第5章  施策の方向と事業計画                           <施策体系図(PDFファイルに記載)> <施策一覧(PDFファイルに記載)> 1. 住居(すまう) 【施策の方向】 生活の場としての住居は、地域生活の基本である。区内の障害者(児)が住み慣れたまち世田谷で、地域生活を継続していけるよう、グループホーム等の住居の整備や必要となる居宅サービスの充実を、区民や事業者と協力しながら進めていくことが求められる。 また、障害の重度化や本人・家族の高齢化などに対応して、生涯安心して住み続けられるよう、障害者(児)の地域生活をバックアップする機能を整備し、既存の社会資源を有効に活用した重層的な居住支援を展開していくことも必要である。さらに家族と同居し、家族からの支援を受けている障害者(児)については、その家族に対する支援も考慮する必要がある。  このため、   グループホームの整備促進(公営住宅建て替え時期における整備も含む)と不動産所有者など地域住民の理解促進の推進   インターネット等の情報機器や既存の社会資源を有効活用した新しい施設形態・機能のあり方についての検討   24時間のケアニーズに対応しうる入所機能とともに、地域生活のバックアップ拠点としての機能を備えた新たな地域生活支援型施設の設置   知的障害者等の地域生活支援のための、公営住宅等の活用による住居の確保   ショートステイ事業の充実と、在宅障害者(児)を日常介護している家族や障害者(児)本人のリフレッシュ   補装具や日常生活用具の選択のために必要な情報提供や障害に応じた家屋の改造を行うための住宅改造相談   限られた財源の中で、多様化する区民ニーズに対応していくため、社会福祉法人や民間事業者等を育成し、事業参入を促進し、質の高い居宅サービスを需要に応じて供給しうる体制の構築  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 2. 健康(すこやか) 【施策の方向】 障害者(児)が安心して地域生活を送っていく上で、健康の増進は不可欠である。障害者の高齢化や障害の重度化によって、区内障害者(児)の医療ニーズが高まっている。特に精神障害者(児)や重症心身障害者(児)については、日常生活においても、医療や保健との連携が必要である。 また一人の障害者(児)について、生涯に渡る一貫した支援を展開していくためには、疾病の予防や障害の軽減を図るための早期発見・早期対応からリハビリテーションに至るまでの、ライフサイクルを通した包括的な保健医療体制の整備が必要である。  このため、   主治医(専門医)とかかりつけ医の確保と両者の連携の促進   かかりつけ医の確保についての、医師会等の関連団体への協力要請   精神障害や難病など医療ニーズを有する障害者について、サービスや地域資源の利用をコーディネートする保健師等の役割の充実   乳幼児検診や新生児訪問指導等による障害の早期発見体制の強化と総合福祉センター等の関係専門機関との密接な連携による早期対応   総合福祉センターのリハビリテーション機能の充実   地域リハビリテーションを推進するために、総合福祉センターを中心とした区民の地域支えあい活動や保健福祉施設との人的ネットワークづくり  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 3. 教育(そだつ) 【施策の方向】 障害のある子どもが、一人の人間として成長し発達していく上で、学校教育・保育の果たす役割は大きい。児童一人ひとりの障害に応じたきめの細かい支援が求められるとともに、そのためには学校以外の多様な関係機関が連携して、ライフステージで途切れることのない総合的で継続的な地域生活の支援が必要である。 このことに加え、障害者(児)が地域社会の一員として、安心して暮らしていくためには、ともに生き、ともに学ぶ「共育」によって、一緒に育つ環境づくりと幼少時からの障害理解を促進することが必要である。 また特別支援教育の導入に際して、近年注目されてきている、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症、アスペルガー症候群などの新しいニーズも含めて、支援を展開していけるよう関係職員の障害理解の促進と障害児への対応スキルの向上が必要である。 さらに、学齢期を終えた障害者への学習機会の充実をはじめとした生涯学習の場の整備と、障害のある人もない人も共に交流できる場づくりなどの整備を推進する。  