第5 障害特性に応じた対応 障害者と接するときには、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。以下に、いくつかの代表的な障害について、その概要をまとめました。 改定にあたり「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」(厚生労働省)東京都心身障害者福祉センターリーフレット「障害理解のために」及び「東京都障害者差別解消ハンドブック」等の掲載事例を参考に、区内障害者団体のご協力をいただきました。 対応事例については、区職員・区の窓口・区の事業で生じたものについて、区の実情にあわせて記載しました。 4、高次脳機能障害 脳卒中などの病気や交通事故などで脳の一部が損傷を受けると、日常生活を送るために必要な認知能力(言語や記憶など)に障害が残ることがあります。脳の損傷部位によって特定の症状が出ます。 失語症:言葉によるコミュニケーション(会話や読み書き)が難しい 注意障害:注意を向ける、注意を持続することが難しい 記憶障害:新しいことを覚えにくい 半側空間無視:目の前の空間の半分(多くは左側)を認識できない 行動と感情の障害:欲求や感情のコントロールが難しい 遂行機能障害:段取りよく物事を進めることが難しい 病識の欠如:自分の障害を認識することが難しい   身体障害を伴う場合と、伴わない場合があります。外見からはわかりにくいため、周囲から理解されにくく、本人自身も自分の状態を十分に認識できないことがあります。本人の障害の内容を踏まえた、周囲の配慮が求められます。   [よくある誤解] 約束したことを守らないのは、責任感がないから 「出来る」のに、周りに甘えていてやろうとしない 分かっていなくても、すぐ「分かった」と言う しゃべれなくても、こちらの言うことはわかっている 会話が出来なくても、筆談はできる          (正解は以下を参照)                                   (1)こんなことに困っています 失語症(*詳しくはP50 音声・言語・構音障害 参照) 話を理解できない、言葉が出てこない、早口や長い話が分からなくなる 読むことができない、文字を読んでも理解が難しい 書くことが難しい、文字を思い出せない、「てにをは」をうまく使えない 注意障害 集中力が続かず、気が散りやすい 長時間集中しようとすると疲れて、頭がボーっとしている 記憶障害 薬を飲んだことを覚えていないため、飲み忘れや飲みすぎることがある 約束を覚えていられず、忘れたり、間違えたりする その時は分かったつもりで「分かった」というが、内容を覚えていない   半側空間無視(多くは左側) 食卓の(左)半分のおかずを食べ残す 移動するときに、片(左)側にあるものにぶつかる   行動と感情の障害 指示してもらわないとやる気が起きない すぐに怒ったり笑ったり、感情を爆発させる 一つのことにこだわって他のことができない 遂行機能障害 計画を立てて実行することができない、優先順位がつけられない  間違いの修正や計画の変更ができない 以前出来ていたことが、うまく出来なくなった 病識の欠如 自分に障害があることを認識せず、無理な予定を立てたりする (2)こんな配慮が必要です    基本的な配慮 急がせたり、せかしたりせず、気持ちにゆとりを持って接します。 うまく出来ないことについて、甘えているのでも、責任感の問題でも無いことを理解して、「どうすれば上手くいくか」を考えましょう。 ことばの障害がある方への配慮(*詳しくはP50 音声・言語・構音障害 参照) 相手の状況・気持ちを推測して、用件や相談内容を推測しましょう。 話すことが困難な場合は、「はい」「いいえ」で答えられるような具体的な選択肢で質問しましょう。筆談は、出来る場合も出来ない場合もあります。 聞き取れなくても分かったふりをせず、分からないことを伝えて、聞き取る方法を工夫しましょう。 ポイントを絞ってゆっくり、はっきり、分かりやすく話しましょう。 文字や絵、図で説明したり、ジェスチャーを交えるなどの工夫をしましょう。 記憶の障害がある方への配慮 大事なことは、必要に応じてメモを書いて渡しましょう。 場合によっては、予定の前日に確認の連絡をしましょう。 感情の障害がある方への配慮 不安感が高まり泣き出したり、ささいなことで怒り出したり、笑いが止まらなくなったりすることがあります。 基本的にはゆっくりと時間をかけて、本人が落ち着くのを待ちましょう。(怒り出した原因に心当たりがあればすぐに謝罪し、心当たりがないときも静かな場所を確保し、誠意を持って関わってください。) 感情の切り替えが難しいことがあるので、時間や日にちを変えてお話するほうが、落ち着いて話せることがあります。 (3)これだけはチェック! 受付・窓口では 窓口が探せない方  必要に応じて同行します。 書類の記入がうまく出来ない方 見本を示したり、ことばを添えて確認しましょう。 書類の内容を読むことが難しい方 理解したかどうかを確認しながら、要点を分かりやすく説明しましょう。 