世田谷区障害者活躍推進計画 令和6年度から令和8年度 令和6年4月 世田谷区長 世田谷区教育委員会 世田谷区議会議長 世田谷区選挙管理委員会 世田谷区代表監査委員 目次 1.計画策定の趣旨 2.計画の位置づけ 3.計画の期間 4.障害者活躍推進計画(令和2年度から5年度)の目標達成状況と今後の課題 5.世田谷区障害者活躍推進計画(令和6年度から令和8年度)の基本理念 6.新たな目標と達成に向けた重点的な取組み 7.その他の取組み 1 趣旨 令和元年6月の障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」)の改正、ならびに厚生労働大臣が作成する指針に即し、「障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画」として、世田谷区においても令和2年4月に「世田谷区障害者活躍推進計画(令和2年度から令和5年度)」を策定し、障害のある職員の計画的な採用による雇用率の向上や、障害の種別を問わず安心して安定的に働くことができる環境の整備に取り組んできた。 当初の計画期間が令和5年度末をもって満了することから、これまでの取組状況を踏まえた、新たな計画を策定する。 2 計画の位置づけ 本計画は、障害者雇用促進法第7条の3に定める「障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画」とする。 なお、区全体で障害者の活躍推進に向けた取組みを推進するため、各任命権者が連名で計画を策定する。 障害者雇用促進法における障害者とは、障害者雇用促進法第2条1項に定めるところにより、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難なものをいう。 3 計画期間 令和6年4月から令和9年3月(3年間) 「障害」の表記について 本計画では、法律における「障害」の表記に合わせて、原則としてすべての文章で「障害」の表記をしています。 4 障害者活躍推進計画(令和2年度から5年度)の目標達成状況と今後の課題 障害のある職員が活躍しやすい職場づくりや人事管理の推進、庁内における障害理解の促進等、雇用の質を確保するための取組みについて全庁をあげて推進し、障害の種別を問わず安心して安定的に働くことができる環境の実現に向け、前期計画では以下の3つの目標と指標を定め、取り組んだ。 (1)計画的な障害者の採用による法定雇用率の充足とさらなる雇用率の向上 【指標】障害者雇用率 各年度6月1日時点 法定雇用率 令和元年度 2.50% 令和2年度 2.50% 令和3年度 2.60% 令和4年度 2.60% 令和5年度 2.60% 目標値 令和3年度 2.60% 令和5年度 2.70% 実績値 令和元年度 1.99% 令和2年度 2.31% 令和3年度 2.61% 令和4年度 2.70% 令和5年度 2.65% 1 目標値 令和3年度までに2.60%、令和5年度までに2.70%の達成 2 令和3年6月30日に地方公共団体の機関による特例認定により、令和4年度以降は、全体の実績値のみ公表 【評価・今後の課題】 法定雇用率及び目標値については、それぞれ令和3年度及び令和4年度に達成することができたが、令和4年度に障害のある職員の退職が発生したこともあり、令和5年度には法定雇用率は達成したものの、目標値を達成することはできなかった。 今後も予定されている法定雇用率の引上げ(令和6年4月2.8%、令和8年7月3.0%)に対応していくため、引き続き障害のある職員の計画的な採用を行っていく必要がある。また、採用に合わせて、障害のある職員が特性を活かし活躍できる職域の拡大等についても進めていく必要がある。 (2)障害のある職員の職場定着 【指標】採用後3年間の離職率 各年度3月31日時点 障害者採用職員 令和元年度 0% 令和2年度 3.45% 令和3年度 3.92% 令和4年度 6.38% 一般採用職員 令和元年度 5.26% 令和2年度 6.47% 令和3年度 5.77% 令和4年度 4.08% 目標値 障害者採用職員の離職率を各年度5%未満とする 【指標】平均勤続年数 各年度3月1日時点 障害者採用職員 令和元年度 16年2月 令和2年度 12年8月 令和3年度 9年11月 令和4年度 9年11月 常勤職員全体 令和元年度 16年2月 令和2年度 16年2月 令和3年度 15年8月 令和4年度 16年 目標値 常勤職員全体の平均勤続年数以上 【評価・今後の課題】 障害のある職員の採用後3年間の離職率は、令和4年度に退職者が複数発生したこと等により、直近では目標値である離職率5%を超えている。