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最終更新日 2023年6月7日
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先の世田谷区長選挙で区民の皆さんのご支持をいただきまして、世田谷区長として4期目の任期に入りました。本日は、4期目最初の記者会見です。
引き続きよろしくお願いいたします。
本日の会見項目の発表に先立ち、5月30日(火曜日)、世田谷区本庁舎等整備工事における1期工事完成日の再延伸について、大成建設株式会社(以下、大成建設)が説明した記者会見の件についてお話しします。
報道されているように、本庁舎等整備工事の1期工事について、竣工予定の9月末まであと4か月という時期になって、施工者である大成建設から、最大で半年間延伸という予想外の申し入れがありました。このことは到底承服できることではありません。
大成建設は記者会見において、工程延伸の理由として「鉄骨工事に注力してきたあまりコンクリート工事の工程を見誤った」など施工管理と見通しの甘さだという説明を繰り返されており、私どももにわかに信じがたい思いです。
区では、1期棟の完成に向けて、新庁舎の維持管理業務や什器購入契約の準備、新しい区民会館ホールでのオープニングイベント等の準備をすでに始めていました。他にも影響範囲は広がるかと思います。今後、最大で半年という延伸が短縮することなく、2期工事や3期工事の完成時期も延伸した場合には、工事期間中に使用している仮庁舎の賃貸借契約の延長にかかる経費も必要になります。こうした影響については現在、区で調査しているところですが、そもそもなぜ遅延が生じたのか、6月9日(金曜日)を期限に詳細な報告を求めているところです。大成建設のホームページでも公開されていますが、まず、大成建設の社長名による謝罪文を区で受領しました。
その謝罪文を受け、区から大成建設へ、本庁舎等整備工事の工程遅延に係る経緯等報告書の提出を要請しています。要請として、工程延伸の影響は非常に大きいことを伝えた上で、延伸に係る具体的な経過を6月9日(金曜日)までに書面にて報告するよう求めています。区としては、その報告を受けて、1期工事が延伸することによる直接、また間接的な影響についての損害の賠償等についての協議も開始してまいりたいと思います。
本庁舎等整備工事の区の担当所管には、一級建築士や一級建築施工管理技士などの資格を持つ職員も複数配置しています。工事の監督員として連日現場に入り検査しており、状況によって工程管理や品質管理に関して、是正指示や改善命令も出していました。しかし、これだけの大きな遅れが生じるというのは、大成建設の中でのみ知り得る判断なり情報であって、最大6か月とする工程の延伸には、担当所管も含めて非常に戸惑っています。真相を明らかにした上で、しっかり解決に向けて動きたいと思います。
区民の皆さまには、区民会館ホールをはじめ、議会機能及び危機管理、防災対応拠点の完成等が遅れるということでご迷惑をおかけしますが、引き続き、この影響を最小限に抑えるために総力を挙げていきます。以上が5月30日本庁舎等整備工事に関する記者会見についてのコメントです。
まず教育に関する問題です。学校教育の中で、コロナ禍が3年間続きました。不登校の子どもたちが、全国的に増加している状況です。こうした中で子どもたちの学びを保障する、とりわけ「新たな学びの場」を作ることを真剣に検討し、区内90の小・中学校がさらに行きたくなる学校へと変化を遂げていく道筋をつくりたいと思っています。従来の学校教育の型にとらわれることなく、「新たな学びの場」の作り方や運営のあり方について、7月1日(土曜日)に今年度第1回総合教育会議を開催し、教育大綱の素案の議論を始めていきます。6月1日(木曜日)から参加者募集を開始します。
次に次期世田谷区基本計画策定に向けたワークショップについてです。
区では、令和6年度を初年度とする次期基本計画の策定に向けて、昨年度から検討を進めています。令和4年9月の第1回基本計画審議会に始まり、8回にわたって議論を重ね、昨年度末の3月29日(水曜日)に世田谷区基本計画大綱を答申いただきました。
答申の中のキーワードをいくつか紹介していきます。一つは、「持続可能な未来の確保」です。世田谷区の恵まれた住環境や文化、地域性を子どもや若者世代に引き継ぎ、さらなる発展を遂げていくための、いわゆる持続可能性の視点を中心に据えた区政運営を目指します。
次に「参加と協働」です。この「参加と協働」は、過去3期の区政でも掲げてきたキャッチフレーズです。区民を施策の一方的なサービスの対象として捉えるのではなく、自ら地域をつくり支える存在として位置付け、主体的な参加への意欲を引き出し、ともに作り上げる地域づくりを進めてまいります。
