別紙2 世田谷区地域公共交通計画(案) 概要版 1.計画の背景と目的  世田谷区では、区内の交通に関する計画として平成14年9月に「世田谷区交通まちづくり基本計画」を定め、以後改定を重ねながら、公共交通不便地域対策をはじめとする各事業を交通事業者や地域の方々との協働により取り組んできました。  一方で、近年は公共交通機関利用者の減少や、交通の担い手である乗務員不足などが大きな課題となっており、高齢化の進展に伴う交通弱者の増大やコロナ禍を経てのライフスタイルの多様化、新たな交通サービスの進出などにより、持続可能で誰もが安全に安心して移動できる環境の創出がより一層求められる時代となってきています。  このような背景から、国は令和2年に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を改正し、地域にとって望ましい鉄道、路線バス、タクシー等の地域旅客運送サービスの姿を明らかにするマスタープランとして「地域公共交通計画」を定めることを自治体の努力義務としました。  区としては、区民・交通事業者・行政が協働して、さらなる公共交通不便地域対策の推進、公共交通ネットワークの確保・維持などに取り組んでいく必要があることから、現行の「交通まちづくり基本計画及び行動計画」が令和6年度末に期間満了を迎えることも踏まえ、新たに「世田谷区地域公共交通計画」を策定することとしました。 2.計画の対象交通サービス  本計画で対象とする移動手段は、既存の公共交通機関サービスに加えて、自家用有償旅客運送やスクールバス、福祉輸送など、地域における多様な輸送資源についても対象とし、あわせて、自動車や自転車のシェアリングサービスや新たな交通サービスの活用についても検討の対象とします。 【対象とする交通サービス】 鉄道、軌道、路線バス、コミュニティバス、タクシー、デマンド交通、 グリーンスローモビリティ(グリスロ)、超小型モビリティ、 自家用有償旅客運送、福祉輸送・スクールバス等、 シェアサイクル、カーシェア 3.区内の地域公共交通の現状 【鉄軌道】 東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄の3事業者が運行。 新宿、渋谷などの都心方面から東京郊外(多摩地域)への放射方向(東西方向)の鉄道が基軸となっている。 各駅停車は比較的近距離の移動を担い、急行などの優等列車は主要ターミナル駅までの高速輸送を担う。 軌道は東急世田谷線が三軒茶屋駅と下高井戸駅間で運行している。 【路線バス】 東急バス、小田急バス、京王電鉄バス、関東バス、東京都交通局の5事業者が運行。 主要な交通結節点である鉄道駅までの移動や、南北方向の移動、世田谷通りや玉川通りなどの主要幹線道路を経由する移動、フィーダー(枝線)系統の移動を支えている。 【コミュニティバス】 区では、本格運行に至るまでの実証運行経費の負担や道路環境整備など、新たな路線バスの導入に際し、区が導入に関与した路線バスを「コミュニティバス」と称している。 これまでにコミュニティバス10路線を導入(オンデマンド輸送を含む)。 砧・大蔵地区において、ワゴン車によるオンデマンド交通の実証運行を実施中。(令和5年5月から3年間を予定) 【タクシー】 15社のタクシー事業者が営業(令和元年9月現在)。 一部のタクシー事業者はユニバーサルデザインタクシーや出産支援タクシー、子育て支援タクシーなどの利用者ニーズに応じた多様なサービスを導入。 タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度(自家用車活用事業)が運用開始。 【シェアサイクル等】 区内6駅7箇所でシェアサイクルサービス(区レンタサイクル、がやリン)を実施。 4年間の実証実験を経て、令和6年度より官民連携によるシェアサイクル事業を本格実施。 自転車や自動車を所有せずシェア(共有)するサービスが浸透。 