第5 障害特性に応じた対応 障害者と接するときには、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。以下に、いくつかの代表的な障害について、その概要をまとめました。 改定にあたり「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」(厚生労働省)東京都心身障害者福祉センターリーフレット「障害理解のために」及び「東京都障害者差別解消ハンドブック」等の掲載事例を参考に、区内障害者団体のご協力をいただきました。 対応事例については、区職員・区の窓口・区の事業で生じたものについて、区の実情にあわせて記載しました。 1、 視覚障害 (視力障害・視野障害) 私たちは、日々の情報の多くを視覚から得ています。視覚障害の方は、視覚情報が得にくいために、移動や日常生活に様々な制限を受けています。視覚を補う設備や道具(拡大読書器、音声読み上げソフト、音声案内情報)や、触覚での代用(点字、実際に触れるなど)、嗅覚などを手がかりに、周囲を把握しています。 視覚障害には、「全く見えない(全盲)」場合と、ロービジョン=「少し見えるが、見えづらい」場合、「特定の色がわかりにくい(色覚多様性)」場合があり、見えにくさは一人ひとり違います。「ロービジョン」の人は白杖を持たないことも多く、外見上は分かりにくいことがあります。   「ロービジョン」の人には、次のような「見えづらさ」があります。  視力が低い 文字の拡大や眼鏡・コンタクトレンズ等を使用しても視力が上がらない 特定の色がわかりにくい  光がまぶしい 見える範囲が狭い(物が一部しか見えない 小さな穴から覗いているようにしか見えない 暗い所で見えにくい  等          [よくある誤解] 白杖を使って一人で歩いている人は、どこでも一人で大丈夫。また、集中しているので、話しかけないほうが良い。 横断歩道に音声信号があれば、視覚障害者は安全に横断できる。 視覚障害者は皆、点字の読み書きや音声コードを読むことができる。 盲導犬は、止まっているときに撫でてあげても良い。 (正解は以下を参照)                                       (1)こんなことに困っています 全く見えない、殆ど見えない場合 移動のとき 初めての場所では、一人で移動することが困難です。 横断歩道では、音声信号に従って渡っても、危ない目にあうことがあります。 慣れている場所では、白杖などを使い一人で移動出来ます。しかし慣れた場所でも、普段はない障害物(点字ブロック上の自転車など)があると、ぶつかったりつまづいてしまいます。 情報へのアクセス 普通の文字情報の読み取りは難しく、音声情報や点字を頼りにしています。なお受障の時期などによっては、点字が使えない人もいます。また、音声コードを読めない人もいます。 郵便物や配布物は、発信元や内容がよくわかりません。申し込みや手続きなどで期限がある内容では、(期限に)遅れてしまう場合があります。 書くこと(署名等)を求められたときに、困ります。 街中で 店のメニューや駅の張り紙などは、よくわかりません。 方角がわからなくなって困ることがあります。 案内のときに、いきなり杖を持つ手を引っ張られると困ります。 名乗らずに声を掛けられると、誰だかわかりません。 [コラム7 白杖には、3つの役割があります] 1 路面の状態や点字ブロックを探る 2 身の回りの障害物から身を守る。 3 視覚障害者であることを周囲に知らせる。 「ロービジョン」の場合 視野障害では、「読めるのに歩きにくい」「歩けるのに読みにくい」という場合があります。外からは分かりにくいために、「見えるはず」「歩けるはず」と誤解されたり、必要な配慮を得られないことがあります。 特定の色がわかりにくい人(色覚多様性)にとっては、色名を使った指示や案内が分からず誤解されることがあります。   〔コラム8 色覚多様性について〕 1、色の見え方 「色はみな同じように見えている」と思いがちですが、色の見え方(色覚)は人によって違います。近年では、色覚には5種類あるという考え方があります。日本遺伝学会は、色覚の違いを病気や障害ではなく、血液型のような、遺伝的に受け継がれていく感覚の多様性の一つとするのが妥当と判断し、2017年9月に従来の「色覚異常、色盲」を「色覚多様性」に改めることを提唱しました。(「遺伝単〜遺伝学用語集」) 2、色のユニバーサルデザイン(CUD) ポスターやパンフレットなどの色の組み合わせによっては、情報が伝わらず、間違いや勘違い、時には危険な目にあうなどの、「色彩情報の弱者」が生まれることがあります。 誰もがわかりやすく多様な色覚に配慮した製品や環境、サービス、情報を提供するという考え方を、「色のユニバーサルデザイン(CUD)」と呼びます。印刷物やホームページ・サインなどの作成には、CUDの考え方を取り入れてください。(◎色のユニバーサルデザインの実践的な内容については、「世田谷区情報のユニバーサルデザインガイドライン」(平成28年4月 世田谷区都市整備政策部都市デザイン課)を参照してください。(以下抜粋)   (2)こんな配慮が必要です 困っている様子があったら 声かけは正面から、本人に話しかけていることが分かるように行います。「私は職員の○○です。何かお困りですか」と声をかけ、用件や困りごとを確認しましょう。 名前が分かっている人には「△△さん、こんにちは。○○です」など、相手の名前を呼びかけ、自分も名のります。 駅のホームや、人混み、騒音がある場所では、予期せぬ危険があります。歩き慣れていて歩行に集中しているように見えても、迷わず声をかけましょう。 説明では 指さしや、「それ」「あれ」「こっち」「このくらいの」などの指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「右側」「左側」「○○くらいの大きさ」「30センチ右」「時計の9時の位置」などと具体的に説明します。