次に「新たな学校教育」です。先ほども触れましたが、子どもたちの関心が高い地域課題や環境気候危機など探求的な学びへと質的転換を進め、一人ひとりの個性・能力を活かして、生き生きと学べる学校教育を目指していきます。
続いて「脱炭素社会の構築と自然との共生」です。この問題は脱炭素化やグリーンインフラなど環境分野だけの問題ではなく、経済、教育、福祉、建築やまちづくりと、あらゆる課題を横串しにしていく大事なテーマとして議論されました。
この大綱を踏まえ、区として基本計画(骨子)を策定したところで、6月より多様なツールの活用や機会を創出し、区民の参加を得ながら検討を進めていきます。
まず6月3日(土曜日)に区民ワークショップを開催します。基本計画で掲げる6つの重点政策ごとのグループに分かれ、目指す将来像やその実現に必要な取組みについて議論いただきます。16時からの発表・共有はオンライン傍聴が可能です。
まだ会場、オンラインともに傍聴には余裕があり、6月1日(木曜日)まで申し込みが可能です。
続いて、世田谷区次期基本計画策定に向けたシンポジウムを6月17日(土曜日)に開催します。基本計画審議会の6名の委員の方が登壇され、「世田谷区基本計画大綱」に込めた思いを語っていただき、ディスカッションしていきます。
続いて、車座集会のご案内です。区内28か所あるまちづくりセンターを巡回して、区民の声を聞き、コミュニティの問題やどうやったら住みやすい地域づくりをしていけるか、或いは区政全般に向けて意見を聞くものです。
区では、一番住民生活に近いまちづくりセンター、総合支所、区役所本庁舎という3層構造で行政を行っております。
車座集会は、過去3度実施しており、平成23年度は679人、次の平成27年度は612人、令和元年度は512人もの方が参加しました。
今年度は6月24日(土曜日)から開始し、各まちづくりセンターを巡回していきます。過去の車座集会では、介護福祉の窓口が探しにくいといった意見を伺い、問題を解決するきっかけとなりました。
次にアメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市のマウントテーバー中学校の生徒約45人が来日し、区立中学校4校で交流しました。その後の区長表敬訪問では、生徒たちから折り鶴が贈呈され、13歳の生徒からは、日本語で7分近くに及ぶ平和に関するスピーチがありました。感情がこもっていて、感動しました。
続いて、5月14日(日曜日)に10周年を迎えた「宇奈根の渡し」です。平成26年に子どもたちの興味があることや夢を応援する「世田谷区子ども夢プロジェクト」の企画として始まりました。
当時の喜多見児童館の子どもたちが多摩川の渡し船を見て興味を持ち、川崎市と世田谷区にある「宇奈根」どうしでかつて渡し船が運行されていたことを調べました。子どもたちは、この「渡し船を復活させたい」という夢を持ち、かつて幼い頃に渡し船を運行するお手伝いをしていた方が、子どもたちと一緒に「夢叶丸(ゆめまる)」と名付けた渡し船を10年前につくり、復活させたものです。
今回は、あいにくの天候で肝心の渡し舟は実施できませんでしたが、過去の映像を見ながら、復活当時に参加していた子どもが立派な若者へ成長し、川崎市と区が交流して取り組んできたこの10年の振り返りをお話ししてくれました。
川崎市長にも出席いただき、大変盛り上がり、子どもたちからは「来年こそは実際に船を浮かべ、運行したい」という声が聞かれました。
世田谷区公契約条例について、取り組んでいる特徴的な事柄をお話しします。公契約条例は、ダンピングといった過度な価格競争により労働者の労働条件が非常に悪くなる、また事業者も利益を得ることができないという状況を脱し、公共事業の品質を担保するものです。
ILO(国際労働機関)の低賃金の防止を目的とする条約には、日本は批准しておらず、公契約条例を定めた自治体数もまだ30ほどという現状です。
区としては適正な労働条件の確保や事業者の経営環境の改善、公共事業の質の確保として、公契約条例に基づき施策に取り組んでいます。公契約条例については適正な労働条件を確保することにより、人手不足における労働力の確保や生活賃金水準が上がるようなバックアップをしていきます。
一方で、入札についても改革も行っていく必要があります。低価格で競い合う入札から、地域に立脚した質を担保する入札方法に変えていくことにより、事業者側の経営が改善され、適正賃金を支払うことができるという好循環を目指しています。
これまで区の契約では、予定価格3,000万円以上の工事請負契約の労働者は、公共工事設計労務単価の各職種以外の労働者、また予定価格2,000万円以上の工事請負契約以外の契約の事業者に対しては区と契約する際、労働報酬最下限額を1,170円と定められていました。
