タイトル 令和8年度公金運用計画 (計画期間 令和8年6月から令和9年5月まで) 令和8年5月策定 作成所属 世田谷区会計室 目次 1.区を取り巻く経済・金融動向と公金運用計画の考え方 2.歳計現金等 (1)資金収支の見通し (2)歳計現金等の管理・運用 3.積立基金 (1)積立基金残高 (2)積立基金の管理・運用 (3)積立基金運用実績及び予測 内容 1.区を取り巻く経済・金融動向と公金運用計画の考え方 令和8年4月に発表された月例経済報告では、我が国の経済について、「景気は緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。」 と基調判断しており、今後は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響から、 金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要があるとしている。  金融情勢では、令和8年1月に公表された「経済・物価情勢の展望」によると、日本銀行は、物価の先行きについて、政府による物価高対策の効果もあり、 本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくものの、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続くと見込まれている。 景気の改善がみられる中、人手ぶそく感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が高まっていくことから、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な 水準で推移すると考えられる。こうした見通しを巡るリスク要因として、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、 金融・為替市場の動向などがあり、これらのわが国経済・物価への影響については、じゅうぶんに注視する必要がある。 財務省出典の資料を参考に、平成27年4月から令和7年4月までの金利状況(各月初日の数値)を折れ線グラフに表わしている。 一方、区の財政状況は、令和8年度予算において、歳入の根幹となる特別区税や特別区交付金について増収を見込むものの、ふるさと納税による流出見込額は 140億円にものぼる。さらに、歳出面では、本庁舎等整備や学校改築・改修などの公共施設整備費、障害者自立支援給付などの社会保障関連経費が増加しているほか、 げんかの物価・人件費だかもあり、今後の区の財政状況は決して楽観視できない。 また、国内外の経済・金融環境の変化等、先行きが不透明な中、健全で安定的な行財政運営が求められていることから、財政課とも連携を図り、中期財政見通しを踏まえ、 適切なリスク管理を行いながら、効率的な公金運用をおこなうことで積極的な税外収入の確保に努める。 2.歳計現金等 歳計現金等とは、一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険事業会計、保管金等歳入歳出外現金、高額療養費等資金貸付基金、 美術品、文学資料等取得基金、用地取得基金、以上の総額をいう。 (1)資金収支の見通し 令和8年度の資金収支の状況は、例年同様、特別区民税や国民健康保険料の収納時期により、年度当初から6月にかけて一時的に支払準備資金に余裕がない状況 が見込まれるが、納税・納入通知書発布以降は令和8年度賦課分の納入があることから、基本的には収入超の状況が続き、年度を通して収入が支出を上回る見通しである。 (2)歳計現金等の管理・運用 基本的方針 支払準備資金は指定金融機関の普通預金で管理する。 支払準備資金が不足する場合は、金額と期間を明確にした上で、くりかえ運用を行う。 支払準備資金が安定して確保されている場合は、定期性預金での運用を行う。 くりかえ運用とは、資金不足に対応するために、基金に属する現金を歳計現金等へ一時的に繰り替えて使用することをいう。 歳計現金等は、地方自治法第235 条の4 で、「最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない」と定められている。 日々の支払いに備えるための支払準備資金は、指定金融機関の普通預金で管理する。 