平成26年度 地域包括ケアの地区展開について<砧地区モデル事業実施報告書> 平成27年5月 世田谷区 はじめに 世田谷区では、平成26年3月に策定した「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」において、誰もが安心して住み慣れた地域で暮らし続けられる地域社会を築くという観点から、地域包括ケアシステムを推進することとしている。この推進にあたっては、まず、身近な地区での福祉相談の充実と地域の人材や社会資源の開発に取り組むこととした。平成26年10月から、砧地区において、身近な地区の出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター及び社会福祉協議会の三者が連携し、それぞれが持つ相談支援や地域づくりのノウハウを活かしながら、区民の身近な福祉相談に対応するとともに、地区で顕在化する様々な課題の解決に取り組む「地域包括ケアの地区展開」をモデル事業として開始した。本報告書は、「地域包括ケアの地区展開」について、平成27年度に予定している5地区でのモデル実施や、平成28年度の全地区展開に向け、砧地区のまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会等が参加する「砧地区モデル事業検討会」の検討経過や、モデル事業の実施状況、現時点の課題等を整理し、検証したものである。 目次 第1部「世田谷区の地域包括ケアシステム」の取組みについて 1.地域包括ケアシステムとは 2.世田谷区の取組み (1)世田谷区の状況 (2)世田谷区の目指す地域包括ケアシステム (3)地域包括ケアの地区展開の取組み (4)モデル事業の進め方 第2部 砧地区モデル実施に向けての取組み 1.砧地区の現状 2.推進体制の整備 (1)地域包括ケアの地区展開のモデル事業の概要 (2)三者(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会) の役割 (3)あんしんすこやかセンターの業務について (4)社会福祉協議会の業務について (5)モデル事業の検討体制 (6)人員体制の強化と予算措置 (7)検討経過 (8)勉強会の実施 (9)先進自治体への視察 (10)相談支援マニュアルの作成 (11)研修 (12)地区への周知の取組み (13)総合支所の取組み(バックアップ) 第3部 砧地区モデル事業の実施状況と課題 1.モデル事業を進めるにあたっての3つの視点 2.身近な福祉相談の充実にかかる取組み (1)まちづくりセンター (2)あんしんすこやかセンター (3)社会福祉協議会 3.地域の人材や社会資源の開発、協働にかかる取組み (1)メールマガジン配信開始 (2)地域活動団体訪問調査 (3)ワークショップ「何が必要?福祉の土台づくりinきぬた」の開催 4.三者の連携体制の構築と運営にかかる取組み (1)地区アセスメントミーティング(平成26年4月〜9月) (2)三者連携会議(平成26年10月〜平成27年3月) (3)砧地区モデル事業の三者による連携相談対応事例 (4)実施担当者の感想 5.支所の取組み (1)相談支援・支援の流れと事例 (2)地域包括ケア総合支所連絡会の設置 6.その他の実施事業の取組み (1)地域版地域ケア会議の実施に向けて (2)地区版地域ケア会議の実施に向けて (3)モデル事業に関する区民意見について 7.砧地区モデル事業の効果と課題 (1)取組みの効果 (2)今後の課題 第4部 今後の展開に向けて 1.全地区展開に向けた基本的考え方 2.砧地区モデル事業を踏まえた方向性 (1)身近な福祉相談の充実 (2)地域の人材や社会資源の開発・協働 (3)三者の連携体制の構築と運営 3.今後の三者の取組み (1)出張所・まちづくりセンター (2)あんしんすこやかセンター (3)社会福祉協議会 (4)人員、組織、予算 4.各総合支所の今後の取組み (1)地域包括ケア総合支所連絡会の運営 (2)総合支所のバックアップ体制の充実 (3)研修の充実 (4)地域版地域ケア会議の充実 5.区全体の今後の取組み (1)人材育成 (2)地域ケア会議の充実 (3)地域包括ケアの地区展開の推進体制 (4)公的サービスの基盤整備等 (5)地域包括ケアの地区展開と一体化整備時期 (6)システムの運用や台帳の電子化、個人情報の管理など (7)広報の充実 資料編 第1部「世田谷区の地域包括ケアシステム」の取組みについて 1.地域包括ケアシステムとは 日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しており、急速な少子高齢化の進展や、単身高齢者や高齢者のみの世帯、認知症高齢者の増加等から、医療、介護のニーズの大幅な増加が予想されている。一方で、社会保障給付費、特に医療・介護分野の顕著な増加に対して財政は危機的な状態にある。このような状況の中、2025年(平成37年)には団塊の世代(約800万人)が75歳以上の後期高齢者になり、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている。このため、国(厚生労働省)は、2025年(平成37年)を目途に、高齢者が尊厳を保ちながら、重度な要介護状態となっても可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。この地域包括ケアシステムにおいては@医療(在宅医療等)、A介護(介護保険サービス等)、B予防(介護予防や健康づくり等)、C住まい(生活の基盤として必要な住まいの整備)、D生活支援(見守りやサロン活動、配食サービス、権利擁護等)が、日常生活の場で一体に提供されることを目指している。このシステムは、各自治体が自主性や主体性を持って、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要とされている。 地域包括ケアシステムのイメージの図があります。 2.世田谷区の取組み (1)世田谷区の状況<平成27年1月1日現在> ○人口は平成17年の819,317人と比較すると約1.07倍に増えており、今後も出生数及び転入人口の増加により引き続き増加傾向が続く見込みである。 ○世帯数(外国人のみ世帯を除く)は平成17年から約1.10倍に増加。世帯あたりの人員は1.92人であり、世帯の小規模化が続いている。 ○毎年全人口の1割弱が転出・転居するなど、人口の流動性が高くなっている。 ○65歳以上の人口は、約174,000人であり、平成17年と比べ、約37,000人増加しており、今後も一貫して増加が進む見込みである。 ○高齢化率(65歳以上の高齢者の総人口に占める割合)はこの10年間で16.8%から19.9%に3.1ポイント上昇し、区民のおおむね5人に1人が65歳以上の高齢者となり、高齢化が着実に進展している。 ○0〜14歳の年少人口は、平成17年の約87,000人から約101,000人になり、約14,000人増加している。 ○障害者等の数は、身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者や、難病医療費等助成の受給者数を合わせると約40,000人となり増加傾向にある。 ○生活保護受給者数は平成26年10月時点で8,415世帯、10,246人。平成20年秋以降の経済・雇用情勢の悪化に伴い、全国的に急増した。近年はそのペースは鈍化してきてはいるものの、依然として増加傾向は続いており、区でも同様の傾向が見られる。 (2)世田谷区の目指す地域包括ケアシステム @地域包括ケアシステムの対象 ○区は、これまで「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を目指し、公的サービスの充実とともに、支えあい活動等の区民や地域の活動団体等と協働した多様な取組みを進めてきた。平成26年3月には、世田谷区地域保健医療福祉総合計画を策定し、地域包括ケアシステムの対象は高齢者だけではなく、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など対象を広く捉えて推進するとした。 ○地域包括ケアシステムは、支援を必要とする人だけのものではない。高齢者や障害者は、サービスの受け手として捉えるだけでなく、自らが主体的に参加し、生きがいを持って、その力を活かせるような地域社会の環境づくり進める。また、元気な高齢者をはじめ、学生や働いている人、主婦、シニア世代など幅広い区民参加のもとで地域包括ケアシステムを推進する。 A多様なサービスや基盤の創出 ○国は、地域包括ケアシステムにおいて、要介護高齢者の地域生活を支える要素として、@医療A介護B予防C住まいD生活支援の5つを挙げている。誰もが安心して地域で暮らし続けるためには、こうした多様なサービスや基盤が必要であり、公的サービスとともに、区民や地域の活動団体等との連携・協働による新たなサービスや基盤を創出する。 ○公的サービスの基盤整備については、総合計画を受けて策定した、第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、ノーマライゼーションプラン、第4期障害福祉計画、子ども計画(第2期)等により、計画的に推進する。また、医療連携の取組みをさらに推進し、身近な地区において、医療と介護・福祉サービス等が一体的に提供できる仕組みづくりを進める。 B相談支援の充実と区民等の参加促進 ○支援の必要な人を早期に発見して支援につなげていくとともに、介護、障害、経済的な課題等の複合化した問題を抱える人に対して、縦割りでなく、総合的な支援ができる仕組みづくりを進める。 ○地域の課題を地域の力で解決できるよう、相談支援の中から地域の課題を把握し、区民や地域の活動団体、事業者、NPO等との連携・協働やマッチングによる、新たなサービス等の創出を進める。 C地域包括ケアシステムの構築 ○包括的・継続的なケアマネジメントにより、公的サービスをはじめ、地域の人材や社会資源※1を活かした、総合的な支援ができる環境づくりを目指す。そのために、地域ケア会議において事例検討等による事業者等のケアマネジメントの力の向上を図るとともに、地域の課題を把握・検討し、政策形成に結びつける仕組みづくりを進める。 ※1)社会資源とは建物、施設、公的サービス、地域住民(団体、事業者、 NPO等)の主体的な活動やネットワーク等を指す。 ○区が目指す地域包括ケアシステムは一朝一夕には構築できないが、団塊の世代が後期高齢者になる2025年(平成37年)も視野に入れ、身近な地区全体で支えあい、助け合う力を創出していきながら、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指す。 (3)地域包括ケアの地区展開の取組み 区が目指す地域包括ケアシステムの考え方のもと、まず、身近な地区にある、出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者による身近な福祉相談の充実と地区の人材や社会資源の開発・協働に取り組む。 @出張所・まちづくりセンター 区民にもっとも身近な行政運営の拠点として、身近な相談や地区まちづくり活動を通じて、地区の課題を地区で解決する仕組みを、区民や町会・自治会をはじめ、区民活動団体とともに構築していく役割を担ってきた。 今後も引き続き、これまでの地域とのつながり等を活かした地区まちづくり活動を充実させるとともに、三者の連携の調整役となる。 Aあんしんすこやかセンター 高齢者に関連した福祉の相談、介護保険及び区の保健福祉サービスの相談・申請受付、介護予防のケアマネジメント等、地区における高齢者福祉の身近な相談支援機能を担ってきた。 今後は高齢者だけでなく、障害者や子育て家庭等に相談の対象を広げるとともに、支援を必要とする人を早期に発見し、解決につなげていく。また、地域ケア会議での事例検討の積み重ね等により、区と連携して地区における民間事業者等のマネジメント力の向上を図る。 B社会福祉協議会 地域の中のつながりを作り、地域の住民や組織・団体・機関等が一緒になって活動できるよう支援を行うとともに、サロンやミニデイ等の地域支えあい活動や成年後見等の権利擁護事業等を行っている。 今後は地区担当職員が出張所・まちづくりセンターを拠点にして活動し、社会福祉協議会の業務や地区のインフォーマルなサービスに関する相談を行うとともに、地区で活動している団体や施設、グループ等とのネットワークを構築し、地区の福祉的な課題等の解決に必要なメニューや担い手(人材)を発掘・養成、コーディネートする。 また、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターの管轄区域は同一であることから、一体化による連携、効率化を促進する目的で、一体整備を公共施設整備方針に位置づけ、順次、整備を図ってきている。 今後は三者の一体化を進めるとともに、三者が連携し、それぞれが持つ相談支援や地域づくりのノウハウを活かしながら、区民の身近な福祉相談に対応するとともに、地区で顕在化する様々な課題の解決を図る「地域包括ケアの地区展開」に取り組む。 <地域包括ケアの地区展開の基本の柱> @身近な福祉相談の充実 区民に身近な地区で、福祉の困りごと相談をはじめ、区民の身近な相談の聞き取り、受け止め、整理、担当組織・専門機関等へのつなぎを行い、適切な支援に結びつける。 A地域の人材や社会資源の開発・協働 地区における福祉的な課題を把握・共有し、その解決を目指してまちづくりセンターを活動の拠点として地区で顔の見える関係を築き、住民主体の福祉活動の調整や不足する社会資源の創出などを支援する。 地域包括ケアの地区展開のイメージの図があります。 包括的・継続的ケアマネジメント支援のイメージの図があります。 (4)モデル事業の進め方 ○区が目指す地域包括ケアシステムを構築するため、速やかに「地域包括ケアの地区展開」に着手する。また、地区によって、区民サービスに差異があることは望ましくないため、早期に全地区での実施を目指す。 ○一方、「地域包括ケアの地区展開」は、区とあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会が協働して取り組む事業であり、各々が人材の確保・育成等に取り組むとともに、総合支所のバックアップ体制を検討していく必要がある。 ○また、事業を実施するうえでのハード・ソフト両面の課題についても検証し、効果的・効率的に実施していく必要がある。 ○こうしたことから、区では、平成26年度から2ヵ年のモデル事業を実施し、課題の把握・検証を行いながら、3ヵ年で全地区での展開を目指す。 ○モデル事業は、まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターが一体化整備されていること、運営法人が同一地区内にあり、高齢者以外にも障害者や子どもに関する事業を行っていて円滑な支援が可能であること、人口が区内の全地区平均に近いことなどから、砧地区で実施する。 第2部 砧地区モデル実施に向けての取組み 1.砧地区の現状 砧地域は世田谷区の南西部に位置し、国分寺崖線や砧公園など、みどりの豊かな環境に恵まれ住宅地と緑地・農地が融合している地域である。今回、モデル事業を実施した砧地区は、砧地域の南東部に位置する砧・大蔵・岡本および砧公園を含めた一帯である。地域の特徴としては、砧が市街化された住宅地であるのに対して、大蔵・岡本では、住宅と農地などが混在しており、大蔵には大蔵住宅という30棟計1,264戸の大規模な公的団地を有している。交通面では小田急線、世田谷通りなどが通っているため利便性が高い地区である。平成26年10月1日現在、世田谷区の人口・世帯数は873,718人455,584世帯と、東京23区中1位であり、この5年間で未就学児の人口は毎年1,000人ずつ、高齢者数は平均毎年約3,500人ずつ増え、特にここ2年は5,000人ずつ増えている。