健康せたがやプラン(第二次)後期(平成29年度〜33年度) 世田谷区 はじめに ○区長あいさつ はじめに  健康は、生活の基本です。 世田谷区は、区民の健康の保持、増進を図るため、平成24年度から10か年の総合保健計画「健康せたがやプラン(第二次)」を策定し、この間、がん対策やこころの健康づくりなど、さまざまな取組みを進めてまいりました。健康に関する統計等によると、23区、東京都全体と比較しましても、世田谷区民の健康状況は比較的良好なものと推測されます。また、健康に対する意識も高く、健康づくりに取り組む区民も多くいます。その一方で、健康に関心はあるが実践に結びついていない人や、健康への関心が薄い人がいることがわかりました。また、区民の死因の6割を占める生活習慣病では、性別や年代で気をつける病気や症状に特徴がありました。計画の中間地点の見直しにあたり、区民の生活の質の一層の向上を図るためには、健康への意識づけや健康づくりのきっかけづくり、そして継続して活動できるための環境づくりが必要です。また、行政のみならず、区民や事業者など、さまざまな人たちが力を合わせて、健康づくりを盛り上げていくことが重要です。 区では、平成28年7月より、福祉の相談窓口を設置し、新たな地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。病気や障害、支援の必要の有無に関わらず、あらゆる世代を対象に、区民や地域団体等と協働し、地域を支えあう多様な取組みを進めてまいります。健康で安心して暮らし続けられるよう、地域住民が相互に信頼し、地域の利益や支えあいの水準を上げていけるような「いいコミュニティ」づくりを、健康づくりの面からも働きかけ、「区民が生涯にわたり健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現」を区民の皆さんとともに実現してまいります。 平成29年3月 世田谷区長 保坂 展人 ○岩永会長あいさつ 健康せたがやプラン(第二次)後期に寄せて  このたび、健康せたがやプラン(第二次)後期が策定されました。後期プランの改定にあたっては、まず、プランの基本理念や推進のための基本的な考え方を振り返り、めざす姿に対して、今どの地点まできているのか、足りないことは何か、といった具体的な視点を持つことを大切にして進めて参りました。計画ができて、何年か取り組んでいくうちに、本来の目標や取組みの基本的な考え方等が薄れてしまいがちです。今回の見直しで、今後5年間、私たちが目指す世田谷区の健康づくり像を改めて認識し、共有することができたことは大変有意義だったと感じています。 計画を策定する上で大切なことは、健康づくりに取り組む区民や行政、地域団体等、関係者が実現したい具体的なイメージを共有し、その実現に向けてそれぞれの取組みや果たすべき役割を具体化することです。後期では、区民一人ひとりが健康に良いことを何かひとつプラスして健康づくりに取り組むことに焦点を当て、その具体化を検討してきました。昨秋開催した区民意見交換会では、日頃、地域で活動している区民や地域団体、関係機関等から、健康づくりを地域で広めていくことについて工夫や悩みなど、さまざまなご意見をいただきました。今後に向けて、それぞれで取り組んでいくイメージを共有することができ、後期プランにも反映することができました。 健康せたがやプラン(第二次)は、いよいよ後半の仕上げの時期に入ります。この計画が、区民の健やかに暮らすことのできる世田谷区の創造に向けて、区、区民、専門家や地域の関係機関、団体などが知恵と力を出し合いながら、次のステップを踏み出す基盤となることを大いに期待しております。 平成29年3月 世田谷区健康づくり推進委員会会長 岩永 俊博   第1章 健康せたがやプラン(第二次)後期のめざす姿 「健康」とは、単に病気や虚弱では  ないというのみならず、身体的、精神的、そして社会的に良好な状態(世界保健 機関(WHO)の“健康の定義”より)をいい、誰もが健やかに生き生きと暮らすための最も基本となるものです。「世田谷区健康づくり推進条例」(以下「条例」という。)の前文では、健康は、疾病や障害の有無にかかわらず、健やかに生き生きと暮らすための基本とするとともに、区民の共通の願いと謳っています。また、その願いを実現するためには、区が健康づくりの施策を構築し展開することに加え、区民一人ひとりが自らの健康状態を自覚し、生活の質の向上をめざして健康の保持、増進を図ること、区民が健康に関して安全で安心して生活できる地域社会全体の環境づくりを進めること、さらに、地域での様々な  健康づくり活動を地域社会全体の取組みとして、社会環境や生活環境の整備につなげていくことが重要であるとしています。 区は、条例の主旨である『健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現』に向け、平成24年3月に策定した「健康せたがやプラン(第二次)」(以下「第二次プラン」という。)を通じ、様々な健康づくり施策に取り組んできました。 しかし、区民の健康意識は高まっているものの、一人ひとりの生活習慣の改善がなかなかはかどらない実態、増加を続ける医療費の負担、何らかのストレスを感じている人が多い現状、エボラ出血熱等の新興・再興感染症の出現や食に関する事件・事故の発生、巨大地震等の発生における災害時の保健医療連携体制など、健康に係る課題や不安が浮き彫りとなっています。 区は、平成28年7月から「誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現」をめざし、新たな地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。新たなシステムでは、対象を高齢者だけではなく、あらゆる世代とし、病気や障害、支援の必要の有無に関わらず広く捉えて、区民や地域の活動団体等と共同し、健康づくりを含め、参加と協働により多様な取組みの展開を図ります。 このような状況の中、区は、第二次プランの中間評価、「区民の健康に関する調査」等から、区民の健康課題等を把握し、第二次プランの改善点や新たな課題の対応を目的に、平成29年度から向こう5か年にわたる「健康せたがやプラン(第二次)後期」(以下、「後期プラン」という。)