会議録
会議の名称
第２９回世田谷区がん対策推進委員会　
開催日時
令和７年９月２日（火曜日）（ＺＯＯＭによるオンライン開催）
参加者
＜委員＞
　岩崎　基、木下　貴之、高橋　宏和、吉永　繁高、柴田　哲生、坂本　剛、
　田中　克佳、福田　俊裕、富山　有世、池田　真人、髙田　厚、鵜飼　健行、
　渡部　幹、堀　名穂子、水谷　幸一、田中　耕太、向山　晴子
【欠席】
　秋山　武徳
　
＜事務局＞
　桐山　徳幸、内田　潤一、志賀　孝子、小野　貴博、真鍋　太一、赤司　祐介、
　小黒　新也、松木　浩一、佐近　健一、比嘉  恵好、石山　賢悟
【欠席】
　木村　浩規
会議公開
非公開
公開
傍聴人数
０名
会議次第
１　審議事項
（１）「がん患者ウィッグ・胸部補整具購入費用等助成事業」の拡充について
２　報告事項
（１）各種がん検診の実施状況について
（２）世田谷区がん対策推進計画（第二次）の進捗状況について
（３）世田谷区がん検診受診勧奨の強化の延伸について
（４）子宮頸がん検診におけるＨＰＶ単独法導入の検討について
会議内容
１　審議事項
（１）「がん患者ウィッグ・胸部補整具購入費用等助成事業」の拡充について
　区では、東京都の補助を活用して、がんに罹患する前と変わらず地域社会で自分らしく生活できるよう、ウィッグや胸部補整具の購入費用等の補助を令和５年１０月より行っている。本年４月より都の補助内容が拡充されることに伴い、区においても令和８年１月より、対象者をがん患者以外に広げ、品目の追加等を行う。
委員からの意見等
●拡充内容は、都の内容に倣っているのか。
●区民からの要望の部分で、がん患者だけでなく、抗がん剤治療患者も対象としてほしいとあるが、どのような意味か。
●保健センターは、うめとぴあの２階にあり、「こころとからだの保健室ポルタ」において、がん相談を承っている。また、区が助成を始めた令和５年10月からウィッグの展示や試着等も行っている。

　区からの回答
・今回の拡充の内容は、基本的には都の内容に倣い、対象者・対象品目等を拡充する予定である。
・現行の助成制度では、対象者をがん患者に限定していたため、腫瘍ではあるが、がんと認定されていない疾病の治療で、抗がん剤を使用された場合でも、「がん」患者でなければ対象外としていたが、対象者の拡充を行うため、今後は対象となる予定。

２　報告事項
（１）各種がん検診の実施状況について
　　①がん検診等の受診率の推移
　令和６年度の受診率については、胃がんが11.4％、大腸がんは16.4％、肺がんが18.7％、子宮頸がんが29％、乳がんが25.6％となっている。区の目標受診率は国の目標値を基に、令和10年度までに60％に設定している。
　令和５年度の受診率と比較すると、子宮頸がんのみ上回っているが、まだ暫定値であり、今後、少数ながら増加することが見込まれ、令和５年度と同程度の受診率となる見込みである。
　委員からの意見等
●多くのがん検診において受診率が下がっている状況だが、令和10年には３倍に受診率を増やす目標について、今後何か対策等考えているのか。
　区からの回答
・令和９年度より、新たな方法での受診勧奨を検討している。受診率の目標については、国の受診率の目標を参考に計画を立てており、現状と乖離している部分はあるが、可能な限り目標値に近づけられるよう、受診率の向上を目指していきたいと思っている。
　　
　　②がん検診精度管理 実施状況一覧表
　精度管理の要精検率等の数値につきましては、翌々年度の10月に確定するため、現在は令和5年度、6年度ともに暫定値である。許容値に達していない項目について、例年より変化はなく、課題であると認識している。特に肺がん・大腸がんの把握率が低く、精検受診率も低いことについては、これまでも指摘をいただいている。
　区としては、令和6年12月より、再追跡調査を始めたり、両医師会にて開催される検診説明会に参加させていただき、精密検査実施の医療機関は、結果報告書の返送を必ず行うよう依頼した。また、区外の精密検査が受診できる医療機関の一覧を次年度以降公開できるように調整している。
　委員からの意見等
●大腸がんの精検受診率は、全体で６割を切るくらいかと思うが、保健センターで受診した方の精検受診率が78％と高い。何か対策をしているのか。
●令和５年度と６年度を比較することで、１年の取り組みの評価ができる。把握率が低いところについては、改善の動きがなく、そろそろ具体的な取り組み等検討した方がよい。
●乳がん検診の要精検率が、医師会と保健センターで２倍ほど数値が異なる件については、保健センターでは偽陽性が非常に多くなっている可能性があるため、対策に繋げていただきたい。
●子宮頸がん検診のがん発見率や陽性反応的中度は、どのようにして数値を出しているのか。
区からの回答
・保健センターでの大腸がんの精検受診率が高い件については、特定健診との同時受診が関係していると思われる。保健センターでは、大腸がん検診を単独で受診される方しかいないため、大腸がん検診に対してより関心のある方が受診いただいており、精検受診率に影響している可能性が考えられる。
・子宮頸がん検診のがん発見率や陽性反応的中度については、分子には、いわゆる進行がんのみ含んでおり、上皮内がん、上皮内腺がん、高度異形成等は含んでいない。

