障害のある人もない人も共に楽しめるスポーツ・レクリエーション交流事業 第3回講習会 講義テキスト 【スライド3】 こうした障害のある方もない方もというふうに世田谷区の事業名ではなっておりますけれども。要は障害があろうとなかろうと、また小さな子どもから高齢者まで。それから今日午後に実際に体験会として一般の方がおいでになって皆さんはそのスタッフ役として実際に体験をしてみると。こういう仕組みになっているわけですけれども。日本国籍でない方も今日は参加されるということですから。はっきりしてないんですけれども、日本語があまり早口でぱぱぱっと話をするとちょっと意味が分かりにくいという場合もあり得るかもしれません。そこはまだアセスメントというのができてないんですけれども。今日午後においでいただいて、受付のところで日本語でやり取りをすれば日本語で全然問題ないなということが分かるか、ちょっと日本語がたどたどしいから。英語はおできになるということはわかっていますので、何かお分かりになりにくいところは英語でご説明した方がいいかということも考えてはいるんですけれども。日本語がうまく理解できない、あるいは日本語でのコミュニケーションが取りづらいってなったら見方を変えればコミュニケーション障害ですよね。英語は全くできませんという日本人が外国に行って、そこの母国語が全くわからない、英語もわからない。向こうは英語はできるんだけどこっちは英語できないってなったら身振り手振りとかでやるか、スマホ使って日本語を入れて翻訳してやり取りするかっていう。今はこういういい機械ができてますからそんなに苦労はしないんですけれども。 今、世の中は本当に多様な方が地域にはいらっしゃるわけで。決して障害があるとかないとかっていうだけの問題じゃなくて。様々な意味で地域で一緒に生活をしていきましょう、誰もが楽しく生活していきたいわけですから。いろんなことで揉めたりしたくないですよね。それがうまくコミュニケーションが取れないがゆえに意思疎通がうまくいかないのでトラブルになってしまうとか。それから人間誰しもパーフェクトじゃありませんから。うまくできない事もあったりする時に、若い人はあんまりこの言葉知らないかもしれませんけど、遠いところにいる家族、親戚よりも近くの他人っていう言葉があるんですけれども。血の繋がった人間が遠くにいてあまり頼りにできない。何か困った時には別に血の繋がりもないけれども、近くの全くの赤の他人の人の方が頼りになるっていうことだってあるわけですから。地域でやはり皆で一緒に助け合ってって言うと話が固くなっちゃうんですけれども。お互い様なんだから困った時はSOS出してもらってできることがあれば助けるし、こっちが困った時には助けてっていうふうに言って助けてもらえるというようなことができたほうがいいですよね。ですのでこの講習会はあくまでも障害あるなしに関わらずと言ってますけれども、現実には障害のあるなしだけではなくて今時の言葉で言うと、インクルーシブなとかダイバーシティだとか多様性だとか、みんなで一緒にとかというようなことを念頭においていろいろなことが考えられていくということが大事なんだと思います。ですので、今皆さんがご参加いただいている講習会や実際に体験していただくことを通じて、いかに地域の様々な考えを持ちのお方、様々な価値観をお持ちの方、いろんな方がいらっしゃるところでこの地域に住んでて良かったな、こういう仲間がいてよかったな、こういう人たちにお互い助けられたり助け合ったり、そういうことをして生活できるっていうことは幸せなことなんだなっていうようなことを実現していくためのある種皆さんにはリーダー的な存在になっていただきたいなっていう願いがあってこの講習会をやっています。 ですので、実際にこの講習会を通じて体験していただくのは障害のある方でみんなで一緒にアクティビティを楽しみましょうって言った時にどんな工夫をしたらいいのかな、どんなサポートをしたらいいのかな。逆に言うとどんなサポートをしない方がいいのかなっていうこともあるわけですね。ご本人ができるのに余計な手出しをしすぎてしまうと、かえってありがた迷惑っていうようなこともありますので。ご本人が満足する、楽しんでいただけるっていうレベルのサポート、支援っていうのはどの程度なのかっていうのは人によって全然違いますので。様々な人に対していろんなことを体験してみて、こういうことを考えてらっしゃる、こういう価値観をお持ちの方だったらこんなような支援だとかサポートをしたら相手が喜んでくださる、あるいは満足していただけることなのかなっていうのが、やはり場数を踏むと言いますかね、体験をたくさん積むことによって獲得していくものだと思います。