平成27年度地域包括ケアの地区展開モデル事業報告書 平成28年5月 はじめに 世田谷区では、平成26年3月に策定した「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」において、誰もが安心して住み慣れた地域で暮らし続けられる地域社会を築くという観点から、地域包括ケアシステムを推進することとしている。 この推進にあたっては、まず、身近な地区での福祉相談の充実と地域の人材や社会資源の開発に取り組むこととした。平成26年10月から砧地区において、平成27年7月から池尻、松沢、用賀、上北沢を加えた5地区において身近な地区の出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)及び社会福祉協議会の三者が連携し、それぞれが持つ相談支援や地域づくりのノウハウを活かしながら、区民の身近な福祉相談に対応するとともに、地区の様々な課題の解決に取り組む「地域包括ケアの地区展開」をモデル事業として実施した。 本報告書は、「地域包括ケアの地区展開」について、平成28年7月に予定している地区展開の全地区実施を円滑に行うため、5地区におけるモデル事業の実施状況や課題、全地区実施に向けた対応等を整理したものである。 目次 1.地域包括ケアシステムとは 2.世田谷区の取組み等について (1)世田谷区の状況 (2)世田谷区の行政制度 (3)世田谷区の目指す地域包括ケアシステム 3. 地域包括ケアの地区展開の取組み (1)概要 (2)モデル実施 4. 平成26年度砧報告書の課題への対応状況のまとめ 5. モデル事業推進にあたっての取組み (1)広報 (2)窓口環境の整備等 (3)研修・マニュアル等の充実 6. 相談支援の取組み状況 (1)地区における福祉相談の状況 (2)まちづくりセンターの相談状況 (3)あんしんすこやかセンターの相談状況 (4)社会福祉協議会の相談状況 7. 参加と協働による地域づくりの取組み状況 (1)三者連携の取組み (2)出張所・まちづくりセンターの取組み (3)あんしんすこやかセンターの取組み (4)社会福祉協議会の取組み 8. 地区の取組みに対する支援と保健福祉所管のバックアップ (1)あんしんすこやかセンターの相談事例に対するバックアップ (2)相談支援における地区・地域の連携の充実 (3)参加と協働による地域づくりへのバックアップ 9. 地域ケア会議について (1)地域ケア会議の概要(全体像) (2)地区版地域ケア会議について (3)地域版地域ケア会議について (4)全区版地域ケア会議について 10. 全地区実施に向けた課題と今後の対応 (1)全地区実施に向けた課題 (2)一体整備の推進や整備状況等に合わせた対応 (3)出張所・まちづくりセンターの対応 (4)あんしんすこやかセンターの対応 (5)社会福祉協議会の対応 (6)三者連携の対応 (7)総合支所の対応 (8)各分野における地区での相談支援について (9)全庁的な対応 11. 地域包括ケアの地区展開と三者の充実に向けて 資料編 1.地域包括ケアシステムとは 日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しており、急速な少子高齢化の進展や、単身高齢者や高齢者のみの世帯、認知症高齢者の増加等から、医療、介護のニーズの大幅な増加が予想されている。一方で、社会保障給付費、特に医療・介護分野の顕著な増加に対して財政は危機的な状態にある。 このような状況の中、2025年(平成37年)には団塊の世代(約800万人)が75歳以上の後期高齢者になり、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている。 このため、国(厚生労働省)は、2025年(平成37年)を目途に、高齢者が尊厳を保ちながら、重度な要介護状態となっても可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。 この地域包括ケアシステムにおいては@医療(在宅医療等)、A介護(介護保険サービス等)、B予防(介護予防や健康づくり等)、C住まい(生活の基盤として必要な住まいの整備)、D生活支援(見守りやサロン活動、配食サービス、権利擁護等)が、日常生活の場で一体に提供されることを目指している。 このシステムは、各自治体が自主性や主体性を持って、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要とされている。 地域包括ケアシステムのイメージ図があります。 2.世田谷区の取組み等について (1)世田谷区の状況 @平成28年1月1日現在の世田谷区の人口等の状況 ○区の総人口は883,289人で、平成18年の825,458人と比較すると約1.07倍に増えており、今後も出生数及び転入人口の増加により引き続き増加傾向が続く見込みである。 ○世帯数(外国人のみ世帯を除く)は平成18年から約1.10倍に増加。世帯あたりの人員は約1.91人であり、世帯の小規模化が続いている。 ○65歳以上の人口は、約177,500人であり、平成18年と比べ、約37,500人増加しており、今後も増加傾向が継続する見込みである。 ○高齢化率(65歳以上の高齢者の総人口に占める割合)はこの10年間で17.0%から20.1%に3.1ポイント上昇し、区民のおおむね5人に1人が65歳以上の高齢者となり、高齢化が着実に進展している。 ○0〜14歳の年少人口は、平成18年の約87,700人から約102,700人になり、約15,000人増加している。 Aその他の状況 ○毎年全人口の1割弱が転出・転入するなど、人口の流動性が高くなっている。 ○障害者等の数は、身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者や、難病医療費等助成の受給者数を合わせると約40,000人となり増加傾向にある。 ○生活保護受給者数は平成27年度(10月までの月平均)8,560世帯、10,228人。平成20年秋以降の経済・雇用情勢の悪化に伴い、全国的に急増した。近年はそのペースは鈍化してきてはいるものの、依然として増加傾向は続いており、区でも同様の傾向が見られる。 (2)世田谷区の行政制度 ○世田谷区は、区内を5つの「地域」と27の「地区」に分け、区全体と合わせて3層の行政区域を持つ地域行政制度を導入している。 ○行政拠点として、5つの地域には総合支所、27の地区には出張所・まちづくりセンターを配置している。 ○地区は日常生活圏域と同一であり、地域包括支援センターを社会福祉法人等に委託して設置している。区民に親しみやすいように、あんしんすこやかセンターという愛称をつけている。   (3)世田谷区の目指す地域包括ケアシステム @地域包括ケアシステムの対象 ○区は、これまで「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を目指し、公的サービスの充実とともに、支えあい活動等の区民や地域の活動団体等と協働した多様な取組みを進めてきた。平成26年3月には、世田谷区地域保健医療福祉総 合計画(以下総合計画という)を策定し、地域包括ケアシステムの対象は高齢者だけではなく、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など対象を広く捉えて推進するとした。 ○地域包括ケアシステムは、支援を必要とする人だけのものではない。高齢者や障害者は、サービスの受け手として捉えるだけでなく、自らが主体的に参加し、生きがいを持って、その力を活かせるような地域社会の環境づくり進める。また、元気な高齢者をはじめ、学生や働いている人、主婦、シニア世代など幅広い区民参加のもとで地域包括ケアシステムを推進する。 A多様なサービスや基盤の創出 ○国は、地域包括ケアシステムにおいて、要介護高齢者の地域生活を支える要素として、@医療A介護B予防C住まいD生活支援の5つを挙げている。誰もが安心して地域で暮らし続けるためには、こうした多様なサービスや基盤が必要であり、公的サービスとともに、区民や地域の活動団体等との連携・協働による新たなサービスや基盤を創出する。 ○公的サービスの基盤整備については、総合計画において方向性を定めるとともに、第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、ノーマライゼーションプラン、第4期障害福祉計画、子ども計画(第2期)等の個別計画において計画的に推進する。また、医療連携の取組みをさらに推進し、身近な地区において、医療と介護・福祉サービス等が一体的に提供できる仕組みづくりを進める。 B相談支援の充実と区民等の参加促進 ○支援の必要な人を早期に発見して支援につなげていくとともに、介護、子育て、障害、経済的な課題等の複合化した問題を抱える人に対して、縦割りでなく、総合的な支援ができる仕組みづくりを進める。 ○地域の課題を地域の力で解決できるよう、相談支援の中から地域の課題を把握し、区民や地域の活動団体、事業者、NPO等との連携・協働やマッチング※1(横つなぎ、組み合わせ)による新たなサービス等の創出を進める。 ※1)複数の多種多様なものを、共有した目的に向けて、より大きな成果が得られるように組み合わせること。 C地域包括ケアシステムの構築 ○包括的・継続的なケアマネジメントにより、公的サービスをはじめ、地域の人材社会資源※2を活かした、総合的な支援ができる環境づくりを目指す。そのために、地域ケア会議※3において事例検討等による事業者等のケアマネジメントの力の向上を図るとともに、地域の課題を把握・検討し、政策形成に結びつける仕組みづくりを進める。 ※2)社会資源とは建物、施設、公的サービス、地域住民(団体、事業者、NPO等)の主体的な活動やネットワーク等を指す。 ※3)35ページ参照 ○区が目指す地域包括ケアシステムは一朝一夕には構築できないが、団塊の世代が後期高齢者になる2025年(平成37年)も視野に入れ、身近な地区全体で支えあい、助け合う力を創出していきながら、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実 現を目指す。 3.地域包括ケアの地区展開の取組み (1)概要 ○誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者(以下三者という)を一体整備し、福祉の困りごとなど区民の様々な相談に対応し、適切な支援に結び付ける。 ○三者が持つそれぞれのノウハウを共有して地区の課題を把握し、その解決のために地域の人材や社会資源の開発・協働に取り組む。 ○ひきこもりやニートなど生きづらさを抱えた若者に関する問題など、どこに相談してよいか分からず、潜在化しがちな問題や子育て中の介護の問題などの家庭内の複合した問題にも対応する。 ○5地区でのモデル事業の実施結果を踏まえ、平成28年7月から全地区で実施する。 (2)モデル実施 ○平成26年10月から開始した砧地区のモデル実施における課題や手法を参考に、平成27年度のモデル事業実施の準備を進め、平成27年7月から池尻、松沢、用賀、上北沢を加えた5地区でのモデル事業に取り組んだ。 地域包括ケアの地区展開のイメージ図があります。 4.平成26年度砧報告書の課題への対応状況のまとめ @相談支援を効果的・効率的に進めるための情報提供のあり方 ○28年1月より、モデル実施5地区のあんしんすこやかセンターに、保健福祉総合情報システムを導入。住民記録や保健福祉サービスの受給状況等の基本情報が確認できることにより、適切な相談が行えるよう支援した。 ○28年4月より、あんしんすこやかセンターの利用者基本台帳の電子化を行い、効率化と総合支所との情報共有を進めた。 A職員の相談対応のスキル向上とバックアップ体制の強化、三者の共通理解の促進 ○相談対応マニュアルを整備した。(モデル事業の事例等を踏まえてマニュアルを充実) ○あんしんすこやかセンター職員への専門研修を実施した。(具体的な事例をもとにした児童虐待防止、DV、精神症状などの研修等) 27年7月からのモデル地区拡大に先立ち、あんしんすこやかセンター相談対応マニュアルを用いての研修を、出張所・まちづくりセンター、社会福祉協議会も参加し、27年5月〜6月にかけて延べ8回行った。 ○総合支所保健福祉3課の役割を改めて整理し、あんしんすこやかセンターの相談対応に対するバックアップ体制を強化した。 ○三者の情報共有と連携のための会議や事務概要ガイダンスの実施により三者の共通理解を深めた。 Bプライバシー確保と個人情報の共有 ○保健福祉総合情報システム等のあんしんすこやかセンターへの導入に併せ、個人情報の取り扱いに関する研修をモデル地区のあんしんすこやかセンター全職員に対して実施した。 ○事例の積み上げによるつなぎ方のマニュアルを整備した。 ○プライバシーや個人情報に配慮したレイアウト等を検討、対策を実施した。 ○相談者の意向や相談内容に合わせて、カウンター以外の相談場所を利用するなどの配慮を行った。 C地域の人材・社会資源の開発の充実 ○地域の人材や社会資源の把握、共有に取り組んだ。 ○地域の社会資源を知る研修、福祉のまちづくり等の地域福祉研修等を実施した。 ○地域の活動団体同士の顔の見える関係やネットワークづくりの支援を行った。 Dモデル事業周知の徹底 ○区のおしらせやホームページ等で全区的な広報の充実を図った。 ○PRチラシの町会・自治会への回覧や掲示板の活用、イベント・集会での周知等、地区の広報の充実を図った。 ○スマートフォンのアプリや社会福祉協議会のメールマガジン等を活用して、広報の充実を行った。 ○地域で活動する区民や地域団体等との協力による周知を行った。 E全庁的な取組み ○三者の一体化整備を計画的に進める。現在17地区で一体整備が完了しており、残り10地区の一体整備に向けた計画を進めている。今後の予定としては28年11月末に祖師谷、29年1月に上馬で整備が完了する予定である。29年度以降は若 林、上町、代沢、九品仏、船橋を順次整備する予定である。なお、28年10月に予定していた梅丘、松原、奥沢の仮の一体整備は行わず、32年度中までの改築に向けた検討を進めることとした。 ○地域の課題の政策形成への結び付ける仕組みとして、地区、地域及び全区に体系化した地域ケア会議の役割等を整理した。 ○地域包括ケアの地区展開を推進するため、地域包括ケア地区展開推進会議、総合計画推進委員会や総合支所連絡会等を設置した。 5.モデル事業推進にあたっての取組み (1)広報 @全体広報(ホームページ、区のおしらせ等) 5月 5地区のPRチラシを計8,000 枚作成し、回覧・配布 6月15日 区のおしらせ 1面の一部、2面掲載 ホームページ「地域包括ケアシステムの取組み」を開設 6月   エフエム世田谷「世田谷通信」ハッピーライフせたがや放送 7月25日 地域版区のおしらせ1面掲載 9月   PRチラシを増刷 10月 せたがや高齢・介護応援アプリ配信開始 社会福祉協議会によるメールマガジン配信開始 A地区 チラシ配布や地区の会議、イベント、車座集会等での広報、のぼりの掲示 (2)窓口環境の整備等 平成27年7月からのモデル実施にあたって、三者が同じ建物に入ることに対応した統一した案内サインやプライバシーに配慮した窓口環境の整備などを行った。 池尻 ・あんしんすこやかセンターの相談カウンターの後方に、他者の視線を遮るための目隠し用パーテーションを2台設置 統一した案内サイン 松沢 ・社会福祉協議会職員の在不在の表示 ・相談スペースのパーテーションを高いものに変更し、相談者が他の来所者から見えないようにした。 用賀 ・相談者が重なった時などのための、小型カウンターを設置 砧 ・あんしんすこやかセンターの相談カウンターに目隠し用パネルを1台設置 ・あんしんすこやかセンター職員の事務机に目隠し用デスクトップパネルを3台設置 上北沢 ・あんしんすこやかセンターの相談カウンターに目隠し用置き型パネルを1台設置 (3)研修・マニュアル等の充実 @研修の体系化 地域包括ケアシステムの推進に必要な研修の体系化を進め、保健福祉領域職員に加え、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、出張所・まちづくりセンター職員を対象に、領域基本研修等の従来からの研修や地域福祉基礎研修、相談記録の書き方研修等の基本的なレベルの研修と、対人支援スーパーバイザー研修等の専門研修等を実施した。 地域包括ケアシステムの推進に向けた27年度の人材育成プログラム 参加人数一覧の表があります。 A地域を知る研修 地域にある社会資源を知り、今後の相談支援やネットワークづくりに役立てるとともに、三者の連携を深める機会とするために、地域ごとに、施設や事業の見学や運営者等との意見交換を行った。 地域を知る研修実施状況 世田谷 1.各地区の社会資源リスト、マップを保健福祉課で作成 9/16地域ケア連絡会であんしんすこやかセンターに配布 2.ぷらっとホーム世田谷の事業説明 実施結果:11/2地域ケア連絡会にて実施 あんしんすこやかセンター以外に、地区社会福祉協議会、世田谷地域障害者相談支援センター参加 北沢 1.講話と施設見学 地域包括ケアの地区展開について、シルバー人材センターの事業展開について、住みやすい地域を目指したNPOとのネットワークづくり(NPO法人まちこらぼ) 施設見学(シルバー人材センター本部、玉電カフェ) 実施結果:11/26:参加者 33名(出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、総合支所福祉3課) 玉川 1.若者支援施設(メルクマールせたがや・せたがや若者サポートステーション)の見学 実施結果:28.2/10 参加者19名(出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、総合支所福祉3課) 2.障害施設(なかまっち)、障害者相談窓口(玉川地域障害者相談支援センター)の見学 実施結果:28.1/21 参加者14名(出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、総合支所福祉3課) 砧 1.障害施設(イタール成城)見学 実施結果:9/2 参加者8名、9/9 参加者7名 2.母親・両親学級の見学 実施結果:2/9 参加者2名、2/16 参加者1名、3/22参加者4名 3.児童館の事業(乳幼児グループ)の見学 実施結果:2児童館3名(来年度継続) 烏山 1.岡さんの家TOMO見学と意見交換 実施結果:6/17 参加者 8名(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、保健福祉課) 2.区立パルメゾン上北沢見学と意見交換 実施結果:9/30 参加者 14名(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、保健福祉課) 3.介護付有料老人ホームグランダ芦花公園見学と意見交換 実施結果:12/1 参加者7名(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、保健福祉課) 4.区立上北沢ホーム見学と意見交換 実施結果:3/8 参加者13名(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、保健福祉課) B精神保健の相談対応力の向上 あんしんすこやかセンター職員を対象に、主に窓口や電話、訪問などにおける「心の病をもつ方」への相談支援について、健康づくり課の事業や保健師の相談対応の事例を紹介し、現状と課題、応対のポイントを理解するための研修を行った。 研修の全体構成と基本資料は統一のものとし、併せて、総合支所ごとに持つ特徴的な事例を通して、具体的な対応を理解する研修とした。 開催にあたっては、相談支援に従事する職員に広く呼びかけ、参加を募った。 <実施内容> 開催場所:各総合支所 主催:各総合支所の保健福祉課、健康づくり課共同開催 対象者:あんしんすこやかセンター職員 時間:1時間30分程度 実績の表があります。 Cマニュアルの見直し等 障害者・子ども・生活困窮者に関する制度や業務内容と相談内容の引継ぎ方等のマニュアルを充実させ、それを使ってモデル地区のあんしんすこやかセンター職員に研修を行った。 D保健福祉総合情報システムの導入 住民記録や保健福祉サービスの受給状況等の基本情報が確認できる保健福祉総合情報システムをあんしんすこやかセンターに導入し、適切な相談が行えるよう支援した。 平成28年1月にモデル実施5地区のあんしんすこやかセンターに、平成28年4月からは全あんしんすこやかセンターに導入した。 保健福祉総合情報システム等の導入に併せ、システム操作研修に加え、個人情報の取り扱いに関する研修を、全てのあんしんすこやかセンター職員に対して実施した。 E利用者基本台帳システムの導入 事務の効率化と事務スペースの確保を図るため、平成28年4月から全あんしんすこやかセンターに利用者基本台帳システムを導入し、台帳の電子化を進めた。 6.相談支援の取組み状況 区民に身近な地区で、福祉の困りごとなど区民の様々な相談について、三者が個々に対応するだけでなく、三者がそれぞれのノウハウや知恵を出し合って、問題の解決を進めた。 また、地区で解決できない問題については、専門の担当組織や専門機関に適切な引継ぎを行い、支援に結びつけている。 <相談支援の主な取組み内容> ○出張所・まちづくりセンター ・区民に最も身近な行政機関として、区民の様々な相談を受け、対応する。 ・受け付けた相談は、必要に応じて、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会、その他関係機関につなぐ、また連携して対応する。 ○あんしんすこやかセンター ・高齢者に加え、障害者、子育て家庭等に相談対象を拡大し、個人に関する支援だけでなく、家庭内の複合した問題にも対応する。 ・相談内容から課題整理を行い、情報提供や身近な相談窓口としての対応を行うほか、状況に応じて専門の担当組織や専門機関等へ適切に引き継ぎ、支援に結びつける。 ・地域ケア会議を開催し、個別ケース検討・課題解決を図るとともに、事例検討の積み重ねにより、地区における事業者等のケアマネジメント力の向上を図る。 ○社会福祉協議会 ・ふれあい・いきいきサロンや支えあいミニデイ等の地域交流の場への参加を希望する方に対し、孤立防止や介護予防という視点を踏まえ、事業の案内や情報提供を行う。 ・ふれあいサービス、ファミリーサポート等の事業を通じて、家事援助や見守りなどの支援が必要な方の相談を受け、事業の説明や利用に向けた調整を行う。 ・ふれあい・いきいきサロンや支えあいミニデイ等の事業実施する方からの地域福祉活動に関する相談を受け、継続的に活動ができるよう支援を行う。 ・身近な地区での福祉活動を希望する区民からの相談を受け、新たな社会資源創出や既存の住民福祉活動の状況を踏まえ、情報提供やふれあい・いきいきサロンや支えあいミニデイ等の活動の具体的な運営手法や近隣との調整、活動場所の確保等を通じて、活動の開始に向けた援助を行う。 (1)地区における福祉相談の状況 @三者間の連携事例の実績(平成27年7月〜平成28年3月)の表があります。 区民が最初に来訪し相談した窓口を紹介元、その後引き継いで対応した窓口を対応先と表記。 A主な対応事例  (事例については個人が特定できないよう改変している。) 事例1:給食サービス事業者からの安否確認の対応事例 あんしんすこやかセンター <事業者からの相談> あんしんすこやかセンターに民間給食サービス業者から「4日間弁当が手付かずの家がある。一人暮らし高齢者かもしれないので心配だ」との連絡があった。連絡を受け、あんしんすこやかセンター職員が現場確認をしたが、住民と連絡がつかなかった。 まちづくりセンター 高齢や障害のサービス受給状況を確認したが、受給していなかった。まちづくりセンターに至急相談し、対応したところ、まちづくりセンター職員から不動産業者に連絡がつき、本人は入院中であり、心配ないことが分かった。また、民間給食サービス業者にその旨を連絡した。 事例2:長期の車椅子貸し出しから介護保険につなげた事例 まちづくりセンター  車椅子貸出が4ヶ月を過ぎても返却がないため、家族に連絡する前に、あんしんすこやかセンターの職員に介護保険のサービスについて相談・確認をした。 