第27期世田谷区社会教育委員の会議活動報告書 子どもの貧困問題への社会教育からのアプローチ −どんな状況にあっても生きづらさを感じず  前向きに生きていくための環境づくりへ− 平成30年4月25日 世田谷区社会教育委員の会議 目次 はじめに                                   第1章 「子どもの貧困」をめぐる関係性の視点からのアプローチ        1 第27期テーマの方向性    2 会議の経過(第1回〜10回)    3 子どもの貧困について                             (1)絶対的貧困と相対的貧困    (2)相対的貧困率と子どもの貧困率    (3)子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)       の世帯員の相対的貧困率    (4)ひとり親家庭の子どもの進学率及び就職率    (5)就学援助(世田谷区)    4 子どもの貧困をめぐる意見交換(第1回〜第3回)                (1)子どもの普段の過ごし方について    (2)子どもや親が身近に相談できる第三の場や人について    (3)親の現状や家庭環境について    (4)現代的な貧困の特徴について    5 事例報告「子どもの貧困−子どもが育つ地域を豊かにするために」(第4回)    (1)事例報告レジュメ    (2)事例報告要約 第2章 課題解決に向けた社会教育的アプローチ              1 「関係性の貧困」をめぐる課題と方策についての意見交換  (1)課題解決の方向性について  (2)子どもが孤立しないための方策について  (3)子どものSOSをキャッチするための課題と方策について  (4)子どもの伴走者となる大人の確保について  (5)既存の制度を活かすための課題と方策について     2 「関係性の貧困」をめぐる課題解決に向けて−中長期ビジョンの提言−      どんな状況にあっても生きづらさを感じず前向きに生きていくための    環境づくりへ−当事者を「共の世界」や公へつなぐ3つの方策−    (1)インフォーマルな「共の世界」を豊かにする    (2)「共の世界」を育むプラットフォームをつくる    (3)第三の大人のネットワークをつくる    (4)子どもの貧困問題への社会教育的アプローチ(概要版) おわりに                                  資料                                     □資料1 複合的剥奪としての子どもの貧困                   □資料2 子どもの貧困想定概念図                    □資料3 子どもの貧困をめぐる意見交換図                □資料4 「子供の未来応援プロジェクト」ホームページ掲載事業一覧 (世田谷区)(平成29年9月現在)    □資料5 第27期世田谷区社会教育委員名簿               □資料6 第27期世田谷区社会教育委員の会議事務局名簿      はじめに  近年、「子どもの貧困」についてテレビや新聞等のマスコミによる報道や、NPOや行政機関による研修等の学習の機会が盛んに行われている。  23区では、先行して足立区や大田区が「子どもの貧困」の実態調査を実施するほか、 他区でも生活困窮世帯を対象の取り組みも行われ始めている。  世田谷区においては、実態調査は行われていないが、教育委員会発行の事業概要「教 育のあらまし『せたがや』」では、奨学援助認定者数(平成28年度)は公立小中学生の 約5,300人となっている。また生活困窮世帯やひとり親家庭を対象にさまざまな取 り組みが行われている。区内の地域を見ても、ここ数年、地域住民による居場所を伴う 学習支援や子ども食堂等の活動が展開されている。このように、「子どもの貧困」が課題 として取り上げられていることが窺える。 これらの背景としては、わが国の子どもの貧困率(2012年厚生労働省調査)は「6人 に1人」であるといわれており、子ども達の将来がその生まれ育った家庭の事情等に左右されることのないように、 平成26年1月に子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的に、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されたこと。 また、同年8月には、子どもの貧困対策を総合的に推進するためには、地域における教育分野・福祉分野等の多様な関係者の協力を得つつ、 地域の実情に即した効果的な施策に取り組むことが重要であるとして、子どもの貧困に関する基本的な方針等を定めた「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されたこと。 そして、この大綱には、重点施策として「教育の支援」「生活の支援」「保護者に対する就労の支援」「経済的支援」が掲げられ、自治体による支援が充実しつつあること。 そのほかにも「子供の貧困に関する調査研究等」の取り組みが明記されたことにより、都道府県や政令都市、区市町村の自治体が「子どもの貧困」の実態調査を取り始めていること。 さらには、現代の「貧困」は外から見えにくいと言われているが、日常生活の関わりにおいて区内にも生活困窮世帯の子どもが少なからずいることを実感していることがあげられる。  このようなことから、第27期社会教育委員の会議(平成28年6月〜平成30年 5月)では、テーマの方向性を「子どもの貧困をめぐって」とし、検討することに なった。議論を進める中で、現代的な子どもの貧困の連鎖は、経済的貧困だけでは なく、むしろ「関係性の貧困」がバックボーンとなっていることが見えてきた。              そこで、社会教育的観点からのアプローチとして貧困からさまざまな関係や場への 参加から疎外される「関係性の貧困」に着目し、調査及び研究を重ねてきた。その結果として、 「どんな状況にあっても生きづらさを感じず前向きに生きていくための環境」のあり方の整備が重要であり、そのための3つの方策が必要であるとの結論を得るに至った。  今後、教育行政の中長期的な施策の一助となれば幸いである。 この報告書を2年間の議論のまとめとして報告する。 第1章 「子どもの貧困」をめぐる関係性の視点からのアプローチ 1 第27期テーマの方向性  子どもの貧困は、特に経済面や学習面を通じ、子どもをさまざまな関係性から疎外 し、孤立化させる恐れがある。孤立した子どもは、自尊心や自己肯定感を養われるこ となしに、社会に出されることになる。孤立した環境が長期化すればするほど、社会 との関係や参加はより困難になり、「貧困の連鎖」が生じる。   子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、 貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図 る子どもの貧困対策はきわめて重要である。   そこで、第27期の社会教育委員の会議では、社会教育的観点からのアプローチと して「関係性の貧困」に着目し、貧困からさまざまな関係や場への参加やつながりか ら疎外される因果関係は何か、また課題からどのような環境整備に向けた方策が考え られるのかを議論した。 2 会議の経過(第1回〜10回)   今期の活動経過は以下のとおりである。  第1回  平成28年6月21日       「テーマの方向性の検討」  第2回  平成28年8月31日       「テーマ設定と活動内容の検討」  第3回  平成28年10月25日       「前回会議の論点整理」  第4回  平成28年12月15日       「事例報告:子どもの貧困−子どもが育つ地域を豊かにするために」  第5回  平成29年1月24日       「事例研究及び課題抽出 後期活動の方向性について」  第6回  平成29年5月31日       「課題抽出・整理と方策について」  第7回  平成29年7月20日       「課題抽出・整理と方策A及び活動報告書素案(説明)について」  第8回  平成29年10月27日       「活動報告書素案の検討について」  第9回  平成30年1月10日       「活動報告書案の検討について」  第10回 平成30年2月22日       「第27期社会教育委員の会議活動報告書のまとめ」 3 子どもの貧困について (1)絶対的貧困と相対的貧困     貧困の定義の代表的なものとして、「絶対的貧困」と「相対的貧困」がある。   ○ 絶対的貧困とは     食料がない、住む家がないなど人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困のこと。   ○ 相対的貧困とは     世帯の所得がその国の全世帯の所得の中間値の半分に満たない状態のこと。国の所得格差を表している数字である。 (2)相対的貧困率と子どもの貧困率    (画像)    出典:平成28年国民生活基礎調査概況 (3)子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)の世帯員の相対的貧困率    (画像)    出典:平成28年国民生活基礎調査概況 (4)ひとり親家庭の子どもの進学率及び就職率    (画像)    出典:平成23年度全国母子世帯等調査(特別集計) (5)就学援助(世田谷区)     平成29年度給付内容     (画像)         単位:円   ※学年によって金額が多少異なる。夏季施設費実費は上限あり。     就学援助認定者数(3ヵ年)    (画像)    出典:教育のあらまし「せたがや」 4 子どもの貧困をめぐる意見交換(第1回〜第3回)   本会議では、子どもの貧困は複合的に絡み合っているため、課題を抱えている当事 者(ターゲット)に直接的にアプローチしていくような経済支援や学習支援に特化し ていない。むしろ社会や地域コミュニティ全体の課題として捉え、あらゆる人々が共 に学び育ちあう中で助け合える社会教育的観点の内実を探るために、子どもをさまざ まな関係性から疎外している要因について意見交換を行った。 (1)子どもの普段の過ごし方について ○ 自分が活動している範囲から見えてきたことは、小学生の1週間の予定を調査したところ、予定がビッシリ埋まっている子どもが多かった。塾や習い事などの予定があり遊ぶ時間がない子どもがほとんどだった。 ○ その活動に遊びに来たり児童館などで顔の見える子どもたちは忙しい子どもたちだった。 ○ 予定が全くない子どもは自由に遊んでいると思ったらそうではなかった。 ○ 今の子どもの遊びは、カードゲームなどかなりお金がかかる遊びがコミュニケーションツールになっている。 ○ 一方、遊ぶこと自体をしていない子どもがおり、心配な子どもも見え隠れしているが、そういった子どもが何をしているのか見えない。 ○ 学校がどの程度つかんでいるのかわからないが、またわかっても手立てがないという現状がある。何とかしたくても手が届かないのが現状である。 ○ 家庭の事情はわからないが、靴下がすごく汚い男子生徒がそのことで女子から敬遠されたり、いじめに発展したケースがあった。 ○ 小学校では実際に給食が生きるツールになっている子どももいる。周りの子どももその子どもの状況が分かっているので許容している。 ○ 今は子どもの「SOS」が見えない状況がある。そこが見えるとしたら、子どもとの関わりを通してである。そのためには、学校・地域にそれぞれできることがあり、連携していかなければならない。 ○ 子どもは個別の家庭環境で育っているので、自らの置かれている環境に疑問を持たず、その状況から自発的に脱することは難しい。自分からその状況を打破できるきっかけになるような場があるとよい。 ○ 最近感じるのは、子どもたちに夢がない。あきらめてしまうのかわからないが、貧困層だけでなく全体的に夢ややりたいことを語る子どもが少なくなっている。 (2)子どもや親が身近に相談できる第三の場や人について ○ 子どもたちが相談する場として、児童館に以前から来ている子どもには児童館の職員がいるが、来ていない子どもにはそういった場がなかったり人がいない。地域に身近な相談できる場が必要だと感じている。 ○ 塾にいけない子どもの補習を学校や教育委員会に要望したが、学校を離れると支援の場がなくなるので、地域が小さい頃からコミュニケーションをとりながら相談に乗ってくれる「かけ込み寺」のようなものが必要だと感じている。 ○ 補習に関して、意欲があり問題のない子どもは出てきているが、本当に必要な子どもが出てこられる場をつくることが重要だと思う。地域でどの程度そういった子どもがいるかは把握しきれていないが、いると思う。 ○ 子どもの貧困以前に地域の中で孤立化しているため、アプローチが必要な人がいることも課題として認識されている。今回の議論により、これまでの課題として認識されていた部分に光が当たっていくかもしれない。 ○ ある児童館では先行して、「じどうかん食堂」を実施している。地域も巻き込み達成感も得られているが、本当に必要な子どもが参加しているかは分からないのが実状。参加している人は喜んでいる。 ○ 仕事の転勤で子育て世代が転入してきた際、区の施設もよくわからないため、子ども食堂は1つの良いきっかけになったとも聞いた。産婦人科医やまちづくりセンターも巻き込んで、新しく越してきた人に情報発信していくことは、お金もかからずできる。 ○ 世田谷全区で見れば子ども・子育て総合センターや子育てステーション、ボランティア協会のチャイルドラインなど、子どもの悩みを聞いてくれる場所があるが、児童館とは別の悩みを聞いてくれるような人や場所が地域にはない。そういった場所が必要なのだと思う。 ○ 他区で子ども食堂を始めた方によると、ただお金がなくて食事が取れないだけでなく、親の帰りが20時21時と遅いため、18時〜20時といったいわゆるゴールデンタイムに食事を取れない子がいることも問題であると言っていた。 ○ 地域には、児童館や青少年施設があるが、そこに来ている子どもや親は、地域活動に熱心な人達が多い。放課後に予定が入っていないような子どもほど来ていない。様々な地域の行事に参加していない、来れない人は以前から存在していて、問題であった。子どもの貧困ということではなく、以前からずっと地域の課題として存在していた。 ○ 小さい頃から子どもとつながることはとても大事なこと。その子どもを小さい頃から知っていると、地域の人も声をかけやすく、子どももSOSを出すことができる。 ○ 今は子どもの「SOS」が見えない状況がある。そこが見えるとしたら、子どもとの関わりを通してである。そのためには、学校・地域にそれぞれできることがあり、連携していかなければならない。(再掲) ○ 子どもは個別の家庭環境で育っているので、自らの置かれている環境に疑問を持たず、その状況から自発的に脱することは難しい。自分からその状況を打破できるきっかけになるような場があるとよい。(再掲) ○ 最近では子ども会の活動もない地域が多く、親同士のつながりも少ない。子どもたちが自由に集まれる場としては既に児童館があるが、児童館は仲の良い子ども同士が来るので、声を上げられない子どもが声を上げられるようなきっかけとなる場が必要。 (3)親の現状や家庭環境について ○ 地域やPTAの活動に出てこない、出て来られない人が問題を抱えていることが多い。親の問題も一緒に考えていかないと解決はしない。 ○ 親の子どもに対しての関わり方や考え方が、指導をしてもなかなか改善されない現状もあるようだ。親の問題も一緒に考えていかないと解決はしないのでは。 ○ 未就学児の頃から問題は生じている。現代の核家族化に伴い、お父さんは仕事で帰りが遅く、お母さんは相談をしたくても自分の親がそばにいないので、できないという所から問題は生じているように感じる。 ○ 自分の地域では、育児に疲れたお母さんが打ち解けて、母親が休みを取れるような活動をしている人がいる。子どもを連れて参加し、子どもを少し見ていてあげることで母親を助ける活動を行っている。そういった活動を盛んに行っていくことで、地域の人の状況も良くわかると思う。 ○ 出産からの継続した支援を行わないと、親の状況が見えないし、その後の子どもの状況も見えず、切れ目ない支援が必要である。また現在「ネウボラ」という妊婦の時から助ける施策が世田谷区で始まっており、出産時期からの地域との関わりをつくるきっかけづくりが始まっている。 ○ 今小学校で抱えている問題を掘り下げると親が精神的な疾患を抱えていることが多い。指導しても変わらないし、子ども家庭支援センターや民生委員が間に入っても一時的な効果のみで、結果的に警察から一時保護をかけてもらい、生活改善や親子関係の修復を図らなければならないといった現実はある。医療機関の協力もいざというときは上手くいかないと思っている。 ○ 現代の貧困は金銭的なものだけでは見えてこない問題を抱えている。見た目では分からず、逆に金銭的に裕福に見えなくもない。そういった家庭が他者を避け、むしろ自らを孤立化させる傾向もある。 (4)現代的な貧困の特徴について ○ 単純に金銭的な援助が必要だから貧困ということではなく、暮らしぶりが豊かに見える人でも、他者を寄せつけず、孤立化している心の貧困にあたる人もいると感じる。 ○ 給食費や教材費が未納な方もいるが、その家庭が本当に貧困なのかどうかも調べなければならない。 ○ 世田谷の子どもたちが貧困なのかをどう見極めるかが難しい点だと思う。データで見ても、その家庭が実際に貧困かどうかは分からないので、その点については我々も見極めていく必要がある。そのためにも今後事例報告や主任児童委員さんなどのお話を聞く必要があると思う。 ○ 現代の貧困は金銭的なものだけでは見えてこない問題を抱えている。見た目では分からず、逆に金銭的に裕福に見えなくもない。そういった家庭が他者を避け、むしろ自らを孤立化させる傾向もある。(再掲) ○ 閉鎖的な環境を取り払う方法がなければ本当に貧困なのか、どのような手助けが必要なのか見えてこない。継続的かつ早い時期から助けが必要では。 ○ 親に目を向けた施策か、子どもに目を向けた施策か。今は共働きの家庭がとても多く、先生も親と直接会うようなチャンスがない。子どもの放課後の空き時間、親の目が届かない状況の中で何か埋めるものがあると、精神的な孤立を防げるのかと思う。 ○ 小学校では実際に給食が生きるツールになっている子どももいる。周りの子どももその子どもの状況が分かっているので許容している。(再掲) ○ 子どもの貧困という言葉が凄い引っかかる。親が経済的に貧困だから、子どもも経済的・精神的に貧困に陥っている。貧困という言葉をキチンと世田谷区として誰にでも分かるように言い換える必要があるのでは。 ○ 対処療法的話と、予防的話が混在した議論になっているので、親のための話なのか子どものための話か話し合いの軸を決めて整理していくことが大事だと思う。また、貧困の連鎖を断ち切るための方策を考えていくことが大事だと思う。 ○ 貧困というテーマを聞いたとき、自分の中にある昔の貧困と今の貧困は差があるように感じている。貧困についての共通の定義が必要だと感じた。 ○ 就学援助を受けている生徒について調べてみたが、そこまで必要ないように見える子どもが受けていたり、必要そうな子どもが受けていなかったりと、見た目からは分からない。親に勧めても就学援助を断る場合もある。その結果、子どもに不利益が生じていることもある。 ○ 連鎖を切る、親と子どもと貧困が一体化しており、親がそこから脱却しない事には切れないが、子どもが自らの力で脱却する道があっても良いのではないかと感じている。 ○ 貧困という言葉の重みを感じている。貧困という言葉を置き換えたほうが良いとは思わないが、子どもの貧困という問題の概念は大人の貧困とは違うという意味で、子どもが悪いわけではないのは当然だが、問題の構造をしっかりと捉えることが大事だと思う。 ○ たとえ周りから貧困に見えても、本人が貧困と感じずに心豊かに生活していれば、それは貧困ではない。こちらが貧困の定義を決めて、一方的に押し付けるようなことはしてはいけない。 ○ 中学校では貧困が表面化するのは進学の3年生の時であり、進路の結果、私立高校に進学が出来ず、そこでわかることがある。 ○ 実態として他の子どもと比べて自由がない環境で育つと、意欲が徹底的に疎外されてしまう。それは子どもの責任でもなく、親の責任でもない。そうなった時にその子どもが本来伸びるはずの人生を社会的に放置していいものかという視点に立つと、はじめて相対的貧困の深刻さがわかる。 5 事例報告「子どもの貧困−子どもが育つ地域を豊かにするために」(第4回) (1)事例報告レジュメ                                       2016.12.15  文責 工藤恵子  キーワードは、「子どもたちは社会的存在」である ◎格差社会の拡大⇒見逃してはならない遊びの影に隠れた子どもたちの姿。  格差社会は拡大している=特別な事態ではない。誰でも「貧困」状態になりうる社会。「困窮」要因が複合化すると即「貧困」状態に。マンションに暮らしているとか、親が一流企業に就労しているとかは判断の基準ではない。 ◎「貧困」とは何か?  ・経済的なものだけではない。経済的+身体的病気+メンタル+DV+離婚など複合的要因。だがほんの一時的な不安定要因であっても、子どもにとっては長い「貧困」体感。  ・子どもにとっての「生きづらさ」   外国人・単親・非行・病気(家族・本人)・いじめ・ネグレクト・虐待・・・   =子どもたちの「生きづらさ」の背後に潜む様々な要因。   =「お金がない」だけではない複合的要因。だから“施し”だけでは解決はしない。 ○気づきの場面 食事の時間・日常の服装・匂い・遊びの場面・話の端々 ・「いっぱいの味噌汁をおいしい!」と顔一杯に笑みを浮かべて飲む子 ・大鍋をかかえて最後まで食べつくす子 ・アタマジラミ、毎日同じ服装、匂いがきつい ・遊びにのらない、逆に遊びに極端にハイになる ・行事への参加を躊躇する ・普段の会話での家庭の話 ・いじめ(あなどれない子どもたちの情報網) ◎親の生活へのアプローチ  守秘義務の壁は、突破すべきもの。しかし、一番配慮すべき義務。 公的機関のネットワークを活用した問題解決の模索=しかしここで終わらない。 子どもの生活は、ずっとこの地域で続く。だから「いま・ここで」が問われる。 ◎地域で育つ存在だから、社会的存在だからこそ崩す手がかりも地域にある。   ⇒支えてくれる地域の仲間の発掘=子どもを支えてくれる陣づくり   ⇒厳重注意!=守秘義務厳守=子どもの生活圏だからこその配慮 ◎遊び(行事・イベント)を通じた子どもたちとの信頼関係の構築   ⇒大人の価値観で子どもの生活に干渉しない。   “かわいそう”なのではなく“施し”ではなく、子どもの生活を保障する。=支える。 ⇒平等ではない。=発見した生きづらい子どもへの配慮は差別化(特別視)する。  ※子ども社会の信頼関係を崩さない差別化の工夫。特別視することを違和感に感じさせない配慮(親にも、子ども自身にも)  ⇒子どもたちが生活する地域を大切に。だからこそ守秘義務の徹底化。 ⇒仲間への連帯意識の創造=子どもを守る防波堤となる。 ⇒新しい地域の大人の発掘=子どもの活躍の場・支えてくれる陣づくり。  ※子どもたちは「平等」ではない。一人ひとりに焦点を当てたケアが必要。   “「貧困」の解決”というように大括りにはしない。たとえばイベント参加費を“「平等」に!”と考えることにとどめない。型で考える事業展開の工夫(?)だけでなく、一人ひとりの子どもに何が必要なサービスかを考えることが大事。   子どもの現実の分析抜きの既製品のイベントはありえない。   ⇒例えば7000円のキャンプ参加費が払えない子どもがいる。さあ!どうする?   ⇒公務員は稼げない。さあ!どうする?   ⇒子どもたちの中のいざこざ!さあ!どうする? ○私たちは、イベント屋ではない。イベントや行事はあくまで手段。目的は子どもたちの健やかな成長の援助。イベントが目的化すると子どもの姿が見えなくなる。貧困・格差・傷ついた心などをいかに解決するのか、そのために「人と人をつなぐことを生業とする」私たちの役割がある。 ○子どもたちの幸せな未来は、大人も高齢者にとっても幸せ。子どもが笑える社会は「平和」の証拠。子どもたちが健やかに育つ社会は大人にとっても豊かな社会になる。 (2)事例報告要約                  ■ ケース1 夫:公務員、妻:保育士、子:幼児 妻子へのDV(全て物を買い与えて金銭を一切渡さない。+暴力) 児童館の幼児サークルの材料費や遠足の交通費が捻出できない。 妻の防寒着がないため、児童館内で「あげます」コーナーを設置し対応 その後妻はシェルターへ逃げる。 ※経済的な問題ではなくても生活が困窮する場合がある。 ※短期間のなかでのDVであっても子どもには長く感じる。 ■ ケース2 母子家庭:小学1年生、幼児(妹) 児童館職員が昼食時にウロウロしている小学生に味噌汁を飲ませたときの表情から問題が背後にあることを見つける。 母親を訪ねるために自宅にその子と行くと、部屋はおねしょでびっしょりの布団は引きっぱなしで荒れ放題だった。1年生のその子が4歳の妹の面倒を見ていることがわかる。母親は近場で男と暮らし、1週間に1回帰って来て炊飯器でご飯を炊き保温にし、レトルトを用意する。兄妹の汚れたものは捨て新たなものを置いていく。 ※子どもの何気ない様子から問題のサインに気づく。 ■ ケース3 児童館に毎日来ている子が、行事や参加費がかかるものには行かない子がいる。 ※その子の背後にあるものをキャッチすることが大事。 ※何かあっても子どもから相談することはないので、相談できるような信頼関係が大事。 ■ ケース4 ネットいじめ:中学生3人 不登校になった3人と加害者の子どもたちは他の児童館の学童クラブの参加者のため、双方顔見知り。 加害者側の一人は父親がリストラにあい、出勤時に必ず様子を見るのがストレスになっていた。もう一人は五人兄弟だが両親が離婚し、兄弟がバラバラになる。ボスの子は母子家庭のため生活が厳しく、後に高校を中退せざるを得ない状況だった。 ※加害者の生活環境が負のエネルギーとなって、いじめのきっかけになるのではないか。 ※いじめは被害者のケアだけでなく、加害者側の問題についても両方考えないと解決につながらない。加害者のストレス解消をどうやったら解決できるのかが重要。 ※緊急事態時に公的ネットワークや機関とのつながりはとても大事。 ※課題解決に向けてネックは守秘義務で、それが解決を遅らせることになる場合もある。 ■ ケース5 児童館の防犯カメラから盗みをしたことがわかっても、今の児童館の入館表では連絡の取りようがない。区外であればよりわかりにくい。 ※泥棒という角度ではなく、その子の問題として捉える。 ※守秘義務のため連絡先等がわからない場合は、その子を知っている子から聞き出し、その子の存在を確認しながら近づく。その際に情報収集とともにその子の生活圏を知ることも大事。 ■ ケース6 父親は一人でアパート暮らし、小学生の兄弟は祖父母と生活。 児童館の常連でありながら、7000円のキャンプ費が支払えないため、キャンプが近づくと来館しなくなった。理由を知った職員は、祖母と話し合い、不足分をどうするかを話し合った。 児童館活動を支えてくれる地域の方たちは、家のガラス拭きや車の掃除の機会を提供。 リーダー集団は、提供されたアルバイトで参加費の不足分を補い、この兄弟の参加費を捻出した。 ※7000円払えない子は案外多くいる。 ※「公的な事業」だからみんな“平等”という考えで、参加費を払えない子は“キャンプに行けない”としてしまっては何のための児童館なのか、児童館職員の役割は何なのかが問われる。課題を抱えた子どもたちとどう向き合えるのかが専門職の勝負のときなのだ。 ※格差社会の中で全てを平等にすることはできない。差別化はとっても大事なことで、差別化してないように見せながら差別化することが重要。 ※子どもは社会的な存在。地域に子どもたちがいることをキーワードにすることが子どもたちそのものを救う手立てとなる。 ※地域の子どもたちのために大人が知恵を出し合うことで、地域の中につながりが生じるとともに、様々な形での援助が可能となる(=子どもを見守る目が増える)。 ■ ケース7 万引きをしていないのに警察に捕まってしまったケース。 その子は複雑な家庭環境だが、周りの仲間もそれを知っており彼の生活をフォローしていた。あるとき、誤認逮捕で警察につれていかれた。このとき15人くらいの仲間が、無罪を証明するため、その子のために警察に出向いた。 ※イベント等で児童館にたくさん子どもたちが来てくれることも大事だが、仲間として相互に求め合う関係づくりの機会をつくれる児童館にしていくことが重要。 ※生きた地域の中で地域の顔の見える関係で手をつなぎあえるところが温かいつながりになっていくからこそ、その子どもをずっと見られる。 ※子どもたち自身が生き辛くない環境を、子どもたちが住み続ける地域をどうつくるかが大人の課題。 ■ ケース8 A、Bともに7人兄弟で両親も沖縄県出身。偶然にも両方の両親が離婚し、家庭崩壊の状況。川崎市に住むAがBを誘い児童館にやって来た。その後、Aは消息不明となったが、Bはずっと児童館職員と地域の方々のお世話になる。Bは4人の兄弟がいなくなり、父の違う二人の妹の面倒を見ることになる。そのために、住み込みで働き妹達を育てた。Bは現在、中卒で非正規雇用のため生活は苦しいが、自分の夏休みや年休を児童館行事の手伝いにつかい、恩返しをしている。 ※児童館への恩返しはBの励みとなっており、職員と地域の方との温かい関係性の中で曲がらず一生懸命生きていこうという生き方につながっている。 ※事例から、お金ではないところの価値意識で支えられているという意味では、貧困はお金だけではないと改めて感じる。 ※われわれ大人たちが知恵を出し合い、工夫で何とかその子たちを特別視するが、周りとの差を感じさせない形でみんなと温かく見守れる関係をどのように作っていくかが大事。 ※その際、地域で子どもが育つというなかで、地域の力がどういうふうに結集すればいいのかを考えることが大事。 ■ 意見交換(○−委員、●−工藤氏) ○子どもがSOSを出せる大人がいない、キャッチできないのが問題。 ●地域の行事やマンションの行事などの身近で日常的な活動が大事だと感じる。 ○新たなアクションよりも、現行の活動の意味を別の角度で評価し直すのも大事では。 ●基本はずっとその地域で育つ。中高生や大学生が地域を見守ってくれると、そこの地域は遊びも含めて豊かになる。そしてそれを見守る大人がいると豊かな地域になる。中高生の活躍の場を考えながらやると自然につながりがつくれる。 ○子どもたちが日常的に通える居場所づくりと、子どもを気にかけてくれる大人が増えるといい。 ○普通の人がどう関わればいいのか。つながりをつける人を増やすにはどうすべきか。 ●大事なことは呼びかけ方とつなげる人、特に継続性を持たせるために誰が頭になるのかの見極め。 ○子どもに希望を与えるような場所を増やすことが、貧困の解消につながるのではないか。 ○何とか子どもを貧困から救う仕組みがほしい。区として何ができるか頭に残った。 ●下町の一部のエリアで子ども食堂のような事業を行政主導で実施。家への送りをシルバーに委託。 ○新たなことより従来のやってきたことを地道に行い、団体相互がつながっていければ子どもたち地域で守れるのではないか。差別化をしないように見せる差別化の上手な理解が大事。 第2章 課題解決に向けた社会教育的アプローチ 1 「関係性の貧困」をめぐる課題と方策についての意見交換   第1章で整理した第1回から第4回までの会議内容をふまえ、本会議では「現代の 貧困は経済的な貧困だけを指しているわけではない」という認識に至った。むしろ、 現代においては経済的に豊かであったとしても、地域社会の変容において家庭、親子 が社会的に孤立しがちな環境であり、「関係性の貧困」が経済的な貧困へと連鎖して いくとき、より複合的で深刻な生きづらさへと陥ってしまうという認識に至った。 本会議では、現代的貧困のバックボーンとして、経済支援や学習支援だけでは解消 できない視点として、「関係性の貧困」が現代社会の構造的問題として生み出されているという、より本質的な問題と向き合わざるを得ず、そのことをめぐる意見交換と今後の方策を第5回以降に検討されることとなった。 図1は、そうした関係性の貧困を生み出している現代社会の問題構造をイメージと して示したものである。具体的には公的施設や制度、さまざまな市民団体・活動、民間事業者、当事者といった社会を構成する各領域や担い手がそれぞれ個別に動いている状況を表している。なかでも当事者は、他領域や担い手と隔絶ないし、関係が希薄なため、必要な情報や支援が見えない、届かないといった状況を示している。 【図1】「関係性の貧困」をめぐる問題構造 (画像) (1)課題解決の方向性について ○ 生きづらさを感じず前向きに生きていくための環境をどうつくるか。 ○ 貧困家庭を救う方策には、教育・経済・就労・生活の4つの支援があるが、社会教育的観点からいくと、居場所づくりであったり、学校外教育支援、里親支援などがあげられる。社会教育委員の会議として、人と人との関係づくりに重点を置くなら、そういった支援にも目をむける必要がある。 (2)子どもが孤立しないための方策について ○ 貧困状態の子どもが放置・孤立されないようにするにはどうすべきか。 ○ つながりを持ちにくい子どもたちへ、どのようにアプローチしていくか。大人の側から積極的につながりを作っていくアウトリーチの方法も必要。 ○ 子ども自身がきっかけをつかんで飛び込んでいけるような場、子どもたちが寄っていけるような身近な場が必要。 ○ 日常的にもっと身近なところで子どもの方から近寄れる環境づくりが大切。 ○ 人が日常的に自然とつながるチャンネルをいかに日常的につくれるのか(つながる仕組みの構築)。 ○ 未然防止は難しいと思うが、いかに本人の生きづらさに気づいてあげられるかが大切。 (3)子どものSOSをキャッチするための課題と方策について ○ 子どものSOSからどこにつなげればいいのか(発見後の対応が困難−複合的・構造的)。 ○ 問題の早期発見の役割を担うのは、子どもたちを直接見ている学校・幼稚園・保育園だと感じる。