これが今年度令和5年4月1日から1,230円に改定しました。
我々としてはかなり効果があるのではないかと感じています。これにはペナルティー等はありませんが、区と契約を交わすにあたり、この最低額を守っていただくようにしています。この改定額は、東京都の最低賃金を約100円上回っており、今回の改定で約150円の開きになります。
この取組みについて、労働報酬下限額が1,230円であることを周知するポスターの掲示や、建築現場等で働く方々向けの啓発ポスターも作成しています。
続いて、適正な入札の実施として、令和5年度より変動型最低制限価格を開始しています。これは「多種多様な業務委託契約の適正価格を市場に聞く」というコンセプトに基づき、案件ごとに開札後の入札額の平均から最低制限価格を設定する制度となっています。これにより、他の入札価格から著しく乖離した低価格では落札できないものとなり、適正な競争性とダンピング防止の両立を図っています。
もう一つは、世田谷区建設工事総合評価方式入札です。これは「品質と価格のバランスのとれた公契約の実現」を目指し、価格評価と価格以外の評価の合計が最も高い応札者が落札する制度になっています。価格評価では一定額を下回る入札価格の評価を逓減させることでダンピングを防止し、価格以外の評価として公契約条例に基づく取組み等を評価しています。価格の競争がある一方で、賃金の支払いや労働福祉、労働安全衛生、建設キャリアアップシステムや男女共同参画、ワーク・ライフバランス、障害者雇用、若年者雇用の状況はどうかといった公契約評価点を設けて評価します。そのため、価格の一番低い企業よりも、この評価点が高い企業が落札するということも発生します。
このように、労働報酬下限額の引き上げにより、正規、非正規を問わず、公契約に従事する労働者の最低賃金が底上げされ、入札制度の改善により、さらなる適正な労働環境の確保・向上を実現していくことで、区の公契約に従事する人材の確保につなげるという循環を図っています。物価が上がっても賃金が上がらない構造に一石を投じる一自治体の取組みとしてご紹介しました。
次に、玉川野毛町公園拡張事業についてです。
先ほど、基本計画に関する話のなかで、参加と協働について申し上げましたが、現在も進行している事例を紹介したいと思います。
国の重要文化財が出土した野毛大塚古墳のある玉川野毛町公園と、等々力渓谷公園に隣接する国土交通省等々力宿舎跡地の一部(約2.8ha)を区が取得し、玉川野毛町公園拡張事業として区民参加と協働による公園づくりを行っています。
令和元年度より、有識者を交えたシンポジウムの開催をスタートし、現場見学会やオープンパーク、拡張予定地や室内でのワークショップ等を積み重ねてきました。
令和3年5月、「みどり、歴史、文化を区民の手で育みながら100年後も地域に愛される公園」を目標に掲げ、国分寺崖線や等々力渓谷の豊かな自然とのつながりに加え、野毛大塚古墳等の文化財のつながりも感じられる空間や景観をつくり出し、防災機能もあわせ持ち災害時にも役立つ、区民や事業者等との協働による公園づくりに向け、「玉川野毛町拡張事業基本計画」を策定しました。そして、公園を「身近な暮らしの舞台」として、どう利用していくか、区民発意の活動を現地で行いながら、設計や今後の活動に反映させ、試行錯誤を繰り返しながら公園の未来像を描いていく「玉川野毛町パークらぼ」をスタートし、令和5年2月に「玉川野毛町公園拡張事業基本設計」が取りまとめられました。スライドで拡張予定地の設計イメージパースを表示していますが、本年の夏頃から工事に着手し、令和7年度の開園を目指していきます。
公園づくりの取組み「玉川野毛町パークらぼ」では、実際に「活動」してみる「アクティブDAY」。そして、公園の「形」を考える「デザインDAY」、公園予定地を一般公開して活動やデザインを「区民と検証」する「オープンパーク」を繰り返し、プロジェクトに参加する仲間を作っていくという循環を続けていきます。
5月21日には、これまでの活動報告や今後の取り組みなどを発表する「キックオフミーティング」が開催され、住民参加の公園づくりの一つのモデルが始まろうとしています。多くの方々が参加し「玉川野毛町パークらぼ推進準備会」の設立が宣言されました。拡張区域の供用開始は2年後を予定していますが、大勢の方がこのプロジェクトに関わろうとされています。例えば、公園にやぎを連れてきて下草を食べてもらいながら子どもたちと触れ合うイベントや、歴史探求、どんぐりを育てたりと多彩なプロジェクトが報告・発表されました。
今後、地域住民の新たなコミュニティが生まれる場所として、玉川野毛町パークらぼ推進準備会をはじめ、地域団体や民間事業者、世田谷区、保育園、学校、専門家といった多様な主体が知恵を出しながら協働していくことを目指しています。
