暮らしに役立つ情報をお届けする生活情報誌、 せたがや消費生活センターだより、 2024年(令和6年)12月号 No.244 P2、3 持続可能な物流のために私たちができること 〜物流2024年問題〜 P4 エシカルコラム 思いやりからはじまるエシカル消費 P5 年末年始に気をつけたいこと 〜家の中にも危険が潜んでいます!〜 P6 高齢者見守り通信 給湯器や分電盤の悪質な点検商法に注意! 世田谷区消費生活センター 相談窓口のご案内 相談専用電話 03-3410-6522 高齢者(65歳以上)専用電話 03-5486-6501 相談日時 ※祝・休日、年末年始を除く まずはお電話でご相談ください。 月曜?金曜(電話・来所)午前9時?午後 4時30 分土曜(電話のみ)午前9時?午後3時30 分 日曜・祝日は消費者ホットライン 午前10時?午後4時(国民生活センター)※年末年始を除く 消費者庁消費者ホットライン188イメージキャラクター イヤヤン P.2、3 持続可能な物流のために私たちができること 〜物流2024年問題〜 東京大学先端科学技術研究センター先端物流科学寄附研究部門 特任研究員 井村 直人 東京大学農学部農芸化学科を卒業後、米国ゼネラルフーヅ研究所、英国クラフトフーヅ研究所、味の素AGF物流部、研究所などを経て2019年より先端科学技術研究センター特任教授。2022年4月より現職。博士(農学)。 消費者に見えにくい物流  皆さんにとって最も身近な「物流」といえば、宅配ドライバーかもしれません。しかし、物流は私たちの目に触れないところでも、昼夜問わず動き続けています。例えばお菓子などの加工食品では、まず原料が工場に運ばれ、そこで生産された製品は工場や隣接する倉庫に在庫されます。その後日本各地の倉庫へと運ばれ、卸売業者の倉庫を経て小売店からの発注に応じて店舗へ届けられ、ようやく店頭に並びます。ところが、店頭では商品の価格が掲示されているだけで、その商品がどのように運ばれてきたか、どれだけのコストがかかったのかはわかりません。すべての商品には物流が関わっており、必ずコストが発生していますが、消費者はそれを意識せずに商品を購入していることが多いのではないでしょうか。 2024年問題とは  「物流2024年問題」とは、2024年度から働き方改革関連法によりトラックドライバーの残業時間が年間960時間に制限されることで、これまでのように荷物が運べなくなる可能性があるという問題です。日本では少子高齢化が進み、どの業種でも人手不足が深刻ですが、とくにトラックドライバーは高齢化が進み、長時間労働に対して給与が低いことから、若い世代にとって魅力的な職業とは言えず、新たにドライバーを雇うのが難しいのが現状です。さらに、日本では翌日配送や時間指定など、物流のサービスレベルが高く、そのために働く人々に負担がかかりやすい状況です。また、ネット通販の普及によって荷物が小口化し物流の効率が低下している上に、再配達の増加による負担も増えています。国土交通省の試算では、具体的な対策が取られなければ、2024年には日本全体の荷物の約14%、2030年には約34%が運べなくなる可能性があるとされています。 私たちの暮らしへの影響  この問題に対して、日本政府や業界ではさまざまな対策が進められています。政府は2024年問題の対策として「物流効率化」、「商慣習の見直し」、「荷主・消費者の行動変容」を重要課題として掲げ、法制化を進めています。荷主や物流業者は、共同配送や省人化への投資を進めており、その結果、消費者が2024年問題の影響を直接感じることはまだ少ないかもしれません。しかし、物流業者はこれらの対策にかかるコストを運賃の値上げとして荷主に転嫁するケースが増えており、それが商品のコスト上昇につながり、徐々に消費者が購入する商品の価格に反映される可能性があります。 消費者としてできること  私たち消費者も物流に対する意識を変えることが求められています。たとえば、「送料無料」という言葉に慣れてしまい、物流にコストがかかっていないと思い込んでしまうことや、急ぎでない商品でも「翌日配送」を選んでしまうこともあるでしょう。2024年問題の先にある持続可能な社会の実現には、CO2など温室効果ガスの排出量を削減し、持続可能な物流を実現することが必要です。そのために私たち消費者は、常に物流を意識し、以下のような行動を心がけたいものです。 確実に受け取れる日時を指定する:  ネット通販で商品を購入する際には、確実に受け取れる日時を指定し、在宅の予定が変わった場合は、運送業者に連絡して 再配達を避けましょう。 宅配ボックスや置き配を活用する:  不在時の配達でも受け取れるように、宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りを積極的に利用しましょう。 複数商品をまとめて注文・配達依頼する:  複数の商品をまとめて注文し、配達を効率化して物流への負担を軽減しましょう。 代替商品を試してみる:  いつも買っている商品が店頭にない場合、他の商品を試して みることで、供給と物流の分散化に協力しましょう。 賞味期限の近い商品を選ぶ:  食品を購入する際には、賞味期限の近い商品を選び、廃棄ロスを減らすことで物流の効率化に貢献しましょう。 災害時の備えをする:  大雨や大雪などの災害に備えて家庭内で在庫を持つとともに、災害時には必要最小限の購買にとどめましょう。 持続可能な社会を目指して  物流2024年問題は、単なる残業時間の管理の問題ではなく、持続可能な社会の実現に向けた重要な課題です。この機会に、消費者一人ひとりが、商品が生産され、サプライチェーンを経て自分の手元に届くまでの長い道のりに思いを巡らせ、物流に関わる多くの人々の存在を意識することが重要です。