なので、(この講義は)10時までなんですけれども、(この時間で)話をすることはそうした様々な方に対して支援、サポートや工夫をするいろはと言いますか、基礎、基本を聞いていただきたいっていうことなんですね。 これまでも話をしてきたことは、このような会を催して実際にやっていくっていった時の基本的な手順というのがこんなふうに考えたらいいんじゃないですかということで、APIEプロセスと言いますけれども。APIE、エーパイと読むんですが。APIEプロセスというのをご紹介して説明をしてまいりました。今日初めてという方は前段の部分はお聞きになってらっしゃらないんですけれども。簡単に申しますとAはアセスメントということで。どんな方が来られるのかっていうのを知らないで何をやったらいいかも考えにくいですよね。どちらかというと日本のスポーツ界なんていうのは、スポーツ団体だとか組織だとかがやりたいことをやりますって言ってやりたい人集まってくださいっていうことがほとんどなんですね。ところが日本のスポーツをやっている人の割合っていうのは欧米諸国から比べると圧倒的に少ないんですね。実際には。オリンピック、パラリンピックを同じ年で2回もやってるような国なのに実際に定期的にスポーツを実施しているっていう人の割合は先進諸国の中で本当に少ないんですよ。不思議な国なんですね。 それをどうしてったらいいかってことを考えたらそもそもスポーツをやりたいとか体を動かしたいとかってニーズがあるのか。やりたいと思っているのかっていうのが分かんなかったら、どういう手立てを打ったらいいかわからないですよね。皆やっていただきたいんですよ。体を動かしていただきたいです。だって日本人は運動不足で生活習慣病がまん延してるわけですから。体を動かしていただきたいんだけれども、高血圧だ、肥満だ、心疾患があるとかで病院に行ったらドクターから少し栄養のバランスも考えて、しっかり睡眠とって、何よりも大事なのは運動することですよってお医者さんに言われるんですよね。でもお医者さんに言われたってやらないんですから、日本人ってのは。命に関わることなのにやらないんですから、よほど頑固っちゃ、頑固ですけれども。本当にやりたくないんでしょうね。またはやれないんですよね。 でもやらなきゃいけないことですから。だって人間動物ですから。動くものなんですから、体を動かしてなきゃああちこち悪くなるに決まってるわけですよね。じゃあ何でやらないかっていうことを私たちはしっかりと確認をして。それができないのはなぜなのかっていう理由をしっかりと把握してその理由を取り払ってあげて、やりたいなって思うようになってほしいわけです。そのためには今、運動やスポーツっていうものにうまく参加できてない方のことをちゃんと知っておかなきゃいけないし、参加してみたいなと思ったらそういう方がどんなことやりたいのかなということを知っておいて、主催者側がやりたいことじゃなくて参加者になってほしい方がやれるようにするための方法だとか、参加してみたいって言っていただけたら何をどんなふうにやってみたいのかっていうことをしっかり踏まえてやるっていうことが大事だと思うんですね。そのためには参加者の状況や状態をちゃんと知っておくっていうことがやはり大事なことなのでアセスメントっていうのが大事だっていうことをお話ししてきました。アセスメントっていうのは相手の方の状況だとか状態だとかどんなことを考えてらっしゃるのかとか、どんなことやりたいと思っているのかっていうことをちゃんと事前に情報として集めておきましょうっていうことですね。それに沿って2番目のP。プランニング、企画計画をしましょう。 これまでの日本のスポーツ界ってアセスメントをほとんどしないで、スポーツ団体だとかスポーツ組織だとかそういったような団体がやりたいことだけを計画して企画して、こういうのやりますって言って一生懸命PRして参加者募ってる。でも、そもそもそういうことやりたいと思ってる人がいないのにやりますって言ったって参加者は集まんないわけですよね。参加してくださる方はやりたいと思って来てくださるからまたやりますって言っても来てくれるわけです。そうすると参加者は固定化してしまう。やる人はやるけれどもやりたくない人は来ない。スポーツ団体は何困ってるかっていうと参加する人がちっとも増えない。同じ人がいつもきていつもやるだけで普及できない。幅が広がって行かないって悩んでるわけです。それはそうですよね。