（２）世田谷区がん対策推進計画（第二次）の進捗状況について
　世田谷区がん対策推進計画（第二次）は、健康せたがやプラン（第三次）に内包された計画となっている。４つの主要課題と令和６年度・７年度の主な取り組みは下記のとおりである。
① がんに関する教育・啓発の推進
がん経験者や医療従事者による講話を、令和６年度は区立の小中学校計13校で実施した。令和７年度は12校で行う予定である。
② がん予防の推進
令和６年度は子宮頸がん検診のＨＰＶ検査単独法の調査研究のため、八王子市を視察した。
③ がんの早期発見に向けた取り組みの推進
　令和６年度の精度管理の指標の一つである精密検査未把握率の減少対策として、対
象者に再勧奨の手紙を送付した。令和７年度以降、誰もがアクセスしやすいがん検診における仕組み・方法の構築として、がん検診受診勧奨の強化を予定している。
④ がん患者や家族等への支援の充実
　国立がん研究センターやがん検診連携拠点病院と連携したがん相談の強化を行うため、令和６年度は、保健センターのがん相談従事者が国立がん研究センターのｅラーニング研修会に参加したり、国立がん研究センターの職員を講師に、がん相談従事者研修会を行った。また、全28地区のあんしんすこやかセンターとオンラインでつなぎ、がん相談事業を実施できるよう体制を整えた。　　　
令和７年度は、アピアランス支援の充実に向けて、助成事業の対象者や対象品目を拡充する。
委員からの意見等
●がん相談（オンライン）のあんしんすこやかセンターでの連携が昨年度から始まっているが、等々力あんしんすこやかセンターでは実績がない。他のあんしんすこやかセンターではどの程度進んでいるのか。
また、あんしんすこやかセンターに来庁する時点で、ハードルが高いように感じるが、在宅でオンライン相談は可能なのか。
●がん相談において、28地区のあんしんすこやかセンターとオンライン連携の整備はしたものの、実績は未だなく、伸び悩んでいる。
在宅からできるオンラインでの相談については、以前より相談できる仕組みがある。どちらにおいても認知度が高まっていないことが課題と認識している。今後あんしんすこやかセンターの職員にニーズやご意見を伺う調査を実施させていただきたいと思っている。
●がんを経験した人同士で雑談やお話ができる場があればよいと感じた。
●がん教育について、R6年度は小中学校合計13校で実施したとのことだが、世田谷区は、人口規模は大きいが、13校でどれくらいカバーされているのか。


　区からの回答
・外部講師によるがん教育については、区内には小学校が61校、中学校が29校の計90校あるうちの13校となっている。ただし、基本的に全ての学校で、外部講師によらない、学校の中で体育の教員や養護教諭等がん教育の授業を行っている。
　　
（３）がん検診受診勧奨の強化の延伸について
　区では、「健康管理等標準準拠システム」を用いて、がん検診受診率を向上させるため、これまでがん検診の種類ごとに送付していた検診の受診券を、個人ごとに受診できるがん検診の一覧を示し、受診券のシールと案内冊子、医療機関名簿をセットで対象者全員へ送付する、ワンストップで受診できる検診を実施し受診しやすい環境を整備することを目指している。
　システムの稼働予定であった令和８年度から実施する方向で調整していたが、国が示すシステム標準仕様書の大幅な改定により稼働が１年後ろ倒しになったため、新たな方法での受診勧奨も令和９年度から実施予定とする。
委員からの意見等　　
●国はPMH※を利用して、検診データやマイナンバーなどのデータを統合していくという動きも行われている。標準化されたシステムは、受診勧奨だけの利活用にとどまらず、PMH※との連携等も考えているのか。
※Public Medical Hubの略で、デジタル庁が開発した医療費助成や予防接種、母子保健に関する情報連携ネットワーク。医療費助成、予防接種、母子保健などの分野でマイナンバーカードを受給者証や接種券などとして利用することで、自治体、医療機関、国民の間での情報共有を効率化し、情報連携や事務コスト軽減を目的としている。
　区からの回答
・現時点では、まずは標準化システムへの移行を目指しており、その後の想定は立てられていない状況である。次のステップとしては視野に入れて取り組んでいきたい。

（４）子宮頸がん検診のＨＰＶ単独法導入の検討について
　今年度は世田谷区医師会・玉川両医師会、保健センターと意見交換を行った。また、先行自治体への視察を検討している。
　アルゴリズム※や検査法の標準化、精度管理等も考慮した上で、ＨＰＶ単独法導入の検討を進めていく。
　※検診の検査結果ごとに、次に何の検査を、どのタイミングで実施すればよいのか、 そのプロセスを定めたもの。
委員からの意見等　
●子宮頸がん検診は、いずれはＨＰＶ単独法に変わらなければいけないと思う。ただ、アルゴリズムが非常に複雑になるため、それを理解して、勧奨の方法やデータの扱いなどの整備が必要になってくることや、検体の収集方法も変わることによる、検体の採取や管理が課題である。
また、諸外国と比べて日本はＨＰＶのワクチンの接種率が低く、まずはワクチンの接種率を上げていかないと、陽性率が上がってくることが予想される。
●日本はＨＰＶのワクチンの積極勧奨を再開したのが、最近であり、まだワクチンが浸透していないという状況であるため、慎重に時間を使って、ＨＰＶのワクチンが浸透して、感染率が下がったところでＨＰＶの検査を行うということも一つの策であると思う。また、５年に１回受診の受診を徹底できるような体制を整えられるような対策に時間を割いてもよいのではないか。

　区からの回答
・区としては、まず直接塗沫法から液状化検体法へ検査を移行していかないといけないと認識をしている。今後どういった形で検査法を変えていけるかを検討し、当委員会でご報告させていただきたい。
・ＨＰＶのワクチン接種については、世田谷保健所感染症対策課を中心に引き続き勧奨を進めていく。

担当部課
世田谷保健所健康企画課