世田谷区立小・中学校 特別支援学級等整備計画 (令和7年度~令和9年度) 令和7年3月 世田谷区教育委員会 はじめに すべての子どもたちがお互いを尊重し、地域で支えあい、安心して共に学び、共に育つ ことができる地域共生社会を実現するために、学校教育において、一人ひとりの多様性を 子どもたちが理解し、尊重しあうインクルーシブ教育を推進していく必要があります。子 どもたち一人ひとりに応じた教育環境の充実や教員の専門性の向上などを通じて、子ども たちの可能性を伸長する教育を進めていくことが重要です。 世田谷区では、これまでもインクルーシブ教育に取り組んできましたが、令和7年度か らは「せたがやインクルーシブ教育ガイドライン」に基づき、より一層推進していくこと になります。 一方、特別支援学級への就学、進学、転学を選択される人数が、改定前の計画の想定を 上回る増加をしており、障害の状態などにより、少人数での学習など特別な支援を必要と している子どもたちに対しては、特別支援学級、特別支援教室(すまいるルーム)を整備 し、必要な支援を提供していく必要があります。 今後、インクルーシブ教育をより推進し、地域の学校で学ぶことを基本としていくため に、特別支援学級を希望する児童・生徒が増えている現状をふまえ、居住する地域に多様 な学びの場を確保していく必要があります。 また、特別支援学級の新たな設置を進めることは、以下の点からインクルーシブ教育に も資するものと考えられます。 ・ 通学の負担の軽減による、居住する地域での学びの実現 ・ 児童・生徒の分散による、既存の特別支援学級の狭隘化の解消 ・ 特別支援学級で培われた指導方法の校内での共有による教員の指導力向上 本計画は、将来的な需要や地域偏在の状況などを分析したうえで、一定の期間と経費を 必要とする特別支援学級等の施設整備を計画的に行い、児童、生徒や施策の状況を踏まえ て柔軟に見直せるように、令和7年度から令和9年度までの計画として策定しています。 今後も、全ての子どもたちが、生き生きと充実した学校生活を送ることができるよう、 個に応じた学習環境の向上や施設環境の整備、教員の専門性の向上などに取り組み、全て の子どもが等しく認められ、尊重される、インクルーシブ教育を推進してまいります。 1 目次 第1章 東京都による特別支援学級在籍者・利用者数の推計 ..................................... 3 (1)小学校の推計 ...................................................................... 3 (2)中学校の推計 ...................................................................... 3 第2章 世田谷区における児童・生徒数の推移 ................................................. 4 (1)児童の状況(過去数年間から今後の推移予測) ......................................... 4 (2)生徒の状況(過去数年間から今後の推移予測) ......................................... 5 第3章 世田谷区における特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の状況 ................. 6 (1)特別支援学級の設置状況について .................................................... 6 (2)特別支援学級の在籍児童・生徒数について ............................................. 7 (3)特別支援教室(すまいるルーム)の設置状況について ................................... 9 (4)特別支援教室(すまいるルーム)の利用児童・生徒数について ........................... 9 第4章 世田谷区における就学相談等の状況.................................................. 11 (1)小学校 ........................................................................... 11 (2)中学校 ........................................................................... 12 第5章 特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の整備に関する基本的な考え方 .......... 14 (1)前提となる世田谷区における特別支援学級等に在籍する児童・生徒数の推移 .............. 