世田谷区都市整備方針(世田谷区の都市計画に関する基本的な方針) 第二部、地域整備方針、後期 令和7年(2025年)7月 世田谷区 ここからは、「第3章 玉川地域」になります。 第3章 玉川地域 ローマ数字のT.玉川地域の概況とまちづくりの主な課題 1.概況 (1)地域のなりたち 本地域は区の南東部に位置し、面積は区内5地域の中で最も広いエリアです。地域には玉川通り(国道246号)、目黒通り、環状8号線の幹線道路が通っています。鉄道は、田園都市線、大井町線、東横線、目黒線の各路線が通っており、二子玉川、用賀、等々力などの各駅を起点とするバス交通網とあわせて、地域の公共交通サービスを担っています。 大正から昭和にかけて、民間による宅地開発や玉川全円耕地整理事業などが行われたことで、地域の大部分で都市基盤が整い、都市近郊の住宅市街地として発展してきました。 市街地再開発事業が完了した二子玉川駅周辺は、区や本地域における交流の一大拠点として発展しています。また、目黒通りから多摩川を跨ぐ「等々力大橋(仮称)」の整備が進行中であり、都市間の連携強化や神奈川方面への道路交通網の更なる向上が期待されています。  玉川地域の町名は、東玉川、奥沢、玉川田園調布、玉堤、等々力、尾山台、上野毛、野毛、中町、上用賀、用賀、玉川、瀬田、玉川台、駒沢三から五丁目、駒沢公園、新町、桜新町、深沢です。 (なお、PDFファイル版では、ここに玉川地域の位置の地図を掲載しています) この本区全体のなりたちについては、「第一部 都市整備の基本方針」の12ページに、「市街地形成の沿革」として示しています。 (2)地域の姿 みどり率は区の平均をやや上回っており、農地も比較的多くあります。しかしながら、近年では相続等に伴う農地の転用や土地の細分化などが進み、みどりが年々減少する傾向にあります。 駒沢オリンピック公園など大規模な公園が多くある一方、区民が気軽に憩うことのできる身近な広場や公園が不足している地区もあります。 二子玉川や用賀には大規模な商業店舗やオフィスが集積しています。各商店街では、地域コミュニティの場として機能するとともに、多世代が交流する様々なイベントが行われ、まちに活気を生み出しています。 地域には、玉川八景と呼ばれた眺望で江戸時代から風光明媚な景勝地としても知られていた国分寺崖線をはじめ、23区唯一の渓谷で東京都指定名勝である等々力渓谷など、身近で自然に触れあえる場所が多くあり、区内外から多くの人が訪れます。また、五島美術館や宮本三郎記念美術館、長谷川町子美術館などの文化施設が数多くあります。 (3)地域の現況等のデータ 区内5地域で、人口、世帯数ともに世田谷地域に次いで多い地域ですが、人口密度は5地域中4番目と低い状況にあります。 玉川地域の人口は、令和10年(2028年)にピークを迎え、その後減少に転じる見込みです。 街区は概ね格子状に配置された地区が多く、道路率、みどり率ともに高く比較的ゆとりのある住宅地等が形成されています。 ●位置・面積・地勢 ・本区の南東部に位置し、東側は目黒区と大田区、南側は多摩川を挟んで川崎市に隣接 ・面積は1,580.9ヘクタール、5地域で1位 ・地域の多くは標高30から40メートル前後の武蔵野台地に属し、九品仏川や呑川が浅い谷を形成。地域の南縁部は多摩川低地に属し、武蔵野台地との境は標高差20メートル程度の急斜面の国分寺崖線を形成 ●人口・世帯 人口(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、226,480人、5地域で2位、平成26年比約11,300人増加 世帯数(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、115,208世帯、5地域で2位、平成26年比約9,300世帯増加 人口密度(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、143人パーヘクタール、5地域で4位、平成26年比 7人パーヘクタール増加 平均世帯人員(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、1.97人パー世帯、5地域で2位、平成26年比 0.06人パー世帯減少 人口増減数(推計値)(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、5人減少、推計時点(令和5年)より5年後にピークを迎え、その後減少に転じる。