歳計現金等全体で支払い準備資金が不足することが見込まれる場合は、金額と期間を考慮の上、積立基金からのくりかえ運用を行う。 くりかえ運用での対応も困難な場合には、起債の時期を前倒しするなど、臨機応変に対応していく。また、支払準備資金が比較的、安定して確保されている場合は、 安全性が確保できる金融機関において定期性預金で運用を行う。 3.積立基金 (1)積立基金残高 令和8年度末における積立基金残高は、約1,407 億円と見込んでいる。 ひょう1 積立基金の残高推移については、次のとおりである。     財政調整基金の令和8年度末見込みの残高は414億3千5百万円、令和7年度末見込みの残高は411億7千3百万円、令和6年度末現在高は420億3千5百万円、5年度末現在高は419億1千2百万円である。 減債基金の令和8年度末見込みの残高は41億6千5百万円、令和7年度末見込みの残高は41億4千万円、令和6年度末現在高は52億3百万円、令和5年度末現在高は64億9千百万円ある。 義務教育施設整備基金の令和8年度末見込みの残高は471億9千6百万円、令和7年度末見込みの残高は503億1千5百万円、令和6年度末現在高は413億9千8百万円、令和5年度末現在高は317億3千2百万円である。 庁舎等建設等基金の令和8年度末見込みの残高は179億8千8百万円、令和7年度末見込みの残高は237億1千5百万円、令和6年度末現在高は282億2千6百万円、令和5年度末現在高は301億1千百万円である。 都市整備基金の令和8年度末見込みの残高は77億1千5百万円、令和7年度末見込みの残高は99億3千7百万円、令和6年度末現在高は125億6千7百万円、令和5年度末現在高は124億8千6百万円である。 地域保健福祉等推進基金の令和8年度末見込みの残高は6億7千2百万円、令和7年度末見込みの残高は7億8千9百万円、令和6年度末現在高は9億3千6百万円、令和5年度末現在高は9億4千6百万円である。 みどりのトラスト基金の令和8年度末見込みの残高は100億5千8百万円、7年度末見込みの残高は112億7百万円、令和6年度末現在高は122億6千5百万円、令和5年度末現在高は122億3千9百万円である。 国際平和交流基金の令和8年度末見込みの残高は3億5千5百万円、7年度末見込みの残高は3億5千9百万円、令和6年度末現在高は3億5千7百万円、令和5年度末現在高は3億5千6百万円である。 住宅基金の令和8年度末見込みの残高は3億2千3百万円、7年度末見込みの残高は7億9千4百万円、令和6年度末現在高は13億7千万円、令和5年度末現在高は15億7百万円である。 文化振興基金の令和8年度末見込みの残高は6千7百万円、7年度末見込みの残高は5千7百万円、令和6年度末現在高は5千百万円、令和5年度末現在高は4千4百万円である。 子ども・若者基金の令和8年度末見込みの残高は4億5千4百万円、7年度末見込みの残高は3億8千6百万円、令和6年度末現在高は3億9百万円、令和5年度末現在高は2億2千3百万円である。 災害対策基金の令和8年度末見込みの残高は36億1千6百万円、7年度末見込みの残高は36億3千8百万円、令和6年度末現在高は28億6千万円、令和5年度末現在高は26億2千4百万円である。 児童養護施設退所者等奨学・自立支援基金の令和8年度末見込みの残高は3億8千4百万円、7年度末見込みの残高は3億5千8百万円、令和6年度末現在高は3億千8百万円、令和5年度末現在高は2億7千4百万円である。 スポーツ推進基金の令和8年度末見込みの残高は55億7千万円、7年度末見込みの残高は54億5千3百万円、令和6年度末現在高は54億2千百万円、令和5年度末現在高は52億2千8百万円である。 世田谷遊びと学びの教育基金の令和8年度末見込みの残高は2千2百万円、7年度末見込みの残高は2千5百万円、令和6年度末現在高は2千3百万円、令和5年度末現在高は2千2百万円である。 医療てきケア児の笑顔を支える基金の8年度末見込みの残高は6千9百万円、7年度末見込みの残高は8千4百万円、令和6年度末現在高は6千3百万円、令和5年度末現在高は4千2百万円である。 気候危機対策基金の8年度末見込みの残高は6億5千7百万円、7年度末見込みの残高は6億7千8百万円、令和6年度末現在高は6億9千8百万円、令和5年度末現在高は8億円である。 犯罪被害者等支援等基金の8年度末見込みの残高は2千8百万円、7年度末見込みの残高は3千万円である。 