14 (2)特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の整備方針 ............................ 14 第6章 小学校における特別支援学級の整備.................................................. 15 (1)知的障害学級 ..................................................................... 15 (2)自閉症・情緒障害学級 ............................................................. 18 (3)肢体不自由学級 ................................................................... 21 (4)通級指導学級 ..................................................................... 21 第7章 中学校における特別支援学級の整備.................................................. 22 (1)知的障害学級 ..................................................................... 22 (2)自閉症・情緒障害学級 ............................................................. 25 (3)肢体不自由学級 ................................................................... 28 (4)通級指導学級 ..................................................................... 28 第8章 小・中学校における特別支援教室(すまいるルーム)の整備 ............................ 29 (1)小学校 ........................................................................... 29 (2)中学校 ........................................................................... 29 第9章 参考資料等 ....................................................................... 32 (1)特別支援学級設置校一覧(令和6年5月現在) ........................................ 32 (2)特別支援教室(すまいるルーム)一覧(令和6年5月現在) ............................ 34 2 第1章 東京都による特別支援学級在籍者・利用者数の推計 東京都の東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(令和4年3月)にお いて、東京都内の児童・生徒の特別支援学級在籍者・利用者数の推計が以下のとおり示さ れており、区における特別支援学級の在籍者・利用者の推移を予測する上で参考となる。 (1)小学校の推計 知的障害学級の児童数は令和7、8年度をピークに減少していくことが見込まれてい る。自閉症・情緒障害学級の児童数は増加傾向が続き、情緒障害学級等(特別支援教室) は令和9年度まで増加すると見込まれている。 肢体不自由、弱視、難聴、言語障害の各学級の児童数は横ばいから減少傾向になるこ とが見込まれている。 (東京都の児童数推計) 年度(令和) 7 8 9 10 11 肢体不自由 44 43 42 42 41 固 定 学 知的障害 7,745 7,710 7,536 7,340 7,167 級 自閉症・情緒障害 1,801 1,994 2,151 2,207 2.215 弱視 53 52 51 49 48 通 級 難聴 283 279 273 266 260 指 導 言語障害 3,078 3,035 2,968 2,893 2,830 学 級 情緒障害等 33,856 34,535 34,940 34,378 33,939 (特別支援教室) (2)中学校の推計 知的障害学級、自閉症・情緒障害学級、情緒障害学級等(特別支援教室)の生徒数は 増加傾向が続くことが見込まれている。これは、小学校における在籍者・利用者の卒業 生の進学を反映し、増加から減少の動きが小学校よりも遅れるためであると考えられる。 難聴学級の生徒数は横ばいと見込まれている。 (東京都の生徒数推計) 年度(令和) 7 8 9 10 11 肢体不自由 22 22 22 22 22 固 定 学 知的障害 4,942 5,016 5,148 5,325 5,392 級 自閉症・情緒障害 593 623 658 748 818 通 難聴 141 141 142 144 144 級 指 導 情緒障害等 学 8,060 8,249 8,531 9,511 10,216 級 (特別支援教室) 3 第2章 世田谷区における児童・生徒数の推移 (1)児童の状況(過去数年間から今後の推移予測) 区立小学校の在籍児童数の推移を令和3年度から令和6年度までの実数の推移でみ ると、令和4年度をピークに減少に転じている。 令和5年7月に公表されている世田谷区将来人口推計においても、区内の6~11 歳の人口は今後減少していくことが予測されており、小学校の在籍児童数も減少する ことが見込まれる。 (在籍児童数) 年度(令和) 3 4 5 6 小学校 38,394 38,585 38,302 37,870 小学校 40,000 39,000 38,394 38,585 38,302 37,870 38,000 37,000 36,000 35,000 34,000 33,000 32,000 31,000 30,000 3 4 5 6 年度(令和) 4 在籍児童数 (2)生徒の状況(過去数年間から今後の推移予測) 区立中学校の在籍生徒数の推移を令和3年度から令和6年度までの実数の推移でみ ると、ほぼ横ばいで推移している。 令和5年7月に公表されている世田谷区将来人口推計においても、区内の12~ 14歳の人口は今後、ほぼ横ばいからやや増加していくことが予測されており、中学 校の在籍生徒数はほぼ横ばいで推移することが見込まれる。 (在籍生徒数) 年度(令和) 3 4 5 6 中学校 11,512 11,780 11,899 11,749 中学校 11,780 11,899 12,000 11,749 11,512 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 3 4 5 6 年度(令和) 5 在籍生徒数 第3章 世田谷区における特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の状況 (1)特別支援学級の設置状況について 特別支援学級は学校教育法第81条に基づき、教育上特別な支援を必要とする児童、 生徒のために小中学校内に設置するものであり、世田谷区における設置状況は次のとお りである。 各設置校における平均学級数は2.5~3.5学級であるが、一部の学校においては 教室の拡張ができないまま、増学級により5学級となっており、教室の狭隘問題が生じ ている。 (令和6年5月現在) 小学校 中学校 1校の 1校の 学校数 学級数 平均 学校数 学級数 平均 学級数 学級数 固 知的障害学級 17 53 3.1 8 28 3.5 定 学 肢体不自由学級 2 5 2.5 1 1 1.0 級 自閉症・情緒障害学級 5 13 2.6 2 6 3.0 通 弱視学級 1 1 1.0 - - - 級 指 導 難聴学級 2 2 1.0 1 1 1.0 学 級 言語障害学級 4 11 2.8 - - - 合計 31 85 - 12 36 - ※ 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき、特別 支援学級(固定)の1学級は8名と定められている。 ※ 東京都の学級編制基準に基づき、特別支援学級(通級)の1学級は20名と定めら れている。 ※ 特別支援教室(すまいるルーム)は全校に設置しており、拠点校に在籍する教員が 各学校を巡回して指導を行うもので、制度上、通級による指導に位置付けられている。 学級数の規定はないが、児童・生徒12人に対して、1名の教員が配置される。 6 (2)特別支援学級の在籍児童・生徒数について ① 小学校 知的障害学級、自閉症・情緒障害学級の在籍児童数は年々増加している。令和6年 度現在、知的障害学級は2、3年生が、自閉症・情緒障害学級は3、4年生の児童が 多い状況であるが、今後、通常の学級からの転籍により在籍児童数の変動(増加)も 想定される。毎年、卒業生は一定数輩出されるものの、後述する就学相談の状況や東 京都による特別支援学級の在籍者数の推計から希望児童数の増加が見込まれるため、 新たな学級の整備をしていく必要がある。肢体不自由学級の児童数については、一定 数で推移しているため、既存の設置校数を維持していく。 通級指導学級については、言語障害学級で2~4年生の児童が多いが、高学年にな るにつれて指導が終了し、減少していく。弱視学級と難聴学級の児童数については、 一定数で推移しているため、既存の設置校数を維持していく。 (令和6年5月現在)(児童数) 学年 1 2 3 4 5 6 合計 中学進学予定年度(令和) 12 11 10 9 8 7 固 知的障害学級 59 69 76 54 60 62 380 定 肢体不自由学級 4 5 4 7 3 9 32 級 自閉症・情緒障害学級 7 12 18 24 15 9 85 弱視学級 1 0 6 4 3 2 16 難聴学級 通 6 1 4 3 2 3 19 級 (きこえの教室) 言語障害学級 17 63 36 34 19 12 181 (ことばの教室) 小学校特別支援学級(固定級)在籍児童数の推移 380年平均 400 349 326 305 299 +5.6% 300 年平均 200 85+56.9% 100 57 22 37 24 30 31 32 32 0 2 3 4 5 6 年度(令和) 知的障害 自閉症・情緒障害 肢体不自由 7 児童数 ② 中学校 知的障害学級、自閉症・情緒障害学級の在籍生徒数は年々増加している。