そして商品を選ぶ際にも、その品質や価格、入手までの時間だけでなく、どのように運ばれてきたかを考慮し、持続可能な社会の実現に貢献する商品を選ぶことが求められます。消費者の意識と行動の変化が、2024年問題に象徴される物流の危機を乗り越え、持続可能な社会の実現につながるのです。 P4 エシカルコラム 思いやりからはじまるエシカル消費  エシカルとは「倫理的」という意味で「人や社会、地球環境、地域に配慮した消費行動」のことをエシカル消費といいます。  日々のくらしの中にエシカルな視点をプラスしてみませんか。一人ひとりのエシカルな行動の積み重ねで社会をより良く変えることができます。  私たちが思いやりを持って行動していたら、それはきっとエシカル消費です。 人や社会への配慮(例) 福祉施設で作られた製品を購入する 福祉施設で作られた製品を購入することで福祉施設で働く人を応援することができます。 フェアトレード※商品を購入する ※フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」です。 寄付付き商品を選ぶ 地域への配慮(例) 地元の産品を購入する(地産地消) 被災地の産品を購入する(応援消費) 伝統工芸品を手にとってみる 環境への配慮(例) マイバッグ、マイボトルを活用する 必要な食品を必要な時に必要な量だけ購入する (食品ロスの削減) エコな商品を選ぶ ストローなど使い捨てプラスチックの使用を減らす 省エネ、3R(リユース(再利用)、 リデュース(ごみを出さない工夫をする)、リサイクル)を心がける P.5 年末年始に気をつけたいこと 〜家の中にも危険が潜んでいます!〜  冬を迎え、暖房用品を使う機会が増えてきました。また、新しい年を迎えるにあたり、家の大掃除を予定されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。寒くなると増える事故があります。年末年始にぜひ気をつけていただきたいことをご紹介します。楽しい年末年始、安全に気をつけて過ごしましょう。 暖房用品を使用する際は周囲に気をつけて 事例  電気ストーブを使用していたところ、カーテンが接触し着火してしまった。 ポイント  電気ストーブを使用中に気づかぬうちに周囲のものに接触して着火してしまうケースがあります。  いつもの使い慣れた暖房機器でも思わぬ事故につながることがあります。  洗濯物を近くで干さないことや、布団の近くでは使用しない等、十分注意して使用しましょう。 大掃除の際の転落事故に気をつけて 事例  掃除機を持って階段を下りていたところ、踏み外し転落してしまった。 ポイント  掃除機やバケツ、布団等を持って階段を上り下りする際は、バランスを崩しやすいため十分注意をしましょう。 また、照明器具など高いところを掃除する際に踏み台を使用する場合の転落事故もあります。安定性の高い踏み台を選び、1人で行わないなど気をつけて作業を行いましょう。 餅の窒息事故に気をつけて 事例  やわらかいから大丈夫と思っていた餅が、するすると喉を通ってしまい、窒息しそうになった。 ポイント  餅を食べて喉に詰まらせる窒息事故が毎年起きています。餅はあらかじめ、小さく切って食べやすい大きさにしておきましょう。餅を食べる前に、お茶や汁物を飲んで、喉を潤しておくことも大切です。 P.6 高齢者見守り通信 給湯器や分電盤の悪質な点検商法に注意!  点検商法とは、「近所で行う工事の挨拶に来た」や電話で「法定点検です。空いている日時はありますか」などと言って訪問し、作業したうえで「このままでは危険がある」などと不安をあおり工事の契約を行う手口です。 下の表は世田谷区での給湯器と分電盤の点検商法に関する相談件数です。  相談件数 うち65歳以上の相談件数 令和4年度 40件 16件 令和5年度 57件 32件 令和6年度(9月末時点) 117件 75件 ? 点検商法に関するトラブルの例 1事業者からいきなり電話がかかってきて、「法定点検を行うため来訪する。空いている日時を教えて欲しい」と言われ、強引に予約を取らされた。 2事業者が急に家に訪問し、「ガス給湯器や分電盤はすぐに交換しないと危ない」と言われ、「最近交換したばかりなのに」と不審に思ったが、心配になり承諾してしまった。 悪質な点検業者に騙されないために! ●電話や訪問で契約を持ちかけてくる業者とは安易に契約しないようにしましょう。  不安な場合は本当に交換が必要か契約先のガス事業者やメーカー等に相談しましょう。 ●交換や契約をする際には複数の業者から見積もりなどを取ったうえで慎重に契約しましょう。 ●電話で断れなかった場合は、インターフォン越しに来訪を断りましょう。一度面会したり家に入られると強引に契約させられてしまう恐れがあります。 ●契約をしてしまった場合、クーリング・オフ等ができる場合もありますので、早めの相談をしてください。 不安なことや心配なことがあれば、 気軽に世田谷区消費生活センター(03-3410-6522)に相談しましょう! 発行:世田谷区経済産業部消費生活課 年4回(3月・6月・9月・12月)発行 聴覚等 が不自由な方は、ファクシミリでお問い合わせください。 〒154-0004 世田谷区太子堂2-16-7 区役所三軒茶屋分庁舎3階 電話 03-3410-6521・6523 ファクシミリ 03-3411-6845 『消費生活センターだより』は、区役所、総合支所、出張所、まちづくりセンター、図書館、区民センター、地区会館等で配布しています。 消費生活センターの各事業は、区のホームページからご覧いただけます。