第27期第5回世田谷区社会教育委員の会議 議事録(要旨) 【1】開催日時 平成29年1月24日(火)18時30分〜20時15分 【2】開催場所 世田谷区役所第2庁舎3階 教育委員会室 【3】出席委員 萩原委員(議長)、宇佐美委員(副議長)、薄井委員、神保委員、箕輪委員、上原委員、権田委員、坂倉委員、宮田委員、湯澤委員 【4】出席職員 教育委員会事務局 土屋生涯学習・地域・学校連携課長、 小林社会教育係長、御園生社会教育担当係長、丸山社会教育係主事 【5】傍 聴 人 なし 【6】資  料  会議資料1 第27期社会教育委員の会議第4回定例会議事録(要旨) 会議資料2 第4回定例会「事例報告」レジュメ 会議資料3 第4回定例会「事例報告」要約 会議資料4 第27期社会教育委員の会議活動   【7】前回議事録(要旨)の承認  異議なく承認された。議事録(要旨)の署名人は、宇佐美委員と坂倉委員。  第5回定例会の議事録(要旨)の署名人は、議長が宮田委員と湯澤委員を指名。 【8】議事要旨  1.事例研究及び課題抽出  前回会議での事例報告を受け、意見交換を交換し、課題の抽出を行った。  (意見交換) (委員)沢山のキーワードと様々なケースについて、かなり具体的に話を聞けた。子どものSOSをキャッチするのが難しい世の中で、キャッチしたとしてもどのように支援に繋げたら良いのか分からないことが多いが、事例報告の中では日常の繋がりによって解決に向かっていくことが見えた。人が自然に繋がるチャンネルを日常的に作っておくことが大切であると共に、難しさであると思った。また児童館の果たす役割は大きく、世田谷ならではの話だと思った。 (委員)児童館の若者リーダーの重要性についてお話があったが、区も若者リーダーの大切さを認識しており、昨年区長と若者との対談も行われている。日常的にもっと身近な所で、子どもの方から近寄れる環境づくりが大切である。児童館に来ていない子ども達の中には様々な悩みを抱えている子もいるので、その子達を地域と繋げていけたらと感じた。 (議長)繋がりを持ちにくい子ども達へ、どのようにアプローチしていくかが1つの課題である。引きこもりの子への支援とも関係あるが、子ども達が近づいて来るのを待つのではなく、アウトリーチといって、こちらから積極的に繋がりを作っていくことも必要かもしれない。 (委員)問題は簡単には無くならない中、貧困状態の子が放置されないようにする必要があると感じた。事例報告の中で、貧困状態は解消されていないが、生き辛さは感じていないというお話が特に印象に残った。そういった生き辛さを感じず、前向きに生きていく環境を作るためには、圧倒的にサードセクターの人が足りないと感じた。みんながみんな自分のことばかりで、周囲に無関心な状況では隙間はいつまでも埋まらない。良質な暇さ加減を持った人が地域にいて、何かあった時に付き添ってくれるような、ゆとりのある暮らしがないと、隙間を埋めていくのは難しいと感じた。 (議長)事例報告の中で、仕事・子育てをしながらも地域の子ども達とある一定関わってくれる人が必要という話があった。 (委員)子どもの貧困は子どもの責任ではないというのを強く感じた。未然防止は難しいと思うが、いかに早く気づいてあげるかが大事だと思った。その役割を担うのは子ども達を直接見ている学校・幼稚園・保育園等だと感じた。したがって、早期発見のポイントを整理することと、学校・幼稚園・保育園が発見機関となることが求められると思う。発見した後の対応を学校がするのは難しいので、他の関係機関との連携が必要となる。そいった関係機関と繋がる仕組み作りが必要だと感じた。 (議長)どのように連携するかは後で考えるにしても、まずは区内の相談・援助機関といった社会的な資源がどれだけあるかを可視化しておくことが大切かもしれない。行政は色々なセクションに分かれてしまい、見えていない部分がある。そういった関係機関をマッピングすることは必要かもしれない。 (委員)改めて貧困とはなんなのか考えさせられると共に、貧困を生む要因が多々あると感じた。学校が子どもの抱えている問題を発見した時、問題の種類によって相談先は様々である。例えば発達障害ならその障害者関係の機関、保護者にも障害があるなら福祉関係の機関となっていく。しかし、色々な機関との調整に時間がかかってしまい、中学校の3年間では解決できない場合もある。その子どもが抱えている課題をまとめて解決できるような機関が無いのが課題だと感じる。 (委員)仮に親が貧困だとしても、産まれた瞬間は皆一緒だが、成長するに従って、様々な格差が生じてくる。その格差一つひとつに対処するのは、時間的にも人材的にも難しい。したがって、何か一つに絞った支援を行ってはと考えている。特にこの前の事例の中で印象に残ったのは、食を通して子どもの様子に気がつくことである。お金の有る無しに関わらず、生きるために食べていかなければならないので、そこを上手く使った子ども達の見守りができないかと思った。喜多見児童館で子ども食堂を実施した際には、公共施設なので上手くいったという意見を聞いた。民間が行うと周囲の視線も気になり、参加するにはハードルが高いのかもしれない。しかし、子どもの頃から児童館のサークルなどに参加しており、親子で児童館に行くのに抵抗がなければ、参加しやすいのではと感じた。