あるいは、家族介護者のためのストレスケア講座などの事業を少しずつ通常運転に戻っていっております。ただし、今日の講演会もですけれども、本来なら100人ぐらいは呼べるところを、ソーシャルディスタンスを保つということで、50名の定員で開催するなど、新しい生活様式を踏まえて運営している状況です。  スタッフに関しましては、御紹介いただきましたとおり、機関誌創刊号に8名、2号に新入職者2名の10名の顔が出ておりますけれども、これに加えて、非常勤のドクターや事務職などもおりまして、13名ということになります。  認知症在宅生活サポートセンターになりましてからは、認知症在宅生活サポートセンターの機能としまして、あんしんすこやかセンターや介護事業所などのバックアップというような、どちらかといいますと、表に出るというよりかは、いろんなところのサポートをする機能を持っておりますので、それほど区民の相談がどんどん来るということではなく、あんしんすこやかセンターの職員から、こういうときはどうしたらいいかとか、事業を通して、どういうふうにマネジメントしたらいいかというのを聞いて、相談に乗っています。あるいは、介護事業所からは、こういうときにはどこに相談したらよいのかという相談を承って、あんしんすこやかセンターを紹介したり、相談窓口などを紹介するなど、対応させていただいており、直接区民の方と接する事業も中にはありますけれども、やはり後方支援という役割を担っていると思います。  また、人材育成機能もございますけれども、本日、アルツハイマー月間のイベントとしまして、講演会のほか、世田谷区立保健医療福祉総合プラザの中にありますカフェに御協力いただいて、認知症カフェも開催しました。これらのイベントには、オレンジハートという愛称をつけた、認知症サポーター養成講座を終えて、さらにステップアップ講座を終えた、現在、フォローアップ講座を受講中のメンバーの皆さんが、一部ですけれどもお手伝いに来てくださいました。今日はオレンジのエプロンなどをつけて、認知症カフェで活動してくださったり、講演会の受付を手伝ってくださいました。また、関連イベントということで、認知症の御本人が登場するPRキャンペーンのDVDで、本人座談会というものを認知症在宅生活サポートセンターのカンファレンスルームで上映いたしまして、その呼び込みなどをお手伝いいただいたり、オレンジハートさんの活躍の場のようなこともさせていただきました。少しずつですけれども、そのような区民ボランティアを育てていけたらと考えております。  私からは以上です。 ○大熊委員長 御苦労さまでございました。  私は今日、このイベントにやじ馬で行ってまいりました。とても温かい雰囲気でして―今日のイベントのパンフレットの一番真ん中を開けていただきますと、にんさぽの木という絵があります。これはイラストなんですけれども、ちゃんと木にはしわが寄っているような……。みんなが願いをこれに書いて、後ろ側を見ると、剥がせば貼れるような仕掛けになっていて、この木にみんなが、今日イベントに来た方がどんどん願いを書いていくという楽しいことになっております。  この元の絵を作られたのは認知症御本人で、元美術の先生の方です。本当にすばらしい木で、これからいろんなイベントのときにあれが出てくるといいなと思いながら拝見しておりました。  本当にセンスのあるパンフレットで、感動いたしました。  では、今の御説明や、センターの開設について、皆様方から御質問、御意見がおありでしたら、どうぞお手をお挙げください。 ○佐久間委員 事務局から1つ、ちょっと補足で、機関誌の2号の見開きを開いていただきますと、橋委員の運営する認知症カフェ、フェローフィーリングも御紹介させていただいております。  以上でございます。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  どうぞ皆様―では、佐伯先生。 ○佐伯委員 御丁寧な御説明ありがとうございました。  本日、大熊先生もお出ましをいただいたということですけれども、お集まりになった方々は様々だと思いますが、どのような方がいらっしゃったのかなと思うことと、残念ながら、50名に限って開催されたとのことですが、それよりも大勢の方がいらっしゃったのか、その反響はいかがでございましたでしょうか。 ○永野オブザーバー 講演会自体の申込みは定員に満たしておらず、47名程度だったのですが、このコロナ禍のこととか、今日も35度を超えて暑かったりで、人数的にはその程度で収まっていたようです。  ただ、講演会に御参加にならなくて、認知症カフェをのぞきに来られた方も何人かいらっしゃいました。それこそ、にんさぽの木を作ってくださった認知症の御本人も後から来られて、認知症カフェで御家族や周りの方と歓談してくださったり、あとは、長谷川和夫先生の絵本を図書紹介のコーナーに置いていたのですが、長谷川和夫先生の絵本を認知症の御本人が周りの人たちに読んでくださいました。子供さんはいなかったんですけれども、大人がみんなで聞く感じで、今日いらしてくださった御本人の娘さんも、母親がこんなことをするとは思わなかったとおっしゃって、すごく感動されていました。  講演会は申込者しか入れなかったのですが、その後、認知症カフェに立ち寄られた方もいらっしゃったりして、御自身が介護に興味があったり、認知症に興味があるのかなという女性の方、あるいは、御夫婦で子供さん連れで、普通にカフェに来られた方が誘われて、にんさぽの木の葉っぱにメッセージを書いてくださいました。また、普通にカフェを御利用された方もお誘いして、イベントに参加していただいたり、認知症カフェにすごく興味があって来られたということではなくても、たまたま来て、そういうイベントをやっていたのねということで、加わってくださった方もいらっしゃいました。 ○佐伯委員 詳しくありがとうございました。イベント、講演会であるとか、いわゆるレジャーでないイベントに人を集めるというのは、とても大変ですよね。おっしゃるように、このコロナ禍で、なおかつ、残暑と言えるのかどうかというぐらい、今日は暑かったですから、その中で、それだけの人が集まって、今伺ったようなお話ということは、大成功ですね。自分が行けなくて残念なので、ちょっと反省をいたしました。 ○渡辺委員 たから居宅介護支援の渡辺です。私も今日、認知症カフェだけでも見に行こうと思ったのですが、行けませんでした。申し訳ありません。  認知症在宅生活サポートセンターでは開催しましたが、今回のコロナ禍で、橋委員の運営するフェロー会さんなど一部の活動を除き、認知症カフェとか、認知症に関わる集まりというのができない状態にあります。その理由としては、密を回避するという話もありますけれども、場所を貸してもらえない、公の場所が使えないという課題もあります。全国的にも認知症カフェをやっている団体は同じような課題で困っており、対面でのカフェ運営が出来ないのでZoomみたいなネットを活用するなど、いろいろな工夫をされている現状があります。  今回のコロナ自粛の間に認知症の方への支援は対面でやる意味がすごく大きいうことを強く感じました。介護保険としても、お独り暮らしの人の認知症が進んでしまうという課題が散見されています。行政には、いろいろな条件があるとは思いますけれども、対面で交流できる場所を積極的に使えるような環境を整えて頂きたい。そして、地域の支援者が認知症カフェを安心して運営するための施策について、リーダーシップを取ってやっていただけるとうれしいなと思いましたので、ぜひ、この場を借りてお願いさせていただければと思いました。  もう一つ、区の福祉人材育成・研修センターの研修で、今回、認知症のウェブ研修が2つあったのですが、とてもよかったなと思いました。会場に来て集まる研修も大事ですけれども、ユーチューブを使った配信で、基本的な認知症の知識だったりとか、2回目のほうは、世田谷区の認知症の制度のことを大変分かりやすく説明していただいて、世田谷区で初めてケアマネジャーとして働く職員も、世田谷区の制度のことが大変よく分かったと感想を述べていました。多分、このような研修の存在を知らないケアマネジャーもたくさんいると思いますし、制度や仕組みを分かっていない人も多いと思うので、ぜひ、ケアマネジャーだけじゃなくて、介護職全員、ユーチューブだったら人数制限する必要はないので、1年間に1回は見なさいという指示をしても良いくらいの意義がある、とてもいい学びだったなと思いました。