砧地域の人口は約158,000人であり、構成の特徴としては高齢者数が約31,000人で高齢化率は、区の平均とほぼ同じ、15歳未満の年少人口の割合いは区内で一番多くなっている。また、平成25年4月現在、身体障害者手帳の所持者は908人、愛の手帳所持者は187人、総合支援サービスの利用者は199人である。今回、モデル事業を実施した砧地区(図1の太枠内)は、砧地域の中で、最も人口が多く、(平成26年10月1日現在 40,810人)20歳未満や65歳以上の高齢者数とも最も多い地区である。砧地区の課題については、「地区アセスメントミーティング」(別添資料)に掲載している。利用者の利便性向上や地域との連携強化を目的として、あんしんすこやかセンターと出張所・まちづくりセンターの一体整備を進めており、平成26年3月に砧あんしんすこやかセンターは改修工事を行い、砧まちづくりセンター内に移転した。 世田谷区における砧地区の位置の図があります。 2.推進体制の整備 (1)地域包括ケアの地区展開のモデル事業の概要 今回のモデル事業は、地域包括ケアの地区展開を目指し、まちづくりセンターとあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者を一体化して整備し、それぞれが持つ情報を活用しながら、連携して地区の課題に対応し、身近な福祉相談の支援体制を充実するとともに、人材育成や活動団体の支援、地域の人材や社会資源の開発等を行い、地区の福祉的課題解決を目指した事業である。  (2)三者(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会) の役割 @まちづくりセンターの役割 まちづくりセンターの役割は、@相談窓口の充実、A三者の連携・調整、B区民や活動団体等との調整、C支所や本庁との調整である。 ア)相談窓口の充実 まちづくりセンターは、これまでも区民の様々な困りごとや相談を聞き取り、受け止め、整理するなど、身近な相談を受けてきたが、今後は必要に応じて、迅速にあんしんすこやかセンターや社会福祉協議会と連携して対応し、相談体制を一層、充実させる。 イ)三者の連携・調整 まちづくりセンターが中心となって、あんしんすこやかセンターと社会福祉協議会の三者の連携会議を開催し、情報共有や地域課題の検討などを行い、地域課題の解決にさらに取り組んでいく。 ウ)区民や地域活動団体等との調整 課題解決のために、区民や活動団体からの福祉に関する相談には、必要に応じてあんしんすこやかセンターや社会福祉協議会を紹介し、連携して対応するとともに、地区の課題を把握して、地区情報連絡会などを活用し、地域住民とも課題を共有し、課題解決に取り組んでいく。 エ)支所や本庁との調整 まちづくりセンターの地区単位で解決できない課題については、総合支所や本庁、関係機関とも調整を図り、対応していく。 砧まちづくりセンターの事務室風景の画像があります。 砧まちづくりセンターの外観の画像があります。 Aあんしんすこやかセンターの役割 地域包括ケアシステムの地区展開におけるあんしんすこやかセンターの役割は、高齢者だけでなく様々な福祉に関する相談を、身近な地区で総合的に受け、解決につなげていくこと及び地区における問題を早期に発見し、解決につなげていくことである。 今回のモデル事業では、障害者、子育て家庭、生活困窮等に係る相談やこれらが複合した相談を受け、まちづくりセンターや社会福祉協議会、総合支所保健福祉3課等の区関係部署、地域の専門機関や関係者等と連携して支援を行う。また、まちづくりセンターや社会福祉協議会とともに、地区のアセスメント会議等の場を持ち、地区の特性や社会資源及び地区が抱える問題や課題、並びに各々の業務内容や互いが抱える課題等の把握、共有、解決策の検討等を行う。 砧あんしんすこやかセンターのカウンターの画像があります。 B社会福祉協議会の役割 社会福祉協議会では、地区担当職員が、まちづくりセンターを拠点にして活動し、社会福祉協議会事業に関する相談対応や、地区内の地域の人材や社会資源の情報収集・整理・開発・ネットワークづくり、地区課題の把握などを行うことにより、アウトリーチも含め、支援を必要とする区民を支援につなげることを目指す。まちづくりセンター、あんしんすこやかセンターと協働して地区の人材や社会資源の現況調査や活動団体への個別調査を行う。 砧まちづくりセンターと社会福祉協議会のカウンターの画像があります。 (3)あんしんすこやかセンターの業務について @相談範囲 あんしんすこやかセンターでは、既に高齢者の基本的な相談から困難事例まで受けているが、相談拡充に伴い新たに相談対象者となる子育て家庭や障害者等の基本相談を受けることとした。モデル事業の全体イメージ共有のためにイメージ図(図2)を作成した。 (ア)あんしんすこやかセンターで受ける相談範囲の確認 (イ)現状で取り組んでいる高齢者見守りネットワークの対象拡大 (ウ)まちづくりセンターで受けている妊娠届出時のアプローチの試行 (エ)生活困窮に着目した支援の強化 (オ)地区の課題を把握し、解決するためのまちづくりセンターと社会福祉協議会との連携 地域包括ケアの地区展開のモデル事業のイメージの図があります。 A相談のつなぎ先 必要に応じ専門機関や部署につなぐこととしたため、子ども・若者、高齢者、障害者(児)の相談内容ごとのつなぎ先を明確にした(下表参照)。 砧地区包括ケアモデル事業相談のつなぎ先(関係機関)の表があります。 (4)社会福祉協議会の業務について 社会福祉協議会は、まちづくりセンターを活動拠点とする地区担当職員のコミュニティワークの第一段階として、地区内の社会資源の情報の収集・整理を行い資源マップ等の作成を行った。また、支えあいの地域づくりを推進していく上で地区内の様々な情報の発信や共有が重要であると考え、ホームページでの地区内の福祉情報の紹介やメールマガジンによる地域情報の発信に取り組み、地域住民等が福祉のまちづくりに参加しやすい環境づくりを進めていくこととした。 @砧まちづくりセンター内で社会福祉協議会の職員が業務を行うための環境整備 社会福祉協議会の担当職員が区のまちづくりセンターを活動拠点とするのは初めての試みである。行政機関であるまちづくりセンターの事務室内で、外部機関である社会福祉協議会職員が執務することになるため、社会福祉協議会の業務内容を確認しつつ区と社会福祉協議会の間で調整を行った。事務机や椅子は社会福祉協議会が用意し、配置場所はまちづくりセンターが調整した。机上の事務用パソコンとそのインターネット接続環境についても社会福祉協議会が調達し維持管理を行うものとした。また、社会福祉協議会の地区担当者はアウトリーチ活動が多く予想されるので、机に固定電話は置かず、常時連絡先として携帯電話を使用することとした。なお、机の配置場所など建物内で社会福祉協議会が占用する場所についての財産上の取り扱いは、行政財産の使用許可である。また、社会福祉協議会職員がまちづくりセンター内で業務を行うにあたっては、まちづくりセンターの管理上のルールの遵守や、まちづくりセンター業務に支障を及ぼさない配慮が必要となるので、それらの取り決め事を今後の全地区拡大にも備え、「出張所・まちづくりセンターにおける社会福祉法人世田谷区社会福祉協議会職員の執務体制等に関する協定書」として文書化し、10月1日付で区と社会福祉協議会の間で締結した。まちづくりセンターとの関係では、来客カウンターの共用を行って、社会福祉協議会職員のまちづくりセンター事務室内動線や、プライバシー保護などについては、まちづくりセンターと地域社会福祉協議会事務所の間で細かい調整ができる体制を確保し、地区担当職員の活動予定を事前にまちづくりセンターやあんしんすこやかセンターと共有している。 A人員体制の補強と研修 砧モデル事業において社会福祉協議会は地域の人材や社会資源の開発を推進するとともに、地区における相談体制の一翼を担うものとされた。これに対応するため、地区業務における人員体制の補強を行い、従来の地区担当職員1名に加えて非常勤職員1名が事業運営に加わる体制とし、社会福祉協議会職員の地区常駐性を高めた。また、平成27年度以降の地区拡大も見据え、地域社協課が中心となって、社会福祉協議会の地区担当職員を対象に、コミュニティーワークや地区担当者の役割などに関する内部研修を6月から開始した。なお、この研修は平成28年度まで3か年度にわたり継続して定期的に行う予定である。 B地区の社会資源等の調査と既存団体・施設との関係づくり 今後取り組んでいく地域の人材や社会資源の開発に資するため、まちづくりセンターへの展開(10月)に先行して、砧地区で地域福祉活動を実施している団体への訪問調査を開始した。7月に調査対象として、129の事業所・施設・NPO・地域活動団体を諸々の情報から抽出した。そのうち3割(33%)は社会福祉協議会の支えあい活動に登録して日頃つながりのある、サロン・ミニデイ、子育てサロンであり、また、1割強の団体は、町会・自治会・青少年地区員会など、まちづくりセンターとのつながりの強い団体であったため、それら以外のNPOや保育園などから調査に入った。保育園については運営する社会福祉法人の所在地が地域外の場合があり、NPOについては登記上の住所が地域内であっても活動エリアが全く別であったり、事務所に人が常駐していないなどの事情があったりで、調査にはかなりの時間を要した。活動の現状を聞くことを重視し、社会福祉協議会の地区担当職員が順次訪問して、あらためて活動の様子や課題をヒアリングした。話を聞くと共に社会福祉協議会の地区担当者との繋がりをつくるきっかけとした。調査結果については、団体の了解を得てあんしんすこやかセンターやまちづくりセンターと情報共有を図っている。この訪問調査活動の後、訪問先施設から社会福祉協議会の担当者へ、地形から浸水の恐れがあるので週末の台風に備えて土嚢などを備えたいとの相談が入るなど、地区における関係構築と三者連携体制の認知が進みつつあることが推測される。 (5)モデル事業の検討体制 モデル事業の内容や進め方の検討は、砧地区モデル事業検討会と砧総合支所保健福祉3課のコア会議の2つの会議で実施した。 砧地区モデル事業検討会は、保健福祉部(計画調整課、生活福祉担当課)、高齢福祉部(高齢福祉課、介護予防・地域支援課)、砧総合支所(副支所長、地域振興課、 砧まちづくりセンター、生活支援課、保健福祉課、健康づくり課)、砧地域社会福祉協議会事務所、砧あんしんすこやかセンターの職員で構成する。保健福祉3課コア会議は、副支所長、保健福祉3課(生活支援課、保健福祉課、健康づくり課)の職員で構成する。両会議では、相談マニュアル等の作成、バックアップ体制、地区アセスメントミーティング (三者連携会議)の実施等について検討した。三者連携会議は、砧まちづくりセンターと砧あんしんすこやかセンター、砧地域社会福祉協議会事務所の三者に、保健福祉課地域支援担当が加わった。主な検討内容は、地区の特徴や地域の人材や社会資源の把握、地区課題の共有などである。 検討体制イメージの図があります。 主な取決め事項は、以下のとおり。 @砧モデル事業の進捗管理は保健福祉課が行う。 A今後の事業拡大のため、砧総合支所生活支援課、保健福祉課、健康づくり課は幹事課長とともに地域保健医療福祉総合計画推進委員会に参加し検討を行う。 B各マニュアルの大項目は各課長会で検討・指示し、5所の各担当部署で協力して作成する。 Cあんしんすこやかセンターの契約・評価指標等は、介護予防・地域支援課が担当し、作成する。 なお、モデル事業検討会は平成27年4月に総合支所連絡会に引継ぎ、保健福祉3課のコア会議と三者連携会議は定期開催を継続する。 (6)人員体制の強化と予算措置 @人員体制の強化 あんしんすこやかセンターでは、これらの業務を行うために必要な人員体制の強化を図り、専門職の常勤職員1名及び非常勤職員1名の追加配置が行われた。また、受託法人内においても、あんしんすこやかセンター職員の研修やOJTによる人材育成を行っている。また、社会福祉協議会では地区担当職員1名をまちづくりセンター内に配置した。さらに地区担当職員と交替制で社会福祉士の地域福祉支援員(非常勤職員)1名を配置し、訪問時も携帯電話を持って、すぐに連絡がとれるようにし、相談対応や地区内の地域の人材や社会資源のネットワークづくりなどを進めるため人員体制を強化した。なお、まちづくりセンターにおいては、従来の体制で業務を行っている。 A平成26年度予算措置 あんしんすこやかセンターにおいては、福祉相談の充実への予算配置であり、社会福祉協議会には、本来業務の充実を目的とした補助金として予算が組まれた。 ア)あんしんすこやかセンターの福祉相談の拡充(7月準備、10月開始)・相談対象の拡大に対応した福祉相談の充実(1地区)予算額:5,349千円 イ)社会福祉協議会による地域資源の開発・地区における地域資源開発の実施に対する補助(1地区)(人件費 1,390千円 事務費 1,434千円)予算額:2,824千円 (7)検討経過 平成26年1月に砧地区モデル事業検討会を立ち上げ、3月に勉強会を開催し、4月から本格的な検討会を開催した。砧地区モデル事業検討会は月1回開催して検討内容を報告・共有するとともに、コア会議や「地区アセスメントミーティング」と並行して行った。相談対応マニュアルなどの作成やあんしんすこやかセンター職員の研修、地区の現状や人材や社会資源の把握、地域課題の抽出を行う地区アセスメントミーティングは、10月までに終えてモデル実施に備えることにした。10月の開始以降は、毎月砧地区モデル事業検討会で、実績を報告するとともに、次年度に向けて課題を共有し、総合支所副支所長会や地域保健医療福祉総合計画推進委員会に報告するとともに、モデル事業実施に向けての体制整備の検討を行った。また、地域版地域ケア会議については、エリア自立支援協議会*1(障害分野のネットワーク)と地区包括ケア会議*2(高齢分野のネットワーク)の課題の共有や一体開催に向けて、運営委員会や関係団体へ働きかけを行うことにした。 *1)平成19年10月に、“障害があってもなくても誰もが自分らしく安心して暮らせる地域”を作っていく仕組みとして、自立支援協議会が立ち上がった。平成21年度からは、区内の5つの地域(世田谷地域、北沢地域、玉川地域、砧地域、烏山地域)に「各エリア自立支援協議会」を立ち上げ、活動を始めた。 *2)支援を必要とする高齢者に対する情報交換及び支援方法に関し、担当区域の介護サービス事業者、医療機関、民生委員、警察署等、その他高齢者に係わる多様な機関の地域ネットワークの構築を目的としてあんしんすこやかセンターが開催する会議。必要に応じて、総合支所保健福祉課と協働して、他の地域包括支援センターと合同で地区包括ケア会議(「地域合同 包括ケア会議」という。)が開催される。 検討会のスケジュールと検討概要の表があります。 (8)勉強会の実施 26年度砧地区で福祉的環境の整備・支援策を実施するため、平成26年3月18日に、勉強会を開催し、モデル事業のイメージや課題共有、関係部署、関係機関の役割の確認や新規事業の意見交換を行った。 @参加者 保健福祉部(計画調整課、生活福祉担当課)、高齢福祉部(高齢福祉課、介護予防・地域支援課)、砧総合支所(副支所長、地域振興課、生活支援課、保健福祉課、健康づくり課、砧まちづくりセンター)、砧あんしんすこやかセンター、砧地域社会福祉協議会事務所 30名 A検討内容 (ア)あんしんすこやかセンターの事業を充実するための支援の強化 ・関係部署や関係機関の業務内容や役割の紹介 ・あんしんすこやかセンターの業務説明 (イ)社会福祉協議会事業への支援とモデル事業の課題の共有 ・地域社会福祉協議会事務所の業務説明 (ウ)モデル事業の内容の説明 (エ)意見交換 ・事業実施にかかる現状と課題について ・事業実施に必要と思われるバックアップ体制について ・モデル事業の検討体制、スケジュールについて B課題 (ア)既にあんしんすこやかセンターで把握している65歳未満の対象者に対して、今後対象を拡充して対応するために、それぞれの制度やサービス内容などを知る必要があること (イ)関係所管のモデル事業に対するイメージが一致しておらず、事業内容の共通理解と協力体制が必要であること これらのことから、あんしんすこやかセンターが担う相談の範囲や事業スキームが必要であり、相談を行う上でマニュアル作成や研修の必要性が出された。