場合によっては了解を得たうえで手を添え、物に触れてもらいます。 色の名前を使った説明(「ピンクの書類」「緑の看板」等)に加えて、番号(右から3つ目の書類、1番窓口)を併記するなど、複数の方法で案内します。   案内では どのように誘導すれば良いか、本人に確認してください。(案内者の腕を本人につかんでもらって歩く など)。誘導の際は、その人の「目」になる気持ちで、周辺の様子などを説明します。 座席に案内するとき 椅子の背もたれに触れさせて位置を知らせます。机がある場合は、もう片方の手で机に触れさせてください。 「ロービジョン」の場合、「まぶしさ」(外光や照明の位置など)に配慮がいるかどうかを確認します。 廊下を歩くとき 本人の少し前に立ち、誘導者の片手の肘や肩を軽く触れてもらい、先導します。方向を変える際や障害物がある場合には、「右に曲がります」「右側に○○があります」などと伝えます。 階段(段差)の上り下り 「ここから上り(下り)の階段です」と声をかけ、介助者が前に出て上り下りします。最後の段の手前で、「最終段です」などと伝えます。 トイレへの案内 トイレの入口だけでなく個室まで案内し、中の様子を説明します。(ドアの種類や便器の位置・方向やトイレットペーパーの位置、水洗方法とその位置など) (3)これだけはチェック! 広く区民向けの発行・配布物等への音声対応は検討しましたか?⇒P24参照 イベント等では視覚障害者の参加を想定しましたか? 会場設営で点字ブロック上に物を置かない配慮、駐輪されないよう工夫しましたか? 区民アンケート等の実施では、パソコン読み上げソフトによる読み取りや、電子データや音声ファイルでの回答を検討しましたか 会議等で、視覚障害者が参加する場合は、ガイドヘルパーや盲導犬の同行の有無を確認し、同行の場合は、席や待機場所を用意します。盲導犬の待機場所等は、あらかじめ参加者と打ち合わせしておきます。 (「情報のユニバーサルデザインガイドライン」(都市デザイン課)も参照してください。)     [コラム9 身体障害者補助犬について ] 「身体障害者補助犬」は身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、盲導犬・介助犬・聴導犬の3種類があります。目や耳や手足に障害のある方の生活をお手伝いします。 補助犬は特別な訓練を受けた犬でペットとは違います。補助犬の仕事中に、撫でたり、餌をあげたりしないでください。                                     1、補助犬の種類 盲導犬:目の見えない人、見えにくい人が安全に歩けるようにサポートします。障害物を避け、立ち止まって教えます。ハーネス(胴輪)をつけています。 介助犬:手や足に障害のある人の日常の生活動作をサポートします。指示された物を持ってきたり着脱衣の介助などを行います。「介助犬」という表示をつけています。 聴導犬:音が聞えない(聞こえにくい)人に、玄関のチャイムやFAX着信音、 赤ちゃんの泣き声などを知らせます。「聴導犬」という表示をつけています。 2、身体障害者補助犬法 「身体障害者補助犬法」では、人が立ち入りできる様々な場所で、補助犬の同伴を受入れるよう義務づけています。 【受入れ義務がある機関、施設】 国や地方公共団体等が管理する公共施設、公共交通機関 不特定多数の人が利用する民間施設 国や地方公共団体等の事務所、従業員45.5人以上の民間企業 【努力義務がある機関、施設】 事務所(職場)−従業員45.5人未満の民間企業 民間住宅 3、補助犬の受け入れ(留意事項) 補助犬はユーザーの指示に従い待機できるので、特別な設備は必要ありません。 補助犬について他の来庁者から苦情がある場合は、@「身体障害者補助犬法」で受入れ義務があること、A補助犬の行動や健康管理はユーザーが責任をもって行なっていることを説明し、理解を求めてください。 補助犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回ったり、困った行動をしている場合は、そのことを補助犬ユーザーにはっきり伝えてください。 補助犬ユーザーが困っている様子を見かけたら、まずは声かけ(聴導犬の場合は筆談等)をしてください。 「ほじょ犬もっとしってBOOK」(厚生労働省)より一部引用 【第一面記載方法】 おわりに  障害者差別解消法の理念を実現していくには、国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり、差別と解される事例についても、お互いの意思疎通不足や理解の不足が起因していると思われることも見受けられます。法に定められたからということで身構えるのではなく、区民・事業者・区が歩み寄り理解を深めていくことが、差別解消の第一歩につながると考えられます。  職員のみなさんの本法に関する理解と、障害者差別解消に向けた取組みを積極的に進めて頂きますようお願いします。  【ガイドブック作成等にあたり、ご協力いただいた団体等】    <世田谷区障害者福祉団体連絡協議会加盟団体>     公益社団法人日本オストミー協会東京支部世田谷交流会     世田谷区肢体不自由児(者)父母の会     世田谷区身体障害者福祉協会     世田谷区重症心身障害児(者)を守る会     世田谷区手をつなぐ親の会     世田谷区パーキンソン病友の会     世田谷生活と健康を守る会しょうがい部会     特定非営利活動法人自立の家     特定非営利活動法人せたがや移動ケア     特定非営利活動法人世田谷区視力障害者福祉協会     特定非営利活動法人世田谷区聴覚障害者協会     特定非営利活動法人世田谷さくら会     特定非営利活動法人世田谷ミニキャブ区民の会   特定非営利活動法人ヒューマンハーバー世田谷     ふたばの会                     (50音順)  <世田谷区自立支援協議会 虐待防止・差別解消・権利擁護部会>