第5 障害特性に応じた対応 障害者と接するときには、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。以下に、いくつかの代表的な障害について、その概要をまとめました。 改定にあたり「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」(厚生労働省)東京都心身障害者福祉センターリーフレット「障害理解のために」及び「東京都障害者差別解消ハンドブック」等の掲載事例を参考に、区内障害者団体のご協力をいただきました。 対応事例については、区職員・区の窓口・区の事業で生じたものについて、区の実情にあわせて記載しました。 3、肢体不自由 病気やケガ、先天性の疾患等により、上下肢・体幹のまひや欠損、筋力低下、骨や関節の変形、痛みや痺れ、不随意運動(自分の意思と関係なく体が動く)等が生じたため、日常の動作(立つ・座る・歩く・食事・着替え・物の持ち運び・字を書く・入浴等)や、姿勢を保つことが難しい状態です。 障害の部位や状況によって、不自由の程度には個人差があります。   [よくある誤解] 車いすの人用の書類記載台は、台の高さの調整だけすれば良い 言葉がはっきりしない人は話すのが大変なので、介助者に話すほうが良い 片麻痺の人は、麻痺のある側で杖をつく 車いすの幅は広いので、通常のドアの間口では入ることができない エレベーターは、車いすの人も含めて、早い者順で使ってよい 車いすにのっていれば安全 (正解は以下を参照)                                                                    (1)こんなことに困っています 下肢や体幹の障害 同じ姿勢を保つこと(立っている、座っている)や、起居(立ち上がる、座る)、移動(歩く、段差の昇降など)に制約があります。 移動の補助として「杖」「歩行器「車いす」「装具」等を利用する人もいます。 段差や階段、手動ドアなどを一人で移動するのか難しい。 歩行が不安定で転倒しやすい。 日常生活では、食事・着替え・入浴・排せつなどに介助が必要な人がいる。 【車いす利用者は】 高い所に手が届かず、床の物は拾いにくい。無理に拾おうとして、車いすから落下・転倒することがある。 移動手段や介助者の確保、移動先の設備(車いすトイレなど)が必要なため、外出先が制限されることがある。 長時間座位による疲労や、床ずれやずり落ちがある。 雨の日は外出しにくい。      上肢の障害 つかむ・握る・持ち上げる・運ぶなどの、片手あるいは両手の動作に制約があります。 お金や切符などを取り出すのが難しい ファスナーの開閉が難しい 字が書きにくく、署名などができない 小さなボタンスイッチやタッチパネルの操作が難しい ドアや水栓の開閉などが難しい 片手が使えない場合、作業する物をしっかり支えることが難しい 半身まひ 片側の上下肢の麻痺により、歩行や両手を使う動作が難しい。また体幹にも麻痺があることが多く、バランスを崩しやすい。 脊髄の損傷 手足の感覚が鈍くなったり、体温調整が困難になることがあります。 ケガや火傷をしてもわかりにくい 冷暖房の設備がない場所では、熱中症や低体温になりやすい 排泄のコントロールがうまくいかず、そのために血圧の上昇や頭痛・発汗・息苦しさ・鳥肌などの症状がでることがある。 発声に関わる器官(舌・喉頭等)の障害や失語症 発声や言語でのミュニケーションをとるのが困難な方がいます。 うまく喋れないために、「理解が出来ない人」だと誤解される (付き添いがいる場合)本人と話さず、付き添いと話す 詳しくはP50 音声・言語・構音障害 参照 上記の障害に加えて、筋力低下や痛み、しびれ、関節の可動域の制限などを伴う場合も多いです。周囲からはわかりにくく、「出来るのにやらない」と誤解されることがあります。 〔コラム13:エスカレーターに止まって乗りたい〕 半身まひがある人は、バランスをとる等のために、麻痺のない側で杖をついたり、手すりを使用します。 左側が麻痺している人や、けがや病気のために左手の機能が弱い人は、エスカレーターでは右手すりにつかまって、止まって乗るのが安全です。しかし多くの人が左側に寄って立ち、右側は歩く人のために開けて乗り、右側手すりにつかまって立っていると、「歩いてください」などと言われることがあります。 (このポスターは、東京都理学療法士協会による「エスカレーターマナー推進委員会」が作成しました。この他に当事者が身に着けるカードなども作成しています。)      (2)こんな配慮が必要です 【会話では】 相手の立場・目線で話す 座っている人や車いす利用者は、立った姿勢で話されると、上から見下ろされている感じがします。少しかがんで、同じ目線で話すようにしましょう。 わからないときは聞き直す 聴き取りにくいときは分かったふりをせずに、何度でも聞き返します。話の内容を一区切りずつ確認しながら聞きましょう。介助者がいる場合も、必ず本人と話します。   【介助では】 本人の意思を十分に確認する 障害の状況や必要とする介助は人により様々です。「お手伝いしましょうか?」 (介助の必要性)「どのようにお手伝いしますか?」「気を付けることはありますか?」(介助の方法)など、本人に確認しましょう。(付き添いがいる場合も同じです。) 声をかけてから介助する 急に支援を始めると不安や不快を感じます。「では動きます」(車いすの場合)「この席でよいですか?」「書類はどこに入れますか?」などと声をかけ、本人の意向を確認しながら支援しましょう。 無理な介助はしない 介助には複数の人が必要な場合もあります。無理な介助は、本人が危険なだけではなく、介助者の腰や関節を痛める原因ともなります。一人では無理な場合は周囲に協力を求め、安全な方法で行います。 車いすでは、前輪を上げる場合は、後部のティッピングレバー(前輪を上げるために踏み込むレバー)を活用します。スロープや段差を降りる時は後ろ向きで移動します。 