また、平均勤続年数についても、令和元年度以降、障害のある職員を積極的に採用したことにより、全体の勤続年数が低下の傾向にあるため、常勤職員全体と比較しても、勤続年数は短くなっている。 特に採用後、2年目・3年目での病気休暇等の取得や退職といったケースが多くなっており、障害のある職員が安心して安定的に働き続けることができるように、職場への一層の定着支援について取り組んでいく必要がある。 (3)職員の障害者雇用に対する理解促進 【指標】障害者雇用理解促進に係る研修の実施回数及び参加人数 各年度3月31日時点 実施回数 令和元年度 年2回 令和2年度 年3回 令和3年度 年3回 令和4年度 年4回 令和5年度 年4回 参加人数 令和元年度 81人 令和2年度 155人 令和3年度 114人 令和4年度 108人 令和5年度 114人 目標値 各年度 年3回 延べ人数 令和5年度末 660人 【評価・今後の課題】 庁内の管理職や職員向けに実施する障害者雇用理解促進研修に加え、障害のある職員の配属職場向けに実施する障害のある職員支援担当者サポート研修を年2回実施するなど、障害者雇用に対する理解を深める機会については増やしたが、新型コロナ感染防止に伴う研修会場の参加人数の制限等もあり、参加人数については目標値に届かない見込みとなっている。 今後は参加の機会を提供するだけでなく、より実践的な研修を実施するなど、研修の受講者の習熟度を深めていく取組みについても検討していく必要がある。 5 世田谷区障害者活躍推進計画(令和6年度から令和8年度)の基本理念 令和6年度からの新たな計画の実施にあたり、障害のある職員が活躍しやすい職場づくりや人事管理の推進、庁内における障害理解の促進等、雇用の質を確保するための取組みを推進し、だれもが安心して安定的に働くことができる環境の整備に庁内が一体となって取り組んでいくために、本計画では次項のとおり基本理念を掲げ、計画を推進していく。 【世田谷区障害者活躍推進計画(令和6年度から令和8年度)基本理念】 職員一人ひとりがお互いの人格や個性を尊重し、障害のある職員が能力を有効に発揮できる職場環境の実現 6 新たな目標と達成に向けた重点的な取組み (1)雇用率の更なる向上を目指した障害のある職員の計画的な採用 新たに設定された法定雇用率の達成に向け、今後も障害のある職員の計画的な採用を行い、雇用率の充足に取り組んでいく。 【目標】障害者雇用率の向上 今後の法定雇用率の改正に合わせて、以下のとおり障害者雇用率の向上を図ることを目標とする。 【指標】障害者雇用率 各年度6月1日時点 障害者雇用率(目標値) 令和6年度 2.80% 令和7年度 2.88% 令和8年度 2.94% 令和9年度 3.01% 法定雇用率 令和6年度 2.80% 令和7年度 2.80% 令和8年度 2.80% 令和9年度 3.0% 令和5年6月1日時点雇用率 2.65% 【目標達成に向けた重点的な取組み】 マル1 障害のある新規採用常勤職員の積極的な採用と各課への配置の拡大 ・雇用率の更なる向上に向け、障害のある常勤職員の採用に継続的に取り組んでいく。また、職員だけでなく、配属先となる職場の支援にも努め、障害のある職員の配置先の拡大を図っていく。 マル2 集約型職場の拡充 ・令和2年に人事課に設置した集約型職場について、今後の新庁舎への移転に合わせて、執務室の増設を行う。また、今後の集約型職場の運営については、本庁舎以外の職場での設置や、現在の会計年度任用職員に加え、障害のある常勤職員の配置についても他の自治体や民間の特例子会社等の事例も参考に検討を行っていく。 マル3 障害のある会計年度任用職員の週所定労働時間20時間未満の職の設置 ・令和6年4月より一定の障害者について、所定労働時間が週10時間以上20時間未満の勤務も雇用率の算定に認められることに伴い、当該短時間での障害のある職員の活用が可能な業務について検討を行い、会計年度任用職員として雇用を行う。 マル4 新たな雇用機会の創出 ・障害のある職員の雇用機会を増やしていくために、各所管で委託や発注している業務についても、区役所の障害のある職員を活用して実施することができないか、費用対効果等も見ながら、検討を図る。 (2)障害のある職員の活躍に向けた庁内環境整備の推進 障害のある職員が特性を活かし、能力を有効に発揮させるため、庁内の物理的な環境の整備や研修等を通じて、共に働く職員の障害に関する理解促進を図っていく。 【目標】庁内職員の障害者雇用に対する理解の促進 人事課で実施している障害者雇用理解促進研修、障害者雇用推進支援員サポート研 修における研修後の受講者アンケートの障害者雇用に関する理解の項目について、「大変深まった」「深まった」の選択が全受講者の80%以上とすることを目標とする。 