を策定しました。 1.健康せたがやプラン(第二次)後期の背景と目的 2.基本理念(めざす姿) (1)基本理念の考え方 ○後期プランの基本理念〜区民が生涯にわたり健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現 (2)基本理念の内容 ■ “区民が”とは  性別や国籍の違い、病気や障害などのありなしにかかわらず、全ての区民を指します。 ■ “生涯にわたり”とは  区民一人ひとりの誕生から生涯を閉じるまでの期間を指します。 ■ “健やかで”とは  単に病気や虚弱でないというのみならず、身体的、精神的、そして社会的に良好な状態を意味します。 ■ “こころ豊かに暮らすことができる”とは  身体の健康だけでなく、悩みや不安を持ちつつも、生きがいや自分の役割などを認識し、家庭や学校、職場、地域の中など自分らしさを発揮しながら、心身ともに充実した日々を送っていることを意味します。 ■ “地域社会の実現”とは  区、区民、地域団体事業者などがそれぞれの役割を果たしつつ、協働により健康づくりを推進し、全ての区民の健康の保持・増進と、安全で安心して生活できる地域社会の環境やしくみが整備されることを意味します。 3.後期プランの目標 (1)3つの目標 目標1:区民の誰もが自らの健康に関心を持ち、自分にあった健康像の実現に取り組んでいる 目標2:人と人との絆が育む地域社会の中で、区民が健康の保持・増進に取り組み生き生きと生活している 目標3:将来にわたり安全で安心な生活環境の中で、すべての区民が健やかでこころ豊かに暮し続けている (2)目標の考え方 【目標1の考え方】 健康づくりの基本は、区民一人ひとりが自分の健康状態を自覚しつつ、生活の質の向上をめざし、主体的に健康の保持・増進に向け取り組むことです。「世田谷区民の健康づくりに関する調査」(平成27年度)からは、区民の健康意識は高いと推察されますが、生活習慣の改善には至っていない実態が見られました。このことから、第1の目標は、引き続き、健康を自ら維持する力、実感できる力などの「自助努力」としています。 【目標2の考え方】 健康づくりにおいては、個人の力だけでは、実現や継続ができないことが数多くあります。地域の中で一緒に行動できる仲間、お互いを知り気遣える心のゆとり、万一の際に助け合える関係など、「共助」の考えに基づく主体的で多様な地域活動が活発に展開されることが必要です。「世田谷区民の健康づくりに関する調査」(平成27年度)からは、地域の人たちとのつながりは弱いと思う方の割合が高い一方で、多くの方が、きっかけ等があれば、地域で何らかの役に立ちたい等、社会の中で充実感を得たいと感じている実態が見られました。このことから、第2の目標は、引き続き、良好な地域コミュニティを形成しながら、人と人の結びつきの中で自分らしさを発揮し、生き生きと生活できる関係である「共助」としています。 【目標3の考え方】 区民が、自らの住む地域や住まいなどの生活環境の安全を享受し、毎日をこころ穏やかに暮らしていくためには、自らの世代だけでなく、将来にわたり安全で安心な生活環境が保障されていなければなりません。緊急時のリスク管理の必要性や、健康危機管理体制の充実はもちろんのこと、そのめざすところは区民の健康と生命、暮らしの「安全」の確保にあります。こうした生活環境の確保は、個人や地域社会だけで表現することは難しく、行政が主体となり区民や地域社会とも連携を図り取り組む必要があることから、第3の目標は、引き続き「公助」としました。 4.後期プランの全体像に対する評価指標と目標 5.後期プラン推進のための基本的な考え方 (1)後期プランの推進にあたって 第二次プランでは、「区民主体・区民参画」「地域での協働・連帯」「科学的根拠に基づく施策」の視点を尊重しつつ、この間の社会状況の変化や将来にわたる健康施策の推進を念頭に、新たに「行動と継続」「安全・安心」「予防と新たな健康の創造」を視点として加え、以下に示す5つの考え方を「プランを推進するための基本的な考え方」としました。後期プランの施策の実施にあたっては、これらの考え方を継承し、推進していきます。 (2)基本的な考え方の内容 考え方1 区民の主体的な行動と継続 《説明》 区民自らが、正しい健康情報を得、学び、健康状態を理解し、健康の保持・増進に必要な実践的な行動に主体的に取り組むこと、また、その行動が生涯にわたり継続されることが大切です。 考え方2 地域での協働・参画と連携 《説明》 地域では、多様で活発な健康づくり活動が行われています。例えば、地域包括ケアの地区展開のように、より効果的に健康づくりを推進するには、行政だけでなく区民、地域団体、事業者などが参画し、施策や事業を立案するとともに、連携と協力のもとで展開することが不可欠です。 考え方3 科学的根拠に基づく施策の展開 《説明》 保健・衛生施策は、区民の健康状態や地域の実態を調査分析したうえで、適正に評価しながら実施する必要があります。各種健(検)診データなど科学的な根拠に基づき、施策を展開するものです。 考え方4 健康に係わる安全・安心の確保 《説明》 保健・衛生施策は「安全」を基本に推進してきましたが、食や生活環境への不安など、安全だけでは捉え切れない健康課題が生じています。今後の施策推進においては、「安心」も展開の視点とするものです。 考え方5 予防と新たな健康の創造 《説明》 保健・衛生施策や健康づくり施策には、「予防」が不可欠ですが、同時に一人ひとりの健康状況や環境に応じたハイリスクアプローチや健康状態の改善の視点も必要です。さらに、男女の別、国籍、疾病や障害の有無などにかかわらず、誰もが健やかに生き生きと暮らし続けていけることなど、新たな健康の創造の視点も不可欠です。 6.後期プランの位置づけ (1)後期プランの位置づけ 後期プランは、条例に定める区の「健康づくり計画」であるとともに、健康増進法に定める区市町村の「健康増進計画」、食育基本法による区市町村の「食育推進計画」としての位置づけを併せ持つものです。また、母子保健計画も内包する、区の総合保健計画です。さらに、世田谷区基本構想・基本計画、区の地域保健医療福祉総合計画を上位計画とし、区の各種分野別計画とも整合・連携を図ります。