今後10年間で減少の見込み 高齢者の人口割合(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、21.0パーセント、推計時点(令和5年)より10年後には25.1パーセントの見込み(区平均23.0パーセント)で、5地域で最も高い ●土地利用 住居系の割合、48.1パーセント、区平均50.4パーセント、5地域で2番目に低い、平成23年比0.4ポイント増加 商業系の割合、7.0パーセント、区平均6.2パーセント、5地域で最も高い、平成23年比0.3ポイント減少 工業系の割合、0.7パーセント、区平均0.8パーセント、平成23年比0.3ポイント減少 ●地域資源 ・せたがや百景は、等々力渓谷と等々力不動、多摩川の緑と水、馬事公苑界わい など27箇所 ・地域風景資産は、用賀プロムナード、富士見橋より見た富士山の見える眺望、奥沢海軍村ゆかりの風景 など19箇所 ・主な文化財は、浄真寺(梵鐘や三仏堂等)、上野毛稲荷塚古墳 ●建築物・宅地・防災・みどり・道路 建築物 棟数密度、43.5棟パーヘクタール、区平均45.9棟パーヘクタール、平成23年比2.6棟パーヘクタール増加 3階建て専用住宅棟数、6,621棟、平成23年比1,863棟増加 宅地 平均宅地面積、244.7平方メートル、区平均230.9平方メートル、平成23年比15.6平方メートル減少 専用住宅の平均宅地面積、154.7平方メートル、区平均143.6平方メートル、平成23年比16.9平方メートル減少 専用住宅の100平方メートル未満の敷地数、10,085敷地、平成23年比26.3パーセント増加 防災 耐火率、66.7パーセント、区平均64.3パーセント、平成23年比2.9ポイント増加 不燃領域率、70.3パーセント、区平均67.8パーセント、平成23年比1.7ポイント増加、5地域で最も高いが、一部に50パーセント未満の地域がある 木防建ぺい率、16.1パーセント、区平均17.1パーセント、平成23年比0.9ポイント減少 旧耐震木造棟数密度、5.2棟パーヘクタール、区平均6.4棟パーヘクタール、平成23年比2.4棟パーヘクタール減少 みどり みどり率、25.8パーセント、区平均24.4パーセント、平成23年比0.7ポイント減少 地域住民一人当たりの公園面積(令和6年4月1日現在の世田谷区都市公園等調書)、3.82平方メートルパー人、区平均2.94平方メートルパー人、平成26年比約0.14平方メートルパー人増加 生産緑地面積、22.2ヘクタール、平成23年比3.2ヘクタール減少 道路 道路率、18.2パーセント、区平均17.3パーセント、5地域で最も高い、平成23年比2.1ポイント増加 細街路率、21.7パーセント、区平均31.9パーセント、5地域で最も低い、平成23年比2.6ポイント減少 都市計画道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、66.0パーセント、区平均50.8パーセント、5地域で最も高い 主要生活道路の整備(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、61.5パーセント、区平均38.3パーセント、5地域で最も高い なお、その他の出典は、世田谷の土地利用2021と、世田谷区土地利用現況調査になります。 平成26年比は、平成26年(2014年)から令和6年(2024年)の10年間の変化 平成23年比は、平成23年(2011年)から令和3年(2021年)の10年間の変化 なお、元の値がパーセントで表現している値の変化量は「ポイント」と表現をしている 2.まちづくりの主な課題  「都市整備の基本方針」における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域のまちづくりの主な課題を、5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマT「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること 地域の多くで都市基盤が整っていますが、一方で、幅員6メートル以上の道路や空地が不足している地区について、地区全体の防災性を高めるとともに、避難路の沿道や避難場所の周辺地区などの防災性を高めることが必要です。 