令和6年 度現在、知的障害学級、肢体不自由学級、自閉症・情緒障害学級については各学年で 同程度の人数の生徒が在籍している。今後、通常の学級からの転籍による在籍生徒数 の変動(増加)も想定される。毎年度、一定数の卒業生が見込まれるが、知的障害学 級、自閉症・情緒障害学級については、小学校から進学する生徒の増加が見込まれる ことから、新たな学級を確保していく必要がある。 通級指導学級の難聴学級については、一定数で推移しているため、既存の設置校数 を維持していく。 (令和6年5月現在)(生徒数) 学年 1 2 3 合計 固 知的障害学級 65 65 59 189 定 肢体不自由学級 2 3 3 8 級 自閉症・情緒障害学級 15 11 12 38 通 難聴学級 7 0 8 15 級 中学校特別支援学級(固定級)在籍生徒数の推移 188 189 200 158 161 年平均 145 +6.8% 150 100 年平均 38+13.4% 50 26 28 16 10 8 0 7 6 8 2 3 4 5 6 年度(令和) 知的障害 自閉症・情緒障害 肢体不自由 8 生徒数 (3)特別支援教室(すまいるルーム)の設置状況について 特別支援教室(すまいるルーム)は、発達障害等(自閉症スペクトラム、注意欠陥多 動性障害、学習障害等)の可能性や「他人とのコミュニケーションが苦手」など情緒面 の発達にかたよりがある等、発達上の特性がある児童・生徒のための学び場であり、全 区立小・中学校に整備している。小・中学校ともに利用する児童・生徒数は増加傾向に ある。 特別支援教室(すまいるルーム)では、教員が複数の学校を巡回して指導にあたって おり、教員の職員室に相当する部屋を巡回教員拠点校に設置している。巡回教員拠点校 と巡回校に関する詳細は第8章を参照。 (令和6年5月現在)(学校数) 小学校 中学校 特別支援教室(すまいるルーム)設置校 61 29 巡回教員拠点校 27 7 1拠点校あたりの平均巡回校 1.3 3.1 (4)特別支援教室(すまいるルーム)の利用児童・生徒数について ① 小学校 令和6年度現在、特別支援教室(すまいるルーム)については、一人一人の状況に より入室、退室、指導延長があり、入れ替わりがあることから、各学年で同程度の人 数の児童が利用している。 (令和6年5月現在) 学年 1 2 3 4 5 6 合計 中学進学予定年度(令和) 12 11 10 9 8 7 特別支援教室利用児童数 210 251 270 320 294 268 1,613 小学校特別支援教室 利用児童数の推移 1700 1613 1600 1496 1490 年平均 1500 1425 +4.7% 1400 1340 1300 1200 2 3 4 5 6 年度(令和) 9 児童数 ② 中学校 令和6年度現在、特別支援教室(すまいるルーム)については、一人一人の状況に より入室、退室、指導延長があり、各学年おおむね100人前後の生徒が利用してい る。 (令和6年5月現在) 学年 1 2 3 合計 特別支援教室利用生徒数 121 101 87 309 中学校特別支援教室 利用生徒数の推移 350 330 309 310 295 291 292 290 281 年平均 +2.4% 270 250 2 3 4 5 6 年度(令和) 10 生徒数 第4章 世田谷区における就学相談等の状況 (1)小学校 ① 入学(初就学)の状況 小学校入学に向けて何らかの支援や配慮が必要と考え、東京都立特別支援学校、 区立小学校の特別支援学級、特別支援教室(すまいるルーム)、通常の学級での支 援等を相談・検討するための就学相談について、令和元年度から令和5年度の推移 をみると、就学児童数は横ばいから減少傾向にあるが、相談件数自体は増加してい る。 また、区立小学校の特別支援学級の固定級(知的障害学級、肢体不自由学級、自 閉症・情緒障害学級)への就学児童数は令和4年度以降、横ばいとなっている。 年度(令和) 元 2 3 4 5 6 区立小学校に就学した全児童数 6,463 6,630 6,545 6,224 5,968 相談件数 368 402 446 458 504 小学校特別支援学級(固定級)に 52 49 74 73 70 就学した児童数 小学校特別支援学級(固定級) 329 351 394 438 497 全児童数 入学(初就学)相談件数の推移 600 504 500 446 458 402 368 年平均 400 +8.2% 300 200 100 0 元 2 3 4 5 年度(令和) 11 件数 ② 小学校の転学相談の状況 区立小学校の通常の学級に在籍していたが、本人等の希望により特別支援学級に 転籍した児童について、令和元年度から令和5年度の推移をみると、増加傾向にあ り、学びについての困難さの課題などを理由としている。 (児童数) 年度(令和) 元 2 3 4 5 通常の学級から区立小学校特別支援 35 33 43 40 74 学級への転学相談・転籍児童数 (2)中学校 ① 進学の状況 中学校への進学に向けて何らかの支援や配慮が必要と考え、東京都立特別支援学 校、区立中学校の特別支援学級、特別支援教室(すまいるルーム)、通常の学級で の支援等を相談・検討するための進学相談について、令和元年度から令和5年度の 推移をみると、進学生徒数は横ばいであるが、相談件数は令和4年度に増加し、そ の水準を維持している。 また、区立中学校の特別支援学級の固定級(知的障害学級、肢体不自由学級、自 閉症・情緒障害学級)への進学生徒数も相談件数に比例して、増加傾向となってい る。 年度(令和) 元 2 3 4 5 6 区立中学校に進学した全生徒数 3,784 3,873 3,810 3,854 3,772 相談件数 209 284 273 317 314 中学校特別支援学級(固定級)に 57 45 68 83 82 進学した生徒数 中学校特別支援学級(固定級) 155 192 184 222 235 全生徒数 12 進学相談件数の推移 400 317 314 284 273 300 209 年平均 200 +10.7% 100 0 元 2 3 4 5 年度(令和) ② 中学校の転学相談の状況 区立中学校の通常の学級に在籍していたが、本人等の希望により特別支援学級に 転籍した生徒について、令和元年度から令和5年度の推移をみると、増加傾向にあ り、学びについての困難さの課題などを理由としている。 (生徒数) 年度(令和) 元 2 3 4 5 通常の学級から区立中学校特別支援 5 5 8 8 9 学級への転学相談・転籍生徒数 13 件数 第5章 特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の整備に関する基本的な考え方 (1)前提となる世田谷区における特別支援学級等に在籍する児童・生徒数の推移 第1章から第4章までにおける、児童・生徒数の状況や推計、就学・進学・転学相 談の状況等から、今後の区立小・中学校の特別支援学級・特別支援教室(すまいる ルーム)の児童・生徒数の推移は以下のように見込まれる。 ① 知的障害学級、自閉症・情緒障害学級 本計画期間の令和7年度から令和9年度までは、希望する児童・生徒は増加する ことが見込まれる。 ② 肢体不自由学級、弱視学級、難聴学級、言語障害学級、特別支援教室(すまいる ルーム) 現状と同程度の推移が見込まれる。 (2)特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)の整備方針 ① 長期的な目標 インクルーシブ教育の推進、地域の学校で学ぶことを基本とすることを見据え、 特別支援学級等を全小・中学校に設置することを将来的な目標とする。 現在では特別支援学級設置校が少ないことから、教室の狭隘などの問題が生じて いるほか、一部の児童・生徒は自宅から遠方の学校への通学が負担となっている。 設置校を増やすことやインクルーシブ教育を推進することにより、教育環境の改善 と地域の学校で学べる体制整備を進めていく。また、特別支援学級で培われた指導 方法の校内での共有により、学校全体の教員の指導力や支援の向上を図るととも に、各校で多様な児童・生徒が学び、理解を深める環境を構築していく。 ② 計画的な整備 特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)を希望する児童・生徒数を中期 的に予測し、学校の空き教室の状況、改築計画、地域偏在を踏まえた上で、整備計 画を策定し、計画的な学級の整備を推進する。 特別支援学級等の設置は、人口推計、在籍児童・生徒数、就学相談等及びインク ルーシブ教育の推進といった教育施策の変化などを踏まえて3年ごとに見直し、柔 軟に整備計画に反映させる。 ③ 緊急的な整備 特別支援学級・特別支援教室(すまいるルーム)を希望する児童・生徒数の予測 外の増加に伴い、学級数や教室の不足が見込まれる場合は、関係所管との協議を経 て、緊急的な整備を行うこととする。 14 第6章 小学校における特別支援学級の整備 (1)知的障害学級 ① 現状と今後の予測 知的障害学級の就学・転学相談の状況から、増加傾向にあり、今後も毎年100 人を超える就学・転学者が見込まれる。 一方、現在の学年ごとの在籍児童数は第3章(2)①の通り、今後も毎年、卒業 生は60人程度にとどまることが予想され、今後も既設校での増学級や学級の開設 を継続していかなければ、就学や転学の希望に応えられなくなる可能性がある。 すでに既設校の多くが増学級を実施し、狭隘な環境を強いられている状況や、玉 川地域に通学できる学校が少ないことから、学級の開設を継続的に行い、狭隘な環 境の改善や地域偏在の解消に取り組む必要がある。 