そうした教育機関が発見機関になりつつ、他の関係機関に助けを求められる、つながれる仕組みづくりが必要だと感じる。 ○ そのために、まずは区内の相談・支援機関といった社会資源がどれだけあるのかを可視化しておくことも大切。 ○ 学校で気づいてスクールカウンセラーを紹介しても、相談に行かない保護者も多く、深刻な状況になって初めて相談に行く。したがって、もっと日常の中で自然に相談にいけるような機関があるといい。 ○ 支援の対象もそれぞれの段階で異なるが、受け止める場所、機関も必要となることから、一つだけでは解決できない。総合的に考える必要がある(全体像を示す)。 ○ 貧困を考える上で、どういう相談支援の機関や専門職、システムなど、全体像を俯瞰できるようなものが必要ではないか。 (4)子どもの伴走者となる大人の確保について ○ 学校や医療機関などが連携できれば良いが、先生や職員は異動があるので、ずっとそこに住んでいる地域の人たちの力を活用できたらよいのでは。 ○ 児童館や子ども食堂などの活動で食を通して子どもの様子に気づくこともある。そうした地域の公共施設や活動に参加しやすいような空気を地域の側が作れると良い。 ○ 未然防止は難しいと思うが、いかに本人の生きづらさに気づいてあげられるかが大切。(再掲) ○ 子どもに対して、その問題行動を無くすための関わりや人が増えるのではなく、社会に適応できないという生きづらさに寄り添える関係を持てる人が増えれば助かるきっかけが増えると思う。 ○ 圧倒的にサードセクターの大人が足りない。みんながみんな自分のことばかりやっていると隙間はいつまでも埋まらない。「良質な暇さ加減を持った人」が地域にいて、何かあったときに付き添える時間、ゆとりのある暮らしがないと隙間を埋めていくのは難しい。 (5)既存の制度を活かすための課題と方策について ○ 世田谷は市民活動が盛んだが、必要な人に届いていないとは感じている。 ○ 現代の貧困は制度を活用すればある程度解決できるものもある。しかし、それを当事者が知らないのと、世間体を気にして制度を活用しないため、深刻な状況に陥っていると思う。 ○ 区でもさまざまな取り組みをしているが、本当に必要なことが伝わっていないのが課題である。 ○ 世田谷では子育てサークルを横につなぐNPOもあって、子育て関係団体や親も参加できる交流イベントを開催している。そのような団体同士、関係者が一同に顔を合わせられるような仕掛けもあってよいのでは。 ○ あんしんすこやかセンターが今まで高齢者向けだったのが、子育て支援も含めた活動になっている。 ○ 青少年地区委員の活動では、地域の子どもに関わる団体が一同に会し、情報交換する機会がある。地域の人材が協力していくためには、顔の見える関係づくりが必要である。子育てサロンやシルバー人材センターで以前先生をされていた方など、良質な暇を持っている人同士をつなげられると良い。 2 「関係性の貧困」をめぐる課題解決に向けて−中長期ビジョンの提言−  どんな状況にあっても生きづらさを感じずに前向きに生きていくための環境  づくりへ−当事者を「共の世界」や公へつなぐ3つの方策−   具体的な事例研究を通して、「関係性の貧困」について議論してきた結果、問題解 決的に関わるよりも生きづらさに寄り添っていくような関係性を大事にしていく必 要があるのではないかという視点に至り、「どんな状況にあっても生きづらさを感じ させずに前向きに生きていくための環境」のあり方の整備が重要であるという結論に 至った。   図2は、そうした環境のあり方の全体像をイメージ化し、今後、行政、市民、民間、 当事者が互いにどのような関係性や場を育んでいけばよいのかを構造的に示したもの である。そしてこの環境整備を進め、当事者を「共の世界」や公へつなぐことを柱に、 3つの方策を以下に提言する。 【図2】「関係性の貧困」の課題解決に向けた環境のあり方 (画像) (1)インフォーマルな「共の世界」を豊かにする  人々がインフォーマルに出会い、交流し、楽しみ、育ち合え、自然と助け合える関係が生まれてくる場を「共の世界」と定義する。 それはいわば地域の居場所やサロン、縁側的な場である。  関係性の貧困状態にある当事者が公的支援制度や支援施設につながるには、まず人と人とが自然につながるチャンネルを身近な日常につくっておくことが必要である。公共施設はあっても、とりわけ小さな子どもの生活圏には存在しないことも多い。だからこそ、もっと子どものほうから自然と近寄っていける、身近で日常的な関わりの場をつくることが必要になる。 例えば子ども食堂のように、「これだったら私にもできる」という大人にとっても 入りやすいハードルの低い関わりの場を充実させる。食を通じて子どもたちの見守りの関係や、声かけできる顔のつながりが自然と生まれる・・・そのような関係性が生まれるインフォーマルな身近な場である。他には子育てサロンのように、子どもが小さい段階から親子で参加しやすい場をつくることで、社会的孤立を予防し、関係性の貧困のリスク軽減につながる。  そうした共の世界を豊かにすることで、当事者(親や子ども)が適切な制度やサービスにつながったり、日々の日常のなかでさりげなくSOSを出せるようになったりする環境づくりが重要である。  趣味、実学、スポーツ、社会的課題への学習などをとおして多様なサークル仲間やつながりの場を創出する仕事を担ってきたのは、社会教育・生涯学習行政である。「関係性の貧困」問題の観点から見ても、インフォーマルな共の世界を創出する担い手としての、社会教育・生涯学習行政の今日的意義は大きい。    <インフォーマルな共の世界を豊かにする区内の取り組み事例> (各事例)   (2)「共の世界」を育むプラットフォームをつくる  (1)に提言した「共の世界」から、当事者が適切な支援制度やサービスにつながっていくには、公的施設・機関、市民団体・活動、民間事業者が互いにつながりあい、いざというときに協力し合える生きた連携が必要になる。それには区内外にどのような社会資源、地域資源があるのかの可視化が求められる。  例えば貧困をめぐる当事者が、一見無関係な高齢者福祉、医療保健機関等からつながることがある。また保健所が若い親の最初の支援機関として入り口となり、親子サークルの情報提供へ結びつくこともある。  だからこそ、教育機関だけではなく、近接領域の機関や専門職、市民活動団体や場ともつながり、情報を共有する必要がある。そこで得られた支援情報やノウハウを、生きづらさを抱えている子どもの行きそうなところ、ネットカフェやコンビニエンスストアなどに具体的な支援情報を発信したり、スマートフォンや携帯電話から情報をキャッチできるようなアクセスを考えたりすることも有効になる。  このように当事者がつながれるチャンネルを増やし、彼らが自然とつながった身近  な「共の世界」から適切な支援に結びつくためにも、多様な地域資源、社会資源がつながり、豊かな共の世界を育むプラットフォームが必要である。 すでに世田谷区内では「若者と咲かせるネットワーク・せたがや」や子ども・若者、 高齢者、障がい者などの居場所づくり関係者が交流する動き、子ども・若者支援関係 機関スタッフのネットワークが生まれてきている。このような「共の世界」のプラットフォームで、当事者も地域でのボランタリーな支援活動に関心を寄せる一般区民(次項に述べる「第三の大人」)も、共に語り合い、多様につながり、支えあえることがどのような状況に合っても前向きに生きていく環境を生み出すと考える。    <共の世界を育むプラットフォーム区内の取り組み事例> (各事例)   (3)第三の大人のネットワークをつくる  ここでいう「第三の大人」とは親や、教師以外の大人で、地域の課題解決に心を寄せるボランタリーな人々を指している。それは必ずしも公的な役職であったり、専門職としての制度的な責務としてではなく、個人の志で動く「一般の市民」を指している。それは問題行動をなくすための人ではなく、社会適応できない生きづらさに寄り添える関係の持てる人である。  かつては、町工場の経営者や地元で働く職人さんや農家の方といった人々がこうした「第三の大人」となり、ネットワークをつくり、さりげない見守り役や地域のつなぎ役となっていた。しかし社会構造も大きく転換し、宅地化と都市化、高齢化のなかでこうした存在も人的ネットワークも衰弱している。  この古くて新しい「第三の大人」という一般市民を発掘し、いかに増やしていけるかが問題解決の重要な鍵になる。問題が「関係性の貧困」である以上、経済支援、物理的支援だけでは解消されない、生きづらさに寄り添える関わりの力が不可欠だからである。  このような人の力を掘り起こすには、一般市民にとっても入り口が広くて共の世界に関わりやすい環境が必要になる。