豪雨時の大規模水害や内水氾濫などの水害に備えた、河川改修や下水道整備のほか、雨水流出抑制施設の設置等の総合的な対応が求められています。 国分寺崖線をはじめ起伏のある地形を有し、がけや擁壁の崩壊による土砂災害を未然に防ぐ対応が求められています。 防災と並び防犯に対する住民意識が高まっており、道路と宅地が相互に見通せる防犯性の高いまちづくりが求められています。 (2)テーマU「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること みどり率は区の平均をやや上回っていますが、一方で、農地などの民有地のみどりが減少しつつあることから、豊かな自然や農地の保全、新たなみどりの創出に加え、連続したみどりとみずの空間づくりを進めることが必要です。 相続等による宅地の細分化や大規模な開発などによるみどりの減少を防ぎ、ゆとりのあるみどり豊かな住宅地の維持、保全を図っていくことが必要です。 (3)テーマV「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること 広域生活・文化拠点である二子玉川駅周辺地区においては、区民・事業者・区が連携して、駅周辺で一体的なまちづくりを進めることが必要です。 地域生活拠点である用賀駅周辺地区、等々力駅・尾山台駅周辺地区などをはじめ、活動・交流の核となるような拠点については、機能の充実と活性化を図ることが必要です。 大規模な公園が多くありますが、一方で、区民が気軽に憩うことができる身近な公園や広場が不足している地区があり、整備を計画的に進めることが必要です。 身近に買い物ができる商店などが減少しており、住宅街における利便性の向上が課題となっています。 (4)テーマW「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること 地域資源の魅力を高めるまちをつくるため、多摩川や国分寺崖線、等々力渓谷などの自然資源を守りながら地域資源として活用が望まれています。 また、九品仏浄真寺やサザエさん通り、五島美術館などの歴史・文化資産の活用も望まれています。 (5)テーマX「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること 鉄道とバスその他の公共交通機関の乗換えが不便な地区が多く、交通結節機能の強化が必要です。 鉄道による地域の分断や、踏切による交通渋滞の発生などの課題に対して快適に移動できるまちづくりが求められています。 交通渋滞の発生や住宅地への通り抜け車両の進入が増加しており、広域的な道路ネットワークの形成が必要です。 身近な交通機関である自転車の利用環境を向上させることが必要です。 ローマ数字のU.玉川地域の目標、骨格と土地利用の方針 1.目標・地域のまちの姿 「世田谷区地域行政推進計画」の玉川地域経営方針における、本地域のまちの将来像を以下に示します。 地域で育む安全・安心と笑顔のまち 国分寺崖線や等々力渓谷などの自然豊かな住みよいまち にぎわいと元気あふれる魅力的なまち これらのまちの将来像を踏まえ、「都市整備の基本方針」の都市づくりビジョン、前項のまちづくりの主な課題などに基づきつつ、概ね10年後(2035年)を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおり5つのテーマに沿って設定します。 地域のまちの姿 地震や火災、水害など災害に強く、防犯にも配慮した安全で安心して暮らせるまち 先人たちから受け継いだ、みどり豊かで都市基盤の整った街並みを維持・発展させるとともに、農のある風景を守り伝え、環境にやさしく快適で住みよいまち 二子玉川をはじめとした、地域の個性を活かした商業地のにぎわいや、業務などの機能が充実した交流と生活の拠点が身近にあり、誰もが歩いて暮らせるまち 国分寺崖線や等々力渓谷などの豊かな自然資源をはじめ、サザエさん通りや九品仏浄真寺等の歴史・文化資源を活かした、魅力あふれるまち 人・自転車・車が安全に行きかう道路と、利用しやすい公共交通機関の環境整備が進み、誰もが安心して快適に移動できるまち 2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン  「都市整備の基本方針」における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 二子玉川駅周辺地区は、市街地再開発事業が完了し、都市基盤の整備や土地の高度利用、都市機能が更新されました。