このような学びの機会の提供も引き続きやっていただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○大熊委員長 渡辺委員、ありがとうございました。  世田谷区立保健医療福祉総合プラザの諸室は、たやすく貸していただけるのでしょうか。 ○佐久間委員 認知症在宅生活サポートセンター自体が使っているところにつきましては、一般利用という形ではなくて、研修や講演会で使わせていただいております。ただ、今、渡辺委員からお話のあった、認知症カフェでお使いになる区の公共施設につきましては、6月から順次使えるようになっております。  また、ウェブ研修につきましても好評でしたので、作るのがとても大変だったのですが、こういう機会ですので、ウェブ研修も試してみたいというのがありました。認知症在宅生活サポートセンターでも、認知症サポーター養成講座をウェブで受講していただく試みを今年初めて行っております。  コロナ禍の影響もあって、新しい試みができたのかなと考えておりますので、ウェブも活用しながら、今後、続けていきたいと考えております。  以上でございます。 ○大熊委員長 ウェブ研修というのは、一般の家族でも見られるのでしょうか。それとも、プロの方じゃないと見られないのでしょうか。 ○佐久間委員 今回の研修につきましては、募集をかけて、そこに応募していただいた方を対象としておりますので、渡辺委員の案のように公開できるかどうかにつきましても、検討させていただければと思います。 ○大熊委員長 副作用があるようなものではなさそうだから、どんどんみんなに見ていただくといいと思います。  ほかにはどうでしょうか。 ○村中委員 ありがとうございます。開設準備でそれでなくても大変な中、新型コロナウイルス感染症の影響で尚更であったと拝察いたします。機関誌まで作るのはとても大変なことだったと、敬意を表します。  これからのためにという意味で、教えていただきたいことと、お願いなんですけれども、これは誰がお作りになっていて、どのくらい印刷しているのか、またどうやったら入手することができるのでしょうか。本当に必要な人に届くことが大事だと思うので、その人たちがどうやったらこれを手にすることができるのかというのが1つです。  もう一つは、こうしたものというのは、本当に必要な人が手に取ったときに、どのように行動してほしいかというのが端的に伝わるというのもとても大事だと思います。なので、自分はもしかしたら認知症なのかなとか、自分の家族はもしかしたら認知症なのかなと思っている人も、これを手にしたときに、どうしたらいいのかというのが分かることが大変大事だと思います。毎回、繰り返しでもいいから、「こういうことがあったら、ここは相談できるところなんですよ」というメッセージが繰り返し伝わって、本当に必要な人がこれを手にしたときに、躊躇なく、相談に行ってみようと思うような認知症在宅生活サポートセンターになっていくというのは、これからは機関誌にかかってくるのかなと思いますので、この機関誌のつくりというのがとても大事になってくると思います。  先ほど委員長からも御紹介があったように、スタッフの紹介にしても、名前を先頭に持ってきて作ってみたりとか、とてもいろんな工夫ができているので、その工夫の力を生かして、この機関誌が認知症在宅生活サポートセンターと区民の方をつなぐようなものにしていただけるといいかなと思うので、もし予算が足りなくて部数が足りないとか、そういうことがあれば、そこは区のほうに検討していただくこともあるのかもしれないので、その辺をお聞かせいただけたらと思います。 ○永野オブザーバー ありがとうございます。機関誌創刊号は、認知症在宅生活サポートセンターの紹介などに使おうということで、多めに刷っておりますが、通常は1000部を印刷しておりまして、配布場所の大体は、あんしんすこやかセンター、各総合支所保健福祉課、区立図書館に置かせていただいております。  機関誌を作っているのは、創刊号の後ろを見ていただきますと、右側の上から2人目に井手美子という看護師がおりますが、彼女と、その下の下、事務の高橋という者が中心で、また、私どもの法人の関連会社にメディヴァという医療コンサルなどを行う会社がございまして、そこに所属するライター等の経験がある神野と、桜新町アーバンクリニックで訪問看護をやっております看護師の尾山の4人が中心になって企画編集をやりまして、デザインなどは、尾山と井手が2人で検討して作っております。  今のところ、まずは私どもを皆さんに知っていただくということで、スタッフも含めて、取り組んでいることなどを紹介する内容にしておりますけれども、村中委員がおっしゃるように、どのような方に手に取っていただくべきなのか、相談窓口がしっかり伝わるのかというところについて、改めて検討させていただき、さらに工夫して作っていきたいと思います。ありがとうございます。 ○大熊委員長 ホームページからダウンロードするようにできているのでしょうか。 ○永野オブザーバー はい、できています。 ○坪井委員 NPO法人語らいの家の代表の坪井と申します。このたびはおめでとうございます。  前からずっと区では、認知症の方を支えるいろいろなプログラムをどう展開していったらいいだろうと、区の職員の方が本当に大変な思いをしてきましたので、今回、専門的な認知症在宅生活サポートセンターができたということは、まず認知症の人の指針というか、灯台みたいなものができて、重度になっても、初期になっても、そこに行けば何か分かるんじゃないか、というので、この認知症在宅生活サポートセンターがこれからますます皆さんがいろんなところに行きやすい場になるのではないかと思って、とても楽しみにしておりました。今日は行けなかったのですけれども、2度ほど、1回は講演会と、もう1回は打合せで行かせていただきました。  行くたびに、何かもったいないような、ゆったりとした空間で、世田谷区はお金があるんだなというのを感じさせるような、すばらしい建物で、その中で認知症在宅生活サポートセンターの方々が忙しく働いていらっしゃるというのは、すばらしいと思います。これからますます発展すると思うんですけれども、先ほども言いましたように、特に認知症の人の灯台になるということはすばらしいことだと思い、安心できる場であると思います。  それと、機関誌はいろんな情報が載っていて、今、2万3000人に認知症の症状があって、それと同数ぐらいの人が予備軍なんだということが書いてあって、私も今日ここで初めて知りました。ありがとうございます。  次が第3号ということで、作る方は大変だと思うんですけれども、これが出て、読むのが楽しみというふうに―ぜひ「カフェサロンかたらい」のほうでも配布させていただいてよければ、これを配らせていただきたいと思います。  「カフェサロンかたらい」のことでちょっと追加します。私どもは6年目になるんですけれども、「カフェサロンかたらい」は、実は今お休みしているんです。7月に開催する予定で、皆様、楽しみにしていたんですけれども、またぐっと感染者数が増えてきて、皆さん、自由にいらっしゃれるという場であるので、場がデイサービスなので、もしものことを考えてお休みしております。手洗いとか、3密にならないようにできるのですが、認知症の人が来て、いろいろするときに、スキンシップや何かあったときに、いいんだろうかという気持ちになってしまって、やっぱり参加する方も心配ということでお休みしているんです。でも落ち着いたら、ぜひ再開するとともに、梅丘に行けば、いい情報があるんだよというのを皆様にお伝えできればいいかなと思います。  それと1つ、お願いというか、提案なんですけれども、若年性認知症の方というのは、集まれる場とか、過ごせる場がなかなかなくて、比較的進行も早いので、ちょっと落ち着いたと思うと、どんどん進んでいくのです……。若い方なので、早いうちに若年性認知症になると、家族の方も収入源とか、経済的な問題も出てくると思いますので、ぜひこの認知症在宅生活サポートセンターで、若年性認知症の方が生き生きと安心して過ごせるような、できればデイサービスなんですけれども、そこまででなくても、月に何回か集まると何かできるよというものができるといいかなと希望いたします。ぜひよろしくお願いします。  以上です。 ○大熊委員長 どうも御提案をありがとうございました。働きたいというのをつくっているところを知っているんですけれども、皆さん、何かしたいということがあるので……。  では、次の話題がありますので―では、松井委員、どうぞ。 ○松井委員 松井と申します。  