表面 時間を旅する風景街歩きシリーズ 風景PRESS 04  街並みを演出する 街路樹めぐり 表面の写真1 ハナミズキの街路樹の風景 街路樹マメ知識 豆知識1 並木道と街路樹 わが国における並木道に関する記録は、奈良時代まで遡ります。その後も並木道の歴史は途絶えることなく、徳川家康の街道整備に際してもマツやスギが植えられ、浮世絵の風景には欠かせない要素となっています。また、寺社参道の並木も古来より受け継ぐ風景で、江戸時代の天保年間に刊行された「江戸名所図会」にも、豪徳寺や慶元寺・氷川神社周辺の並木道が描かれています。 表面の写真2 豪徳寺伽藍(がらん)図(「江戸名所図会」より) 市街地の街路に植栽する「近代街路樹」は、幕末の開国以降に導入され、都内では銀座など都心部から郊外に広がりました。中でも、イチョウは防火機能と黄葉の美しさから数多く植えられ、昭和41年に都民投票で選ばれた「東京都の木」がイチョウであるのも、街路樹としての親近感によるものでしょう。ちなみに、平成元年に選定された東京都のシンボルマークも、イチョウの葉がモチーフ、のような気もしますが、、、。 表面のイラスト1 東京都のシンボルマークとイチョウの葉のイラスト 豆知識2 世田谷の街路樹 世田谷区内の幹線道路の整備は昭和30年代以降で、街路樹の整備も都心部より遅れました。一方で、大正から昭和初期に開発された新町(桜新町)、左内町(さないちょう)(上北沢)、成城学園などの分譲地では、サクラを中心に多くの樹木が生活道路に植栽され、幹線道路とは一味違う街路樹の風景を見ることができます。 表面の写真3 左内町(さないちょう)(上北沢)のサクラ 現在では、区内の国道や主な都道の他、幅員の広い区道においても計画的に街路樹が整備されています。平成28年の調査では、区内の街路樹(高木)は2万5千本余りで、うち約1万9千本が区道にあります。最も本数が多いのはハナミズキの約3千本で、区道がその85%を占めます。国道では246号のイチョウ、20号のケヤキが主な樹種となっており、都道の本数No.1は意外にもイチョウではなく、フウ。ところが、区道にはフウの街路樹はありません。街路樹は、道路や歩道の幅員に応じて、樹種を選ぶことが必要なのです。 なお、10年前の調査と比べると、ケヤキ、イチョウの本数は微増でしたが、ハナミズキは約700本増加しています。街路樹の優等生、ハナミズキの躍進が今後も続くかもしれません。 表面の表1 世田谷区の街路樹(高木) 平成28年度世田谷区みどりの資源調査 全体 25,252本 区道で多い種類 ハナミズキ 2,974本 国道で多い種類 イチョウ、ケヤキ 3,595本 都道で多い種類 フウ 2,094本 豆知識3 風景と街路樹 並木道の時代から今日まで、街路樹は長い時間をかけて風景に溶け込んできました。世田谷区民にとっても、街路樹が身近な風景であることを示すデータがあります。昭和59年に選定された「せたがや百景」には、「並木道」の風景が16景選ばれています。また、現在までに86ケ所選定された「地域風景資産」にも、14景の並木道が含まれています。並木道や街路樹は、見慣れた風景であるとともに、多くの区民にとって大切な風景であるに違いありません。 STYDY 学ぶ・深める 街路樹の効用 何気なく道沿いにある街路樹。その街路樹には、 様々な効用があります。 日々の潤い 私たちに四季の移ろいを伝え、安らぎや潤いを与えてくれる効果があります。また、夏の日差しを遮り、ドライバーの視線を誘導する効果があります。 生きものの生息環境 街路樹は、生きものの大切な生息空間になっています。