あんしんすこやかセンター 返却のため窓口に来所した家族に、現在の介護の状況を伺い、介護保険の申請と車椅子やベッドのレンタルなどのサービスの説明を行った。 事例3:家族の要望に合わせたサービス導入につなげた事例 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターにて、長女から、「母親のADL(日常の生活動作)が低下したためサービスを導入したい」との相談を受けたが、要望は介護保険では対応できない大掃除であった。 社会福祉協議会 このままサービスを導入しないのは不安だったので、ふれあいサービスを紹介。長女の要望に合わせたサービス導入を行い、介護負担軽減に繋げられた。 事例4:生活状況に不安がある高齢者に対応した事例 まちづくりセンター 毎年収入申告のために来所する方。ひとり暮らしで生活面は自立していると本人はいうが、身体から風呂に入っていないことによる強烈な臭いがある。自宅の様子などが心配であったため、あんしんすこやかセンターへ繋いだ。 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターでも関わりのない高齢者であったため、新規に訪問することとした。 事例5:障害福祉サービスの相談事例 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターに、50歳代の視覚障害がある方から、「身体状況が心配になり、緊急通報システムを利用できないか」との相談があった。相談内容を整理し、障害福祉サービスの専門相談窓口である総合支所保健福祉課に引き継いだ。 総合支所保健福祉課 詳しく状況を把握したところ、電話回線の制限から現状では緊急通報システムを導入できない方であることがわかり、相談者に説明し、理解を得た。 事例6:障害福祉サービスの利用でコミュニケーションが取れた事例 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターに民生委員から、「災害時要援護者支援事業で訪問した方が、聴覚障害のある方だったため、コミュニケーションが取りにくい」との相談があった。 総合支所保健福祉課 手話通訳者を派遣できるように調整し、民生委員と聴覚障害のある方とのコミュニケーションをとることができた。 事例7:子育て家庭の相談に対応した事例 出張所・まちづくりセンター 出張所の窓口にて子育て中の母親から、「ベビーシッターに関する情報が知りたい」との相談があった。まちづくりセンター職員とあんしんすこやかセンター職員が、子育ての情報が総合的に掲載されている「せたがや子育て応援ブック」を利用して対応することとした。 あんしんすこやかセンター 総合支所 「せたがや子育て応援ブック」を渡し、あんしんすこやかセンターの職員とまちづくりセンター職員が協力してさらに話を聞き、より子育てに関する情報を持つ子ども家庭支援センターを案内した。 事例8:ひとり暮らし高齢者の体調変化により、介護サービスの調整を行った事例 社会福祉協議会 ふれあいサービスを利用している方が来所。「同居家族が入院し、ひとり暮らしになったのでこれからの生活が心配」との相談があった。 あんしんすこやかセンター 社会福祉協議会からの連絡を受け、あんしんすこやかセンターが本人宅に訪問し、介護保険サービス等の調整を行った。 事例9:連携して適切な情報提供が行えた事例 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンター職員に地域のケアマネジャーから、「担当している高齢者の配偶者が急死し、葬儀関連のことで困っている」との相談があった。あんしんすこやかセンターでは情報がなかったため、まちづくりセンター職員に相談した。 まちづくりセンター あんしんすこやかセンター まちづくりセンター職員は、区民葬儀のご案内とご遺族の方へというパンフレットや利用上の注意を担当所管に確認して、あんしんすこやかセンター経由で地域のケアマネジャーに情報提供するとともに、区民へは信頼しているケアマネジャーから情報提供が出来た 事例10: 退院後の外出介助の利用に結びついた事例 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターに高齢者である祖父と同居の孫家族から、「祖父の退院後の生活において、通院の際に介助が必要である。介護保険サービスを利用した上で、ふれあいサービスを利用できれば」との相談が入る。 社会福祉協議会 社会福祉協議会が家族と相談し、ふれあいサービスによる外出介助の利用に結びついた。今後のフォローのために、あんしんすこやかセンターに報告し、情報の共有をしている。 (2)まちづくりセンターの相談状況 @相談実績(件数) 平成27年7月〜28年3月 モデル地区は先行して三者一体整備を進めており、平成26年度の砧まちづくりセンターでの相談実績の推移、及び平成27年7月からのモデル地区の相談状況を記す。 まちづくりセンターの相談状況の表があります。 @まちづくりセンターにおける相談について ・まちづくりセンターの行う日常の相談、福祉相談などの4項目については、27年度の件数が26年度を上回っている。分野別では、砧まちづくりセンターの福祉・高齢者に関する相談の伸びは顕著であったが、他の地区では増減があることから、三者一体化のメリットをはじめ、高齢者・福祉の身近な相談窓口としての周知・啓発が必要と考えられる。 ・モデル実施2年目の砧まちづくりセンターの相談総件数は、平成26年度の7月〜3月と平成27年度の同期間ではほぼ同数であるが、分野別では福祉・高齢者の相談件数が1.6倍と伸張しており、相談件数が伸びていることから、三者一体整備による窓口機能の充実の成果が現れている。 A用賀出張所における相談について 今回のモデル事業を実施するにあたっては、まちづくりセンターの業務と、住民登録や印鑑証明、国民健康保険の手続き等の業務を行っている「出張所」も対象とすることとし、用賀出張所を選定した。 今回、出張所としてモデル実施を行った用賀出張所の場合、1階に「出張所窓口」、2階に「出張所のまちづくり・防災担当(まちづくりセンター)」、「あんしんすこやかセンター」、「社会福祉協議会」がある。 モデル事業の中では、来所した区民の多くは、問合せや相談をするために1階の住民記録等の窓口に向かうという状況があり、2階のまちづくりセンターが最初の相談窓口になりにくかった。 一方、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会が受けた相談について、まちづくりセンターも連携して相談内容を共有し、相談に対応するなど、他のまちづくりセンターと同様、三者連携の取組みが行われた。 全地区での実施に向けては、各地区の施設の形状やフロア内の配置、動線等の状況が一律でないことから、身近な福祉の困りごと等の相談を円滑にまちづくりセンターで受けるために、出張所業務と分けた福祉の相談窓口の案内や表示等をわかりやすくする工夫が必要である。 (3)あんしんすこやかセンターの相談状況 @あんしんすこやかセンターが受けた相談総数:砧地区4〜3月、他4地区7〜3月 あんしんすこやかセンターの相談状況の表があります。 ・モデル事業対象相談件数は、子育て家庭・若者、障害者のほか、難病や生活困窮などの相談があった場合を相談対象とした。 ・あんしんすこやかセンターが受けた高齢者を含めた全ての相談(延相談件数:27,834件)のうち、今回のモデル事業対象相談は延545件(約2%)である。 A対象者の属性の実数:砧地区4〜3月、他4地区7〜3月の表があります。 ・総相談実数239人中、「障害(身体・知的)」が54人(23%)と最も多く、2番目には「母子」42人(18%)、その次は「障害(精神)」が39人(16%)であった。また障害(精神)と、こころの相談を合計すると、73人(31%)と3割以上を占めている。 Bモデル事業相談結果実数 (相談対応した当月での判断)の表があります。 ・関係機関へつないだ合計123件のつなぎ先は、保健福祉課52件(42%)、健康づくり課26件(21%)、生活支援課21件(17%)、その他(社会福祉協議会、地域活動支援センター、総合福祉センターなど)24件(20%)であり、それぞれのつなぎ先の業務内容からも、幅広い相談が寄せられていることがわかる。 (4)社会福祉協議会の相談状況 @相談件数(延数)平成27年7月〜平成28年3月の表があります。 約5割が直接社会福祉協議会地区担当員に来ているが、社会福祉協議会以外から引き継がれる相談は約2割ある。 A相談方法 7月〜3月 電話402 来所(三者間でのつなぎ含む)303 訪問59 合計件数764 相談の4割が来所であり、身近な場所での相談対応が行われている。 B相談内容件数 7月〜3月 高齢348 障害21 子ども79 地域活動258 その他129 合計件数835 モデル地区での相談内容は、高齢及び地域活動に関する相談が多く、相談項目では、サロン・ミニデイやふれあいサービス関係が多い. C砧モデル地区における相談実績の比較(延数)の表があります。 砧モデル地区においては、26年度に比べ、月平均の相談件数は増えている。 7.参加と協働による地域づくりの取組み状況 (地域の人材や社会資源の開発・協働) 保健福祉ニーズの増大や多様化が見込まれる中、区民のニーズにきめ細かく対応するためには、介護保険などの公的サービスや、区民や活動団体等の協働による見守りや支え合い活動などの取組みを総合的に進める必要がある。 地域包括ケアの地区展開では、様々な場面で地域住民や団体等から提起される課題を三者で把握・共有し、その解決に向けた方向性や手法等について検討し、区民や事業者等の参加と協働による地域づくりを進めている。 <参加と協働による地域づくりの主な取組み内容> ○出張所・まちづくりセンター ・三者連携会議を開催し、三者の顔の見える関係を築きながら、地区の課題の解決に向けた方向性や手法等についての話し合いを行うとともに三者の調整や取りまとめを行う。 ・三者連携会議等において、相談事例や地区の住民、活動団体の声、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会の取組み等から浮き彫りになった地区課題を把握・分析・共有する。 ・出張所・まちづくりセンターは、三者連携により地区の社会資源や人材等の情報を積極的に活用して、地区のネットワークづくりの支援を行う。 ・出張所・まちづくりセンターが関わる地区住民の会議体等に対して、地域包括ケアの情報提供や課題の共有化を行い、連携強化を図る。 ○あんしんすこやかセンター ・多様な参加者による地域ケア会議を開催し、個別ケース検討・課題解決を図るとともに、相談事例の中から地区の課題を把握し、三者連携会議等に提起する。 ・高齢分野の会議だけでなく、他分野の会議や、地域住民との会議等にも幅広く参加し、ネットワークづくりや課題共有等を行い、連携の強化を図る。 ・支援が必要な高齢者等を把握するとともに、社会福祉協議会と連携し、地区における様々な社会資源が互いに連携できるようなネットワークづくりなど、地域づくりを進める。 ○社会福祉協議会 ・地域ケア会議や三者連携会議に参加するとともに、地域状況の調査として地区内の事業所、施設、NPO、活動団体、学校等への訪問調査を実施する。 ・地域状況の調査結果から、地区の活動団体や施設等の取組みを把握し、地区の課題を把握・分析するとともに、サロン等の新規開設や他団体との連携・支援等による社会資源開発を行う。 ・地区の活動団体同士の交流の場を設けるなど活動団体のネットワーク化を図る。 ・メールマガジンやホームページ等を活用し、地区における活動や催しもの等の情報発信を行う。 ・人材バンクの開設・活用等により、地区での活動を希望する方の活動団体への結びつけや支援を必要とする方へのサービスの提供を行う。 ・介護保険制度の改正に伴い、サービスを提供する事業者等による協議体を設置・運営し、生活支援サービスの提供体制の整備を図る。 (1)三者連携の取組み  三者連携会議等において、地区の住民や活動団体などからの声、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会への相談や取組み等から浮き彫りになった地区の課題を共有している。これらの課題解決に向けて、区民や事業者等の参加と協働による地域づくりを進 める。 三者が連携して対応した主な事例  (事例については個人が特定できないよう改変している。) 事例1:サロンの新規開設に至った事例 出張所・まちづくりセンター あんしんすこやかセンター 社会福祉協議会 三者連携会議において社会福祉協議会から、ふれあい・いきいきサロンの場所が確保できず困っているとの課題提起があった。 あんしんすこやかセンター 社会福祉協議会 あんしんすこやかセンターが把握している有料老人ホームに働きかけたところ、施設の協力を得ることが出来、新たにふれあい・いきいきサロンを開設することが出来た。 事例2:サロンの新規開設に至った事例 まちづくりセンター あんしんすこやかセンター 社会福祉協議会 三者連携会議においてあんしんすこやかセンターが活動拠点をつくりたい地区住民から相談を受けており、場所の確保だけでなく、継続的運営のために、ふれあい・いきいきサロン化に向け話を進めることになった。 まちづくりセンター 社会福祉協議会 場所についてはまちづくりセンターが案を出し、ふれあい・いきいきサロン化については、社会福祉協議会が度々説明を行い、ふれあい・いきいきサロン化へ支援した。 事例3:サロンの新規開設に向けて対応した事例  あんしんすこやかセンター 窓口に来所された方から「自宅マンション集会室で、ふれあい・いきいきサロンをやりたい」と相談があった。 社会福祉協議会 あんしんすこやかセンターからの連絡を受け、相談者宅に訪問。サロン開設の手順等の説明を行う。今後スタッフや開設日時等の調整を行っていく予定。 事例4:社会福祉協議会のボランティア登録につなげた事例 あんしんすこやかセンター ピアノ演奏が得意な区民の方から、「特技を活かしたボランティア活動をしたい」との相談を受ける。 社会福祉協議会 社会福祉協議会の地区担当者が本人の意向を確認した上で、世田谷区社会福祉協議会が行っている特技ボランティアに登録した。今後、サロン・ミニデイ等の地域支え合い活動や地区サポーター活動への参加に向けて調整する。 事例5: ファミリー・サポート・センター事業につながった事例 まちづくりセンター 幼稚園児の母親から、「用事があり、1日だけ送迎ができないか」との相談があった。まちづくりセンターの職員が「ファミリー・サポート・センター事業」に該当するのではないかと、社会福祉協議会職員に相談。 社会福祉協議会 事前に登録すれば、援助会員が幼稚園児を送迎することなどを説明し、登録に結びついた。 (2)出張所・まちづくりセンターの取組み 三者の連携会議はまちづくりセンターが主催し、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者の運営、地区活動などに関する情報の共有、社会資源の把握や課題の抽出など、砧モデル地区でのアセスメントミーティングを参考に、各地区の実情に応じた状況や課題の把握と解決に向けての共有に取り組んできた。 @三者連携会議の実績(平成27年7月〜平成28年3月) 【池尻地区】 開催状況  9回 毎月1回の定例開催 主な内容  ・年3回開催している三宿・池尻まちこま会から出された課題の整理、対応に向けての調整など。 ・支所保健福祉課で事前にあんしんすこやかセンター・社会福祉協議会に調査した「地区把握(地区の強みと弱み)」のデータも加えている。 課題の把握と対応 ・状況把握については、まちこま会などで出された課題を、暮らしや福祉、子育て・教育、防犯・防災などの項目に整理し、解決に向けた検討を進めている。 ・都営住宅自治会においては高齢化率が55%を超えている。コミュニティーの維持に向けた地域の連携が課題で取組みが必要である。 ・三宿・池尻まちこま会には50を超える団体が参加しており、様々な地区内の課題の情報や提案があり、行政関係、地域活動団体・区民活動グループなど多方面への実践活動への働きかけが求められる。 【松沢地区】 開催状況  9回 毎月1回の定例開催 主な内容  ・ぷらっとホーム世田谷・地域障害者相談支援センターなどを招き、生活困窮者や障害者の支援を行う相談機関の役割等を学び、地区内の関係機関の連携に努めている。 ・また、まちづくりセンターで作成した、まちづくりセンターの概要や松沢地区防災マップを、社会福祉協議会、あんしんすこやかセンターと共有し、三者連携会議で活用している。 課題の把握と対応 ・三者のそれぞれの専門性から役割分担をし、社会資源データを収集のうえ地区診断を行った。その成果として、地区情報マップ(自主グループ、サロン、施設、事業所、高齢者に優しいお店、医療機関など)の作成を進め、課題を共有し、解決に向けた取組みを検討している。 ・大規模開発による人口の急増に伴い、高齢者人口の増加、福祉的相談支援やサービス需要の高まりなどの対応が予測されることから、公的なサービスとともに幅広い参加のもとにおける社会資源の開発が必要とされる。 ・松沢地区は交通の利便性の良さなどを背景に母子手帳の管轄外の住民対応が多い一方、専門相談の繋ぎ先が小田急線の梅丘になるため、利便性の面で課題がある。 【用賀地区】 開催状況  4回 隔月(奇数月)の定例開催 主な内容  ・砧地区モデルの「アセスメントミーティング」を参考に、地区診断を三者協議で進めてきた。 ・活用方法については、地区診断での課題等を共通認識するとともに、それぞれの専門分野や役割での情報を共有する。 課題の把握と対応 ・地区の状況把握について、砧モデルを参考に地区診断を三者で 行ってきた。その結果を共通認識するとともに、それぞれの専門分野や役割からの情報共有し、支所のバックアップを得ながら解決と地域包括ケアの推進に活用していく。 ・サロンなど地域活動の運営者の多くが高齢者であり、また福  祉施設などではボランティアが足りないといった地域人材の不足が顕在化しており、地域活動における人材の確保が必要である。 ・集会所などでは地区外住民や団体の利用が多く、活動場所の確保が困難な状況が見受けられ、施設利用方法の見直しが求められている。 【砧地区】 開催状況  9回 毎月1回の定例開催 (三者全職員の参加を基本。4月から12回開催)   主な内容  ・お互いの業務内容の概要を把握するために、三者それぞれを説明者とする勉強会を行った。 ・三者連携事業計画や地区における取組みを取りまとめて継続した地域実態や実情、特徴の把握を行ってきた。 ・課題や対応策を列挙した上で三者連携事業の実施計画としてまとめ、平成27年4月から事業を推進している。 ・その成果としてサロン・ミニデイでの認知症サポーター養成講座開催や、砧まちづくりセンター活動フロア横へのベンチの設置、朝のあいさつ運動の実施等三者の連携事業が進んでいる。 ・身近なまちづくり推進協議会委員による(仮)「まちづくりのための身近な困りごとシート」作成を通したまちの現況の把握を行う中で、三者の情報を共有し、福祉的課題への対応について協力していく。 課題の把握と対応 ・身近な地区活動の担い手である地域人材の高齢化に伴う人材の不足への対応や岡本、大蔵周辺の活動場所の確保が困難な状況にあり対応が求められている。 ・地区内の学校や子ども・子育てに関わる団体との交流の促進やネットワークづくりを通じて、新たなニーズへの対応としての資源の創出を図る必要がある。 ・アセスメントミーティングからの課題対応の事例として、ミニデイ・サロンでの認知症サポーター養成講座やまちづくりセンター活動フロアに一休み用のベンチの設置、朝のあいさつ運動などが行われている。 【上北沢地区】 開催状況  8回 原則毎月1回の定例開催 主な内容   ・三者の業務内容について共通理解を得るための学習会を行った。        ・「私たちのまち上北沢・八幡山をもっと知ろう」と題して、        @地区の基礎データ(人口・高齢化率・年少人口など)         A社会資源データ(各種施設・医療機関・事業所・サロン・自主活動グループなど)         Bその他(買物マップなど)の地区情報を収集してマップに表し、当地区の状況を把握するとともに意見交換することで、地区診断を行っている。 課題の把握と対応 ・京王線の北側から甲州街道沿線周辺など杉並区と隣接しているエリアでは活動場所の確保が難しく不足が生じている。 ・ふれあい・いきいきサロンなどの協力者の高齢化や新たな子育て支援であるファミリーサポート事業の担い手などが不足しており、地域人材の育成と確保が必要である。 ・見守りボランティアや地区サポーター制度の効率的な活用策を検討する必要がある。 ・一部に店舗がない地域があり、特に高齢者の買い物の利便性に課題があるため対応策を検討している。 ・あんしんすこやかセンターの介護予防事業修了者の自主グループへの支援の継続が課題となっており、あんしんすこやかセンターと社会福祉協議会とで具体的な支援策を検討している。 (3)あんしんすこやかセンターの取組み @地域ケア会議(地区レベル)の開催 ケアマネジャーや介護サービス事業者、民生委員、医療関係者、地域の活動団体等多様な参加者による地域ケア会議を開催し、個別ケースの支援や課題分析を通した地域課題の把握、地域づくりや社会資源の開発のための検討などを行っている。 地域ケア会議の実施状況(回数) 平成27年7〜平成28年3月 池尻 17 松沢 12 用賀 22 砧 29 上北沢 18 合計 98 A地域づくり活動  民生委員や町会・自治会、商店街などの地域関係者、ふれあい・いきいきサロンや支えあいミニデイなどの自主活動団体との連携やネットワークづくり等に取り組むとともに、地区のボランティアを育成してあんしん見守り事業等を行っている。                                                            あんしんすこやかセンター地域づくり活動回数(平成27年7月〜平成28年3月)の表があります。 Bその他 介護予防の普及啓発事業「はつらつ介護予防講座」を修了した区民が自主的に活動を続けていけるよう、自主グループ活動の立ち上げ支援や運営に対する後方支援等を行っている。 高齢分野の会議だけでなく、エリア自立支援協議会(障害分野)など他分野の会議や、高齢者見守りネットワークをはじめとした地域住民との会議等にも幅広く参加し、ネットワークづくりや課題共有等を行い、連携の強化を図っている。 (4)社会福祉協議会の取組み 平成27年度のモデル事業(委託事業)では、地区における課題やニーズ、社会資源の把握、新たな社会資源の創出に向けた準備・検討とともに、サービス提供主体の情報共有や社会資源の開発、連携強化を図る地区における協議体の設置等に段階的に取り組んでいる。 @地域状況の調査 ア)目的 地区内の状況(社会資源、課題等)を把握、分析し、社会資源の開発を行う基礎的な資料とする。 イ)取組み内容 各地区の地域特性を踏まえた上で、ふれあい・いきいきサロン・支えあいミニデイ、社会福祉法人、学校等に訪問調査による聞き取りを行い、地区内の社会資源及び課題の把握、分析等に取り組むとともに、社会資源マップの作成に向けた作業を進めている。 【訪問調査先内訳】 地区 訪問調査先 池尻 サロン・ミニデイ、中学校PTA、NPO法人、若者支援事業所、起業支援事業所、障害者支援事業所、保育園、児童館、デイサービス等 松沢 サロン・ミニデイ、大学、地域障害者相談支援センター、障害者支援事業所、電気店等 用賀 サロン・ミニデイ、子育てサロン、児童館、ボランティアビューロー、エフエム世田谷、商店街活性化事業企画会社、商店会、子ども教室、障害者支援事業所、有料老人ホーム、薬局等 砧 サロン・ミニデイ、児童館、障害者支援事業所、老人保健施設、学校、学生ボランティア団体等 上北沢 サロン・ミニデイ、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、NPO法人、児童館、児童関係施設、病院等 【調査件数】平成28年3月末現在(砧地区は4月から、他4地区は7月から)の表があります。 