私も坪井委員と一緒で、機関誌を御利用者様で困っている家族の方とかに紹介するのに、部数があると御紹介できるなというのがあって、総合支所などにあるということは、私自身が何回か行っても気づいていなかったので、もっと広めるために、いろんな部署に配布していただけるとありがたいなと思いました。  研修については、渡辺委員も先ほどおっしゃってくださったんですけれども、私の事業所でも新しく訪問看護を始めたナースがウェブ研修で世田谷区の認知症施策などを聞いて、とても勉強になったということでした。むしろ集合研修だと、都合がつかなくて行けないという場合も、ウェブ研修で好きな時間に見られたりすると、かなり参加率が上がるので、そういう方法で何かやっていただけたら、みんなにいろんな情報を周知できるなと思いましたので、よろしくお願いします。 ○大熊委員長 こんなに評判のよいものはないと思います。 ○橋委員 フェロー会の橋と申します。  私どもは玉川地域なものですから、今回、うめとぴあにできたのはとてもうれしいことなんですけれども、私どものほうから行くのは、とても不便なところですので、もう1か所、玉川地域あたりにつくっていただいたら、本当にありがたいなと思いますし、今度、等々力のほうに総合支所が建て替えられますよね。今、玉川のほうで仮庁舎でやっていますけれども、等々力あたりにもう一つつくっていただければ、協力をさせていただきたいと思います。  それから、できれば区のほうからバックアップをしていただければ、皆様やいろいろな方に周知するのにもとても心強いと思いますので、世田谷区には、いろいろと冊子を作っていただいているんですけれども、もう少し分かりやすく、バックアップしていただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○大熊委員長 まだまだあるでしょうか。  では、また次の機会に御発言いただくとして―世田谷区立保健医療福祉総合プラザのカフェスペースはガラス張りなので、とても明るくてすてきなのと、100円で飲めるコーヒーが結構おいしいので、ぜひお訪ねになるといいと思います。  それでは、世田谷区認知症とともに生きる希望条例(案)の制定に向けた状況についてに移りたいと思いますので、佐久間委員、御説明をよろしくお願いいたします。 ○佐久間委員 それでは、資料1について、御説明させていただきたいと思います。世田谷区認知症とともに生きる希望条例(案)の制定に向けた状況について、でございます。  主旨につきましては、こちらで報告させていただきます。  これまでの経過でございます。認知症とともに生きる希望条例の制定に向けまして、(仮称)世田谷区認知症施策推進条例検討委員会での検討を今まで6回行っております。それに加えまして、ワークショップを2回、そのほかに、区民意見募集ということで、パブリックコメントで意見をいただきまして、今回の条例案を取りまとめてございます。  (1)(仮称)世田谷区認知症施策推進条例検討委員会は全6回行っておりますが、そのうち、第4回及び6回で認知症の御本人にも御参加いただきまして、御意見を承り、反映させていただいております。  (2)ワークショップにつきましても、令和元年6月及び11月に御本人を含めた延べ65名の参加で御意見をいただきました。  (3)区民意見募集(パブリックコメント)につきましては、3月1日から3月23日まで、「区のおしらせ」などで広報いたしまして、合計で71名、延べ116件の御意見をいただいております。  (4)先ほど御説明したとおり、4月1日に認知症在宅生活サポートセンターを開設させていただきました。  本来、4月25日に開催予定でありました条例シンポジウムにつきましては、緊急事態宣言もございましたので、10月に条例が施行できた後に、お披露目のシンポジウムの形にさせていただきたいと思っております。  それでは、資料1−@、世田谷区認知症とともに生きる希望条例(案)を御覧ください。こちらの案は前文を含めて第1章から第4章までの4章立てで、第1条から第20条までの構成となっております。  前文では、こちらの条例を制定する意義の説明となります。区では、世田谷区基本構想で掲げます、個人の尊厳を尊重し、認知症とともに自分らしく暮らすことができる地域共生社会を実現するため、様々な認知症施策を推進してまいりました。4月には、世田谷区立保健医療福祉総合プラザを開設し、認知症在宅生活サポートセンターを拠点として、認知症施策を総合的に推進しております。今日、認知症に対する見方が大きく変わってきており、認知症になったら全てが分からなくなってしまうということではなく、御本人の意思や感情は豊かに備わっていることが明らかになってきており、自分らしく生きることが可能ということでございます。区といたしましては、自分らしく地域で共に生きていくことができる環境を整え、区に住んできた人を含め、子供から大人までの全ての区民が現在及び将来にわたって認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、「一人ひとりの希望及び権利が尊重され、ともに安心して自分らしく暮らせるまち、せたがや」を目指して、この条例を制定しますと御説明をさせていただいております。  第1章、第1条につきましては、目的を書かせていただきます。この条例の目的としましては、認知症とともに生きる人―以下、本人と言わせていただきます―の権利が尊重され、本人を含む全ての区民が認知症とともに生きる希望を持って暮らすことができるように推進する認知症に係る施策について、基本となる理念を定め、区の責務、本人を含む区民の参加並びに地域団体、関係機関及び事業者の役割に関する事項を明らかにすることにより、全ての区民が認知症とともに生きる意識を高め、その備えをし、もって一人ひとりがともに安心して自分らしく暮らすことができる地域共生社会の実現に寄与することを目的としております。  第2条につきましては、この条例を定める中でうたっている用語の定義となっております。  第3条は基本理念でございます。認知症施策を推進するための基本理念としまして、1つ目は、本人一人ひとりが自分らしく生きる希望を持ち、どの場所で暮らしていても、その意思と権利が尊重され、本人が自らの力を発揮しながら、安心して暮らし続けることができる地域を作ります。2つ目としましては、区民、地域団体、関係機関及び事業者―以下、区民等と言う―が認知症に対し深い関心を持ち、自らのことと捉え、自主的かつ自発的な参加及び協働により地域との関わりを持つことで、認知症とともにより良く生きていくことができる地域共生社会の実現を図ることを理念としております。  第4条からにつきましては、それぞれの役割という形で、第4条は区の責務、第5条は区民の参加で、区民に努めていただくことにつきまして書いてあります。第6条は地域団体の役割、第7条は関係機関の役割、第8条は事業者の役割となっております。  第2章につきましては、基本的な施策を述べさせていただきまして、第9条から第15条まで、区の行う基本的施策について述べさせていただいております。  第3章につきましては、認知症施策の推進に関する体制で、第16条は認知症施策の総合的推進としまして、この条例に基づく認知症施策を総合的に推進するために計画を定めるという条文になっております。  次の第17条につきましては、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターを拠点として、認知症施策を推進する旨、定めております。  第18条は世田谷区認知症施策評価委員会で、この条例に基づく計画及びその施策の評価等につきまして、新たに世田谷区認知症施策評価委員会を設けまして、そちらで検討して評価していただくとしております。  第4章につきましては、雑則としまして、財政上の措置、及び、この条例の附則としまして、規則で定めるとしております。  前に戻っていただきまして、2ページ目の第2条の定義、この条例の目玉となっているところですけれども、(6)私の希望ファイルというものがございまして、「区民が、認知症になってからも自分らしく暮らし続けるための備えとして、認知症になる前及びなった後においての生活に係る自らの思い、希望又は意思を繰り返し書き記す過程及びその文書又は記録をいう」と定めております。