3ページ目です。 ステップ1の1。 『認知症の特徴ってなに?「自分ごと」として、生活や地域の大切さを知ろう。』というタイトルです。 まず、認知症とは、暮らしの障害です。 脳の病気やさまざまな原因によって脳の働きが低下し、 日常生活や社会生活を送るうえで支障がでてくる状態、つまり、暮らしの障害のことです。 とし をとれば、 誰でも認知症になる可能性があります。 また、認知症の原因となる病気は、 70種類以上もあります。 決めつけたり、悩まず、「今までと違う」と感じたらできるだけ早く、 話し合える医師や地域の関係者と、 よりよい暮らし方について相談してみることが大切です。 詳しくは、23ページ目、24ページ目をご参照ください。 次に、認知症の特徴について説明します。 1つ目、認知症は、完全な予防策はなく、 誰にでも起こりえます。 2つ目、少しずつ始まり、 長い経過をたどります。 3つ目、支障が増えていくけれど、 自分はいつまでも自分です。 4つ目、できないこともあるけれど、 できることもたくさんあります。 5つ目、環境で状態が大きく左右されます。 3ページ目の説明は、これで終了です。 次は、4ページ目です。 世田谷区の状況について説明します。 2021年時点、世田谷区の人口は約92万人です。 世田谷区における65歳以上の認知症の人の数は、2021年現在、 国の推計値で3万2千人です。2030年には4万3千人と年々増加しています。将来、あなたもそのひとりになるかもしれません。 なお、65歳未満で認知症を発症する人もいます。 認知症について考える際、5つのポイントがあります。 1つ目に、みんなにとって、自分ごと。 2つ目に、元気なときも、なってからも、みんなで備える。 3つ目に、「自分は自分」という誇りと安心が、心身の安定につながる。 4つ目に、できないと決めつけない。本当はたくさんのチカラがある。 5つ目に、地域で暮らしやすい環境をみんなが一緒につくると、いい経過、いい人生がたどれる。 4ページ目の説明は、これで終了です。 次は、5ページ目です。 ステップ1の2。 認知症とともにいきていく日々は、認知症体験者に聴こう、声から学ぼう。というタイトルです。 認知症体験者は、 まだ認知症になっていない人たちに、認知症になってから、どんなことが起きるか、よりよく暮らすためには何が必要か、を具体的に教えてくれる大切な先輩です。 まずは、一人ひとりの声に、耳を澄ましてみましょう。 4人の認知症体験者の声を紹介しています。 1人目は、長谷部やすじさん、です。長谷部さんは、 診断後、 間もないころは自分も家族も混乱した。つき合い方がわかり、 いまはとても安定している。自分ができることをしながらひとり暮らしをしていきたい。老人として自立した生活を送ることがモットー、と語っています。 長谷部さんは、元、スーパーマーケット関連会社社長です。73歳で認知症の症状があらわれ、関西から次女の暮らす世田谷区へ移住しました。当初は周囲に怒りをぶつける日々でしたが、生活が安定したことで、条例検討委員会でも発言するなどし、 活躍しています。趣味は自宅カラオケで、100点をめざして演歌400曲を歌っています。 2人目は、「ぬきた」多田よしさん、です。ぬきたさんは、 決めつけないでほしい。いちばん大事なのは、 みんなと話し合うこと。家にこもっててはだめ、 どんどん外に出よう。オープンにしよう。この町で楽しく暮らし続けたい。と語っています。 ぬきたさんは、テレビ東京で、多くの看板番組を制作していました。テレビ東京、アメリカ社を退職後、 70歳で、ソファーの後ろからゴリラが出てくる、などの幻視が現れ、レビーしょうたいがた 認知症と診断されました。講演会での動画出演がきっかけで、自ら動画の脚本を書くほどになり、認知症施策評価委員会でも積極的に発言しています。 5ページ目の説明は、これで終了です。 次は6ページ目です。 3人目は、さわださきこさん、です。さわださんは、 「美術の教師をしていた。定年近くで認知症になったが、なんとか勤めあげた。子どもたちができないことをどうしたら伸ばせるか、 ずっと取り組んできた。 周囲はできないと思いこんでいても、 できることを支援すると伸びる、自分も同じ。できるだけふつうに暮らしていきたい。」と語っています。 さわださんは、小中学校、高校の特別支援学級で30年以上、美術を教えていました。60歳過ぎから授業に困難を感じ、認知症を自覚しました。条例検討委員会では“サポーター”ではなく“パートナー”にと提言しました。 4人目は、はやしのぶゆきさん、です。はやしさんは、 「複雑なことができなくなる80歳まで、 仕事を続けた。その後に、 絵を描く楽しさに出会った。夢中で描いている時間が、 しあわせなひととき。もの忘れは年々進んでいるが、 絵を毎日描いていることが生きる力になっている。