なお、計数については、百万円未満を四捨五入しているため、合計等と一致しない場合がある。 (2)積立基金の管理・運用 基本的方針 積立基金は、基金全体で一括管理・運用する。 資金の流動性を確保するため、普通及び定期性預金で「短期的な運用」を行う。 比較的高い利回りを確保できる債券で「中長期的な運用」を行う。 世田谷区中期財政見通し(令和8〜12年度)による基金の繰入や取り崩しの見通しを踏まえた運用を行う。 1これまでの基金運用の経過  区の積立基金の運用は、平成20年のリーマンショック以降、段階的に債券による運用を流動性に優れる預金にシフトさせてきた。 また、債券については、安全性が高く低金利の中でも比較的高い利回りが確保できる10年債や20年債の比率を高める運用を行ってきた。  令和5年度より、従来の運用に加え、各基金の設置目的と世田谷区中期財政見通しによる基金の繰入等の見通しを踏まえ、3から5年程度の債券による運用を開始した。 その結果、令和7年度末の積立基金は、おおよそ債券54%、預金46%の運用比率となっている。 2令和8年度の考え方 (1)基金の運用にあたっては、世田谷区公金管理方針及び世田谷区公金管理方針実施要領に基づき、効率性等の観点から、基金全体で一括管理・運用していく。 (2)資金の流動性(現金化の容易度)を確保した、1年以内の普通預金、定期預金での短期的運用と、国債、政府保証債、地方債、 財投機関債など安全性を重視しながら、比較的高い利回りを確保できる1年超の長期的な運用を 組み合わせた運用とする。 なお、元本保証がない株券等による運用は行わない。 (3)区は、平成20年のリーマンショックの際に、単年度で100億円を超える税収減に直面した。こうした経験を踏まえ、同規模の税収減が3年間継続しても、 区民サービス水準が維持できるように、流動性の高い預金を確保した上で、毎年度安定的に債券等償還額が確保できるように債券運用額を見直し、積極的な運用 を行っていく。 (4)各基金の設置目的と世田谷区中期財政見通し(令和8〜12年度)による基金の繰入等の見通しについて財政課と必要の都度、協議の上で運用を行う。 (5)環境改善や社会貢献等を資金使途とする債券(いわゆるESG債)について、令和7年度は債券運用額120億円のうち71%の割合で購入した。 引き続き安全性・効率性・運用利率も考慮しながら購入していく。 ひょう2は、積立基金の残高額である。見込み額を含む。 令和5年度は千4百70億円、令和6年度は千5百41億円、令和7年度は千5百31億円、令和8年度は千4百7億円、令和9年度は千4百23億円、 令和10年度は千3百48億円、令和11年度は千2百59億円、令和12年度は千百46億円である。 出典は、令和8年度当初予算概要である。 令和5年度、6年度は年度末残高、令和7年度は6次補正予算までの基金積立・繰入金を含んだ残高、令和8年度は当初予算における基金積立・繰入金を反映した残高見込み額、 令和9年度以降は中期財政見通しによる基金積立・繰入金を反映した残高見込み額である。 ひょう3は、令和8年4月時点での年度別債券満期償還額、予定額を含む。 令和7年度は90億円、令和8年度は90億円、令和9年度は80億円、令和10年度は235億円、令和11年度は100億円、令和12年度は92億円、令和13年度は0円、令和14年度は5億円、 令和15年度は20億円、令和16年度は21億円、令和17年度は9億円、令和18年度は36億円、令和19年度は60億円、令和20年度は41億円、令和21年度は34億円、令和22年度は4億円 である。 毎年度安定した債券償還額を確保するため、見込み額を含む基金残高や世田谷区中期財政見通し(令和8〜12年度)を踏まえながら債券運用がくを見直す。 ひょう4 運用可能がくの試算 運用可能額の試算について、令和8年度末の基金総額見込みは1407億7千4百万円(A)である。 流動性が高い預金等で保有する額は、450億5千1百万円(B)である。 これは財政調整基金414億3千5百万円と災害対策基金36億千6百万円を足したがくで、令和7年度財政調整基金の一部30億円を債券で運用し、 令和8年度も同様30額円の運用をおこなう(C)。 一時的なくりかえ運用等は10億円(D)である。 令和7年度末の債券運用がくは887億8百万円(E)である。 