世田谷区新型インフルエンザ等対策行動計画  概要版 平成26年4月  世田谷区 この冊子には、目の不自由なかたのための音声コードが、各ページ両面に印刷されています。 1ページ 1 新型インフルエンザとは 新型インフルエンザは、毎年流行を繰り返しているインフルエンザウイルスとウイルスの病原性が大きく異なる新型のウイルスが出現することにより、およそ10年から40年の周期で発生しています。ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を獲得していないため、世界的な大流行となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすことが懸念されています。 2 新型インフルエンザ等対策特別措置法 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)は、病原性が高い新型インフルエンザや同様に危険性のある新感染症が発生した場合に、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的に、国、地方公共団体、指定公共機関、事業者等の責務、新型インフルエンザ等の発生時における措置及び新型インフルエンザ等緊急事態措置等の特別の措置を定めたものです。 3 世田谷区の行動計画の策定 平成25年4月に特措法が施行されたことに伴い、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(以下「政府行動計画」という。)及び「東京都新型インフルエンザ等対策行動計画」(以下「東京都行動計画」という。)が新たに作成されたことを踏まえ、この度、特措法第8条に基づき、区では新たな行動計画の作成を行いました。 本行動計画は、東京都行動計画に基づき、区における新型インフルエンザ等への対策の実施に関する基本的な方針や区が実施する対策を示し、病原性の高い新型インフルエンザ等への対応を念頭に置きつつ、発生した新型インフルエンザ等の特性を踏まえ、病原性が低い場合は弾力的な運用ができるよう、対策の選択肢を示すものです。 2ページ 4 対策の目的 1 感染拡大を可能な限り抑制し、区民の生命及び健康を保護する。 流行のピークを遅らせて、医療提供体制の整備等のための時間を確保します。 また、流行のピーク時の患者数等をなるべく少なくし、患者数等が医療機関の対応可能な人数を超えないようにするなど、適切な医療等の提供が受けられるようにして、重傷者数や死亡者数を減らします。 2 区民生活及び経済活動に及ぼす影響が最小となるようにする。 地域での感染拡大防止策等により、欠勤者の数を減らします。また、社会機能の維持に寄与する業務を行う事業者は、事業継続計画の作成・実施等により、医療の提供の業務又は区民生活及び経済活動の安定に寄与する業務の維持に努めます。 5 被害想定 都は、政府行動計画を参考に、現時点における科学的知見や過去に世界で大流行したインフルエンザのデータをもとに流行予測を行い、人口の集中する東京の特性を考慮して都民の約30%がり患するという被害想定を行いました。区は、これに準じて被害を想定しています。 〈流行規模・被害想定〉 り患割合 都民の約30%がり患 区民の約30%がり患 患者数 東京都3,785,000人 世田谷区246,000人 健康被害 流行予測による被害 外来受診者数 東京都3,785,000人 世田谷区246,000人 入院患者数 東京都291,200人 世田谷区19,000人 死亡者数 (インフルエンザ関連死亡者数)インフルエンザの流行によって、インフルエンザによる直接死亡だけでなく、インフルエンザ感染を契機とした急性気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患のほか、循環器疾患、脳血管疾患、腎疾患などを死因とする死亡も増加することが知られており、インフルエンザの流行評価の指標の一つとされている。 東京都14,100人 世田谷区900人 流行予測のピーク時の被害 いちにち新規外来患者数 東京都49,300人 世田谷区3,250人 いちにち最大患者数 東京都373,200人 世田谷区24,000人 いちにち新規入院患者数 東京都3,800人 世田谷区250人 1日最大必要病床数 東京都26,500床 世田谷区1,700床 3ページ 発生段階の考えかた 東京都行動計画で定める「未発生期、海外発生期、国内発生早期(都内では未発生)、都内発生早期、都内感染期、小康期」の6区分としています。また、医療体制については、都内感染期を3つのステージにさらに区分しています。 