さらに、総合支所が担う相談のつなぎ先についても検討が必要となった。 (9)先進自治体への視察 @視察先 千葉県庁、市川地区中核地域支援センター A目的 千葉県では平成16年10月から、県内13箇所に地域生活支援センターを設置し、子ども・障害者・高齢者等の対象者横断的な展開を24時間365日体制で、先駆的取組みである「地域総合コーディネート事業」「相談事業」「権利擁護事業」の3本柱で取り組んでいた。「砧地区モデル事業」への取組みを進めるにあたり、当モデル事業の相談体制づくりに活用できると考え、中核地域生活支援センターを管理している千葉県庁と市川地区中核地域支援センターに視察を実施した。 B視察日時 平成26年7月2日(水)9時30分〜17時00分 C視察先 ・千葉県庁(健康福祉部健康福祉指導課地域福祉推進班)千葉県中央区市場町1-1 ・市川地区中核地域支援センター(名称:がじゅまる)市川市大洲1-14-4東洋荘101 D視察参加者数:13名 E視察結果 【千葉県庁】 中核地域支援センター事業の概要は委託事業で内容は、24時間365日体制で実施している。@地域総合コーディネート事業A相談事業B権利擁護事業を実施し、区域は保健福祉センター所管区域13圏域に設置している。設置・運営は法人を要件とし、独立性や公平性を配慮している。 千葉県庁健康福祉指導課にて事業概要の説明の画像があります。 【市川地区中核地域支援センター(名称:がじゅまる)】 「誰もがありのままに、その人らしく地域で暮らすことができる地域社会」の実現をめざし、全国でも例をみない、対象者を限定しない総合相談事業として活動している。その活動の中で貧困と暴力、障害などによって孤立した状態にある人の支援をはじめ、あらゆるニーズに対応している。行政だけでなく社会資源を活用し対応している。 (ア)職員体制:平日6〜8名体制。土曜日は電話対応のみ。日曜日は1名。また、他の制度からの出向等を受け入れている。 (イ)人材育成:初回訪問は2人体制を実施し、職員全体に情報提供と事例からの課題確認をしている。また、所外研修等に参加し職員の育成をしている。 (ウ)各機関との連携:高齢者・児童・障害者等の関係機関及び医療機関、保健所、警察署と連携できる連絡調整会議を設置している。 Fまとめ 視察先では、マニュアル作成や研修は、委託された法人が実施していた。相談件数は、全体で1年間に8〜9万件、そのうち約7割が何らかの精神疾患がある方からの相談であった。事例を通して医療とのネットワークや関係機関との役割分担の考え方などが参考になった。砧地区モデル事業は、あんしんすこやかセンターに高齢者以外の相談を拡充するにあたって、対応の的確性や平準化の観点から、相談に必要なマニュアル作成と事例から課題抽出に必要なアセスメント力をつける研修を行うことや関係機関と連携できるバックアップ体制の構築も必要であると考えた。 千葉県中核地域生活支援センター活動白書(抜粋)の画像があります。 (10)相談支援マニュアルの作成 今回のモデル事業では、従来、あんしんすこやかセンターが相談対象としていた高齢者に加え、障害者や子育て家庭、若者、生活困窮者等にも支援を拡大する。以前より、あんしんすこやかセンター職員は、スキルアップ会議(月1回実施するあんしんすこやかセンターの職員研修)等で相談対応の基礎・応用研修を行ってきており、傾聴や真のニーズ把握のスキルアップを図ってきたところであるが、今回のモデル事業では、相談対象拡充部分の区民対応を円滑に進めるための相談支援マニュアルについて作成することとした。 @基本的な考え方 障害者対応では、あんしんすこやかセンター職員が必要に応じて、相談者や対象者への訪問や出張相談などを行うとともに、困難事例等では、関係所管の区職員も同行訪問するなど、あんしんすこやかセンターへの支援を拡充する。一方で、生活困窮者や子ども虐待等の相談については、当事者のプライバシーへの配慮と併せ、早期の専門的対応に委ねるため速やかに所管課に引き継ぐものとした。 A相談対応のスキーム あんしんすこやかセンターが相談や緊急対応時に使用できるためのマニュアルの作成を行うにあたり、以下のとおり相談範囲や対応に必要なスキルを検討・共有してすすめた。 相談対応スキーム(生活支援課)の表があります。 相談対応スキーム(保健福祉課)の表があります。 相談対応スキーム(健康づくり課)の表があります。 B構成・内容・分担 生活支援課、保健福祉課、健康づくり課ごとに作成を担当し、対応例や問合わせ先、関連情報のほかに関連資料(パンフレットやチラシ等)をこれまでの高齢者分野に加えてブックフォルダに収め、あんしんすこやかセンターに配備した。 【相談支援マニュアル】 ・子ども編(健康づくり課・子ども家庭支援センター) ・障害編(保健福祉課障害支援) ・生活困窮編(生活支援課生活支援) 【緊急・虐待対応マニュアル】 ・子ども編(子ども家庭支援センター) ・障害編(保健福祉課障害支援) C相談支援マニュアルの改訂について ・作成したマニュアルは実施後の検証を経て、必要に応じ改訂する。 ・制度変更等で内容に変更がある場合は、右肩の作成日付を変更し、順次、改定できるよう工夫した。 (11)研修 新たに相談対応が必要となる母子、子育て、障害者および生活困窮者の各種制度、事業説明および相談対応を中心に研修を行った。なお、マニュアル研修および障害者研修については、砧管内の全あんしんすこやかセンターの職員を対象に実施した。(表3研修日程と結果)また、下記の関係機関とのネットワーク会議の出席や各種講演会への参加を通して、地域の人材や社会資源の理解の促進及び相談対応技術の向上を図った。 @主な研修 (ア)マニュアル研修 生活支援課(生活困窮、生活保護、子ども家庭支援センター)、健康づくり課の事業・各種制度や相談対応に関するマニュアルの説明 (イ)障害者研修(障害支援センターとの合同研修 (事務局:障害施策推進課) 障害基礎研修・ケアマネジメント研修・障害者虐待対応およびサービス、制度説明のマニュアル研修 (ウ)見学体験研修 母親両親学級・乳児健診前グループなど母子保健事業の見学 (エ)地域の関係機関等の連携会議への参加 ・要保護児童連絡協議会 ・自立支援協議会 ・砧地域子育てネットワーク拡大会議 ・砧地域精神障害者ネットワーク(砧ネット) (オ)その他、講演会・勉強会への参加 ・精神講演会(統合失調症、うつ病、成年後見制度について) ・困難事例検討会(アルコール問題の介入と見守りについて) A研修カリキュラムの改善 (ア)今後の課題、必要と思われる研修について ・個別ケースの関係各機関へのつなぎ方についての研修 ・生活困窮、精神障害者など具体的な事例をもとにした研修 ・各課の研修のレベル調整が必要 ・精神症状の理解と対応力等 スキルアップ研修 ・研修の評価方法について など (イ)研修結果を踏まえた改善点について 平成26年7月から実施した研修結果を踏まえて、平成27年度新たに実施する地区のあんしんすこやかセンター職員が相談支援に的確に対応していくための研修等を実施する必要がある。また、関係所管の職員を対象とした研修も必要ではないかという意見もあった。 B地域包括ケアシステムの構築に向けた学習会 日時 平成27年2月5日(木)18時〜21時 会場 成城ホール  講演「地域自立生活におけるコミュニティソーシャルワークの必要性について」 講師:大橋 謙策 氏(世田谷区地域保健福祉審議会会長) 報告「地域包括ケアの地区展開・砧地区モデル事業の取組みについて」 グループ討議 意見交換 地域保健福祉審議会大橋謙策会長による 研修日程と結果の表があります。 参加者の内訳:今後の拡大を踏まえ、砧あんしんすこやかセンターのほか4つのあんしんすこやかセンター、砧地域障害者相談支援センターの参加を呼びかけた。       Cあんしんすこやかセンターの法人内研修 業務理解および相談業務能力の確保のため所内で実施したこと (ア)要員の適格性管理手順の整備 職員にどのような知識が必要か明確にして、それを管理できるようにした。 方法 @チェックシート、ファイル作成 区が作成したマニュアル(@高齢者A障害者支援B生活困窮・子育て家庭C母子保健・精神保健・難病・健康づくり)に基づき、分野別にチェックシートを作成。各職員ごとにチェックシートをまとめたファイルを所持。 A各自、チェックシートを活用し確認。不明な点があれば、他職員へ確認。 チェックシートの画像があります。 (イ)所内研修の実施 外部研修に参加できなかった職員への情報共有および所内共通理解を図るため、内部研修を実施。窓口業務終了後30分程度、2回開催。主な内容はマニュアル研修および制度説明。この他に、研修資料と復命書を所内回覧した。 (ウ)関連施設への見学 方法 @施設見学記録用紙を作成 <項目> ・種別・名称・住所・連絡先 ・対象年齢・対象 ・受入要件 ・利用手続き ・利用までにかかる期間 ・待機状況 ・定員 ・サービス内容・費用 ・特記事項(特徴・情報提供時の注意点等) A見学時に必要箇所を聞き取り B見学者が記載し、所内回覧 C分野別にファイリング <見学先> 子ども分野 ○両親学級 ○ベビーサロン ○山野児童館(0・1ひろば) ○ぽんぽこサロン 障害分野 ○世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」 その他 ○グリーフサポートせたがや 施設見学記録用紙の画像があります。 D社会福祉協議会の法人内研修 社会福祉協議会職員としての基礎知識と、専門的資質の向上を図るため研修を実施した。 (ア)本部研修 地域福祉コーディネーターとしての、専門的資質の向上を目指すことを目的とした。  目標 @社会福祉協議会の歴史や実践理論を知る A地域福祉コーディネーターの機能を理解する 研修一覧の表があります。 (イ)所内学習会の実施 砧地区社会福祉協議会として、地域包括ケアシステムの実現に向け、地域住民運営型のサービスが充実され、地域での支えあい体制の推進を図られるよう、スーパーバイザーの支援により所内学習会を6回開催。主な内容は、課題やニーズの把握分析、地域資源の創出・発掘などの実施方法について。 所内学習会一覧の表があります。 (ウ)視察研修 他自治体(豊中市→組織支援、寝屋川市→独自事業の展開他)の先進的な実践取組みを学び、世田谷区における社会福祉協議会の地区展開や人材育成等に生かすことを目的に実施した。 日程 平成26年11月11日(火)〜12日(水) 各地域職員1名 計5名参加 場所 大阪府 豊中市社会福祉協議会、寝屋川市社会福祉協議会 内容 コミュニティソーシャルワーカーの実務、チームアプローチ等 視察報告 豊中市社会福祉協議会では、住民が抱える個別課題に直接的に援助するコミュニティソーシャルワーク実践の取り組みを行っている。いわゆるごみ屋敷問題や路上生活者、引きこもりなど、対象としている個別課題は多岐にわたっているが、課題の内容に応じて概ね中学校区を単位として設置されている校区福祉委員会委員などの地域住民とともに解決にあたっている。対応にあたっては、20種類におよぶプロジェクト(福祉ごみ処理プロジェクト等)が設置されており、それぞれ課題解決に向けて取り組んでいる。 寝屋川市社会福祉協議会では、12圏域に設置されている地域包括支援センターのうち、2か所を社会福祉協議会が受託運営している。この強みを生かして、高齢者を中心とした個別課題を吸い上げ社会福祉協議会職員がコミュニティソーシャルワーカーとして個別課題に対応している。また、豊中市社会福祉協議会と同じく、校区福祉委員会が設置され、地域住民とともにさまざまな活動に取り組んでいる。豊中市社会福祉協議会及び寝屋川市社会福祉協議会は、個別支援にも取り組んでいるが、その基盤となっているものは、長年にわたる地域支援の取り組みである。地域支援と個別支援が車の両輪として機能している。 この点、両市とは地域性・住民性等与条件が異なることからそのまま援用することは出来ないものの、世田谷区社会福祉協議会としては、あんしんすこやかセンターとの連携を踏まえながら地域支援の取り組みを強化し、世田谷型の個別支援と地域支援の取り組みに関する連携の仕組みを確立していくことが重要であるとの見解を得たとともに、今後の世田谷区社会福祉協議会の実践に活用していくものである。 (12)地区への周知の取組み 平成26年1月 町会・自治会長会議にて事業説明 平成26年9月 合同地区包括ケア会議、各町会・自治会長会議、民生・児童委員会正副会長協議会にて事業説明 平成26年10月 区のおしらせ地域版(25日号) 同 月 砧地区社協だより (13)総合支所の取組み(バックアップ) あんしんすこやかセンターだけでは解決できない相談を引き継ぐ先やその方法、またあんしんすこやかセンターへの生活支援課(子ども家庭支援センター)、健康づくり課(保健相談係)による巡回指導を行うかどうかの検討を行った。その結果、あんしんすこやかセンターへの巡回指導は、従来どおり保健福祉課が月1回巡回指導する他、つなぐ事例は、10月以降保健福祉3課とあんしんすこやかセンターによるコア会議に諮り、役割分担やアプローチ方法の検討を行うことにした。また、あんしんすこやかセンターの実績については、匿名の相談や問い合わせ等も取るが、対象者が明確で関係機関につなぐ必要がある事例については、相談受付記録票を作成し、保健福祉課地域支援担当に送付することにした。 【保健福祉3課による事例の相談や引き継ぎ、対応についての助言・協力】 10月からの相談開始に伴い、複合的問題ケースについては、相談受付記録票(表4)を用いて、相談内容を引継ぐことにした。保健福祉課地域支援担当が中心となり、保健福祉3課のコア会議で月1回定期的に情報共有や課題整理、役割分担を検討した。また必要時、関係機関を集めたケースカンファレンスも開催した。(下表参照) 相談受付記録票の流れの表があります。 相談受付記録票の画像があります。 地区の課題を把握し、解決するためのまちづくりセンターとの連携として本モデル事業の開始に向け、4月より毎月開催する地区アセスメントミーティングに保健福祉3課職員も参加し、地区の課題の把握とまちづくりセンター、社会福祉協議会との情報交換に努めた。(資料編:3.地区アセスメントミーティング検討資料参照) 第3部 砧地区モデル事業の実施状況と課題 1.モデル事業を進めるにあたっての3つの視点 地域包括ケアの地区展開のモデル事業を進めるにあたっては、以下の3つの視点で取組みや課題の整理、今後の方向性等の整理を行う。 @身近な福祉相談の充実 区民に身近な地区で、福祉の困りごと相談を行い、区民の身近な相談の聞き取り、受け止め、整理、適切な担当組織・専門機関等への案内を行い、適切な支援に結びつける。 A地域の人材や社会資源の開発・協働 地区における福祉的な課題を把握・共有し、その解決を目指してまちづくりセンターを活動の拠点として地区に顔の見える関係を築き、住民主体の福祉活動の調整や創出を支援する。 B三者の連携体制の構築と運営 三者が持つ地域づくりのノウハウ、地域の人材や社会資源を共有して、区民の身近な福祉相談に対応し、地区で顕在化するさまざまな課題の解決を図る。 2.身近な福祉相談の充実にかかる取組み (1)まちづくりセンター @モデル事業の周知と、定着のための取組み 砧地区では、モデル事業を地域に定着させる取組みとして、町会・自治会をはじめとした地区内活動団体への説明報告や情報共有、地域の方々には三者一体となってのPR活動や三者がそれぞれのルートを使った広報活動を行ってきた。