障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の施行に当たっての世田谷区の基本方針 第1 趣旨  区は、「世田谷区基本構想」(平成25年9月区議会議決)に基づき、個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認めあい、自分らしく暮らせる地域社会を築くべく取り組んできたところである。  このたび、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)の制定を受け、区における障害を理由とする差別の解消の推進をさらに図っていくため、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の施行に当たっての世田谷区の基本方針」を策定する。 第2 基本的な考え方  区は、「世田谷区基本計画」(平成26年3月策定)に基づき、区民、事業者等との協働による地域づくりに取り組んできた。また、障害の有無に関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現に向けて、障害を理由とする差別が生じることなく権利が守られるよう、障害理解の促進や啓発に努めるとともに、一人ひとりの障害の状況に応じて、適切な支援を途切れなく継続的に受けられる体制の整備を進めてきた。  このたびの法の制定を受け、こうした区の取組みの経過を踏まえ、今後も、区民、事業者等とともに障害を理由とする差別のない社会の実現に向けた取組みをさらに進めていくものである。 第3 障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の策定と実施 *1  区は、「せたがやノーマライゼーションプラン」(平成7年6月)、「世田谷区障害福祉計画」(平成19年3月)などを策定し、障害を理由とする差別の解消を進めてきたところであり、引き続き、同プランや同計画を必要に応じ改定し、さらに区の責務を果たしていく。 第4 社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備 *2  区は、「世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例」(平成19年3月世田谷区条例第27号)を制定し、性別、年齢、国籍、能力等にかかわらず、どこでも、だれでも、自由に、使いやすく、できるだけ多くの人が利用しやすいようにする「ユニバーサルデザイン」の考え方に基づき、生活環境の整備に取り組み、社会的障壁の除去や職員研修を進めてきたところであり、「社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備」については、引き続き、取り組んでいく。 第5 障害を理由とする差別の禁止と合理的配慮の提供 *3  区は、これまでも、事務事業を実施するに当たり、障害者の権利利益を尊重してきたところであり、引き続き、障害を理由として不当な差別的取扱いを行わず、また、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を提供していく。  不当な差別的取扱い及び合理的配慮については、「世田谷区における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領」(以下「職員対応要領」という。)で定める。  また、職員対応要領の制定にあたっては、障害者その他の関係者の意見を反映させるため、その意見を聞くとともに、策定後、これをすみやかに公表する。 第6 相談及び紛争の防止等のための体制の整備 *4  区は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談のための窓口を開設するとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図るため、既存の相談窓口の充実をはじめ、新たな相談体制の整備を行う。 第7 啓発活動 *5*7  区は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員及び障害者施設事業者に対し、必要な研修・啓発を定期的に行うとともに、区民・事業者等に向けた啓発活動を行う。あわせて、障害者施設の整備等に際して、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行う。 第8 障害者差別解消支援地域協議会 *6  区は、区内における障害を理由とする差別を解消するための取組みを効果的かつ円滑に行うため、障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を設置していく。 [参考] *1 障害者差別解消法第3条   国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 *2 障害者差別解消法第5条   行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 *3 障害者差別解消法第7条   行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取り扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。   2行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 *4 障害者差別解消法第14条   国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 *5 障害者差別解消法第15条   国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 *6 障害者差別解消法第17条   国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。  2前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体 二 学識経験者 三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認めるもの *7 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議 (平成25年5月29日衆議院内閣委員会 第五、及び平成25年6月18日参議院内閣委員会 第六) 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。