【指標】障害者雇用理解促進研修等の受講者理解度 各年度3月31日時点 実績 令和5年度 79.4% 目標値 令和6年度 80% 令和7年度 80% 令和8年度 80% 【目標達成に向けた重点的な取組み】 マル1 支援体制の推進 ・区長部局及び教育委員会の人事部門の部長級職員を、引き続き障害者雇用推進者として選任する。 ・区長部局の障害者雇用推進者を長とした障害者活躍推進会議において、障害者活躍推進計画に定めた目標に対する達成状況等の報告を行い、計画の進捗管理を行っていく。 ・人事課に設置している障害者雇用推進チームにおいて、障害のある職員や配属職場の支援を引き続き行っていくとともに、区内に障害種別ごとに設置された3か所の障害者就労支援センターや庁内の各所管とも連携しながら、支援を行っていく。 世田谷区の障害者就労支援センター…しごとねっと(主に精神障害)、ゆに(主に発達障害)、すきっぷ就労相談室(主に知的障害) ・障害のある職員の配属職場の管理職は、本人の特性の把握に努め、能力が有効に発揮できる職場づくりに取り組む。また、直属の上司及び業務指導にあたる職員を障害者雇用推進支援員として選任し、障害のある職員の日常的な職務遂行状況の把握や初期的な助言、生活全般における相談・指導を実施する。障害者雇用推進支援員は、障害者雇用推進チームが実施する障害者雇用推進支援員サポート研修に参加し、障害者雇用の理解に努める。 マル2 物理的環境の更なる整備 ・本庁舎の建て替えに伴い、障害のある職員を含む全ての人々が利用しやすい庁舎を目指し、庁舎建設を始めとする関係所管と連携を図りながら、環境整備に取り組む。 ・障害のある職員の障害特性に配慮し、各職場における職務の遂行に必要な施設・設備等に合理的な配慮を講ずるとともに、職務の遂行に必要な器具等が生じた場合は職員の意向に寄り添いながら、助言や器具の提供といった支援を行う。 マル3 庁内職員の障害に対する理解の促進 ・庁内の全管理職を対象に、管理職として認識すべき障害に関する理解や、障害のある職員を受け入れる職場運営を念頭に置いた共有理解事項等の研修を実施する。研修の実施にあたっては、既に障害のある職員を配属した職場から寄せられ、庁内での共有が可能な事例等をケーススタディとして用いるなど、より実践的な内容で実施する。 ・庁内の全職員を対象に、障害の特性や障害者雇用の基本的な内容について理解するための研修を実施する。研修の実施にあたっては、民間企業等も活用し、障害当事者からの意見を聞く等のプログラムも入れ、障害に関してより理解が深められるような内容を実施する。 ・障害のある職員との定期面談を実施する際には、配属職場に対しても聞き取りを行い、何らかの課題が生じている場合には、課題解決に向け障害のある職員及び配属職場に対し支援策を講じていく。 ・障害のある職員を支援するための障害者雇用推進支援員に対して、障害に関する基本的な理解や支援機関、支援体制等を説明するための障害者雇用推進支援員サポート研修を実施する。(再掲) ・庁内で障害のある職員の指導・支援を行っている障害者活躍支援員について、指導方法や支援の仕方等のスキルアップを図るため、庁内の支援員の意見交換会や支援員を対象とした研修等の実施について検討を行う。 ・障害のある職員に対し、自分自身を含む様々な障害の特性や支援機関等の支援体制、年次有給休暇を始めとする区の服務制度等の理解を深めるための研修等の実施について、必要性や実施方法について検討していく。 (3)障害のある職員の定着に向けた支援  障害のある職員及びともに働く職場の職員が、お互い障害の理解を深め、安心して安定的に働き続けることができるように、障害のある職員の職場への定着支援を行っていく。 【目標】障害のある常勤職員の定着率の向上 障害のある常勤職員の採用後1年間の定着率を100%及び採用後3年間の定着率を95%以上とすることを目標とする。 【指標】障害のある常勤職員の定着率 各年度3月31日時点 採用後1年間の定着率 100% 令和6年度 100% 令和7年度 100% 令和8年度 100% 採用後3年間の定着率 94.1% 令和6年度 95.0% 令和7年度 95.0% 令和8年度 95.0% 参考:一般企業の障害のある職員の1年後の職場定着状況 身体障害 60.8% 知的障害 68.0% 精神障害 49.3% 発達障害 71.5% 出典:「障害者の就業状況等に関する調査研究」 平成29年4月 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 【目標達成に向けた重点的な取組み】 マル1 人事課障害者雇用推進チームの支援体制の検討 ・今後の雇用率の向上に伴い、必要となる支援の体制や専門的知識の習得に対応するため、障害者雇用推進チームの拡充や外部の就労支援機関等を活用した支援体制の検討、職員の研修機会の確保や定期的な勉強会の開催等を進めていく。