このため、   障害児の自立と社会参加に向けて、保護者との信頼関係に基づき、教育、福祉、保健、医療、労働、行政等の関連機関が連携して障害児一人ひとりのニーズに応じた個別支援計画を作成し、乳幼児期から成人期まで一貫した支援を行う体制の整備   心身障害学級と通常の学級との連携の促進と、交流活動の展開   乳幼児や小学生を対象とした児童デイサービスの地域展開や、タイムケア事業等の実施による中高生の放課後や長期休業期間中等の対策の充実   区内各学校における、全教育活動を通じた、児童・生徒への適切な人権教育と障害理解に関わる教育の推進や、通常学級の児童・生徒の保護者などに対する障害理解促進   教職員の専門性と資質の向上や障害理解促進のための研修を強化   障害者が生涯にわたり学習できる場の整備と住民とのスポーツ・レクリエーション活動の推進  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 4. 就労(はたらく) 【施策の方向】 就労は、生計を維持していくための一つの基盤でもあり、社会参加という点からも、障害者(児)が自立した地域生活を送る上で重要な位置にある。障害者(児)が、その可能性を奪われることなく、働きたい障害者(児)がもっと働けるような基盤整備が必要である。 障害者が持っている能力をもっと引き出し、それを試せるチャンスを、地域社会に拡大していくことが重要である。さらに、障害の特性や障害の種別に応じた職種や職場の開拓を図るとともに、就労した障害者(児)が仕事を継続していけるよう、関係機関と連携しながら、総合的な就労支援を展開していくことが求められる。  このため、   世田谷区障害者雇用促進協議会活動を中心に、労働、福祉、教育機関、就労・生活支援団体、授産施設、福祉団体等との連携による、障害者雇用への理解と啓発   知的障害者を対象としたホームヘルパー研修など、障害者の資格取得等への支援   福祉的就労から就労支援、そして生活支援といった、障害者就労支援機関のネットワークの構築   障害者の自立支援のため、メール便や清掃業務の請負などの就労モデル事業を契機として、障害特性に応じた新たな障害者雇用形態の具体化   働く障害者が活き活きと安定した就労生活を送れるために、仲間づくりと地域社会参加への活動拠点の構築   通所授産施設については、今後の障害保健福祉改革の動向を視野に入れた、就労支援の一環としての位置づけの検討  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 5. 交流(ふれあう) 【施策の方向】 人や自然と交わることは、日々の暮らしにうるおいをもたらし、明日への活力に繋がる。障害者(児)が、地域の中で充実した日常生活を送れるよう、個別のニーズや希望に応じた日中の活動の場の充実が求められる。 また、一人で外出することが難しい障害者(児)の個別ニーズに対応した移動手段の確保や障害者(児)が安心して街を歩き、また公共機関を利用するための、歩道の整備やバリアフリー化のいっそうの推進が必要である。 さらに、コミュニケーションに障害を有する方への情報提供やコミュニケーション支援の強化も必要であり、区民と一緒のふれあいの中で、相互の理解を促進する機会を確保していくことも求められる。  このため、   障害者が日中活動する場を確保するための、通所施設やデイサービスの整備   介護保険の第二号被保険者等を主な対象とした、高齢者福祉施設等の既存資源の有効活用による新たな障害者サービスメニューの開発を検討   一人で外出することが難しい障害者(児)等の移動困難者が個別のニーズに応じた移動手段を選択することを可能とする個別輸送の仕組みの確立   手話通訳や点字など従来のコミュニケーション支援に加えて、インターネットや文書読み上げシステム等の情報機器を活用した新たなコミュニケーション支援のあり方の検討   駅、公共施設及び商業施設の周辺などにおける、歩道段差の解消、視覚障害者誘導ブロックの整備、放置自転車対策などの促進による区民が安全に移動できる環境の整備   障害のある人もない人も一緒に楽しみ交流できるスポーツ大会などの行事による相互の理解の促進  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 6. 創造(つくる) 【施策の方向】 障害者(児)は、地域社会の一員であり、新しい価値を創造する主体でもある。障害者(児)の創作意欲を増進させていくための活動の場や発表の場を整備し、区民文化の振興と地域社会の活性化を図ることが求められる。 また、障害者(児)同士のなかまづくりやその活動を活性化させていく必要がある。 