世田谷区認知症在宅生活サポートセンター構想 認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために 平成25年11月 世田谷区 策定にあたって 「認知症になったらおしまい」という時代が、終わりを告げようとしています。21世紀に入ると多くの国が、認知症ケアを「大統領や首相のもとの国家戦略」と位置付けるようになったのです。 イギリス、フランス、デンマーク、オーストラリア、オランダの政策責任者を招き、日本の厚生労働省も加わって、「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」が、世田谷にある東京都医学総合研究所の主催で、ことしの初め開かれました。5つの国にはいくつもの共通点がありました。 ・国家戦略は超党派で定め、政権交代しても揺らぎませんでした。 ・「認知症は精神病院で」という考え方は過去のものになっていました。 ・抗精神病薬は認知症の人の死亡率を高めるとして、減らす政策がとられていました。 診断が確定した後は「住みなれた地域でのケア」に引き継ぐことが国家戦略の中心になっていました。ただ、日本は世界の流れに取り残されてきました。  そのなかで、「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために」という副題のついた構想をまとめることができました。世田谷区が日本のトップを走り始めようとしていることを、区民の一人として誇らしく思います。 世田谷区がトップにたったのには、わけがあります。 昨年6月、厚生労働省は、役所ばなれした、次のような文章で始まるプロジェクトチーム報告を発表しました。 「私たちは認知症を『何も分からなくなる病気』と考え、認知症の人の訴えを理解しようとするどころか、うとんじたり、拘束するなど、不当な扱いをしてきた」 精神科病院への入院を「やむをえないこと」としていた従来の認知症政策を180度転換し、「認知症になっても住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けられる社会の実現」を目指すことをうたったのです。 実は、この報告書をまとめるにあたって、厚生労働省は、世田谷区の構想検討委員会に加わっている3人の委員に助言をもとめ、それが生かされていたのでした。 厚生労働省の報告書では新しいケアの形がいくつも提案されました。その1つは、病院や診療所で待っているのではなく、「初期集中支援チーム」が自宅に赴くという仕組みです。「もしや認知症では?」という、家族やかかりつけ医からの連絡を受けて、認知症に詳しい看護師や作業療法士、心理士などのチームが自宅を訪ね、これまでの人生を知り、ご本人が願う暮らしを続けられるよう、早い段階から支援します。 構想検討委員会委員の西田淳志さんが、海外の実践をもとに、厚生労働省に提案したものです。すでに、世田谷区内でプロジェクトチームが動き始めました。 もう1つの仕組み、「身近型認知症疾患医療センター」は、構想検討委員会の委員、上野秀樹さんの実践に厚生労働省が注目し、報告書にもりこまれたものです。これまでの認知症疾患医療センターの多くが、人里離れた精神科病院付属だったことへの反省から生まれました。診療所などが拠点となり、グループホームや自宅、特別養護老人ホームなどを訪問してケアの方法を伝授したり薬の調整をしたりして、穏やかに過ごせるよう支援します。いわば「出前型」です。 厚生労働省の政策転換の意気込みは、言葉の使い方にも表れていました。治療対象を意味する「認知症患者」という言葉は1つも出てきません。その代わりに「認知症の人」という言葉が使われています。「早期治療」も「早期対応」に変えられました。医療より福祉分野の対応が重要という考え方からです。 認知症関係の報告書にしばしば登場する「BPSD」という言葉は、行動心理症状に改められました。BPSDという文字を見ると、医療行為でしか対応できないような恐ろしい状態と受け取られてしまいがちです。ところが、暴力など、まわりの人を当惑させる行動は、医療や福祉のスタッフ、あるいは家族が認知症の人の気持ちを汲み取ることができず「誤った対応」をしたことから起きることが分かってきたからです。 「受け皿」という失礼な言葉も、避けられました。この思想は、世田谷区の今回の報告書にも生かされています。 「認知症になっても本人の意思が尊重される社会」が、世田谷区や厚生労働省報告書の基本思想です。それを「認知症のご本人」として初めて社会に向かって発言したのは、世田谷区民だった元東大学長、加藤一郎さんで、1996年のことでした。 世田谷区の構想検討委員会には、実にさまざまな立場の委員が参加しています。認知症の家族、介護現場や包括支援センターのスタッフ、医師、歯科医師、薬剤師、看護職も、専門職としての立場だけでなく、家族やご本人の身になって考える発言が相次ぎました。 世田谷区の副区長や部長など行政の責任者も毎回、議論に参加してくださいました。職種や立場を越えて、1つのチームが出来上がり、今回の報告書がまとめられました。 「私はアルツハイマー病と告げられています。でも、まだ大丈夫です。家族と一緒に人生の旅を続けます」 「家族にのしかかる負担や責任は重くなっていきます。妻の苦しみを和らげることができるよう願っています」 これは、レーガン米元大統領が94年、国民にあてた手紙です。手書きのこの文章は、3つのことを示していました。誰もが認知症になりうること、何もわからなくなるのではないこと、個人の力だけでは解決できないことです。 平成25年11月 世田谷区認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会 座長 大熊 由紀子 目次 第1章 世田谷区における認知症の現状と課題 1.これまでの取り組み経過 2.取り組みの現状及び実績等 3.区の認知症施策の評価と課題 第2章 検討の経緯及び結果 1.これからの区の認知症施策に関する基本的考え方 2.認知症在宅生活サポートセンターに求められる役割 3.あんしんすこやかセンターとの役割分担 4.あんしんすこやかセンター以外の各関係機関との役割分担 5.認知症在宅生活サポートセンターの機能 6.若年性認知症に関する今後の区の施策及び認知症在宅生活サポートセンターの役割 第3章 整備・運営体制 1.「認知症在宅生活サポートセンター」の整備について 2.今後のスケジュール 付属資料 統計資料 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会の検討経過 参考資料1 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム「今後の認知症施策の方向性について」の概要 参考資料2 厚生労働省「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)(平成25年度から29年度までの計画)<抜粋版> 各検討委員からのひとこと 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員名簿 用語解説 第1章 世田谷区における認知症の現状と課題 1.これまでの取り組み経過 2.取り組みの現状及び実績等 3.区の認知症施策の評価と課題 第1章 世田谷区における認知症の現状と課題 認知症の増加とともに、認知症に関する区民の関心も高まってきていますが、地域社会における認知症の人と家族への正確な理解が十分ではないために、多くの認知症の人と家族が、地域社会から孤立し生きづらさを感じている現状があります。 また、家族の介護の困難さとともに、認知症の本人への効果的で適切な在宅支援のための認知症ケアが充分実施されていない現状も指摘されています。 認知症の在宅支援施策の推進は、高齢者の介護や福祉、健康づくり、介護予防を進める上で、極めて大きな課題となっており、認知症になっても住み慣れた地域で安心して生活し続けるために、医療から介護までの在宅支援を有機的につなぐしくみが求められています。 1.これまでの取り組み経過 世田谷区では、平成21年度に地域福祉部を設置し、介護予防・地域支援課を新設し認知症施策の担当所管としました。また、区内27か所の身近な地区に設置しているあんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)に、認知症に関する地域の区民や支援機関をつなぐまとめ役(コーディネーター)として「認知症専門相談員」を1名ずつ配置しました。さらに、認知症に関する相談・支援機能を強化するため「もの忘れ相談窓口」を開設するなど、認知症の在宅支援の充実に取り組んできました。 主な取り組みの経過は以下のとおりです。 平成21年度 ・認知症対策の充実に向け、介護予防・認知症対策担当の係を設置 ・全高齢者実態把握調査を実施 ・27か所のあんしんすこやかセンターに「もの忘れ相談窓口」を開設し、認知症専門相談員(世田谷区独自)を1名ずつ配置 平成22年度 ・認知症高齢者見守り訪問看護事業を開始 平成23年度 ・認知症サポーターステップアップ講座等、認知症サポーターの人材活用の取り組みを開始 ・レビー小体型認知症家族のための勉強会および家族懇談会を実施 ・「介護者の会・家族会一覧」を作成し、あんしんすこやかセンターで配布を開始 平成24年度 ・第5期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」策定 ・医師によるもの忘れチェック相談会、医師による訪問相談モデル事業開始 ・「(仮称)認知症在宅支援センター構想等検討委員会」設置 2.取り組みの現状及び実績等 これまでの区の認知症対策の取り組みは、「認知症予防」、「本人・家族の支援」、「認知症の正しい知識の普及啓発」の3つを柱として事業を展開しています。また、あんしんすこやかセンターを認知症に関する地域の身近な相談窓口とし、相談・支援機能の充実・強化を進めてきました。 (1)認知症予防について 平成13年度より、東京都老人総合研究所(現地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)との共同研究を実施し、平成18年度から「普及版認知症予防プログラム」に取り組んでいます。