やりたい人来てくださいって言ってるわけですからやりたい人しか来ない。なのでやる人はずっとやるし、いろんなことに興味、関心持ってるからあっちも出てこっちも出てこういうのも参加してってやる人がいるけれども、その人の割合は増えない。 私たちは大事なことは今も何かやりたいスポーツがあって参加できてる方はどうぞどうぞ続けてくださいでいいわけですよね。今、運動やスポーツができてない、やりたいと思ってない、やりたいけれどもできない。こういう方々に一人でも参加できるようなことを考えて、やってない人にやっていただくことによって実施率っていうのが増えていくわけですよね。そこが国としても今考えていることだし、世田谷区としてもスポーツ振興という観点で考えていることなわけですから、やっぱり今参加して欲しい人は誰かって言ったら、なかなか参加することが難しかったりとか参加する機会が見つけられなかったりとか。そういう方に参加していただくために、今この事業をやっているっていうふうに考えていただきたいということですかね。 今日約30何名の方が参加していただく会が午後あるわけですよね。今日この3番目。インプリメンテーションって言いますけど、実際やります。計画をしています。今、後ろでスタッフ打ち合わせしてますけれども。これから私10時にこの講義終わったら皆さんも含めて今日午後どんなふうにやろうかねっていうことをグループワークで一緒になって考えて、今日午後やってみますということです。 ここまでは一応これまで大体お話ししてきたことなので、今日は最後のE、エバリュエーション。評価するっていうことなんですけれども。このことについて皆さんにお話するというのが今日の講義のメインテーマです。なんですが、それはちょっと置いといて。戻りますね。一応ここまでは復習ですので戻ります。 【スライド4】 評価をするんですけれども、今日参加していただく方々が午後参加していただいてどうだったかっていうことが一番大事じゃないですか。我々やるほうがどうだっていうふうに評価することも大事なんですけども。我々がやったことに対して参加された方々が満足していただけたか。またこういうのがあったら参加したいと思っていただけるかっていうことが大事ですよね。でも今年度の世田谷の事業は今日で終わりなので、今日参加された方々の評価は次年度何をするかということを考えるための評価っていうことになるわけですけれども。参加された方々がどう思ってくださったかっていうことが評価という意味では大事なんですね。我々はすごく良かった。誰も怪我しなかったしみんなすごく笑ってたし、楽しそうにやってたっていうのはこっちが一方的に見ているだけであって。本当に参加された方々がそう思ってらっしゃるのかどうか。また参加したいと思うのかどうかっていうのは別問題ですよね。 その評価をするときにこういうことを1つ知っておくといいだろうということでお話するんですけども。マズローっていう研究者がいて。人間って欲求の塊のようなもんじゃないですか。いろいろ欲求があって欲求を満たしたいと思って日々生活をしているものなんですね。マズローの欲求段階説。段階的に欲求の度合いが上がっていくっていう。これを言って今でもマズローが提唱した欲求の段階説っていうのは、どんな時でも使われることなんです。セオリーなんです。別にスポーツだとかレクリエーションだとかに限った話じゃなくて人間の根源的な欲求を表したものなんです。これについて一応理解しておくと評価をするときに非常に有効だって思うので簡単に説明します。 【スライド5】 この図で説明した方が分かりやすいと思うのでこれで行きますけれども。人間ってまず一番欲求として大事なことは何かって言ったら第1段階。これなんですよ。これが満足されないとそれ以上の欲求って出てこないんです。第1段階っていうのは生理的欲求、また一時的欲求とも言うんですけれども。生命の維持のための欲求。衣食住とか。これが満たされてないと、人間、他の欲求っていうのが生まれにくいんです。今、まさに戦争状態に置かれている人ではトルコやイランで今災害が起きていて。明日生きていけるかどうかっていうような状況に置かれている方。また世界各国でいろんな状況で非常に苦しい状況の方たくさんいらっしゃるわけですよね。 そういう方にとってみれば何が大事なのかって言ったら今日寝るところ。今日寒さをしのげるか。今日飲む水があるか。明日まで命が持つのか。こういうことがまず満たされない限り他のことなんか考えちゃいられないわけですよね。なので、まずこれが大事です。