第27期第2回世田谷区社会教育委員の会議 議事録(要旨) 【1】開催日時 平成28年8月31日(水)18時30分〜20時20分 【2】開催場所 世田谷区役所第2庁舎3階 教育委員会室 【3】出席委員 萩原委員(議長)、宇佐美委員(副議長)、薄井委員、神保委員、箕輪委員、上原委員、権田委員、坂倉委員、宮田委員、湯澤委員 【4】出席職員 教育委員会事務局 工藤教育政策部長、土屋生涯学習・地域・学校連携課長、 小林社会教育係長、御園生社会教育担当係長、丸山社会教育係主事 【5】傍 聴 人 なし 【6】資  料  会議資料1 第27期社会教育委員の会議第1回定例会議事録(要旨) 会議資料2 第27期テーマの方向性 会議資料3 第27期社会教育委員の会議の活動スケジュール(案) 会議資料4 子どもの貧困想定概念図 参考資料  せたがや便利帳2016 【7】前回議事録(要旨)の承認 異議なく承認された。議事録(要旨)の署名人は、薄井委員と湯澤委員。 第2回定例会の議事録(要旨)の署名人は、議長が神保委員と箕輪委員を指名。 【8】議事要旨 (1)テーマ設定の方向性に対する活動内容の検討  @前回の振り返り  前回会議の内容について、議長進行のもと振り返りを行った。  また前回の話し合いから事務局にてまとめた会議資料4「子どもの貧困」想定概念図について、事務局より説明した。 A活動スケジュール(案)の検討  議長と事務局で作成した活動スケジュール(案)について説明。 <意見> (委員)研究課題の絞込みを行うに当たって、本当に世田谷の子ども達が貧困かどうかをどこから読み取るのか。推測はできるが、全国や東京都の他区市と比べてどの程度の人数がいるのかは、前提に置く必要があるのではないか。 また子ども貧困白書についての読み込みは、委員として必要ないのか。それを踏まえたうえで世田谷区としての切り口を見つけていくならば勉強は必要と感じる。 会議の結果を世田谷区の施策に反映するためには、来年度の夏の予算編成の時期までには提言できていないと、実現がどんどん遅れていくのではないか。 (事務局)2年かけての会議となるので、30年度の事業化は難しい。また区長部局との調整もある。 (事務局)第2次教育ビジョンの第1期行動計画が来年度終了する。この会議の議論は第2期行動計画に組み込めるタイミングにちょうどある。 また議論の途中であっても要務として再来年度予算に組み込めるものは要求していき、区としては実施できるものは実施していきたい。この会議では課題の絞込みは無理に行わず、知恵や方策に活かせる様々な意見をいただきたい。 (委員)もし第2期行動計画に区として実施したい事業があり、この会議をその裏づけとしたいなら教えてほしい。議論をかわしても、区の方針と違う結果になってしまい、実現しないのは寂しい。また回数も少ないので、効率的に議論したほうが良いと思う。ただし、区の方針に囚われすぎて、つまらない議論にはならないようにしたい。 (事務局)区としてそういった思惑は全く無い。それよりも皆さんの知恵やご意見をいただきたい。また事務局もこの会議を形だけのものにはしたくないと考えている。予算などの関係で最終的に実現させるためには様々な制限や限界があるが、それよりもまずは今回のテーマを区としてしっかりと捉えていきたい。 (議長)おおよその流れとしては「子どもの貧困をベース」でいくこととする。具体的な内容についてはこれから話し合っていく。 B意見交換 「子どもの貧困」についての具体的なテーマの設定に向け、自由に意見交換を行った。 (議長)具体的設定に向けてということだが、まずは子どもの貧困についてみなさんがどのようなご意見・考え・感想をもっているのか自由に意見をだしていただきたい。特に前者の意見を踏まえてということではないので、本当に自由にお話いただきたい。 (委員)きぬたま遊び村の活動日を増やすうえで、どの曜日なら子ども達が遊びにきてくれるか調べるために、小学生の1週間の予定について調査を行った。 塾や習い事などで1週間ビッシリ予定が埋まっている子が圧倒的に多く、遊ぶ時間がない子がほとんどだった。そういった子は、合間を縫って遊んでいることが、私が活動している範囲からは見えてきた。 逆に予定が全くない子は、自由に遊んでいると思いきやそうではなく、今の子どもの遊びはカードゲームなどかなりお金がかかる遊びがコミュニケーションツールになっており、遊ぶこと自体ができない子がいることも見えてきた。