なお、平成27年度末策定の「がん対策推進計画」は、第二次プランの分野別計画として位置づけたことから、後期プランにおいても、施策「がん対策の推進」の平成29年度以降の取組みは、「がん対策推進計画」と連動し、推進します。 (2)後期プランの期間 後期プランの計画期間は、平成29〜33年度の5年間とし、前期(平成24〜28年度)と後期(平成29〜33年度)を合わせた最終評価を実施した後、平成34年度を目途に、新たな健康せたがやプランの策定を予定します。なお、本プラン策定後の社会状況の激変や新たな基本構想・基本計画の策定に伴い、後期プランの改定等の必要が生じた場合 には、適宜改定を行うものとします。  第2章 世田谷区の健康づくりを取り巻く状況と区民の健康課題 1.世田谷区の健康づくりの取組状況 (1)健康づくりの取組み  区は、こころ豊かに暮らせる地域社会の実現をめざして、平成14年に世田谷区初の健康づくり計画として「健康せたがやプラン」を策定しました。平成18年にはヘルスプロモーションの理念を基本として、区民・地域団体・事業者等との協働による健康づくりをより一層推進するために、「世田谷区健康づくり推進条例」を施行しました。平成24年度には、総合保健計画に体系を再構築した「第二次プラン」をスタートさせ、特に留意すべき主要な健康課題への対応として「生活習慣病対策の推進」「食育の推進」「こころの健康づくり」「がん対策の推進」を重点施策とし、総合的かつ戦略的に取り組んでいるとともに、ライフステージやテーマに応じた施策や生活環境対策や感染症対策等、区民の安全と安心を確保するための施策や地域の特性を活かした区民との協働による施策等にも積極的に取り組んでいます。具体的には、「生活習慣病対策の推進」では、区民の健(検)診データ等をまとめ、健康課題を明らかにし、重症化予防事業等を実施しているほか、働く世代の生活習慣改善を働きかけるため、全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部等の職域保健と連携して普及・啓発や職場の健康づくりの支援等に取り組んでいます。「食育の推進」では、食育を推進する関係者相互のネットワークを活かし、異世代交流による共食の機会の拡充や食育ガイドブックを活用した普及・啓発など、間断なき食育の推進に取り組んでいます。「こころの健康づくり」では、精神疾患に関する偏見や誤解のない地域づくりを図るため「こころの健康を考える区民会議」を設置し、場づくり等を行っているほか、思春期世代の相談場所の設置、医療機関と連携した自殺未遂者支援、グリーフケア等に取り組んでいます。「がん対策の推進」では、この間、特定健診や長寿健診との同時受診を実施するなど、受診しやすい環境づくりに取り組んでいるほか、保健センターに「がん相談コーナー」を開設し、がん患者やその家族の療養生活の支援に取り組んでいます。また、対策の強化を図るため、平成26年度に「がん対策推進条例」を制定し、27年度には「がん対策推進計画」を策定するなど、積極的に取り組んでいます。 区民の個々の状況やライフステージに応じた施策では、妊娠届出時にアンケートを行い、妊婦の育児課題等に対応するなどの「親と子の健康づくり」、性感染症予防の啓発やこころの相談などを通じた「思春期の健康づくり」、生きがいづくりや介護予防を通じて高齢期の健康づくりを支援する「健康長寿の推進」、女性特有の病気や体調の変化を踏まえた支援を行う「女性の健康づくり」、ライフステージに応じた歯科健診や8020運動を展開する「口と歯の健康づくり」、たばこやアルコール、薬物依存などの予防や改善を支援する「たばこ・アルコール対策・薬物乱用防止対策の推進」といった健康づくり施策に取り組んでいます。将来にわたる安全で安心な生活環境を確保するための施策では、健康的で安全・安心な住まいの実現に向け、シックハウス対策やダニアレルギー予防、飲み水の安全や衛生対策などの「健康的な生活環境の推進」、食の安全対策として食品事業者への衛生監視や指導、区民への食品衛生に関する啓発、食品事業者の自主的衛生管理の支援などの「食の安全・安心の推進」、感染症予防の知識の普及・啓発や予防接種、まん延防止対策などの「感染症予防対策の推進」、新興・再興感染症の発生時や健康危機発生時の管理体制の整備、災害時の保健医療体制の整備などの「健康危機管理の向上」といった施策にも取り組んでいます。 また、総合支所では地域の特性を活かし、区民との協働による多様な健康づくり事業を展開しています。 2.世田谷区民の健康課題 (1)世田谷区民の健康課題 ○肥満や糖尿病、がんなどの生活習慣病 が増加傾向にあります。多くの区民は、「自分は健康だと思い」健康について関心を持っていますが、意識があっても実践につながらない人や健康に関心のない人など、望ましい健康状態に 至っていない区民も未だに相当数いる ことから、生活習慣の改善に向けた行動につながるような支援が重要となっています。 ○区民の平均寿命は延伸していますが、65歳健康寿命は横ばいです。また、「データでみるせたがやの健康(平成26年9月)」によると、区民の死因の6割を占める生活習慣病では、30歳代から医療費が高くなってきています。また、男性では「糖尿病」や「心疾患」、女性は「骨・関節疾患」や「大腸がん」、肥満では40歳代〜50歳代の男性など、性別や年代で気をつけるべき病気や症状には特徴があり、若い世代、特に働き盛りの世代の健康づくりが一層重要です。 ○地域で行っている健康づくりに関する自主グループやサークルについての参加意向は低い傾向にあり、身近な地域の人たちと健康づくり活動をしている区民は限定されている傾向があると考えられます。しかし、きっかけがあれば社会に貢献したいと考えている区民も多いことから、地域における人と人との絆を育むほか、趣味などを通じた社会との緩やかなつながり(知縁)等、多様性を認めた世田谷区らしいソーシャルキャピタルの醸成を図ることが重要です。 ○女性は、閉経以降の女性ホルモンの分泌量の低下により「骨粗しょう症」や「更年期障害」等、心身に女性特有の変化が起こります。また、若い世代のやせ志向は依然として高いままであり、正しい生活習慣への理解と改善が重要な課題です。 ○出産年齢の高齢化、母親の就業率の増加などの変化する子育て環境の中、専門職による妊娠期全数面接、乳児期家庭への全戸訪問、乳幼児健診など母子保健の充実により、支援の必要な親子の早期支援のしくみを推進しています。