また、平成23年度から新たに、認知症予防の理論や取り組みやすい有酸素運動(ウォーキング)の方法について、3日制で体験できる「認知症予防普及啓発講座」を実施しています。 【平成13〜24年度実績】 ・普及版認知症予防プログラム 参加者数(累計) 869人 【平成23〜24年度実績】 ・ 認知症予防普及啓発講座   参加者数(累計) 189人 (2)本人・家族の支援について 認知症高齢者(疑いを含む)を対象に、訪問看護師があんしんすこやかセンターおよび総合支所保健福祉課との連携のもと、認知症高齢者宅を定期的に訪問し、医療の確保や介護保険サービス利用等につなげることにより、見守り体制をつくることを目的として、平成22年度より「認知症高齢者見守り訪問看護事業」を実施しています。 また、認知症本人の家族を対象に、認知症ケアに関する情報交換や懇談、勉強会の実施、家族同士の交流の機会の提供等を目的として「認知症家族会」および「認知症家族のための心理相談」を開催しています。 【平成22〜24年度実績】 ・認知症高齢者見守り訪問看護事業  訪問数(累計)  322人 【平成21〜24年度実績】 ・認知症家族会  参加者数(累計) 580人 ・認知症家族のための心理相談  相談数(累計) 87人 (3)認知症の知識の普及啓発について 認知症に関する区民の正しい理解を促し、認知症の本人や家族介護者を支援することを目的として「認知症講演会」を開催するほか、所定の研修を受講したあんしんすこやかセンター職員及び区職員等が講師役となって、平成18年度より「認知症サポーター養成講座」を実施しています。 また、「認知症サポーター養成講座」を受講し、認知症の本人や家族の支援に実践的に取り組む意欲のある区民を対象に、平成23年度より「認知症サポーターステップアップ講座」を開始しています。 【平成18〜24年度実績】 ・認知症講演会  参加者数(累計) 1,379人 ・認知症サポーター養成講座  受講者(累計) 11,951人 【平成23〜24年度実績】 ・認知症サポーターステップアップ講座 受講者(累計) 82人 (4)認知症専門相談員について 平成21年度より区内27か所のあんしんすこやかセンターに1名ずつ配置し、認知症に関する相談や地域の区民への啓発、医療機関や介護事業所等の関係機関との連携・協力を進めています。関係機関との連携・協力においては、認知症専門相談員と地域の関係者が顔を合わせて情報交換などを行うことを目的に「認知症地域連携会議」を行い、認知症予防や介護者支援などの様々な区の取り組みを共有するなど、地域の連携体制を強化しています。 また、地域の区民や支援機関をつなぐまとめ役(コーディネーター)の役割を担うための人材育成として「認知症専門相談員連絡会」や研修を実施しています。 【平成21〜24年度実績】 ・認知症地域連携会議    18回  参加者数(累計)   899人 ・認知症専門相談員連絡会   8回  参加者数(累計)   306人 ・認知症専門相談員研修   11回  受講者数(累計)   566人 (5)早期発見・早期対応のための取り組みについて @もの忘れ相談窓口について 平成21年度より区内27か所のあんしんすこやかセンターに「もの忘れ相談窓口」を開設し、認知症専門相談員などが認知症に関する相談を通して早期発見・早期対応等の相談機能の充実に努めています。 【平成21〜24年度実績】(平成21年5月〜平成24年12月までの実績) ・もの忘れ相談 実件数(累計) 4,810件 ・もの忘れ相談 延件数(累計) 20,149件 A新たな取り組み「医師によるもの忘れチェック相談会」「医師による訪問相談モデル事業」について もの忘れがある本人や家族が早期に医師と相談できる機会をつくることにより、認知症の早期発見・早期対応を進めるため、平成24年度より開始しています。 【平成24年度実績】 ・もの忘れチェック相談会 実件数  82件 ・医師による訪問相談 実施実件数  5件 3.区の認知症施策の評価と課題 平成24年8月24日に公表された国の推計では、何らかの認知症の症状があり、介護を必要とする高齢者は、平成24年度は全国で305万人であり、65歳以上人口の9.8%になると推計しています。 一方、世田谷区においては、平成25年4月1日現在、介護保険の要支援・要介護認定者約3万4千人のうち、認知症の症状があり介護を必要とする人は約1万8千人であり、その数は平成20年以降、毎年、平均で約1千人ずつ増加しています。 全国的に少子高齢化が進展する中、世田谷区においても、高齢者人口及び高齢化率はともに伸び続けており、認知症高齢者数は、今後さらに増加することが確実視されます。 このような状況から、世田谷区における今後の認知症の在宅支援については、早期のタイムリーで適切な診断にもとづき、本人や家族への適切な早期対応や早期支援を行うことにより、認知症の進行の遅延化や家族の介護負担の軽減を図り、在宅生活の継続を可能とする予防的な取り組みを推進することが重要になります。 今後、認知症の予防や普及啓発、相談・支援体制の強化、在宅支援のための医療及び介護サービスの充実、家族介護者への支援の推進、福祉・介護人材の確保や育成等、総合的な認知症施策を展開するには、以下のような課題があります。 (1)認知症予防・普及啓発について ・近年における脳科学の発達により、認知症のメカニズムは解明が進んでいますが、根本的な原因究明には至っておらず、認知症に対する決定的な予防策がないのが現状です。 ・認知症になりにくい生活習慣については、科学的根拠(エビデンス)等が明らかとなっている有酸素運動のほか、社会交流や生活習慣病予防などが効果的であるといわれており、区の取り組みとしては、集団で行えるものやコミュニケーションを積極的に図れる介護予防プログラムを進めることが重要です。 ・認知症の普及啓発では、認知症サポーター養成講座の受講者が累計で1万1千人以上となりましたが、ボランティアなどの実践活動につなげるための人材育成に取り組み始めたばかりであり、今後の人材活用の仕組みづくりが必要です。 (2)認知症ケアについて ・ケアマネジャーやホームヘルパー等の介護職員では、個人的な経験やケアの方法論に依拠し、疾患に対する正しい知識や認知症の人の生活全体を支える視点の不足が見られる場合があります。そのため、認知症の行動・心理症状である徘徊、異食、介護への抵抗等への対応が適切に行われていない場合があります。 ・ケアマネジャーの中には、認知症かどうかを診断してもらうことを重視し、診断後の日常生活支援が充分できていない方がいます。医療機関につなぐことは重要ですが、診断結果をいかして支援計画(ケアプラン)の改善等に役立てることが必要です。 ・介護の現場の職員の認知症への理解の不足から、本来は受入れ可能であるにもかかわらず、若年性を含む認知症の人の受け入れ体制が整わない等、必要なケアが充分提供されていない場合があります。 ・認知症ケアの質の向上のためには、現実的に現場で取り組める方法が必要です。国が全国3か所に設置した認知症介護研究・研修センターが進める「センター方式」等のいくつかの取り組みにおいては、アセスメントや調査シートの作成に膨大な時間を必要とし、日常業務に活用するのは困難な状況です。 ・平成22年度から平成24年度まで実施した「認知症高齢者見守り訪問看護事業」では、訪問看護師が、あんしんすこやかセンターや総合支所保健福祉課との連携のもと、認知症高齢者(疑い含む)の居宅に定期的に訪問することにより、必要とする医療・介護サービス等が早期に導入され、在宅生活を安心して継続できるよう支援するしくみづくりを進めることができました。今後はこの事業をより発展させ、認知症の人や家族の早期対応を充実するために、看護師や医師等の他職種チームで支援する「認知症初期集中支援チーム」のモデル実施に取り組みます。  (3)認知症を地域で支える施策について ・認知症になっても安心して地域での生活を最大限続けられるようにするには、早期のタイムリーで適切な診断と早期対応や早期支援により、物理的及び人的な生活環境を調整しながら、認知症の人の思いや言葉を受け止め、家族介護者に今後の経過やケアの選択肢に関する十分な説明を伝え、理解と協力を育むことにより、行動・心理症状の発生等を防ぐ取り組みが必要です。 ・認知症の症状があるが介護サービスを利用せず、介護予防事業や地域活動への参加、近隣との交流をもたないなど、何も関わりがなく地域で孤立している方(世帯)への対応が必要です。 ・小規模多機能型居宅介護やグループホーム、ショートステイは認知症に対する有効なサービスですが、区内では数が不足しており積極的な整備誘導が必要です。 ・ショートステイを利用しながら、なじみの関係を利用して併設しているデイサービスを利用できるような柔軟な制度運用が必要です。現行の介護保険制度では、保険給付の重複となるため、同時期におけるショートステイとデイサービスの利用は認められていない、という問題があります。 ・認知症の本人への支援は、介護や福祉だけでなく、成年後見制度、権利擁護事業、消費者被害の防止、虐待予防などの制度活用も重要ですが、総合的に連携した取り組みが不十分です。 (4) 若年性認知症施策について ・若年性認知症は、失職による収入の問題や認知症の進行が高齢期の認知症に比べて早いなどの大きな困難を抱えています。しかし、現状では若年性認知症に対する正しい理解や利用できるサービスなどの情報発信が十分とはいえず、今後、一層の普及啓発・情報発信の取り組みが必要です。 ・現在利用できる介護や障害福祉のサービスは、利用する際に区の窓口が分散しており、ワンストップになっていないため、家族からみてわかりにくい等の指摘があります。 ・若年性認知症の特性に対応した専門のプログラムを実施できるデイサービス等が足りず、必要なケアが充分に提供できるサービス体制が必要です。 第2章 検討の経緯及び結果 1.これからの区の認知症施策に関する基本的考え方 2.認知症在宅生活サポートセンターに求められる役割 3.あんしんすこやかセンターとの役割分担 4.