第10期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(素案) (令和9年度〜令和11年度) (2027年度〜2029年度) 概要版 1背景(1)高齢者人口の現状と将来人口推計 区の人口推計では、令和22年(2040年)に向けて、高齢者人口は約52,000人増加すると見込まれています。 65〜74歳の前期高齢者が約44,000人と大半を占める一方で、85歳以上の高齢者も約6,000人増加する見通しです。 1背景(2)認知症高齢者の状況(各年度末) 介護保険要介護認定調査において、令和7年度の認知症の日常生活自立度の判定がU以上の方の人数は、平成30年度から約3,900人増加しています。 1背景(3)高齢者の就労状況 令和7年度の世田谷区高齢者ニーズ調査・介護保険実態調査では、前期高齢者(65-74歳)の方々は仕事をしている、または就労意欲がある方の合計は62.0%となっています。これらの方々は介護保険認定率も低く、健康で就労意欲も高い状況にあります。 1背景(4)65歳健康寿命(要介護2)と平均寿命の推移 65歳健康寿命(要介護2)及び平均寿命は、男女ともにこれまで着実に延伸してきています。しかしながら、平均寿命の延びに対して65歳健康寿命の改善は緩やかであり、両者の延び方には差が見られます。こうした傾向は、医療や介護を必要とする期間が長期化することを示唆しています。 1背景(5)人生の最期の場 令和7年度の世田谷区高齢者ニーズ調査・介護保険実態調査では、高齢者の42.5%が人生の最期を自宅で迎えたいと回答しています。しかし、実際に亡くなっている場所は病院(医療機関)が52.1%で、自宅は23.2%に止まり、人生の最期として希望する場所と実際の状況の間には大きな乖離が存在しています。 1背景 区を取り巻く状況から導き出される区の方向性 区では、2040年に向け、85歳以上の高齢者が増加することが見込まれることや、平均寿命と比較して健康寿命の延伸が緩やかであることから、今後介護保険サービスの需要が高まることが想定されます。一方で、介護保険認定率が低く就労意欲も高い前期高齢者の大幅な増加が見込まれており、社会や地域での担い手となって活躍されることが期待されます。 また、今後サービスの担い手不足が深刻化する状況においても、介護保険サービスを安定的に受けることができるようにする必要があります。 これら区を取り巻く状況から、区では2040年に向け、以下の内容について重点的に取り組むこととし、計画目標に反映していきます。 2040年に向けて区として重点的に取り組むべき内容 ・介護保険サービスをできる限り使わなくても済むための取組み ・高齢者のさらなる社会参加の促進 ・介護保険サービスを安定的に受けることができるための環境整備 2計画の体系 第10期高齢・介護計画は、「基本理念」「計画目標」「施策」の3層構造としています。 施策については「重点取組み」と各分野の取組みで構成し「施策展開の考え方」で計画の方向性を明確にします。評価指標については、施策の成果を適切に把握するためそれぞれの指標が時間軸(区民・社会へ波及する時間)を考慮したものとします。 3 基本理念と施策展開の考え方 支援を必要とする高齢者が抱える課題は複雑化、長期化の傾向が強まっていることから、区では、保健福祉領域だけでなく、関係所管とともに横断的な連携を図ります。また今後、高齢者を自ら地域をつくり支える存在として位置づけ、主体的な参加への意欲を引き出すコミュニティづくり につなげ、区民、事業者、行政が持つアイデアや技術、ノウハウを組み合わせ、新たな価値創造を可能とする地域社会の実現を目指していきます。 (2) 高齢者観の変化を的確に捉えた施策 高齢者の中には、社会を「支える側」として活躍する方も増えており、区内高齢者の約9割がスマートフォン等の情報機器を保有し、SNSを通じた発信や多世代との交流が広がるなど、ライフスタイルも変化してきています。 こうした変化を踏まえ、高齢者が日常生活の様々な場面で知識や経験を生かし、多世代の交流を通じて役割や出番を見いだすことができるよう、時代の流れを的確に捉えた施策の展開を図ります。これにより、生きがいや心の豊かさ、幸福感の向上につなげていきます。 (3) 世田谷版地域包括ケアシステムの推進 世田谷区では、国の示す地域共生社会の考え方に先んじて、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者による「福祉の相談窓口」を設けるなど、高齢者だけではなく困りごとを抱えた全ての区民を対象とする「世田谷版地域包括ケアシステム」を推進してきました。一方、地域福祉を取り巻く状況は刻々と変化し、困りごとも複雑化・複合化するとともに、制度の狭間の支援ニーズも増加傾向であるため、継続的かつ長期的な支援に取り組みます。また、世田谷版地域包括ケアシステムを下支えする基盤の整備を推進するため、地域づくり、福祉人材の確保及び育成・定着支援、地区をバックアップする体制、保健福祉サービスの質の向上などに取組んでいます。 区の平均寿命の延びに対して健康寿命の延びは緩やかです。 高齢者が生涯にわたり心身ともに健康で幸福感をもって生活できるよう、「区民の健康寿命を延ばす」ことを計画目標とします。 計画目標U 高齢者がより活躍できる地域づくり 地域活動や就労の活動を通して、生きがいや自分の出番、役割を見出すことが健康にもつながることが分かっています。 高齢者が生きがいや役割を持って活動し、生活の中で幸福感を得られるよう、「高齢者がより活躍できる地域づくり」を計画目標とします。 計画目標V 安心して暮らし続けるための医療・介護・福祉サービスの確保を図る 支援を必要とする高齢者の増加が見込まれる一方で、サービスの担い手確保や業務効率化が大きな課題となっています。 このような状況下においても、医療や介護、福祉サービスが安定的に提供されるよう、高齢者が住み慣れた地域で「安心して暮らし続けるための医療・介護・福祉サービスの確保を図る」ことを計画目標とします。 重点取組み (1) 健康づくりと介護予防の一体的な推進関連施策:健康づくり、介護予防 (2) 外出や地域活動参加及び就労・就業の促進関連施策:参加と交流の場づくり、支えあい活動の推進 (3) 介護人材の確保及び安定経営に向けた支援関連施策:介護人材の確保及び育成・定着に向けた支援 5 評価指標  評価指標は計画体系に沿ってそれぞれの指標が時間軸(区民・社会へ波及する時間)を考慮したものとします。また、重点取組みについては、新たに評価指標を設定し、本計画期間において達成すべき指標とします。  なお、重点取組みの評価指標は、関連する計画目標や各取組みの評価指標との関連性を意識するほか、重点取組みに関連しない取組みは個別に評価指標を設定します。 計画目標 中期的指標 計画目標T 区民の健康寿命を延ばす ・65歳健康寿命(要介護2) ・主観的健康観 ・年齢階層別の認定率(75-84歳) 計画目標U 高齢者がより活躍できる地域づくり ・地域の人からの役割期待度 ・仕事の満足度 計画目標V  安心して暮らし続けるための医療・介護・福祉サービスの確保を図る ・介護人材不足の解消状況 ・介護事業者の経営状況 重点取組み (施策) 計画期間の達成指標 健康づくりと介護予防の一体的な推進 ・健康づくり・介護予防活動の有無・頻度 ・定期健診の受診状況 調整中 外出や地域活動参加及び就労・就業の促進 ・地域活動への参加状況 ・高齢者クラブの新規加入者数 ・三茶おしごとカフェの就職決定者数 介護人材の確保及び安定経営に向けた支援 ・スポットワーク支援助成事業を活用して採用につながった正規介護職員数 ・経営改善支援事業を活用して安定的経営に向けた改善につながった事業所数 取組み 取組みの直接的成果 「第3章 各施策の展開」に記載 6施策の体系等 7 認知症施策の総合的な推進 第9期計画における認知症施策は地域づくりを重視し、「高齢者の活動と参加を促進する」という計画目標に紐づく一施策として「認知症施策の総合的な推進」を位置づけ、多様な取組みを進めてきました。 一方、MCI(軽度認知障害)の増加や若年性認知症への対応、初期段階に効果のある薬の登場、認知症基本法の施行など、認知症を取り巻く状況は大きく変化し、医療、介護、地域づくり、権利擁護、家族支援など多領域にまたがる課題として、その重要性が一層高まっています。こうした状況を踏まえ、第10期計画では認知症に関する独立した章を設け、施策を体系的に整理します。これにより、認知症の人が地域で安心して暮らし続けられるよう、支援や環境整備を総合的に進める体制を明確にし、今後の方向性を示していきます。 <認知症施策の総合的な推進における各取組み> ・認知症への備えの推進 ・身近な場所での相談体制の充実 ・認知症ケアに資するサービス提供体制の充実 ・認知症及び認知症の人に対する理解の促進