また、自然環境と調和し安全で魅力ある商業・業務・居住機能を備えた、本区を越えた広域的な交流の場として「広域生活・文化拠点」と位置づけています。 用賀駅周辺地区は、駅前を中心に、商業・業務機能の集積を図りながら、周辺の住宅地と調和した市街地の形成を図っており、等々力駅・尾山台駅周辺地区は、地域の行政の中心で、まちなか観光の拠点でもあります。また、奥沢・自由が丘駅周辺地区は、自由が丘駅に隣接し、良好な居住環境で利便性の高い住宅地と健全な商業地の調和を図っていることから、それぞれ、地域の「核」となる区民の身近な交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。 桜新町駅、九品仏駅などの各周辺地区は、区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、「地区生活拠点」と位置づけています。 玉川総合支所周辺地区については、総合支所が地域の防災機能を担っていることを踏まえ、「災害対策拠点」に位置づけています。 みどりに恵まれ、多様な生きものが生息・生育し、みどりとみずの風景が連なった国分寺崖線とその周辺を、「水と緑の風景軸」と位置づけています。  拠点や軸等と位置づける場所について 生活拠点の広域生活・文化拠点は、二子玉川駅周辺地区 生活拠点の地域生活拠点は、用賀駅周辺地区、等々力駅・尾山台駅周辺地区、奥沢駅・自由が丘駅周辺地区 生活拠点の地区生活拠点は、桜新町駅周辺地区、九品仏駅周辺地区、上野毛駅・中町周辺地区及び東深沢商店街地区 新たな機能を持つ拠点等の災害対策拠点は、玉川総合支所周辺地区 都市軸の都市活力と交通の軸は、環状8号線、玉川通り(国道246号)、目黒通りの各道路とその沿道 都市軸の主要生活交通軸は、補助154号線、世田谷通り(補助51号線)、多摩堤通り(補助125号線)の各道路とその沿道 みどりの拠点及び水と緑の風景軸のみどりの拠点は、馬事公苑・東京農業大学一帯、駒沢オリンピック公園、園芸高校一帯、九品仏一帯、等々力渓谷・玉川野毛町公園、二子玉川公園・上野毛自然公園、五郎様の森一帯、駒沢緑泉公園、砧公園一帯、岡本静嘉堂緑地一帯 みどりの拠点及び水と緑の風景軸の水と緑の風景軸は、国分寺崖線とその周辺 みどりの拠点及び水と緑の風景軸の環境保全ゾーンは、多摩川 (2)地域の土地利用の方針  9つに区分した土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 @駅周辺商業地区 二子玉川駅の周辺地区は、本区を越えた広域的な交流の場として、商業・業務、文化・交流・レクリエーションなど多様な機能のほか、これらを補完する多様な世代に向けた機能が充実するよう高度利用も含めた土地利用を誘導します。 用賀駅、等々力駅・尾山台駅、奥沢駅・自由が丘駅の各周辺地区は、区民の日常生活に関わる商業、行政等の機能が集積し、地域の「核」となるよう土地利用を誘導します。 桜新町駅、上野毛駅・中町、九品仏駅の各周辺地区は区民の日常生活における商業・サービス機能が集積するよう土地利用を誘導します。 A近隣商店街地区 東深沢商店街地区など住宅地等の中にある商店街は、それぞれの特徴を活かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 B幹線沿道地区 環状8号線、玉川通り(国道246号)、目黒通りの沿道は、主として事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 C地区幹線沿道地区 補助154号線、補助212号線などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 D低層住宅地区 戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 E住宅地区 地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 F住商複合地区 用賀駅の西側の住商複合地区は、業務・商業施設等の立地を維持します。 G準工業地区 桜新町などの準工業地区は、生産環境の保全とともに周辺の住環境との調和を図ります。 H河川環境地区 多摩川及びその河川敷は、自然環境の保全やみどり豊かで水辺に親しめる環境の創出を図ります。 (なお、PDFファイル版では、ここに玉川地域の骨格と土地利用の方針図を掲載しています) ローマ数字のV.