また、庁内の職員に対し、チームの存在と機能について周知をより一層推進していく。 マル2 職員の自己理解への支援を通じた安定した就労の推進 ・障害のある職員の安定した就労を目指し、職員本人の同意のもと、自己の障害状況や特性をまとめたプロフィールシートの作成を支援していく。作成の支援にあたっては、職場や就労支援機関等の関係者とも連携を取りながら、職員本人の自己理解の促進にも努めていく。また、作成したプロフィールシートについては、今後の異動や横転者への情報共有等への活用も検討する。 マル3 コミュニケーション活性化のための支援 ・本人の特性や職場の状況に応じた、日々の体調及び業務の進捗確認のためのツールの活用を提案し、本人と職場のコミュニケーションの活性化を図っていく。周知にあたっては、現在行っている障害者雇用理解促進研修での紹介に加え、障害者雇用推進チームとの面談の場や庁内公開サイト等の活用も検討する。 マル4 各職場における障害理解のさらなる促進 ・障害のある職員への理解を深めるため、必要に応じて、地域の就労支援機関を交えて、本人及び職場で情報の共有や関わり方、対応方法を深める機会を作り、職場の職員が抱える疑問点を解消させ、障害のある職員も共に働く職員も、互いに働きやすい職場環境を目指していく。 マル5 採用前における仕事への向き合い方や勤務条件等の情報共有の場の設置 ・常勤職員については、採用前面談等の機会を使いながら、勤務条件や服務規定等について説明の機会を設けるとともに、社会人としての心構えや同じ障害者採用の先輩職員の話を聞く機会の設置についても検討する。 ・会計年度職員についても、現在実施している採用募集事前説明会の場において、人事課集約型職場の見学や実際の作業等の体験を導入するなど、業務に対しての周知機会を設定していく。 マル6 目標設定を通じた支援の導入 ・人事課集約型職場において、それぞれの職員ごとに目指すべき目標を記した、目標シートの作成を試行的に実施する。作成した目標シートについては、支援を行っている障害者活躍支援員とも共有し、定期的な面談で進捗の確認や振り返りに活用し、スキルアップやモチベーションの維持を図り、安定した就労の継続へとつなげていく。目標シートの運用の過程で一定の効果が見られた場合には、シートの評価・検証を行ったうえで、人事課集約型職場以外の職場においても、支援が特に必要な職員に対して、面談等の機会を通じて、目標シートの活用を提案していく。 マル7 キャリアプラン形成に対する支援 ・常勤職員については、今後の異動や昇任等の将来像の明確化だけでなく、仕事に対するモチベーションの向上に向けて、自分に合ったキャリアプランを形成できるように支援をしていく必要がある。例えば、自己理解を深めるためのプロフィールシートの活用や、障害のある職員向けに障害者採用の先輩職員の経験談を聞く等の新たな研修を実施する。 ・会計年度任用職員についても、面談等で新たな目標の設定や達成状況の確認を行いながら、職務に対してのモチベーションの維持につなげつつ、自分らしいキャリアプランの形成を支援していく。 ・在職中に疾病・事故等で新たに障害が生じた職員についても、円滑な職場復帰のために必要な職場環境の整備等や働き方、キャリア形成等の配慮を行うとともに、必要に応じて、人事課障害者雇用推進チームによる支援を行っていく。 7 その他の取組み ・職員の募集にあたっては、職員採用説明会や職員採用パンフレット等において、区の障害者雇用の取組みについて、積極的に周知を行っていく。また、職務を体験できる職場実習を引き続き実施するとともに、インターンシップの実施に向けた検討を行う。 ・特別区統一採用選考による常勤職員の採用、区独自の採用選考による会計年度任用職員の採用により、計画的な障害者採用を行う。なお、募集・採用にあたっては、次項の取扱いを行わない。 1)特定の障害を排除、または特定の障害に限定 2)自力で通勤できる、介助者なしで業務遂行が可能、「就労支援機関に所属・登録しており、雇用期間中支援が受けられること」といった条件の設定 3)特定の就労支援機関からのみの受入れの実施 ・障害者の一般就労を目的としたチャレンジ雇用を継続的に実施する。 ・難病や重度障害等を理由に職場での勤務が困難な職員に対して、テレワーク等を活用した働き方の検討を行っていく。 ・障害者の活躍の場の拡大の推進のため、「世田谷区障害者優先調達推進方針」(障害福祉部障害者地域生活課)に基づく区内障害者施設等への発注に配慮する。 ・区の障害者雇用の取組みや本計画について、区ホームページ等により区民への周知を行うことで、区民の障害者雇用の理解促進を図る。