この条例で私の希望ファイルを目玉にしまして、これを区民の皆様、認知症の方、認知症でない方も含めてやっていただくことによりまして、認知症の理解も深まりますし、それを実現するという形でお手伝いすることにより、認知症である方、ない方も含めて、地域共生社会、認知症であっても、なくても、みんなで希望を持って生きる社会がつくれるという希望を持って、このような私の希望ファイルというのを検討してきたところでございます。  続きまして、資料1−Aを御覧ください。こちらにつきましては、世田谷区認知症とともに生きる希望条例解説(案)となっております。条例自体がちょっと難しいつくりとなっておりますので、このような形で、今のところ、事務局で解説を案としてまとめさせていただいております。こちらはまだ分かりにくい部分もございますので、改訂版を出していきまして、分かりやすいもの、普及させていけるようなものとして改訂をさせていただきたいと考えております。内容につきましては、後ほど御覧いただければと思います。  そのほかにも、この条例につきましては、お子さんから御高齢の方まで、認知症の方、認知症でない方につきましても、条例を知っていただくためにも、お子さんでも分かるようなイラスト入りとか、ルビの入ったカラー印刷のリーフレットを、条例の施行に合わせて作りまして、区民の方に周知していきたいと考えております。  続きまして、資料1−B、「(仮称)認知症とともに生きる希望条例(骨子案)」に対する区民意見募集(パブリックコメント)の実施結果についてでございます。こちらは、本来、3月に開催予定でありました施策評価委員会で御説明する予定でしたが、3月は新型コロナウイルス感染症の関係で書類送付のみとなり、しっかりとした御報告ができませんでしたので、この期間、行ってきたもの、まとめたものについて御報告を併せてさせていただきます。  区民意見募集につきましては、3月1日から3月23日まで行っております。先ほども申したとおり、「区のおしらせ」、ホームページで意見の募集をかけまして、御意見をいただいたのが71名、合計で116件の御意見をいただいております。このうち、ここに書いてあるのは、住所、氏名を記載されている方の御意見で、101件掲載させていただいております。  別紙を御覧ください。「条例全体に関すること」と初めに書いておりますが、ほとんどの方から、よい、賛成、必要、評価します、期待していますという応援のメッセージをいただいております。そのほか、いろいろな御自分のエピソードや思いも御意見としていただいておりまして、条例検討委員会等で御意見を御紹介させていただき、検討を重ねまして、取り入れられるところについては、なるべく取り入れるという方針で、骨子案から素案の際に、パブリックコメントから何点か反映させていただいております。例えばパートナーの表記がよく分からないというご意見から、パートナーについて補足する表記を追加させていただいたことや、認知症の計画を策定するときには、やはり認知症の御本人にも入っていただくべきという御意見もございましたので、条文に反映させていただいております。  御説明につきましては以上でございます。 ○大熊委員長 佐久間委員、御苦労さまでございました。  それでは、この施策評価委員会から5人ほど、条例検討委員会に参加してくださっていましたので、まず村中委員から、何か御感想や思いをお話しください。 ○村中委員 御説明、御紹介ありがとうございました。  私もこの条例の策定に関わらせていただいて、時には御本人や家族の方もおいでになっていただいて、直接皆さんの前でお話をしてくださったり、また、ワークショップにも私自身も参加させていただいて、皆さんのお話を聞きながら、そうしたことを落とし込むプロセスは、非常に充実したものだったと思っております。ただ、このような条例ができている自治体というのは、全国でも7つから8つぐらいですので、かなり先進的である反面、この条例がどんなふうに理解されることが必要なのかというのは今後の課題かと思っておりますので、条例をつくって終わりではなくて、この条例をどう生かしていくのかというのは、計画の中に落とし込んでいくことが必要だと思います。  もう一つ、私も今大学院で研究をしておりますけれども、希望と言ったときに、希望というのはどういうことだというのがなかなか伝わらないのが現状だと思います。認知症の方が希望を持つというのはどのようなことなのかということも、この世田谷区が発信をしていって、ここで使われている希望というのは、意思決定の部分もあれば、ホープという、望みというような意味合いも含んでいると思いますので、そうしたことも含めて、できて終わりというよりも、ここがスタートということで、これをどう育てていって、全国に発信していけるのかというところもそうですし、世田谷に住んでいる方たちが、この条例に基づく計画ができたことによって、安心して本当に希望を持てるようになっていくことが必要なのかなと思っておりました。ありがとうございました。貴重な経験をさせていただきました。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  計画というのは、どういう段取りになるんでしょうか。 ○佐久間委員 今のところ、条例検討委員会の中で、こういう形でというところをお示しさせていただきまして、本来でしたらば、条例ができてすぐスタートしたいのですけれども、そこにはちょっと間に合いませんでしたので、来年の4月からスタートできるように、これから検討し、つくり上げていくと考えております。  この条例にも書いてありますとおり、計画をつくらなくてはなりません。それに対して、新しい認知症施策評価委員会での御意見、御本人の意見も入れていかなければなりませんので、条例が施行された暁には、早急に新しい施策評価委員会を開かせていただきまして、その委員会で計画を来年3月までに決めて、4月から順次施策が実施できるようにしたいと事務局では考えております。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  では、残りの方に次々お願いしたいと思います。  西田先生はこれに関わられて、どのようにお考えになったでしょうか。 ○西田委員 ありがとうございます。  条例検討委員会を何回も開催していただいて、そこに当事者の方や、そのパートナーの方が入って、そういう貴重な経験というか、認知症とともに生きて、この世田谷で生活しておられる人たちの生の声をいかに施策やサービスの改善につなげるのかということのスタートを切れたのではないかなと思いました。私自身はこの施策評価委員会にも関与させていただいて、数年経ちますけれども、ようやく―ようやくと言うのは失礼ですが、当事者の方とパートナーの方が参画したテーブルができて、すごく世田谷らしい一歩を踏み出したんだなと感慨深いといいますか、非常に感銘を受けました。そういったことを言うのはたやすいんですけれども、様々な水面下での御準備を丹念にしてくださった事務局の皆様の御苦労に本当に改めて感謝申し上げます。  この条例で非常に大事なのは、繰り返しになりますけれども、御本人の参画を形で終わらせないということだと思います。御意見を賜ったということではなくて、世田谷のまちづくり、地域づくり、施策やサービスの改善に向けた取組を一緒にやっていくパートナー、認知症の方は大事な先輩であり、パートナーだという姿勢を我々は徹底して持って、協働創造と言うんですけれども、一緒につくっていくという姿勢が大変大事だと思います。サービスの受け手とサービスの提供者ということではなくて、共につくるということにシフトしていくことを促す、非常に大事な条例になったのではないかなと思います。  先ほど村中先生のお話にもありましたように、条例ができて、すぐに何かが変わっていくというわけではなくて、この条例に込められた理念をいかに理念で終わらせず、本当に地域の変革に具体的につなげていけるかというところがこれから非常に問われていくと思いますので、今日最初にお話のあった認知症在宅生活サポートセンターの取組の中に、条例の理念、魂がきちんと活動の中で大事にされて、そこを拠点に、先ほど坪井委員からもお話がありましたけれども、そこが1つの灯台のようになって、世田谷の認知症の様々な取組が同じ方向に向かって動いていくことを期待しています。それが感想でございます。  また、先ほど大熊委員長からもありましたけれども、やはり条例を計画に落とし込むというところがとても大事になってくると思いますので、先ほど佐久間委員からは、4月にその計画がスタートするというお話がありましたし、この解説書にも、スタートすると3年単位でやっていくというイメージだと記載されておりますので、10月施行で、3月までというのは非常に大事な期間だなと思いますので、なかなか施行後も一息つけませんけれども、ぜひ、事務局の皆さん、また我々もできる限りお手伝いさせていただいて、すばらしい計画、第1案というものにつなげていければなと思っております。