心配な子も見え隠れしているが、その事について学校がどの程度つかんでいるのかも微妙なところで、また分かっていても手立てがないという現状がある。 (委員)地域に身近な相談ができる場が必要だと感じている。児童館や学校とは別に、地域として小さいころからコミュニケーションをとりながら相談に乗れる駆け込み寺のようなものが必要なのではないか。 (議長)家でも学校でもない第3の場が必要ということか。 (委員)地域やPTAの活動に出てくる家庭は問題なく、出てこない家庭が何か問題を抱えていることが多い。これは以前から言われていることであり、解決策がないのが現状である。本当に必要な子が出てこられる場を作ることが重要だと思う。 貧困は子どもだけで解決できる問題ではなく、親の問題も一緒に考えていかないと解決はしない。親の子どもに対しての関わり方や考え方を指導しても、なかなか直らない現状もあるようだ。 (議長)子どもの貧困以前に地域の中で孤立化してしまっている方がいることは、以前より課題として認識されていたとのことだが、今回の議論によって、子どもの貧困とは別に、これまで課題として認識されていた部分にも光が当たっていくかもしれない。 (委員)単純に金銭的な援助が必要だから貧困ということではなく、暮らしぶりが豊かに見える方でも、他者を寄せつけずに孤立化している、いわゆる心の貧困にあたる人がいると感じている。喜多見児童館では先行して子ども食堂を実施しており、地域も巻き込み達成感も得られているが、本当に必要な子が参加しているかは分からないのが実状である。 前期の社会教育委員のテーマである「若者の居場所づくり」でも出た話だが、産婦人科医やまちづくりセンターなども巻き込んで、区の施設や事業について積極的に情報発信していくことで、孤立化を防ぐこともできるのではないか。 また、学校現場の話だと、給食費や教材費が未納の家庭に対して、先生方が家庭訪問するなどして対応していたが、そういった負担を軽減することができれば、先生にも余裕が生まれ、子ども一人ひとりに目を向ける時間が増え、地域との連携も進むのではないかと思う。 (委員)子ども達が貧困なのかをどうかを見極めるのは難しい。データをみても、その家庭が実際に貧困かどうかは分からないので、その点については我々も見極めていく必要がある。そのためにも今後事例報告や、主任児童委員さんなどの話を聞く必要があると思う。 世田谷全区で見れば経堂、赤堤の家庭支援センターや、ボランティア協会のチャイルドラインなど子どもの悩みを聞いてくれる場所はあるが、児童館とは別に地域で悩みを聞いてくれるような人や場所がない。そういった場所が必要なのかと思う。 子ども食堂を始めた大田区の近藤さんが、ただお金がなくて食事が取れないだけでなく、親の帰りが8時、9時と遅いため、6時〜8時といったいわゆるゴールデンタイムに食事を取れない子がいることも問題であるとおっしゃっていた。 またその他に子どもの貧困についての事例を持っていそうな場所として「野毛青少年の家」や「上北沢の岡さんの家」がある。そこに集まる生きづらさを抱えた子ども達と貧困との関係を調べても良いかもしれない。また家庭支援センターの所長や北沢の福音寮の方も具体的な事例を持っているかもしれない。 (議長)具体的な事例をいくつか出してもらったが、最初に出た事例は大田区の「だんたん」という子どもの居場所で、そこに集まる子どもや学生ボランティアや大人が勉強会を行ったり、形を変えながら現在では子ども食堂を行ったりしている。そこの近藤さんが子ども食堂の名付け親といわれている。野毛青少年交流センターは、メルクマールせたがや、世田谷若者支援総合センターと連携を取って、引きこもりがちな若者に対して支援プログラムを行っており、実際にカフェを経営するなどしている。岡さんの家は第26期の社会教育委員の活動で事例報告を伺った、地域共生のいえの事である。 ここまでの話で、 @現代の貧困は金銭的問題だけではなく、見た目では分かりづらい問題を抱えている。 A地域の児童館や青少年施設、様々な地域の行事に参加していない人が自ら孤立化していることは、子どもの貧困という問題以前からずっと地域の課題として存在した。 ということが分かった。 (委員)未就学児の頃から問題は生じている。現代の核家族化に伴い、母親が親に子育てについて相談できない所から問題は生じているように感じる。