いのちの門番「ゲートキーパー」
最終更新日 令和5年3月28日
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ゲートキーパー(Gatekeeper)とは、「門番」という意味です。自殺対策としてのゲートキーパーは、「身近な人の自殺のサインにいち早く気づき、必要な時に相談窓口への橋渡しをすることをサポートする人」のことです。特別な資格は必要ありません。あなたの身近な人のこころといのちを救うため、ゲートキーパーについて学んでみませんか。
自殺は、その多くが追い込まれた末の死です。自殺の背景には、精神保健上の問題だけでなく、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などの様々な社会的要因があることが知られています。
自殺に至る心理としては、様々な悩みが原因で追い詰められ自殺以外の選択肢が考えられない状態に陥ったり、社会とのつながりの減少や生きていても役に立たないという役割喪失感から、また与えられた役割の大きさに対する過剰な負担感から、危機的な状態にまで追い込まれてしまう過程と見ることができます。
自殺に追い込まれるという危機は「誰にでも起こり得る危機」です。“いつもと違うな”と感じたら下記の4つの役割を参考にまずは声をかけることから始めてみましょう。
ゲートキーパーの主な役割
ゲートキーパーの役割は、主に4つ(「気づき」「声かけ・傾聴(受け止める)」「つなぎ」「見守り」)あります。
(1)気づき
身近な人の様子を見て「あれ?いつもと違うな。」と思ったことはありませんか。様々な悩みを抱えることによって、精神面だけではなく身体上や日常的な行動にも影響を及ぼすことがあります。例えば・・・
- 食事量が減った。
- 突然、涙ぐんだり落ち着かなくなったりする。
- 不機嫌で怒りやイライラを爆発させる。
- よく眠れていない。
- 普段よりも疲れた顔をしている。
- 投げやりな態度になる。
- 身なりに構わなくなる。
- 仕事を休みがちになる。
このような気になる様子が見られたときは、「どうかしましたか?」「何かお困りですか?」などと声をかけましょう。また、あなた自身がその人のことを「心配しています。」というメッセージを添えることも大切です。
(2)傾聴(受け止める)
人に相談する、話をするということは、思った以上にハードルが高いものです。やっとの思いで相談しようと意を決してくれた人を尊重し、丁寧な態度を心がけましょう。決して話をそらさず、本人の気持ちを十分に受け止め、訴えに耳を傾けます。話を聞いてもらっただけで、安心したり気持ちが楽になったりすることもあります。
また、多くの問題を抱えている方は、混乱して話がまとまらないこともあるので、問題を整理しながら困っていることを受け止めます。
(3)つなぎ(直接支援と連携)
健康相談の中で多重債務の問題をキャッチしたり、生活困窮の窓口でこころの問題をキャッチしたり、担当とは異なる分野への働きかけが必要となることも多くあります。自殺を考えるほどの悩みを抱えている人は、多くの場合その背景に様々な問題が複雑に絡み合っている状況がみられます。そのため、最初につながった窓口が、必ずしもその人にとって最適な窓口とも限りません。自殺を防ぐためには、最初につながった窓口の人がゲートキーパーとなり、本人の抱える問題に応じて関係機関と連携し、継続的かつ効果的な支援ができるようにすることが重要です。
つなぐときのポイント
- つなごうとしている相談機関が適切かどうか判断できないときは、事前に相談機関へ確認したうえで情報提供を行う。
- 相談者自身が相談することが難しい場合、本人の了解を得たうえで、本人にかわって連絡を取ったり、窓口に同行したり、支援を検討する。
- 本人の個人情報の取り扱いは厳重に行い、必要最低限にとどめる。
- 本人が相談機関に出向く場合、交通手段も確実に伝えることで相談行動を高める。
- 本人が相談機関で相談できた場合、結果を報告する義務はないが、相談を受けたものとして「心配している」ことは伝え、必要に応じて相談に乗ることを伝える。
相談機関
(4)見守り
自殺を考えるほど追い詰められている人には、温かく寄り添いながら、じっくりと見守る支援が必要です。「ゲートキーパーとしての心がけ」も参考にしてください。
- 自ら相手と関わるためのこころの準備をしましょう