少なくとも今ここにいらっしゃる皆さんはこの段階の生命維持のための欲求は完璧とは言わないですけども、皆さんなりに悩みがおありだと思いますけれどもある程度満たされているからここにいらっしゃるんだなと思うんですよ。そうじゃなかったら講習会なんか出てる場合じゃないじゃないですか。それどこじゃないですよね。昨日も九州の方で地震があったようですけれども。昨日もし首都で直下型地震があって、世田谷なんて古い建物や高齢者世帯が非常に多い地区ですから、家が潰れたりして今日の講習会なんかやってる場合じゃない。今災害復旧でみんなここの体育館だって避難場所になって避難してくる人がいれば講習会なんかやってる場合じゃないですよね。だから一応皆さんにとってみればここは満たされているし皆さんの周りの方々も満たされているからこそ、こういう講習会ができているというふうに言っていいと思います。 マズローの言い方をするとある程度なんですけども、1つの欲求が満たされると次の段階の欲求がふつふつと湧いてくる。次の段階の欲求を満たしたいというふうに出てくる。 第2段階は安全と安定の欲求って言うんですけれども。生命を決定的に維持したいということで。ただただとにかく生きているんじゃなくってよりよく生きたいというような気持ちになってくる。これが経済的な面であったりとか健康面であったりとか。それからブルーシートをひいて雨露しのぐんじゃなくて、それなりにしっかりした屋根があって寒さがしのげて、とかっていうような家だとかっていうようなところにいたいという欲求だということなんですね。 これがある程度満たされるといよいよ第3段階となって他者と関わりたいって。人間っていうのは社会的な動物ってよく言われますけれども。孤独、孤立、一人。人はいっぱいいるんだけれどもその中で誰とも関係を持ってない。首都圏とか都市部とかって人がいっぱいいるじゃないですか。だけれども誰とも関わらないで1人、部屋の中でいるっていうのは人間としてはとても辛い状況なんです。だからコロナがきつかったんです。他者と関わるっていうのが非常に制限されたから。だからこの所属と愛情の欲求っていうのは誰もが持っている欲求なんです。だからこの体験会をやって皆で一緒に楽しいひと時を過ごしましょうっていうのはこの部分の欲求を満たすっていう意味でも大事なことなんです。じゃないとやっぱり孤立とか孤独とかっていう条件を満たされないのでこの欲求が生まれてきます。 そうすると集団への所属だとか3つ目のところ(画像右側の中段)。友情とか愛情とか、こういうことが人間というものは欲しているんですよ。欲求があるんです。でも、この欲求が満たされないとやっぱり辛いんですよね、人間って。なので、私たちはこういう事業をやるっていうことは、単にアクティビティをここで楽しんでいただくっていうだけじゃなくて、アクティビティを楽しんでいただこうというのを通じて他者との関わりを持つ。新しいお友達を作る、知り合いを作る。いろんな人と一緒にやるっていうことを楽しむっていうことをしたいのが人間なんだから。そこの部分を満足させてあげると単にボッチャが楽しかったとか、ペガーボールってのが面白かったじゃなくて。それをやるときにいろんな人と一緒にやって声かけてもらったり、話したり、そこで親しくなったっていうことが大事なんです。なので、今日是非皆さんに後で評価として出てくる時に、ボッチャやったりペガーボールとかってそれも楽しかったけど、いろんな人と話ができた、スタッフの人と話をしたりとか、新しいお友達ができたとか、こういう人だったら安心して話ができるとか。だからまた来たい。こういう人たちとだったら一緒に何かやりたいって思うっていう評価が出たとしたら、参加された方にとってみれば第3段階の所属と愛情の欲求の一部を満たしてあげたっていうことにつながっているんだっていうふうに評価できるわけです。なのでこれがむしろ私たちにとってみれば大事なことだと思っていただけるとありがたい。要はここへ来て何かプレイして勝ったの負けたのっていうことよりも、他者と関わった、いろんな人と話ができたっていうことの方が人間としての欲求の段階としては基本的な欲求に近いんですよ。だからこっちをまず満足させてあげるように道具としてペガーボールやる、ボッチャやるとか、いろいろやるわけですけれども。それはあくまでも道具。他者と関わったり集団への所属、帰属だとかっていうのはこういう人たちの仲間の一員になれたっていうことはすごく嬉しいことですから。なので、ここをぜひご留意いただきたいってことになるんですね。 物質的な欲求って物欲ってあるじゃないですか。人間って。