地区内活動団体への説明については、準備段階から町会自治会や地区活動団体情報連絡会をはじめ地区内活動団体の会議の場を利用させていただき、地域包括ケアの概要やモデル事業で取り組む内容、進捗状況、モデル事業開始後においても事業の取組み状況や事例紹介等の報告を行い、地区内活動団体との情報共有に努めてきた。 *町会・自治会長会議での事業説明 平成26年2月 地域福祉課(現 生活福祉担当課)からの事業の情報提供 7月 砧総合支所保健福祉課から事業準備状況の情報提供 随時 まちづくりセンター所長から事業の進捗状況の報告 平成27年1月 単位町会・自治会新年会等での事業概要報告 *地区活動団体情報連絡会での事業説明 平成26年3月 地域福祉課(現 生活福祉担当課)等から事業の情報提供 9月 見守り部会に支所保健福祉課、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会から事業説明と協力依頼 11月 砧地区活動団体連絡会研修会にまちづくりセンター所長から事業概要と進捗状況の報告 *各種活動団体会議での情報提供 ・身近なまちづくり推進協議会、日赤、婦人団体、青少年地区委員等活動団体会議にて随時まちづくりセンター所長から情報提供 *民生児童委員協議会定例会への常時参加 ・モデル事業開始時期から、三者が月1回の定例会に常時参加し、情報の共有と相談事例等情報提供 こうした取組みをとおして、平成27年3月には、単位町会より町会研修会に地域包括ケアについて題材に取り上げていただき、三者連携しての説明機会をいただくなどの取組みも生まれてきている。また、地域へのPR活動では、区の広報紙の一面や区のホームページ、テレビ・ラジオ番組を使っての周知をはかるとともに、地区においては三者連携して作成したPR用チラシの町会自治会への回覧の依頼やミニコミ誌でのPR、各種団体への情報提供とチラシ配布の依頼、イベント等での周知活動を行ってきた。 事業開始から7か月が経ち、相談件数が飛躍的に伸びている状況ではないが、地域に潜在していた困りごとが見えてきたり、三者連携の取組みが利用者の満足につながったりと、徐々にではあるがモデル事業の実施効果が実感できるケースも出始めている。 今後の事業推進に当たっては、町会・自治会未加入者やPRがなかなか届かない方々への対応等「地域の隅々まで事業を知っていただく」ための継続的な取組みが必要であると考えている。さらに、本モデル事業が地域の協力を得て推進されるよう、その仕組みを構築していくことが必要であり、併せて本モデル事業を契機に、地域の見守り活動が地域に根付いていくよう積極的に関わっていくことが地域包括ケアの大きな課題でもある。 A砧まちづくりセンター相談内容の変化について モデル事業開始に当たり、従来、まちづくりセンターで集計していた窓口対応件数の変化を分析することにした。今年度の窓口業務に関する相談件数は以下のとおり。 相談件数の表があります。 相談件数を平成24年から半年ごとで比較したところ、まちづくりセンターに持ち込まれる総相談件数は、平成25年度はまちづくりセンターの改築工事(平成25年9月から平成26年3月まで)に関する相談が多かったため増加しているが、平成26年度は減少している。また、あんしんすこやかセンターが高齢者の相談窓口として周知されてきたため、今までまちづくりセンターに持ち込まれていた福祉・高齢者に関する相談は減少傾向にあったが、平成26年3月にあんしんすこやかセンターと一体化し、さらにモデル事業を実施したことで、増加した。また、地区の困りごとである日常の相談(放置自転車、ごみ、鳥、猫、犬等)も増加している。個別の比較は以下のとおりである。 時期別相談件数の表があります。 (2)あんしんすこやかセンター @あんしんすこやかセンターの相談実績について (ア)相談実績の分析の考え方 このモデル事業において、実際に寄せられた相談内容を把握し、対象者のニーズに見合ったより一層効果的な対応やサービス提供を行う必要がある。今後も相談支援体制を充実していくために、高齢者以外の妊婦・子どもや障害者なども含めた身近な福祉相談窓口として、どのような相談が多いのか、またそれぞれ相談対象者や相談内容によって効果的なアプローチができたかなど、相談支援の強化のための取組みについて考察する。 (イ)相談実績 平成26年度に行った区民意識調査において、区政の取組みについて知っているか、またどのように評価するかを聞いたところ「よく知っている」と「少し知っている」を合わせた《知っている》が最も高いのが「あんしんすこやかセンター機能の充実」(38.9%)で、「よい取組みだと思う」との回答も79.5%と最も高かった。このように、あんしんすこやかセンターは区民に認知されてきており、高齢者の身近な相談窓口として定着してきた。平成26年10月から平成27年3月までの6ヶ月の実施期間で、モデル事業対象の相談件数は、実数63件、延数158件で、あんしんすこやかセンターがそれまで対応した高齢者に関する延相談件数(3,354件)のうちの約5%であった。その中で、高齢者と同居する20〜65歳未満の子の「ひきこもり等のこころの相談」や「精神疾患」が全体の約4割を占めている。これらの相談は、1回で終結するものではなく、対象者との信頼関係を作りながら、必要な場合に支援できるよう、見守りが必要な事例が多い。あんしんすこやかセンター職員は、家族全体の相談に乗れる身近な機関として期待されており、今後はますます、疾患や家族関係等についての専門的知識や対応のスキルを身につける必要がある。 1.相談件数 モデル事業対象相談件数 実数63、延数158 上記のモデル事業対象相談は、子育て家庭・若者、障害者のほか、高齢者においても難病や生活困窮などの相談があった場合には相談対象とした。あんしんすこやかセンターが受けた高齢者を含めたすべての相談(延相談件数:3,354件)のうち、今回のモデル事業対象相談は延158件で全体の約5%にあたる。 2.相談対応方法(延数) 電話82、来所33、訪問32、その他11、合計158  相談対応方法では、「電話」が82件(52%)と最も多く、続いて「来所」が33件(21%)、「訪問」が32件(20%)の順となっている。 3.対象者との続柄・関係  実数 本人27、家族(親戚)19、あんしんすこやかセンター2、まちづくりセンター0、社会福祉協議会0、関係機関(※1)7、関係機関(※2)2、関係機関(※3)0、その他(※4)6、合計63 延数 本人62、家族(親戚)40、あんしんすこやかセンター21、まちづくりセンター0、社会福祉協議会0、関係機関(※1)14、関係機関(※2)8、関係機関(※3)1、その他(※4)12、合計158 関係機関(※1):ケアマネ・介護保険関係事業者 関係機関(※2):医療関係(医師、病院の医療ソーシャルワーカーなど) 関係機関(※3):民生委員・児童委員 その他(※4):近隣住民、総合支所保健福祉3課職員、ケースカンファレンス 相談者は、対象者である「本人」からの相談が27人(43%)と最も多く、次いで「家族」からの相談で19人(30%)、「関係機関・ケアマネージャー」からの相談が7人(11%)の順で多かった。病院の医療ソーシャルワーカーや近隣からの相談も入っていた。一方、「あんしんすこやかセンター」自身が相談者となっている実数2人、延数21人は、あんしんすこやかセンターが日頃の活動の中で気になる人に積極的に働きかけを行い、相談にあげた事例である。 4.対象者の年齢  実数0〜19歳1、20〜39歳7、40〜64歳27、65歳以上15、不明13、合計63 延数0〜19歳2、20〜39歳17、40〜64歳96、65歳以上30、不明13、合計158 対象者とは、相談してきた人ではなく、誰に関しての相談なのかを集計したものである。対象者の相談実数63人の「年齢」をみると、「40〜64歳」が27人(43%)で最も多く、続いて「65歳以上」が15人(24%)であり、匿名による年齢の「不明」を除くと「20〜39歳」が7人(11%)と3番目に多かった。 5.対象者の属性(実数) 相談件数(実数)63、母子(子育て家庭、妊娠届含む)12(※5妊娠届4)、身体・知的障害12(※3)、精神障害15(※1)、こころの相談(ひきこもり、生きづらさ含む)10(※2)、難病(疾病ほか)3、生活困窮6、その他5(※4) ※1:精神疾患の診断あり(通院・治療の有無は問わず。統合失調症、鬱、躁鬱病、依存症、発達障害、高次脳機能障害など)⇒実数15の内訳:精神(10)依存症(2)高次脳機能障害(3) ※2:上記※1以外のものでパーソナリティ障害も含む ※3:内訳身体(11)、知的(1) ※4:住まいや老後の生活設計等 ※5:妊娠届受理者のうち相談希望があった管内の人数 相談の対象者の属性の内訳では、総相談実数63人中、「精神」が15人(24%)と最も多く、2番目には「障害(身体・知的)」と「母子」がそれぞれ12人(19%)、その次は「こころの相談」が10人(16%)であった。「精神」と「こころの相談」を合わせると全体の40%を占めることから、精神保健への対応が必要である。 6.相談結果(実数)  @対応当月の結果について(実数) あんしんすこやかセンター単独終結40、あんしんすこやかセンター単独継続中14、関係機関へつなぎ(終了)4、関係機関へつなぎ(継続中)、合計63 相談実数63人について、あんしんすこやかセンターが相談対応した当月での判断によるものである。その内訳は、40人(64%)が対応終結、14人(22%)が単独で継続支援、4人(6%)は関係機関につなぎ終了、5人(8%)は関係機関につなぎつつもあんしんすこやかセンターが引き続き支援している。 Aモニタリングによるその後の相談結果 上記@の結果は、相談対応した当月の結果によるものであるため、モデル事業終了の 平成27年3月31日の時点で、相談対応した事例の結果についてモニタリングを行った。 (実数)あんしんすこやかセンター単独終結40、あんしんすこやかセンター単独継続中、関係機関へつなぎ(終了)6、関係機関へつなぎ(継続中)12、合計63 (H27.3.3現在) 上記@当月対応の結果と比較すると、「あんしんすこやかセンター単独継続中」が減少し、「関係機関へつなぎ(終了)」と「関係機関へつなぎ(継続中)」が増加した。そのつなぎ先は、保健福祉課(1件)、健康づくり課(6件)、生活支援課(6件)、その他(ケアマネジャー、砧地域障害者相談支援センター)(5件)であり、これらは、あんしんすこやかセンターが継続的に関わりながら関係機関へのつなぎを行った結果であると思われる。しかし、複数の問題を抱えている相談や、関係機関につなぐまでに時間を要する相談など、関係機関につなぎつつも引き続きあんしんすこやかセンターも関わりを継続している相談が多い状況である。※相談内容の詳細については、別紙資料編に掲載。 (3)社会福祉協議会 @社会福祉協議会の相談実績について 月別相談件数(延数) 10月、件数50件、一般相談(地域活動等)43(5)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供7 11月、件数29件、一般相談(地域活動等)23(4)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供6 12月、件数11件、一般相談(地域活動等)9(5)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供2 1月、件数14件、一般相談(地域活動等)7(2)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供7 2月、件数26件、一般相談(地域活動等)6(5)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供20 3月、件数25件、一般相談(地域活動等)19(7)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供6 期間計、件数155件、一般相談(地域活動等)107(28)、ふれあいサービス協力会員からの相談・情報提供48 10月・11月は地区社会福祉協議会としてのイベント等の時期的な相談によって相談件数が多かった。砧地区でのモデル事業を三者が連携して実施してきたことにより、身近な地区にある社会福祉協議会として認識が高まった。社会福祉協議会が受けた相談は、社会福祉協議会が提供しているサービスと、サロン・ミニデイ、ボランティアなど地区の住民活動に関するものが多かった。これまでの相談(サロン、子育ての活動紹介等)の他に、一体化の効果として、あんしんすこやかセンター、まちづくりセンターから紹介・連携する相談内容が増加している。(相談例は次ページ参照)地区で受けた相談は、相談受付票に記録し、本人同意の上で関係機関やサービス提供団体に繋いでいる。まちづくりセンターに困りごと相談に来た高齢者が、社会福祉協議会のふれあいサービスに迅速に結びついたなど、三者の機能が集約する地区拠点としての成果が見られた。 相談内容別(延数)高齢者18件、障害者3件、地区社協17件、サロン・ミニデイ47件、ふれあいサービス48件、その他22件、合計155件 社会福祉協議会の相談例 事例1:一体化の利点が発揮できた事例 高齢者:民生委員から、訪問の際、妻を介護している夫の体調が著しく悪いように見受けられたと社会福祉協議会担当者に相談があったため、あんしんすこやかセンターに相談し同行訪問した。その結果、緊急性はないがあんしんすこやかセンターによる定期的な訪問を行うことになった。 事例2:適切な助言と案内ができた事例 障害者:まちづくりセンターに、入院中の子どもの車いすを借りにきた家族から、車いすに関する助成金の相談があった。 障害者手帳取得などの一般的な説明とともに、病院の医療ソーシャルワーカーに相談するよう助言した。 事例3: 社会福祉協議会事業内の調整事例 地区社協:ひとり暮らし高齢者交流会実行委員より、転居した高齢者の転居前地区のひとり暮らし高齢者交流会への参加に関する相談があり、地区社協担当職員から、実行委員に参加可能として連絡した。 事例4・5:社会福祉協議会事業紹介と事業実施の中から関係機関との連携事例 サロン・ミニデイ:サロン・ミニデイの活動紹介多数あり。 ミニディに参加している人の、身体状況の変化が認知症状なのかとの相談があった。一般的な認知症状の説明後、様子にさらに変化があった場合、情報提供を依頼した。また、不参加者の安否情報について、あんしんすこやかセンター等関係機関へ情報提供した。あんしんすこやかセンターと調整し訪問。入院中だったことの確認が取れた。 ふれあいサービス:「夫を介護しており1日が終わってしまう。自身も家の中の掃除ができない」と相談があったため、ふれあいサービスの概要を説明し、協力員を派遣した。また季節柄、大掃除等の相談・依頼が目立った。ふれあいサービス協力員から、訪問先利用者の身体状況(頭痛、食欲不振、弁当残) 等の報告を受け、地区社会  福祉協議会担当職員が本人への確認等行う。 介護保険の利用状況によって、あんしんすこやかセンターや保健福祉課へ情報提供し、対応を依頼した。 事例6:地域資源調査結果の中から紹介した事例 その他:ボランティア保険申請時に、ボランティア活動の相談が多くあることから、可能な限り地区内のボランティア募集中の施設等とのマッチングを行った。一例として、高齢者通所施設から、クリスマス会を計画しており、楽器演奏の行事ボランティアの紹介依頼があり、社会福祉協議会の特技ボランティア(手品、ピアノ演奏等)を紹介した。 3.地域の人材や社会資源の開発、協働にかかる取組み 平成26年度のモデル事業の第二段階として社会資源のネットワーク化(交流会・学習会)の取組みを行った。 (1)メールマガジン配信開始 地域の人材や社会資源の開発を進めるためには、情報の発信にも注力しなければならない。メールアドレスを登録すれば誰でも地区の福祉情報の配信を受けられるメールマガジンを12月から毎週発行している。