また、街路樹があることで、世田谷のみどりがつながり、生きものの移動経路がつくられ、多様な生態系の形成に寄与しています。 表面のイラスト2 樹木は、木陰をつくり、生きものの生息空間移動経路となり、排ガス、騒音を抑えることを描いたイラスト 防災・減災 災害時には、街路樹のある道路は避難経路になります。阪神淡路大震災時には、倒壊した家屋を街路樹が支え、避難空間を確保した例もありました。 表面のイラスト3 倒壊した家屋を支えることを描いたイラスト 以下の予告をしました いろまちあるき 〜街の色って何だろう〜 たくさんのご参加、 おまちしております! 成城から国分寺崖線周辺を中心に、建物や公共物、みどりなどの街を彩る「色」に着目しなが ら、色彩の専門家と一緒にまち歩きをします。 講師 田邊 学氏(株式会社カラープランニングセンター代表取締役) 日時 2018年10月28日 日曜日 午前9時30分から正午(小雨決行) 場所 小田急小田原線成城学園前駅西口から国分寺崖線から成城学園前駅 対象 区内在住・在勤・在学(小学生以上、3km程度のまち歩きができる方) お申し込み 9月25日 火曜日から 10月15日 月曜日 せたがやコールへ(抽選20名) 電話03-5432-3333 ファクシミリ03-5432-3100 (年中無休、午前8時から午後9時) お問い合わせ 世田谷区都市デザイン課  電話03-5432-2039 ファクシミリ 03-5432-3084 ご報告 せたがや地域風景資産 クイズラリー2018 たくさんのご応募、ありがとうございました 2018年3月1日から5月31日まで「素敵な風景をめぐろう〜せたがや地域風景資産クイズラリー2018」を開催しました。幅広い世代の方々に区内にある地域風景資産を訪れていただき、合計110件のご応募をいただきました。 中面 街並みの雰囲気の違いを楽しみながら、街路樹めぐりをしよう! 街路樹とは、街路(市街地の道路)に沿って植えられた樹木のことです。 どんな種類があるか、ご存知ですか。 道路脇に植えられるので、環境に強く、車の走行を損なわないなどの条件をクリアした上に、まちを魅力的にしてくれる樹種が選ばれています。樹種の違いにより、まちの雰囲気は変化します。その違いを楽しみながら、街路樹めぐりをしてみませんか。 よく見かける5大街路樹はこれだ! 1 四季を満喫できる サクラ 街の中で季節の移ろいを感じさせてくれるサクラ。一本でも目を引きますが、並木の魅力は特別です。西用賀通りでは、まっすぐな道に沿って約1.6kmの並木が続きます。 中面のイラスト1 桜の並木と葉 中面の写真1 西用賀通りのサクラ 2 街路樹の優等生 ハナミズキ 春には花が楽しめ、夏には木陰をつくり、樹形にクセがないなどが優等生の理由です。二子玉川駅前に植樹されてから、おしゃれな木として広まっています。 中面のイラスト2 ハナミズキの並木と葉 中面の写真2 花みず木通り(東急砧線跡)のハナミズキ 3 天空のみどりのトンネル ケヤキ 高木が続く甲州街道のケヤキ並木。昭和39年の東京オリンピック時に整備されました。みどりのトンネルが続き、都会のオアシスになっています。 中面のイラスト3 ケヤキの並木と葉 中面の写真3 甲州街道のケヤキ 4 風格をつくる王様 イチョウ まっすぐな幹と三角形に広がる枝ぶりが、風格ある街並みをつくります。 都内では青山の絵画館前が有名ですが、区内でも美しいイチョウ並木を見ることができます。 成城学園前のイチョウは、成城学園の学生と住民の手によって植樹されました。 