お金欲しいとかいい車乗りたいとか。物欲よりも精神的な欲求っていう方が欲求のレベルとしては高いんですよ。だからお金がたくさんあったって孤独で1人で、ただただお金使って何か物を買って自己満足してるよりもお金なくたってお友達がいっぱいいて毎日のようにお茶しながらべちゃべちゃ喋ったりの方が人間の欲求の満足度としては高いレベルなんです。だからこういうようなことを満足できるようにしてほしいし、これがある程度満足できると第4段階で承認や尊重の欲求ということで他者から価値ある存在と認められたい欲求なんですね。集団に帰属したい欲求なんです。集団に帰属したいっていうのは3番目の段階とほぼほぼ重なるじゃないですか。新たに出てくるのが他者から価値ある存在と認められたい欲求ってことなんです。つまり何かやって人間って褒められたいんです。否定されたくないんです。肯定されたいんです。人を褒めて伸ばせとかってよく言うけど、本当に人間って徹底的に否定されて、だめだお前はとか、何やってるんだとかって言われたら尊厳、人間としての自分の存在価値だとかっていうのを否定するようになっちゃうんです。 今パワハラとかハラスメントとかって言われるけれども、なんでそれが問題なのかっていったら人間は他者に認められて肯定されて褒められてその人らしさっていうのを初めて出していける存在なんです。それが尊重や承認の欲求だからなんです。だからこれを否定されると人間として生きていけないというレベルになっちゃうんですよ。だから問題なんです。こうした事業で何を我々は気をつけるかって言ったら、とにかく何をやってもいいとこだけ見つけてあげて、絶対に否定的な言葉は使わない。それからその人がやりたいと思うようにやらせてあげる。その人を徹底的に認める。これに徹しなかったら人間として他者から認められたって僕は思えないです。だからうまくいかないことなんていっぱいあるわけですよ。アクティビティやって、例えば倒すなんていって、ボールで投げてうまく倒れたらそれはいいけども、倒れないことだってあるわけですよね。だから惜しいなっていうよりはこういうふうにしたらもうちょっとうまくいくんじゃないのっていうふうにポジティブな考え方になるような言葉がけをするっていうようなことが大事なんですね。残念、うまくいかなかったねって言ったら否定しているのと同じなんですよ。そうしないっていうのがやっぱり大事だし。自分はこの中にいていいんだ。チーム戦ってありますから。うまくいかなかったら自分はチームに迷惑をかけてる、私はやらない方がいいんじゃないかとかって思う人っているじゃないですか、世の中には。でもそれで、じゃあできる人から順番に並べてうまくいかない人がいてもチームとしては何とかなるように考えちゃうと、やっぱり自分はだめなんだなって思っちゃうわけですよ。じゃなくて、いや。あなたはあなたのやり方でいいんだからそれができようができまいがいいんだって。あなたがやりたいようにやっていいんだって。それでみんなで一緒になって、協力してなんとかチームとして成果を上げようと努力することが大事なんだっていうことが分かるようにしていかないと第4段階の他者からの尊厳とか責任ある地位だとか。 これって今の若い人風に言うとマウントとるっていうやつですよね。相手よりも自分のほうが上位だと思ったら人間って満足する部分ってあるじゃないですか。だからどんな場面でもすぐマウントとる人っているわけですよ。自分の方が偉いんだって、自分の方がすごいんだって。そんな人ばっかりだったら世の中成り立たないですよね。みんなでこぼこあって。うまくいくこともあればうまくいかないことだってあるんだから。そのでこぼこが一人ひとりあってそれが複数集まるから1つのものとして最大成果が上げられるわけですよね。 ちょうど今ワールドベースボールクラシックこれからやるけれども。この間サッカーのワールドカップやったじゃないですか。チームゲームってそうでしょ。チームっていろんな人間で構成するけれども皆が皆スーパーじゃないじゃないですか。みんな特徴があってすごく強みもあるけれども弱みもあるわけですよね。でも、チームになるとお互いに強みを出し合わなかったらチームとしては良い成果が得られない。弱みがあるのはわかってる。だからそこを上手く強みのある人で補えるようなチーム編成にしなかったらチームとしてはちっとも成果あがんないですよね。だから監督っていうのは上手い人ばっかり集めたってだめなわけですよ。チーム作る時。スポーツの世界ってそうじゃないですか。だからそれぞれ人のいいところだけをうまく使ってチームを作って、チームとしての最大成果を上げるような構成ができる監督が良い監督なわけです。