そのためには、一般市民にとっても、地域で他の人との関わりをつくりやすい居場所、縁側的な場も必要になる。このように、(1)で提言したインフォーマルな「共の世界」の創出によって「第三の大人」の発掘と確保がなされ、(2)で提言した「共の世界」を育むプラットフォームを通して、第三の大人同士のネットワークを生み出していく。このようなボランタリーな一般市民同士の支援ネットワークが媒介となることで、当事者が日常的で身近にSOSを出せるインフォーマルなつながりを見つけたり、公的制度へつながったりする確率が高まると考える。     <第三の大人のネットワークの取り組み事例> (各事例) (4) 子どもの貧困問題への社会教育的アプローチ(概要版) (画像) おわりに  今期のテーマを「子どもの貧困」に定めた当初、委員のだれしもがそこに含まれる問題の複雑さを直感し、「いったい解決の方向性がでてくるのだろうか」「解決にむけた糸口はつかめるだろうか」といった不安を抱えていたように思う。私自身、どこから手をつけていけばよいのか、見通しの持てないもどかしさがあった。その意味で今期の委員会はまさに手探りの状態からはじまった。  「貧困」といっても誰が当事者なのか、実態はどうなっているのか。外見だけではわからない。直接的に「貧困」を捉える客観的なデータもなく、そもそも取ろうとすることも困難。相対的貧困という定義はあっても、実態としての貧困状態が具体的にどのようなものなのか。まずは、さまざまな立場から地域と関わり、子どもや親と関わってきている各委員の経験と事例を持ち寄って考えていくしかなかった。加えて、専門的に地域の子どもたちに長く関わってきた児童館の元職員の方をお招きしての勉強会も開いた。そこから見えてきたのは、当事者と思わしき子どもや親とのやりとり、言動から感じ取った微弱なサインを逃さず、辛抱強く糸をたぐりよせていくことでようやく見えてきた厳しい現実であった。また、誰もが社会的に孤立し、貧困へと転じていく、この日常世界、現代生活の危うさでもあった。  この現実認識は、この6年間の本委員会で深めてきた、子ども・若者と地域との関わりをめぐる調査研究を裏打ちするものであった。6年前の第25期委員会では「地域と中高生のかかわり」をテーマに、4年前の第26期では「青少年・若者の健全育成に大人がどう主体的にかかわれるのか」をテーマにしたのだが、第25期では「そもそも中高生が親や学校外で日常的に関われる“地域”といえるコミュニティはあるのか」「大人でさえ、多くの住民は町会にも加入しておらず、身近な“地域”につながりと足場がない状態ではないのか」という課題にぶつかった。そこで第26期では「大人」に焦点をあて、多様な大人がどうすれば子どもや若者の育ちに関わる機会を持てるのか、どうすれば大人の地域参加を促進できるのか、といったことへの検討を行った。  これらの検討で見えてきたのは、先んじて大人の間で関係性の貧困が生じており、子ども・若者の育ちの場としての“地域”は前提にすることができないという認識であった。「子どもの貧困」問題は、これらの現実と負の相関関係にある。このことに深く気づかされたのが今期であった。その意味では、第25期、第26期の提言内容は、今期の提言内容を肉付けするものになる。この6年間の議論で生み出された3つの報告書は「関係性の貧困」の解決に向けた三部作と読み替えてもよいのではないかと思う。  まだ課題は多く残されているが、とりあえずは問題の根を取り出し、問題の構造的な把握と課題解決に向けた方向性を示し、ビジョンを明示するところまでは来た。すでにある施策や活動を「貧困」という角度から再評価したとき、別々の課題に見えていたものが、意味あるつながりとして見えてくると思う。本報告書を通して一見違う立場の者同士がつながる意味を見出し、心から手を携えていけるような手がかりになれたら嬉しい。   第27期社会教育委員の会議 議長 萩原建次郎 資料 □ 資料1 複合的剥奪としての子どもの貧困 □ 資料2 子どもの貧困想定概念図 □ 資料3 子どもの貧困をめぐる意見交換図 □ 資料4 「子供の未来応援プロジェクト」ホームページ掲載事業一覧       (世田谷区)(平成29年9月現在) □ 資料5 第27期世田谷区社会教育委員名簿 □ 資料6 第27期世田谷区社会教育委員の会議事務局名簿 【資料1〜3】画像 【資料4】「子供の未来応援プロジェクト」ホームページ掲載事業一覧(世田谷区) (平成29年9月現在) 1、教育の支援 番号 事業名 事業概要 担当窓口 連絡先 1 生活保護制度に係る高校生等にアルバイト収入等がある場合の取扱高校生等のアルバイト収入のうち、私立高校授業料の不足分、修学旅行費、学習塾等に充てられる費用については、就学のための必要な費用として必要最小限度を認定除外します。 卒業後の就労や早期の保護脱却に資する経費についても、認定除外します。 各総合支所生活支援課 p15 ※12私立幼稚園就園奨励費補助金私立幼稚園に通園する際、支払った保育料に対する補助金です。 子ども・若者部 子ども育成推進課5432-2066 3 コミュニティ・スクール地域運営学校に設置する合議体の学校運営委員会を通じて、保護者や地域の方々の代表等が、校長が作成した学校運営に関する基本方針の承認等、一定の権限と責任をもって学校運営に参画しています。区立小・中学校では、保護者や地域の皆さんの意見や要望などが迅速かつ的確に学校運営に反映されるとともに、学校の運営方針、教育活動への保護者、地域の方々の理解が深まるなどの成果が見られています。 教育委員会事務局 生涯学習・地域学校連携課 5432-2723 4 新BOP区立小学校を活用し、安全・安心な遊び場を確保し、遊びを通して社会性、創造性を培い、児童健全育成を図るBOP事業に、学童クラブ事業を統合し、一体的に運営する事業@教育委員会事務局 生涯学習・地域学校連携課 A子ども・若者部児童課(学童クラブに関すること) @5432-2739 A5432-2308 5 生活保護制度に係る高等学校等就学費の支給被保護世帯の自立を支援するため、高等学校等の就学の際に必要となる受験料、学用品費、交通費、入学料等の費用について支給します。 上限額がありますので詳細はお問い合わせください。 各総合支所生活支援課p15 ※1 6受験生チャレンジ支援貸付事業中学3年生、高校3年生とそれに準ずる方を養育されている方に対して、学習塾などの受講料や高校、大学等の受験料を無利子で貸付します。さらに、高校、大学等に入学した場合、返済が免除されます。貸付要件がありますので、必ず事前にご相談ください。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」5431-5355 7 義務教育段階の就学援助区内在住で国公立小・中学校に在籍している子どもがいる家庭のうち、生活保護を受けている、または経済的に就学が困難な家庭(所得制限あり)に対し、小・中学校での就学に必要な学用品費、給食費、修学旅行費等を援助します。また、申請時期に応じて支給対象期間が異なります。 教育委員会事務局 学務課5432-1111 内線:2686 8ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業ひとり親家庭の親または子ども(39歳未満に限る)の学び直しを支援することで、より良い条件での進学や就職、転職に向けた可能性を広げ、正規雇用を中心とした就業につなげていくため、高等学校卒業程度認定試験合格支援事業を実施します。本事業では、ひとり親家庭の親または子ども(39歳未満に限る)が高卒認定試験合格のための講座(通信制講座を含む)を受け、これを修了した時及び合格したときに受講費用の一部を支給します。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター p15 ※2 ただし、砧総合支所は 3482-1344 9ひとり親家庭等生活向上事業(学習支援ボランティア事業)ひとり親家庭のお子さんを対象に、社会人や大学生のボランティアが無料で学習会を行います。宿題や授業内容の確認など、一人ひとりの進度にあわせて丁寧に対応します。定期的に通っていただくことで、家庭での学習習慣の定着を目指します。 子ども・若者部 子ども家庭課 子育て支援担当5432-2569 10生活困窮世帯等の子どもに対する学習支援事業大学生や社会人のボランティアが月2回無料で学習会を行います。宿題や授業内容の確認など、一人ひとりの進度にあわせて丁寧に対応します。定期的に通っていただくことで、家庭での学習の定着を目指します。