よろしくお願いいたします。 ○大熊委員長 さっき佐久間委員がこの条例の目玉とおっしゃった私の希望ファイルというのは、もともとは西田先生の御発案だったように思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。 ○西田委員 ACPというのがよく聞かれるようになりました。終末期という言葉はよくありませんけれども、人生最終段階の様々な医療に関する意思決定や、住むところ、看取りの場所などということをあらかじめ本人が書き記し、残していただくことを求めたものなんです。認知症になって、少しずつ御自身の思いを外部に伝えにくくなっていくということがありますので、事前に周囲に理解しておいていただきたいことや、自分のアイデンティティーに関わることを分かりやすく書き留めて、それを周囲の方に伝えていくということがとても大事になると言われています。  つい最近、「ランセット」という、世界の5大誌と言われる医学雑誌の中で、また、2017年に1度出ていましたけれども、2020年7月に認知症のケアと予防と治療という、総説といいますか、ガイダンスが発表されており、そこにもやはり、これからは全ての人が事前に認知症になる前から、自分の思いとか意思について書いておくACPを始めましょうということが書いてあります。ですから、これから取り組もうとしている私の希望ファイルというのは、そういった世界的な動向とたがわぬ、先進的な、あるべき方向に向かった取組であると思います。  さらに、ACPというのは、そもそもが医療関係者ですとか、サービスを提供する人たちが、最期に本人の意思が示されていないと困るというところからスタートして、書いておいて欲しいというスタートだったものですから、御本人にしてみると、最期の状況を書き残してくださいと言われても、楽しく書き残す人はいないわけで、なかなか広がらないんです。医療者なり専門職がACPは大事だ、大事だと言っても、世界中で課題になっているのは、広まらないということです。御本人の目線でつくられてきたわけではないので、なかなか広がらない、これが問題であるということです。  ですから、認知症になった場合の自分、表現できなくなっていったときの自分のために、自分がその自分を擁護しておくということにもなりますし、私と将来、コミュニケーションを取る人にとって、私はこういうところが自分らしさだから、そこは尊重してほしいとか、将来の自分や将来の周囲の人たちに対して贈るギフトというか、贈物というコンセプトが海外でも最近構築されて、そういうACPにしようというふうになってきています。昔の終末期においてどうするというACPではなくて、認知症とともに生きて、そして、心地よく最終盤を周囲の人とともに過ごしていく、そのための新しいACPをつくると。それをまさに世田谷では、私の希望ファイルという名前の下で実践していくことになるのだと思います。  ですから、あるべき方向に進んできていると思いますので、ぜひ今後、私の希望ファイルを当事者の方とともに作っていけるといいのではないかなと思っております。 ○大熊委員長 私の希望ファイルについては、ワーキンググループというか、作業部会が行われていますけれども、これからどのように進めていかれますか。 ○佐久間委員 御議論いただいている内容について、委員の先生方にお戻しして、どういうものなのか具体的に物を作っていかないと、区民にも普及啓発ができませんので、こちらについても早急にできれば、条例ができて、すぐぐらいには何かしらの形がお見せできるようにしていきたいと思っております。4月までは待てないと思っております。 ○大熊委員長 お役所仕事じゃなくて結構だと思います。  あと、もう一つ、ACPの研究か何かを別の部署でやっていますよね。そちらとの整合性はどうなるんでしょうか。 ○佐久間委員 医療連携推進協議会という会議体がございまして、そちらのほうでも、今、西田先生のお話にあったとおり、ACPについて作っていこうと検討しております。先日、その会議がございましたが、ACPと言っても、よく御理解が得られないので、例示としまして、こういう事例がありますよ、あなたはどう考えますかというようなところを考える、ちょっと分厚めな、ACPとはどういうものかというところからひもといて、こういう事例がありますよというもので、ページもちょっと多めで作っていきましょうというお話は進んでおります。西田先生のおっしゃるとおり、ただ単に終末期の医療とか、終末期をどう過ごすのかを前面に出すと、やはり普及しないだろうというところもありますので、ACPともかぶるところはあるかもしれませんけれども、歳を取って、どう生きていきたいかというところについても、書かないと普及していかいないというお話はいただいております。  ただ、認知症とともに生きる希望条例で考えている私の希望ファイルについては、どう終末を迎えるかということではなくて、残りの余生を、自分がどう生きていきたいか、どういうことを今までやってきて、どういうことが好きだったんだというようなところを、今まで委員の先生方からも言われておりますので、前面に書き記していただければ、もし自分がうまく表現できなくなっても、ケアにつなげたり、医療につなげていくことができると思っておりますので、いただいた御意見について、また委員の先生たちに打ち返して、よりよい御意見をいただきたいと考えております。 ○大熊委員長 ACPは厚労省がつくって、ちょっと難しいというので、人生会議などという名前をつけているけれども、中身は、どちらかというと、困るから早く書いておいてというようなにおいのするものですので、世田谷区はその先を行っているので、少し古いバージョンと、先へ進んでいるものと両方があるというのも、何か少し妙な形になると思いますので、その連携は佐久間委員のほうでどうぞよろしくお願いいたします。  では、お待たせしました。新里委員は御参加になっていかがでございましたか。 ○新里委員 私も参加させてもらいましたが、なぜこういう条例が必要なのかなと最初に少し考えるところがありまして、世の中が認知症を自分事として、認知症の人に優しく接することができる世界であれば、こういう条例は必要ないと。ただ、やっぱり必要だということは、実際はそうではないということなんだろうなと思ったのです。  こういう条例の1つの目的としては、いわゆる世間、世の中の認知症に対する底上げというか、ボトムアップといいますか、こういう対応とか、将来のありようはないだろうというところを予防する、そういう事態を避けるといいますか。我々も医療では、治療のガイドラインというのがありますけれども、ガイドラインをやって一番いいのは、変な治療をする人がいないということで、底上げがなされるというか……。この条例の目的の1つは、照らし合わせてみても、これはあるまじきことだということの1つの抑止力というか、底上げになるという意味があるんだろうなと思ったのです。  もう一つは、より高みを目指してというか、この条例を基にして、世田谷区のみならず、認知症の方がより高いところに到達できるようなものになれば、いいんだろうなと。個人的には、都市部というのは、非常にいろんな優秀な職能団体の方がいて、モザイク状のいろんな力が集まっているところがいいところだなと思っています。より高みを目指していくということのいろいろなヒントになるような内容が含まれていると思いますので、その辺はまた今後、いろんな解説などが行われることでつながっていくのかなと思いますので、ぜひこれが姿勢となって、高みに向かっていければいいなと思いました。 ○大熊委員長 ありがとうございます。高みを目指すと。さっきの「ランセット」のものは7月に出たのですが、我々はもっとその前から考えていたわけですし、厚労省のACPより先へ行っていますので、かなり世田谷は最先端を走っていると誇りに思っていいと思っております。  では、橋委員も御参加になっていらっしゃいましたよね。 ○橋委員 先生方を前にしてお話しするのは、なかなか難しいところがあるんですけれども、ちょっと違うことを言っていいですか。こちらにある条例解説(案)の第1章の定義のところに、区民、地域団体とかと書いてあるんですけれども、その中に民生委員が入っていないんです。