令和8年度に債券運用が可能ながくは、90億千5百万円である。 この運用計画による年間の基金利子収入額は約1億4千9百万円と試算し、令和8年度においては、半期分の約7千4百万円を見込んでいる。 試算額の内訳は、債券運用可能額、約60億円かける国債5年債、令和8年4月1日時点の利率の1.75%イコール1億5百万円と、 30億円かける国債3年債、令和8年4月1日時点の利率1.47%イコール4千4百万円を足したものである。 なお、あくまでも試算額であり、積立基金残高の変更に伴い、債券運用可能がくが増減する場合がある。 (3)積立基金運用実績及び予測 令和7年度の利子収入額は、運用資金がほぼ同額ではあるものの、政策金利の利上げ等に伴い、預金運用の利子収入がく、債券運用の利子収入がくは ともに増加し、ひょう5のとおり令和6年度を4億4千7百万円上回る9億千百万円確保した。 ひょう5 積立基金の運用実績 基金運用全体の7年度の平均利回りは0.56%で、6年度の0.29%と比べると、0.27ポイント増加した。 基金運用全体の7年度の利子収入額は911,425,533円で、6年度の464,401,940円と比べると、447,023,593円増加した。 内訳として、債券運用の7年度の平均運用割合は54.39%で、6年度の48.58%と比べると、5.81ポイント増加、 7年度の平均利回りは0.57%で、6年度の0.50%と、比べると0.07ポイント増加した。 債券運用の7年度の利子収入は504,352,881円で、6年度の384,215,737円と比べると、120,137,144円増加した。 預金運用の7年度の平均運用割合は45.61%で、6年度の51.42%と比べるとマイナス5.81ポイント減少、 7年度の平均利回りは0.54%で、6年度の0.10%と比べると0.44ポイント増加。 預金運用の7年度の利子収入は407,072,652円で、6年度の80,186,203円と比べると、326,886,449円増加した。 くりかえ運用の7年度の利子収入は0円で、くりかえ運用の実施が令和6年度はなかったことにより増減なしだった。 ひょう6 積立基金利子収入 令和8年度予測がくは、11億6千7百万円、令和7年度実績がくは、9億千百万円、令和6年度実績がくは、4億6千4百万円、 なお、令和8年度の予測がくは、令和7年3月31日現在保有の債券年間利子収入がくと、定期性預金の満期時の利子収入がくを合算した。 参考 積立基金運用実績(過去5年分) 令和7年度の利子収入額は911,425,533円、平均利回りは0.56%である。 令和6年度の利子収入額は464,401,940円、平均利回りは0.29%である。 令和5年度の利子収入額は288,573,389円、平均利回りは0.18%である。 令和4年度の利子収入額は252,460,008円、平均利回りは0.19%である。 令和3年度の利子収入額は244,147,276円、平均利回りは0.20%である。 参考 積立基金金融機関種別預金内訳(令和8年3月末日現在) 都市銀行の預金額は、216億7百万円、預金額全体に占める割合は28.2%である。 信用金庫の預金額は、150億円、預金額全体に占める割合は19.6%である。 農協系金融機関の預金額は、70億円、預金額全体に占める割合は9.1%である。 信託銀行の預金額は120億円、預金額全体に占める割合は15.7%である。 地方銀行等の預金額は210億円、預金額全体に占める割合は27.4%である。 参考 積立基金債券種類別内訳(令和8年3月末日現在) 政府保証債、独立行政法人の運用がくは、9億9千9百万円 債券運用がく合計に占める割合は、1.1%である。 財投機関債、政策金融機関の運用がくは、229億円 債券運用がく合計に占める割合は、25.8%である。 財投機関債、地方共同法人の運用がくは、70億円 債券運用がく合計に占める割合は、7.9%である。 財投機関債、独立行政法人の運用がくは、140億8千5百万円 債券運用がく合計に占める割合は、15.9%である。 財投機関債、高速道路株式会社の運用がくは、239億円 債券運用がく合計に占める割合は、26.9%である。 地方債、住宅供給公社の運用がくは、111億円 債券運用がく合計に占める割合は、12.6%である。 地方債、地方公共団体の運用がくは、87億2千4百万円 債券運用がく合計に占める割合は、9.8%である。