この3年間、ランドスケープデザイナーの忽那裕樹(くつなひろき)氏に一緒に取り組んでいただいており、作り込まない設計をコンセプトとしています。通常、こうした施設整備の説明会等では、最初からデザイン案を出して、それに対して意見をもらうといった流れになることが多いですが、玉川野毛町公園の場合は、拡張予定地にみんなで立ってみて、白いキャンバスとも言えるその場所にどんな絵を描いていくか、みんなで相談しながら熟議して積み上げていくことを、コロナ禍の合間をぬって取り組んできました。
都市公園のあり方や都市におけるみどりについて、住民の意思や参加という部分で、行政や都市計画とすれ違いが起きてしまうこともあります。他方で、区では住民参加を徹底して、年月をかけて熟議し積み上げ、まちづくり、公園づくりを議論しながら進めています。
全てを作り込まず、将来の状況変化に応じて姿形も変化できるようなユニークな公園の整備設計が進み、いよいよ工事が始まるという報告でした。
次に、空家等対策におけるこれまでの取り組みと現況についてです。
区では、著しく管理不全な状態と認められる空家11棟について、法律に基づき「特定空家等」と判断しています。このうち、民法で定める財産管理制度の活用により2棟は解体済みです。この財産管理制度の手続き前に、所有者の対応による解体を行ったのが7棟。対応継続中が2棟となっています。すでに解体した空家の中には、所有者が不明であるなど大変困難な案件もありました。行政代執行により強制的に解体するのではなく、所有者に自ら解体していただけるよう、引き続き所有者へ要請を重ねてまいります。
令和3年11月には、空き家の相談窓口「せたがや空き家活用ナビ」をインターネット上に開設しました。空き家の所有者と事業者等をマッチングする仕組みで、区と協定締結した企業が運営しており、専門アドバイザーが相談内容を整理し、事業者の紹介もできる無料相談窓口です。令和5年5月時点で、空き家所有者からの相談は71件、契約成立が13件という状況です。新たに、相談いただいた方を対象に、1年間無料で空き家保険の対象とするサービスを始めました。すぐに空き家の処分を判断できない等の不安を軽減した上で、対処を進めていくことができます。また、一般財団法人世田谷トラストまちづくりでも「空き家等地域貢献活用事業」として、マッチングの取組みを以前から行っており、空き家を活用した住民の取組み等も区内で増えてきました。
次に、各種調査の結果を報告します。まず世田谷区土地利用現況調査の結果です。令和3年度に、「空家等」と思われる建物を対象に調査を実施しました。把握した空家等の総数は883棟でした。平成28・29年度に実施した調査で把握した空家等の総数は966棟で、そのうち約8割は流通・利活用等されていますが、それでも新たに同程度の空家等が発生していることが分かります。
次に、令和4年度に実施したアンケート調査結果です。調査時点で815通の空家等の所有者等のうち、「日常的に居住していない建物」と回答があった158通をもとに分析を行いました。まず年齢について、60歳以上の所有者等が約7割を占めていました。そして、所有者等の約6割が世田谷区外に在住でした。相続人の予定については、回答のあった所有者等の約3割がいない、わからないという回答でした。最後に、特定空家等の勧告を受けた場合、固定資産税等の住宅用地に係る課税標準の特例の対象から除外されることについて、約7割の方が知らないと回答した一方で、約8割の回答者が、税額が上昇する前に回避したいと考えていることが分かりました。
これまでの取組み、関連法案や制度の改正等、国の施策の動向や及び空家等の調査結果を踏まえ、令和6年4月の「世田谷区空家等対策計画(第2次)」策定を目指しています。
最後に、水防又は応急措置の業務に従事した者の同性パートナーに係る死亡補償一時金支給制度の新設についてです。現行法制度上、この業務に従事して亡くなった場合の遺族補償の対象とならない同性パートナーに対し、区独自の制度として、死亡補償一時金支給制度を新設します。
区では、全国に先駆けパートナーシップ宣誓の取り組みをスタートさせ、また「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定するなど、性的マイノリティの理解促進に取り組んできました。この条例の理念に基づき、現行法制度に準じて、区独自に同性パートナーへの死亡保障一時金支給制度を設けます。
支給対象者は、亡くなった従事者と同居し、その収入により生計を維持していた同性パートナーの方です。支給額は、現行法制度に準じた一時金として、亡くなられた方の収入等に応じて890万円~1,420万円とし、令和5年7月1日から制度の運用を開始します。
政策経営部 広報広聴課
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