口頭での説明に加え、大切なことは必要に応じて文字や図、絵などで示します。 説明されたことを忘れる方 大切な事は、あとで本人が確認できるよう、ポイントを明確にしたメモを手渡しましょう。     〔コラム16 発達障害と子どもの高次脳機能障害 〕 子どもの高次脳機能障害の症状と発達障害の症状は、似ていますが原因が異なります。発達障害(広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害など P62参照)の多くは生まれつきの脳機能の障害が原因で生じると考えられています。 一方、高次脳機能障害は、健康だった子どもが事故や病気になどによる、後天的な脳損傷が原因の「中途障害」です。 好事例(東京都差別解消法ハンドブックより抜粋) メモを活用して行き違いを防止 高次脳機能障害のAさんに、「先ほど伝えたことを忘れて勝手な行動をしている」と注意したところ、「聞いていなかった、知らない」と逆に怒り出してしまいました。Aさんは普段、難しい言葉を使ったり、以前のことをよく覚えている方なので、高次脳機能障害の特性を知らない周囲の人は、Aさんはいい加減だと腹を立てて人間関係が悪化してしまいました。 高次脳機能障害の方は、受傷前の知識や経験を覚えている場合が多いが、直近のことを忘れてしまいがちであるという説明を受け、周囲の人は、障害の特性であることを理解することができました。また、口頭で伝えたことは言った、言わないのトラブルのもとになりやすいので、メモに書いてもらい、双方で確認するようにしたら、トラブルが起きなくなりました。」 第6 関連する相談窓口 障害者差別に関する相談 世田谷区障害施策推進課 TEL 03-5432-2424 (P16:相談・問い合わせへの対応を参照) 東京都障害者権利擁護センター TEL  03-5320-4223 障害者就労差別に関する相談 住所地のハローワーク(渋谷) TEL03‐3476‐8609 障害者就労支援センターしごとねっと TEL 03-3418-1432 (同) すきっぷ就労相談室 TEL 03-3302-7972 (同) ゆに(UNI) TEL 03-5707-2343 東京都労働局 TEL 03-3512-1664    渋谷総合労働相談コーナー(渋谷労働基準監督所内) TEL 03-6849-1167 障害者への虐待に関する相談窓口     世田谷総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-5432-2865 北沢総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-6804-8727 玉川総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-3702-2092 砧 総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-3482-819 8 烏山総合支所保健福祉課障害支援  TEL 03-3326-6115 世田谷区障害者夜間・休日虐待通報ダイヤル TEL 03-5432-1033   その他 法テラス東京 TEL 050-3383-5300 世田谷区消費生活センター(相談専用) TEL 03-3410-6522 人権擁護相談(問い合わせ先:人権・男女共同参画担当課) TEL 03-5432-2259 世田谷区DV相談専用電話(※相談日のみ) TEL 0570-074-740 【第一面記載方法】 おわりに 障害者差別解消法の理念を実現していくには、国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり、差別と解される事例についても、お互いの意思疎通不足や理解の不足が起因していると思われることも見受けられます。法に定められたからということで身構えるのではなく、区民・事業者・区が歩み寄り理解を深めていくことが、差別解消の第一歩につながると考えられます。 職員のみなさんの本法に関する理解と、障害者差別解消に向けた取組みを積極的に進めて頂きますようお願いします。 【ガイドブック作成等にあたり、ご協力いただいた団体等】   <世田谷区障害者福祉団体連絡協議会加盟団体> 公益社団法人日本オストミー協会東京支部世田谷交流会 世田谷区肢体不自由児(者)父母の会 世田谷区身体障害者福祉協会 世田谷区重症心身障害児(者)を守る会 世田谷区手をつなぐ親の会 世田谷区パーキンソン病友の会 世田谷生活と健康を守る会しょうがい部会 特定非営利活動法人自立の家 特定非営利活動法人せたがや移動ケア 特定非営利活動法人世田谷区視力障害者福祉協会 特定非営利活動法人世田谷区聴覚障害者協会 特定非営利活動法人世田谷さくら会 特定非営利活動法人世田谷ミニキャブ区民の会 特定非営利活動法人ヒューマンハーバー世田谷 ふたばの会                     (50音順) <世田谷区自立支援協議会 虐待防止・差別解消・権利擁護部会>