このメールマガジンはその地区の情報に特化しており、より身近に地区を感じられるように工夫されている。メールマガジンの登録・配信システムの運用準備に時間を要し、実際の配信が12月になったこともあって、年度末現在の登録者数は45人にとどまっている。更なる登録者数の拡大に向け訪問活動時や来所相談でのチラシ配布など普及啓発に努めている。 配信イメージの図があります。 メールマガジンの配信日及び件数、主な内容の表があります。 (2)地域活動団体訪問調査 10月以前から実施している福祉活動団体等への訪問調査を継続して実施した。訪問先からは、地域に活動を知ってもらえない、近隣との関係づくりが難しい、ボランティアなどの活動の協力者が集まらない、団体同士のネットワークができない、町会・自治会との連携を図りたいなど、それぞれの悩みや要望を確認した。年度内に実施した訪問結果について、一覧表にして情報共有した。 地域にはシェアハウスや、そこに集うメンバーの自主グループなどがあることも分かってくるなど、地区担当者が訪問調査して行う社会資源把握は、顔が見えるネットワークを広げていく有効な手段であり、今後も取り組んでいく予定である。平成26年度に社会福祉協議会の砧地区担当者が、地域の人材や社会資源の把握と顔が見える関係づくりのために行った訪問調査の件数は以下のとおりである。 訪問調査件数(平成26年7月〜平成27年3月) 訪問調査対象数 高齢者施設11件、障害者施設8件、保育・学校23件、サロン・ミニデイ42件、NPO等25件、その他※20件、合計129件  訪問調査実施数 高齢者施設11件、障害者施設8件、保育・学校4件、サロン・ミニデイ40件、NPO等11件、その他※10件、合計84件 (3)ワークショップ「何が必要?福祉の土台づくりinきぬた」の開催 地区において様々なサービスが一体的に提供される体制を築くためには、提供団体のネットワークによる連携が必要である。地域の市民団体・NPOなど活動団体に呼びかけて、砧地区の福祉的課題や、活動を行う上での課題を検討し、地域福祉を進めていくために何ができるかを考えるワークショップを開催した。第1回は1月20日に、「健康で安心して暮らしていくための地域活動「ネットワーク」を考えよう」をテーマに、砧まちづくりセンター活動フロアーにて開催した。 ・参加者数21人(14団体)内訳 地域の活動団体の方10人 NPO職員8人 施設職員3人 ワークショップ「何が必要?福祉の土台づくりinきぬた」のチラシ画像があります。 このワークショップで初めて顔を合わせた参加者が名刺交換する様子なども見られ、いろいろな団体の方が参加することによって、地域のネットワークづくりに効果的な試みと評価できる。参加者アンケートには継続開催を望む声が多く寄せられた。地域のネットワークによって課題解決するまちづくりを支援するため、今後もワークショップ方式の継続実施と参加者の拡大を図っていく。 団体の課題と解決について ワークショップで抽出された課題は、調査にて聞き取りした内容(PR、町会との連携、ボランティアの確保、災害時対策等)と概ね一致しており、団体共通の普遍的な事項と考えられる。団体の課題を確認することにより、今後の人材養成やネットワークづくりに生かしていく基点となった。それぞれの団体による運営や活動の工夫が共有されたとともに、課題解決に向けた団体ごとのアプローチの視点等にも共通因子が見い出された。団体同士で繋がることの必要性が再認識された。またそのコーディネートも望まれており、社会福祉協議会の中間支援団体としての機能に期待が寄せられている。区役所、さらには町会・自治会などの住民自治組織が地域課題を解決すべきという意見やその反対意見なども挙げられたが、地域における生活福祉課題を解決していくためには、当該地区の住民による積極的な参画の必要性や、住民活動には自発的・組織的地域活動という視点が必要であること等への理解を進めていく必要がある。地区における住民相互の関係や日常生活における課題解決に向けた合意形成を促しながら、地域活動を自主的に作っていくためにも、活動の効果や課題などの共通認識に基づき解決していくことや、多様な活動団体があることをPRし、積極的な地域参加、活動を作り上げていく必要がある。まちづくりセンター・あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会が一体となった地区では、新たな地域ニーズの把握という視点を意識しながら、地域活動の中でのメリットを発揮することが求められる。更に、今後は身近な地区での活動支援や活動メニューの開発と提示といった取組みが重要である。 4.三者の連携体制の構築と運営にかかる取組み (1)地区アセスメントミーティング(平成26年4月〜9月) 平成26年4月から、砧まちづくりセンター・砧あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会は「地区アセスメントミーティング」を開催してきた。このミーティングでは、今後地域支援を進めていくために砧地区を知ること、地区をアセスメントして地域課題を抽出すること、各機関における地域課題に対する取組みの一助とするための方針・方策を検討すること、さらにはこれらを通じて三者の連携を強化することを目指し、平成26年9月まで開催した。また、10月以降、この会議はまちづくりセンターが中心となって開催する三者の連携会議へと発展し、継続している。 主なメンバー構成 砧まちづくりセンター 砧あんしんすこやかセンター 世田谷区社会福祉協議会砧地域社会福祉協議会事務所 砧総合支所 生活支援課、保健福祉課、健康づくり課 検討内容の表があります。 (2)三者連携会議(平成26年10月〜平成27年3月) 三者の連携会議は、三者が連携・協力し協働することで地域への貢献や地域との連携・協力を育むことを目的に砧まちづくりセンターを中心に、定例的に開催した。 主 催 砧まちづくりセンター 構 成 まちづくりセンター・あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会 構成員 全員参加を基本とする。 開 催 月1回の定例会とする。必要に応じて臨時会を開催する。連携会議の事務調整役としてそれぞれに幹事を選出、幹事会を設置して、議題確認や会議運営等の事前調整を行う。 テーマ ○地区アセスメントミーティングでの積み残し内容の検討 ・アセスメントミーティングでは、主に福祉的視点からの現況把握と課題整理、対応策の検討を行ったが、更にその対象をまちづくりの視点に拡大し引き続き検討する。 ○地区アセスメントミーティングでまとめた方策の具体化 ・地区アセスメントミーティングでまとめられた課題・方策への具体的な事業化(実施計画)の検討と優先的に取り組むべき事業の選定作業を実施する。 ○情報交換 ・国、都、区、地域、地区等、地区まちづくりの向上に繋がる三者各々の情報を交換・共有し、それぞれの取組みに生かしつなげていく。 ・各々の取組みや取組みから得た情報で、三者で共有すべき内容については積極的に情報提供する。 10月以降の内容は以下のとおり 三者連携会議一覧の表があります。 定例会はモデル事業開始の10月から月1回・全員参加を基本に開催されているが、回を重ねるごとに参加職員の意見交換も活発になり相互交流も図られ、様々な形で事業連携の成果に現れてきている。 ○連携会議の成果 ・地域会議等への参加 地域とあんしんすこやかセンターや社会福祉協議会との交流を促すため、地区活動団体情報連絡会や民生・児童委員協議会等の地域会議に積極的に参加している。 ・モデル事業啓発チラシの作成 モデル事業の地域への浸透や啓発を目的に、三者連携によるモデル事業啓発チラシを作成し、町会・自治会への回覧、掲示板への掲示、ホームページへの掲載を行っている。 ・相互研修 連携会議の中での三者各々の事業紹介と学習を基本に、日常業務の事業連携の中で、積極的に実務研修に取り組んでいる。 ・連携意識の高揚 定例会を重ねてきたことで、モデル事業に対する職員の意識と事業推進への連帯意識が高まっている。 ・相互協力の発展 モデル事業への職員の意識の高まりから、三者の事業間連携や新たな三者共催の取組みの検討を開始した。 今後の取組み 現在はモデル事業の推進という目標のもと、三者が一致協力して取組みを進めてきているが、その意識を維持継続していくためにも、三者連携会議で生み出された発想や具体的取組みを形あるものとして推進していかなければならない。また、今後の会議のテーマや進め方については検討が必要である。 (3)砧地区モデル事業の三者による連携相談対応事例 今回のモデル事業に該当する連携事例は9例あり、その内容は以下のとおりである。 連携事例1:事業の相互紹介が効果的にできた事例 イベント等の場で、まちづくりセンター・あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会それぞれの今後の事業予定をPRすることで、来場者により深く周知できた。あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会とも活動フロアーを使用する事業の場合は、同会場だとわかりやすいという利点もある。*チラシを配架するだけよりも対面で案内することでより興味をもっていただきやすい。 連携事例2:地域の関係者との連携が強化された事例 民生委員児童委員協議会に、まちづくりセンター・あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会が出席することとした。会議終了後には毎回2〜3名の民生委員があんしんすこやかセンターのカウンターに相談に立ち寄り、「わざわざ電話するほどのことでもないけれど」との相談や、以前対応した地域の方のその後の様子などを気軽に報告し合えている。また、町会・自治会、社会福祉協議会、民生委員の方々が、まちづくりセンターへ会議で訪れた時に、一度の来所で福祉や生活に関する相談ができるなど利便性の向上になっている。 連携事例3:介護事業者の利点が確認できた事例 あんしんすこやかセンター職員が仲介役として相談者へ説明することにより、保険証再交付や車いす貸出等の手続きや利用がスムーズになる。*あんしんすこやかセンターが間に入ることで、その人にあった必要書類や手続き方法の説明ができる。 連携事例4:認知症等で手続きがスムーズにできない方について、同一フロアであることで来所者の状況が把握でき、必要な支援ができた事例 これまでも何度かまちづくりセンター窓口で説明を受け、不足しているものを取りに一度帰宅しても必要な資料を持参できず、医療証の窓口交付がなかなかできなかった方がいた。ある日、まちづくりセンターに来所した際、あんしんすこやかセンター職員が見守りをしていた方と気づき声をかけ、すぐに本人宅へ訪問し必要書類を一緒に探し、申請・交付へつながった。 連携事例5:相談時にタイムリーにふれあいサービス導入につながった事例 まちづくりセンターへ「暮れの大掃除が大変。手伝ってもらえるところはないか」との困りごとの相談が入った。ふれあいサービスで対応できる内容のため、すぐに社会福祉協議会職員へ引継ぎ、手続き方法等の説明を行った。これまでまちづくりセンターでは、パンフレットのコピーや社会福祉協議会の電話番号を案内する対応をしていたが、その場で詳細を伝えることができた。 連携事例6:福祉サービス以外の困りごと相談にも対応できた事例 夫があんしんすこやかセンターに来所した際に、他界した妻の葬祭費の手続きをしていないことが分かった。その場で区作成のパンフレットで葬祭費の申請を説明した。あんしんすこやかセンター職員の説明時にまちづくりセンター職員も同席することで、互いの事務の理解も進む。 連携事例7:サービス利用にあたり、あんしんすこやかセンターが丁寧な引継ぎをすることで円滑にサービス導入ができた事例 これまであんしんすこやかセンターが見守っていた方が社会福祉協議会のふれあいサービスを利用することになった。本人の了解を得たうえで、同伴し配慮を要する点を申し送ったことで、円滑にサービスが開始できた。 連携事例8:制度のはざまで支援が難しいケースを地域で見守る取組みを試みている事例 ひとり暮らしの身体障害者の女性(50代)。アルコールの問題あり、部屋はものであふれている。これまで何度も生活保護担当者による片付けの支援を断り、日常の見守りの目が入りにくい状態であった。夏に暑さで食事が摂れずふらふらしているところを通行人が発見し、あんしんすこやかセンターに相談が入る。あんしんすこやかセンター職員と社会福祉協議会職員がペアで何度も訪問し、信頼関係を築きながらサービスにつなぐ取組みを、関係機関とも連携して行った。 連携事例9:地域の身近な相談対応をするまちづくりセンターの情報を有効活用できた事例 身体障害者施設へ施設訪問調査にうかがった際、施設職員から「週末の台風の接近に伴う浸水を予測し土嚢などを備えたい」との相談を受けた。社会福祉協議会の職員は、まちづくりセンターの土嚢ステーションを紹介しようとまちづくりセンターに確認したところ、土木管理事務所の方が施設に近いとアドバイスがあり、即時に対応することができた。 (4)実施担当者の感想 砧まちづくりセンター 砧地区において本モデル事業が行われることが決まった当初は、砧まちづくりセンター職員一同少なからずプレッシャーを感じていたが、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会と協力し合い、モデルとして一定の役割を果たすことができたと感じている。モデル事業実施前からイベント協力等であんしんすこやかセンター、社会福祉協議会との“顔の見える関係”を積み重ねてきたことが、スムーズに連携できた一つの要因として挙げられるだろう。本事業において、砧まちづくりセンターは三者が地域に根付き地域住民をサポートしていく上でのコーディネーターの役割を担っている。三者が一体化したことに伴い、まちづくりセンターの窓口では必要に応じてあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会へご案内する業務が加わった。来所者が一度に複数の用件を済ませることができた等、連携ケースが実際に出てきている。また、全員参加で臨んだ月1回の定例連携会議も本事業中における大きな取組みの一つである。この会議では相談状況の情報交換やグループワークを通して、地区における情報の共有や課題の整理、対応策の検討を行っている。全員参加を基本とする会議であるため職員個人レベルでのコミュニケーションも図られ、モデル事業実施前よりさらに強固な協力体制を確立できたと考えている。今後は、アンケート実施等によるニーズの把握や本事業の効果の検証を行うとともに、事業の更なる推進にあたってのまちづくりセンター職員の役割やそれに伴う福祉の知識の必要性をどう捉えたらいいのか整理しなければならない。また、広報についても砧地区住民の隅々まで本事業の情報は行き渡っていないように思われる。より多くの住民に周知できるよう効果的な広報を行うとともに、より多くの住民がまちづくりセンターを頼りにいらした時それに応えられるような体制を整えていかなければならない。地域住民へのより良いサービスのためには、前述の課題を解決するとともに三者間の垣根を越える姿勢が必要であると感じている。他地区への事業展開に向けて、砧地区は窓口での連携、連携会議等を通じて垣根を越えた例として一定の成果、方向性を示すことができたといえる。 砧あんしんすこやかセンター 今回のモデル事業において、所内の変化としては、家族全体を捉える視点が持てるようになってきたと感じています。今までは高齢者のみを相談者と捉え、高齢者を中心に相談支援を行ってきましたが、子ども世代までの相談にも応じることにより、必然的に家族全体の方向性や幸せを考えられるようになってきました。