これは入れていただけるんでしょうか。区民に間違いないんですけれども、民生委員は厚労省の大臣から委嘱されて活動しており、ボランティアでやっているんです。認知症の方、それから、行政やあんしんすこやかセンターさん、社会福祉協議会さん、周りの方たちから言われたら、すぐ飛んでいかなくてはいけないですし、夜でも民生委員が出向いていかなくてはいけませんので、条例解説にも明記していただけると、活動しやすいのではないかと思います。区民の方は民生委員の存在を知らない方もいらっしゃいますので、そういったことをはっきり明記していただければ、活動しやすいのかなと。大熊先生のおっしゃったお話とちょっとずれてしまって、申し訳ないんですが。 ○大熊委員長 佐久間委員、いかがでございましょうか。 ○佐久間委員 おっしゃるとおりでございます。全ての団体をこの条例の中に書き込めるものではございませんが、条例の解説案の地域団体の中には、町会・自治会を含めて、必ず民生委員のところも書かせていただいて、周知をさせていただきたいと思います。失念しており、申し訳ございません。ありがとうございます。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  今、たまたま検討委員会のメンバーの先生方に話していただきましたので、そのほかの委員の皆様からも、この条例についての御意見をぜひお聞かせいただきたいと思います。どうぞ。島貫委員、お願いいたします。 ○島貫委員 玉川歯科医師会の島貫といいます。すばらしい条例を御苦労してつくられたと思います。本当に感謝いたします。  我々も認知症の施策に関しましては、日本でもそう多くない、認知症の方を対象とした歯科検診を世田谷区はいち早く取り入れました。あんしんすこやかゼンターさんとか、ケアマネジャーさんを通しての検診となっておりますので、ぜひ認知症の大きな組織になりつつあるところにお力添えをいただいて―認知症の方というのは、最近は歯の本数が非常に多いんです。ですから、昔のように、総入れ歯を入れて、ということもなくて、歯がしっかりした方が非常に多いものですから、その中の口腔ケアは非常に大事だと我々も考えておりますので、せっかく世田谷区がいち早く認知症の方を対象とした歯科検診を導入されていますので、何とか我々も協力させていただいて、一助になればいいなと思っております。よろしくお願いいたします。 ○大熊委員長 確かにあまり知られていなくて、もったいないですよね。やっぱり歯がちゃんとしていると、認知症の周辺症状がなくなるという研究もありますので、とても大事な点をありがとうございました。  ほかにいかがでございましょうか。―山形委員、お願いいたします。 ○山形委員 世田谷区医師会の山形でございます。  私の希望ファイルはすごくいいものだなと感じています。うちの副会長の太田が恐らく検討委員会に出席していると思います。私の希望ファイルを周知する方法だとか活用方法は、個人情報の塊のようなものになる可能性がありますので、実際にそういうものを集められたときに運用していく方法も、恐らく検討委員会のほうで話し合われるんじゃないかと思います。医師会のほうも、太田が出席して、またいろいろ皆様と意見交換をさせていただきたいと思います。  私も日々の外来の中で、御高齢の方、個々にはなかなか時間が取れませんので、御家族と一緒に通われている方はもちろんいいんですけれども、1人で来られる御高齢の方とかだと、徐々にあれっと思うような方がいたり、あと、突然、急に来なくなって、二、三か月置いて、薬がなくなったから来ましたとか、「飲んでいたの?」と言うと、「飲んでいましたよ」と。ちょっとこれは困ったなという人もいるんですけれども、その人の家族構成とかを誰に相談していいかなど、そういうところもなかなか難しいところがありますので、非常にそういうところの役にも立つものじゃないかなと思って、期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  では、佐藤恭子委員、お願いします。 ○佐藤(恭)委員 若林あんしんすこやかセンターの佐藤です。  この条例ができる過程の中で、私もこういう条例ができたら大変すばらしいなと思っていましたし、何より今回、先ほど先生方のお話にもありましたが、本人、当事者が参画してつくり上げていくという形が、本当に今までにない、理想的な形だなと思ってはいたんです。なので、私としても、あんしんすこやかセンターで、日々、高齢者の方、認知症の方と接している中で、何とかこの条例の検討過程に御本人に参画していただきたいと常々思っておりました。例えば開かれたワークショップなんかにも、できれば一緒に参加してと思ってはいたのですが、どうしてもうまくできませんでした。我々が接する方々が、「いえ、私は認知症ではありません。」という方だったり、自分がその当事者としてというところがどうにもちょっと……。反省点として、結局、条例ができる過程では、うまくできなかったです。  先ほど先生から、これは今、形はできましたけれども、これからつくり上げていくものであるので、どう生かすか、どうつくり上げていくものかというお話がありました。なので、先生からもお話がありましたが、どうここに本人を参画させていくかということがポイントですよというお話が、まさに私の中で、どういうことが参画したと言える形になるのかというところをぜひ御教授いただきたいといいますか、ワークショップに連れていくことだけが参画ではないでしょうし、いい意見を言えないかもしれないしというところを何とかつくり上げていきたいという思いはあります。それが1つです。  もう一つは、この条例の中にも、あんしんすこやかセンターという言葉が出てきますけれども、この条例ができたら、ぜひ、あんしんすこやかセンターの職員にまず、この条例がなぜ生まれたか、どういう条例なのか、何を目指すのか、先ほど先生がおっしゃいましたが、希望とは何なのかと。我々は日々、結構、希望と絶望の中に……。それは私自身というよりも、御本人だったり、御家族だったりというところを目の当たりにしているので、まず一番最初の相談窓口となる我々がこの条例をきちんと理解して、先生がおっしゃったとおり、高みを目指すということで、あるまじきことの抑止力とするためのものとしては、やっぱりあんしんすこやかセンターの職員百何十名がいかにこの条例を理解するかというところに1つかかっているのではないかと思っています。多分、認知症専門相談員、すこやかパートナーの研修に入ってきたりとかはあると思うんですけれども、一部のすこやかパートナーだけではなく、一人一人の職員、百何十人がこの条例をきちんと理解していくことが大事なのではないかなというのが2つ目です。  3つ目ですけれども、その条例の中の肝が私の希望ファイルということで、本当にそういう形ができていったらいいなとは思います。なんですが、これは1つお願いというか、疑問なんですけれども、先ほど言っていたACPの話です。私は医療連携推進協議会のACPの在宅療養担当者でもあって、ACPの作成に関わる会議にも出ているんですけれども、率直に言わせてもらうと、我々が実際にACPと、希望ファイルとがある場合に、区民にお話をするときに、ちょっと悩むなというのが率直なところです。受け入れる区民の側としても、その両者をどういう場面で、どういうふうに捉えるかなと思います。お話にもありましたが、重なる部分もありますし、どう生きてきたか、どう生きていきたいか、自分はこうだよという部分が大分あるので、それぞれ役割はあると思うのですが、混乱のないように整理していただけたら、ありがたいと思います。  以上です。 ○大熊委員長 確かに、2つあるのはおかしいみたいなことは、さっき申し上げましたけれども、ずっと下りてきて、2つのものを区民が受け取ったとき、当惑するという問題から始めないといけないとも思いますので、これはどの―でも、区長が思ったとしても、一応、別々なものを合併するのはなかなか難しいけれども、本当に区民は困ると思いますよね。私なんかは80歳ですから、きっと来ると思いますけれども。 ○佐久間委員 やはりACPはACPの役割というのもございますので、それを全て―例えば人生会議というのも、言っては悪いですけれども、社会福祉協議会のほうでも、私の生き方講座のような形で実施しているところもございます。区民にとっては、これ1つ書けばというのは分かりやすいこともあるのですが、あれもこれもとなりますと、それもちょっとどうなのかなというところもあります。