自分の地域で、母親を助ける活動を行っている人がいるが、そういった活動を盛んに行っていくことで、地域の人の状況も良くわかると思う。 閉鎖的な環境を取り払う方法がなければ、本当に貧困なのか、どのような手助けが必要なのか見えてこないと思う。  (委員)出産からの継続した支援を行わないと、親と子どもの状況が見えてこない。親と子に対して出産からの切れ目ない支援が必要だと感じている。現在世田谷区では「ネウボラ」という妊婦の時から助ける施策が始まっており、出産時期からの地域との関わりを作るきっかけ作りが始まっている。 子どもが小さい頃から、地域の中で顔の見える関係を築ければ、子どもがSOSを出すことができると思う。  (委員)今は共働きの家庭も多く、先生も親と直接会うようなチャンスがない。子どもの放課後の空き時間、親の目が行き届かない状況の中で、何か埋めるものがあると、精神的な孤立を防げると思う。  (委員)小学校では実際に給食が生きるツールになっている子もいる。周りの子もその子の状況が分かっているので、おかわりを沢山することを許容している。 子どもの貧困という言葉が引っかかる。親が経済的に貧困だから、子どもも経済的・精神的に貧困に陥っている。貧困という言葉をキチンと世田谷区として誰にでも分かる様に、言い換える必要があるのではないかと感じる。 今小学校で抱えている問題を掘り下げると、親が精神的な疾患を抱えていることが多い。子ども家庭支援センターや民生委員が間に入り指導しても、効果は一時的なもので、結果的に警察に一時保護をかけてもらい、生活改善や親子関係の修復を図らなければならない。 また今までの話は、対処療法的話と、予防的話が混在した議論になっている。親のための話か、子どものための話か、話し合いの軸を決めて整理していくことが大事だと思う。また、貧困の連鎖を断ち切るための方策を考えていくことが大事だと思う。  (委員)子どもの貧困の言葉の意味をどのように定義し、具体化していくかは課題だと思う。 (委員)この貧困というテーマを聞いたとき、自分の中にある昔の貧困と今の貧困は差があるように感じた。子どもの貧困についての定義が必要だと思う。 自校の就学援助を受けている生徒について調べてみたが、必要ないように見える子が受けていたり、必要そうな子が受けていなかったりと、今の貧困は見た目からは分からない。親に勧めても就学援助を断る場合もあり、その結果子どもに不利益が生じていることもある。貧困の連鎖を切るためには、親が貧困から脱却しない事には切れないが、子どもが自らの力で脱却するような道を検討しても良いと思う。 (委員)皆さんの話を聞いて貧困という言葉の重みを感じている。貧困という言葉を置き換えたほうが良いとは思わないが、子どもの貧困という問題の概念は大人の貧困とは違うという意味で、問題の構造をしっかりと捉えることが大事だと思う。またこの問題を検討していく上で、もう少し具体的に貧困の実態を理解したいと感じた。その上で、要望や介入できる点について検討していきたい。大変難しいテーマだが、議論の価値があるテーマだと思う。 (議長)皆様からいただいた様々な意見より、子どもの貧困が構造的に起こっていることが見えてきた。貧困という言葉は非常に多義的で、戦後直後の食糧難のような貧困と今の貧困はだいぶイメージが違う。そこを峻別するような定義づけは、明確にする必要がある。 その上でその背後に見えてくる構造的な問題もできる限り見える化できると良いと思う。2年では終わらないような大きな研究テーマだが、少なくとも見取り図のようなものを示せるかもしれない。 今回の話し合いの結果残された部分については、今後の課題であるし、それは貧困だけでなく、他の問題にも繋がっていく。 今回いただいたご意見で出たポイントを整理し、次回それをたたき台にしながら、研究課題の具体化やアプローチの仕方を議論いただく。 (2)その他 @事業報告 「第19回アドベンチャーin多摩川いかだ下り大会」について 8月28日(日)に実施を予定していたが、台風の影響による川の増水により、中止となった。 A事務連絡 「マイナンバー回収について」 マイナンバー制度の開始に伴い、法定調書作成にマイナンバー記載が必要となる。公務での出席となる校長先生方を除き、今年度より新規で委嘱された委員に提出を依頼。 【9】今後の日程について 第4回定例会の日程について 第1候補日:12月7日(水) 第2候補日:12月15日(木) 事務局にて調整する。 − 以上 −