4.計画期間 令和7年度から令和11年度まで(5年間) 5.計画区域 世田谷区の全域 ただし、行政区域をまたぐ移動については、東京都、隣接する自治体とも連携・協働する。 6.区内の地域公共交通の動向と課題 【社会の変化】 コロナ禍の影響により、鉄道、路線バスともに利用者数が減少し、現在まで緩やかな回復傾向にある。 一方で、在宅勤務や通信販売等の浸透により生活様式が多様化したことで、移動する機会そのものが減少。 高齢化が進行し、交通弱者が増加。 公共交通情報の「見える化」の進展。 【地域公共交通の課題】 路線バスが運行しやすい都市計画道路等の整備・南北方向の公共交通の強化 公共交通不便地域における交通弱者の移動手段の確保 交通渋滞解消、踏切の安全性向上、道路と鉄道の立体交差化、交通施設等のバリアフリー化 公共交通の担い手不足の解消 バス待ち環境の向上 環境にやさしい持続可能な交通体系の確立 ラストワンマイルの移動手段の確保 7.計画で目指す基本方針 誰もが安全・安心・快適に移動できる世田谷 区民・行政・事業者で支える持続可能な世田谷区の地域公共交通 世田谷区交通まちづくり基本計画で定めた基本方針を継承しつつ、「誰もが安全・安心・快適に移動できる世田谷」の実現に向けて、区民・行政・交通事業者が連携・協働して、地域公共交通を支えていくことを本計画の基本方針に設定します。 8.計画の目標 地域公共交通の課題を踏まえ、以下3点を本計画の目標として定めます。 目標1 安全・安心な地域公共交通 安全に安心して目的地まで移動できることは、全ての基本です。交通の担い手不足が顕在化する中でも、安全性向上のための不断の取組を継続していくとともに、交通施設のバリアフリー化・心のバリアフリーの普及に向けた取組も推進していくことで、「安全・安心な地域公共交通」を目指します。 目標2 持続可能な地域公共交通 高齢化が進み交通弱者が増大する中、誰もが自由に移動できる公共交通の存在は不可欠であることから、厳しい事業環境の中でも公共交通サービスを確保・維持していくための「持続可能な地域公共交通」を目指します。 目標3 快適な地域公共交通 人々の移動ニーズの多様化に柔軟に対応し、情報通信技術を活用した新たなモビリティや輸送サービスを活用することで、シームレスで快適な移動ができる地域公共交通を目指します。 9.計画の施策と取組 基本方針及び3つの目標に基づく施策及び取組を、以下のとおり定めます。 目標1 安全・安心な地域公共交通 施策1-1:安全・安定輸送の確保 ・取組1-1-1 テロ・防犯対策の推進 ・取組1-1-2 都市計画道路等の整備による路線バスの定時性の確保と速達性の向上 ・取組1-1-3 道路と鉄道の立体交差化の促進 ・取組1-1-4 公共交通に対する利用者の協力、意識啓発 ・取組1-1-5 踏切道の安全性向上 ・取組1-1-6 安全で快適な自転車利用環境の創出 施策1-2:バリアフリー化の推進 ・取組1-2-1 鉄道駅におけるホームドア整備の推進 ・取組1-2-2 鉄道駅におけるバリアフリー経路の確保、エレベーター整備の推進 ・取組1-2-3 バリアフリー車両の導入推進 ・取組1-2-4 心のバリアフリーの普及啓発 施策1-3:災害時における公共交通の連携体制などの構築 ・取組1-3-1 区民への交通情報の提供のあり方の検討 目標2 持続可能な地域公共交通 施策2-1:交通ネットワークの確保・維持・拡充 ・取組2-1-1 交通体系の確保・維持に向けた行政支援のあり方の検討 ・取組2-1-2 交通の担い手となる人材の確保 ・取組2-1-3 多様な交通モード、事業者の連携 ・取組1-2-4 心のバリアフリーの普及啓発 施策2-2:公共交通の利用促進(モビリティ・マネジメント) ・取組2-2-1 公共交通の利用促進のための広報活動 ・取組2-2-2 多様な交通モード、事業者の連携(再掲) 施策2-3:環境負荷の低減 ・取組2-3-1 