ですので、例えば私の希望ファイルは、生きていくための希望という形で、その次につながるのがACPとなるような。そちらにつきましては先生方の御意見を聞きながらと思いますが、全てを一本化するということについては、ちょっと難しい点があるのかなという気はいたします。 ○大熊委員長 最初から駄目と諦めないで、何とかする方法を探るということはどうでしょうか。  それから、さっきの希望、絶望ですけれども、もともと認知症の世界は、早期診断、早期絶望と言われていたわけで、その逆が私の希望ファイルです。  それから、認知症の方たちの役割ということですけれども、私たちの希望ファイルというのも考えられていまして、そのときは認知症御本人が講師役になっていただくというような。今日認知症カフェで見た風景なんですけれども、条例検討委員会に出てこられた、流通大手の会社経営を任されていた方がちょうど来ておられて、何か遠矢先生と話しているんですけれども、それだけ見ていると、その方が遠矢先生に教えているというふうに見えて、どうだったんですかと伺ったらば、とてもためになる話を聞いたとのことでした。普通は認知症の人は同じことを繰り返して言うと思っていたけれども、あの30分の間に同じことの繰り返しはなかったとのことでした。自分自身が独り暮らしをして、認知症で独り暮らしは無理だとみんなは言うけれども、これがいかに快適かという話を聞いて、よかった、勉強になったと言っておられたので、そういう参画も、先輩として入っていただくという道もあるかもしれないと思いました。  それでは、篠崎委員お願いします。 ○篠崎委員 奥沢あんしんすこやかセンターで管理者をしております篠崎と申します。今回、初めて参加させていただきました。ありがとうございます。  私も皆さんのお話を聞かせていただいていて、認知症の方―認知症の方という言い方をするのも、またどうなのかなというところもあるのですが、私は地域の中でどうやって役割を持って生活するかというのが本当に大事なのかなと思っております。認知症だから、となってしまうと、どうしてもそこで壁ができてしまうような感じもしておりますし、その人が本当にその人らしく、その人がどういうことができるのか、それに対して、その人がどういう役割を持って地域で生活できるのかというのを見つけていくのが、私たちあんしんすこやかセンターの役割でもあるのかなというのを大変感じております。  ここ最近、コロナ禍で、なかなか外に出ることができなくなってしまいまして、認知症状が進んでしまったという方も奥沢地区に結構いらっしゃいます。ただ、その方が今までやってきたこと、これからやりたいことというのを一旦整理したときに、その方がすごく前向きな気持ちになりまして、何か低下していたものが全く戻ってきたようなこともあったりしますので、先生方がおっしゃられていたように、役割を持って生活するというのは本当に大きなことなんだなというのを最近感じております。  また、私の希望ファイルのところですけれども、以前、エンディングノートの勉強会をやったことがありまして、これからのことを話すとなったときに、やっぱり皆さん、なかなかペンが進まなかったりというところがあるんですけれども、自分の歴史を書いてくださいと言ったときは、すごくペンが進むのです。そういうところから支援の方法でしたり、今後の方針というのが見つかってくるのかなというのを大変に感じまして、自分の歴史、先生方もおっしゃられたように、そういう歴史を知るということもとても大事なんだなという思いがありますので、何かそういったところも反映されるといいのかなと感じております。ありがとうございました。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  これを考え始めたときは、希望を書いて、それをあんしんすこやかセンターに預けて、そうすると、個人情報がどうだとかという机上の空論をやっていたところがあるんですけれども、実際に試しにいろいろやってみると、おっしゃったとおりで、子供のときはどうだったっけとか、一番みんなに褒められて楽しかったときはみたいなことで、その方の人生が分かっていくみたいなことをやっているうちに分かってきたというところでございます。  さきほど、流通大手の経営を任されていた方がいろいろ教え諭していたと言ったので、その人はよほど軽い認知症の人じゃないか、本当は認知症じゃない人じゃないかと思われた方がいらっしゃるかもしれないのですが、れっきとした認知症の診断を受けた認知症の方であります。  全体、お1人ずつ話していただいたと思うんですけれども、心残りなので、もう少し発言したいという方がおられたら、手を挙げていただけますか。 ○渡辺委員 今の篠崎さんの話でもありましたけれども、今回の用意される私の希望ファイルがあります。それから、ACP(人生会議)、社会福祉協議会でやっている私のノートなどいろいろあります。私は昨日も、私の生き方連絡ノートの勉強会に参加していたのですが、大事なことは、条例を否定するわけではないのですが、認知症条例を作ることで、何かしらの線を引きたくなってしまう。やはりそうじゃなくて、認知症のある方もいらっしゃいますし、がんの方もいらっしゃいますし、精神とかの障害をお持ちの方もいる。いろんな課題があったり、単純にもうすぐ亡くなるという方もいらっしゃる。なので「私の希望ファイル」は認知症のある方だけの必須ツールではなく、物事を考えたり整理する為のツールの1つであるということを確認しておきたいです。特に自分がケアマネジャーなので、私たちがその使い分けをしっかりと学んで、その方に合ったツールで人生を振り返るとか、人によっては、どうやって死ぬかを考えるのが大事な人もいると思いますし、過去を振り返るところから自分の気持ちを整理することも大事だと思うので、それをつくったときに、これがいいんだではなく、これもその方を支えるツールの1つであると。なので、全てを否定するというよりは、いろんな情報提供をした中で、その方に一番適した道が提示できるような支援者を育てることを考えていただきたいと思います。 ○大熊委員長 貴重な御意見ありがとうございました。  ほかに―西田先生、どうぞ。 ○西田委員 ありがとうございます。  先ほど言った当事者の人の参画がとても大事で、共に創る、協働創造するということなんですけれども、最近、どうやったら協働創造できるのかという研究会をやっていて、1つの結論としては、協働創造がうまくいくときは、危機感をコミュニティーが共有しているときであるという前提条件が必要になるんです。危機感を共有していない、要するに、必要ない、何のために協働創造なんていう面倒くさいことをするのかという……。協働創造するしかほかに道がないんだという危機感と、ある種の絶望感がないと、それに取り組み、成功しないという、一定の歩む道といいますか、一定のことがあるなと。  何を言いたいかというと、早期診断、早期絶望という話がさきほどありましたけれども、認知症になった人の視点に立てば、絶望なんだ、絶望を感じているんだ、そして、僕たちも認知症になったら、少なからずそういうことを経験する今の社会なんだという危機感を持って、では、どうするんだという。そうじゃない社会をつくるというのは、かなり大変な事業だぞという。そこの危機感を共有しないで、何となくこのままいってもうまくいくのではないかという思いのまま協働創造しても、全く当事者の人の力も発揮されないし、生きた経験が公的に生かされないという原則がどうもあるんです。  ですから、私の希望ファイルという名前はついているんですけれども、これまでの歴史的な絶望というか、認知症の人が尊重されず、追いやられて、閉じ込められて、縛られてという絶望の歴史を繰り返さないんだという、そこの共有から、どうしたら本当の希望を生み出せるか、それは協働創造しかないというスタートラインに立つことが必要かなと思います。条例には、きれいな希望とか、地域共生ということがうたわれていますけれども、その裏にある歴史ということをもう一度共有して、ここからスタートしていくことが大事かなと思いました。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  コ・プロダクションというのは、今、世界的に大切だと思われていて、そこに今のような危機感の共有があるというのは、今私は初めて知りまして、言われてみれば、確かにそうだなと思います。将来のことを紙に書いてみましょう、というお遊びどころではないところから、この条例はできたんだなと思い知ることになりました。  