さらに、地域の子育てグループや子育て関連企業などとの連携を深めることで、こころにゆとりを持って子育てできる地域づくりを強化していく必要があります。 ○高齢期世代であっても、地域活動への参加は低く、平均寿命と比べると健康寿命は横ばいで推移し、要介護認定者も増加しています。高齢者の健康を保持・増進し、生きがいをもって生活できるよう、健康づくりと介護予防の取組みが効果的に関係所管で連動するとともに、支援が必要な高齢者が地域で安心して生活できるようにしていく必要があります。 ○新型インフルエンザや新興感染症、自然災害、医薬品、食中毒、飲料水等に関して、何らかの原因で、生命や健康を脅かす事態が発生しています。区民の主体的な正しい知識の習得、意識向上に資する啓発や効果的な情報発信のほか、健康危機や災害時における関係団体等との緊密な連携体制の構築をこれまで以上に深めていく必要があります。 (2)世田谷区民の健康状況の概要 ○主な死因について 平成27年の死因別死亡数は、第1位ががんで1,909人です。前年より死亡数で67人減少(人口10万対の死亡率は210.5で、死亡率は9.0ポイント減少)していますが、依然として全体の3割を占めています。第2位は心疾患の954人(前年より63人増加し、死亡率は6.1ポイント増)、第3位は肺炎および気管支炎の543人と なっています。また、がんや心疾患、脳血管疾患といった、いわゆる三大生活習慣病を原因とする死亡者数が全体の5割以上となっています。 ○主要疾病による死亡の23区比較 「標準化死亡比」とは、異なった年齢構成を持つ地域間でも死亡率の比較が 可能となるように計算された指標です。世田谷区では、大腸がんの女性を除き、心疾患、脳血管疾患、自殺の全てで、東京都より死亡比が下回っています。 ○がんについて 死因別死亡数の約3割を占めるがんの部位別死亡数の順位をみると、全体では気管・気管支・肺、大腸、胃となっています。また、男性は、気管・気管支・肺、胃、大腸の順、女性は、大腸、気管・気管支・肺、膵臓の順となっています。 ○特定健康診査について 平成26年度の国民健康保険の特定健康 診査受診者(54,191人)のうち、内臓脂肪型肥満があり、血圧、血糖、脂質のいずれかの項目が、保健指導基準を超えているものの割合は、どの項目についても女性より、男性の方が高く、中でも血圧は男性の30.4%となっています。特定健康診査の対象者のうち、最も若い年齢層である40歳〜44歳において、血圧は男性15.4%、女性2.7%、脂質は男性19.8%、女性2.5%、血糖は男性8.3%、女性1.6%が基準を超えています。 ○自殺について 平成26年の人口10万人あたりの自殺死亡率は、全国19.5、東京都18.7、世田谷区15.7となっており、全国や東京都と比べ低い状況です。男女別自殺者数は、男性89件、女性52件と、男性が全体の約6割を占めています。また、年齢別では、50歳代が28件と最も多く、僅差で20歳代が26件、40歳代が25件となっています。これらの年齢では、いずれも男性が18件と約7割を占めています。 ○平均寿命について 平成22年の生命表が国や東京都と世田谷区を比較できる平均寿命の最新データです。それによると、世田谷区の平均寿命は、男性81.2歳、女性87.5歳で、ともに特別区の中で上位3位となっており、全国の男性79.6歳、女性86.4歳や東京都の男性79.9歳、女性86.4歳を上回っています。さらに男性は、全国の自治体の中でも上位42位に位置するなど、世田谷区は 平均寿命が長い自治体となっています。 ○65歳健康寿命について 「65歳健康寿命」(東京保健所長会方式)とは、65歳の人が要介護認定を受けるまでの間を健康と考え、認定を 受ける年齢を平均的に表したものです。「要支援の認定を受けるまでの期間」を健康と考えた場合、男性81.18歳、女性82.27歳となっています。また、「要介護2の認定を受けるまでの期間」を健康と考えた場合、男性82.79歳、女性85.48歳となっています。 ○重度歯周病のある者の割合(CPI評価歯周組織の状況が3以上) 平成26年度の成人歯科健診では、重度 歯周病のある者の割合は、40歳33.9%、50歳37.7%、60歳42.3%、70歳47.2%となっており、年代が上がるほど重度歯周病のある区民の割合が上昇しています。また、40歳と70歳は、平成25年度から約5.0ポイント増となっています。 (3)世田谷区民の健康づくりに関する調査結果 「健康せたがやプラン(第二次)」の計画期間の中間段階において、評価および後期プラン策定に向けた基礎資料とする ため、平成27年度に第二次プランの中間評価および区民の健康に係る意識調査を実施しました。(詳細は、別冊「世田谷区民の健康づくりに関する調査報告書(平成28年3月)」を参照)調査結果に基づき、「区民の健康意識」「区民の生活習慣」、「区民の健康状態」、および「地域別の特徴」の4つの視点で、以下のとおり整理しました。 (4)健康せたがやプラン(第二次)の中間評価 平成28年に策定した「健康せたがやプラン(第二次)中間評価」は、健康づくりに関する意識調査などを基に、平成24年度〜27年度までの「健康せたがやプラン(第二次)」の健康づくり施策や事業の実績、指標の達成状況などを整理しつつ、取組みの評価と今後の課題を抽出したものです。 第3章 健康づくり施策 1.施策の体系 (1)後期プランの目標を達成するための施策  第二次プランでは、目標の達成をめざし、区民の健康課題等を解決するための施策を体系的に取り組んでまいりました。第二次プランの中間評価では、区の取組みは、概ね計画どおり進められており、後期においても着実に各施策の取組みを推進していくことが求められます。このことから、後期プランにおいても、この体系を継承し、取り組んでまいります。特に、社会全体にとって大きな影響を及ぼしている健康課題や区民の健康 づくりの基本となる課題に対する施策は「主要な健康課題への対応」(4施策)とし、重点施策として位置づけています。この4つの施策については、引き続き5年間にわたり、より戦略的かつ総合的に取り組むこととしています。