あんしんすこやかセンター以外の各関係機関との役割分担 5.認知症在宅生活サポートセンターの機能 6.若年性認知症に関する今後の区の施策及び認知症在宅生活サポートセンターの役割 第2章 検討の経緯及び結果 1.これからの区の認知症施策に関する基本的考え方 (1)施策の方向性 国の認知症施策検討プロジェクトチームは、平成24年6月18日に報告書「今後の認知症施策の方向性について」を公表し、同じく9月に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」(平成25年度〜平成29年度)を公表しました。そこでは、今までの認知症ケアの流れを見直し、今後目指すべきケアの形として、「早期支援機能」と「危機回避支援機能」を整備し、「早期・事前的な対応」を基本形とすることを示しています。 また、「『認知症の人は精神科病院や施設を利用せざるを得ない』という考え方を改め、『認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会』の実現を目指す。」としています。 このような考え方は、これまで区が「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる世田谷」を目指し、様々な認知症の在宅支援施策を推進してきたことと合致しています。 区では、これから増加が確実視される認知症の人の在宅支援に関する先駆的な取り組みや医療と福祉の連携を推進するため、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(平成24年度〜平成26年度)に、認知症在宅支援施策のあり方及び「(仮称)認知症在宅支援センター構想等検討委員会」の設置の検討を位置づけ、平成24年6月に「(仮称)認知症在宅支援センター構想等検討委員会」を設置し検討してきました。 検討を進める中で、あんしんすこやかセンターをはじめとする様々な関係機関等を後方支援することで、認知症の人や家族が認知症になっても住み慣れた地域で安心して生活できるよう、名称を「(仮称)認知症在宅支援センター」から「認知症在宅生活サポートセンター」とし、そして今回、「認知症在宅生活サポートセンター構想」としてまとめました。  区は、これまでの認知症施策の取り組みを検証するとともに、国の制度設計を注視しながら、認知症の人の在宅支援を一層推進していきます。 (2)取り組みの視点 具体的には、認知症の人がこれまで生活してきた物理的及び人的環境をできるだけ変えることなくその人らしい生活を維持し、認知症である前に、ひとりの人として尊厳が守られ安心して暮らし続けることができるよう、認知症とその予防に対する理解の普及や、尊厳が守られるケアの構築を目指すことが必要となります。 また、認知症の人を一番身近で支える家族が、ともに地域で安心して暮らし続けられるよう、心理的負担感の軽減や、家族同士の共助・互助の活動を支援するとともに、地域全体で認知症の人と家族を温かく見守り支援する環境づくりが必要です。 区では、もの忘れや認知症に関する身近な地区の窓口として、各あんしんすこやかセンターに、平成21年度から「認知症専門相談員」を1名ずつ配置し「もの忘れ相談窓口」を開設するほか、認知症に関する普及啓発や家族介護者への支援、介護保険の地域密着型サービスの積極的な整備誘導など、認知症の人の在宅支援施策を進めてきました。さらに、地区の高齢者の見守りを地域住民と協力体制をとりながら、専門職の支援を適時行う「あんしん見守り事業」を平成22年11月から10か所のあんしんすこやかセンターにおいてモデル実施してきましたが、認知症の人の早期対応・早期支援にも繋がり、平成25年度から全27か所のあんしんすこやかセンターに拡充しました。 また、身近な地区の活動団体等が主体的に参加して、高齢者を取り巻く諸課題を情報共有し、地区への普及啓発を図ることにより、孤立した高齢者等を早期に適切な支援につなげるとともに、参加団体間の連携を深め、地区のコミュニティを充実させることを目的に、「地区高齢者見守りネットワーク」が、平成23年度から梅丘・上北沢地区においてモデル開始しました。その取り組みの中では、認知症高齢者の相談もあんしんすこやかセンターに繋がる事例が増加しています。平成25年度からは、各地域の「地区高齢者見守りネットワーク」未実施地区においても、順次、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンター、地区社会福祉協議会の連携を強化することにより、事業の推進体制の強化・整備を図り、全地区への事業展開を目指しています。 今後は、これまでの区の取り組みに加え、認知症の本人および家族への早期対応・早期支援、あんしんすこやかセンターやケアマネジャー等への支援(バックアップ)、孤立しがちな家族介護者が仲間づくりや認知症に関する情報交換ができるための支援、認知症に関する区の実態等の情報発信や医療と福祉の連携推進、認知症サポーターの実践的な人材育成等の取り組みが必要となります。 このような在宅支援の取り組みを進めるためには、認知症に関する専門的な施設として、先駆的な取り組みや専門職の支援等を中核的に担う、認知症在宅生活サポートセンターを設置すべきです。 2.認知症在宅生活サポートセンターに求められる役割 これからの認知症の在宅支援は、早期のタイムリーで適切な診断と、本人や家族への早期対応や早期支援を行うことにより、認知症の進行の遅延化や家族の介護負担の軽減を図り、在宅生活の継続を可能とすることが求められています。 しかし、今後、東京を含む大都市圏で加速度的に高齢化が進むことや、区において、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が増加するにつれ、老老介護の増加や認認介護が問題となることが予想されるなか、あんしんすこやかセンターだけで認知症の人の相談支援を展開することには、困難が伴います。 このことから、認知症在宅生活サポートセンターは、認知症の早期対応体制の確立や、医療と福祉の連携推進、医療・介護の専門職の実務的な支援能力の向上、家族支援の充実等、区における認知症ケアモデルの構築を進めていくための、専門的かつ中核的な全区の拠点としての役割を担うこととします。 3.あんしんすこやかセンターとの役割分担 現在、あんしんすこやかセンターは、身近な地区にあり利便性が高いことから、認知症に関する身近な地区の相談・支援機関として、認知症の人や家族の身近な「伴走者」としての役割を担い、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることを継続的に支援する役割を担っています。 また、この「伴走者」は、認知症の人や家族の状況に応じて、あんしんすこやかセンター以外の、さまざまな関係者・関係機関がその役割を一時的に担うこともあります。このため、あんしんすこやかセンターは、日常生活圏域内において、かかりつけ医をはじめ、かかりつけ歯科医やかかりつけ薬局、ケアマネジャーや訪問看護ステーション等の介護事業者、家族会等とのネットワークづくりを中心となって行っています。 今後、認知症在宅生活サポートセンターが開設することに伴い、あんしんすこやかセンターは、これまでと同様に、もの忘れや認知症に関する地区の身近な相談窓口として、認知症の人や家族の相談・支援、もの忘れや認知症に関する区民からの相談への対応、認知症サポーター養成講座等の普及啓発、地区の関係機関への情報提供等の役割を担うこととします。 一方、認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターが行う認知症の人や家族の支援に関するスーパービジョン、初期集中支援チームによる訪問サービスでの在宅支援のサポート等を行い、あんしんすこやかセンターが実施する認知症在宅支援の業務を後方支援する役割を担うこととします。 4.あんしんすこやかセンター以外の各関係機関との役割分担 認知症在宅生活サポートセンターがその役割を果たすためには、認知症の人や家族の支援に関わる関係者や関係機関との連携や役割分担が必要となります。また、認知症の人や家族の支援において、地域で医療、介護サービス、見守り等の日常生活の支援サービスが包括的に提供される体制を目指し、今後の施策を進めていく必要があります。具体的には、認知症の人や家族の支援に関わる関係者や関係機関との連携や役割分担により、認知症の人や家族に対して、認知症の進行状況にあわせて、いつごろ、だれが、どのように関わり支援できるかを、提示されるようにする認知症ケアパス(※)の作成を視野に入れ、支援体制を構築することとなります。 (※)認知症ケアパス 認知症の人が認知症を発症したときから、生活機能障害が進行していく中で、その進行状況にあわせて、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスが受けられるのかについて、認知症の人や家族に提示されるようにするものです。平成24年9月に国から公表された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」では、平成24〜25年度に国が調査・研究を実施し、平成25〜26年度に、各区市町村において標準的な認知症ケアパスの作成を推進することとしています。 認知症の人や家族に対する各々の関係者や関係機関が担う役割と認知症在宅生活サポートセンターとの関連のイメージは、以下のとおりです。 (1)ケアマネジャー   ケアマネジャーは、要介護認定者の日常の在宅ケアにおいて、認知症の人のニーズを把握し介護サービス提供のためのケアプラン作成を行うとともに、生活機能障害に対する支援が円滑に行われるようなサービス利用調整やかかりつけ医との連携、生活状態の安定・改善が図れたかどうかモニタリングを実施しています。ケアマネジャーは、要介護認定を受けた認知症の人のケアプラン作成やモニタリングの実施を通じて、認知症の人と家族が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることを継続的に支援する、主な「伴走者」の役割を担うことが期待されます。 