Aネットワークづくり ア)目的 地区の中で課題解決や社会資源の開発を行うため、地区内の活動団体や施設、学校等との顔の見えるネットワークづくりを行う。 イ)取組み内容 地区   取組みの概要 池尻 ・地区の関係団体や関係機関等が多数参加する三宿・池尻まちこま会を活用し、把握した課題を情報共有した。     ・児童や障害者施設に対して地域行事への参加を働きかけた。 松沢 ・振り込め詐欺等の防犯意識啓発や顔の見える関係強化のため、住民同士の見守りをテーマに、12月に北沢地域サロン・ミニデイリーダー交流会を実施した。 用賀 ・子育てサロンが多いので、団体間の連携促進を図るため、11月に上用賀児童館と連携し、玉川地域子育て交流会を実施した。 砧 ・教育機関が数多く存在するため、高校や大学、若者世代への地域福祉活動啓発等を目的として9月に学校・子ども関係団体交流会を実施した。 上北沢 ・各団体(福祉施設、警察、消防等)間の連携強化を図るため、11月に地区懇談会を実施した。      子育てサロンや大学など同種の活動を行う団体等が、お互いの課題を話し合い、共有する学習会や交流会等の場を設け、団体等のネットワーク化を図ることにより、サロンの運営支援者の確保や大学等の地域との関係づくりに向けた支援を進めている。 ウ)協議体の設置に向けて 社会福祉協議会では、団体等の訪問調査により把握した各団体の活動内容や課題等を共有・検討し、地域のニーズと課題等の共通理解を図るため、協議体として活動団体の顔合わせ会や報告会等を企画し、平成28年7月からの全地区展開に向けての土台づくり  を進めている。 平成27年度の介護保険制度改正において、配食サービスや見守り事業等の生活支援サービスが、地域支援事業(包括的支援事業)に位置付けられた。こうした生活支援サービスの体制を整備するため、全区及び各地区において、NPO、民間企業、協同組合、  ボランティア、社会福祉法人等の生活支援サービスを担う事業主体との連携による協議体を設置し、生活支援サービスを推進する。 地区 取組みの概要 池尻 ・3月26日  講演・交流会(三宿・池尻まちこま会、住民団体等) 松沢 ・3月9日   障害者施設、NPO等サービス提供団体等と地区課題を共有 用賀 ・3月16日  サロン・ミニデイの懇談と地区課題の共有 砧 ・1月25日  サロン、高齢者施設、障害者施設とのワークショップ 上北沢 ・3月25日、28日、30日 高齢者施設等との地区課題の共有 B広報・啓発活動 ア)目的  地区に向けた広報活動により、社会福祉協議会や地区の事業の周知を図り、相談に結びつけるとともに、地区内の活動への参加やサービス提供主体への誘導を図る。 イ)取組み内容  地区の情報をきめ細かくタイムリーに提供するメールマガジンの配信や地区ホームページを開設し、社会福祉協議会の活動や地区の催し物等の情報発信を強化した。 @.メールマガジンの配信の表があります。   平成28年3月末現在(砧地区は4月から、他4地区は7月から) A.地区ホームページによる情報発信   地区ホームページについて、平成27年8月に砧地区において開設、他4地区については10月に開設し、地区の福祉団体や地域活動情報などを掲載している。これらのページは区のホームページにもリンクし、周知強化を図っている。 Cサロン等の新規開設 ア)目的 地域交流の場、孤立しがちな方の居場所、地域活動の担い手づくり等のために、サロン等の新規開設に取り組む。 イ)取組み内容 ・松沢地区では、訪問調査を行った自主グループと調整し、サロンとしての登録に至った。会場はまちづくりセンターとの連携により地区会館3階の和室を確保できたとともに、あんしんすこやかセンターとの参加者調整にも取り組んだ。 ・用賀地区では、民間のシニアホーム、用賀駅近くの喫茶店及び有料老人ホームの協力を得て、サロン活動の場を確保した。今後、新規及び既存の団体の利用調整等を行い、活動を始めていく。また、訪問調査等を通じて新たな活動場所の提供情報を得て、新たなサロン(認知症の方とそのご家族を中心とした活動)がスタートした。 ・砧地区ではあんしんすこやかセンターと連携して、サロンの活動場所が少ない岡本で、平成27年10月に有料老人ホームの協力を得て新たな活動場所を確保し、平成28年1月から地域住民と居住者の交流等の活動を開始(月1回)した。 ・上北沢地区では、サロン登録のないエリア(丁目)において、訪問調査を通じてパイプができた自主グループのサロン化に向けて調整を行っている。 ・その他、新たなサロンの開設に向け、活動の場の提供を希望する団体や、地域活動への参加を希望する学校等との調整を進めている。 ・活動の開始に向けて寄せられた相談への対応として、既存の支えあい活動拠点の利用調整を含めた会場の確保、スタッフの確保や団体運営に必要な事務処理方法など継続的・安定的な活動の運営を支援していく。 ・訪問調査等を通じて把握したサロン等の課題(スタッフの不足、参加者の不足等)についても、三者連携を踏まえ、参加者の確保など、地域活動へのつなぎと参加促進に努めた。調査を通じて、有料老人ホームやリフォーム会社・薬局などから活動場所の提供や 活動啓発ポスター掲示などの協力を得られた。 D人材バンクの開設 ア)目的  地区内の活動の拡充を図るために、担い手としての人材を掘り起し、実際の活動につなげていく。サロン・ミニデイや地区のイベント等、地区で活動を希望する方と、既存及び新たに開設するサロン・ミニデイの運営支援など、住民主体の活動とのマッチングを 図り、活動の充実を図る。  将来的には、活動を通じて日常的な住民相互の関係を構築していくとともに、災害時に支援を要する方等へのサポートなど、新たな活動の担い手として支援していく。 イ)取組み内容 ・平成27年10月より地区人材バンクを開設した。サロン・ミニデイやふれあいサービス事業協力者、講座修了者等に地域活動の意向を確認しながら人材バンクへの登録を働きかけ、区全体で205人の登録があった。 ・そのうち、モデル地区で活動できる登録者数は以下の通りである。 【モデル地区における人材バンク登録者数】の表があります。 Eその他 ア) 職員研修 区が実施する保健福祉領域基本研修への参加やOJT研修のほか、地域福祉専門研修としてフィールドワークや事例検討グループワークなどを実施した。これらには、現在事業を実施している地区の職員だけではなく、他地区の職員も参加することにより、早期の意識向上を図った。 イ) 推奨地区の設置 全地区展開を円滑に進めるため、モデル地区とは別に独自に10地区の推奨地区を設定して、非常勤職員を前倒しで採用し、出張所・まちづくりセンター、あんしんすこやかセンターと連携して、資源調査や課題の洗い出し、地域団体や関係機関との関係づくりなどの準備を進めている。 推奨地区=上町、経堂、下馬、新代田、松原、九品仏、上野毛、深沢、祖師谷、喜多見 8.地区の取組みに対する支援と保健福祉所管のバックアップ (1)あんしんすこやかセンターの相談事例に対するバックアップ 相談事例のうち主に高齢者福祉の相談以外で総合支所(保健福祉3課)に、連絡票を用い引継ぎしたものを一覧にまとめた。 あんしんすこやかセンターが受理した相談事例において、例えば、メンタルヘルスや引きこもりなど、これまで対象としていない分野や複合した問題を抱えた家庭の支援などについては、地区でのアセスメント以降、総合支所の保健福祉3課に引継ぎ、必要な支援を行うこととしている。 引継ぎ事例の属性の実数:平成27年7月〜28年3月の表があります。 主なバックアップ事例  (事例については個人が特定できないよう改変している。) 事例1: あんしんすこやかセンターの粘り強い関わりにより、介護サービスの導入や生活の安定が図られ両親の安全確保に至った事例 精神科通院中の無職50代の男性。要介護の高齢両親のもとに同居。親の年金で生活するが介護の協力はない。生活困窮のため両親は介護サービスが利用できていないが、父親も「息子がいるから大丈夫」と危機感が薄い。 関係機関:生活支援課、保健福祉課、健康づくり課 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターが説得を重ね、ようやく父親が生活保護申請となり、生活支援課が支援。これを機に、介護サービスの利用を開始し、両親の見守りが可能になったが、息子はサービス利用に拒否的。その後、父親の転倒事故や母親の物忘れが進行したことから、それぞれ入院・施設入所を保健福祉課も支援し、安全確保した。 事例2: 高齢の母から離れられない子の支援を行った事例 「生活保護を受給し別世帯になった子が、高齢の母への依存を強め、頻繁に実家に戻り、母の部屋に居るようになった。子は精神的不安定なところがあり、母子ともに身辺管理が困難なため部屋が不衛生な状態になっている」と親族から相談があった。  関係機関:生活支援課、保健福祉課、健康づくり課 あんしんすこやかセンター 総合支所3課とあんしんすこやかセンターとで会議を実施。生活支援課が本人面接を行い、子の精神面の安定のため、地域生活支援センターへの参加を支援。あんしんすこやかセンターは母のゆるやかな見守りを定期的に実施するとともに介護保険サービスの利用につながった。区のそれぞれの部署がかかわることで、母子の体調や生活環境の改善と、親族の心理的負担が軽減できた。 事例3: 高齢の父が亡くなり独居となった生活能力が低い方への支援事例 要介護の父が死亡し独居となった50歳代の女性。父のケアマネジャーから、家事能力がなく、家は「工事現場のよう」になっている。本人の今後の生活が心配、との相談があんしんすこやかセンターに寄せられる。 関係機関:保健福祉課 あんしんすこやかセンター 生活能力が低く、知的障害が疑われるが愛の手帳は取得していない。愛の手帳が取得できれば障害者総合支援法によるサービスが受けられる。知的障害かどうか判断するために、保健福祉課の障害支援担当と保健師がケアマネジャーと一緒に訪問した。 事例4: 支所の複数の課の支援が必要な単身精神障害者への支援の事例 対象者は50代の単身男性。「家の正面、側面に無数のメモが貼ってあり、近隣住民や商店、通行人が怖がっている。明らかに異様な外観で病的。怖いので区で対応して欲しい」と近隣住民からの相談あり。 関係機関:生活支援課、保健福祉課、健康づくり課 あんしんすこやかセンター 保健福祉課であんしんすこやかセンターからの連絡票受理。生活保護受給者であることを確認し、生活支援課に引き継ぐ。生活支援課が訪問し自宅の状況を確認。対象者本人と面接し、近隣から不安の声が上がっていることを伝える。また、健康づくり課保健師との関わりが途切れていたため、あらためて地区担当保健師と顔合わせを行い、行動修正や医療調整が可能か検討する。 事例5: 精神的に不安定で経済的な心配のある方からの相談に対応した事例 対象者は30代の女性。あんしんすこやかセンターの窓口にて、区民からの相談を受けた。現在無職で収入がなく、今後の生活が心配である。また、精神的に不安定になっており、医療受診についても聞きたいとの内容であった。 関係機関:生活支援課、保健福祉課、健康づくり課 あんしんすこやかセンター あんしんすこやかセンターから保健福祉課を経由して生活支援課と健康づくり課へ相談。生活支援課から相談者へ連絡を取り、生活支援担当者と保健師による同時面談を実施した。現在は緩やかな見守りを行っている。 (2)相談支援における地区・地域の連携の充実 あんしんすこやかセンターから連絡票に基づき行われる引継ぎ事例を、総合支所保健福祉3課が適切に対応し、その結果をあんしんすこやかセンターや関係所管と共有し、困難事例などに対する対応力の向上に活かすための仕組みを整えた。 27年度は、連絡票を保健福祉課地域支援担当が受理し、情報・内容の確認を行った上で、保健福祉3課へ回覧し、引き継ぐ。また、必要時、保健福祉課が、保健福祉3課とあんしんすこやかセンターを招集し、ケース会議を開催、処遇方針を決定した。各課で相談対応を行ったものは、それぞれ連絡票に記載し、保健福祉課に情報を集約、対応結果について、あんしんすこやかセンターへ戻し、情報共有を行った。 (3)参加と協働による地域づくりへのバックアップ @三者連携会議の参加と総合支所の関わり 三者連携会議に対しては、保健福祉所管では主に保健福祉課地域支援担当が関わってきた。全地区展開に向けて、モデル5地区の三者連携会議等の取組みを参考にしつつ、総合支所全体で三者が行う地域づくりをバックアップする体制を整えていく。 A社会福祉協議会地区担当者に対する支援 社会福祉協議会地域社協課に調整係を設置するとともに、同係に地域福祉コーディネート推進専門アドバイザーを配置し、地域社協事務所及び地区担当職員への指揮、監督、調整体制を強化した。さらに、地域社協事務所にスーパーバイザーを配置して、地区担当職員への指導、助言を行い、地区活動を支援した。 また、生活福祉担当課では、地域社協課との定期的な連絡会を開催し、事業の進捗管理や助言等を行うとともに、地域社協事務所長及び地区担当職員との意見交換を実施し、現場職員との情報共有を図った。 社会福祉協議会の体制図があります。 9.地域ケア会議について (1)地域ケア会議の概要(全体像) 地域包括ケアシステムの構築にあたっては、地域ケア会議による個別課題の解決やケアマネジメントの支援、課題解決を図るための地域づくりの支援等とともに、全区的な課題を検討・分析して政策形成にも結びつける。 地区、地域、及び全区の三層で実施する。 (2)地区版地域ケア会議について 各あんしんすこやかセンターにおいて、従来、ケアマネジャーや、介護サービス事業者、医療関係者、町会・自治会、民生委員など、区民の支援に係わる多様な関係者の参加を得て、支援を必要とする区民に関する情報交換、支援方法等の検討、ネットワークを構築することなどを目的として地区包括ケア会議を実施している。これを地区版地域ケア会議に位置づけて、今後充実させながら実施していく。 @内容(回数)平成27年7月〜28年3月の表があります。 ※その他:個別ケースの支援検討ではない、多職種の連携に資する会議など。 A参加者 (参加人数:地域内他地区合同開催含む)平成27年7月〜28年3月の表があります。 B課題と対応の方向(主な事例) (池尻) ア)池尻、三宿地区の高齢者地域活動の立ち上げ支援 池尻地区では、「三宿・池尻まちこま会」(まちの困りごとを考える会)を定期的に開催し、様々な立場の関係者(この地区に住む人・働く人・活動する人・学ぶ人・守る人など)が、それぞれ抱えている課題や困りごと、まちへの想いや提案などを共有し、解 決に向けて少しずつでも取り組んでいけるよう話し合いを続けている。その中で、高齢化が進み地域の活動が衰退していることや、高齢者クラブが1団体廃止となったことなどが話題となった。一方で、区民から、以前あったゲートボール活動を再開したいとい う声もあり、「三宿・池尻まちこま会」のメンバーである介護事業者などの関係者が話し合った結果、地域が繋がる場のひとつとして、ゲートボール活動の立上げを支援することができた。 イ)高齢者虐待への気づきと対応 個別ケースの支援の中で、事業所や職種によって虐待の発見の捉え方に差異があることが課題になっていた。早期発見、早期対応するための共通の意識を持てるよう地域ケア会議を開催し、事例検討を行った。高齢者虐待の気づきと対応について、それぞれの立場からの発見、気づきのポイントを話し合い、対応力を高めていけるよう、今後も地区の関係者間で勉強会を継続していく予定である。 (松沢) ア)災害時の介護保険事業所の備え 介護保険事業所とともに、区の防災担当者等を講師に、世田谷区地域防災計画について学び、世田谷区防災マップを使いながら事業所周辺の防災関連施設を確認し、事業所の備えや体制について検討した。事業所の水や食糧の備蓄が足りないこと、ヘルメットな ど身を守る物品等の用意がないこと、事業所内の連絡網があっても機能しない恐れがあることなどの課題を認識し、各事業所で日頃の備えや防災体制について検討し定期的に相互で確認・啓発していくこととした。 イ)高齢者の薬の管理 居宅療養管理指導を行う薬局が少ないこと、またその情報を区民やケアマネジャー等の利用する側が把握できていないことなど、区民や介護関連職種と薬局薬剤師との連携が必要であるという課題が明らかになった。今後も薬や医療に関することをテーマに連携会議を実施し連携を深めていくこととした。 (用賀) ア)ケアマネジャーの実践力向上 ケアマネジャーが対応に困難を感じている事例を抱えていることから、多職種による事例検討を行い、高齢者の自立支援に資するケアマネジメント実践力の向上を図った。事例検討会では多角的な意見交換を通して、課題解決の方向性を改めて考えることができ、より効果的な支援に結びついた。 イ)地域の主任ケアマネジャーとケアマネジャーとの情報共有 地域のケアマネジャーへの情報提供をより充実させるため、主任ケアマネジャー連絡会等で得た新たな情報や課題をケアマネジャーにも発信して行くしくみを作ることを検討した。有効と考えられる情報については、あんしんすこやかセンターを通じて地域のケアマネジャーに発信していくこととした。 (砧) ア)介護予防活動の自主化支援 介護予防のための運動の継続について、「はつらつ介護予防講座」の参加者を中心に、関心のある住民とともに検討した。「ひとりで運動を続けるのは難しいけれど、皆で運動するから続けられる」という意見を共有したものの、場所を確保しにくいとの意見も あったため、社会福祉協議会からの協力を得て、ふれあい・いきいきサロンとして登録し、地域支え合い活動拠点を活用して、活動の自主化が可能となった。 イ)事例検討を通した家族全体のアセスメント 医療処置が必要な夫と、記憶力が低下した妻について事例検討を行った。夫をケアマネジャーが、妻をあんしんすこやかセンターが担当している。妻は夫の病状について説明されてもすぐ忘れてしまい、介護に支障をきたしていた。息子が同居していたが会うことができず、手紙を書いても反応がないなど、支援が困難な状況であった。地域ケア会議での討議の中で家族の関係性や歴史を整理し、今後の支援方針やアプローチの工夫などについて意見を出し合い、今後の対応に活用していくこととした。 (上北沢) ア)65歳になった軽度知的障害者への対応 これまで、障害福祉のサービスや障害者就労支援センターの支援を受けて生活してきた方が、65歳になり、介護保険サービスの対象に移行したことを契機に、今後予測される生活上の様々な課題に対して、関係機関がどのように連携して役割分担をして支援して いけるかを検討した。日頃一堂に会する機会は少なかったが、様々な参加者から異なる視点の意見、情報を集めることができ、今後の支援に活かしていくことができた。今後も、日常生活は自立しているが制度に当てはまりにくく、細やかな支援が必要な、軽度知的障害のある高齢者の支援が課題であることについて、共通認識を持つことができた。 イ)精神疾患の理解と対応 精神疾患があるために支援が困難なケースを抱えているケアマネジャーも多く、精神疾患について、さらに理解を深めることが課題である。今後も総合支所健康づくり課との連携や、専門家による研修や事例検討等を行い、ケアマネジャーの実践力の向上を図り対応していく。 (3)地域版地域ケア会議について 地域においては、保健福祉課が高齢者地域ケア連絡会を、あんしんすこやかセンターと保健福祉課が協働で地域合同地区包括ケア会議を開催している。これらの会議を地域版地域ケア会議と位置づけ、地域課題の抽出、ネットワーク形成、社会資源の開発等内容の充実を図り実施していく。 @内容 ア)高齢者地域ケア連絡会 高齢者地域ケア会議の構成員としては、各地域のあんしんすこやかセンターの職員、総合支所保健福祉課の職員、介護予防・地域支援課の職員、世田谷区社会福祉協議会の職員、その他関係部署の職員が要綱で規定されている。原則として月1回の開催としており、事務局は各総合支所保健福祉課地域支援担当が担っている。 所掌事項は、(1)高齢者福祉に関する地域の課題、(2)要援護高齢者等のサービス利用情報等の提供と利用の啓発、(3)要援護高齢者等の実態把握及びニーズ評価の結果等の情報集約、(4)地域におけるネットワークの充実を図るための情報及び意見交換、 (5)地域包括支援センター(あんしんすこやかセンター)業務に関わる課題となっている。 イ)地域合同地区包括ケア会議 地域合同地区包括ケア会議は、「世田谷区地域包括支援センター事業実施要綱」「第6条(5)地区包括ケア会議等の開催」において、「必要に応じて、総合支所保健福祉課と協働して、他の地域包括支援センターと合同で地区包括ケア会議(「地域合同地区包 括ケア会議」という。)を開催する。」と規定されている。各地域では、実情に応じて担い手や手法など様々な形で開催している。例えば、あんしんすこやかセンターが主導し、講演会や在宅診療との連携を図る講演やグループワークを行うもの、事業者の交流会を行うもの、あんしんすこやかセンターの3職種の職能の切り口より企画するもの、地域の専門職団体との連携の中で企画・運営されているもの、地域の町会・自治会とも連携し広くフォーラムという形でネットワークを形成するもの、あんしんすこやかセン ターが地域全体を受け持ち、持ちまわりで実施するものなど様々な形態で実施している。 A実施状況(回数)の表があります。 B課題と対応の方向 ア)地域ケア連絡会について 高齢者地域ケア連絡会は、障害者に対する課題共有などの機能も果たしつつあるが、地域包括ケア地区展開にあたり、あんしんすこやかセンターの相談拡充に対応して、構成員や所掌事項、実施手法などを整理する必要がある。そのため、平成28年度より要綱を改正し、高齢者地域ケア連絡会を地域ケア連絡会に改めた。改正された要綱では、地域ケアを、高齢者、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活に困窮している者等が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにするための支援等と定義し、構成員も総合支所職員とし、他に地域障害者相談支援センター等を加え、取り組むこととした。 今後、地域ケア連絡会では、(1)地域ケアに関する事項(ア 課題の抽出及びニーズの把握、イ 対象者に対する情報の提供及び利用の啓発、ウ ネットワークの充実を図るための情報及び意見の交換、エ 政策課題の整理、オ 社会資源の開発)、(2)あんしんすこやかセンターの業務に関する課題について、協議・検討し、地域で解決できない課題については、全区版地域ケア会議へ報告する。 イ)地域課題の抽出と他の会議体との関係について 地域課題の発見は、様々な支援者や地域住民も含めた形で行われることが望ましい。障害者・子育て家庭、生活困窮者も含めた課題の整理をどのように行っていくか明確化が必要である。地域ケア会議の5つの機能を持つ会議としては、障害分野におけるエリア自立支援協議会の取組みや要保護児童支援協議会の取組みがある。これらはそれぞれに、各制度の持つ位置づけや設立の経緯がある。地域ケア連絡会とは、情報の共有がなされている段階であり、今後どのように連携を図り、ネットワークを拡大していくか課題となっている。 (4)全区版地域ケア会議について 全区版地域ケア会議は、地域包括ケアシステムの構築のために、地区や地域では解決できない課題や全区にわたる課題等の解決に必要な取組みを明らかにし、政策の立案に向けた検討を行う。 学識経験者、福祉・医療関係者及び区民等の委員で構成されている世田谷区地域保健福祉審議会を全区版地域ケア会議に位置づけ、議論を行い、政策形成につなげる。 会議開催にあたっては、庁内に準備会議を設置し、取り上げる課題や資料等の調整を行う。 第1回全区版地域ケア会議は平成28年7月に予定している。 10.全地区実施に向けた課題と今後の対応 5地区でのモデル事業の取組み状況を踏まえて課題の解決等を図り、平成28年7月に全地区で実施する。 (1)全地区実施に向けた課題 @地区における相談拡充等に対応するため、職員の相談対応のスキル向上とバックアップ体制の強化、三者の共通理解や情報共有の促進を図る必要がある。 A相談窓口等のプライバシーの確保や案内・誘導サインによる動線の整備、広報等、区民が利用しやすい環境づくりを行う必要がある。 