ほかにいかがですか―どうぞ。 ○佐伯委員 条例の制定に取り組んでいただいて、ありがとうございます。  この条例を見て、すっと思い浮かんだことが1つ、2つあったんですけれども、特に2つ目は、これをどうやって広げていったらいいのかなと思いました。  1つ目は、我が国の総理大臣が辞任の表明をされる前に盛んに報道されていたことの1つが米大統領選のことなのです。その中で、今のアメリカの大統領は随分勇ましいので、相手のことに対して、いろいろ応酬をする中に、認知症という言葉が盛んに出てくるのです。それに対して、自分が何も反応しなければ問題ないのだけれども、僕はそれを聞いていて、あまり心地よくなかったのです。ここはテレビ局のBPOじゃないので、そんなことを言っても、しようがないのかもしれないけれども、局のアナウンサーの皆さんは、そういうことをおっしゃっていないのだけれども、著名な大学のアメリカの政治に詳しい教授の先生や、専門家の先生方は、それを盛んに言うのはいかがなものかと。さっき冒頭に申し上げたように、皆が反応しなければいいのだけれども、相手を攻撃する材料でその言葉を使っているのは、とても僕は心地よくなくて、この条例が制定されるというのを聞いて、これは大事だなと。そういった意識をみんなに広げていくのが大事だなと。  そう思うと、この条例を全家庭に配るというわけにはなかなかいかないだろうと思うので、例えば、機関誌のこの見開きのボリュームがすばらしいなと思ったのです。何ページもあったら、残念ながら、御覧にならない方も多くなるかもしれない。そうすると、こうでなくても、この趣旨、意図を書いた、例えばリーフレットみたいなものを作って、区民に広報していくとか。まさに区の運営というのも草の根運動みたいなものを、案を出しながら、広げていけたらいいなと思いました。  以上でございます。 ○大熊委員長 機関誌は、今日は褒められっ放しですね。文量も丁度よく、ですます調で書いてあるし。易しくするためには、ルビを振ればいいというのが、結構、障害団体の中でもあるのですが、それより、ルビを振らなくてもいいような易しい漢字と易しい言葉遣いというのが大事で、それを広めていくということも、よいヒントをいただきまして、ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○村中委員   今、私の希望ファイルのことで、いろいろお話が出ているのですが、もう一方で、御本人とその家族の方を中心に据えるということと同時に、先ほどの西田先生のお話の中にありましたように、協働創造というときには―あと、今、実際に認知症の方にすごく接して、自分もしっかりフォローしたいんだけれども、例えば流通大手の経営を任されていた方で、認知症の方がお金をちゃんと払えなかったりということで、大変困っていらっしゃる商店街の方であったりとか、いろんな方がいらっしゃって、今日おいでのあんしんすこやかセンターの方も、そういう対応に追われたりということが実際に今たくさんあると思うのです。それはきれい事ではなく、夢ではなくというところで起きているときに、そういう人たちも含めて協働創造と言ったときに、その人たちと危機感を共有して、どうしていくのかというところも、また十分に考えていかないと、ますます社会としても知らないとなってしまっては、よくない部分があると思うので、本当に御本人たちの希望をちゃんと支えるという視点。  もう一つは、支える側の人たちのメンバーというのは、いろんな人たちが支えていらっしゃると思うのです。民生委員さんももちろんそうですし、あんしんすこやかセンターさんも、認知症在宅生活サポートセンターさんももちろんです。先ほどお話があった山形委員のクリニックで、日常の診療の中で、どうしていったらいいのだろうと思っていらっしゃる方はたくさんいるので、そういう方たちも一緒にここのベースに乗っていけるような、そういうことを落とし込んでいくことがとても大事ではないかなと思います。その人たちも一緒に入っていただくことで、認知症の方や認知症の家族の方を一緒に支えていく裾野がどんどん広がっていくと思うので、保健医療従事者とか、こういうことにきちんと関わっている方だけではなく、先ほど支援者を育ててほしいというお話がありましたが、支援者だけではなく、区民全体で、商店街の人も、もちろん区の行政の人も、みんな育っていくことが必要だなと思うので、ぜひそういうことを落とし込んでいっていただけると大変いいかなと思って、お話を聞いておりました。 ○大熊委員長 ありがとうございました。  それでは、最後のテーマについて、佐久間委員からお願いいたします。 ○佐久間委員 では、資料2を御覧ください。世田谷区認知症施策評価委員会の廃止について、でございます。  主旨でございます。区では、平成27年度より世田谷区認知症施策評価委員会設置要綱に基づき、世田谷区認知症施策評価委員会において、認知症在宅生活サポートセンター構想に基づく開設準備状況や認知症施策の評価を行って、認知症施策の充実に取り組んでまいりました。本年4月、世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内に認知症在宅生活サポートセンターを開設し、この10月には、先ほども御説明がありました条例を制定する予定となっております。こちらの条例の第18条では、区長の附属機関としまして、世田谷区認知症施策評価委員会を新たに設置することとなっておりますので、現行の世田谷区認知症施策評価委員会と同じ名前ではございますが、本評価委員会につきましては、令和2年9月、今月をもって廃止させていただきます。  2、条例(案)に基づく新たな世田谷区認知症施策評価委員会につきましては、委員会の組織及び運営に関し必要な事項については、条例の下に新たに規則を設けまして、その規則にのっとって設けることとなっています。  資料1−@、条例案を見ていただきますと、6ページ、第18条、世田谷区認知症施策評価委員会が設置根拠となりますけれども、第3項のとおり、委員30名以内をもって組織する予定となっております。第4項では、委員の任期は2年として、再任を妨げないとして今のところ考えております。  本委員会委員の皆様には、本当に御協力いただきまして、ありがとうございます。本日をもちまして現認知症施策評価委員会については廃止をさせていただき、10月、条例施行に基づいて、新たな施策評価委員会を設置させていただくとして、今のところ考えております。  説明は以上でございます。 ○大熊委員長 発展的に解消するという感じでしょうか。  今のお話について、御質問、御意見がおありの方がいらっしゃったら―よろしいでしょうか。  ほかに何か、この際、言いたいなということがなければ、そろそろ事務局にマイクをお返ししたいと思います。 ○佐久間委員 1点、今申し忘れましたけれども、現在の認知症施策評価委員会がそのままスライドしてお願いするということではございませんので、現在の認知症施策評価委員会と、今現在行われております条例検討委員会の委員の方々で、また新たな組織を設置する形でお願いしてまいります。各職能団体や、区民団体、それからまた、お願いする委員の方々につきましては、改めて事務局からご依頼をさせていただきたく考えておりますので、御承知おきいただければと思います。ありがとうございます。  では、本日の議題につきましては全て終わりましたので、こちらで閉会をさせていただきます。  長い間、認知症施策評価委員会に御協力いただきましたことに、事務局より御礼を申し上げます。  本日は、長い間、どうもありがとうございました。 ○大熊委員長 終わる前に、条例の検討過程において、本当に事務局の方は苦労されて、法務担当のほうからは、希望なんていう言葉は聞いたことがないというのと果敢に闘っていただきましたり、それから、すばらしい御本人を見つけてくださったのは坂本カノ子係長で、丹野さんとか、藤田さんとか、よそにはすばらしい当事者がいるけれども、世田谷はいくら探してもいないというのが当初だったのですが、結果的に、当事者の方が参加なさることで、どんどん成長なさっていった様子もすばらしいなと。その基をつくっていただいた事務局に厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。 午後8時47分閉会 詳細な内容については以下の担当部署へご連絡ください。 高齢福祉部介護予防・地域支援課 電話 03-5432-2954 ファクシミリ 03-5432-3085