妻とは仲良く、おたがい笑顔でいたい。」と語っています。 はやしさんは、大手自動車メーカー勤務後、60歳で特許事務所をスタートし、80歳まで現役でしたが、ペースメーカーを入れたころから認知症の症状が出始めました。デイケアで臨床美術と出会い、絵を描くことの面白さに目覚め、それが日々の楽しみになっています。 認知症体験者の気持ちを理解するためのポイントは、 私たちにはそれぞれ、 自分なりの暮らし方や思いがあります。認知症になってからも、同じです。この4人だけではなく、チャンスがあれば、誰だって、自分なりの体験と思いを伝えることができます。無理と決めつけたり、 本人抜きで進めずに、 どんなときでも「本人の声を聴くこと」、 「本人が自分なりの思いを伝えること」を、世田谷のあたりまえにしていきましょう。 6ページ目の説明は、これで終了です。 次は、7ページ目です。 ステップ1の3。 『認知症の新しいイメージを。古いイメージからチェンジできると、お互いの可能性が広がる』というタイトルです。 ここでは、ページ見開きにわたり、認知症の古いイメージ、オールドカルチャーから、新しいイメージ、ニューカルチャーへチェンジしていこうというメッセージが記載されています。 認知症の「古いイメージ」とは、 1、他人ごと。自分には関わりがない。目をそらす。 2、本人はわからない。できない。何も話せない。本人の声を聞かない。 3、おかしな言動で周囲が困る。医療がなんとかしてくれる。 4、本人が決めるのは、無理。まわりが決めてあげるのが当然。 5、地域で暮らすのは無理。恥ずかしい。隠す。遠ざける。 6、支援してあげる。本人は支援される一方。 7、暗い。いしゅく、あきらめ。絶望的。 認知症の「古いイメージ」は、 悪循環におちいり、お互いが暮らしにくくなってしまいます。 7ページ目の説明は、これで終了です。 次は、8ページ目です。 認知症の「新しいイメージ」とは、 1、自分ごと。自分にも関わりがある。そなえる。 2、本人なりにわかる。できることがある。配慮があれば話せる。声を出せる。本人の声を聞く。 3、言動のわけがある。一番困っているのは本人。医療任せにせず、みんなで一緒に暮らしを楽に。 4、本人が人生の主人公。本人なりの思いがある。自分で決められる。 5、地域で暮らし続けられる。自分は自分。堂々とオープンにして地域でともに。 6、本人が自分の力を活かして活躍する、支え合う。 7、楽しく、のびのびと。あきらめず、希望をもって。 認知症の「新しいイメージ」 があると、 良循環が生まれ、おたがいが暮らしやすくなります。 8ページ目の説明は、これで終了です。 次は、9ページ目です。 ページ見開きにわたり、『暮らしていく経過、人生の旅』を説明します。 自分らしく生きてきた途上で、 認知症が始まります。人生のゴールまで、 長い旅路をたどります。 経過としては、認知症発症後、生活の支障が増える時期、全身状態が低下する時期を経て、人生のゴールを迎えます。20年以上の経過をたどる場合も少なくありません。 認知症についての新しいイメージを、暮らしている地域で多くの人が持っているかどうかで、認知症になってからの経過、人生の旅路が大きく変わってきます。 『本人の状態』も、認知症の新しいイメージをみんなが持てる地域で暮らしている場合と、認知症の古いイメージのままの地域で暮らしている場合では、大きく変わります。 認知症の新しいイメージをみんなが持てる地域で暮らしている場合、認知症の進行は、人生のゴールまで緩やかなカーブを描いていくことができます。一方、認知症の古いイメージのままの地域で暮らしている場合、認知症を発症し始めた頃から状態低下のカーブを描くことがあります。 どの段階でもあきらめず、より良い状態で暮らせるようにしましょう。 次に、『これからの暮らし』を4つに分類し、説明します。 1つ目、「自分らしい暮らし」ができている時は、元気なころから出会い、知り合い仲間を増やしましょう。 2つ目、「認知症発症、生活の支障が増えてきた」ときは、変化や生活のしづらさに早く気づき地域で支えあいましょう。 3つ目、「全身状態が低下してきた」ときは、地域で暮らし続けることを専門職や仲間と一緒に支えあいましょう。 4つ目、「人生のゴール」では、さいごまで自分らしく生ききる、日々を専門職や仲間と一緒に支えあいましょう。 9ページ目の説明は、これで終了です。 次は、10ページ目です。 『暮らしていく経過』の続きです。 認知症になってからも、 よい経過をたどれるようになるには、 区内で暮らし、働く、さまざまな立場や世代の人たち、そして区内にいるさまざまな専門職のチカラが必要です。 地域で出会い、 つながり、 語り合いながら、新しいイメージをいっしょに積み上げていきましょう。 