せたがや自治政策研究所Newsletter 2025年12月号 No56 詳細は次ページ せたがや版データアカデミーの様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・表紙 せたがや版データアカデミーの報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 社会調査マスターへの道《質的調査編》 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 シンクタンク交流会の報告ほか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 研究活動報告会告知ほか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 『都市社会研究』の特集テーマについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 せたがや版データアカデミーの報告(全5回のうち1〜2回まで) 研究員内海大輔 【PPDACサイクルとは】 PPDACは、データ利活用を進めるためのフレームワークで、以下の5つのプロセスで構成されています。 1.Problem(問題発見) 2.Plan(仮説設定・調査計画) 3.Data(データ収集・整理) 4.Analysis(分析) 5.Conclusion(考察・結論) 【Problem(問題発見)】 現状を分析し、解決すべき問題を明確にします。 目的と目標を定量的な指標で確認し、目標と現状のギャップから問題を具体化します。 目的→マッチョになりたい 目標→腕回り太さ40cm(マッチョの基準) 現状→腕回り38cm 問題→腕回りが2cm足りない(NOTマッチョ) 【Plan(仮説設定・調査計画)】 問題の原因となる仮説を立て、仮説を検証するために必要なデータを考えます。 仮説に対して施策を投じても効果があるかは不明なので、データを用いて検証することが重要です。 仮説→タンパク質が足りていない データ→1日のたんぱく質摂取量 ※その他のプロセスについては今後の講義をご参照ください。 ●おわりに 今回ご紹介した内容以外にも、「データの在りか」や「データの種類」などについても講義で扱っています。気になる方は、当日の様子を録画しておりますので、ぜひご覧ください。 また、せたアカは毎年度開催予定です。ご興味のある方は、ぜひ次年度の参加をご検討ください! 新しい施策や事業を導入したいとき、みなさんはどのように上司に説明していますか? 「効果がありそうだからやってみましょう!」「隣の区もやってるので、うちもやってみましょう!」 …そんなふうに、思いつきで提案していませんか? そしてその施策、本当に効果がありましたか?もしかして、やりっぱなしで振り返りをしていないのでは? ちょっと怖いことを言ってしまいましたが、こんなふうに考えてみてください。もし上司に対して、 「この事業は、〇〇というエビデンスに基づいて効果があると確認されています。導入に向けてロジックモデルも作成しましたので、ご覧ください!」「この事業を導入した結果、〇〇のデータと△△のデータを組み合わせると、こんな成果が得られました。これは□□ということを示しています!」 …と説明できたら、すごくかっこよくないですか?そうなんです。 思いつきよりも、データに基づいて行動する方が、かっこいいんです!(筆者の意見) そんなときに役立つ考え方がEBPM(Evidence Based Policy Making)。そして、世田谷区ではこのEBPMを学べる「せたがや版データアカデミー(以下、せたアカ)」を開催しています!(今年度は全5回) 。ここでは、第1回?第2回までの講義内容をご紹介します。(資料や当日の様子はコチラ) ●第1回せたアカ(EBPM、ロジックモデル) 【概要】 EBPMの概要と必要性を学び、政策形成のツールとして「ロジックモデル」の作成方法を学習しました。 【EBPMとは】 EBPMとは、政策をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確にしたうえで、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画・立案する考え方です(内閣HP)。 