さらに区政に対して、障害者(児)の要望や意見を反映していく機会をいっそう広げていく必要がある。  このため、   障害者(児)の文化芸術的な活動を区民に広く周知していくため、その宣伝と発表の場の確保   障害者団体が、自らが主体となってサービスの開発や拡大などに取り組む存在となるよう団体の育成と活動支援の推進   区の政策形成過程への障害者の参画の促進  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 7. 安心(あんしん) 【施策の方向】 安心は、障害者(児)にとって、平時、災害時を問わず、生活の全局面で求められることであり、将来にわたって地域生活を継続していくための基礎である。 今日の障害保健福祉の大きな変革の中で、サービスの種類や利用方法が、障害者やその家族にとって見えにくくなっており、困ったときにいつでも相談できる体制の整備が求められる。 また、一人の障害者(児)の成長や発達に応じ、生涯を通して地域で一貫した相談支援を実施し、将来への安心を築いていくことが必要である。 さらに、災害時において、情報の提供や連絡体制、避難所のあり方等、区内の障害者(児)の安全確保が求められる。  このために、   保健福祉センターや総合福祉センターを中核とした、多様な機関とのネットワーク化の促進による区内の障害者(児)のための相談支援・情報提供の充実   特別支援教育における個別支援のプログラムとの整合性を図った地域での一貫した相談体制の整備   障害者の生活全般にわたる相談や支援のニーズに対応した障害者ケアマネジメントの推進体制の整備   成年後見支援センターの活用による成年後見制度等の利用者の支援   障害に対する誤解や偏見などから、障害者(児)をめぐって生じる地域での様々な問題を解決するための仕組みづくりの検討   区民、事業者との連携による災害時の安否確認体制や一次・二次避難所のあり方など災害要援護者を支援する体制の整備の検討  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルに記載)> 8. 基盤(ささえる) 【施策の方向】 以上の「1.住居(すまう)」から「7.安心(あんしん)」までの地域生活支援の展開を、区民、事業者との協力により具体的に進展していくための基盤である。区は、障害者(児)に関わる専門人材の育成、地域住民への障害理解や地域住民の主体的な福祉活動を支援していくこと等、地域づくり、支援の仕組みづくりにおいて、適切にコーディネートする役割を積極的に果たし、区民全体が、障害の問題を自分自身の問題として認識し、主体的かつ積極的に障害者(児)施策の推進に参加していく地域社会づくりが求められる。 また、発達障害や高次脳機能障害などの新たなニーズについては、専門家の中でも障害理解が進んでいない状況があり、専門家も含めた地域社会全体での理解促進が必要である。 さらに、区内の障害者(児)が地域生活を送る上で、経済基盤が揺らぐことのないよう、所得保障の在り方など、国や都に対し必要に応じて働きかけていくことも求められる。  このため、   区民、事業者、区の適切な役割分担に基づく協働・連携の推進   障害者サービスの分野への民間事業者の参入の促進   良質な事業者に対しての支援   障害のある人とない人が、幼少期から学齢期を経て成人期までいつも一緒にいるという「生きたふれあい」の中で、自然に障害理解が進んでいけるよう、その環境(共に暮らす、共に学ぶ、共に働く)の整備   地域における障害者ケアマネジメント推進のための体制の構築   発達障害等、新たなニーズについての理解啓発のための研修を実施   地域の学校等への障害者の派遣による啓発活動など、障害者の側からの障害理解促進のための取り組みの支援   障害者団体など地域で自主的な活動や事業を行うグループの育成と、それを支援する人材の育成   老朽化した障害者施設について、時代に即したニーズを踏まえるとともに、障害者(児)に限定せず広く区民が利用できる機能の検討。心身障害者休養ホーム「ひまわり荘」について、障害者(児)の地域生活を支援する機能の強化、および、障害のある人と障害のない人が交流できるような機能の検討   障害者やその家族・援助者に対するヒアリングの実施など、障害者(児)の置かれている実情の把握   障害福祉サービスへの定率負担の導入に関して、障害者(児)の経済的基盤を支えるための公的年金の充実や低所得者対策の整備など、必要に応じた国等への働きかけ  などに取り組む。 <施策個票(PDFファイルにのみ記載)>