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※2 ただし、玉川総合支所は 3702-2173 11児童生徒に対する援護○被保護世帯の児童・生徒に学童服・運動衣の購入費用を支給します。○被保護世帯の児童・生徒に夏季休暇中の各種野外活動等の参加費用を支給します。○被保護世帯の小学校6年生または中学校3年生に修学旅行参加に要する支度金を支給します。○被保護世帯の児童で中学校を卒業し就職する者に就職支度金を支給します。詳細はお問い合わせください。 各総合支所生活支援課 p15 ※1 12被保護者自立促進事業(学習環境整備支援費等)○学習塾などへの通塾や夏季・冬季・集中講座、通信講座、補習講座の受講料等を支給します(被保護世帯の小学校4年生〜高等学校3年生が対象)。 ○大学等の受験料を支給します(被保護世帯の高等学校生が対象)。 上限額がありますので詳細はお問い合わせください。 各総合支所生活支援課 p15 ※1 13生活困窮世帯の子どもに対する学習支援事業(生活困窮の子ども支援事業 小学生から高校生までを対象に、@ボランティア等との世代間交流を通じた社会性育成支援、A学習習慣の定着等を目的とした自主学習支援、B食育等を通じた日常生活習慣の形成支援を行なっています。詳しくはお問い合わせください。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」5431-5355 14母子父子寡婦福祉資金貸付金20歳未満の子どもがいるひとり親家庭を対象に、経済的に自立するための就学、就職、転宅、療養、事業開始等の資金を貸付します。(貸付には要件がありますので、詳細はお問い合わせ下さい) 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※2 ただし、砧総合支所は 3482-1344 15特別支援教育就学奨励費負担等世田谷区在住で区市町村立小学校・中学校の特別支援学級固定級又は区市町村立小・中学校に在籍する障害(特別支援学校が対象とする障害の程度に該当すること)のある児童・生徒の保護者に、就学に必要な経費の一部を支給します(所得審査あり。固定級在籍者以外の児童・生徒には障害の程度について審査あり)。また、公共交通機関を利用して世田谷区内の特別支援学級(特別支援教室含む)に通学している場合、障害を理由に学区域外の世田谷区内の通常学級に通学している場合には、通学費の実費相当額を支給します。 教育委員会事務局 学務課 5432-1111 内線:2686 2、生活の支援 番号 事業名 事業概要 担当窓口 連絡先 1世田谷区児童養護施設退所者等支援事業児童養護施設等退所者を支援する「児童養護施設退所者等支援事業」を実施しています。 @住まいの困窮度の高い退所者等に高齢者向け借り上げ区営住宅内の空室を月1万円の住居負担金で提供する「住宅支援」 A地域の中で身近に相談できる仲間や、大人たち等との関係を築き、交流できる居場所を提供する「居場所支援・地域交流支援」 B大学等の進学にあたり、学費の一部を年額36万円を上限に給付する「給付型奨学金事業」 そして「世田谷区児童養護施設退所者等奨学基金」を創設し、広く区民に寄附を募って社会全体で支える仕組みにしています。 子ども・若者部 若者支援担当課 5432-2585 2利用者支援事業・特定型子ども・子育ての相談支援の充実を図るため、5つの総合支所の子ども家庭支援センターに「子育て応援相談員」を配置し、子育て支援に関する情報提供、相談・助言やサービス利用の支援などを行っています。 子ども・若者部 子ども家庭課5432-2255 3トワイライトステイ事業保護者が仕事により、帰宅時間が夜間にわたる場合などに、区内の施設でお子様をお預かりします。 ○施設:福音寮 ○対象:区内に在住する小学生児童 ○要件:保護者の方が、次のいずれかに該当し、かつ、他に預け先がない方 ・仕事等の事情により、帰宅が夜間にわたる場合や休日不在となる場合 その他は要問合せ ○預かり時間:平日17時〜22時、休日・祝日8時30分〜17時または17時〜22時 ○利用日数・定員:年度を通して30日以内(1日あたり3名) ○利用料金:1回1600円(所得により減額措置あり) 子ども・若者部 子ども家庭課 (受付は、各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター)5432-2255 (受付は p15 ※2 ただし、世田谷総合支所は 5432-2848) 4児童短期保護事業保護者の病気や出産などにより、一時的に子育てが困難となった場合、区内の施設でお子様を短期間お預かりします。 ○施設:福音寮 ○対象児童:区内に在住する1歳以上12歳以下の児童 ○お預かりする要件:保護者の方が次の要件に該当し、かつ、他に預け先がない方  ・疾病または出産等で入院  ・家族の介護、看護  ・事故または罹災 など ○利用日数:原則として1回の利用につき7日以内(1日あたりの定員があります) ○利用料金:1日3,000円(所得により減額措置があります。) 子ども・若者部 子ども家庭課 (受付は、各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター)5432-2255 (受付は p15 ※2 ただし、世田谷総合支所は 5432-2848) 5乳児短期保護事業 保護者の病気や出産、育児疲れなどにより、一時的に子育てが困難となった場合、施設でお子様を短期間お預かりします。 ○施設:日本赤十字社医療センター附属乳児院 ○対象:区内に在住する0歳の乳児 ○お預かりする要件:保護者の方が次の要件に該当し、かつ、他に預け先がない方  ・疾病または出産等で入院、育児疲れ、体調不良などで育児が困難、家族の介護、看護、事故または罹災 など ○利用日数:1回の利用につき7日以内(定員2名) ○利用料金:1日3000円(1泊2日6000円)※生活保護世帯・住民税非課税世帯は無料 子ども・若者部 子ども家庭課 (受付は、各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター)5432-2255 (受付は p15 ※2 ただし、世田谷総合支所は 5432-2848) 6新BOP(再掲) 1、教育の支援 4番をご覧ください。 7養育支援訪問(保健師訪問)養育支援が特に必要と判断した家庭に対して保健師が訪問し、養育に関する相談助言等を行うことで適切な養育が行われるように支援しています。 各総合支所健康づくり課p15 ※3 8乳児期家庭訪問事業生後4か月までのすべての乳児のいる家庭を保健師又は乳児期家庭訪問指導員(助産師等)が訪問し、育児、発達、栄養、疾病予防などの助言をしています。新生児訪問・未熟児訪問も併せて行っています。 各総合支所健康づくり課p15 ※3 9ひとり親家庭等日常生活支援事業小学3年生以下の子どものいるひとり親家庭で、家事や育児など日常生活において援助が必要なご家庭に、一定期間、育児などのお手伝いするホームヘルパーを派遣する事業です。所得に応じて利用制限及び自己負担があります。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※2 10ひとり親家庭等生活向上事業(学習支援ボランティア事業)(再掲) 1、教育の支援 9番をご覧ください。 11待機児童解消加速化プラン認可保育所や家庭的保育事業等の整備、一時保育の受入、病児・病後児保育施設の充実等に取り組む。 子ども・若者部 保育計画・整備支援担当課5432-2527 12母子父子寡婦福祉資金貸付金(再掲) 1、教育の支援 14番をご覧ください。 13生活困窮者住居確保給付金離職後2年以内の65歳未満の方で、住まい(賃貸)を喪失するか、喪失のおそれのある方に、「就労支援」とともに、3ヶ月間の家賃助成を行います。支給要件がありますので、必ず事前にご相談ください。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」5431-5355 3、親の就労支援 番号 事業名 事業概要 担当窓口 連絡先1生活保護制度に係る就労自立給付金生活保護受給者が安定した職業に就いたことにより生活保護の廃止に至った際に、廃止直後の不安定な生活を支えるため、廃止前の就労収入認定額に応じて、単身世帯は10万円、複数世帯は15万円を上限に就労自立給付金を支給します。 各総合支所生活支援課p15 ※1 2生活保護制度に係る高等学校等就学費の支給(再掲) 1、教育の支援 5番をご覧ください。 