第1章  計画策定の背景 2. 区のこれまでの取り組みと今後の課題 (1) 区のこれまでの取り組み ○  区は、我が国の障害者(児)施策推進において区市町村の関与が低かった時代から、独自に障害者(児)施策を積極的かつ先進的に推進してきた。 ○  これまで区では、区として初めての基本計画(昭和53年)を受けて、昭和57年に「福祉総合計画」を策定するとともに、昭和56年の「国際障害者年」を契機に、昭和58年には、区の障害者(児)施策の総合的・体系的推進の指針として「世田谷区障害者施策行動10カ年計画」を策定するなど、先駆的取り組みを行ってきた。 ○  平成7年には、障害者基本法の定める「障害者計画」として、「せたがやノーマライゼーションプラン」を策定し、平成13年には社会福祉基礎構造改革に対応して同プランを改定するなど、「完全参加と平等」を目標に、様々な障害者(児)施策を推進してきた。 ○  平成17年3月には、区の保健医療福祉施策の基本方針である「世田谷区地域保健医療福祉総合計画」を策定し、「明るい共生社会」の実現に向けて、保健・医療・福祉が連携して総合的に推進していくことを示した。 ○  新たな課題として現在注目されている高次脳機能障害や発達障害などについても、総合福祉センター等を中心として、相談や研修を実施するなど、先駆的に取り組んできた。 (2) 区の今後の課題 ○  前述のように、基礎的自治体である区市町村に対して、障害者(児)が安心して暮らすことのできる社会を構築していくことが求められている中で、平成18年4月より障害者自立支援法が施行されることから、区市町村の障害者(児)施策推進の役割は一段と強化されていくこととなる。従って区としても、改めて区内の障害者(児)の地域生活全般を総合的に支援していく取り組みが求められる。 ○  区内に住まう障害者(児)が、地域で安心して暮らすためには、障害者(児)自身が地域生活を送る上で様々な困難に直面していることを真摯に受け止め、そこを出発点とした施策の推進が求められることは言を待たない。今後は当事者の視点に立脚した施策をより一層展開していく必要がある(なお、当事者からの課題の概要は以下を参照「障害者団体ヒアリング結果報告」の概要, 平成16年11月 P.9)。 ○  従来の障害者(児)施策は、障害種別、年齢、また支援の内容によって実施主体が異なっていたが、障害者自立支援法の施行により、区市町村に一元化されていくことは前述したとおりである。今後は、障害者(児)に関わる保健、医療、福祉、教育、労働等の多様な専門領域での支援を、当事者のライフステージに応じてきめ細かに実施し、障害者(児)の地域生活を、生涯に渡って継続的かつ総合的に支援していく体制が求められている。 ○  一方、社会福祉基礎構造改革においては、民間活力の導入によるサービス供給の多元化が進められているように、区の役割は、直接のサービス提供者の立場から、区内に住まう障害者(児)が安心してサービスを利用できる仕組みづくりに責任を持つ立場へと転換しつつある。今後区は、民間事業者の参入促進と質の確保のための方策を講じる等、優良な事業者を育成していくこと、また障害者(児)に関わる専門人材の育成、地域住民への障害理解や地域住民の主体的な福祉活動を支援していくこと等、障害者(児)が安心して地域生活を送っていける仕組みづくりに力点を置いていくことが重要であり、地域社会全体として障害者(児)への支援を展開していく社会の実現を目指す必要がある。