知的障害学級の就学・転学の状況 (児童数) 年度 予測 4 5 6 (令和) 7 8 9 就学 62 62 59 61 63 65 転学 22 43 (予測) 47 51 55 59 合計 84 105 (予測)106 112 118 124 ※ 転学は年度途中もあるため、令和6年度の転学、合計は予測で記載。 ② 整備計画 ア)令和7年度に、玉川地域の瀬田小学校(改築に合わせ2学級)、用賀小学校(1 学級)に開設し、通学できる学級の少ない玉川地域での支援の充実を図るととも に、近隣の桜町小学校、尾山台小学校の在籍児童数の緩和を図る。 イ)令和8年度に、世田谷地域の桜小学校(1学級)に開設し、弦巻小学校の在籍 児童数の緩和を図り、通学の負担の軽減を図る。 ウ)現時点では、令和9年度も高い需要が見込まれることから、開設に向けて引き 続き調整を重ねていく。 エ)令和10年度以降も、改築に合わせ、八幡小学校、砧小学校に各1学級を開設 し、当該小学校学区及び近隣学区に居住する児童の通学の負担軽減を図る。 15 知的障害学級の開設予定 令和7年度 令和8年度 令和9年度 令和10年度以降 瀬田小学校 桜 小学校 八幡小学校 用賀小学校 (改築年次にあわせ開設) 砧小学校 (改築年次にあわせ開設) 16 17 (2)自閉症・情緒障害学級 ① 現状と今後の予測 自閉症・情緒障害学級の就学・転学相談の状況から、今後も就学・転学者が前年度 比で5人以上増加し、令和7年度の就学・転学は35名程度になると見込まれる。 一方、現在の学年ごとの在籍児童数は第3章(2)①の通り、学年ごとでばらつ きがみられるが、令和9年度までは卒業生が増えていくと予想される。最も多い令 和9年度で24人の卒業生が見込まれるが、卒業生を上回る就学・転学の希望が続 くため、今後も既設校での増学級や学級の開設を継続していかなければ、就学や転 学の希望に応えられなくなる可能性がある。 自閉症・情緒障害学級は児童の特性により、既設校での増学級が難しい状況や、 全区的、特に玉川地域に学級を設置している学校がないことから、学級の開設を継 続的に取り組む必要がある。 自閉症・情緒障害学級の就学・転学の状況 (児童数) 年度 予測 4 5 6 (令和) 7 8 9 就学 8 6 7 8 9 10 転学 9 19 24 29 34 39 合計 17 25 31 37 43 49 ② 整備計画 ア)令和7年度に、玉川地域の京西小学校(1学級)、玉川小学校(1学級)に開設 し、学級が未設置の玉川地域での支援の充実を図り、他の自閉症・情緒障害学級 を設置する小学校への集中緩和を図る。 イ)令和8年度に、玉川地域の中町小学校(1学級)、砧地域の喜多見小学校(1学 級)、烏山地域の給田小学校(1学級)に開設する。 中町小学校、喜多見小学校は、他の自閉症・情緒障害学級を設置する小学校へ の集中緩和と、近接する中学校の自閉症・情緒障害学級との小・中連携体制の構 築を図る。 給田小学校は、烏山小学校の在籍児童数の緩和を図る。 ウ)令和9年度に、世田谷地域の桜丘小学校(1学級)、砧地域の千歳台小学校(1 学級)に開設し、船橋小学校、烏山小学校の在籍児童数の緩和を図る。 エ)現時点では、令和10年度以降も烏山地域に高い需要が見込まれることから、 令和10年度以降の開設に向けて引き続き調整を重ねていく。 18 自閉症・情緒障害学級の開設予定 令和7年度 令和8年度 令和9年度 令和10年度以降 京西小学校 中町小学校 桜丘小学校 調整中 玉川小学校 喜多見小学校 千歳台小学校 (烏山地 域) 給田小 学校 19 20 (3)肢体不自由学級 肢体不自由学級については、松沢小学校、奥沢小学校の2校に設置している。肢体 不自由学級の現在の学年ごとの在籍児童数は第3章(2)①の通り、各学年10人未 満で推移している。 第1章(1)の東京都の推計から今後も児童数の大きな増加がないと考えられるた め、新たな整備は行わないこととする。 (4)通級指導学級 通級指導学級は、地域の学校の通常の学級に在籍しながら、定期的に通級する学級 である。 弱視学級は笹原小学校、難聴学級(きこえの教室)は駒沢小学校、烏山北小学校、 言語障害学級(ことばの教室)は駒沢小学校、九品仏小学校、砧小学校、烏山北小学 校に設置している。 弱視学級、難聴学級の現在の学年ごとの在籍児童数は第3章(2)①の通り、各学 年10人未満で推移し、学校当たり 1 学級の設置となっている。 言語障害学級の現在の学年ごとの在籍児童数は第3章(2)①の通り、各学年の在 籍児童数は2~3年生をピークに、平均すると30名程度の在籍となっており、各学 校当たり2~4学級程度の設置となっている。 通級指導学級は基本的には、一人一人に応じた個別指導であり、他校に開設した場 合は教員の確保が困難であることや、第1章(1)の東京都の推計から今後も生徒数 の大きな増加がないと考えられるため、新たな整備は行わないこととする。 21 第7章 中学校における特別支援学級の整備 (1)知的障害学級 ① 現状と今後の予測 小学校の知的障害学級の在籍児童数(第3章(2)①)や知的障害学級の進学・転 学相談の状況から、今後も就学・転学者が、小学校の卒業生約60人をベースに、前 年度比で10人程度ずつ増加し、令和7年度の就学・転学は85名程度になると見込 まれる。 