だから皆さんはそういう意味では監督のような立場とすれば、いかにあなたはこういう素晴らしいところがあるんだからこれでいいじゃないかっていうふうにご本人が納得できるようにサポートしてあげていただきたい。そうしてくれたら自分だってうまくいかないことがあるってのはご自身もわかってることが多いわけですよね。でも強みがあるんだ、やれることがあるんだ、チームに貢献できるんだっていうことが自分ではっきり分かればここにいていいんだ、自分は役に立ってるんだ、自分はチームに貢献できるんだっていうことが認識できるわけですよね。そうすると第4段階ですから相当高い欲求満足度ですよ。この欲求が満足されれば来て良かったなって満足して帰っていただける度合いが高くなるわけです。この欲求が満足されるといい気持ちになって帰るわけです。そうしたらまた来たいなって思うじゃないですか。他の場面だったらいっつも否定されたりとか、いろいろ注意されたりとか。もっとああせい、こうせいって言われることばっかりなんだけども。この場はそうじゃない。こういう人たちに囲まれてこういう人たちと一緒にやる時は全部自分にとって都合がよく、うまくいくように思えるっていうふうに思っていただけたらこれは継続しますよね。 最後。マズローでしょっちゅう言われることなんですけども。第5段階。自己実現の欲求。人間は誰しも自分らしく生きたいんですよ。他者になりたくないんです。でもここが一番悩みなんですよね。自分って何者なんだってのはよくわかんないんです。いくつになっても自分は何になりたいんだろう、どうありたいんだろうっていうのを探して生きているようなもんですよね。だけれども自分らしく生きたいっていうふうに思うっていうのは、人間として最高のレベルの欲求なんです。だから年齢とか関係ないです。年取ってもこの欲求っていうのはずっとありますから。年取って体動かなくなるとか、いろいろなことができなくなるということもある中で、でも自分は何者なんだ、自分はどう生きたいんだっていうのを追い求めるっていうのは人間の最大の特徴なんです。他の動物にない。なので、最高の次元の欲求なんです。人間の。だから創造的な活動の欲求。夢を叶えたいとかね、それから仲間や友達に愛されたい。自分らしく生きたい、かつ自己成長したい。潜在能力を実現したい。まだうまく表現できてないけども、自分が本当にやりたいこと、自分らしく生きたいことっていうのを求めるっていうのは人間の本質なんですよね。だからこういう場であなたらしさっていうの出すっていうのはちょっと難しいとは思います。たかだか何時間かであなたらしさっていうのを見出すっていうのはそれは求めすぎなんだけれども。でも、こうした創造的なクオリティの高いことをやるっていうことは結局誰かに企画されたり線路を引かれた上を歩いてる人生とかっていうのは自分らしくないってことですよ。自分の人生って自分でしか歩んでいけないわけだから。だから今日も講習を受けている皆さんにとって少しでもそういうことを感じていただきたいということでグループワークをやるわけです。つまり皆さんだったらどうしたいかっていうのを少しでも出していただいて、皆さんなりに午後やるアクティビティに自分の意見だとか自分だったらこう思うだとかっていうのを出していただいて。それを少しでも実現させるっていうようなことをとおして。スタッフが考えて企画していることを聞いて、じゃあそう言われたらそのとおりやろうね、だけじゃなくて少しは自分なりに考えて自分だったらこうしたいと思うんだけどなっていうのを出してみて。それができるかどうかは別にしても、そういうことを言っていい場所なんだっていうふうには思っていただきたいなっていうのは思いますね。 【スライド6】 こういうようなことを前提として考えておくと評価って大事なんだってのが分かっていただけると思うんです。単にアクティビティが楽しかったとかっていうレベルの話じゃなくて体験会に来ていただいて満足していただけたかどうかっていうことが評価としては大事なんだっていうことが分かっていただけると思うんですね。なので評価って2つあるんですよ。1つはプログラム評価って言って、ペガーボールどうでしたか、ボッチャどうでしたかとかっていうものを、例えば5点評価法ですね。1から5までで5は超楽しかった。 1は全然楽しくなかった。丸つけてもらって。どのプログラムがその方にとっては面白かったかなっていうのをやるっていうのは簡単に言うとプログラム評価です。