令和6年度世田谷区環境マネジメントシステム「エコステップせたがや」環境監査の結果について 1 目的、範囲及び実施概要 世田谷区環境マネジメントシステム「エコステップせたがや」が適切に運用されているかどうかを判定するとともに、システムが有効に機能しているかを検証するため、書類監査(44課及び全小・中学校、幼稚園)、現場監査(8課、2校)による環境監査を実施した。 2 環境監査内容 書類監査(令和6年5月から8月) 3から4年に1回の周期を目安として選定した44課の取組みについて、「事前調査票」に基づき書類監査を実施した。小・中学校、幼稚園は既存の報告書等で確認を行った。 令和5年及び6年度の行動計画の推進(エネルギー使用量・コピー用紙の削減等)、職場の行動計画や研修内容等の職員への周知、省エネルギーの推進、環境関連法令の遵守、所管施設における省エネルギーの推進状況や指定管理者等との連携等について状況の確認を行った。 各職場で概ね適切に実施されていることを確認した。区長部局等では、省エネ行動について約73%の職場が計画目標を達成し、コピー用紙の削減について、約64%の職場が計画目標を達成した。特に、dx化の推進等によりペーパーレス化が進み、コピー用紙の削減率が例年より大きく、前年度比で約20%から50%減の職場が11部署存在した。 現場監査(令和6年9〜10月) 8課及び2校を対象に、課長・係長による5組の監査チームが、環境活動責任者(課長)、環境マネージャー(庶務担当係長等)、施設環境マネージャー(校長)等に対して実施した。 令和6年度の取組み方針(@区施設全体の省エネルギー及びエネルギーの脱炭素化の推進による温室効果ガス削減 A区役所全体のコピー用紙の削減 Bその他の全庁的に実施する取組み:区民利用施設や学校等の公共施設における省エネルギー対策の徹底、事業構築・計画策定における脱炭素の推進、区主催のイベント等の実施に伴う温室効果ガス排出等の削減、環境関連法令の遵守徹底)に基づき、被監査部署へのヒアリング等を実施した。 概ね適切に実施されていることを確認した。 3 現場監査での確認事項 令和6年度現場監査対象(10部署) 玉川総合支所 生活支援課、砧総合支所 生活支援課、広報広聴課、事業課、子ども・若者支援課、健康企画課、防災街づくり課、工事第一課、東深沢小学校、瀬田中学校 優良事項:4部署、観察事項:3部署、改善事項:0部署 優良事項(4部署、以下抜粋) 区長部局等の優良事項 事務用パソコンのコンセントに職員の名札を設置し、不要な電源コードを抜いている。 最終退庁者による電源類の切り忘れ防止のため、執務室の扉に確認項目を掲示している。 チームスやモニターを活用した会議資料のペーパーレス化の徹底 簡易決裁の文書管理システムによる電子決裁化 学校の優良事項 体育館の天井への遮熱シートの施工 体育館利用について、夏季は気温の低い午前中に事業を行う等の工夫をしている。 観察事項(3部署) マニフェストの照合確認欄の記載漏れ(3部署) 毒物劇物保管庫の一部施錠漏れ 改善事項(0部署) 改善事項の指摘はなかった。 提案事項(監査チームから対象部署・事務局への提案等9部署、以下抜粋) 退庁時のパソコンの個別スイッチ付電源タップやOA機器等のスイッチオフを継続し、実施状況を課内周知することで、職員の意識醸成を図っている。今後も取組みを推進してほしい。 児童が不在の教室で教諭のみが事務作業等を行う場合は、教室の照明を消灯し、卓上ライトを活用するなど、節電の工夫を提案 省エネルギーの取組みについて、目標値の具体的な設定や取組みの向上につながるため、実施状況の確認や数値による管理を行うよう提案 執務室が異なる場所に分かれていることから、それぞれ別の行動計画を作成している課について、各々の行動計画の良い取組みを取り入れるよう提案 コピー用紙の使用枚数を維持するという行動計画目標に対して、職員への意識づけの取組みを 十分行っていることから、削減目標にするよう提案 コピー用紙削減について、複合機に目標や月々の達成状況を掲示するなど、職員への啓発の取組みを行うよう提案 監査対象部署で実施されていた以下の取組みを良い取組みであると伝達した。 