玉川地域のテーマ別の方針               まちづくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するため、5つのテーマからなる「地域のテーマ別の方針」を示します。  地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマTからXの重ね合わせで示します。 1.テーマT 安全で災害に強いまちをつくる 延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進める 未整備の都市計画道路や主要生活道路の整備を促進し、延焼遮断帯に囲まれた防災生活圏と延焼遅延帯に囲まれたミニ防災生活圏の形成を図ります。 防災生活圏内の安全性を向上させる 新町二丁目地区などの消防活動困難区域や不燃領域率の低い地区では、地先道路の整備を進め、災害に強い道路ネットワークの形成を図ります。 公園や小広場の整備、消防水利の充実、ブロック塀の安全対策、建築物の不燃化や耐震化と隣棟間隔の確保など総合的な防災・減災対策を進めます。 大規模敷地では地域の安全性に貢献するよう、建て替えなどの機会にあわせ、防災上有効なスペースの確保を促進します。 復興に備える 防災・減災対策を第一に取り組むとともに、被災後の復興まちづくりを円滑に進めていくために、平時から人と人とのつながりを大事にしながら復興手順や役割分担の整理を図ります。被災後は本方針や地区計画等を踏まえて早期の復興まちづくりに取り組みます。 災害時の拠点と物資輸送ルートを確保する 玉川総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、防災や減災の観点に加え、人や物資の流れが円滑になるよう配慮し、災害に強い拠点を形成します。 幹線道路や緊急輸送道路沿いの建築物の不燃化・耐震化を進めます。 水害や土砂災害を抑制する 河川に近い区域や、浸水被害が想定される地区を中心に豪雨・浸水対策を進めます。 浸水被害を軽減するため、グリーンインフラの観点も踏まえた雨水流出抑制施設の設置を進めます。 国分寺崖線沿いに多く分布する土砂災害特別警戒区域等において、公共施設のがけや擁壁の安全性を確保するため、定期的な巡回点検等により適切な維持管理に努めます。また、土地所有者等への必要な支援に取り組みます。 日常の安全・安心を確保する 生活道路の整備に当たっては、隅切り等の整備による見通しの確保と、スピードを出しにくい道路構造や通過交通の抑制などの検討を進めます。 また、交通安全に配慮したまちづくりを進めるとともに、道路と宅地が相互に見通せる沿道の環境づくりを進め、明るく防犯性の高いまちづくりをめざします。 2.テーマU みどり豊かで住みやすいまちをつくる みどりとみずを守り育てる 建築物の壁面後退などによるオープンスペースの創出、道路沿道での視覚効果の高い緑化、屋上緑化などにより、脱炭素地域づくりにもつながるみどりの創出を図ります。 みどりとみずのネットワークを形成するため、呑川親水公園、呑川緑道、九品仏川緑道、谷沢川、丸子川などの多くの緑道や水辺、街路樹及び民有地のみどりなどで連続した緑化を進め、多様な生きものが生息・生育できるみどり環境と水環境の創出を図り、グリーンインフラとしての活用も推進します。 農地等を生産緑地地区、屋敷林を市民緑地や保存樹林地などに追加指定を進めるとともに、農地保全重点地区や国分寺崖線付近の生産緑地地区などでは、農地や屋敷林等を主に都市計画公園・緑地に位置づけるなど、保全を図ります。 良好な住環境の維持・向上を図る 国分寺崖線から多摩川沿いにかけての地域は風致地区制度などを活用し、みどり豊かでゆとりのある住宅地等の形成を図ります。 上用賀地区、玉川田園調布地区などをはじめとする、都市基盤の比較的整った良好な住宅地等において土地の細分化を防止するとともに、みどりの保全・創出を図ります。 住宅団地の建て替えの際は、周辺環境との調和をめざし、一団地の住宅施設の変更や周辺を含めた地区計画の策定など、地区の特性にあわせた施策の展開を図ります。 3.テーマV 活動・交流の拠点をもつまちをつくる 活力ある生活拠点とする 広域生活・文化拠点である二子玉川駅周辺地区は、商業・業務・文化・交流・レクリエーションなど様々な機能を備え、にぎわいと居住、自然環境の調和が図られた魅力ある拠点とするため、区民・事業者・区が協働してまちづくり活動を進めます。 