今日4つやる予定になってますけども4つとおしてどうだったっていうのを評価していただくっていうのがあるんですね。それもスタッフは今日終わったら振り返りをするじゃないですか。振り返りってのは内部評価ですよね。やった側がどうだっていうのを評価するのと、参加された方はどうだかっていう外部評価と突き合わせて、こっちはこういう評価してるけれども参加された方はこういう評価してるって違ったらやっぱりどこに違いがあるのかっていうのをちゃんと突き合わせて見る必要があるわけですよ。参加者評価が絶対っていうわけではないんですね。両方突き合わせることが大事なんです。片っぽしかやらないっていうのはだめなの。両方やるってことが大事なんです。そこに食い違いは出てきますからぴったり合うなんてことはそう滅多にないですよ。 この間も別の事業でやったんですけど。ペガーボールってひっつくポンチョ着てそこにボールくっつけて、いくつくっついたかなんていうのをやるゲームっていうのをやるじゃないですか。そうすると計画する側はどのチームがたくさんつけたかっていうので一応勝ったり負けたりってことでやりましょうっていうことでやります。そうするとこちらとしてはいくつつくか、とかっていうのが楽しいことだろうということで評価をしていくんです。だいたい。ところがちょうど今年度他の事業で参加者の評価のを見たらペガーボールのボールをポンチョっていうくっつくところについてるやつを剥がす時にびりっと音がするのが超楽しかったっていう評価が出たんです。だからこっちはきっとたくさんつけようっていうのが楽しいだろうと思ってやってんだけども。実際やった人はつけることよりも剥がす方が面白かったって評価がでたとしたら、考えてることと実際にやっておられる方ってのは違うんだって事が分かるわけです。そしたら次のプログラムの時は、じゃあいっぱいくっつけて、次くっつけ終わったから今度はみんなで剥がそう。どれだけたくさん剥がせるかっていうのをやろうっていうのがまたアクティビティとしては成り立っちゃうわけですよね。だってそれの方が面白いっていう人がいるわけだから。だからやっぱりプログラム評価って外部評価ってすごい大事なんですよ。思ったとおりではないってことですね。 プログラム評価ってのは、計画する側の評価と実際に参加していただいた方の外部評価。もしくはもう一個、外部評価には、例えば僕は今この講習会には講師っていう立場で来てます。だからいわゆる部外者です。いわゆる専門家として呼ばれてるわけですよね。僕なんかが全体見てて評価をする。これ、外部評価です。これが結構厳しいんです、外部評価って。第三者評価委員会とかって結構最近よく聞くじゃないですか。内部の人間だけでああだ、こうだやってると忖度が働いたりとかするから。全く利害関係のない人に徹底的にやってもらおうっていうようなことをやるでしょ。あれ外部評価です。だからそういう意味での外部評価ってのも大事なの。 もう一個、プログラム評価の下に対象者評価ってあるでしょう。この対象者評価ってのは何だかって話なんですけども。 【スライド7】 対象者評価っていうのは僕らはこうしたプログラムを体験、経験していただいてこんなふうになっていただきたいなっていう願いを持ってやるわけです。参加された方に。例えばお友達作っていただきたいとか、少しでも会話していただきたいとかっていう、いくつかの目標があるんです。そうすると参加者の方々がどんなふうに変化していったか。難しい言葉なんですけども。いろんな機能があるんですよね。身体の機能だとか情緒だとか認知だとか社会だとか。ちょっと難しくてごめんなさいね、行動変容っていう言葉聞いたことありますか?アクティビティ、プログラムを通して参加された方々が少し考え方が変わったり、難しいと思ってたけどもこんなんだったら簡単だし自分もできるし参加できるんだ。こうなったらまたやるっていう連絡が来たら、またやりたいなとかって思うようになったって言ったら考え方がちょっと変わることになるじゃないですか。それが行動に表れると行動変容、変わるってことです。だから自分はボール投げたりとかそういうのが苦手だと思ってた。ところがここへ来てみたら自分なりの投げ方だとかっていうものをうまくサポートしてくれて、自分もボールを投げるっていうのが自分なりの投げ方で投げることができるようになった。なんだ自分は、ボール投げるなんて一生無理だろうと思ってたけども、こういうふうにすれば投げるっていうことができるんだなんていうの思ったらその方にとっての行動変容なんです。そういうことが起きるような仕掛けをいくつもいくつも種として仕込んでいるわけですね、我々は計画する時に。