なお、後期プランでは、重点施策を効果的に進めるため、病気や障害のありなしにかかわらず、区民一人ひとりが、健康に良いことを何かひとつ実践できるよう、様々な主体と連携して働きかける健康づくり運動「健康せたがやプラス1」を展開していきます。  それ以外の施策も同様に「一人ひとりの健康づくりの支援」(6施策)、「健康に関する安全と安心の確保」(4施策)および「地域の健康づくり」を施策の柱として体系に位置づけています。具体的な進め方については、これまで築き上げた区民参画や地域での協働の土台を引き継ぎ、区民一人ひとりの健康の保持・増進に向けた様々な健康づくり への支援や、地域の特性を活かした健康 づくりを地域包括ケアシステムの構築により推進していきます。(38ページ)さらに、施策を推進する5つの考え方に基づき、区民の健康づくり施策に取り組んでいきます。なお、「主要な健康課題への対応」、「一人ひとりの健康づくりの支援」、健康に関する安全と安心の確保」については本章で、「地域の健康づくり」については、第4章で詳しく示します。 (2)施策の体系図 (3)健康せたがやプラン(第二次)後期の全体構成イメージ図 2.施策の評価指標とめざす目標 (1)施策の評価指標の設定  第二次プランでは、施策ごとに評価指標を設け、施策の達成状況を客観的に評価しました。後期プランにおいても、施策ごとに示す事業等の活動量、実績など、区のサービス成果を測る活動(アウトプット)指標と、行政活動による区民への効果や効用、目的達成などの成果(アウトカム)を測る2つの視点(表1)を基に、各施策の評価指標を設定し、評価します。また、各施策を効果的に推進するため、それぞれの評価指標に「めざす目標」を設定し、設定年度を後期プランの最終評価年度である平成33年度(予定)とします。これらの指標を活用して、後期プランの評価を行うとともに、第二次プランの総括を行っていきます。 (2)施策のめざす目標  評価指標に示した「活動指標」と「成果指標」のうち、「成果指標」は行政活動による区民への効果や効用、目的達成などの成果を客観的に測る指標です。この間、第二次プラン策定時の基準値をベースラインに、各施策においては、平成28年度末の目標値を定め、取り組んでまいりました。後期プランの指標は、第二次プランの基準値からの達成状況を踏まえ、平成27年度に行った中間評価時点を基準値として、新たに最終年度である5年後の平成33年度に「めざす目標」を設定しています。区は、施策等を実施し、区民は積極的に健康行動をとり、区と区民がともにその目標達成に向け努力することを期待するものです。 ■健康せたがやプラン(第二次)後期を推進する全体像■ 3.健康づくり運動 「健康せたがやプラス1」 (1)健康づくり運動の基本的な考え方・取組み  区民の健康に係る各種の統計や「区民の健康づくりに関する調査」(平成27年度実施)、プランの中間評価から、23区や東京都全体と平均寿命などを比較しても、世田谷区民の健康状況は比較的良好なものと推測され、「健康」に対する意識も高く、健康づくりに取り組んでいる区民も多くいる一方で、健康に関する意識はあっても実践につながらない人や若い世代など関心が薄い人がいることがわかりました。そこで、後期プランにおいては、より多くの区民が、生活の質の向上に必要な行動(一人ひとりの健康づくり)に主体的かつ継続的に取り組めるよう一層働きかけていくことが課題です。このことから、後期プランでは、区民一人ひとりが何かひとつ健康に良いことを生活の中に加えられるよう、区民、事業者や庁内、関係機関等と連携し、簡単に、楽しく、結果的に健康づくりにつながることを働きかけ、関心や参加を促せるよう、健康づくり運動を展開していきます。運動の展開にあたって、わかりやすいキャッチフレーズと特に働きかけていくテーマを定めました。これらを様々な健康づくりの機会を通じて周知し、多様な主体を巻き込み、広げ、つなげるなどして働きかけ、地域包括ケアシステムの推進を健康づくりの側面から進め、区の健康づくり運動を積極的に展開してまいります。 ○後期プランにおける健康づくり運動の呼称〜健康せたがやプラス1(ワン) (2)区が働きかける健康づくり運動のテーマ  健康な生活を送るための3要素は、適度な「運動」、バランスのとれた「栄養・食生活」、心身の疲労回復と充実した人生を目指す「休養」とされています。日々の生活の中で「運動」や「栄養・食生活」に気を配り、行動することは、十分な睡眠や「休養」にもつながります。後期プランでは、特に「歩くこと、動くこと」【運動】と「かしこく、おいしく食べること」【栄養・食生活】に焦点を当てて取り組みます。 ○歩くこと、動くこと【運動】、かしこく、おいしく食べること【栄養・食生活】に着目した取組みを展開していきます。 ○呼びかけ〜「歩こう、動こう」「かしこく、おいしく食べよう」 (3)健康づくり運動における働きかけ(主な取組み)  ■「歩こう、動こう」(運動)   【 】・・・関係部署   ●きっかけづくり・継続の働きかけ                             ・ウォーキングイベント等の企画・実施   ・家族や友人等とのウォーキングやジョギング、体操等の実践や誘い   ・イベント等での自主活動の紹介・交流   ・フィットネスクラブ等と連携した予防の取組み     区民、事業者、区【総合支所、産業政策部、スポーツ推進担当部、世田谷保健所、教育委員会事務局ほか】、関係機関【産業振興公社、保健センターほか】   ●環境整備   ・ウォーキングサインの工夫     区【総合支所、世田谷保健所、みどりとみず政策担当部】   ●情報提供   ・ウォーキングマップ・イベント・自主活動等の紹介     区民、事業者、区【総合支所、生活文化部、スポーツ推進担当部、世田谷保健所、みどりとみず政策担当部、教育委員会事務局ほか】、関係機関【産業振興公社、保健センターほか】  ■「かしこく、おいしく食べよう」(栄養・食生活)   ●きっかけづくり・継続の働きかけ   ・実践・体験“おいしい適塩※等の食体験ができる講座”の企画・実施   ・地域のイベントや食育講座等と連携した適塩等の望ましい食習慣のきっかけづくり   ・家族や友人、地域による適塩等の実践や呼びかけ   ・飲食店等による適塩等のバランスのよいメニューの提供や紹介※素材の味やうま味を活かしたおいしく健康によい適切な塩加減の食事    