「不合理な税制改正」に対する特別区長会緊急声明  クニが「地方創生の推進」、「税源偏在是正」の名のもとに断行してきた、 地方法人課税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税制度等の「不合理な税制改正」により、 特別区は深刻な影響を受けています。  「不合理な税制改正」による特別区の影響額は、令和7年度だけで、約3,600億円、 平成27年度からの累計では約2兆3,000億円という衝撃的な額です。  12月19日に取りまとめられた令和8年度与党税制改正大綱では、地方法人課税に対する措置に加えて、 東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税について、著しく税収が偏在している状況に鑑み、必要な措置を検討し、 令和9年度以降の税制改正において結論を得るとされ、特別区の貴重な税源をさらに吸い上げる動きが見受けられます。  固定資産税は、基礎的自治体である特別区が、その地域に住み、活動する人々が日々利用する公共施設の整備や 介護、福祉などの行政サービスを支える地方税の根幹を成す税です。  これらの財源を、地方税の本旨である「受益と負担」の関係を無視し、一方的に収奪することは、 首都東京に住まい活動する人々を支える、行政サービスの提供に支障を生じかねないものであり、特別区として決して看過できません。  地方法人課税や固定資産税での収入が大きいということは、東京都や特別区が各種施策を実施するにあたって、 都市部の物価に見合った財源を投入し、敷地や施設も高額なコストで確保し、実施することになります。 高額化する人件費、物価高を事業者を犠牲にすることなく支出している現状に着目してもらわなければならないと考えます。 地価や物価の高い地区においては、見かけの財源の大きさと、必要とされる財源の大きさに不均衡な実態があることをご理解いただきたいと考えます。  東京都及び特別区で合算されている、東京の地方交付税における財源超過額をもって、財源余剰があるとの見方があります。 しかし、地方交付税上の財政需要は大幅に抑制されており、交付税算定ジョウの基準財政需要額と実際の東京都及び特別区の行政需要との間には大幅な乖離があります。 地方交付税算定ジョウの財源超過額は実態を表したものではなく、そのことをもって、財源余剰があるという見方は妥当ではありません。  特別区は、次々に改築時期を迎える公共施設の老朽化対策や、超高齢化への対応、首都直下地震等の自然災害への備え等、首都圏特有の膨大な財政需要を抱えています。 さらに、物価高騰対策や子育て支援等、取り組むべき課題は山積しており、それらの課題に対応するための財源の確保が急務となっています。  地方全体における財源不足は、本来、国の責任において、地方全体の財源充実をもって解消するべきです。 しかし、地方間の税源偏在という問題にすり替えられ、東京都・特別区を狙い撃ちにした不合理な税制改正により、地方間で財源を奪い合う構図に歪められています。  今必要なことは、全国各地域が自らの責任で真に必要な住民サービスを提供するとともに、 自治体間の積極的な交流や協働によって共存共栄する良好な姿を作ることであり、税源の奪い合いにより自治体間に不要な対立を生むような制度は認められません。  特別区長会は、区民サービスを堅持するため、23区共同でこれらの「不合理な税制改正」に対して断固反対することを、ここに緊急声明として発表します。 令和7年12月19日 特別区長会会長 吉住 健一