〈新型インフルエンザとうの発生段階〉 政府行動計画 国、地方 未発生期 都 未発生期 状態 新型インフルエンザとうが発生していない状態 政府行動計画 国、地方 海外発生期 都 海外発生期 状態 海外で新型インフルエンザとうが発生した状態 政府行動計画 国 国内発生早期 地方 地域未発生期 都 国内発生早期 状態 国内で患者が発生しているが全ての患者の接触歴を疫学調査で追える状態で、都内では患者が発生していない状態 政府行動計画 国 国内発生早期又は国内感染期 地方 地域発生早期 都 都内発生早期 状態 都内で新型インフルエンザとうの患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追える状態 政府行動計画 国 国内感染期 地方 地域感染期 都 都内感染期 医療体制 第一ステージ(通常の院内体制) 状態 都内で新型インフルエンザとうの患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態 (医療体制) 患者の接触歴が疫学調査で追えなくなり、入院勧告体制が解除された状態 政府行動計画 国 国内感染期 地方 地域感染期 都 都内感染期 医療体制 第二ステージ(院内体制の強化) 状態 都内で新型インフルエンザとうの患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態 医療体制 流行注意報発令レベル(10人/定点)を目安とし入院サーベイランスとうの結果から入院患者が急増している状態 政府行動計画 国 国内感染期 地方 地域感染期 都 都内感染期 医療体制 第三ステージ(緊急体制) 状態 都内で新型インフルエンザとうの患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態 医療体制 流行警報発令レベル(30人/定点)を目安とし、更に定点上昇中、かつ入院サーベイランスとうの結果から病床がひっ迫している状態 政府行動計画 国、地方 小康期 都 小康期 状態 新型インフルエンザとうの患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている状態 出典:東京都新型インフルエンザとう対策行動計画(東京都) 4ページ 7 対策の基本項目 ⑴ サーベイランス・情報収集 サーベイランスとは、疾病に関して様々な情報を収集して、状況を監視することをいいます。特に、感染症法に基づいて行われる感染症の発生状況の把握及び分析のことを示すこともあります。 区内における発生状況を迅速に把握し、必要な対策を実施することが大切ですので、都と連携してサーベイランス体制を確立し、情報を速やかに収集・分析していきます。 ⑵ 情報提供・共有 国、都、区、医療機関等、事業者及び区民の皆さんが役割を認識し、十分な情報を基に判断し、適切な行動をとるため、各発生段階において、正確で迅速な情報提供及びコミュニケーションに努めていきます。 ⑶ 区民相談 新型インフルエンザ等の病原性や感染力にかかわらず、区民の不安を解消し、適切な感染予防策を促すため、相談体制を整えます。 ⑷ 予防・まん延防止 新型インフルエンザ等の流行のピークをできるだけ遅らせることで体制の整備を図るための時間を確保すること、また、流行のピーク時の患者数等を最小限にとどめ、医療提供体制が対応可能な範囲内に収めることを目的に、区民の皆さんに、予防・まん延防止策への協力をお願いします。 ⑸ 予防接種 予防接種には、特定接種と住民接種の2種類があります。 区分 住民接種 緊急事態宣言が行われている場合(特措法第46条) 緊急事態でない場合(予防接種法第6条3項) 対象者とう 全区民 ①医学的ハイリスク者②小児③成人・若年者④高齢者の4つに区分し、発生時に新型インフルエンザの病原性等を踏まえて国が接種順位を決定する。 接種体制 原則、集団的接種 区分 特定接種(特措法第28条) 対象者とう 医療の提供、国民生活・国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者のうち、厚生労働大臣の示す基準に該当する者 接種体制 原則、集団的接種 5ページ ⑹ 医療 新型インフルエンザ等がまん延した場合は、患者数の大幅な増加が想定されます。医療提供体制を維持して、必要な医療を確保するため、限られた医療資源(医療従事者、病床等)を、効果的・効率的に活用できるよう医療提供体制の整備を行います。 ⑺ 区民生活及び経済活動の安定の確保 新型インフルエンザは各地域での流行が約8週間程度続くと言われており、新型インフルエンザ等が発生した時は、多くの区民がり患し、区民生活及び経済活動の大幅な縮小と停滞を招くおそれがあります。 このため、新型インフルエンザ等の発生時に、区民生活及び経済活動への影響を最小限とするよう、区、都、医療機関、事業者等は、発生時にどのように行動するか事前に準備を行い、発生時には互いに協力してこの危機を乗り越えることが重要です。 ⑻ 都市機能の維持 新型インフルエンザ等の発生時には、保健医療業務、危機管理業務などで、業務が増大しますが、区職員の欠勤は最大4割となることが想定されます。区は、限られた職員数で必要性の高い事業を確実に継続していくため、事業継続方針を弾力的に運用して対応します。 