中面のイラスト4 イチョウの並木と葉 中面の写真4 成城学園前のイチョウ 5 大通りの緩衝帯 フウ 区内では、環八通り、世田谷通りなどの交通量の多い通り沿いに植えられています。粉塵や騒音を軽減する役割を担う、縁の下の力持ちです。 中面のイラスト5 フウの並木と葉 中面の写真5 環八通りのフウ 街路樹を守り育てる活動 区内各地で、街路樹を守り育てる活動が行われています。 ここでは、地域風景資産の中から、3つの活動をご紹介します。 6 成城の桜並木といちょう並木(成城六丁目) 小学生や成城大学卒業生、町会が一緒に落葉掃きをしたり、伐採の要望がでた際には行政と相談して対応するなど、多岐にわたる活動に取り組んでいます。 中面の写真6 落ち葉掃きをしている様子 7 旧・新町住宅地の桜並木(深沢八丁目、斬町一丁目) 分譲住宅地として発展してきた歴史を大亭にしながら、まち歩きや清掃活動などを行っています。 中面の写真7 街路樹を観察している様子 8 季節の野草に出会う(船橋三丁目) ここも街路樹? 四季の草花が咲く土の小径を、地域の人々が手入れしています。 道路に位置付けられている場所なので、ここの樹木ももちろん街路樹です。 中面の写真8 植物を手入れしている様子 落ち葉ひろいリレ一 「みどりの恵みに感謝の気持ちを込めて」をテーマに、各地の落ち葉ひろい情報を集め広くPRしています。2018年度も、上記2箇所をはじめ6箇所の街路樹での活動が「落ち葉ひろいリレー」に参加します。 中面の写真9 落ち葉ひろいリレーのチラシ こんな街路樹もあるよ 9 おとぎの国に来たみたい カツラ 丸いシルエットの樹形や丸みをおびた葉っぱが、可愛らしい雰囲気をつくります。紅葉の時期にはキャラメルのような甘い香りに包まれ、可愛らしい雰囲気が一層増します。 中面の写真10 船橋五丁目のカツラ 10 個性的で目立ちます サルスベリ 幹がねじれ、ツルツルした触り心地が特徴。初夏には濃いピンクや白の花が咲き、目を引きます。別名「百日紅(ひゃくじつこう)」と言われるとおり、長い間花のある風景を楽しめます。 中面の写真11 芦花公園駅前から続く千歳通りのサルスベリ 中面の地図1 街路樹のある風景マップ(せたがや百景16景、地域風景資産14景を記載) せたがや百景16景 羽根木神社の参道 北沢川緑道桜並木と代沢の桜祭り 太子堂圓泉寺とけやき並木 上北沢の桜並木 日大文理学部の桜 松原のミニいちょう並木 北沢川緑道ユリの木公園 馬事公苑界わい 谷沢川桜と柳の堤 桜並木の呑川と緑道 田園調布のいちょう並木 成城の桜並木 成城学園前のいちょう並木 成城3丁目桜ともみじの並木 はなみずき並木の二子玉川界わい 多摩川土手の桜 地域風景資産14景 上北沢駅前の桜並木 豪徳寺参道の松並木 世田谷区庁舎のケヤキ並木が作る広場の風景 呑川親水公園 旧・新町住宅地の桜並木 谷沢川の桜並木 都立園芸高校の並木とみどり空間 四季の移ろいに心ときめく安らぎの道「櫻並木と呑川緑道公園」 九品仏浄真寺脇(南側)のクロマツの並木 季節の野草に出会う小径 成城の桜並木といちょう並木 成城3丁目の桜と紅葉の並木 仙川・川面に映る桜並木道(打越橋〜石井戸橋) 喜多見・歴史の道〜慶元寺・氷川神社界わい 地図上には、これまで紹介した1から10の場所も記しています。 発行 世田谷区都市整備政策部都市デザイン課 〒154-8504 世田谷区世田谷4-21-27 電話 03-5432-2039 ファクシミリ 03-5432-3084 ホームページ風景プレス 検索 時間を旅する風景街歩きシリーズ 風景PRESS 04 平成30(2018)年9月 第59号