【物理的環境の整備と配慮】 環境を整える 段差を出来るだけ解消し、必要に応じて簡易スロープを用意しましょう。 車椅子で移動できるよう、通路の幅を確保し斜度に留意します。荷物や机などで通路をせばめることの無いよう、留意します。 車椅子用トイレの整備や、ドアを引き戸や自動ドアにします。 車いす用のカウンターの整備や、記載しやすい文具の配置を工夫しましょう。 ドア、エレベーターの中のスイッチなどの機器操作がしにくい場合があります。スイッチの高さを調整したり、フットスイッチ(足で押すスイッチ)や大き目のボタンなど、操作しやすい工夫をしましょう。 車椅子利用者が、書類を記入したり、機器を操作するとき、台の下に物を置かないように注意しましょう。(車椅子のフットサポートが机の下にある荷物等につかえて、十分前に出られないことがあります。) 〔コラム14:車いすの幅と入り口の幅〕 車いすの幅は、70p以下(JIS規格)となっています。80cm以上の間口であれば何とか通過できますが、余裕がありません。85cm以上ほしいところです。廊下など、人がすれ違う場所では、最低120cm必要です。 場面に応じた柔軟な対応を 杖を利用している方には 説明や書類記載では、椅子を用意する、書類記載の際はローカウンターを 使うなど、相手の方に合わせた配慮をしましょう。 階段を昇るときは、手すりや杖を持っていない側の斜め後ろから介助します。降りるときは本人の一段下の斜め前に立ち、いつでも支えられるよう、横向きに降りてください。 脊髄損傷者など、周囲の温度に応じた体温調節が困難な方がいます。ご本人の意向を確認しながら、部屋の温度の調節をしましょう。 〔コラム15:エレベーターの順番〕 エレベーターは、人が並んでいた場合も、車いすの人を優先します。一般の人は階段やエレベーターで移動出来ますが、車いすの人は利用できないからです。「だれでもトイレ」についても同様です。 運動障害(片麻痺や運動失調等)や感覚障害(眼や耳や皮膚、脳の損傷による)、高次脳機能障害(P47参照)を伴う場合もあります。本人に確認し対応しましょう。 これだけはチェック! 講演会・研修・イベントでは肢体不自由のある方が参加する可能性があることを想定していますか。当日その場で考えるのではなく、あらかじめ準備しておきましょう。 職場のバリアーを点検しましょう 車いすや杖などを使う人にとっては、ちょっとした段差や坂道が移動の妨げになることがあります。また、車いすの種類には手動型、電動型、スクーター式などがあり、電動車いすの重量がかなり重いタイプもあります。 受付、手続き、手数料の受領などの配慮を、想定しておきましょう 手指や手などにマヒがある人などは、文字を書いたりお金の扱いなどが困難な場合があります。 第6 関連する相談窓口 障害者差別に関する相談 世田谷区障害施策推進課 TEL 03-5432-2424 (P16:相談・問い合わせへの対応を参照) 東京都障害者権利擁護センター TEL  03-5320-4223 障害者就労差別に関する相談 住所地のハローワーク(渋谷) TEL03‐3476‐8609 障害者就労支援センターしごとねっと TEL 03-3418-1432 (同) すきっぷ就労相談室 TEL 03-3302-7972 (同) ゆに(UNI) TEL 03-5707-2343 東京都労働局 TEL 03-3512-1664    渋谷総合労働相談コーナー(渋谷労働基準監督所内) TEL 03-6849-1167 障害者への虐待に関する相談窓口     世田谷総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-5432-2865 北沢総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-6804-8727 玉川総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-3702-2092 砧 総合支所保健福祉課障害支援 TEL 03-3482-819 8 烏山総合支所保健福祉課障害支援  TEL 03-3326-6115 世田谷区障害者夜間・休日虐待通報ダイヤル TEL 03-5432-1033   その他 法テラス東京 TEL 050-3383-5300 世田谷区消費生活センター(相談専用) TEL 03-3410-6522 人権擁護相談(問い合わせ先:人権・男女共同参画担当課) TEL 03-5432-2259 世田谷区DV相談専用電話(※相談日のみ) TEL 0570-074-740 【第一面記載方法】 おわりに 障害者差別解消法の理念を実現していくには、国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり、差別と解される事例についても、お互いの意思疎通不足や理解の不足が起因していると思われることも見受けられます。法に定められたからということで身構えるのではなく、区民・事業者・区が歩み寄り理解を深めていくことが、差別解消の第一歩につながると考えられます。 職員のみなさんの本法に関する理解と、障害者差別解消に向けた取組みを積極的に進めて頂きますようお願いします。 【ガイドブック作成等にあたり、ご協力いただいた団体等】   <世田谷区障害者福祉団体連絡協議会加盟団体> 公益社団法人日本オストミー協会東京支部世田谷交流会 世田谷区肢体不自由児(者)父母の会 世田谷区身体障害者福祉協会 世田谷区重症心身障害児(者)を守る会 世田谷区手をつなぐ親の会 世田谷区パーキンソン病友の会 世田谷生活と健康を守る会しょうがい部会 特定非営利活動法人自立の家 特定非営利活動法人せたがや移動ケア 特定非営利活動法人世田谷区視力障害者福祉協会 特定非営利活動法人世田谷区聴覚障害者協会 特定非営利活動法人世田谷さくら会 特定非営利活動法人世田谷ミニキャブ区民の会 特定非営利活動法人ヒューマンハーバー世田谷 ふたばの会                     (50音順) <世田谷区自立支援協議会 虐待防止・差別解消・権利擁護部会>