一方、現在の学年ごとの中学校知的障害学級在籍生徒数は第3章(2)②の通 り、今後も毎年、卒業生は60人程度にとどまることが予想され、今後も既設校で の増学級や学級の開設を継続していかなければ、就学や転学の希望に応えられなく なる可能性がある。 すでに既設校の多くが増学級を実施し、狭隘な環境を強いている状況や、玉川地 域周辺に学級を設置している学校が少ないことから、学級の開設を継続的に狭隘な 環境の改善に取り組む必要がある。 知的障害学級の就学・転学の状況 (生徒数) 年度 予測 4 5 6 (令和) 7 8 9 就学 52 59 68 77 86 95 転学 5 7 (予測) 8 9 10 11 合計 57 66 (予測)76 86 96 106 ※ 転学は年度途中もあるため、令和6年度の転学、合計は予測で記載。 ② 整備計画 ア)令和7年度に、玉川地域の尾山台中学校(1学級)に開設し、近隣の尾山台小 学校、玉堤小学校、奥沢小学校の知的障害学級の進学先の 1 つとするとともに、 八幡中学校の在籍生徒数の緩和を図る。 イ)令和8年度に、玉川地域の瀬田中学校(1学級)に開設し、瀬田小学校の知的 障害学級の進学先の 1 つとするとともに、八幡中学校の在籍生徒数の緩和を図 る。 ウ)令和9年度に、玉川地域の用賀中学校(1学級)に開設し、近隣の用賀小学校 等の知的障害学級の進学先の 1 つとするとともに、弦巻中学校、砧中学校の在籍 生徒数の緩和を図る。 エ)令和10年度以降も、改築に合わせ、梅丘中学校に開設し、当該中学校学区及 び近隣学区に居住する生徒の通学の負担軽減を図る。 22 知的障害学級の開設予定 令和7年度 令和8年度 令和9年度 令和10年度以降 尾山台中学校 瀬 田中学校 用賀中学校 梅丘中学校 (改築年次にあわせ開設) 23 24 (2)自閉症・情緒障害学級 ① 現状と今後の予測 小学校の自閉症・情緒障害学級の在籍児童数(第3章(2)①)や自閉症・情緒障 害学級の就学・転学相談の状況から、今後も就学・転学者が前年度比で5人以上増加 していくと見込まれる。 一方、現在の学年ごとの中学校自閉症・情緒障害学級在籍児童数(第3章(2) ②)から、毎年13人の卒業生が見込まれるが、卒業生を上回る就学・転学の希望 が続くため、今後も既設校での増学級や学級の開設を継続していかなければ、就学 や転学の希望に応えられなくなる可能性がある。 自閉症・情緒障害学級は生徒の特性により、既設校での増学級が難しい状況や、 全区的に学級を設置している学校が2校と少ないことから、学級の開設を継続的に 取り組む必要がある。 自閉症・情緒障害学級の就学・転学の状況 (生徒数) 年度 予測 4 5 6 (令和) 7 8 9 就学 8 11 15 20 25 30 転学 1 2 5 7 9 11 合計 9 13 20 27 34 41 ② 整備計画 ア)令和7年度に、玉川地域の玉川中学校(1学級)に開設し、玉川地域とその周 辺に居住する自閉症・情緒障害学級を希望する生徒の通学の負担軽減を図るとと もに、京西小学校、玉川小学校の自閉症・情緒障害学級からの進学先とする。 イ)令和8年度に、世田谷地域の桜丘中学校(1学級)に開設し、世田谷地域とそ の周辺に居住する自閉症・情緒障害学級を希望する生徒の通学の負担軽減を図る とともに、小学校の自閉症・情緒障害学級からの進学先とする。 ウ)現時点では、令和9年度も高い需要が見込まれることから、開設に向けて引き 続き調整を重ねていく。 エ)令和10年度以降も、改築に合わせ、奥沢中学校、砧中学校に各1学級を開設 し、当該中学校学区及び近隣学区に居住する生徒の通学の負担軽減を図る。 25 自閉症・情緒障害学級の開設予定 令和7年度 令和8年度 令和9年度 令和10年度以降 玉川中学校 桜丘中学校 奥沢中学校 (改築年次にあわせ開設) 砧中学校 (改築年次にあわせ開設) 26 27 (3)肢体不自由学級 肢体不自由学級については、東深沢中学校に設置している。肢体不自由学級の現在 の学年ごとの在籍生徒数は第3章(2)②の通り、各学年5人未満で推移している。 第1章(2)の東京都の推計から今後も生徒数の大きな増加がないと考えられるた め、新たな整備は行わないこととする。 (4)通級指導学級 通級指導学級は、地域の学校の通常の学級に在籍しながら、定期的に通級する学級 である。 難聴学級については、駒沢中学校に設置している。難聴学級の現在の学年ごとの在 籍生徒数は第3章(2)②の通り、各学年10人未満で推移している。 通級指導学級は基本的には、一人一人に応じた個別指導であり、他校に開設した場 合は教員の確保が困難であることや、第1章(2)の東京都の推計から今後も生徒数 の大きな増加がないと考えられるため、新たな整備は行わないこととする。 28 第8章 小・中学校における特別支援教室(すまいるルーム)の整備 (1)小学校 小学校における特別支援教室(すまいるルーム)の設置状況は、教員の職員室に相当 する部屋を設置した巡回教員拠点校1校に対し、巡回校が1~2校の設置となっており、 巡回教員拠点校の教員が、巡回校を巡回するにあたり、おおむね無理なく巡回できてい る。 