B三者の一体整備を計画的に着実に推進するとともに、平成28年7月に三者の一体整備が完了しない地区については、相談者の利便性や相談機会を確保する相談の利便性の向上を図る必要がある。 C支援が必要な人を早期に発見し、支援に結びつける仕組みを強化するために、三者連携の身近な相談窓口と、障害、子ども等の高齢福祉以外の各分野における相談窓口との連携方法等を整理し、連携して取り組む必要がある。 Dモデル事業の取組み事例等を踏まえ、地域の人材・社会資源の開発の充実を図る必要がある。 E地域で整理された地域課題を政策形成の検討につなげられるよう、地区、地域及び全区に体系化した地域ケア会議の実施手順や内容等を明確化する必要がある。 (2)一体整備の推進や整備状況等に合わせた対応 @一体整備の考え方(目的や効果等) 三者の一体整備により、より三者間のコミュニケーションがタイムリーかつ円滑に取ることができ、お互いの業務を理解したうえで活動できることから、迅速な対応による、事態の重度化や悪化の防止、区民の利便性の向上を図る。 整備にあたっては、相談者のプライバシーの確保と三者の円滑な連携、利用者がわかりやすい表示サイン等を基本の考えとし、カウンターや待合、相談スペース、パーテーション等の工夫を行う。 A一体化のハード整備状況 現在17地区で一体整備が完了しており、残り10地区の一体整備に向けて計画的に進めている。 今後は平成28年11月末に祖師谷、平成29年1月に上馬で整備が完了し、平成29年度以降は若林、上町、代沢、九品仏、船橋を順次整備する予定である。 なお、平成28年10月に予定していた梅丘、松原、奥沢の仮の一体整備は行わず、平成32年度中までの改築に向けた検討を進める。 また、用賀出張所の所管区域の分割に伴い、平成31年度の開設に向けて(仮称)二子玉川まちづくりセンターとあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の一体整備を進める。 B一体整備未完了等、施設の環境の違いによる相談対応 まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターの一体整備の有無や総合支所内の施設等、施設の環境の違いにより区民の利便性や相談機会に差異が生じないよう工夫をする必要があり、以下のように対応を行う。 ア)区民の要望を的確に把握し、担当所管・担当者への紹介を丁寧に行う。まちづくりセンターは、区民の困りごと相談やどこに相談に行ったらよいかわからない相談の窓口として定着しており、区民から多様な相談が寄せられる。相談者が二度手間やたらいまわしにならないよう、区民の要望を的確に把握し、適切な相談窓口を見つけ、利用者が不安を感じないように対応する。 イ)複合的な課題や担当所管だけで解決できない課題に対しては、三者が協力して対応する。具体的には、相談者の状況から、課題が複数ある場合や総合支所や本庁所管まで行くことが困難と考えられる場合は、三者の職員が相談者に代わり所管に問合せを行ったり、相談者を訪問・聞き取りを行ったりするなど、三者が協力して丁寧な対応を行う。 ウ)三者の整備環境がちがっても、確実に相談対応が出来るようにする。三者の一体整備が完了している施設、同一敷地内にあるが別の階や別棟にある施設、総合支所内の施設、まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターが別の場所にある施設など、各地区の状況に応じて、区民がそのニーズや課題の解決に合った相談支援機関に確実につながるようなルールや手法等を検討し、マニュアル化する。 地域包括ケアの地区展開の全地区実施に伴う、まちづくりセンターの施設状況の表があります。 上町、九品仏は工事期間中まちづくりセンターが仮設に移転する。(上町は現在地より70m東へ、九品仏は70m西へ) (3)出張所・まちづくりセンターの対応 @組織体制の整備 これまで、区内7か所に設置している出張所では、まちづくり業務と住民記録等の窓口業務を一体的に取り扱ってきたが、平成28年7月に、出張所からまちづくり機能を分離し、27全地区にまちづくりセンターを設置し、地区の強化に取り組む中で、その機能や 役割を明確にし、区民への分かりやすさを図るとともに、地域包括ケアの地区展開をはじめ様々なまちづくり業務に、地域活動団体等と連携しながら、これまで以上に積極的、機動的な対応を図る。 A三者連携の充実 三者連携会議を有効に活用し、地区課題の解決に向けた区民啓発など具体的な事業実施に取り組む。 B相談窓口の充実 まちづくりセンターでは、これまでも、身近な相談などに対応してきたところであるが、全地区実施に向けては、「三者が一体整備されたまちづくりセンター」のような標準的なパターンの他、「総合支所内にある出張所」、「総合支所外にある出張所」、「一 体整備がされていないまちづくりセンター」など、施設内の他の組織やフロア配置の状況等のパターンの違いに応じた工夫が必要である。 地区ごとに動線や表示の見直しなどのまちづくりセンターへの案内方法を工夫するとともに、窓口対応力向上のための職員研修や各まちづくりセンターの状況を踏まえた個別のマニュアル作成などを行う。 また、全地区実施後のこれらの対応を検証し、まちづくりセンターにおける相談の充実に向けて、職員の育成や態勢等も含めた見直しを検討する。 (4)あんしんすこやかセンターの対応 @職員の配置 相談拡充に対応するために、各あんしんすこやかセンターに職員を配置する。 A情報システムの導入 ・保健福祉総合情報システムや利用者基本台帳システムを活用し、相談支援の充実を図る。 ・システム操作及び個人情報保護に関する研修を実施する。 ・困難ケースなど、保健福祉課が対応の支援を行う必要がある場合に、迅速かつ効果的・効率的に対応できるよう、保健福祉課においても利用者基本台帳システムを参照できるようにする。 B窓口相談の充実 対象を拡大した身近な福祉の相談に対応するために、マニュアルの整備や研修を実施する。 あんしんすこやかセンターから総合支所保健福祉3課へ事例の相談や引き継ぎを行う場合は、直接該当の課へ相談受付記録票を送付することで、迅速な情報共有を図る。 (5)社会福祉協議会の対応 @地域人材育成の強化 地域包括ケアの地区展開の全地区実施に伴い、社会福祉協議会本部において、各地区の人材バンク登録者への研修を実施するとともに、既存の各種講座の修了者を地区人材バンクの登録につなげるなど、地域人材の育成から活用までのしくみづくりに取り組む。 さらに、地域・地区を単位としたマッチングイベント等を開催し、福祉活動への具体的な参画機会を拡大し、地域・地区での福祉活動の拡充を図っていく。 A区内社会福祉法人及びNPO等との連携推進 社会福祉協議会本部においては、全区(第1層)の生活支援コーディネーターを配置するとともに、本部の体制を段階的に強化し、社会福祉法人やNPO等との連携を強化して、全区レベルの協議体を設置し、生活支援の体制整備に向けた各種生活支援サービス の一体的な提供やその仕組みづくり、新たに必要となるサービスの創出等に徐々に取り組んでいく。さらに、法人が経営する施設・事業所等との協力関係を構築し、生活支援サービスや活動場所、人材の創出・協働等に向けた取組みなど、地区(第2層)の生活支援コーディネーターを担う地区担当職員の活動を支援する。 B地区での課題に応じた対応 地区担当職員を地区(第2層)の生活支援コーディネーターと位置づけ、第1層の生活支援コーディネーターとの連携し、インフォーマルサービス提供主体や福祉活動団体、住民組織等に呼びかけ、課題の共有や意識啓発、新たなサービス等の創出に向けた協議 体の設置を進めていく。 また、生活支援課題を抱える個人や世帯のニーズにきめ細かく対応するため、生活支援の枠組みを広く捉え、身近な福祉の窓口機能の強化や居場所づくり、住民活動の拡充や新たな活動メニューの創出等に努め、見守りや支えあいの視点による地区の福祉力の向上に取り組む。 C職員の専門支援スキルの強化 地区を担う職員の育成に向けて研修体制を強化していく。これまで実施してきた地域福祉コーディネーター研修等はもとより、都が実施する生活支援コーディネーター養成研修の積極的な受講を促進するとともに、社会福祉協議会内部研修として、事例検討を中心とした生活支援コーディネーター研修を実施していく。 また、社協がノウハウを持つ生活困窮や成年後見制度等に関する内部研修も拡充し、地区での相談窓口機能の強化に資する。 (6) 三者連携の対応 モデル事業の実施成果を踏まえ、三者連携会議の基本的な柱立てについて要綱を制定する。要綱に基づき、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会により定期的に三者連携会議を開催し、情報の共有、普及啓発、ネットワークづくり、地区の課題解決、地域づくりに関することに取り組む。 取組みの手法として、@地区アセスの作成、A三者連携による地域づくりを、以下の図表をモデルとして進めていく。 三者の顔の見える関係を築きながら、地区の課題の解決に向けた方向性や手法等について話し合いを行い、三者の調整や取りまとめの場としていく。 地区の課題解決に向けた手法モデル @地区課題の抽出→A課題への対応策の検討→B地区の区民意見の聴取→C地域版地域ケア会議での成功事例や解決できない課題の報告→D全区版地域ケア会議への報告→新たな政策へ (7) 総合支所の対応 @地域振興課の組織体制の整備 (3)@の組織改正(出張所からのまちづくり機能の分離)に合わせて、総合支所地域振興課についても、地域運営、地区まちづくりを支援する機能と、窓口業務機能を受け持つ組織体制(あらたに区民課を設置)に分割・再編し、責任体制を明確にし、地域包括ケアの地区展開を含めたまちづくりセンターへのバックアップ機能を強化する。 A保健福祉3課(生活支援課、保健福祉課、健康づくり課)の機能の充実 保健福祉3課においては、地域振興課と連携し、専門性を発揮した、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会のバックアップ機能の充実を図る。 バックアップ機能の充実に向けては、保健福祉3課の役割分担等についても検証し、必要に応じて見直しを検討する。なお、検討にあたっては、総合支所長の権限の強化と副支所長の役割、総合支所への権限移譲と役割の見直し等、今後の総合支所のあり方の検討の中で、検討を進めていくものとする。 (8)各分野における地区での相談支援について @障害福祉 全区展開に向けて、区内5地域に設置している地域障害者相談支援センターの機能及び人員体制を強化し、従前の相談支援業務に加え、あんしんすこやかセンターをはじめとする他分野の関係機関から引き継いだ相談や複数の分野にまたがる複合ケースについての訪問支援等の取組みを一層進める。 A子ども子育て あんしんすこやかセンターが、子どもや子育てに関する適切な情報提供を行うとともに、複合的な課題を抱えた家庭への相談に対応するために、子どもや子育て家庭が身近に集い、気軽に相談できる児童館(子育てひろば)やおでかけひろばと連携して地域・地区の子育て情報を共有するとともに、総合支所における子ども家庭支援センターやネウボラチームのバックアップ体制を整備していく必要がある。  また、「福祉の相談窓口」が子育て関係の施設の情報提供や子育てと介護等の複合的な問題を抱えた方の相談等を行う身近な相談窓口であることと、児童館(子育てひろば)やおでかけひろばが子どもや子育て家庭が身近に集い、気軽に相談できる場所であることをあわせて区民へ周知する。 (9)全庁的な対応 @組織体制等の整備 ア)組織 地域包括ケアの地区展開はまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者が連携し、総合支所と本庁所管課がバックアップして進めていくことから、広く庁内関係所管が連携を密にして取組みを進めていくことが重要である。 そのため、平成28年4月から地域包括ケア担当参事を保健福祉部内に置き、保健福祉領域内の調整機能を強化するとともに、総合支所や地域行政部等の関係所管との連携を図りながら地域包括ケアの地区展開を全地区で円滑に実施する。 イ)会議体 本事業は、区役所内の区民生活領域と保健福祉領域が連携して取り組むことが不可欠である。 