また、ケアマネジャーが「伴走者」の役割を果たすためには、あんしんすこやかセンターをはじめとして、かかりつけ医や地域の関係者・関係機関との連携が必要となります。   認知症在宅生活サポートセンターは、初期集中支援チームによる訪問支援を行うにあたり、訪問終了後の介護サービス利用調整依頼や専門医によるアドバイス等をケアマネジャーに行うほか、認知症高齢者の支援に関する相談や事例検討等のスーパービジョン、区の認知症に関する実態や地域の情報等の発信を行います。 (2)家族会 家族会は、認知症の人を介護している家族同士が互いに語り合うことにより、認知症のケアに関する智恵や経験を共有したり、日ごろの思いを共感したりすることで、介護のヒントや安心感を得て、認知症の人と家族が穏やかに生活できるような支え合いを実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、家族介護者向けの講演会や家族会同士の交流等のインフォーマルなネットワークづくりの支援を行います。 (3)民生委員 民生委員は、その職務において、援助を必要とする人ができるだけ自立した日常生活を営むことができるよう、生活や福祉サービスに関する相談・助言・情報提供等の支援を行うほか、地域の関係機関等との連携・協力や、区民の福祉の増進を図るための活動を行う役割を担います。 認知症在宅生活サポートセンターは、民生委員が、認知症の人や家族を身近な相談窓口であるあんしんすこやかセンターにつなげたり、認知症の人や家族を見守る役割を担うことができるよう、あんしんすこやかセンターと連携して、区の認知症に関する施策や現状等の情報発信を行うとともに、研修や地域の連携会議の協力等の支援を行います。 (4)近隣区民 区が開催する認知症講演会や、認知症サポーター養成講座への参加を通じて、認知症に関する正しい知識をもつとともに、認知症の人や家族を温かく見守るほか、認知症サポーターとして認知症が疑われる人や介護による心理的ストレスが見られる家族介護者に気づき、あんしんすこやかセンターに情報提供したり、もの忘れ相談に誘う等、身近な相談窓口につなげる役割を担います。 認知症在宅生活サポートセンターは、近隣区民が、認知症の人や家族を身近な相談窓口につなげる役割を担えるよう、広く区民への認知症に関する情報発信を行うとともに、あんしんすこやかセンターが実施する認知症サポーター養成講座等の普及啓発の支援を行います。 (5)かかりつけ医・認知症サポート医 地域の医療機関であるかかりつけ医や認知症サポート医は、認知症の診断・診療を行うとともに、必要な人に認知症の医療サービスが早期に提供されるよう、もの忘れ診断連携クリティカルパスの活用等により早期のタイムリーで適切な診断と早期対応や早期支援を推進しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、初期集中支援チームによる訪問支援を行うにあたり、かかりつけ医がいる場合は、訪問開始時のアセスメント結果や支援目標に関する共有を行うとともに、支援経過をかかりつけ医に報告しながら訪問支援を進めます。 また、かかりつけ医がいない場合は、地域のかかりつけ医・認知症サポート医に医療の協力を依頼するほか、訪問経過等の共有を行います。 (6)もの忘れ診断連携クリティカルパスネットワーク病院 世田谷区医師会・玉川医師会では、もの忘れが心配な人の早期受診や診断・早期治療を円滑に行うため、地域のかかりつけ医と検査・診断を行うネットワーク病院が連携して、認知症の早期のタイムリーで適切な診断と治療が円滑に実現できるよう、もの忘れ診断連携クリティカルパスに取り組んでいます。 認知症在宅生活サポートセンターは、初期集中支援チームによる訪問支援を行うにあたり、かかりつけ医との連携のもと早期のタイムリーで適切な診断と治療につなげる役割を担います。 (7)東京都認知症疾患医療センター 東京都では、二次医療圏毎に1か所の認知症疾患医療センターを指定しており、世田谷区及び目黒区、渋谷区を含む特別区西南部の二次医療圏では、東京都立松沢病院が指定を受けています。 認知症疾患医療センターの主な業務は、「専門医療相談の実施」「認知症の診断と対応」「身体合併症や行動・心理症状への対応」「地域連携の推進」「専門医療、地域連携を支える人材の育成」「情報発信」です。 認知症在宅生活サポートセンターは、認知症疾患医療センターと連携し、あんしんすこやかセンターで行う専門医療等へのつなぎの支援を行います。 (8)かかりつけ歯科医 かかりつけ歯科医は、日常の診療活動を通じて、もの忘れの心配や認知症が疑われる人に気づき、本人の自覚症状の確認や家族への連絡、あんしんすこやかセンターへ対応の依頼を行うほか、歯科医師会として介護予防事業の口腔機能向上プログラムに取り組んでいます。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、認知症の人や家族への日常の在宅ケアが適切で安定的に提供されるよう支援し、かかりつけ歯科医への相談や診療依頼等の調整について助言します。 (9)かかりつけ薬局 かかりつけ薬局は、薬局に来訪する人で、もの忘れの心配や認知症が疑われる人に気づき、かかりつけ医やあんしんすこやかセンター等への情報提供や対応の依頼を行うほか、対象者の状況に応じた服薬支援の取り組み等を実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、認知症の人や家族への日常の在宅ケアが適切で安定的に提供されるよう支援し、かかりつけ薬局への相談や服薬支援依頼等の調整について助言します。 (10)訪問看護ステーション 訪問看護師が認知症の人の居宅に訪問することにより、看護ケアの提供とあわせて、居宅の環境や認知機能、日常生活機能を把握し、どのような支援が必要かを明らかにすることにより、残存機能をいかしながら本人の住み慣れた生活を継続する支援を実施しています。 また、家族介護者の接し方や介護負担の状況等を詳細に把握し、指導することにより、家族介護者への心理的サポートや、負担軽減のためのサービス利用につなげる提案等を実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、認知症の人や家族への日常の在宅ケアが適切で安定的に提供されるよう支援し、訪問看護ステーションへの相談や支援依頼等の調整について助言します。 (11)介護事業所(訪問介護(ホームヘルプサービス)、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、小規模多機能型居宅介護、特養ホーム(ショートステイ在宅入所相互利用)、老人保健施設) 介護事業所は、訪問や通所により、食事・入浴の提供や排泄の介助、家事援助、日常生活動作訓練、レクリエーション、宿泊サービス等のさまざまな日常生活支援や認知症に配慮したプログラムの提供を行うとともに、サービスの提供を通じて、認知症の人への接し方を家族介護者に助言したり、家族介護者の休息(レスパイト)の提供を行っています。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、認知症の人や家族への日常の在宅ケアが適切で安定的に提供されるよう支援し、介護事業所への支援依頼等の調整について助言します。 (12)成年後見センター 成年後見センターは、認知症等により判断能力が不十分になり、自分一人では契約や財産の管理が難しい人のために、本人の権利を守る援助者(成年後見人等)を選ぶための法律的な支援につなげる相談事業等を実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、成年後見センターへのつなぎの支援を行います。 (13)消費生活センター 消費生活センターは、商品やサービスに対する疑問、生活知識や買い物に関する問合せ、高齢者の消費者被害相談等、消費生活全般にわたるさまざまな事業を実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、あんしんすこやかセンターを後方支援することにより、消費生活センターの相談等へのつなぎの支援を行います。 (14)福祉人材育成・研修センター 福祉人材育成・研修センターは、福祉サービスの担い手となる人材や、就労していない有資格者の発掘を行い、育成を図るとともに、スキルアップ研修や人材登録を行い、区内事業所の就労につなげる取り組みを実施しています。 認知症在宅生活サポートセンターは、福祉人材育成・研修センターと連携し、認知症(若年性認知症を含む)に関する専門研修の企画立案や専門講師派遣を行います。 5.認知症在宅生活サポートセンターの機能 検討委員会で出された意見や国の動向をふまえ、認知症在宅生活サポートセンターの機能を、以下の5つとしました。 今後はこれら5つの機能について、区の喫緊の課題ととらえ、機能別に順次、事業を実施し、事業の実施手法等を蓄積するとともに、認知症の人や家族からの意見を取り入れ、取り組みの効果検証等を行う必要があります。 また、国や都の動向をふまえ、認知症施策に関するモデル事業等を積極的に取り入れるとともに効果を検証し、必要に応じて新たな制度設計を国等に働きかけていくことが必要です。以下、5つの機能について、施策を示します。 機能1 訪問サービスによる在宅支援のサポート機能 【新規】 施策@:初期集中支援チームによる早期対応や早期支援のサポート 看護師・医師等からなる認知症支援のための専門チームを設置し、身近な相談窓口であるあんしんすこやかセンターへの専門的な支援(バックアップ)、認知症の人と家族への初期アセスメント、概ね6か月間の継続的なケアの提供、家族への助言等をアウトリーチ(訪問)により実施する機能。 機能2 家族支援のサポート機能 【拡充】 施策@:家族介護者のための勉強会の企画・実施 施策A:家族会立ち上げ支援および運営支援 施策B:家族会同士の交流会などインフォーマルなネットワークづくりの支援 施策C:レビー小体型認知症や若年性認知症等の対象別の家族交流会の実施 全区的な家族向けの講座の実施や家族会の運営支援、家族会同士のインフォーマルなネットワークづくりを推進する機能。 