『地域とのつながり』としては、 家族、親戚、職場、友人、地域の人々、子どもたち、商店、町内会、民生委員、ボランティア、企業、交通機関、金融機関等、大切な地域生活の仲間、パートナーとして、一緒に、楽しく、つながりつづける。 また、認知症カフェ、本人交流会、家族会、各地区のアクションチーム等で、出会い、つながり、語りあい、一緒に活動する場や機会を設ける。 そのほか、行政やあんしんすこやかセンターなどの福祉の相談窓口、医療機関関係者、介護事業所関係者、権利擁護関係者、成年後見センター等とも早い段階から関わり合い、認知症の新しいイメージを共有しましょう。 このページの右側には、世田谷区の様々なサービスについて紹介している「認知症あんしんガイドブック、ケアパス」をご覧になれる二次元コードがあります。 10ページ目の説明は、これで終了です。 次は、11ページ目です。 ステップ1の4。 『認知症とともに生きる、支えあう。「新しいイメージを大切にしながら、自然体で自分らしく」』というタイトルです。 実際に認知症になってからも良い経過をたどりながら生活しているかたと、地域の人たちの声を掲載しています。 一つ目、「元気なころからいっしょに、そなえる」の項目では、 地域の集まりで、 認知症の新しいイメージを知り、 みんなで話し合っていました。 自分らしく暮らしていくために大事に続けたいことや、 望みを一人ひとりが書きとめています。 地域の人たちの声としては、 「『認知症になりたくない』ではなく、 なっても安心して暮らせる地域にしよう。」 「おたがい、 認知症になってもよろしくね。」 などがあります。 二つ目、「変化がみられたらオープンに、つながりを豊かに」の項目では、 「なにか変、 いままでと違う」と感じ、受診をしたら認知症と診断されたので、話し合っていた地域の仲間にオープンにしました。地域の人たちの声としては、 「伝えてくれてありがとう。」 「これまでどーり、 楽しくやっていこうよ。」 などがあります。 これまでどーりのつき合いや趣味を続ける。 地域に出かけていく中で、介護や医療の専門職の人との出会いもあり、つながりが広がっていきます。 本人の声としては、 「嬉しい。私なりにできることを続けていきたい。」 などがあります。 11ページ目の説明は、これで終了です。 次は、12ページ目です。 「医療や介護を利用しながら、地域で活躍、楽しい日々を」の項目では、 少しずつできないことが増え、自分で選んで介護サービスを利用。家族を解放したい。サービス利用日以外は今までどーり、地域の仲間と楽しく過ごす。また、自分の体験や思いを住民やこどもたち、若者に伝えています。 地域の人たちの声としては、 「地域のカフェの大事なひとり。教わることの方が多い。」 本人の声としては、 「仲間がいて、いっしょに働けて、楽しい。」 「認知症になったけど、私は私。楽しいこともいっぱいある。」 などがあります。 「人生の実りのステージ。地域でともに、 自分らしく」の項目では、 言葉が少し出にくくなったけど、 地域のなじみの人が会いにきてくれると、とてもイキイキ。ゆっくり、ゆたかな言葉が出てくる。その後は食事が進み、ぐっすり眠れる。 地域の大好きな場所に、出かけ続けている。地域の仲間や介護の職員と、お互い気持ちよく、しあわせなひとときを過ごします。 「新しいイメージを大切にしながら、自然体で自分らしく」のポイントとしては、 こんな生き方・支え合い方ができる時代になっています。 ひとりでも多くの人が、元気なころから地域でつながり、自分らしく暮らし続けられるアクションをいっしょに取り組みましょう。 12ページ目の説明は、これで終了です。 次は、13ページ目です。 ステップ1の5。 『地域の中で広がる可能性。「つながりあって、楽しく、いっしょに、ともに自分らしく」』というタイトルです。 「働く」という場面には、登下校の見守りボランティア、地域食堂、学校や保育園等の木工品づくりなどを行う大工仕事があります。 「一緒にいる」という場面では、お買い物やおしゃべり、公園を散歩、玄関先で立ち話があります。 「楽しむ」という場面では、絵画、読書、カラオケ、スポーツ、ハイキングなどがあります。 13ページ目の説明は、これで終了です。 次は、14ページ目です。 『地域の中で広がる可能性。「つながりあって、楽しく、いっしょに、ともに自分らしく」』のポイントとしては、 いくつであっても、 認知症になってからも、 地域とつながり続けることで、自分のチカラを発揮しながら、 楽しく暮らしていくことができます。 本人自身の力は一人ひとりさまざま。誰にだって、 自分なりに暮らしてきたチカラがあります。 認知症になってからも、 いろんな出会いがあると、 自分のチカラがよみがえったり、 新たなチカラが伸びていきます。 14ページ目の説明は、これで終了です。