6,7ページ 発生段階に応じた主な対策 実施体制 未発生期 区の体制整備、関係機関との連携体制整備 海外発生期 「世田谷区新型インフルエンザ等対策委員会」で区の方針等を協議 国内発生早期(都内未発生) 政令で定める要件に該当する場合、国が緊急事態宣言を行う 区対策本部設置 国の基本的対処方針の変更や都の方針を受け、区の対策を変更しながら対処する 都内発生早期 政令で定める要件に該当する場合、国が緊急事態宣言を行う 国の基本的対処方針の変更や都の方針を受け、区の対策を変更しながら対処する 都内感染期 政令で定める要件に該当する場合、国が緊急事態宣言を行う 国の基本的対処方針の変更や都の方針を受け、区の対策を変更しながら対処する 小康期 区対策本部廃止 1 サーベイランス・情報収集 未発生期 平時のサーベイランス(発生状況の把握・分析)国などからの情報収集 海外発生期 サーベイランスを強化 海外での発生状況の把握 国内発生早期(都内未発生) 国内での発生状況などの情報収集 海外での発生状況の把握 都内発生早期 国内での発生状況などの情報収集 患者等の全数把握、学校などでの集団発生の把握の強化 都内感染期 全数把握を中止 入院サーベイランスにより、重症化リスクの程度を把握 小康期 平時のサーベイランス、再流行を早期に探知するため、学校などでの集団発生の把握を強化 2 情報提供・共有 未発生期 新型インフルエンザ等の基本的知識などの普及啓発、関係機関への情報提供と連絡体制整備 海外発生期 区民への発生状況、感染予防策、相談体制の周知、関係機関への情報提供 催物などの制限要請など感染拡大防止策の事前周知 国内発生早期(都内未発生) 区民への発生状況、感染予防策、相談体制の周知、関係機関への情報提供 催物などの制限要請など感染拡大防止策の事前周知 都内発生早期 区民への発生状況、感染予防策、相談体制の周知、関係機関への情報提供 事業者に対して、職場での感染拡大防止策徹底を依頼 都内感染期 区民への発生状況、感染予防策、相談体制の周知、関係機関への情報提供 事業者に対して、職場での感染拡大防止策徹底を依頼 小康期 第一波終息発表、第二波発生の可能性やそれに備える必要性の情報提供 3 区民相談 未発生期 発生段階に応じた相談体制の整備 海外発生期 新型インフルエンザ相談センターを設置し、相談対応、専門外来の案内を行う 国内発生早期(都内未発生期) 新型インフルエンザ相談センターを設置し、相談対応、専門外来の案内を行う 区役所各部が一般相談に対応し、相談内容を区役所内で情報共有する 都内発生早期 新型インフルエンザ相談センターを設置し、相談対応、専門外来の案内を行う 区役所各部が一般相談に対応し、相談内容を区役所内で情報共有する 都内感染期 新型インフルエンザ相談センターを設置し、相談対応、専門外来の案内を行う 区役所各部が一般相談に対応し、相談内容を区役所内で情報共有する 小康期 平常体制の回復 4 予防・まん延防止 未発生期 マスク着用、咳エチケット、手洗いなどの基本的な感染予防策の普及啓発 海外発生期 感染予防策などの呼びかけ 検疫所が実施する防疫措置、疫学調査などへの協力 国内発生早期(都内未発生) 感染予防策などの呼びかけ 検疫所が実施する防疫措置、疫学調査などへの協力 感染症法に基づく患者及び濃厚接触者への対応 都内発生早期 感染予防策などの呼びかけ 検疫所が実施する防疫措置、疫学調査などへの協力 感染症法に基づく患者及び濃厚接触者への対応 感染リスクの高い施設の感染対策 都が行う不要不急の外出自粛要請や施設の使用制限などを区民に周知し協力を依頼する(緊急事態宣言の場合) 都内感染期 感染予防策などの呼びかけ 感染リスクの高い施設の感染対策 都が行う不要不急の外出自粛要請や施設の使用制限などを区民に周知し協力を依頼する(緊急事態宣言の場合) 患者の濃厚接触者に対する措置を中止 小康期 感染拡大防止策の見直し 5 予防接種 未発生期 特定接種実施に対する協力体制の構築、住民接種実施体制の構築 海外発生期 住民接種の準備 国の指示に基づき特定接種を実施 国内発生早期(都内未発生) 住民接種の準備 国の支持に基づき特定接種を実施 都内発生早期 住民接種の実施 国の支持に基づき特定接種を実施 都内感染期 住民接種の実施 小康期 第二波に備え接種の継続 6 医療 未発生期 東京都や関係機関と連携して地域医療提供体制の整備 国内発生早期(都内未発生) 専門外来での受診、指定医療機関での入院 濃厚接触者への対応(必要に応じて抗インフルエンザウイルス薬の投与など) 都内発生早期 専門外来での受診、指定医療機関での入院 濃厚接触者への対応(必要に応じて抗インフルエンザウイルス薬の投与など) 都内感染期 全ての医療機関での診療受け入れ、感染症法に基づく入院措置の中止 小康期 平常体制の回復 7 区民生活及び経済活動の安定の確保 未発生期 都内感染期における要援護者の生活支援などについての検討 海外発生期 食料品・生活関連物資などの消費者などの動向を把握 国内発生早期(都内未発生) 食料品・生活関連物資などの消費者などの動向を把握 要援護者への生活支援の準備 都内発生早期 買占め、売惜しみ防止の呼びかけ 要援護者への生活支援の準備及び実施 都内感染期 買占め、売惜しみ防止の呼びかけ 要援護者の生活支援実施 小康期 平常活動の回復 8 都市機能の維持 未発生期 区役所の業務継続計画(BCP)の整備など 国内発生早期(都内未発生) 埋火葬の受け入れ体制の整備 都内発生早期 埋火葬の受け入れ体制の整備 区役所の事業をその必要性に応じた優先度により継続する 都内感染期 遺体安置所の設置 区役所の事業をその必要性に応じた優先度により継続する 小康期 平常体制の回復 8ページ 世田谷区新型インフルエンザ等対策行動計画 概要版 平成26年4月 発行 世田谷区 編集 世田谷保健所 〒154-8504 東京都世田谷区世田谷4の22の35 電話 0354322432 ファックス 0354323022 (広報印刷登録番号 ナンバー1175)