区民、事業者、区【総合支所、産業政策部、高齢福祉部、子ども・若者部、世田谷    保健所、教育委員会事務局ほか】、関係機関【保健センターほか】   ●環境整備   ・給食施設や飲食店等との連携による適塩等を広める食環境づくり    区民、事業者、区【総合支所、産業政策部、高齢福祉部、子ども・若者部、世田谷保健所、 教育委員会事務局ほか】   ●情報提供   ・健康・栄養情報、適塩等メニューの紹介など    区民、事業者、区【総合支所、産業政策部、高齢福祉部、子ども・若者部、世田谷保健所、教育委員会事務局ほか】  ■「歩こう、動こう」「かしこく、おいしく食べよう」共通   ●きっかけづくり・継続の働きかけ   ・Webを使った「わたし(事業所・地域)の健康プラス1」事例紹介(コンテスト)   ・事業主等による職場の健康づくり(健(検)診の受診促進、福利・厚生等)   ・全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部等による「健康企業宣言」への参加促進    区民、事業者、区【総合支所、産業政策部、保健福祉部、世田谷保健所】、関係機関【産業振興公社、全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部ほか】   ●意識醸成   ・「健康せたがやプラス1」ロゴ等の活用    区【全庁】   ●情報提供   ・健康づくりサークルや高齢者クラブ、ふれあいサロン、子育てサークル等への参加や誘い   区民、区【総合支所、生活文化部、こども・若者部、世田谷保健所、教育委員会事務局など】、関係機関【社会福祉協議会、保健センターほか】 (4)健康づくり運動における評価指標とめざす目標 4.主要な健康課題への対応【重点施策】 ○生活習慣病対策の推進  主要課題 (1)若い世代から健康づくりに取り組めるための動機付けや継続につながるための効果的な取組みが必要である。 (2)職域関係機関等とのネットワークを生かした健(検)診受診率の向上や普及・啓発の展開が必要である。 (3)区民の健(検)診データ等を活用した重症化予防等の効果的な取組みの展開が必要である。  施策 (1)生活習慣病に係る知識の普及・啓発と望ましい生活習慣実践の支援 (2)生活習慣の改善へのきっかけづくりと望ましい生活習慣を継続するための支援 (3)生活習慣を改善するための支援の充実 ○食育の推進  主要課題 (1)食に関する知識や意識が低く、健康的な食生活の実践ができていない人がいる。 (2)壮年期における、男性の肥満や糖尿病などの生活習慣病等が増加している。 (3)若い世代は、自分に合った食事の量や質(バランス等)を考えた食生活が実践できていない人が多い。 4.食べる力や食文化に関する情報が十分に継承されていない。  施策 (1)ライフステージに応じた食育の推進 (2)生活習慣病予防と改善につながる食育の推進 (3)食育を通じた地域社会づくりの推進 ○こころの健康づくり  主要課題 (1)地域生活の支援のために、精神疾患に関する誤解や偏見をなくし、理解を促進する必要がある。 (2)当事者・家族を中心に据え、必要な支援を組み立てる相談支援が求められている。 (3)早期発見・適切な治療のために、地域・保健・医療の連携を強化する必要がある。 (4)保健・医療、福祉、教育や産業等の連携による総合的な支援が求められている。 (5)関係機関との協働による、より効果的かつ総合的な自殺対策を推進する必要がある。  施策 (1)精神疾患についての偏見や誤解のない地域づくり (2)当事者・家族を中心に据えた相談支援の体制強化 (3)適切な治療のための精神保健・医療の連携及び支援の充実のための地域精神保健の連携強化 (4)総合的な自殺予防対策の推進 ○がん対策の推進  主要課題 (1)がん予防に向けて、区民一人ひとりが生活習慣改善に向けた取組みを実践できるよう支援する必要がある。 (2)検診の受診率向上を図るとともに、検診結果を活用した精度管理を推進する必要がある。 (3)区民一人ひとりががんに関する正しい知識をもって行動することが必要である。 (4)がん患者や家族が、地域で安心して生活できる取組みを充実する必要がある。  施策 (1)がん予防の推進 (2)がんの早期発見に向けた取組みの推進 (3)がんに関する教育・啓発の推進 (4)がん患者や家族等への支援の充実 5.一人ひとりの健康づくりの支援 ○親と子の健康づくり  主要課題 (1)子どもの心身の健やかな成長へのより一層の支援・早期からの支援の充実が求められている。 (2)切れ目のない支援体制の整備・共有により、地域の子育て支援の拡充が求められている。 (3)安全で安心な妊娠・出産、子育てができる環境の整備が求められている。  施策 (1)子どもの健やかな成長への支援 (2)妊娠期からの切れ目のない支援・地域の子育て支援の拡充 (3)安全・安心な妊娠出産、子育てができる環境整備 ○思春期の健康づくり  主要課題 (1)思春期世代の健康教育、特に若者の視点からの啓発が十分でない。 (2)思春期世代に、こころの健康づくりに関する情報や支援が届きにくい。 (3)地域の関係機関と区の総合的な連携の仕組みを作る必要がある。  施策 (1)主体的な健康管理のための基本的な知識とそれを実践する力の育み (2)思春期世代のこころの健康づくりの推進 (3)思春期の健康づくりのための総合的な支援・連携の取組み ○健康長寿の推進  主要課題 (1)2025年を見据え、地域で健康に暮らすための地域包括ケアシステムの構築が求められる。 (2)生活習慣の改善による健康の保持・増進が必要である。 (3)健康寿命の延伸に向け健康づくり事業と介護予防施策の連携が必要である。 (4)関係機関の連携による支援が必要な高齢者の健康保持が課題である。  施策 (1)健康長寿に向けた生きがいづくりの支援 (2)健康長寿のための健康づくりと介護予防 (3)高齢者福祉と保健医療の連携強化 ○女性の健康づくり  主要課題 (1)女性の「やせ」の割合は増えており、「やせ」志向の浸透下での効果的な啓発が必要である。 (2)妊娠・出産・育児等における、女性のこころと体の健康不安への支援が必要である (3)骨粗しょう症や更年期障害、がんなど、女性特有の病気への支援が求められている。  