機能3 普及啓発・情報発信機能 【新規】 施策@:認知症の在宅支援に関する全区的な実態把握や、対応困難事例等の支援に関するノウハウの蓄積、医療・介護サービスを担う人材育成への活用 施策A:認知症の人が中心となって交流し、家族や地域住民、専門職等の誰もが参加でき集う「認知症カフェ」等の立ち上げ支援と継続支援 施策B:認知症に関する区内の医療や福祉、認知症予防活動、インフォーマルサービス等の情報収集、及び区民やあんしんすこやかセンター等の関係機関、世田谷区福祉人材育成・研修センター等への情報発信 区内の認知症に関する実態把握、対応困難事例の支援方法等のノウハウの蓄積、区民や関係機関等に対する普及啓発・情報発信の機能。 機能4 技術支援・連携強化機能 施策@:あんしんすこやかセンターやケアマネジャー等からの相談や事例検討等を通じた在宅支援に関するスーパービジョンの実施。【新規】 施策A:認知症地域連携会議(あんしんすこやかセンターの認知症専門相談員を中心に、行政、民生委員、自主グループ、家族会、かかりつけ医や認知症サポート医、病院等の医療機関、NPO、成年後見センター、消費生活センター等の地域の関係団体等が一堂に集まる連携会議)の実施【拡充】 事例検討や地域の課題の解決、関係者の連携強化等を目的としたカンファレンスでのスーパービジョンの提供、医療や介護の連携推進や地域の関係機関との協力関係づくりのための連絡会議等の開催による技術支援・連携強化の機能。 機能5 人材育成機能 施策@:世田谷区福祉人材育成・研修センターやあんしんすこやかセンターと連携した、認知症に関する専門研修の企画立案や専門講師派遣 【新規】 ・ケアマネジャー等の介護・福祉専門職向け研修 ・あんしんすこやかセンターの認知症対応力の向上や若年性認知症に関する研修 ・認知症に関する多職種研修の実施 施策A:区民人材の育成や活動支援 【拡充】 ・認知症サポーター養成講座の実施に関する事務局機能 ・認知症サポーターステップアップ研修の実施 世田谷区福祉人材育成・研修センターにおける認知症専門研修プログラムに関する企画や講師の選出等に係る連携・協力、認知症サポーターの養成等に関する専門職及び区民ボランティアの人材育成の機能。 6.若年性認知症に関する今後の区の施策及び認知症在宅生活サポートセンターの役割 (1)若年性認知症の在宅支援の現状と課題 65歳未満で発症する若年性認知症は、現役世代で発症するため、本人や家族の経済的損失、心理的衝撃が大きいほか、認知症の進行が65歳以上の認知症に比べて早い等の困難を抱えています。 若年性認知症の人は、65歳以上の人に比べると、身体機能が保たれている方が多く活動性が高いため、地域で過ごす際に、一般的な認知症デイサービスでは就労支援的プログラムがない等、本人にとって内容がもの足りないといった問題があり、若年性認知症の人に適した居場所が不足している現状があります。 また、障害手帳や障害年金の申請受給等により、経済的支援が可能となるため、介護保険制度以外の支援サービスに関する、本人や家族への情報提供が不可欠です。 若年性認知症に特化した介護保険サービスとしては、平成22年4月から、社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団のデイホーム太子堂1か所において、若年性認知症コース「ともに」を週1回実施していますが、介護保険認定者数から見て、サービス供給が不足している現状があります。 (2)若年性認知症に関する区の施策の方向性 若年性認知症の人の早期支援では、相談窓口や利用できるサービスに関する本人や家族への情報提供、若年性認知症の人が過ごしやすい居場所の確保が必要になります。 相談窓口や利用できるサービスの情報提供については、これまでもあんしんすこやかセンターや、総合支所保健福祉課等が対応しています。 しかし、家族会等からは、相談窓口や利用できるサービスに関する情報発信をさらに行ってほしいとの要望があるため、情報パンフレット等の作成・配付や区ホームページでの周知等に一層取り組む必要があります。 若年性認知症の人が過ごしやすい居場所の確保については、若年性認知症の人の特性に適したプログラムを有するデイサービス等の設置が望ましいことから、当面、若年性認知症コースの増設及びプログラムの充実を目指します。 (3)若年性認知症の支援における認知症在宅生活サポートセンターの役割 若年性認知症の支援における認知症在宅生活サポートセンターの役割を、5つの機能にもとづいてまとめると、以下のとおりとなります。 機能1:訪問サービスによる在宅支援のサポート機能 @若年性認知症の人や家族を対象とした、初期集中支援チームによる早期対応や早期支援のサポート 機能2:家族支援のサポート機能 @若年性認知症の家族のための勉強会の企画・実施 A若年性認知症の家族会立ち上げ支援および運営支援 B若年性認知症の家族会と他の家族会との交流やインフォーマルなネットワークづくりの支援 C若年性認知症の家族交流会の実施 機能3:普及啓発・情報発信機能 @若年性認知症の在宅支援に関する全区的な実態把握や、対応困難事例等の支援に関するノウハウの蓄積、医療・介護サービスを担う人材育成への活用 A認知症の人が中心となって交流し、家族や地域住民、専門職等の誰もが参加でき集う「認知症カフェ」等の立ち上げ支援と継続支援 B若年性認知症に関する区内の医療や福祉、認知症予防活動、インフォーマルサービス等の情報収集、及び区民やあんしんすこやかセンター等の関係機関、世田谷区福祉人材育成・研修センター等への情報発信 機能4:技術支援・連携強化機能 @若年性認知症の人の在宅支援に関する、あんしんすこやかセンターやケアマネジャー等からの相談や事例検討等を通じたスーパービジョンの実施 A若年性認知症の人や家族の支援に関する認知症地域連携会議の実施 機能5:人材育成機能 @世田谷区福祉人材育成・研修センターやあんしんすこやかセンターと連携した、若年性認知症に関する専門研修の企画立案や専門講師派遣 A認知症サポーター研修等の区民人材育成における若年性認知症に関する普及啓発 第3章 整備・運営体制  1.「認知症在宅生活サポートセンター」の整備について 2.今後のスケジュール 第3章 整備・運営体制 1.「認知症在宅生活サポートセンター」の整備について (1)センター機能の実現に向けて 第2章の5.で、「認知症在宅生活サポートセンターの機能」を5つにまとめました。 今後は、これらの5つの機能について、区の喫緊の課題として、取り組み可能なものから、順次、事業を開始していきます。 また、これらの事業は、新たな取り組みや、これまで実施してきた事業のさらなる拡充が必要であることから、平成25年度から個々に事業化を進め、効果的な実施方法の検証等を行いながら、センター開設に向けて事業手法の確立を目指していくこととします。 (2)設置場所 区では、平成25年6月「梅ヶ丘拠点整備プラン(素案)」において、都立梅ヶ丘病院跡地(世田谷区松原6−37)に全区的な保健医療福祉の拠点を整備することとし、区が整備する施設(区複合棟)の施設機能の1つとして認知症在宅生活サポートセンター(以下、「センター」という)の整備を位置づけています。 「梅ヶ丘拠点整備プラン(素案)」については、平成25年度中に正案を策定・公表し、平成26年度より拠点整備事業に着手する予定であり、平成31年度の施設開設を目指した準備を進めています。 センターは、平成31年度の開設を待って動き出すのではなく、平成26年度には庁内の準備担当の組織を立ち上げて1つの機能から実施していきます。また、平成27年度から平成30年度の間は、庁内に「認知症在宅生活サポート室」を設置し、平成31年度のセンター開設までに、全ての事業の実施体制を整備します。 (3)関連法令  ・介護保険法第5条の2(認知症に関する調査研究の推進等) 国及び地方公共団体は、被保険者に対して認知症(脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をいう。)に係る適切な保健医療サービス及び福祉サービスを提供するため、認知症の予防、診断及び治療並びに認知症である者の心身の特性に応じた介護方法に関する調査研究の推進並びにその成果の活用に努めるとともに、認知症である者の支援に係る人材の確保及び資質の向上を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (4)運営主体のあり方 センターは、国、都の専門機関や地域の医療機関、あんしんすこやかセンター、総合支所、福祉人材育成・研修センター、成年後見センターや消費生活センター等の相談支援機関等との連携と調整が重要なため、世田谷区として運営することが望ましいと考えます。 また、センターの運営は、認知症に関する専門的なノウハウが必須のため、区の事業として実施し、運営は、専門性の高い法人に委託するものとします。 センターの委託事業者に求められる条件として、以下の点が挙げられます。 ・認知症の人や家族への相談支援と医療、介護に関するノウハウを有し、かつ実績があること。 ・医師、看護師等で構成される「認知症初期集中支援チーム」がその役割を効果的に発揮できるよう、適切な人材を安定的に確保し、かつ、認知症専門医等のバックアップ体制の確保等、チーム編成能力を有すること。 ・あんしんすこやかセンターや総合支所保健福祉課、区内のかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬局、もの忘れ診断連携クリティカルパスのネットワーク病院、認知症疾患医療センター、ケアマネジャー、訪問看護ステーション等の介護事業所等との密接な連携が取れ、協力して認知症の人や家族の在宅支援施策を担うことができること。 ・医療、介護の専門職の人材育成についての見地をもち、あんしんすこやかセンターや世田谷区福祉人材育成・研修センターと協力して、専門職の人材育成に取り組む能力を有すること。 ・認知症にかかる医療・看護・介護等の最新の情報収集・分析力を有すること。 ・研究機関等の専門的助言を受け、認知症の人や家族の実態を統計的かつ科学的に把握することにより、行政と協力して認知症に関する区の課題解決に取り組む能力を有すること。 ・個人情報の保護に関する法令その他の規範を遵守し、個人情報保護に関する内部管理体制を構築し、運用の安全対策を実施できること。 ・安定的な運営が図れること。 2.今後のスケジュール    認知症在宅生活サポートセンター開設準備スケジュール センターの開設に向けて、機能ごとに順次、委託による事業運営を行っていく。センター委託開始までの間は、区職員の直営による準備を行う。 付属資料 目次 統計資料 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会の検討経過 参考資料1 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム 「今後の認知症施策の方向性について」の概要 参考資料2 厚生労働省「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)(平成25年度から29年度までの計画)<抜粋版> 各検討委員からのひとこと 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員名簿 用語解説 統計資料 1.世田谷区の高齢者数の推移 2.世田谷区の65歳以上親族のいる世帯数の推移 3.世田谷区の高齢化の推移と将来推計 4.介護保険要介護認定者等の認知症高齢者数(推計)の推移 5.若年性認知症の「要介護度」・「日常生活自立度」などの人数(※) (※)平成24年4月1日〜平成25年3月31日要支援・要介護認定者のうち、65歳未満    で「初老期における認知症」で認定された人数 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会の検討経過 開催日 検討内容 ●第1回 平成24年6月26日 (1)委員委嘱、座長・副座長の選出 (2)国の報告書「今後の認知症施策の方向性について」(平成24年6月18日)の説明 (3)本検討委員会の趣旨および検討スケジュール (4)世田谷区における認知症施策の現状 (5)世田谷区の認知症対策の課題および論点整理 (6)意見交換 ●第2回 平成24年7月25日 (1)今後区が取り組む認知症施策(案) (2)意見交換 ●第3回 平成24年8月22日 (1)(仮称)認知症在宅支援センターの機能(案) (2)世田谷区における今後の認知症施策の関連図(案) (3)意見交換 ●第4回 平成24年9月27日 (1)検討の進捗状況確認 (2)今後、区が取り組む認知症施策 (3)(仮称)認知症在宅支援センターの機能(案) ●第5回 平成24年11月13日 (仮称)認知症在宅支援センター構想(素案)の検討 ●第6回 平成25年5月22日 (仮称)認知症在宅支援センター構想(案)たたき台の検討 ●平成25年8月15日から9月6日 (仮称)認知症在宅支援センター構想(案)の区民意見募集 ●第7回 平成25年10月 ・認知症在宅生活サポートセンター構想(たたき台)の検討 ・区民意見募集の結果について ●平成25年12月 ・認知症在宅生活サポートセンター構想の公表 ・梅ヶ丘拠点整備プランの公表 参考資料 1 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム「今後の認知症施策の方向性について」の概要(平成24年6月18日公表) 参考資料 2 (オレンジプラン) 厚生労働省「認知症施策推進5か年計画」(平成25年度から29年度までの計画)〈抜粋版〉(平成24年9月5日公表) 各検討委員からのひとこと@ 認知症と私 公益社団法人 日本看護協会 健康政策部長 村中峯子 「認知症」は、その名称変更後も、あっという間に、ほとんどの日本人が知るところとなった。一方で、「周囲は大変だけど、本人はわからないからいい」とか、「(認知症になるのは)本人の心がけ次第」など、誤った情報が未だに払拭できずにいる。そういう意味で、まだ認知症は“認知”されていないのだと思う。私自身、年々、自分にも訪れるであろう認知症を日々、実感することが多くなってきた。私の祖母がそうであったように、今から自身の最期の準備を考え始めている。祖母は認知症になる前から自身の身辺を整理、荷造りし、白装束まで用意していた。晩年、認知症と付き合いながら普段は庭をいじり、最期は老いた妹の腕に抱かれたまま、看護師の娘(私の母)に看取られ、息を引き取った。確かに、認知症は他人事ではない。しかし、その昔、結核が亡国病と忌み嫌われた時代を経て、公衆衛生活動や、すぐれた治療薬の普及等によって、多くの人々が命を救われる現代に至ったように、認知症もまた、これから私たちが克服していくものなのだ。先人たちが多くの病を克服し、現代の健康・幸福をもたらしてくれたように、私たちもまた、認知症との向き合い方を模索し、体制を整え、近い将来に、次の世代に、認知症を恐れなくてもよい社会を手渡していくことが役割なのだと思う。そのために、できることは少しでも重ねたい。ちなみに、私は自身の近い将来のために、この委員会の末席に加えていただいている小人物ですが、その分、本音で真剣に。認知症は、私の問題なので。 各検討委員からのひとことA 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会に参加して 海上寮療養所 上野 秀樹 精神科医師をしている上野と申します。私が本格的に認知症の人の診療に携わるようになったのは、世田谷区内に住んでいた平成16年、都立松沢病院の認知症精神科専門病棟を担当していた時のことでした。この頃は、重い行動・心理症状のある認知症の人には精神科病院での入院治療が不可欠だと思っていました。時は流れ、今私は千葉県旭市の病院に勤務し、必要な場合には認知症の人のための精神科医療の宅配をしています。いろいろと診療方法を工夫することで、かなり重い行動・心理症状がある人でも、住み慣れた地域での生活を支えることができることがわかりました。高齢化が一番のリスクファクターである認知症は、誰がなってもおかしくありません。私たちが今すべきことは、認知症になってもそれまでと同じように生き甲斐を持って、有意義に暮らせるような社会を作ること、必要な人に必要な支援が適切に提供されるような社会を作ることだと思っています。今回、認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会に参加させていただき、世田谷区で認知症になっても住み慣れた地域で暮らすことができる社会の実現に向けたお手伝いができてうれしかったです。今後ともできる限りご協力させていただきたいと思います。 各検討委員からのひとことB 松沢病院 新里 和弘 認知症の患者さんを在宅で支える。世田谷区のような80万人を超える住宅地でいかに支えるのか。核家族化による単身高齢者も多い。近隣とのつながりも希薄となっている。こういった状況で果たして可能なのだろうか?人口10〜20万で行われてうまくいったことを世田谷区で組み直せるのか・・。世田谷区内には医療機関はたくさんある。またそれぞれに有能で潜在能力の高い職能団体もたくさんある(医師会、歯科医師会、あんすこ、薬局、家族会など)。行政が調整を図り、これらをどう活性化し、連携を進め、生かしていくかが重要なポイントになる。小さな地域でうまく回っている仕組みを、世田谷流の青写真としてどう描くのか。これが今回の会議のテーマであった。そしてプランは出来上がった。このプランを認知症の患者さんの安心に繋げていくためには、今後の意識とたゆまぬ努力が必要なのだろう。 各検討委員からのひとことC 認知症になっても住み慣れた地域でいつまでも暮らせるように 世田谷区医師会 米谷 美津子 認知症の本人にとって、本当に安心して生活できる地域を形作るには、どうしたらいいだろうか。患者さんの“自立支援と尊厳の保持”を大切にしたいと思っているのだがなかなか難しい。認知症という疾患の特性を考えれば、患者さんの尊厳を守る視点および、患者さんのQOLを守る視点ができていれば他人に迷惑をかけるような行動をすることもなく、自宅で家族と穏やかに生活できるのではないだろうか。地域レベルで認知症への理解を深め、医療と介護の枠を超えて共同体制で地域の認知症を見守っていく必要がある。検討委員会の構想が「認知症在宅生活サポートセンターに求められる機能として早期診断に基づき本人、家族への早期対応を行うことにより、認知症の振興の遅延化や家族の介護負担の軽減をはかり在宅生活の継続を可能にするということ」であれば、軽度認知機能障害(MCI)の診断の確立、住民の基本健診に認知症検診を組み込むという必要性を痛感する。 各検討委員からのひとことD 世田谷区歯科医師会 桐原 仁子 いま、うちの歯科医院で認知症の患者さんが二人。50代と70代の男性ですが、どちらも奥さんの付き添いが必要。何度も来ている診療室なのに、入ってきても治療台まで誘導しないとキョロキョロ不安そうな表情を見せますし、帰りも同様。70代の方は徘徊もあって時々警察の世話にもなっている様子ですが外見はまったく普通。こちらに知識がなければ奥さんの苦労話は「うそでしょう!」となってしまいます。多くの患者さんは通院できる元気な人で認知症と認めることには抵抗があるものですが、「あれ?おかしいな。」と気付いた時、早期から周囲の人たちがそれとなく見守りながら必要なとき専門機関へつなげてサポートしていけたら、本人も家族も暮らしやすくなります。この検討委員会に参加して多職種それぞれの立場と視点での意見を拝聴し、どの分野も重要な支援となることを認識する機会となりました。強力な“センター”の誕生を期待致します。 各検討委員からのひとことE 玉川歯科医師会 村井 眞木 歯科医師会で、介護予防教室と在宅訪問歯科診療の事業を担当している地域医療委員会の委員長である事から、今回の検討委員会に出席させて頂く事となったが、私自身、現在要介護4の認知症の母を在宅で介護中である。歯科としては、認知症の初期の段階からの関わりや、原因や特徴、さらに重症度等を踏まえての治療や口腔ケア等を多職種との連携を円滑に進めながら地域で展開して行く事が大切であると考え、歯科医師会を大いに活用して頂く事をアピールしたいところである。