3自立支援教育訓練給付金事業母子家庭の母又は父子家庭の父の主体的な能力開発の取組みを支援するもので、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人が対象教育訓練を受講し、修了した場合、経費の60%(1万2千1円以上で20万円を上限)が支給されます。 支給については、受講前に講座の指定を受ける必要がありますので、必ず事前にお住まいの地域を管轄する生活支援課子ども家庭支援センターにご相談下さい。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※2 ただし、砧総合支所は 3482-1344 4高等職業訓練促進給付金等給付事業母子家庭の母又は父子家庭の父が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために、高等職業訓練促進給付金が支給されます。また、修業修了後に修了支援給付金が支給されます。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター p15 ※2 ただし、砧総合支所は 3482-1344 5ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業(再掲) 1、教育の支援 8番をご覧ください。 6待機児童解消加速化プラン(再掲) 2、生活の支援 11番をご覧ください。 7生活保護制度に係る被保護者就労支援事業 就労に係る相談、情報の提供、助言等の支援をハローワーク等との連携により、就労支援員が行います。各総合支所生活支援課p15 ※1 8生活困窮者就労準備支援事業自立相談支援機関にて実施するグループを対象とした就労支援です。キャリアカウンセリングや履歴書の作成支援、面接を受ける際の実践的な指導、パソコンのスキルアップ支援等を行ないます。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」 5431-5355 4、その他 番号 事業名 事業概要 担当窓口 連絡先1養育費相談会これから離婚を考えている方や、離婚後、養育費の支払いを受けていない方、受けていても額が少ない、増額したい等、養育費に関するあらゆる悩みを抱えている方のための無料相談会です。 子ども・若者部 子ども家庭課 子育て支援担当5432-2569 2児童育成手当・育成手当 父又は母が、死亡・離婚・生死不明・1年以上遺棄か拘禁・保護命令書等の交付 ・婚姻によらない出生等でいないか、重度の障害を有する場合で、父、母または養育者が、18歳到達後最初の年度末までの児童を養育している場合。 ・障害手当 心身に障害(身体障害者手帳1・2級程度、愛の手帳1・2・3度程度、脳性麻痺(まひ)、進行性筋萎縮(いしゅく)症)のある20歳未満の児童を養育している場合。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※4 3児童扶養手当下記(1)(2)を満たす場合 (1)父又は母が、死亡・離婚・生死不明・1年以上遺棄か拘禁・保護命令書等の交付・婚姻によらない出生等でいないか、重度の障害を有する。 (2).父、母または養育者が、18歳到達後最初の年度末(中度以上の障害がある場合20歳未満)までの児童を養育している。 ただし、下記の場合を除きます。 父又は母が重度の障害を有する場合以外で、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある。 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センターp15 ※4 4シングルマザーのほっとサロン(ひとり親家庭生活向上事業) シングルマザーが、同じ立場の女性と分かち合いを行い、必要な情報を得ることができる地域の居場所を提供する。生活文化部 人権・男女共同参画担当課 5432-1111 内線:2259 5利用者支援事業(基本型)子ども・子育てに関する相談 あなたの「困った」を「世田谷区地域子育て支援コーディネーター」が一緒に考え、お手伝いします。お気軽にご相談ください。 子ども・若者部 子ども家庭課5432-2569 6利用者支援事業(母子保健型)妊娠期から子育て期にわたるまでの母子保健や育児に関する相談の充実を図るため、5つの総合支所に助産師等の「母子保健コーディネーター」を配置し、妊娠期の面接相談や情報提供などを行っています。同時にせたがや子育て利用券をお渡しします。 世田谷保健所 健康推進課5432-2446 7養育支援訪問(保健師訪問)(再掲) 2、生活の支援 7番をご覧ください。 8乳児期家庭訪問事業(再掲) 2、生活の支援 8番をご覧ください。 9 スクールソーシャルワーカーの配置世田谷区立小・中学校の児童・生徒、保護者、教員へ支援 教育政策部 教育相談・特別支援教育課5432-2746 10児童生徒に対する援護(再掲) 1、教育の支援 11番をご覧ください。 11生活困窮者自立相談支援事業生活に困窮している方が抱えている課題を整理し、どのような支援が必要かをご本人と一緒に考え、具体的な支援プランを作成します。関係者や各関係機関と連携し、寄り添いながら支援を行います。 12女性福祉資金原則として配偶者がいない女性を対象に、経済的に自立するための事業、住宅、就職、就学、療養等の資金を貸付しています。貸付には要件がありますので、詳しくはお問い合わせください。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」5431-5355 13生活困窮者家計相談支援事業家計状況の「見える化」を図り、課題を把握し、ご本人が自ら家計を管理できるようお手伝いをします。必要に応じて、資金貸付など他の制度もあわせて紹介や支援を行います。(貸付資金には要件があります。) 各総合支所生活支援課子ども家庭支援センター p15 ※2 ただし、砧総合支所は 3482-1344 14スクールカウンセラーの配置世田谷区立小・中学校へスクールカウンセラーを配置し、在籍する生徒、保護者、教員の支援業務を行う。 世田谷区自立相談支援機関「ぷらっとホーム世田谷」 5431-5355 【資料5】第27期世田谷区社会教育委員名簿               薄(うす)井(い) 康(やす) 裕(ひろ) 世田谷区立小学校長会 世田谷区立太子堂小学校長 〜平成29年3月31日   片(かた) 山(やま) 裕(ゆう) 治(じ) 世田谷区立小学校長会     世田谷区立玉川小学校長 平成29年5月22日〜  神(じん) 保(ぼ) 敏(とし) 彦(ひこ) 世田谷区立中学校長会 世田谷区立千歳中学校長 社会教育関係者   箕(みの) 輪(わ) 文(ふみ) 江(え) 障害者青年学級 いずみ学級主事   上(うえ) 原(はら) 幸(さち) 子(こ) NPO法人 砧・多摩川あそび村理事長  権(ごん) 田(だ) 邦(くに) 子(こ)世田谷区青少年委員OB会 学識経験者  萩(はぎ) 原(わら) 建(けん) 次(じ) 郎(ろう) 駒澤大学教授 議長  坂(さか) 倉(くら) 杏(きょう) 介(すけ) 東京都市大学准教授 家庭教育の向上に資する活動を行う者  宇(う) 佐(さ) 美(み) 武(たけ) 志(し) 世田谷区青少年委員会会長 副議長  宮(みや) 田(た) 春(はる) 美(み) 元 世田谷区立小学校PTA 連合協議会会長 〜平成29年12月9日  湯(ゆ) 澤(ざわ) 俊(とし) 文(ふみ) 元 世田谷区立中学校PTA 連合協議会会長 任期:平成28年6月1日〜平成30年5月31日 【資料6】第27期世田谷区社会教育委員の会議事務局名簿             教育政策部長 工(く) 藤(どう) 郁(ふみ) 淳(あつ) 〜平成29年3月31日 生涯学習部長 花(はな) 房(ふさ) 千(ち) 里(さと) 平成29年4月1日〜生涯学習・地域学校連携課長 土(つち) 屋(や) 雅(まさ) 章(あき) 生涯学習・地域学校連携課 社会教育係長 小(こ) 林(ばやし) 昭(しょう) 一(いち) 〜平成29年3月31日 大(おお) 井(い) 健(たけ) 史(し) 平成29年4月1日〜 生涯学習・地域学校連携課 社会教育担当係長 社会教育主事 御(み) 園(その) 生(う) 恵(けい) 一(いち) 生涯学習・地域学校連携課 社会教育係主事 丸(まる)山(やま)卓(たく)也(や) 〜平成29年3月31日 生涯学習・地域学校連携課 社会教育係主任主事 橋(はし) 本(もと) 亜(あ) 依(い) 平成29年4月1日〜