施策 (1)女性の健康づくり及び女性特有の疾病に対する支援の充実 (2)若い女性の健康づくりの支援の充実 (3)妊娠・出産・育児等に伴う健康的な生活への支援 ○口と歯の健康づくり  主要課題 (1)ライフステージに応じた口と歯の健康の保持・増進が求められている。 (2)生活習慣病予防に向けた口と歯の健康づくりが求められている。 (3)思春期の歯肉炎、成人の歯周病や口腔がんなどの疾病が増加している。  施策 (1)ライフステージに応じた口と歯の健康づくり (2)歯科疾患予防対策の充実 (3)生活習慣病予防に向けた口と歯の健康づくり ○たばこ・アルコール対策・薬物乱用防止対策の推進  主要課題 (1)喫煙する人を減らすとともに事業者等における受動喫煙防止の取組みを充実する必要がある。 (2)飲酒の害を知り、依存症を予防する体制が依然不十分である。 (3)薬物の害を知り、薬物を安易に入手できない社会の環境づくり等が求められている。  施策 (1)たばこ対策の充実 (2)アルコール対策(アルコール依存症対策含む)の充実 (3)薬物対策(薬物依存症対策含む)の充実 6.健康に関する安全と安心の確保 ○健康的な生活環境の推進  主要課題 (1)住宅の構造に合わせた住まい方やシックハウス症候群等の知識が十分浸透していない。 (2)健康的で安全・安心な住まいの実現のための環境づくりが必要である。  施策 (1)住まいが原因のアレルギー性疾患予防の推進 (2)健康的で快適な住まいの実現 (3)安心して水道水が飲める環境の整備 ○食の安全・安心の推進  主要課題 (1)食品による事故の発生防止がより求められている。 (2)区民一人ひとりの食品衛生に係る正確な知識が必要である。 (3)食品事業者による自主的衛生管理が必要である。  施策 (1)食品衛生監視指導・調査による食品の事故防止の徹底 (2)食品の最新の知識の普及・啓発と関係者相互の理解促進 (3)食品事業者に対する自主衛生管理の推進・支援 ○感染症予防対策の推進  主要課題 (1)感染症予防の正しい知識の普及と啓発が必要である。 (2)感染症予防及びまん延防止のより一層の対策が求められている。 (3)予防接種事業の充実及び接種率の向上が求められている。 (4)人材の育成及び資質の向上が課題である。  施策 (1)感染症予防の普及・啓発及び教育支援活動の推進 (2)感染症予防及びまん延の防止 (3)予防接種事業の充実及び接種率の向上 (4)人材の育成及び資質の向上 ○健康危機管理の向上  主要課題 (1)健康危機管理体制の構築が求められている。 (2)新型インフルエンザ対策等の充実を図る必要性がある。 (3)災害時の保健医療体制の見直し・整備が必要である。  施策 (1)平常時における健康危機への備えと対策の強化 (2)健康危機発生時の対応力向上と拡大防止 (3)新興・再興感染症対策の充実 (4)震災等災害発生時への備えと保健医療体制の整備 ■区民のライフステージ(世代別)に応じた健康づくりの主な施策■ 第4章 地域の健康づくり 1.地域の健康づくり ○これまでの取組み  区では、平成3年度に総合支所制度をスタートさせ、地域特性を踏まえながら、地域の多様な資源と協働して、個性豊かなまちづくりに取り組んできました。地域保健や健康づくりについても、町会・自治会、NPO、地域の区民や  活動団体と連携しながら、多彩な事業を 実施してきました。平成14年度からの「健康せたがやプラン」では「地域プラン」を策定し、各地域で健康づくりを進めてきました。平成18年に施行した健康づくり推進条例では、その第8条で「区民、地域団体及び事業者と協働して健康づくりを推進するため、行動指針を策定する」こととしています。これを受けて、平成19年度からの「健康せたがやプラン後期」においても、各地域がめざす健康像の実現に向け、地域ごとに健康づくり推進会議等を設けながら、区民との協働による健康づくりを推進してきました。平成24年度からの「第二次プラン」では、地域の健康づくりは、14の施策を横ざしする役割と、地域に密着した区民の身近な健康づくりの窓口としての役割の二つの側面を持ちつつ、地域ごとに行動計画を策定し、区民との協働による健康づくりを推進しています。 こうした取組みにより、健康づくりネットワークの拡大や健康づくり意識の醸成など、協働による健康づくりは一定の成果に結びついています。 ○地域の健康づくりの課題  各地域では、区民との協働のもとで様々な健康づくり施策を実施してきました。健康情報があふれる中、子どもから壮年期世代に対してアウトリーチ(出張)型の教室や地域のまつりなどで、地域で作成したツール等を使い、普及・啓発に努めています。平成27年度に実施した「健康せたがやプラン(第二次)中間評価」では、より地域で健康づくり運動をすすめるためには、地区の関係機関との協働が確立されていないなど、健康な地域全体でひとつながりとなって健康づくりが見えるしくみがないなど、課題があることが明らかとなりました。また、「世田谷区民の健康づくりに関する調査」(平成27年度)からは、前調査(平成22年度)と同様に、健康づくりに関する意識は高いものの、実践に結びついていない実態が浮かび上がっていますが、こうした傾向は各地域とも依然として現れています。 ○ 地域での健康づくりの基本的な考え方  後期プランでは、健康づくり運動と14の施策により、取り組んでいきます。これらの取組みを推進するためには、全区的な施策と地域の取組みが一層、一体となって推進され、より高い効果を挙げることが不可欠です。保健所等の本庁所管部は、全区で一体的に進める施策を推進しますが、総合 支所は区民の直接的な窓口として、これまで培ってきた区民参加と協働を礎に、  参加と協働を働きかけながら、具体的な事業を実施していきます。さらに、よりきめ細かで区民に密着した事業展開を行うため、まちづくりセンターごとに活動している身近なまちづくり推進協議会健康づくり部会などと連携し、地区を単位に区民の主体的な行動の支援に努めていきます。また、地域包括ケアの地区展開において、健康づくりについて、専門性を活かし広く予防の観点から、住民主体の取組みをバックアップし、解決に向けていきます。