検討委員会では、3回目頃から漸く認知症在宅生活サポートセンターの影が見え始め、認知症の方をサポート出来る本人本位のまちづくりの必要性を強く感じ、7回の委員会を終え、本質であるケアとバックアップ的な医療の連携が課題であると思った。認知症当事者の質を維持する為に何が出来るのか一医療人として、また母を介護する上で考えさせられる委員会であった。 各検討委員からのひとことF 玉川砧薬剤師会 佐藤 ひとみ 私は、お薬の専門家として支援を物理的面、精神的面から助言させて頂けたらと思い参加しましたが、甘かったとすぐ頭を切り替えました。なぜかというと、一番役に立ったと思われるのは、私の介護経験でした。検討委員会は一回毎が真剣で、立場により問題点が異なり、白熱した会議と成りました。秋山副区長を先頭に、大熊座長が牽引力を発揮され、絵空事では終わらせないというお気持ちが伝わってまいりました。上野委員の目からうろこがおちる発想の実施、西田委員から世界の動き、日本の目指すものは、福祉と絆の確認、新里委員から松沢病院の新たな役割について、家族会の生の声、介護現場の困惑、医療だけでは支えきれない現状や本来あるべき地域のありかた等と様々な得難い話し合いの機会に参加でき、貴重な体験でしたと、過去形にはいたしません。現実可能にするために、薬剤師の存在を感じてほしい、委員としてこれからも勉強させていただきたいと思っております。  各検討委員からのひとことG お天気介護サービス介護支援専門員  江口 志乃 「認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続ける」ために大切なのは地域づくり、まちづくりなんですね。検討委員会に参加された先生で、実際に御両親様の代から地域で地道に御活躍されている方のお話をお聴きして「近くに住みたい!」と思いました。よく考えてみると、地域には相談できたり、助けてもらえたりする場所が既にたくさん散りばめられているようです。住民の方がそれを知ってうまく活用できたら認知症であってもなくても安心して暮らせる気がします。そのためには、家にこもっていないで、自ら行動することも必要。自ら行動した人達が自分にとって有意義な情報を得られるよう「認知症在宅生活サポートセンター」が情報発信地としてきっと機能していくだろうと思います。自分が住んでいる地域のまちづくり、楽しそうです。明るい希望が見えました! 各検討委員からのひとことH 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会に参加して (株)みゆき代表取締役 せたがや訪問看護ステーション所長 松井 知子 「認知症高齢者の伴走者」今回の検討委員会において、訪問看護ステーションのキーワードである。症状が変化していく認知症高齢者とその家族を、どのようにサポートしていくか、看護師に求められる役割は大きい。この3年間、世田谷区社会福祉事業団で、認知症高齢者の見守り訪問看護を受託事業として実施してきた。介入困難な事例でも訪問の効果があり目標達成した事例がある反面、独居の場合等でサービスの継続的利用が難しいなど、課題もみえた。今後、認知症在宅生活サポートセンター構想等に基づき、さまざまな機能の充実が図られるであろう。しかし、認知症になっても当たり前に地域で生活していけることを目指すためには、フォーマルサービスの充実だけでは不足である。インフォーマルな「地域の力」が重要であり、そのためには潜在看護師を地域の資源として活用するのが有効ではないだろうか。地域の看護師として日頃から見守り、伴走者の役割を果たすような仕組みが出来れば良いと思う。 各検討委員からのひとことI 認定特定非営利活動法人語らいの家代表理事  坪井 信子 認知症という病気を抱えた人が、「地域で安心して暮らせる」ために、どのようにしたら良いか、ということを委員の先生方と真剣に考えさせて頂いた期間でした。医療における診断が充実し、早期に認知症という病気と告げられた人々が地域で安心して暮らせるには、どうしたら良いかということを考えてみました。ご本人、ご家族の病気に対する不安は大きなものがあります。まず、ご家族が認知症のことを良く知り、勉強していただく機会を多くつくり、自分達は支えられていると感じて貰えるようにする。又本人にとっても病気のことを出来るだけ理解してもらい安心して過ごせる「場」や、支える人がいれば、たとえ認知症と診断されても将来への不安は軽減されると考えます。例えば、月に一回でも同じ思いの人々が気軽に集まり、自分の気持ちを語れる「場」が近くにあれば、参加者同士で互いに支え合うことができるのではないでしょうか。そのような「場」を提供し、認知症の人やご家族が少しでも安心して過ごせるよう支援して行きたいと思います。 各検討委員からのひとことJ 若林あんしんすこやかセンター 佐藤 恭子 あんしんすこやかセンターの相談支援業務の中でも、認知症に関することは、多くの困難を抱えるものだと日々実感しています。認知症の方が住み慣れた地域で暮らし続けたいと望んでも、様々な事情で実現できなかった例や、なかなか必要な支援につなげられず、支援者として力不足を感じた例が多くありました。検討委員会では、そのような経験の中で、あんしんすこやかセンターの現状や課題について私なりに感じていることをお話してきました。議論の過程で改めて認知症の方ご本人をなんとか地域で支えたいという思いを強くしました。そのためにも、認知症在宅生活サポートセンター構想の実現を望みます。そして、あんしんすこやかセンターは、ご本人やご家族、ケアに関わる方々が安心して相談できるパートナーとなれるよう、一層努力していきたいと思います。最後に、第一線でご活躍の先生方と一緒に認知症ケアについて考える機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。 各検討委員からのひとことK 検討委員会に参加して 在宅介護家族の会『フェロー会』 高橋 聰子 平成8年4月に『フェロー会』を立ち上げて18年、当時は、痴呆症と言われていて、今の様には情報が無く、介護保険も無く、世田谷区の介護サービスを利用しながら試行錯誤の中で介護をしていました。介護する側の私たちには誰もケアしてくれません。介護には季節も無く、出口の見えないトンネルの中にいるようなもの。いつまでもエンドレスで、ストレスが溜まり気持ちにゆとりが持てなくなる・・・。介護の仕方も十人十色。家族会では色々な方の話を聞いて、それを自分なりにアレンジして、それぞれの立場で介護をしています。『分かるわ〜!』と言い合えただけで通じ合える。仲間の何気ない一言が、キャンセルの効かない長い日々を支えているとつくづく感じています。此の度の検討委員会に参加させて頂き、改めて地域連携の重要性を痛感し、行政、病院、薬局、家族会等が連携して有機的に結び付けられることは、大変重要であると感じております。建前論だけでなく、皆がそれぞれの立場で真剣に取り組んでいることが解り、家族会にとっても心強く大変有り難いことだと思っています。 各検討委員からのひとことL レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会 加畑 裕美子 レビーおしゃべり会会報「ゆるりん通信」創刊時から世田谷区に声をかけていただき、応援と共に、「レビー小体型認知症」の人々への周知にも理解を示していただいてきました。そのご縁がつながり、認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員会の委員として参加しました。在宅支援に関わるすべての職種に、本人と家族はいつも関わっていきます。家族会の声を受け止めて、それがまた支援の輪の一部であることを認めてくださっている世田谷区、在宅支援のパズルの抜け落ちた部分を埋めながら、全国のモデルになるようなプランを見せてくださると思います。今回の委員会は、人間味に溢れる方ばかりで、一緒にお話できたことを嬉しく思っています。子どももお年寄りもだれもが住みやすい場所を作ること、「人」を思い、認知症を正しく理解し、自分や人それぞれの役割を考えて行けば、認知症になっても「安心して生きれる場所」は自然に生まれて来ると思っています。 検討委員名簿 認知症在宅生活サポートセンター構想等検討委員名簿 (平成25年10月現在) 座長 大熊由紀子 国際医療福祉大学大学院教授 副座長 村中峯子 (公社)日本看護協会健康政策部部長 委員 西田淳志 (財)東京都医学総合研究所心の健康プロジェクト主任研究員 委員 上野秀樹 (社福)ロザリオの聖母会海上寮療養所医師 委員 新里和弘 都立松沢病院社会復帰支援室長・認知症疾患医療センター長 委員 米谷美津子 (社)世田谷区医師会認知症サポート医 委員 斉藤康洋 (社)玉川医師会理事 委員 桐原仁子 (公社)世田谷区歯科医師会介護保険委員会委員長 委員 村井眞木 (公社)玉川歯科医師会地域医療委員会委員長 委員 佐伯孝英 (社)世田谷薬剤師会監事 委員 佐藤ひとみ (社)玉川砧薬剤師会副会長 委員 江口志乃 (有)幸せ在宅計画社お天気介護サービス介護支援専門員 委員 松井知子 (株)みゆき代表取締役 せたがや訪問看護ステーション所長 委員 坪井伸子 認定特定非営利活動法人語らいの家代表理事 委員 佐藤恭子 若林あんしんすこやかセンター管理者 委員 橋聰子 在宅介護家族の会「フェロー会」代表 委員 加畑裕美子 レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会代表 委員 板谷雅光 世田谷区地域福祉部長 委員 澁田景子 世田谷区砧総合支所保健福祉課長 委員 小堀由祈子 世田谷区地域福祉部介護予防・地域支援課長(事務局) 用語解説(五十音順) 【あ行】 あんしんすこやかセンター 世田谷区における地域包括支援センターの名称。地域包括支援センターは、高齢者に関するさまざまな相談を受ける「総合相談・支援」、介護予防事業を推進する「介護予防ケアマネジメント」、ケアマネジャーや医療機関等と連携し、支援する「包括的・継続的ケアマネジメント」、高齢者虐待や消費者被害の防止、成年後見制度の利用支援を行う「権利擁護」の4つの機能を持っている。   