だから行動変容を起こしていただいてだんだん価値観も変えていただいていろんな人と話をしたりとかいろんな場面に出かけていったりとかいろんな機会を捕まえて参加するとかっていうふうになってってほしいわけです。 だから対象者評価っていうのは対象者がプログラムに参加することによってどの程度変化が起きるかっていうことをきちっと見とくっていうことなんです。だから、アセスメントをちゃんとやって、参加する前はこうだった。参加した後はこうなったって。変わったのをちゃんと見てくってことが大事なんです。もっと大事なのはそれをどこでそういう変化が起こったかっていうのをちゃんと見とく。ボッチャってやつがその方にとってすごく刺激的でボッチャ以外はあんまり強く感じなかったけどもボッチャをやった時に、自分なりにこれはいけるぞみたいな思ったとかっていうポイントをちゃんと見とくってのが大事なんです。だからスタッフってプログラムとかアクティビティとかっていうのをやるのに一生懸命で支援とかサポートとかってしてると対象者だけを見ていて全体は見れてないからどこでどんなふうなことが起こってるかってのが見えないってのがよくある話なんです。だからスタッフって役割分担で、こんだけ今日スタッフがいるわけですからそのアクティビティをきちっと時間の予定通りにやっていくっていう人や、この参加者にくっついて介助したり、サポートしたりする役割の人もいれば、僕なんかは全体の進行の度合いだとか、それからどこでどんな変化が起こってるかとか。どこがリスクあるかとか。ここちょっと危ないぞとかっていうときにすっと行って、ちょっとここ変えたほうがいいとかっていうのをやるとかっていうような役割の人間とか。それは学生風に言うと上とか下とかって言うけど。そういうこっちゃなくてみんなそれぞれ同じスタッフとして役割が違うわけですよね。やるべき。だからこういう行動変容が起こるかどうかっていうのはある意味アンケートなんか書いてもらうってのは今日もやりますけども。観察、オブザーブするってこと。ちゃんと見てるっていう人がいないとだめなんです。誰も見てないでそこだけにみんなが集中しちゃったらそれが見えてこない。観察者っていうのも必要なんです。それはスタッフの人的余裕があるかとかっていうことにもなるんですけども。 今、福祉の現場とかって人手不足とかっていうことよく言うじゃないですか。それはなぜかって言ったらやるべきことがいっぱいあって、それやらざるを得ないから。客観的に全体がどうなってるかとかってのは見てる人がどこもいない。だからリスクが事前に察知できないんです。なので、問題が起こってから初めてなんでそんなことになっちゃったのっていうようなことが起きて、今新聞でよく報道されるっていうのはそういう人的余裕がないから。だからスタッフっていうのはそれなりに参加者の数に応じて人数も揃えて役割分担もちゃんとしてってのが必要だってことですね。 面接とか記録とか、記録なんかも今日なんかは全体にビデオなんかをちゃんと撮っておくとかっていうのはそういう意味では後で必要になってくるからですよね。単純にこんなことやったよっていうのをみんなに見てもらうってだけの話じゃなくって。どういう場面でどういう人がどんな行動をしていてその行動変容ってのがどの辺で起こるかってのを後でちゃんと評価するためには大事だよっていう。記録をとるっていうことは。これ、専門的にやると個別にカルテみたいなのをちゃんと作っておいて見る人がちゃんと見て後でカルテをちゃんと書くんです。そうなるともっと専門的になりますけど。今日そこまで求めてるわけじゃないんですけども、そういうことなんです。 ということで今日のメインは評価っていうことでお話ししたんですけれども。何のために評価するかって言ったら、どれだけ満足してくれたかということをメインに置きながら、ちゃんと評価していきましょうっていうことです。これは別にこうしたプログラム以外の場面でも使えることだと思いますのでいろんなところでこのAPIEプロセスっていうのは使えることだと思いますし、大事なことは企画・計画してやるっていう事の前後、ちゃんとアセスメントしましょうちゃんと評価しましょう。ここがすごく大事ですということで、今日の講義は最後の評価っていうことを中心にお話をしました。ちょうど時間が参りましたので私の講義は以上とさせていただいてこの後グループワークで実際にプランニング等ですね。いろいろ考えてやってみるというところに入っていただきたいと思います。私の話は以上で終わります。どうもありがとうございました。