また、子ども世代の相談まで受けることにより複合的な相談が増え、所内のチームワークとともに福祉三課との連携も生じ、協働関係もより強くなったと実感しています。実際のケースを通じて健康づくり課や生活支援課と情報交換などやり取りをする場面が多くなりました。その中でお互いの状況や立場の理解ができ、連携する糸口が少しずつ見えてきたように思います。その中でも今回、モデル事業ということもあり、保健福祉課が個別ケースの窓口になっていただいたことはとても有難いことでした。区との連携をスムーズに行うためにも一旦引き受けてくれる受け皿があったことは、あんしんすこやかセンターにとってはとても安心してつなぐことができ、その後のフォロー状況も確認しやすいと感じました。今後の事業拡大の上でも、このような窓口の有無が区とあんしんすこやかセンターの連携力に差を生み出すものと考えます。砧まちづくりセンターと砧地域社協事務所との連携においても同一フロアということもあり、お互いの状況を見ながら相談ケースをつなぐことができていると思います。それには、地区アセスメントミーティングや定例連携会議の全員参加により、お互いの役割や視点の違いを把握していることがかなり役立っていると感じています。今後の課題としては、まだ知識に乏しく表面的な相談対応で終わっているため、各分野の知識や対応の理解、アセスメント能力を高めていくことだと思います。個別ケースの福祉三課、関係機関との連携の仕方もまだこれから構築していく過程にあると感じています。既存の制度やサービスで対応できない事例に対してどのように支援していくのかもまだ答えの出ない状態ですが、個別ケースを積み重ねながら少しずつ関連機関と協議をしていくとともに地域資源の開発も進めていくことで制度の狭間のケースも支援できる環境が整っていくように感じています。最後に子ども関連についてですが、研修を受け、職員としては勉強になりましたが、子育て家庭についての事例があまりなく、感想や課題というまでに至っていない状況も合わせて付記したいと思います。 砧地域社会福祉協議会事務所 毎日、砧まちづくりセンター内の席に座っていると、開始前に思った以上に地域の方々の顔が見え、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンターにお越しいただいたついでに、私達社協職員にも話しかけていただき、気軽に話すことができる関係ができてきていることを実感している。昨年4月から9月まで、これまで行ってきた社協地区担当職員の業務(地区社協やサロン・ミニデイの活動支援、ふれあいサービス事業のコーディネート)に加え、今まで培ってきたコミュニティーワークのノウハウを生かして、砧地区内の施設や活動団体などの社会資源の情報把握など、「地域資源開発事業」の具体化に向けて、準備を進めてきた。地区内の活動団体等を調査して回り、顔を見ながら話を伺うことにより、お互いに何か新しいことができるかもしれないという期待が生まれてきた。社協の地区担当職員がまちづくりセンターに常駐し、様々な相談に対応する旨を説明すると、「困ったことがあったら、いつでも相談できるのね」と言われることが多かった。今までも、砧まちづくりセンターから程近い砧総合支所内の事務所で活動上の困ったことなどの相談を受け、対応をしてきたが、自分の住んでいる又は活動している地区内に社協の担当職員がいて、いつでも相談ができるということは、住民の安心につながると実感している。また、「ワークショップ」を開催し、集うことによって、連携を作っていくことができるという確信と今後も団体間の交流の場を持って欲しいという要望があるなど、社協の役割を認識することも出来た。ふれあいサービスなど日常生活支援に直結するケースや狭間の問題などを迅速に把握できるようになったこと、社協地域福祉推進員の方々と顔を合わせる機会が増え、相談しやすくなったこと、また、あんしんすこやかセンターの案件の多さと対応の早さ、まちづくりセンターのまちの中での公的な立場での仕事ぶりを目の当たりにし、その中で、まちづくりの一翼が担えることは、社協職員にとって幸せだと思っている。何らかの困りごと相談を受けた時に、直接出向いてお話を伺ったり、直ぐに対応等に繋げる話ができるパートナーが身近にいることで、相談に迅速に対応し、地域からの期待に応えていきたいと考えている。 5.支所の取組み (1)相談支援・支援の流れと事例 @バックアップ体制 あんしんすこやかセンターでの相談を支所で受け止め、支援に結びつけるための事務の流れについて試行・実施した。あんしんすこやかセンターの受けた相談のうち、モデル事業の対象となるケースについて相談受付記録票を作成し、保健福祉課地域支援担当に引き継いだ。支所内では、引き継いだ内容に応じ、生活支援課、健康づくり課が関わり、その後の対応を協議し必要な支援を行った。今回のモデル事業では引継ぎ数26件であり、今後のモデル事業の拡大などを通じて、引き継ぎと対応の事例を積み重ねてマニュアルとして整備していく必要がある。以下、代表的な3事例を記載する。なお、事例については個人が特定できないよう改変している。 事例1:病状不安定な息子への対応ができない高齢両親の安全確保に対応した事例 精神疾患の30代の男性。就労問題や金銭要求等をきっかけに両親へ暴言・暴力が生じていた。母はあんしんすこやかセンターに相談していた。一方、息子は地域障害者相談支援センターに継続して相談していた。母と息子がそれぞれの関係機関へ相談するため関係者側はその時々の対応に追われ、情報の混乱が生じ始めていた。関係機関を招集し、ケースカンファレンスを開催。解決に向けて課題整理、対応方針の共有、役割分担の明確化を行う。その後、両親は介護施設に入所。息子はひとり暮らしの状態となり地域障害者相談支援センターの相談員らと見守りを継続している。 事例2:生活困窮を訴えるが保護申請に至らない高齢の親と息子への見守り事例 慢性疾患・透析の40代の男性。母親のケアマネジャーからあんしんすこやかセンターへ「本人と母から生活困窮の相談を受け、生活支援課を紹介しているが未だ相談せず心配である」との相談が入った。生活保護の相談履歴を確認し、生活困窮の緊急性の判断をしたうえで連携しながら対応。未だ生活保護の相談には至っていないが、ケアマネジャーが母親の見守りをする中で、必要時あんしんすこやかセンターの応援ができる体制を設定した。 事例3:ヘルパー利用について意見が分かれる母子の見守り事例 精神的不安がある50代の女性。高齢の母と二人暮らし。母からあんしんすこやかセンターに「娘がヘルパーの利用(障害者総合支援)をできないか?」と相談が入る。母の訪問介護(要支援)の利用は、住居内で共有部分が多いため利用が難しい。一方、娘は自身のヘルパー利用については全く望んでおらず、親亡き後の自立生活への課題が自覚されていない。当初は、健康づくり課は本人(娘)の立場、あんしんすこやかセンターは母の立場の見解となっていたがあんしんすこやかセンターが双方との連絡調整を粘り強く行い、今後の方針について共有しながら対応を進めた。その後「体調が安定したので当面はヘルパーの利用は不要」と母からの回答があり、母の体調の変化を考慮しながら、引き続きあんしんすこやかセンターで見守りを行っている。 バックアップ体制のイメージの図があります。 (2)地域包括ケア総合支所連絡会の設置 @目的・役割 平成26年10月から開始したモデル事業の5地区への拡充及び本格実施に向け、各総合支所の検討や準備作業の状況を共有するとともに、共通課題の整理及び福祉保健領域の所管課との調整など行う場として「地域包括ケア総合支所連絡会」を平成26年12月に立ち上げた。総合支所間の調整として、砧地区モデル事業で作成した相談対応マニュアルや職員研修の共有と今後に向けての検討のほか、各支所間や本庁の関係機関との実施にあたっての調整や確認、保健医療福祉総合計画推進委員会等への総合支所の取組みの報告などを行った。 A構成員 地域包括ケア総合支所連絡会の構成員は、以下のとおり。 構成員の表があります。 日程・検討内容の表があります。 6.その他の実施事業の取組み (1)地域版地域ケア会議の実施に向けて 地域ケア会議の開催を検討したが、すでに高齢、障害、児童の各分野で関係者による会議体が年間計画で活動しており、新たな合議体の設置や全分野合同の会議の開催はモデル事業期間内では困難と判断した。今後の地域ケア会議の実現に向け、関係者への周知や地域ネットワークの拡充を目的として、平成26年度は子ども関係のネットワーク会議である要保護児童支援協議会にあんしんすこやかセンターが参加し連携のきっかけ作りとすると共に、平成27年2月12日に開催した「砧エリア自立支援協議会(障害福祉関係者の会議)」に企画段階から砧あんしんすこやかセンター職員、砧社会福祉協議会職員が参加した。自立支援協議会には医療関係者(医師会推薦の医師)や地域の民生委員にも参加いただいた。今回は「医療ケアの必要な在宅身体障害者の若者の事例の検討」であったため、医師の立場からの意見を参加者は熱心に聴いていた。医師から「現場の声や現状を聞かせてもらい参考になった」との感想をいただき、ネットワーク拡充の意義を再確認した。 <参加者内訳>世田谷区医師会2名、地区民生委員3名、社会福祉協議会3名、あんしんすこやかセンター2名、総合福祉センター2名、相談業務13名、通所施設22名、居宅介護支援事業者2名、児童福祉関係3名、病院関係3名、世田谷区自立支援協議会会長、砧総合支所副支所長、健康づくり課保健師2名、保健福祉課課長以下職員9名 総数72名 <参加者の感想>  障害者と障害福祉をもっと知りたい。現場の声を聞けてよかった。 関係者だけに終わらない、もっと大きく広い連携を目指し、困難なケースも諦めない気持ちが大事。 医師からの助言がありがたい。 前向きで自由な意見が多かった。 現場の意見は重要、介護者の支援も地域と協力して取り組んでいきたい。 今後の砧地域の地域ケア会議の開催について 関係者の人数が多いこと、共通するテーマ設定の難しさ等の課題がある。しかし、今回の参加者の前向きな意見を受け、今後とも各分野の関係者の顔のみえる関係づくりをすすめ、地域ネットワークを基礎に地域ケア会議を開催していく。27年度は、あんしんすこやかセンターが主催する合同地域包括ケア会議(高齢者関係ネットワーク)の会議に、自立支援協議会砧エリア部会の運営委員(障害関係事業者等)が参加するよう企画し、双方のネットワークを知り、地域課題を検討する。 (2)地区版地域ケア会議の実施に向けて 地域ケア会議の地区版としては、あんしんすこやかセンターが主催する事例検討が位置づけられるが、あんしんすこやかセンターでは、従来より、ケアマネージャー支援として、困難事例の検討や情報共有のためのネットワーク会議を実施してきている。今回のモデル事業で、特に相談が多かった高齢者と同居する家族の相談(引きこもりや精神疾患等)では、ケアマネージャー以外の関係機関とも連携する必要があり、あんしんすこやかセンター職員の困難事例への対応力向上が必要である。今後は、高齢者地域ケア連絡会で事例検討の運営を実施する他、保健福祉3課のPTに砧地域全てのあんしんすこやかセンターが複合事例を持ち込める体制とし、事例検討の進め方や対応策、関係機関調整などのスキルアップを図っていく。 (3)モデル事業に関する区民意見について @砧地域タウンミーティング 「高齢者、障害のある方、子ども、若者を地域で見守り支え合う」をテーマにタウンミーティングを行い、支援を必要とするあらゆる方が身近な地域で相談や各種サービスを受けることができる「地域包括ケアシステム」の取組みについて、地域住民と砧総合支所長等との意見交換を行った。 タウンミーティングの概要 日 時 平成26年12月5日(金曜日)午後7時から9時 会 場 成城ホール集会室C・D 参加者 29人 発言者 9人 テーマ ・砧総合支所からの説明(世田谷区における地域包括ケアシステムについて、砧地区モデル事業の取組み) ・砧総合支所との意見交換 意見交換の概要 ※地域包括ケアシステムに関する内容の抜粋 意見・提案 ご近所フォーラムの活動により、地域で顔の見える関係づくりが進むことは、課題解決の大切なツールとなっていくと考える。支援を必要とするあらゆる人が身近な地区で相談ができる地域を目指すという地域包括ケアシステムの目的達成のため、ご近所フォーラムの活動を砧地域だけでなく全地域あげての取組みとしてほしいので、そのための行政の強力なサポートをお願いしたい。地域包括ケアシステムづくりの推進のために、支所の各部署の横のつながりはどのように考えているのか教えてほしい。 回答 ご近所フォーラムの活動の砧地域各地区への浸透は課題であるので、今後も引き続き続け広げていくため、総合支所としても支援していきたい。各地域の事情もあるが、ご近所フォーラムの活動が広がっていくよう引き続き庁内会議等でも発信していく。本所関係各課も含めモデル事業検討会議を行い進捗管理に努めている。また、支所福祉3課で役割分担をし、お互いにバックアップして対応する体制を整えている。福祉の視点も含めた地域全体のあり方の一つの切り口として地域包括ケアシステムを捉え、地区のまちづくりを進めていきたい。 意見・提案 高齢者を周囲の者たち全員で見守る活動が求められており、1人1人の住民が自覚し、自発的に行動することが重要だと思う。そのためには、自治体としては何ができるかをもっと明確にしてほしい 回答 日ごろから地区の中でフェース・ツー・フェースの関係づくりをしていけば、自然と見守りにつながっていく。地区での様々な活動の調整役は行政が担うので、見守りの体制づくりを進めていきたい。 意見・提案 地域包括ケアシステムの地区展開に町会自治会がどうかかわっていったらよいか考えてほしい。地域の絆事業で地域の交流の場としてプチ・カフェの活動を行っているが、実際の活動を行政も見学し、資金面も含め何を困っているのかよく見てほしい。 回答 地域包括ケアの地区展開は町会自治会の力を借りないとできない。このため地区の課題や情報を共有する地区情報連絡会に町会自治会に必ず入っていただいており、一緒に手を携えて進めていきたいと考えている。プチ・カフェについては、一度見学に行って現状と課題を勉強させていただきたい。 意見・提案 高齢者クラブで友愛活動という相互見守りの活動をしているので地域包括ケアシステムの事業の参考にしてほしい。高齢者クラブの数が増えるよう支援をお願いしたい。 回答 元気な高齢者の活動の発信は重要である。日ごろから運動している人は要介護状態になるのが遅れる傾向にあると思う。貴活動が地域のいろいろいな活動の中で、一つの模範として発信できればよいと思うので、情報収集していきたい。高齢者クラブの組織率の向上については、本所所管と連携して何ができるか探りたい。 意見・提案 世田谷区の地域包括ケアシステムの事業の予算措置はどうなっているのか。青森県の事例では、地域ケア会議が行われ、それには予算がついている。区、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者合同の推進体制はこの地域ケア会議に相当するものなのか。 回答 あんしんすこやかセンターの業務の高齢者の部分については介護保険の予算措置がある。子どもや障害のある方の部分については区の一般財源。社会福祉協議会の活動は、区からの補助事業。その他、施設整備等環境整備にも区の経費がかかっている。国の地域ケア会議は高齢者のみであるが、世田谷の場合は子ども、障害のある方と対象を広げている。会議の開き方は検討中であるが、砧地域では既存の会議を活用し、地域の中で住民同士で課題を解決できるよう話し合いの場を設けていきたい。 意見・提案 地域包括ケアシステムの実現に向けて、多様化の中で行政だけではニーズに応えられないのでいろいろなところと連携しなければいけないと思う。行政が把握していないインフォーマルな支援活動について、区は情報をどのように収集し区民に提供していくのか。 回答 モデル事業において子ども、障害者のインフォーマルなサービスや情報の把握は課題であるので、あんしんすこやかセンターが関係者の会議に出席するなど顔の見える関係づくりをしていく。まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者が持つ情報を集積していきたい。また、地区情報連絡会(の構成員)と連携をとりインフォーマルな情報を集めていくところから始める。 意見・提案 地域包括ケアシステムは、縦割りの弊害をなくし、住民に対してよりスムーズなサービスを提供できる体制に持っていくことではないかと思う。医師会や東京都など外部との連携をどのような手順で達成していくのか。退院後の介護サービスを受けるためのノウハウ等、ソフト面の説明が不足している。 回答 地域包括ケアの地区展開は、よりスムーズなサービスを提供していくのが目的の一つであるので、事業の進捗状況を見ながら課題を検証し情報提供していく。退院後の困りごとは、区の相談窓口である「あんしんすこやかセンター」に相談してほしい。支所の相談体制だけを進めても、地域包括ケアシステムの事業は進まないので、区全体で医療連携や高齢者の住まいづくりの計画を進める等、区全体と地区の取組みの二輪で進めていく。 A「砧地域ご近所フォーラム」でのモデル事業紹介 砧地域では、医療・介護・福祉領域から、様々な立場を理解し、顔の見える関係づくりを行うことを目的に、平成22年度から毎年、「砧地域ご近所フォーラム」を実施している。砧地域ご近所フォーラム2015では、「孤独を見守り孤立を防ぐ近所のわ」をテーマに、地域住民、医療従事者、福祉関係者、介護関係者、大学、行政等が地域の取組み発表や意見交換を行った。その中で、あらゆる世代の方々の相談に乗り、支援を行っていく窓口として「地域包括ケアの地区展開 砧地区モデル事業」の紹介をし、情報を発信した。身近な地区の相談場所として、まちづくりセンターや地域障害者相談支援センターなどの活動紹介があり、その後の相談が増加したとの報告もあった。 砧地域ご近所フォーラム2015の概要 日 時 平成27年3月14日(土曜日) 正午12時から午後4時30分 会 場 砧総合支所1階 成城ホール 参加者 320人 内 容 ・取組み発表と意見交換 ・会場内パネル展示 <フォーラム参加者からの意見> ※参加者を対象に実施したアンケートより抜粋 ・砧地域にこれだけ沢山の窓口や社会資源があるとは知らなかった。 ・地域の方のためにこれだけ多くの方々が熱心に取り組んでいることを知り、更に自分が何をすることができるのかを今後考えたい。 ・ご近所フォーラムは少しずつ大きくしていかなければと感じた。活動している方たちのパワーを感じた。 ・警察、消防や医師会、歯科医師会など関連する他分野の方から話を聞けたのが良かった。 ・フォーラムで発表された内容をより多くの区民に伝える方法をぜひ考えてほしい。 ・より多くのご近所の方々、地域の人たちにこのような会に参加してもらい話を聞いてほしい。参加してもらう良い方策を考えてほしい。 B窓口でのアンケート結果について 相談実績だけでなく直接区民の意見を取り入れるため、まちづくりセンターに来所され窓口相談された方にアンケート調査(任意)を実施した。平成26年12月24日から平成27年3月31日までの集計は以下のとおりである。今回、アンケート調査は、砧まちづくりセンターに相談で来所した方に記入を依頼し、集計したものである。※自動交付機利用のみの来所者には、依頼していない。アンケートの結果から、まちづくりセンターに来訪し、アンケートに回答した方のうち、モデル事業を知っていた方の割合は51%であった。今回のモデル事業で「身近なところで相談が出来てよかった」は72.1%、「どこに相談すればよいかわかりやすくなった」41.0%と回答があり、アンケート記入者は概ね満足された様子が窺える。しかしながら、周知が十分とは言えず、今後も区のおしらせやミニコミ誌など様々な媒体を活用し、区民周知を図るとともに、モデル事業の周知・定着に向け、アンケートの内容等を精査し引き継ぐ予定である。 <アンケートの内訳> モデル事業アンケートの回収先 まちづくりセンター21、あんしんすこやかセンター34、社会福祉協議会6、合計61 問1 来訪回数 初めて33、2回目10、3日目以上18 問2 モデル事業の周知度 知っていた@区報18、Aミニコミ1、Bチラシ0、C口コミ8、D記入漏れ4、知らなかった29、無回答1 ・モデル事業を知っていた方の周知方法は、区報が58%、口コミが26%と多かった。 問3 砧まちづくりセンターで福祉の相談および相談先の案内が受けられることについて(複数回答) 身近なところで相談できてよかった44、説明はわかりやすかった21、どこに相談すればよいかわかりやすくなった21、また相談したい15、困ったことが相談できた15、相談する場所は、どこでもよい3 問4 なにか改善点があればお書きください ・高齢者が多い中、亡くなった後の片付けなどスムーズにできたらありがたい。 ・まだ利用・相談したことがないので、改善点はよく分からない。 ・1ヶ所で全ての手続きが行えるのは、時間の限られている人間にとっては、とても有難いことだと思います。しかしながら、エリア区分については多少疑問を感じます。単なる地図上の区分ではなくて、生活圏を考慮してエリア区分をして頂きたいです。例えば、私は砧地域に住んでいますが、買い物などの日常の用事は他の地域で済ませています。一区民の考えとしてお聴き頂けましたら幸いです。 お客様のご意見・ご要望をお聞かせください ・身近なところに相談できる場所があるということはとても心強い。 ・今後とも、サポートを宜しくお願い致します。 ・説明内容がよくわかり、親切に対応してもらえてよかった。 ・今後の介護について聞きたい事があるときは便利。 ・話を聞いていただけただけでも良かったと思った。次のステップに進む為のパンフレットもいただけたので、良かった。 ・次回も、困った時は力をお貸しください。 ・建物がきれいになったが、活発な活動をしている様に思われない。 アンケート用紙の画像があります。 Cあんしんすこやかセンターでの妊娠届出時のアプローチの試行 区では、出張所やまちづくりセンターで妊娠届を受理した際、家庭のサポートの状況や健康状況などを確認するための簡易なアンケートを渡し、妊娠初期での配慮の必要な家庭の把握、出産・子育ての不安や低年齢者の妊娠・出産などハイリスク層を把握し、総合支所健康づくり課保健師の支援に結び付ける仕組みを取り入れている。しかし、アンケートの提出は任意であり、かつ健康づくり課保健師から連絡をとるまでに時間を要するなどの課題が生じており、また母子健康手帳と同時に渡す「母と子の保健バッグ」(以下、「母子保健バッグ」)には、20種類の書類が封入されていることから、中身が十分に理解されず、適切な利用に結びついていない状況も見受けられる。こういった中、区は、平成27年4月からの子ども計画(第2期)で「切れ目のない支援・虐待予防」を重点政策のひとつとして、その施策やサポート体制の検討に着手する予定である。妊娠届出時のアプローチについても、切れ目のない支援の初期段階での保護者との接点の持ち方として検討の対象として位置づけられている。今回のモデル実施では、まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターの一体のメリットを活かし、母子健康手帳の交付時に両者が連携し、母子保健バッグの説明や子育てに関する相談に応え、生活の不安についてはあんしんすこやかセンターで相談、支援の必要な際の健康づくり課への連絡などを行う体制を試行した。砧まちづくりセンターと砧あんしんすこやかセンターは、同一フロアーで窓口が横並びにあるため、妊娠届出から母子保健バッグの説明へスムーズに案内することができた。モデル事業期間中の実績は表5に示しているが、説明希望者は届出者のうち5件、面接の所要時間は5分、健康づくり課等へのつなぎが必要な相談は0件であった。説明希望者のうち地区内の比率は8割であった。なお、あんしんすこやかセンターでは、母子保健バッグの説明に住所の確認を要しないため、地区内/地区外の区分けは、日付をもとに、まちづくりセンターで受け付けた妊娠届から推定した。地区により妊娠届の受理件数が大きく異なることやまちづくりセンターに提出されるのは必ずしも地区内居住者からの妊娠届に限られないこと、あんしんすこやかセンターにおいて母子の台帳を作成管理する効果と負荷など、いくつかの課題があるため、その対応策について今後検討していく必要がある。 実施状況および相談内容の表があります。 7.砧地区モデル事業の効果と課題 モデル事業を開始して半年となる3月の時点で、事業の効果と今後の課題について以下のとおり整理した。 (1)取組みの効果 @身近な福祉相談の充実と区民ニーズへの即時対応の強化 まちづくりセンターにあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会を一体化したことで、身近な場所で相談が受けられる機能が強化された。アンケートの結果からもその効果は見られる(P.69参照)また、相談事例では、三者相互または総合支所との連携により、即時の対応や危機的状況の回避ができた事例(P.61事例1)があった。それまであんしんすこやかセンターへの支援は、総合支所保健福祉課が担当していたが、今回のモデル事業で相談対象を拡充するため、子どもや障害者等の関係所管とも連携・協力して、相談支援マニュアルを作成した。さらに、あんしんすこやかセンターだけでは対応が困難な事例については、引継ぎがスムーズに出来るよう、相談連絡票やバックアップ体制についても強化した。 A地域の人材や社会資源の開発・協働による効果 地域の人材や社会資源の開発を行うためには、地区の状況や活動団体の把握が重要と考え、福祉活動団体等の訪問調査を行った。その結果、得られた情報をまとめ、地区の活動団体と福祉的課題を共有して、解決するためにできることを考えるワークショップを開催した。このワークショップでは今後の人材養成やネットワークづくりに生かしていく基点となったと考えられ、今後も継続実施と参加者の拡大を図っていく B三者連携による効果 モデル事業実施に当たり、地区の現況把握と課題整理、対応策の検討を行うため、あんしんすこやかセンターを中心に、三者の職員全員参加の「アセスメントミーティング」を4月から9月まで行った。地区の現況と特性、強みと課題等を職員全体で把握・共有し、これらの基礎データを事業推進に活用している。また、職員全員で取り組んだことにより、円滑な連携の素となっている。10月からは、まちづくりセンターが中心となって三者職員全員参加で三者連携会議を実施している。その効果として、三者の取組み状況を共有し、抱える課題に対してそれぞれの立場からの意見が出され、アセスメントミーティングで得られた課題の具体的対応、実践の場となっている。環境面でも、三者が一体化された職務環境により、各々の日常業務の中での区民の需要に三者が連携して対応し、区民に満足していただける事例が増え、職務への充実感も向上している。 (2)今後の課題 @相談対応を効果的・効率的に進めるための情報提供のあり方 あんしんすこやかセンターでは、高齢者に関する基本的な情報はあるが、子どもや障害者が対象者の場合は、サービスの受給状況などの情報が無く、相談を受けるためのアセスメントが難しい事例があった。適切なアセスメントが行えるよう、区との情報共有の範囲やそのあり方の検討が必要である。 A職員の相談対応スキル向上とバックアップ体制の強化、三者の共通理解の促進 あんしんすこやかセンターが受けた相談のうち半数以上が20〜65歳未満の成人に関する相談で、そのうち精神疾患のある方や引きこもりの方の相談が約4分の3を占めるなど、専門的な疾患の知識や長期的な対応が必要な事例が多くあった。このことから、相談を受ける職員への研修の充実が必要である。また、相談を受ける職員が抱え込んだり、疲弊したりしないよう、総合支所保健福祉3課では、気軽に困難事例や複合事例の相談が持ち込める体制づくりを行い、バックアップ体制もさらに強化する。今後、まちづくりセンターや社会福祉協議会との連携を行うにあたり、互いの業務内容や役割、事業目的などについて、共通理解を深める必要がある。 Bプライバシー確保と必要な個人情報の共有 あんしんすこやかセンターとまちづくりセンターの窓口カウンターは通路を挟んで並列しており、相談者が他の来所者や職員の存在を気にしている様子も見受けられた。窓口カウンターの仕切りなどプライバシーの確保策も必要と考えられる。また、相談者の意向や相談内容によっては相談場所を変える等の配慮が必要であった。あんしんすこやかセンターの相談室は、まちづくりセンター単体の時にはなかったため、相談室の存在を知らないことが来所の妨げとなる可能性もあり、その存在の周知も必要である。 また相談内容によっては、三者で個人情報を共有しなければならない場合も想定されるため、本人同意の確認等も含め対応策のマニュアル化も必要と考えられる。 C地域の人材・社会資源の開発の充実 三者連携の福祉の取組みに地域の協力は不可欠であり、地域活動団体等の理解を深めていくさらなる取組みの工夫が求められる。地域の人材や社会資源については、調査等による状況の把握と、ワークショップ等による顔合わせが行われ、その端緒についたところである。課題の把握から地域の人材や社会資源の開発につなげるためには、まず、社会福祉協議会職員が地区の団体や住民と顔の見える関係をつくることが重要である。そして課題解決のためには、地区の住民の積極的な住民活動への参画の必要性があることなどへの理解が不可欠であり、活動団体や住民の声を聞きながら、団体や区民とのマッチングや活動の基盤づくりなど、時間をかけて取り組む必要がある。今後は顔の見える関係づくりやネットワークの拡大を進め、コーディネートや新たなサービスの創出等に取り組んでいく必要がある。 D事業周知の徹底 来所者アンケートからも認知率は約5割であり、町会・自治会非加入者等も含め、事業浸透のためにさらなるPRが必要である。 Eアセスメントミーティングや事業から見えてきた課題への対応 アセスメントミーティングから見えてきた課題については、三者連携会議の中で、対応策を事業分担(単体事業、三者連携事業)や実施計画(短期、中期、長期)の分類のもとに検討し、短期計画については条件が整い次第順次取組みを行っている。しかし内容によっては、三者の職務で対応できる範囲を超え、全庁的な調整が必要なものや、活動団体との調整が必要となる事案も想定され、そうした事案にも対応できる各々の体制づくりや、どこも対応できないということが起こらないよう各々が「のりしろ」を広げて対応するなど柔軟な対応も必要になると考えられる。 F統計、分析について 相談等の実績数字の把握については、三者の既存の集計帳票等を基本に行った。 相談内容や傾向等、事業の分析に適した項目の検討を行う必要がある。 第4部 今後の展開に向けて 1.全地区展開に向けた基本的考え方 地域包括ケアシステムを構築し、推進していくために、平成26年10月から実施した砧地区でのモデル事業を、平成27年7月には、出張所を含む4地区(池尻、松沢、用賀、上北沢)を加え5地区で実施する。5地区のモデル事業では、全地区展開を視野において実施状況や課題を整理し、検証を行うこととする。全地区での展開にあたっては、出張所・まちづくりセンターの立地条件や施設・設備面での違い、利用者数の差異などもあることから、5地区のモデル事業ではそれらの点にも留意した試行・実施、検証を行う。地域包括ケアの地区展開の中で、あんしんすこやかセンターの相談支援の対象範囲を拡充したことから、総合支所保健福祉3課のバックアップ体制の確保や事務の流れを明確にしたうえでの事例の積み重ねに基づくマニュアルの整備と必要な研修についてもモデル事業を通じて実施する。