省エネ車両等の導入推進 施策2-4:公共交通不便地域対策の推進 ・取組2-4-1 地域の状況を踏まえたコミュニティ交通の導入・検討 目標3 快適な地域公共交通 施策3-1:交通結節機能の強化による乗継利便性の向上 ・取組3-1-1 交通結節点の整備・充実 施策3-2:近隣区市と連携した交通利便性の向上 ・取組3-2-1 近隣区市と連携した区境地域における交通利便性向上の検討 ・取組3-2-2 エイトライナーの早期実現 施策3-3:情報通信技術を活用した分かりやすい情報提供の充実 ・取組3-3-1 交通施設におけるバリアフリー関連情報の充実 ・取組3-3-2 鉄道駅・バス停における運行情報等の提供機会の充実 施策3-4:快適な移動のための交通環境整備 ・取組3-4-1 バス停ベンチ・上屋の設置促進 ・取組3-4-2 交通結節点の整備・充実(再掲) 施策3-5:わかりやすく便利な運賃体系の確立 ・取組3-5-1 IC カードや二次元コードを活用したキャッシュレス化の促進 ・取組3-5-2 鉄道・バス1 日乗車券等の企画乗車券、乗継運賃等の制度の充実 施策3-6:公共交通を補完する自転車の利活用の促進 ・取組3-6-1 自転車シェアリングの充実・利用促進 ・取組3-6-2 安全で快適な自転車利用環境の創出(再掲) 施策3-7:新たな輸送サービスによる移動の選択肢の提供 ・取組3-7-1 地域の状況を踏まえたコミュニティ交通の導入・検討(再掲) ・取組3-7-2 新たなモビリティサービスの活用検討(再掲) 施策3-8:特定需要への対応 ・取組3-8-1 多様な交通資源と連携した取組の検討 ・取組3-8-2 利用者のニーズに応じた多様な移動サービスの充実 施策3-9:人々の外出と交流を促進する交通環境の整備 ・取組3-9-1 交通結節点の整備・充実(再掲) ・取組3-9-2 待ち時間も快適・便利に過ごせる交通環境の整備 10.計画の達成状況の評価  本計画において定めた目標に基づき、評価指標を設定のうえ、達成状況の調査、分析及び評価を毎年度行います。  この内容は、世田谷区地域公共交通活性化協議会及び国土交通大臣に対して報告します。 目標1に関する評価指標「安全・安心な地域公共交通」 ・ホームドア整備駅数 ・自転車通行空間整備延長 目標2に関する評価指標「持続可能な地域公共交通」 ・鉄道・バス利用者数 ・二酸化炭素排出量(運輸部門) 目標3に関する評価指標「快適な地域公共交通」 ・区内の交通手段(移動手段)に満足している区民の割合(目標1、2に関する施策も含む) ・サイクルポート設置箇所数(官民連携による民間シェアサイクル事業) 年度目標値 ホームドア整備駅数(単位:駅) 基準値:15 令和7年度:15、令和8年度:18、令和9年度:19、 令和10年度:20、令和11年度:20 自転車通行空間整備延長(単位:キロメートル) 基準値:56 令和7年度:63、令和8年度:68、令和9年度:73、 令和10年度:78、令和11年度:83 鉄道・バス利用者数(単位:千人/日) 基準値:2577 令和7年度:2729、令和8年度:2729、令和9年度:2729、 令和10年度:2729、令和11年度:2729 二酸化炭素排出量(運輸部門)(単位:1000トン-CO2) 基準値:405 令和7年度:379、令和8年度:353、令和9年度:328、 令和10年度:302、令和11年度:277 区内の交通手段(移動手段)に満足している区民の割合(単位:%) 基準値:67 令和7年度:68、令和8年度:69、令和9年度:70、 令和10年度:71、令和11年度:72 サイクルポート設置箇所数(単位:カ所) 基準値:188 令和7年度:198、令和8年度:208、令和9年度:218、 令和10年度:228、令和11年度:238 詳しくは、以下の連絡先へお問い合わせください。 世田谷区 道路・交通計画部 交通政策課 電話番号03-6432-7946