つまり、社会課題の解決に向けて、感覚や思い込みではなく、信頼できるデータや事実に基づいてより良い政策を考える取り組みです。政策効果の検証・評価の必要性が高まる中、EBPMの価値はますます重要になっています。 【ロジックモデルとは】 ロジックモデルは、政策の実施から目的達成までの論理的な因果関係を図式化したものです。政策課題を根拠に基づいて論理的に整理することで、ロジックの弱い部分を補強し、実現性の高い政策立案に役立ちます。 ●第2回せたアカ(PPDACサイクル、Problem・Plan) 【概要】 EBPMの考え方に基づいたフレームワーク「PPDACサイクル」を学び、その中の「Problem(問題発見)」と「Plan(仮説設定・調査計画)」のプロセスを演習を通じて学習しました。 [文献] 文部科学省,2023,『ロジックモデル作成マニュアル』, https://www.mext.go.jp/content/20230410-mxt_kanseisk01-100000155-3.pdf(2025.8.21参照) 第2回「『惑いの森』と『問い』」 社会調査マスターへの道《質的調査編》特別研究員鈴木颯太 前回は質的データや質的調査の特徴を確認しました。今回は、質的調査を実施していくにあたり重要になる「問い」について考えてみたいと思います。 さて、私たちは何らかの対象を探究していると、次第に自分の目に映る世界の姿が変わっていくような経験をすることがあります。 「これって、そういうことだったのか!」 「だとしたら……これについても確認しないと」 「あっちも見てみないと」 このように、普段気にも留めなかった事実に関心を持ち始めることで、日常的な世界が未知なる事実があふれる「惑いの森」へと変貌することがあります。知れば知るほど、調べた方がよさそうなことがどんどん増えていく。こんな経験、みなさんにもあるのではないでしょうか。とりわけ、予期しない出来事やデータと遭遇しがちな質的な調査では、往々にしてみられる現象かと思います。 ところが、探求の歩みを進めるたびに現れるこれらの未知なる事実に振り回されすぎると、肝心なことが忘れ去られてしまいます。それは、「自分はこの調査でそもそも何をしようとしていたのだっけ」という、元も子もない疑問とともに現れる調査研究の目的です。調査する者は、ときにこの「惑いの森」の遭難者となってしまいます(私は何度遭難したことか!)。調査する者にとって大事な原動力と実りを提供してくれるこの森からも、いずれどこかで脱出しなければなりません。 この「惑いの森」から収穫物を持ち帰り、最終的に業務に落とし込んでいくために必要な作業こそ、「問い」の設定です。この自分で立てた問いに、自分で答える。まさしく自問自答のプロセスが、調査の道筋となるのです。 それではこの「問い」はいかに設定すべきなのでしょうか?これについては調査を開始した際に抱いていた、素朴な感情をもとにするとよいと思いますが、よく言われる5W1Hのオープン・クエスチョンの形にしていくのがおすすめです。例えば、「誰が〇〇公園を多く利用しているのか?」、「地域で行われている△△というイベントはいつから始まったのか?」のような形でしょうか。 もちろん、場合によってはそのきっかけが疑問文の形で現れないこともあるかもしれません。たとえば、「??地区の町会活動に活気があるのは、まちづくりセンターの活動スペースが有効に利用されているからではないか」といった、思いつきから調査が始まるかもしれません。こうした場合も、「なぜ▽▽地区の町会活動は盛んなのか?」、「まちづくりセンターの活動スペースはどのように利用されているのか?」といったように、いったん開かれた「問い」の形に直していくとよいでしょう。 また、調査研究を進めていく過程でより良い「問い」が見つかることもよくあることです。可能であれば、その「問い」自体を修正していくのもよいでしょう。 大事なのは、常に関心を「問い」という目に見える形で手元に置いておくことです。「問い」というのは不思議なもので、そこにあるだけで答えたくなる存在です。この「問い」が私たちを“答える”という作業へと方向づけてくれます。この「問い」に答えられたときこそが、「惑いの森」から脱出できたときにほかなりません。