また、出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、地区社会福祉協議会の三者連携による地区の福祉的課題の解決に向けて、「地区アセスメントミーティング」や「三者連携会議」の設置など各地区の実情に沿った新たな取組みを用いて、相談支援の充実や地域の人材・地域の社会資源等との連携したまちづくりに取り組むこととする。 次ページからは、砧モデル事業での効果や明らかになった課題の解決に向けた方向性や、平成27年度に取り組むべき事項等を示し、全地区展開の道筋をつけていく。 2.砧地区モデル事業を踏まえた方向性 砧まちづくりセンターでの7ヶ月間のモデル事業の実施の中から明らかになった課題や改善点を踏まえて3つの視点に基づく取り組みの方向性を記した。 (1)身近な福祉相談の充実 ・相談対象の拡充に伴う多様な相談に対応するために、児童福祉・児童虐待防止や障害福祉など各分野の知識や対応力、アセスメント能力の向上が求められ、そのための人材確保と育成に取り組む。 ・相談者の相談内容によって、三者で個人情報を共有するケースについては、本人同意が必要とのルールの確認も含めて、マニュアルの整備や研修の実施に加え、個人情報の取り扱いに関する厳正な管理を三者で徹底する。 ・窓口カウンターの仕切り、事務机との間につい立等を設置するスペースの確保や相談者の意向や相談内容によって相談場所を変える等の配慮、相談室の存在の周知等に取り組む。 (2)地域の人材や社会資源の開発・協働 ・地区の住民(団体、事業者、NPO等)の主体的な活動や取組み、人材や事業、ネットワーク等の地域の人材や社会資源を把握し、地区で共有する地区診断(アセスメントミーティング)等を行うことが重要である。 ・地区における福祉的な課題に対応するために、社会福祉協議会の地区活動などを充実し、課題解決のために必要なインフォーマルサービスや区民活動の発掘や支援が求められる。 ・まちづくりセンターを拠点とした地区展開を推進するため、紙媒体、口コミ、ICT活用など多様な手段を活用して、幅広く広報活動を進める必要がある。 (3)三者の連携体制の構築と運営 ・地域包括ケアの地区展開を推進していくためには、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者間の目的意識や情報の共有、円滑な意思疎通が重要であり、そのための新たな場や仕組みづくり等に取り組んでいく。 ・モデル実施から全区展開を行うにあたっては、相談件数の総数の増加が見込まれることから、あんしんすこやかセンターで受け付けた相談を適切な関係所管へつなぐための調整を行う総合支所のバックアップ体制の強化が欠かせない。 ・地域ケア会議や地区情報連絡会の場などを活用することで、参加する住民や活動団体、事業者などの区民を主体とした介護予防や地域・地区で支える福祉活動を協働して拡充することを目指す。 3.今後の三者の取組み (1)出張所・まちづくりセンター ・区民からの日常生活上の多様な相談を受けるとともに、町会・自治会活動等との関わりを通じ、地区で生じている課題を早期に発見する機能を、三者の連携のもとでも活用する。 ・三者の連携の中心として、連携会議の運営や日常的な情報共有に努めるとともに、地区で解決できない問題を支所に引き継ぐなど連携して問題解決を図る。 ・町会・自治会、民生委員児童委員協議会など関係団体との連携の強化や、災害時要援護者支援や地域の見守りなどに取り組む地区に根ざした区民活動への支援を強化する。 (2)あんしんすこやかセンター ・現行業務(介護保険法に基づく包括的支援事業その他の高齢者に係る相談支援業務)に加え、障害者、子育て家庭、生活困窮等に係る相談やこれらが複合した相談を受け、まちづくりセンターや社会福祉協議会、総合支所保健福祉3課等の区関係部署、地域の専門機関や関係者等と連携して支援を行う。 ・障害者や子育て家庭等に係る相談を受けた場合は、一次相談・アセスメントを行い、その内容に応じて必要な相談支援先(保健福祉課、生活支援課、子ども家庭支援センター、健康づくり課、社会福祉協議会、地域障害者相談支援センター、若者総合支援センター等)につなぐ。 ・また、個別課題の集積から地区における課題を早期に発見し、三者の連携の中で解決に結び付ける役割も担う。 (3)社会福祉協議会 ・社会福祉協議会が提供するサービスや支えあいなどのインフォーマルなサービスに関する相談について、区民に身近なまちづくりセンターで即時的に応じるとともに、相談記録の作成等のケース管理を徹底する。 ・相談内容を分析するなど、地区の隠れた課題の発見や適切なサービスへ結びつけるマネジメント機能を高めていく。 ・地域福祉の一環として、区民やNPOなどが行う多様なサービスを提供するための環境整備にむけ、これまでの地域の住民主体の支えあいサービスをもとに拡充のための地区活動を展開する。 ・地域の人材や地域の社会資源を把握し、ニーズに対応し福祉課題の解決に向けたネットワーク強化に取り組む。 ・地域の活動団体の安定した運営や提供するサービスなどの質の向上を目指して、研修や目的別・課題指向型ネットワークづくりを進める。 ・地域の活動団体との顔の見える関係づくりから、団体同士のネットワークづくりや人材養成などを支援していく。 ・出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンターと連携を図りながら、地区における福祉的な課題を把握・共有し、その解決を目指して、住民主体の福祉活動とのコーディネートや不足する地域の人材や社会資源の創出・開発などに取り組む。 ・他機関とのチーム対応や、社会福祉協議会受託業務(成年後見センター・生活困窮者自立相談支援センター)との連携も図っていく。 (4)人員、組織、予算 @人員、組織 ・平成26年10月から取り組んできた砧地区におけるモデル事業の検証結果を踏まえ、平成27年7月より砧地域以外の4地域においても各1地区でモデル事業を実施する。 ・人員体制は、26年度モデル事業と同様とし、あんしんすこやかセンターでは、専門職の常勤職員1名及び非常勤職員1名の追加配置を行う。社会福祉協議会では地区担当職員1名、地区担当職員が不在時には専門職の地域福祉支援員(非常勤職員)1名をまちづくりセンター内に配置する。 ・相談拡充のモデル事業実施地区拡大に向け、砧地区モデル事業で作成した相談対応マニュアルをもとに、平成27年度モデル事業実施地区(砧:継続、7月〜池尻、松沢、用賀、上北沢)で適切な相談対応ができるよう、マニュアルの充実を図る。 ・地域包括ケアシステムの構築を進めるにあたり、総合支所間や全区的な調整を行う体制の検討を行う。 A予算 平成27年度から、社会福祉協議会による地域資源の開発事業を区の委託事業とした。 ア)あんしんすこやかセンターの相談機能の拡充(委託料) ・相談対象の拡大に対応した福祉相談の充実(5地区)予算額:34,333千円 イ)社会福祉協議会による地域資源の開発(委託料) ・地区における地域資源開発の実施(5地区)(開設準備・経常経費 40,710千円 本部管理費等 7,653千円)予算額:48,363千円 4.各総合支所の今後の取組み (1)地域包括ケア総合支所連絡会の運営 ・平成28年7月の全地区展開を見据えて、各総合支所間が連携して取り組みを加速する必要があることから、平成27年度のモデル事業の進行管理を行い、評価・検証について検討する場を設置する。 ・地域包括ケアにかかる研修体系に基づき、あんしんすこやかセンター職員研修、出張所・まちづくりセンター職員研修等の実務的研修の検討・実施を進める。 ・保健所を中心に検討を進めている精神保健分野の地域包括ケアにかかる対応策について、支所連絡会での調整・確認を通じた円滑な実施に努める。 (2)総合支所のバックアップ体制の充実 ・モデル地区の拡大にあたり、あんしんすこやかセンターで受付・相談した内容に応じ、総合支所福祉3課による支援やバックアップ機能について、砧モデルの実施方法をベースに整備するとともにマニュアルに反映させる。 ・地区と地域の事務の連携、相談台帳の管理などについて、地区展開検討部会でのマニュアル整備の中でも継続した検討を行う。 ・複合課題があり、対応が困難な事例等では、あんしんすこやかセンター職員のさらなる対応力の向上が必要である。そのためには、様々な既存の研修も活用して疾病や対応についての専門的な知識習得を充実させる他、高齢者分野以外の相談も気軽に持ち込める総合支所保健福祉3課のバックアップ体制を充実する。 ・総合支所担当職員の巡回や地域ケア会議などを活用して、地区における業務のバックアップを継続して行い、地区・地域一体的な相談・支援体制の確保を図る。 (3)研修の充実 今後の課題、必要と思われる研修の主なものは下記に列挙しているものと考えられるが、今後も関係所管の職員の参加による検討部会で具体化の検討と研修の実施に取り組む。(資料編:6.あんしんすこやかセンター職員研修検討会の立ち上げ参照) ・個別ケースの関係各機関へのつなぎ方についての研修 ・生活困窮、精神障害者、児童虐待防止、DVなど具体的な事例をもとにした研修 ・精神障害者への理解と対応力等 スキルアップ研修 ・各課の研修のレベル調整が必要 ・研修の評価方法について など 平成26年7月から実施した研修の実施状況などを踏まえて、今年度新たに実施する地区のあんしんすこやかセンター職員が相談支援に的確に対応していくための研修等を実施する。 (4)地域版地域ケア会議の充実 5つの地域では、地区版の地域ケア会議等で明らかになった課題のうち、地区では解決が難しい課題を整理・分析し、地域版地域ケア会議で課題解決に向けて取り組む。会議の開催にあたっては、既存各分野の会議体と構成員や開催方法等の調整を図るなど効率的に実施する手法の検討を行う。 5.区全体の今後の取組み (1)人材育成 地域包括ケアシステムの構築のための人材育成として、総合支所で検討、実施する研修を含め、モデル事業で明らかになった課題に対応した、地域福祉基礎研修、相談記録の書き方研修、地域の資源を知る研修等の新たな研修を加えた職員研修を実施する。(資料編:8.地域ケアシステムの推進に向けた人材育成プログラム参照)これらの研修は、保健福祉関係所管の区職員以外に、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会、出張所・まちづくりセンター職員を対象とした内容も盛り込み、幅広く体系的な研修を実施する。 (2)地域ケア会議の充実 地域包括ケアシステムの構築にあたっては、地域ケア会議による個別課題の解決やケアマネジメントの支援、課題解決を図るための地域づくりの支援等とともに、全区的な課題を検討・分析して政策形成に結びつけることが重要である。地域ケア会議で把握した課題を政策形成に結び付け、支援の充実や新たな施策を創出していくため、区における地域ケア会議は、地区、地域及び全区に体系化し実施する。(資料編:9.地域ケア会議体系図参照)全区的な政策化に向けては、世田谷区地域保健福祉審議会(全区版地域ケア会議)において、議論を行い、政策形成につなげる。 (3)地域包括ケアの地区展開の推進体制 地域包括ケアの地区展開の推進にあたっては、各地区、各地域の実情に合った形で取組みを進めるとともに、本庁や総合支所の保健福祉関係所管だけでなく、出張所・まちづくりセンターや地域行政部を含めた進行管理や調整を行っていく必要があるため、庁内の連携体制の強化を図る。(資料編:7.平成27年度地域包括ケアの地区展開の推進体制イメージ図参照) (4)公的サービスの基盤整備等 総合計画を受けて策定した、第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、ノーマライゼーションプラン、第4期障害福祉計画、子ども計画(第2期)等により、公的サービスの基盤整備を計画的に推進する。また、包括的・継続的なケアマネジメントによる総合的な支援ができる環境づくりを進める。 (5)地域包括ケアの地区展開と一体化整備時期 平成28年7月までに、出張所・まちづくりセンターと社会福祉協議会の一体化整備は完了する予定であるが、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターが同一の建物に入らない場所が10か所になる予定である。三者の一体化による連携、効率化を促進するため、10か所については平成28年7月以降、順次計画的な整備を行う。施設整備による三者の一体化が完了していなくても、平成28年7月からは、全地区で、身近な福祉相談の充実と地域の人材や社会資源の開発・協働に取り組む。一体化整備が完了していない地区については、三者連携会議や地域ケア会議に取り組み、職員同士が情報や課題を共有することで、連携の機能を担保するとともに、運用の工夫や特別な配慮や体制の整備等の必要性について検討する。 各地区における地域包括ケアの地区展開と一体化整備時期の表があります。 (6)システムの運用や台帳の電子化、個人情報の管理など @あんしんすこやかセンターへの保健福祉総合情報システムの導入 ・あんしんすこやかセンターにおいて、高齢だけでなく、障害や子育て家庭などの相談を行うにあたり、対象者の要件の確認や対象者に合った適切な対応、つなぎ先の確認、連携シートの作成等を行うために、対象者の基本情報(住民基本台帳、保健福祉サービスの受給状況等)を把握することが有効である。 ・そのため、住民基本台帳や高齢、障害等の保健福祉サービスの受給情報が確認できる、保健福祉総合情報システムを、あんしんすこやかセンターに導入する。(平成28年1月予定) ・導入にあたっては、情報参照範囲を必要最小限に設定し、必要なシステム改修を行う。 ・また、システム操作や情報の管理、取扱い等についての研修を実施するとともに、画面の印刷や印刷物の持ち出しの制限、研修義務付け、操作記録の定期的な確認等のルールづくり等を行い、適正な情報管理を行う。 Aあんしんすこやかセンターにおける利用者基本台帳の電子化 ・現在、紙で管理しているあんしんすこやかセンターの利用者基本台帳を電子記録化し、あんしんすこやかセンターの情報管理の効率化、事務スペースの縮小等を図る。(平成28年1月予定) ・総合支所保健福祉課との情報共有の促進と効率化を図る。 (7)広報の充実 地域包括ケアの地区展開は、平成26年10月から砧地区でモデル事業を開始し、これまで、区のおしらせをはじめ、ホームページ、砧地区ミニコミ誌、町会・自治会の回覧板、チラシ配布、砧地区のタウンミーティングや地区の集会等での周知などの広報活動を行ってきた。しかし、広報期間が短いことや「地域包括ケアの地区展開」という言葉からは、具体的な内容が伝わりにくいこともあり、区民への浸透は不十分である。平成27年度はモデル実施を5地区に拡大し、平成28年度は全地区での実施を予定しており、区民へのわかりやすい広報の取組みをより一層強化する必要がある。今後は、既存の広報媒体やイベント・集会等の区民が集まる機会を捉えた周知の充実に加え、共通デザインのPRチラシの作成、スマートフォンアプリや社会福祉協議会のメールマガジン等の活用検討を行うとともに、地域で活動する区民や地域団体等にも協力をいただき、この取組みの区民周知を図る。 資料編 1.広報関係資料                           88 2.地域包括ケアシステムにおける三者の役割のイメージ         97 3.砧地区アセスメントミーティング検討資料              99 4.三者連携の取組みの進捗                     144 5.あんしんすこやかセンターの相談実績について           149 6.あんしんすこやかセンター職員研修検討会の立ち上げ        152 7.平成27年度地域包括ケアの地区展開の推進体制イメージ図       155 8.地域包括ケアシステムの推進に向けた27年度の人材育成プログラム  156 9.地域ケア会議体系図(イメージ)                 157 10.地区モデル事業検討会 PTメンバー              158