小さい頃から親子サークルに参加しやすいような空気を地域の側が作れると良いと感じている。地域の中にあるまちづくりセンターや医療機関、幼稚園、小学校などが本来なら連携できれば良いが、先生や職員は異動があるので、ずっとそこに住んでいる地域の人達の力を活用できたらと感じている。 児童館は土日も開いているので、もっと地域の拠点としての機能を持たせたらいいのではないかと思う。ただし、様々な機能を児童館に持たせると職員も手一杯になってしまうので、新たにコーディネーターを置く必要はあると思う。 (議長)色々な事に携わっている地域の方は多いが、その人達が繋がっていないことが多い。団体同士が一同に顔を合わせられるようなイベントがあると良いかもしれない。 (委員)現代の貧困は制度を活用すればある程度解決できるものだと思う。しかし、世間体を気にしている事や、そもそも制度を知らないために深刻な状況に陥っている事が多いと思う。  区内の子どもの貧困の状況について把握するために、社会教育委員の会議提案でアンケート調査を実施することはできないか。 (議長)アンケートを実施する場合、貧困という言葉の意味合いが捉えにくいので、他の言葉に置き換える必要があるかもしれない。 (委員)アンケートを取るにしても、大人が貧困に気づけていないこともある。 (委員)現代の貧困は見た目での判断が難しい場合もある。学校で発見できることは多いかもしれないが、対応には限界があるので、その子達を地域で見守れると良いと思う。 (議長)子どもが必ずしも親にSOSを出すとは限らない。難しいのは本人が相談するかどうかということ。相談支援機関があっても本人が自覚しておらず、申し出ない場合もある。先程も意見があったが、日常の中で自然に入っていけるような機関が必要かもしれない。 (委員)学校で気がついてスクールカウンセラーを紹介しても、相談に行かない保護者が多く、本当に危うい状況になって初めて相談しに行く事が多い。したがって自然に入っていける機関はあると良い。  また先程アンケート調査を取ってはという意見が出たが、貧困に関するアンケート調査では、潜在的な貧困家庭まで正確に把握することは困難ではないかと思う。また調査をするのであれば、経済的貧困や関係的貧困などの基準を細かく指定しなければ、正確な調査を実施することは難しいと思う。 (議長)関係の貧困については、そもそも保護者が関係を絶ってしまっていて、こちらがキャッチすることはできないかもしれない。 (委員)区内に貧困状態にある子どもがどの程度いるのか把握したいといった話は以前の会議でも出た。中学生の進路を決める時期や、来年度からの給食費の公会計化は一つの指標になるかもしれない。 (委員)青少年地区委員会での活動だが、地域の子どもに関わる団体が一同に介し、情報交換する機会がある。守秘義務もある中で、地域の人材が協力していくためには、顔の見える関係作りが必要である。そういった活動を世田谷区全体に広げていくことはできないか。  先程アウトリーチというお話があったが、こちらから積極的に働きかけ、寺子屋や子ども食堂に繋げていけたらと思う。 (議長)放課後の時間や週末など学校外で子どもをフォローできる場所が必要なのかもしれない。 (委員)ここまでの議論から、単純な経済問題による貧困は最低限の収入さえ保証されれば解決はでき、逆に関係性による貧困は単純に解決することは難しいと感じた。子どもにとっては自分の家が常識で、他人の家との違いを知るのは成長してからだと思う。 子ども達が助かるきっかけを増やすためには、問題行動を無くすための人が増えるのではなく、社会に適応できない生き辛さに寄り添える関係を持てる人が増える必要があると思う。その具体的な仕組みとして、子ども食堂や地域の子どもを見守る会などがその役割を果たすかもしれない。 (議長)問題解決的に関係を作るのではなく、生き辛さに寄り添った関係作りが必要ということか。 (委員)周りが動いても解決できない問題はある。学校側から何もできないときは、現状を受け止めた上で、その子自身の力をつけさせる教育を行わざるをえない。周りも何かをしてあげるのではなく、子どもが何かしたいと思ったときに手助けすることが大切なのだと思う。 (委員)小学校と中学校ではアプローチの仕方が異なる。中学生はかなり精神的に発達しているし、論理的な考え方もできる。対して小学生は1年生と6年生でも大きく異なるし、経済的にも自立していない。小学校と中学校で同じ課題があっても、アプローチの仕方は全く異なる。江戸川区では、子どもの貧困状況と区が持っている様々な情報との関連付けを行い、貧困の実態を探す取り組みを行っているようだ。 (議長)今回の話で出た意見、課題を議事録にまとめ、今後の会議に活かしていく。  2.後期活動の方向性について  後期活動の方向性について確認。後期は課題の抽出・整理と方策について検討したうえで、活動報告書にまとめていく。  3.その他  <事務局より> ・28年法定調書の配付について連絡。 ・世田谷区立小学校PTA連合協議会合同研修会について情報提供。 ・青少年委員会第3ブロック地域合同研修会について情報提供。 【9】今後の日程について 第6回定例会は平成29年5月頃に開催予定。事務局の方で日程調整し、改めて連絡する。 − 以上 −