また、生活利便施設の集積やコミュニティの場の形成を進めるなど、人の交流や買い物・散策が楽しめる新たなまちの形成をめざします。 奥沢駅・自由が丘駅周辺地区をはじめとする地域生活拠点では、建築物の壁面後退などによる歩行空間やみどり空間の確保に努めるとともに、交通結節機能の強化を図り、活気ある拠点の形成をめざします。 九品仏駅周辺地区などの地区生活拠点では、生活利便施設の集積、オープンスペースやみどりの確保に努め、身近で親しみやすい拠点の形成を図ります。 大井町線及び東横線の立体化の促進にあわせ、各駅周辺の交通結節機能の強化やにぎわい、交流のある拠点の形成をめざします。 身近に活動・交流の場をつくる 上用賀公園、玉川野毛町公園など、特色ある公園の整備を進めます。また、東玉川、奥沢、等々力地区等の公園の少ない地域で、身近な公園・広場の整備について用地取得の機会を捉え、区民にとって身近な活動・交流の場づくりを進めます。 住宅街における買い物などの利便性の維持・向上のため、幹線道路や地区幹線道路の沿道では周辺環境に配慮しながら、生活利便施設の誘導を図ります。 地区の特性を活かした産業環境づくりを進める 活力ある産業環境を形成するため、幹線道路である環状8号線や玉川通り(国道246号)、目黒通りの沿道において、魅力ある沿道型業務施設等の立地を促進します。 準工業地区は、生産環境の保全・充実により、ものづくりの振興を図ります。 4.テーマW 地域資源の魅力を高めるまちをつくる 地域の貴重な自然資源を守り、育てる 国分寺崖線や、等々力渓谷などの豊かな自然を保全します。 多摩川は、自然環境の保全に配慮し、水際の環境整備など、みどりとみずに親しめる空間づくりを進めます。 深沢八丁目無原罪(むげんざい)特別保護区、瀬田四丁目旧小坂緑地、九品仏一帯など、地域の歴史を伝える貴重なみどりである社寺林や屋敷林を保全します。 風景の魅力を高める 新町住宅など歴史ある良好な住宅地、大山道や筏道といった古道や文化財など地域に残る歴史的資産などを活かした魅力ある風景づくりを進めます。 水と緑の風景軸(国分寺崖線とその周辺)や界わい形成地区(奥沢1から3丁目等)、風致地区に指定されている地域をはじめ、富士山や多摩川を望む国分寺崖線など、地域の豊かな地形やみどりを活かした個性ある風景づくりをめざします。 地域資源を有効活用する 五島美術館や宮本三郎記念美術館、長谷川町子美術館をはじめとする文化施設など地 域の資源を活かした魅力あるまちづくりを進めます。 5.テーマX 誰もが快適に移動できるまちをつくる 渋滞を解消し、住宅街の通過交通を減らす 大井町線及び東横線の立体化を促進し、鉄道により分断されていた歩行者・自転車・自動車交通の円滑化を図ります。 東京外かく環状道路(東名高速から湾岸道路間)をはじめとする広域的な道路ネットワークの形成を促進し、環状8号線や玉川通り(国道246号)、目黒通りの渋滞解消、住宅街への通り抜け車両の減少を図ります。 快適で利用しやすい交通環境の整備を進める 駅の交通結節機能を強化し、公共交通ネットワークの充実を図ります。 新たなモビリティの普及やアイシーティーの活用による、交通手段の多様化をめざします。 歩行者や自転車利用者の安全性と快適性を高める 都市計画道路や主要生活道路の整備、建築物、商店街の壁面後退などにより安全で快適な歩行空間や座れる場づくりを推進するとともに自転車走行環境などを整え、誰もが安全で快適に移動できる環境の整備に取り組みます。 (なお、PDFファイル版では、ここに玉川地域のテーマ別の方針図を掲載しています) ローマ数字のW.玉川地域のアクションエリアの方針  地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたりまちづくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。(地区の並びは50音順) 1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区まちづくり計画などが策定されている地区を含む) なお、地区名の後の「新規」「継続」「移行1」「移行2」の意味は、次の通りです。 「新規」は、本方針において、新たにアクションエリアに位置づける地区 「継続」は、「地域整備方針(平成27年4月)」に引き続き、「1」または「2」のアクションエリアを継続する地区 「移行1」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「2」といいます。)