「四半期毎の行動計画チェック表を用いた達成状況確認による環境配慮行動への意識醸成」 「執務室に温湿度計を設置し空調の温度設定に活用」 「個別スイッチ付電源タップを設置しパソコンの電源を切ることを徹底」 「テレビ型モニター導入によるペーパーレス化・コピー用紙削減」 「コピー用紙購入枚数を毎月確認し、前年度比で増加している場合は課内職員へ周知し削減への意識づけを行っている」 委託事業者の報告書に対応策が掲載されているため環境事故への対応手順を整備していない課に対し、整備するよう提案した。 4 監査結果総括 「エコステップせたがや」は運用開始から12年目を迎え、各職場での取組みが定着しており、各課・学校等で概ね適切に取り組まれていた。 これまで優良取組み事例として紹介してきた各取組みが実践されており、「エコステップせたがや」が十分に浸透してきていると判断することができる。 取組みごとの結果として、省エネルギーについては、各職場・施設で省エネルギー行動や設備の運用改善が実施されていた。全校の体育館・格技室への空調設備の設置や感染症対策として換気を行いながらの空調使用等、学校のエネルギー使用量を削減しにくい要因があるが、現場監査対象の学校では、「体育館の天井への遮熱シートの施工」「体育館利用について、夏季は気温の低い午前中に事業を行う」といったハード・ソフト両面における対策が実施されていた。このような公共施設のエネルギーの利用のあり方を含めた省エネルギーの徹底について周知し、取組みを推進する。 コピー用紙の削減については、会議資料のペーパーレス化やチームスの活用、行政手続きのオンライン化など、dx推進方針に基づく取組みが実施されている職場が多く見られ、コピー用紙の大幅な削減につながっていた。また、学校におけるタブレット端末や学校緊急連絡情報配信サービス(すぐーる)の活用等が実施され、区全体でペーパーレス化が推進されている。今後も、区役所全体の一層の取組みにより、電子化・ペーパーレス化を促進する。 環境関連法令の遵守については、概ね適切に実施されていたものの、廃棄物処理法等に関する観察事項がみられた。このため、今後も、法令に関する研修を実施するとともに、事務説明会や研修等において、一層の周知啓発を行う。 5 課題・今後の取組み (1)温室効果ガス排出量の削減のため、ハード・ソフト両面において「エネルギーの脱炭素化」及び「省エネルギー化」を進める。 @エネルギーの脱炭素化 電力契約における再生可能エネルギー電力の調達等を進める。 A公共建築物のゼブ化、省エネ化 新築・改築・大規模な改修における公共建築物のゼブ化、改修における省エネ化を進める。 B区民利用施設や学校等の公共施設における省エネルギー対策の徹底 区民利用施設では区民が個別に空調温度の設定を行う会議室等があり、全体空調でも区民が快適に感じる空調温度設定になりやすい。また、学校では全校の体育館・格技室への空調設備の設置や感染症対策として換気を行いながらの空調使用等、どちらもエネルギー使用量を削減しにくい要因がある。 今回の内部環境監査では、書類監査において、所管する区民利用施設で、区民へ省エネ行動を呼びかけ、照明OFF・空調の設定温度調整を依頼している部署や、指定管理者等と連携し、設備の運用改善に継続的に取組む部署が見られた。 学校においても、「体育館の天井への遮熱シートの施工」「体育館利用について、夏季は気温の低い午前中に事業を行う」といったハード・ソフト両面における対策が実施されていた。区民や児童・生徒の体調に配慮しつつ、このような公共施設のエネルギーの利用のあり方を含めた省エネルギーの徹底について周知し、取組みを推進する。 C各職場での省エネルギー行動の一層の推進 引き続き、各職場で省エネルギー行動計画を策定・実践する。原則、行動目標の設定を数値化し、客観的な評価につなげていく。 (2)コピー用紙購入枚数の削減 @DX推進方針に基づく取組み 行政手続きのオンライン化拡充や新事務用パソコン・Teamsによるペーパーレス化など、DX推進方針に基づく取組みを一層推進する。 A学校におけるペーパーレス化の推進 タブレット端末やすぐーる等を活用した学校におけるペーパーレス化の取組みを引き続き進める。 B優良取組み事例等の周知 チームスの活用によるペーパーレス化や簡易決裁の電子化等、優良取組み事例や優良事項の削減ノウハウを周知する。 C各職場におけるコピー用紙削減行動計画の推進 引き続き、各職場でコピー用紙削減行動計画を策定・実践する。原則、行動目標の設定を数値化し、客観的な評価につなげていく。 (3)環境関連法令の一層の遵守徹底 事務局は研修の実施や情報発信を行うなかで、引き続き環境関連法令の遵守徹底を促進していく。