「問い」はいわばこの「惑いの森」を通り抜けるためのお守りです。おびただしいデータの中から有用なものを選び出し、業務につなげていくためにも、常に身に付けておきたいものですね。 自治体シンクタンク研究交流会議報告in熊本 次長大谷昇主任研究員堀江博昭研究員戸畑粧子 先日11/6(木)〜11/7(金)に熊本市で開催された「自治体シンクタンク研究交流会議」に大谷・堀江・戸畑の3名で参加しました。この会議は、全国各地の自治体シンクタンク関係者が集まり、共通課題等の議論を通じてネットワークを形成することを目的にしており、今回の大会では13団体(全26名)と交流することができました。 今年のテーマは『ロジックモデルの導入と実践における自治体シンクタンクの役割』で、1日目の基調講演では、(株)日本総合研究所理事の山田英司氏から「EMPM推進・ロジックモデル導入における自治体シンクタンクの役割」を講演いただき、各自治体で広がりを見せている基本計画におけるEBPMの導入や、官民連携の共通言語となるロジックモデルの策定に際し、自治体シンクタンクには「中立性」が必要であることを再認識しました。 また、2日間に掛けて行われたワークショップでは それぞれのテーマについて、参加者同士でロジックモ デルを作成し、発表を行いました。 自治体シンクタンク職員同士の率直な意見交換の場 となり、大変有意義な時間となりました。 全国の自治体シンクタンク関係者と交流する機会や 取り組みを対面で共有する機会は限られているため、 他自治体の取り組みを知ることのできる貴重な機会 となりました。 せたがや自治政策研究所ライブラリーを公開しました! 研究員内海大輔 せた研では、行政職員の業務に役立つ書籍を収集・購入し、研究に活用しています。これらの蔵書は庁内職員に貸し出しており、このたび、Power Appsを用いた蔵書貸出システムを公開しました! このシステムは、蔵書の一覧をより視覚的に確認できるだけでなく、メールや電話をすることなくせた研の蔵書を借りることができます。 どうぞ皆さんご活用ください! 500冊以上の蔵書を保管! シンプルなUIにより直感的 に操作が可能! 令和7年度せたがや自治政策研究所研究活動報告令和8年1月20日(火)13:30〜17:00@教育総合センター お申込みはこちらをクリック! (一般の方もお申込みいただけます) せた研ゼミを開催します!(庁内職員用) テーマ ゼロから始める統計分析〜クロス集計とその結果の分析方法〜 日時 令和7年12月1日(月)13時30分〜17時00分 講師 西田祐志郎(せたがや自治政策研究所研究員) 『都市社会研究』の特集テーマについて せたがや自治政策研究所では、学術的な発信や政策 形成の基盤づくりを目的として、学術機関誌『都市社 会研究』を毎年刊行しています。各号では、所内の研 究内容やその時々の社会現象に沿った特集テーマを設 定し、専門分野の有識者にご執筆をお願いしています。 特集テーマは、研究所と編集委員会で毎年決定して いますが、庁内の関心やニーズを把握し、今後のテー マ選定に活かしたいと考えています。そこで今回、 『都市社会研究』の特集テーマに関するご意見を募集 します! みなさんが考える「都市社会研究で取り上げたい特 集テーマ」をぜひお聞かせください。 【参考】これまでの特集テーマ NO.1 都市社会における自治と協働 NO.2 地域資源の発見と活用 NO.3 新しい公共性と市民の役割――都市型ガバナンスの探求―― NO.4 超高齢少子社会の家族と地域 (緊急特集)東日本大震災と復興活動をめぐる諸問題 NO.5 今後の基礎的自治体のあり方と役割――基本構想の策定に向けて―― NO.6 地域活性化と大学 NO.7 次世代に配慮した地域環境の創造――循環型社会の実現に向けて―― NO.8 人口減少社会における大都市と地方 NO.9 現代都市における家族の困難 NO.10 ダイバーシティと共生社会 NO.11 参加型行政の歩みとまちづくり NO.12 住宅都市のデザインと環境 NO.13 これからの自治体経営とプラットフォームの構築 NO.14 都市とレジリエンス――コロナ禍の市民生活 NO.15 EBPMと自治体計画 NO.16 現代都市における孤独・孤立と居場所・つながり NO.17 シビックプライドとまちづくり 回答はコチラ