である地区のうち、新たな手法を活用するなど、更なるまちづくりの検討を行うため、本方針において、「1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「1」といいます。)に移行する地区 「移行2」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「1」である地区のうち、地区計画などを策定したため、本方針において、「2」に移行する地区 3-1 奥沢駅・自由が丘駅周辺地区(継続) 奥沢と自由が丘それぞれの特性を活かしながら、生活利便施設の集積や建築物の壁面後退などによる、回遊性のある、歩いて楽しいまちの実現を図ります。 建築物の壁面後退などにより歩行空間やみどり空間の確保に努めるとともに、交通結節機能を強化し、駅と一体となった活気ある拠点を形成します。 自由が丘駅周辺の駐輪施設の拡張の検討を進め、自転車利用環境の向上を図ります。 奥沢駅周辺は、コミュニティの核となる駅前空間や公共施設の再整備を進めるなど、災害に強く安全な拠点の実現を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-2 上野毛駅・中町周辺地区(継続) 上野毛駅周辺は生活利便施設の集積、歩行空間の充実などにより活気ある商店街の形成をめざすとともに、地区にふさわしい商店の立地を進め、近隣の住宅地に配慮した商店街の形成を図ります。 雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-3 九品仏駅周辺地区(継続) 区民に身近な商店街の形成や、駅前空間の整備を図るとともに、みどりの多い周辺環境と調和した住環境の形成を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-4 桜新町駅周辺地区(継続) サザエさん通りや長谷川町子美術館などの地域資源を活かしながら、街並みと調和し、歩いて買い物がしやすい商店まちづくりを進めます。 準工業地区において生産環境の保全とともに住環境と調和した住工共生のまちづくりを進め、地区全体において住・商・工のバランスのとれたまちの形成を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-5 新町・駒沢四丁目地区(継続) 幅員6メートル以上の道路ネットワークの形成、建築物の不燃化などにより、災害に強いまちづくりを進めるとともに、防犯の視点を考慮した、安全で快適な住環境の形成を図ります。 3-6 玉川野毛町公園周辺地区(継続) 野毛三丁目から等々力渓谷へと連なるみどり空間の一層の充実・保全を図るとともに、住宅地においては環境と調和した住宅地の形成を図ります。 3-7 等々力駅・尾山台駅周辺地区(継続) 等々力駅周辺は、地域行政の中心としての役割や、等々力渓谷を有する観光拠点であることを踏まえ、交通結節機能を強化するとともに、住・商のバランスがとれ、周辺の豊かな自然環境にも配慮した、住民にも来街者にもやさしいみどり豊かなまちの実現を図ります。 玉川総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、大井町線の立体化と等々力大橋(仮称)の整備を促進し、災害時の人や物資の円滑な移動空間の確保を図ります。 尾山台駅周辺は生活利便施設の集積や、建築物の壁面後退などでオープンスペースを確保し、歩いて楽しいまちの実現を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-8 馬事公苑周辺地区(継続) 馬事公苑一帯が広域避難場所であることを踏まえ、災害時に円滑な避難ができるよう、大規模敷地を中心に避難上有効なオープンスペースを確保するとともに、周辺の不燃化や安全対策を進めます。 区のスポーツ施設及び防災拠点としての機能を整備するとともに、災害時に活用できる公園づくりを進めます。 大規模敷地における土地利用転換に当たっては、公共施設の誘導を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 馬事公苑を中心に、みどり空間の一層の充実・保全を図ります。 防災・減災対策に加え、これまで培ってきたみどり豊かで良好な街並みの維持・保全を図ります。 