- 温かみのある対応をしましょう
- 真剣に聴いているという姿勢を相手に伝えましょう
- 相手の話を否定せず、しっかりと受け止めましょう
- 相手のこれまでの苦労をねぎらいましょう
- 心配していることを伝えましょう
- わかりやすく、ゆっくり丁寧に
- 一緒に考えることが支援です
- スキルアップも必要です
ゲートキーパー自身が、こころとからだの健康を保つことが大切です。一人で抱え込まず、信頼できる人と相談できる関係を作っておきましょう。
令和5年度ゲートキーパー講座のご案内
医療従事者向け【調整中】
患者や身近な方が、悩みやこころの不調を抱えているかもしれません。私たちは、どのように「気づき」「声かけ」「支えあう」ことができるでしょうか。
この講座では、専門職として対応する際の関わり方や相談機関との連携、自身のメンタルヘルスについて理解を深めます。
日程 |
令和5年3月7日(火曜日) |
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時間 |
午後7時50分~9時30分 |
会場 |
Zoomウェビナーによるオンライン |
申込方法
東京共同電子申請・届出サービスからお申し込みください。
申込期間:令和5年1月16日(月曜日)~2月26日(日曜日)
内容
講演:「命をつなぐ多職種連携講座~患者の「死にたい気持ち」に対応する心理状態の理解とリスクアセスメント~」
講師:松本 俊彦 医師( 国立精神・神経医療研究センター)
対象
世田谷区内在勤の医療従事者等
費用
無料
一般向け
2回連続講座を通じて、ゲートキーパーの役割や、⾝近な⼈から相談を受けた時の対応について、⼀緒に考えてみませんか。詳細は、添付ファイルのチラシをご覧ください。
初めてお話を聞く⽅にも分かりやすい内容です。皆様のご参加をお待ちしております。
日程 | 《第1回》令和5年9月5日(火曜日)《第2回》令和5年9月25日(月曜日) |
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時間 |
《第1回》午後2時~4時 《第2回》午後2時~4時 ※当日は講演開始30分前よりご入室いただけます。 |
会場 |
Zoomウェビナーによるオンライン |
内容
《第1回》
講演:ゲートキーパーの役割とは
講師:林 哲也 医師(東京タワーヴュークリニック麻布十番)
《第2回》
講演:心と命をささえる
講師:新福 正機 医師(独立行政法人国立病院機構 東京医療センター)
オンラインゲートキーパー研修動画
区民の誰もが自殺に追い込まれることのない社会を実現するためには、ゲートキーパーの存在が重要となります。
YouTube世田谷区オフィシャルチャンネルにてゲートキーパーの役割やストレスコントロールについてまとめた動画を配信しています。動画は専門的な職業の方に限らず、一般の方を対象とした内容の動画となっており、YouTubeを見られる環境であれば、いつでも、どこでも、何度でも、無料で受講することができます。
各回の「内容」をクリックすると動画に移動します(YouTube世田谷区オフィシャルチャンネル)。
内容 | 資料 | |
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第1部 | 悩んでいる人にどう気づき、対応するか―ゲートキーパーの役割― | ![]() |
第2部 | 事例で考える、悩んでいる人への対応 | ![]() |
第3部 | ![]() |
その他の取り組み
添付ファイル
- ゲートキーパー講座(医療従事者向け)チラシ(PDF形式 1,423キロバイト)
- ゲートキーパー講座(一般向け)チラシ(PDF形式 1,745キロバイト)
- オンラインゲートキーパー研修動画(区民向け) 第1部スライド(PDF形式 567キロバイト)
- オンラインゲートキーパー研修動画(区民向け) 第2部スライド(PDF形式 255キロバイト)
- オンラインゲートキーパー研修動画(区民向け) 第3部スライド(PDF形式 563キロバイト)
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関連リンク
このページについてのお問い合わせ先
世田谷保健所 健康推進課
電話番号 03-5432-2947
ファクシミリ 03-5432-3102