なお、船橋小学校のみ、巡回校がない単独の巡回教員拠点校となっている。 (2)中学校 中学校における特別支援教室(すまいるルーム)の設置状況は、巡回教員拠点校1校 に対し、巡回校が2~4校の設置となっているほか、巡回する巡回校が巡回教員拠点校 から遠方にある場合など、グループにより状況が異なっている。 令和8年4月に開校予定の学びの多様化学校を巡回教員拠点校にするとともに、グ ループの分割・再編にむけて検討を開始し、特別支援学級が未設置の学校や、職員室 のスペースを確保できる学校を、巡回校から拠点校に転換し、校内体制の充実と既存 の拠点校の教員の負担軽減に取り組んでいく。 新設・分割・再編を検討するグループ 巡回教員拠点校 巡回校 1 学びの多様化学校 調整中 2 駒沢 太子堂 駒留 富士 三宿 3 深沢 東深沢 砧南 喜多見 ― スケ ジュール 令和7年度 令和8年度 令和9年度 1 職員室設置工事 開設予定 ― 2 検討 職員室設置工事 グループの分割・再編 3 29 小学校 特別支援教室(すまいるルーム) 配置図 【凡例】 ● 巡回教員拠点校 ▽ 巡回校 30 中学校 特別支援教室(すまいるルーム) 配置図 令和8年度 開設予定 学びの多様化学校 (巡回教員拠点校) 【凡例】 ● 巡回教員拠点校 ▽ 巡回校 31 第9章 参考資料等 (1)特別支援学級設置校一覧(令和6年5月現在) ① 小学校(固定学級) 知的障害学級 自閉症・情緒障害学級 肢体不自由学級 学校名 学級名 学級数 児童数 学級名 学級数 児童数 学級名 学級数 児童数 三宿小学校 わかば学級 4 25 世田谷小学校 仲よし学級 2 15 松沢小学校 くすのき学級 4 29 きはだ学級 3 23 旭小学校 ひまらや学級 2 13 こもれび学級 3 19 経堂小学校 わかば学級 3 20 弦巻小学校 6くみ 4 32 山崎小学校 仲よし学級 2 16 奥沢小学校 わかば学級 2 13 つくし学級 2 9 尾山台小学校 けやき学級 4 31 桜町小学校 わかくさ学級 5 40 玉堤小学校 かわせみ学級 1 6 烏山小学校 つくし学級 4 28 せせらぎ学級 2 11 塚戸小学校 みのり学級 1 6 祖師谷小学校 ぽぷら学級 5 34 明正小学校 ひまわり学級 3 19 芦花小学校 ひかり学級 5 39 下北沢小学校 くるみ学級 2 14 多聞小学校 ひだまり学級 3 18 池之上小学校 にじいろ学級 2 13 船橋小学校 おおぞら学級 3 24 合計 53 380 13 85 5 32 32 ② 小学校(通級指導学級) 弱視学級 難聴学級 言語障害学級 学校名 学級名 学級数 児童数 学級名 学級数 児童数 学級名 学級数 児童数 笹原小学校 目の教室 1 16 駒沢小学校 きこえの教室 1 10 ことばの教室 3 45 九品仏小学校 ことばの教室 2 40 砧小学校 ことばの教室 2 28 烏山北小学校 きこえの教室 1 9 ことばの教室 4 68 合計 1 16 2 19 11 181 ③ 中学校(固定学級) 知的障害学級 自閉症・情緒障害学級 肢体不自由学級 学校名 学級名 学級数 生徒数 学級名 学級数 生徒数 学級名 学級数 生徒数 松沢中学校 ときわ学級 3 20 北沢中学校 おおぐま学級 1 5 弦巻中学校 I組 4 28 八幡中学校 C組 4 29 砧中学校 I組 5 33 芦花中学校 I組 5 34 上祖師谷中学校 I組 3 21 世田谷中学校 双葉学級 3 19 E組 4 28 喜多見中学校 I組 2 10 東深沢中学校 I組 1 8 合計 28 189 6 38 1 8 ④ 中学校(通級指導学級) 難聴学級 学校名 学級名 学級数 生徒数 駒沢中学校 聞こえの学級 1 15 合計 1 15 33 (2)特別支援教室(すまいるルーム)一覧(令和6年5月現在) ① 小学校 No. 拠点校 巡回校 No. 拠点校 巡回校 No. 拠点校 巡回校 No. 拠点校 巡回校 1 若林 山崎・代田 8 上北沢 武蔵丘 15 京西 瀬田 22 船橋 (なし) 2 太子堂 旭・三軒茶屋 9 池之上 代沢 16 八幡 東深沢・九品仏 23 給田 烏山北 3 桜 松丘 10 赤堤 世田谷 17 尾山台 等々力・玉堤 24 山野 祖師谷 4 多聞 三宿・池尻 11 笹原 用賀 18 東玉川 奥沢 25 喜多見 砧南 5 松沢 経堂 12 城山 弦巻 19 烏山 千歳 26 希望丘 桜丘 6 中里 駒繋・中丸 13 深沢 駒沢・桜町 20 明正 砧 27 千歳台 塚戸 7 松原 下北沢 14 玉川 二子玉川・中町 21 芦花 八幡山 ② 中学校 No. 拠点校 巡回校 No. 拠点校 巡回校 1 桜丘 弦巻・用賀・砧 5 深沢 東深沢・砧南・喜多見 2 駒沢 太子堂・駒留・富士・三宿 6 尾山台 奥沢・八幡・玉川・瀬田 3 緑丘 松沢・芦花 7 船橋希望 烏山・千歳・上祖師谷 4 桜木 北沢・梅丘・世田谷 34