そのため、総合支所連絡会や地域包括ケア地区展開推進会議等の連携を図る会議体を引き続き設置し、全地区での実施とその後の円滑な事業展開を図る。 ウ 情報共有等 三者の連携会議や課題解決の取組み等の情報を、他の地区や総合支所等で共有し、取組みの充実を図る情報共有の仕組みを検討する。 A研修の体系化と実施 地域包括ケアシステムの構築に向けて、区職員の研修を体系化するとともに、研修カリキュラムの充実を図る あんしんすこやかセンター職員に対し、障害者・子ども・生活困窮者に関する制度や業務内容と相談内容の引継ぎ方等のマニュアルを充実させ、それを使って研修を行う。 まちづくりセンター職員が適切な相談対応ができるよう、相談のつなぎ方についてのマニュアル作成と研修を行う。 B広報等 ○三者が一体となり、福祉の困りごとなど様々な相談を受ける窓口を、「福祉の相談窓口」と名付け、広報で統一的に名称を使用することで、窓口としての認知度を高め、区民の利用に結び付ける。 ○区のおしらせ特集号の発行(6月20日予定)やホームページ、PRチラシの回覧や掲示板での活用、イベント・集会での周知、スマートフォンアプリ、社会福祉協議会のメールマガジン等の多様な手段での広報を実施する。 ○地域包括ケアの地区展開の取組みが何を行うのか、区民にとってどう変わるのか等の周知を強化し、区民への浸透を図る。 ○障害福祉や子ども子育て等の分野の地区における相談支援の取組みとあわせた周知を行う。 11.地域包括ケアの地区展開と三者の充実に向けて 平成32年3月までの間に各地区におけるまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者の状況を検証し、平成29年7月の人員・体制の一部見直しや平成32年4月から開始する新しい業務についての検討を受けた人員・体制の見直しを行う。 (1)まちづくりセンター ○まちづくりセンターの充実については、地区防災、地域包括ケアの地区展開を軸とした地区の強化に引き続き取り組むとともに、新たに見出された課題にも迅速かつ的確に対応できるよう、地区まちづくりに関する業務についての見直しを進めている。 ○地域包括ケアの地区展開にあたっては、まちづくりセンターでは、これまでの活動に加え、あんしんすこやかセンターと社会福祉協議会と連携し、身近な福祉の相談に対応するほか、三者連携会議を通じて地区の課題を把握し、まちづくりセンターが把握している地区の人材とのネットワークにより、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会とともに解決に向けた取組みを進めていく。 ○平成28年7月の全地区実施に合わせ、現在の出張所を出張所機能とまちづくりセンター機能に分け、27地区すべてにまちづくりセンターを設置し、体制を強化するとともに、総合支所においても、現在の地域振興課を地域振興課と区民課に改組し、地域振興課においては、まちづくりセンターが担うまちづくりの視点に立った役割について機能強化を図る。 (2)あんしんすこやかセンター ○あんしんすこやかセンターにおいては、高齢者人口の増大や相談支援対象拡充の区民への浸透により、今後の相談需要の増大が予想される。今後高齢者以外の対象者の相談・支援については、実施していく中で経験を蓄積し、区民が安心して相談ができるよう、対応力を向上させていく。 ○介護保険制度の改正に伴い、介護予防ケアマネジメントや地域ケア会議の充実も求められていることから、これらも含めて今後の実施状況を踏まえ、体制を充実させていく。 (3)社会福祉協議会 ○社会福祉協議会においては、三者連携を基盤とした相談援助とつなぎ機能の発揮に向けて、地区担当職員等への実務研修を実施するとともに、地域事務所のスーパーバイザーによる指導・助言により着実な支援を行う。 ○社会福祉協議会本部に日常生活支援センターを設置して、区内NPO等の団体を中核にネットワークを組織するとともに、地区担当職員等のバックアップ体制の強化を図る。 <参考>展開図があります。 資料編 1.広報関係資料 …………………………………………………………………………… P.51 2.平成27年度地域包括ケアの地区展開の推進体制イメージ図……………………… P.56 3.地域包括ケアシステムの推進に向けた27年度の人材育成プログラム…………… P.57 4.地域包括ケアシステムの推進に向けた28年度の人材育成プログラム…………… P.58 5.相談記録票の流れ……………………………………………………………………… P.59 6.地域ケア会議体系図 …………………………………………………………………… P.60 7.世田谷区地域ケア会議要綱 …………………………………………………………… P.61 8.世田谷区地域包括ケアに係る三者連携会議設置要綱(案)……………………… P.63 1.広報関係資料 モデル事業実施にあたり、地区への周知については以下のとおり。 (1)全体広報(ホームページ、区のおしらせ等) 平成27年5月 5地区のPRチラシを計8,000 枚作成し、回覧・配布 資料1 同年6月15日 区のおしらせ 1面の一部、2面掲載 資料2    ホームページ「地域包括ケアシステムの取組み」を開設 資料3 メールマガジン配信 同月 エフエム世田谷「世田谷通信」ハッピーライフせたがや放送 同年7月25日 地域版区のおしらせ「せたがや」1面掲載 資料4 同年9月 PRチラシを増刷 同年10月 せたがや高齢・介護応援アプリ配信開始 (2)地区 平成28年3月19日 第6回砧地域ご近所フォーラム2016にてパネル掲示 資料5 チラシ配布や地区の会議体、イベント、車座集会等での広報 のぼりの掲示 資料6 7.世田谷区地域ケア会議要綱 平成28年4月1日 27世計調第435号 (目的) 第1条 この要綱は、高齢者、 障害者、子育て家庭等支援を必要とする全ての人が切れ目なく、包括的及び継続的に支援を受けられるようにするため、世田谷区地域保健医療福祉総合計画(平成26年3月策定)に示す地域包括ケアシステム(以下「地域包括ケアシステム」という。)の構築に必要な検討、提言等に関し必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この要綱において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとおりとする。 (1)地区 世田谷区出張所設置条例(昭和40年3月条例第2号)第2条に規定する出張所及びまちづくりセンターの所管区域をいう。(2)地域 世田谷区支所の設置及び組織に関する条例(平成2年11月世田谷区条例第46号)第2条に規定する支所の所管区域をいう。 (3)全区 区全域をいう。 (4)地区包括ケア会議 世田谷区地域包括支援センター事業実施要綱(平成18年4月1日18世介予第9号)第6条第5号に規定する地区包括ケア会議をいう。 (5)地域ケア連絡会 世田谷区地域ケア連絡会設置要綱(平成28年4月1日27世北保第548号)に規定する世田谷区地域ケア連絡会をいう。 (6)地域合同包括ケア会議 世田谷区地域包括支援センター事業実施要綱第6条第5号に規定する地域合同包括ケア会議をいう。 (7)地域保健福祉審議会 世田谷区地域保健福祉推進条例(平成8年3月世田谷区条例第7号)第19条第1項に規定する世田谷区地域保健福祉審議会をいう。 (検討事項等) 第3条 区長は、地域包括ケアシステムを効果的に機能させるため、区域の区分(地区、地域及び全区の別をいう。以下同じ。)ごとに次条に規定する会議体に、次に掲げる事項(以下「対象事項」という。)の一部又は全部について検討、意見の提言等をさせるものとする。 (1)福祉、医療、保健等に携わる者による、自立支援に資するケアマネジメントの実践力の向上及び支援を必要とする者に対する個別の支援に関すること。 (2)支援を必要とする者の実態把握又は課題解決を図るために行う地域包括支援ネットワークの構築に関すること。 (3)個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより行う地区又は地域に共通した課題の抽出に関すること。 (4)地区又は地域のネットワークを拡充し、インフォーマルサービス(住民、ボランティア等によるサービスをいう。)等の必要な社会資源の開発に関すること。 (5)地域包括ケアシステムの構築のために必要な取組を明らかにした上で行う政策の立案に向けた提言に関すること。 (会議体) 第4条 前条の会議体は、次のとおりとする。 区域の区分 会議体 対象事項 地区 地区包括ケア会議 前条第1号から第4号までに掲げる事項 地域 地域ケア連絡会及び地域合同包括ケア会議 前条第第2号から第4号までに掲げる事項 全区 地域保健福祉審議会 前条第5号に掲げる事項 2 前項の規定にかかわらず、区長は、必要に応じて区域の区分に応じた会議体を変更することができる。 (位置付け) 第5条 地区包括ケア会議において、その対象事項について検討、意見の提言等を行う場を地区版地域ケア会議と位置付ける。 2 地域ケア連絡会及び地域合同包括ケア会議において、その対象事項について検討、意見の提言等を行う場を地域版地域ケア会議と位置付ける。 3 地域保健福祉審議会において、その対象事項について検討、意見の提言等を行う場を全区版地域ケア会議と位置付ける。 4 地区版地域ケア会議、地域版地域ケア会議及び全区版地域ケア会議を世田谷区地域ケア会議と位置付ける。 (委任) 第6条 この要綱の施行について必要な事項は、保健福祉部長が別に定める。    附 則  この要綱は、平成28年4月1日から施行する。 8.世田谷区地域包括ケアに係る三者連携会議設置要綱(案) (趣旨) 第1条 この要綱は、地域包括ケアを地区展開するに際し、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター並びに社会福祉法人世田谷区社会福祉協議会(以下「社会福祉協議会」という。)(以下これらを「三者」という。)が、連携し、及び協働することにより、参加と協働の地域づくりを進めるために地区ごとに設置する世田谷区地域包括ケアに係る三者連携会議(以下「三者連携会議」という。)について必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この要綱において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。 (1)地区 世田谷区出張所設置条例(昭和40年3月世田谷区条例第2号)第2条に規定するまちづくりセンターの所管区域をいう。 (2)あんしんすこやかセンター 世田谷区地域包括支援センター事業実施要綱(平成18年4月1日18世介予第9号)別表第2に掲げる地域包括支援センター(介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の46第1項に規定する地域包括支援センターをいう。)をいう。 (所掌事項) 第3条 三者連携会議は、次に掲げる事項について調整し、及び検討する。 (1)地域包括ケアに係る情報の共有に関すること。 (2)地域包括ケアの地区展開の普及啓発に関すること。 (3)地区の住民、活動団体、法人等が参加する地域包括ケアに関するネットワークづくり及びその活動の支援に関すること。 (4)地区の住民、活動団体、法人等から提起された地区の地域包括ケアに関する課題の解決に関すること。 (5)地区の住民が主体となる地域包括ケアに関するサービスの創出等を通じた地域づくりに関すること。 (組織) 第4条 三者連携会議は、次に掲げる職員をもって組織する。 (1)まちづくりセンターの職員 (2)あんしんすこやかセンターの職員 (3)社会福祉協議会の職員 2 三者連携会議は、必要に応じて、前項に掲げる職員以外の者を会議に参加させることができる。 (会議) 第5条 三者連携会議は、まちづくりセンターの長が必要に応じて招集する。 (委任) 第6条 この要綱の施行について必要な事項は、総合支所長が別に定める。    附 則 この要綱は、平成28年7月1日から施行する。