アセスメント 影響評価、事前評価、再評価、評価、査定。 アウトリーチ 専門家が機関で来訪を待ち受けるのではなく、得られた情報に基づき、自ら地域に在住する支援対象者へ出向いて支援すること。 医師による訪問相談モデル事業(世田谷区独自事業) 認知症が疑われる高齢者や家族が医療による早期対応が図れるよう、医師などが訪問等で本人の状況や家庭環境などを把握し、助言を行う。 梅ヶ丘拠点整備プラン(世田谷区独自) 梅ケ丘病院跡地について、保健医療福祉サービスの全区的な拠点を中心に整備・展開する考え方のもとで、平成23年3月に「梅ケ丘病院跡地利用基本構想」を策定。平成23年度からは、基本構想に示された、整備・展開が求められる機能、並びに事業化のあり方をできる限り明らかにし、24年度中に想定した跡地修得(事業化)判断に供するためのプランのこと。 インフォーマルサービス 介護保険や区の保健福祉サービス等の公的サービス以外のサービスのこと。 NPO(特定非営利活動法人) ボランティア活動などの社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体の総称。このうち「NPO法人」とは、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき法人格を取得した「特定非営利活動法人」の一般的な総称。 エビデンス(科学的根拠) 意思決定や判断、問題解決の際に、用いる事実やデータの集積。 【か行】  介護保険 介護を必要とする人を社会全体で支えるための社会保険制度。40歳以上の方が介護保険の被保険者となって保険料を納め、介護や支援が必要となったときに認定を受け、費用の1割を負担することで介護サービスを利用することができるしくみ。 介護予防 高齢者が要支援・要介護状態になることをできる限り防ぐこと、あるいは要支援・要介護状態であっても、状態がそれ以上悪化しないようにすること。 家族会 高齢者や認知症の方などを介護されているご家族が、介護のヒントや経験などを共有したり日ごろの思いを語り合う場。 家族のための心理相談(世田谷区独自事業) 認知症の方を介護されている家族を対象に、心理士が個別に相談を受け支援を行う。 カンファレンス 会議、協議会。 ケアプラン(居宅サービス計画) 介護認定結果をもとに、介護を必要とする方が、適切な介護サービスを利用できるよう、本人や家族の要望を聞きながら、各種サービスを組み合わせた介護保険サービスを利用するための計画のこと。 ケアマネジャー(介護支援専門員) 介護を必要とする方が、適切な介護サービスを利用できるよう、本人や家族の要望を聞きながら、居宅サービス計画(ケアプラン)の作成や見直し、サービス事業者や施設との連絡・調整などを行う、保健・医療・福祉などの介護の幅広い知識をもつ専門家。 ケアマネジメント 対象者の自立とQOL(生活の質)の向上を目指し、対象者の持つニーズに対して適切な社会資源やサービスを結びつける援助機能のこと。 グループホーム(認知症対応型共同生活介護) 認知症の状態にあり介護を必要とする方が、少人数で共同生活を行う住居で、食事・入浴・排せつ等日常生活上の世話や機能訓練等を受けられる。 【さ行】  初期アセスメント(第一段階の課題分析) 第一段階において、支援者が何を求めているかを正しく知り、援助活動を行う前に行われる評価のこと。 小規模多機能型居宅介護 通いを中心として、利用者の心身の状況や希望に合わせて、訪問や宿泊を柔軟に組み合わせたサービスを家庭的な環境のもとで受けられる。 ショートステイ(短期入所療養介護、短期入所生活介護) 特別養護老人ホーム等に短期間入所し、入浴・食事等の日常生活上の世話や機能訓練等を受けられる。 消費生活センター 事業者との契約や悪質商法による被害、商品やサービスに対する疑問、生活知識や買い物に関する問い合わせ等、消費生活に関する相談窓口。 若年性認知症 18歳から65歳未満で発症する認知症のこと。 スーパービジョン 対象者への助言、指導、援助を行うこと。 成年後見制度 認知症や知的障害、精神障害等により、判断能力が不十分になった方の権利を守るため、家庭裁判所が選任した成年後見人等が、本人の財産管理や身上監護(介護保険サービスの契約や入院手続き等の生活や健康管理)を行う制度。本人の判断能力に応じて、補助、保佐、後見の3つの類型があり、業務の範囲が定められている。4親等以内の親族等により家庭裁判所へ申立ての手続きを行っている。 成年後見センター 成年後見制度の利用や申し立て手続きの方法、後見人候補者についての情報提示、また福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理に関する相談窓口。 【た行】  地域権利擁護事業 判断能力の低下等により金銭管理や福祉サービスの契約等に不安のある方を対象に、社会福祉協議会の職員(専門員・生活支援員)が金銭管理や福祉サービスの利用手続きを支援する事業。 地域支援事業 高齢者の方が、介護が必要な状態にならないように介護予防を進め、また住み慣れた地域で安心して自立した生活をおくれるよう支援する事業のこと。 地域密着型サービス 「認知症ケア」や「地域ケア」を推進するため、地域の特性に応じて、多様で柔軟なサービス提供が可能となるよう、新たに創設されるサービス体系のこと。 【な行】 認知症 いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、日常生活や仕事をするうえで支障が出ている状況がおよそ6か月以上継続している状態をいう。 認知症ケアパス 認知症の人やその家族が、認知症と疑われる症状が発生した場合に、いつ、どこで、どのような医療や介護サービスを受ければよいか理解できるよう、状態に応じた適切なサービス提供の流れのこと。 認知症高齢者見守り訪問看護事業(世田谷区独自事業) あんしんすこやかセンターと区が連携し、看護師が認知症高齢者の方の自宅へ定期的に訪問し、医療や必要なサービスへの支援を行う。(※平成25年3月までの事業) 認知症サポーター 「認知症サポーター養成講座」を受講し、認知症について正しい知識を持ち、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する人(サポーター)。厚生労働省は、平成17年4月から「認知症を知り地域を作る10ヵ年」をスタートさせ、その一環の事業として「認知症サポーター」を100万人養成しようという「認知症サポーター100万人キャラバン」に取り組んでいる。 認知症サポーターステップアップ講座(世田谷区独自事業) 「認知症サポーター養成講座」を受講で、認知症の人や家族に対して具体的な支援活動に取り組む意欲がある人を対象に、地域のインフォーマルサービスの担い手を育成する講座。 認知症サポート医 地域のかかりつけ医への認知症に関する知識・技術などの助言をはじめ、地域の認知症にかかる地域医療体制構築の中核的な役割を担う医師。 認知症初期集中支援チーム 認知症(疑い含む)の症状がある人や家族を対象に、医師・看護師等の専門職が、チームで家庭訪問による支援を行い、医療や介護保険サービスの利用につなげるほか、認知症に関する正しい情報提供や介護負担の軽減等を行い、在宅生活の継続に向けた支援体制を作ることを目指す。 認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン) 厚生労働省が策定した認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、「ケアの流れ」に沿ったサービスが提供できるための基盤整備を平成25年から29年の5か年で実施する計画。 認知症専門相談員(認知症すこやかパートナー)(世田谷区独自) あんしんすこやかセンターにて認知症に関する様々な相談を中心となって受ける専門職員。 認知症地域支援推進員 全国の市区町村で、介護と医療の連携強化や地域の実情に応じて、認知症の人や、その家族を支援する事業の推進役を担う。 認知症地域連携会議 認知症専門相談員と地域の医療機関、介護事業所、民生委員、NPO、区民等の関係者が顔をあわせて情報や意見交換等を行う会議。 認知症対応型通所介護 認知症の状態にあり介護を必要とする方が、デイサービスセンター等に通い、食事・入浴の提供や日常動作訓練等を受けられる。 認知症ライフサポート 認知症の人への医療・介護を含む統合的な生活支援。 【は行】  【ま行】  民生委員 厚生労働大臣から委嘱を受け、社会奉仕の精神のもと、地域保健福祉の推進をめざし、無報酬でさまざまな活動を行う人。活動は、担当区域を受け持ち、住民の立場にたった相談・助言・援助を行い、地域住民が福祉の制度やサービスが必要なときに利用できるよう、情報提供や窓口への橋渡しを行ったり、高齢者や児童等の見守り、災害時の安否確認など、幅広い活動を行っている。 もの忘れ診断地域連携クリティカルパス 地域の医療機関が連携し、もの忘れ症状のある患者が安心して診断・治療・療養を継続できるように、診断方法や受診予定を患者・家族・かかりつけ医・病院で共有するための診療計画で、世田谷区医師会と玉川医師会が取り組んでいる。 【や行】  要支援・要介護認定 どのくらいの介護が必要かを示す程度区分のこと。区分は、要支援1・2、要介護1・2・3・4・5に区分される。 【ら行】 レスパイトケア 休息・息抜きなどを意味し、在宅で介護している家族の疲労を癒すため、在宅での介護を一時的に代替しリフレッシュを図るサービス。 レビー小体型認知症 パーキンソン病のような運動障害や幻視・幻覚体験などの特徴的な症状がでることが多い認知症。 世田谷区認知症在宅生活サポートセンター構想 認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために 平成25年11月 【お問い合わせ先】 世田谷区 地域福祉部 介護予防・地域支援課 介護予防・認知症対策担当 〒154-8504 世田谷区世田谷4−21−27 TEL 03−5432−2954(直通)