主要生活交通軸である世田谷通り(補助51号線)や、用賀中町通り沿道などにおいては、地域における生活利便施設の誘導を図ります。 3-9 東玉川・奥沢地区(継続) 災害に強く防犯性の高い、みどり豊かでゆとりのあるまちを形成するため、幅員6メートル以上の道路ネットワークの形成、オープンスペースの確保、建築物の不燃化、隣棟間隔の確保に加え、住宅街への通過交通の進入防止やスピードの抑制、道路と宅地の相互が見通せる生活道路の検討などを進めます。 雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-10 東深沢商店街地区(継続) 商店街がにぎわいとコミュニティの中心となるよう、生活利便施設の集積や建築物の壁面後退などによりオープンスペースの充実、みどりの創出を図ります。 狭あい道路の拡幅整備を促進し、災害に強い安全なまちづくりを進めます。 雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-11 二子玉川駅周辺地区(継続) 広域生活・文化拠点として、にぎわいや魅力、良好な自然環境を維持し、地域活力の増進と地域の発展を図るため、エリアマネジメント等により区民・事業者・区が連携して、駅周辺で一体的なまちづくりの取組みを進めます。 居住者・来街者・就業者等に向けた商業・業務、文化・交流・レクリエーションなどの場づくりを進めるとともに、これらを補完する多様な世代に向けた機能を誘導し、高度利用を含めた街の更なる発展を図ります。 安全で快適にまちなか散策や回遊できる歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりを進めます。 多摩川沿いの地区における堤防整備の促進や流域対策推進地区では雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 また、兵庫島公園周辺や二子玉川公園と連続した水際環境の整備など、みどりとみずのネットワークづくりを進めます。 幅員の狭い生活道路における交通安全の課題解決に取り組みます。また、生活利便施設の集積により、にぎわいとコミュニティの充実を図ります。 玉川三丁目地区は、地区まちづくり計画に基づいて老朽建築物の不燃化や区画道路の整備を進めるなど、安全な市街地の形成を図ります。 3-12 用賀駅周辺地区(継続) 駅前を中心に商業・業務機能の集積を図りながら、周辺の住宅地と調和した市街地の形成を図ります。また、隣接する桜新町駅周辺地区と一体となった補助212号線の沿道環境の形成を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区 3-13 奥沢一から三丁目等地区(新規) 奥沢1から3丁目等界わい形成地区における風景づくりの方針や基準に基づき、みどりの持つ様々な機能を活かすとともに、これまでの奥沢の街並みを継承する風景づくりを地域住民とともに進めます。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-14 環八沿道地区(継続) 沿道地区計画に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりと潤いのある良好な沿道の街並みを形成します。 3-15 瀬田五丁目周辺地区(移行2) 地区計画に基づき、区画道路などの都市基盤整備を進めながら、農業公園を中心とした農のある風景の保全とみどり豊かな住宅地の形成を図ります。 3-16 玉川田園調布一・二丁目地区(継続) 地区計画及び地区まちづくり計画に基づき、敷地の細分化防止、壁面線の指定、緑化などを進めるとともに、地域住民と協働してみどり豊かでゆとりのある住宅街の形成を図ります。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 3-17 目黒通り沿道地区(継続) 目黒通りが緊急輸送道路であることなどを踏まえ、地区まちづくり計画に基づき、沿道の建築物の耐震化・不燃化を進めます。 (なお、PDFファイル版では、ここに玉川地域のアクションエリアの地図を掲載しています) 第3章玉川地域の内容は以上となります。 最後に、奥づけになります。 発行は、世田谷区 編集は、総合支所 まちづくり課、都市整備政策部 都市計画課 問い合わせ先は、都市計画課 電話番号:03-6432-7174