こうした取組みについては、総合支所ごとに「行動計画」を作成し、具体的な行動内容を区民と共有しながら実施していきます。 (1)世田谷地域  地域の健康課題の解決に向け、生活習慣病対策、こころの健康づくり、がん対策、女性の健康づくり、親と子の健康づくり等を継続的に実施していくとともに、関係機関や地域のネットワークと連携しながら、区民の健康意識を高め主体的な健康づくりが行われる地域づくり活動を展開します。 (2)北沢地域  北沢地域では、「誰もが健やかに生き生きと暮らすこと」すなわち「病気の有無や予防だけでなく、たとえ病気があったとしても、生きがいを持ち、その人らしい生活ができること」の実現に向けて区民等と区が協働し活動します。 (3)玉川地域  『玉川地域に暮らす人びとが、自分らしく健やかでこころ豊かに過ごすことができる地域の実現』をめざし、区民一人ひとりが健やかな暮らしの主役であること、地域内のすべての区民・事業者等が健康づくりの担い手であることを確認して『区民参画、地域での協働・連携』を重視して『地域の健康づくり活動』を推進します。 (4)砧地域  砧地域では、これまで区民、団体、事業所の方々と「砧地域健康づくり推進連絡会」を設置し、地域の健康づくりを進めてきました。今後も、区民、団体、事業所の方々とともに、地域の健康増進に努めます。また、区民参画、区民主体の健康づくり活動を広めるため、区民と区との協働による取組みを行ないます。 (5)烏山地域  烏山地域では、烏山地域健康づくり行動計画に基づき、前期で確認された課題や後期へ引き継がれた課題を中心に活動を進めて行きます。活動の推進にあたっては、区民や関係機関との話し合いを重ねながら、住みやすく、つながりのある健康で楽しいまちづくりを進めるための具体的な活動を作り上げ、実践につなげます。 第5章 後期プランの推進体制と評価 1.健康づくり施策等を推進する体制  区では、世田谷保健所、総合支所(健康づくり課)および公益財団法人世田谷区保健センター(以下「保健センター」という。)の三者が、それぞれの機能を活かしつつ連携を図り、区民の健康の保持・増進をめざし、様々な健康づくり施策を実施してきました。引き続き、地域では乳幼児健診や健康相談などのほか、区民や団体等の参画と協力を得ながら、地域の特性を活かした健康づくりを総合支所が主となり実施します。併せて、地域・地区での自主的な活動の支援により、区民が身近なところで健康づくり活動に取り組める環境を整えていきます。また、予防接種事業や食品衛生など区が一体的に進める施策は世田谷保健所が中心となり、関係団体の協力を得ながら取り組みます。一方、保健センターにおいては、平成32年度を目途に都立梅ヶ丘病院跡地に区の健康づくり施策等の運営方針に基づき、検査・健(検)診、医療機関支援、健康増進・健康づくりの普及・啓発、地域の人材育成および地域活動団体支援拠点、相談支援、専門相談、区民活動支援といった機能を、世田谷保健所や総合支所とも連携を図りつつ充実していく予定です。後期プランの取組みをより効果的に進めていくためには、今まで培った三者の連携をより一層強化し、一体となり 健康施策を進めることが重要です。さらに、社会福祉協議会、産業振興公社、スポーツ振興財団、医療関係機関などの関係団体や外郭団体がもつノウハウや専門性を活かした連携と役割分担のもとで、新たな時代に合致した多様な健康づくり施策を積極的に行う必要があります。 2.後期プランの推進にあたって  後期プランに示した主な取組みや 具体的な事業については、それらを一つひとつ丁寧に実施することが、後期プランの目標の達成、ひいては健康づくり推進条例の理念を実現することに結びつくものと考えています。新規・拡充事業の実施にあたっては、区としての意思決定のもとで実践することはもとより、その検討過程においても職員参加や関係団体、区民参加により、事業の目的(行きたい場所・目的地)とその方法や手段が合致しているか、そのための条件は何かなどを十分に議論 する必要があります。ここに、事業実施にあたっての目的 関連図を参考に示します。具体的な   取組みや事業を実践するための活動、  それを行うための詳細な条件、活動や 取組みの結果により達成される状況、さらには達成すべき目的を明確にすることが不可欠です。 3.後期プランの進捗管理と評価 (1)後期プランの進捗管理と評価の必要性  後期プランでは、区民の健康課題等を 軽減、改善し解決していくとともに、区民自らが健康の保持・増進につながる行動を実践できるための支援を、   健康づくり施策として体系的に整理し取り組み、目標の達成や基本理念(めざす姿)の実現をめざします。そのため、後期プランの実施状況や施策の進捗状況等を管理するとともに、区民のQOLや健康状態をはじめ、意識や行動がどのように向上したのかなどを把握しつつ、常に計画や事業の改善につなげていくための評価が必要です。区は、後期プランの実施状況や施策の 進捗状況については、毎年、世田谷区  健康づくり推進委員会へ報告し、取組みに対する意見を伺います。また、評価については、新たな計画の策定前に、指標などをもとに実施し、世田谷区健康づくり推進委員会に報告するとともに、世田谷区健康づくり推進条例第11条4項に基づき、区民に対し、速やかに公表していきます。 (2)成果指標と活動指標(評価指標)  後期プランの施策を推進するにあたり、第1章では成果指標の「めざす目標」を、後期プランの最終年度である5年後の区民の望ましい健康像や健康課題の改善目標と位置づけ、区は区民とともにその目標達成に向け各施策事業を効果的に展開することをお示ししました。また、後期プランの全体評価にあたっては、成果指標のみならず、区のサービス成果を測る活動指標とあわせて客観的に評価していくことも示しました。 4.施策の評価指標とめざす目標の一覧 (1)主要な健康課題への対応【重点施策】 (2)一人ひとりの健康づくりの支援 (3)健康に関する安全と安心の確保 資料編 健康せたがやプラン(第二次)後期 概要版(平成29年〜33年度) 平成29年3月 編集・発行 世田谷区総合支所・世田谷保健所 〒154-8504 東京都世田谷区世田谷4-22-35 電話 03-5432-2432  FAX 03-5432-3022 (世田谷保健所 健康企画課) (広報印刷物登録番号 No.1493)